JPH0148766B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［発明の技術分野］ この発明は、タンク内で湯を沸騰させて沸かす
湯沸しポツトに関する。

［発明の技術的背景とその問題点］ 一般的なポツトにおいては、タンク内に水を収
容し、これを加熱ヒータを介して90〜95℃程度の
温度に上昇させ、こののち30〜50W程度の保温ヒ
ータでその湯を保温するのが普通であるが、茶こ
し用の湯などにあつては、一度沸騰させたものを
70℃前後にさまして用いるのが、風味上好ましい
とされており、このためタンク内で湯を一旦沸騰
させるようにした沸騰式の湯沸しポツトが近時提
供されている。

この種の湯沸しポツトは、ケース内にタンクを
収納し、このタンクの上端の開口部を上蓋で覆
い、またタンク内を大気中に連通させる蒸気逃し
路を形成し、上記タンク内で湯を沸騰させて沸か
し、その蒸気を蒸気逃し路を通して逃すようにな
つている。

ところが従来においては、上蓋がねじ込み式に
設けられ、この上蓋が完全に拘束されており、こ
のため蒸気逃し路に異物が付着するなどしてそれ
が詰つたような場合、或いはタンク内の水温を検
知して加熱ヒータへの通断電を行なう検知用サー
モスタツトが短絡等の事故を起した場合などに
は、タンク内が蒸気により異常に高圧化し、タン
クが破裂して不測の危険を招くおそれがあつた。

［発明の目的］ この発明は、このような点に着目してなされた
もので、その目的とするところは、蒸気逃し路が
詰るようなこと、或いは検知用サーモスタツトが
事故を起すようなことがあつても、タンクが破裂
するような危険にまでは至ることがないようにし
た湯沸しポツトを提供することにある。

［発明の概要］ すなわち、この発明は、貯湯用のタンクを収納
したケースの上端に、一端を支点にして回動する
回動自在構造の上蓋を設け、この上蓋内に上記タ
ンク内の湯の加圧用のベローズを設け、上記タン
ク内の蒸気を上記ベーロズ内を通らない蒸気逃し
路を通してポツトの外部に流出させる蒸気孔を、
ポツトの一定位置に設けるようにしたものであ
る。

［発明の実施例］ 以下、この発明の一実施例について図面を参照
して説明する。図中１は円筒状のケースで、この
ケース１の上端開口部に端板２が取付けられてい
る。ケース１の内部には有底円筒状のタンク３が
収納され、このタンク３はその上端の開口周縁が
上記端板２の下面に押し部材４を介して支持され
ている。端板２には注水口５が形成され、この注
水口５にパツキング６を介して中栓７が着脱自在
に装着され、この中栓７を取外すことにより、注
水口５からタンク３内に水を注入することができ
るようになつている。タンク３の下端外周には検
知用サーモスタツト（図示せず）を通して制御さ
れる加熱ヒータ８および保温ヒータ９が設けら
れ、上記加熱ヒータ８によりタンク３内の水が沸
騰するまで沸き上げられ、こののちその湯が保温
ヒータ９により保温されるものである。中栓７の
内部には蒸気逃し路１０が形成され、この蒸気逃
し路１０は一端に流入口１１、他端に流出口１２
を有している。そして上記流入口１１が中栓７の
一端側に形成された流通路１３を介してタンク３
内に連通している。また中栓７の上面には上記流
入口１１の外周側を囲むように円筒状のパツキン
グ１４が取付けられている。

タンク３の開口部には中栓７の上面側に位置し
て逆椀形状の上蓋１５が設けられ、この上蓋１５
はその一端がピン１６を介して端板２に回動自在
に枢支されている。この上蓋１５の下面には基板
１７が設けられ、この基板１７が上記パツキング
１４に接離自在に接している。基板１７の上方側
には可動板１８が設けられ、この可動板１８と基
板１７との間に伸縮自在なベローズ１９が設けら
れている。上蓋１５の上端部には円形状の凹所２
０が形成され、この凹所２０内に逆有底筒状の押
体２１が上下動自在に嵌挿されている。凹所２０
の底面中央部には摺動孔２２が形成され、この摺
動孔２２に筒状の閉塞体２３が摺動自在に嵌挿さ
れている。この閉塞体２３は上端がねじ２４を介
して押体２１の内天面に固着され、また下端にそ
の外周に鍔状に突出する閉塞部２５を有してい
る。可動板１８の中央部には透孔２６が形成さ
れ、この透孔２６の内周縁に扁平環状のパツキン
グ２７が装着され、このパツキング２７に上記閉
塞部２５が離間して対向している。そして上記透
孔２６に間隙２８を介して棒状の開閉体２９が挿
通し、この開閉体２９は下端が上記基板１７を摺
動自在に貫通するとともに、その貫通先端面にパ
ツキング３０で被われた円形の開閉板３１が取付
けられ、この開閉板３１が蒸気逃し路１０の流入
口１１に離間して対向している。上記基板１７に
は上記開閉板３１と対向して複数の通気孔３２…
が形成され、これら通気孔３２…が開閉板３１の
パツキング３０によつて気密的に閉塞されてい
る。開閉体２９の上端は閉塞体２３内に臨み、こ
の開閉体２９の上端面と閉塞体２３の内天面との
間に第１のスプリング３３が設けられ、また開閉
体２９の外周に第２のスプリング３４が巻装さ
れ、この第２のスプリング３４の弾性力が上記第
１のスプリング３３の弾性力に打ち勝つことによ
り開閉体２９が上方側に弾性的に付勢されてい
る。又、閉塞体２３の外周に第３のスプリング３
５が巻装され、この第３のスプリング３５により
押体２１が上方側に弾性的に付勢され、この付勢
力で閉塞体２３の閉塞部２５が摺動孔２２の縁部
に当接している。さらにベローズ１９内に第４の
スプリング３６が設けられ、この第４のスプリン
グ３６により可動板１８が上方側に弾性的に付勢
され、その付勢力で可動板１８の上面が凹所２０
の底部下面に突設された円環状の突条２０ａに当
接している。

基板１７の一端には案内筒３７が一体形成さ
れ、この案内筒３７の上端が上蓋１５の壁面を貫
通して外部に突出するとともにその突出端面に複
数の蒸気孔３８…が穿設されている。案内筒３７
の下端の開口縁には扁平環状のパツキング３９が
装着され、このパツキング３９が蒸気逃し路１０
の流出口１２の内周縁に装着された扁平環状のパ
ツキング４０に接離自在に接している。端板２お
よび上蓋１５の他端側にはそれぞれ突出部４１，
４２が形成され、これら突出部４１，４２が接離
自在に重合し、そして端板２の突出部４１の内側
に導湯路４３が形成されている。この導湯路４３
は突出部４１の先端側下面に形成された注出口４
４を通して外部に開放し、またこの導湯路４３の
基端側端部に逆止弁４５を介して導湯管４６が接
続されている。この導湯管４６はタンク３内に垂
直に挿入されていて、その下端の開口がタンク３
の内底面近傍に臨んでいる。なお、４７は上蓋１
５を端板２に対して掛止する掛止機構で、４８が
その解除用のレバーである。また、４９はタンク
３内の液面を表示する液位計で、５０がその覗き
窓である。

このように構成されたポツトにおいては、タン
ク３内に発生した蒸気は流通路１３、流入口１
１、蒸気逃し路１０、流出口１２、案内筒３７を
順次経て蒸気孔３８…からポツトの外部に排出さ
れる。

しかして、この状態において押体２１を下方に
押圧すると、第１のスプリング３３が圧縮し、こ
の圧縮により開閉体２９が下方に移動し、開閉板
３１がパツキング３０を介して流入口１１に衝合
し、これにより流入口１１が閉塞されるとともに
通気孔３２…が開放される。また、押体２１の下
降に伴い閉塞体２３の閉塞部２５が透孔２６のパ
ツキング２７に衝合し、ベローズ１９の内部が密
閉されるとともに、可動板１８が下方に押圧さ
れ、これによりベローズ１９およびその内部の空
気が圧縮される。そしてその圧縮空気が通気孔３
２…および流通路１３を通してタンク３内に送入
され、湯の液面が加圧される。この加圧によりタ
ンク３内の湯の一部が導湯管４６、導湯路４３を
経て注出口４４から外部に導出される。こののち
押体２１の押圧を解除すると、第３のスプリング
３５の弾性力で押体２１が上昇し、これに伴い開
閉体２９が第２のスプリング３４の弾性力で上昇
するとともに、閉塞部２５がパツキング２７から
離間し、透孔２６を通してベローズ１９内に外部
の空気が流入し、この空気の流入に伴い第４のス
プリング３６の弾性力で可動板１８が上昇し、ベ
ローズ１９が当初の状態に復元する。このような
動作の反覆により、タンク３内の湯を適量ずつ取
出すことができるものである。

タンク３内は蒸気逃し路１０を通して外部と連
通するが、ベローズ１９が圧縮動作を起す際に
は、開閉体２９の開閉板３１によつて蒸気逃し路
１０が閉塞され、タンク３内と外部との連通状態
が遮断されるから、ベローズ１９内の圧縮空気を
外部に漏らすことなく確実にタンク３内に導入さ
せることができる。そして通常時には、タンク３
内の蒸気がベローズ１９内を経ることなく、別個
の蒸気逃し路１０を通して外部に排出されるか
ら、ベローズ１９が蒸気の熱によつて劣化されて
しまうようなおそれが全くない利点がある。

ところで、蒸気逃し路１０に異物等が付着する
などしてこの蒸気逃し路１０が詰つて閉塞された
場合、湯の沸騰時にタンク３内が蒸気により高圧
化する。しかしながら、タンク３の開口部に配置
する上蓋１５がピン１６により回動自在に支持さ
れているものであり、つまりねじ込み式のような
ものでなく、また上蓋１５が掛止機構４７により
掛止されているとはいえ、その掛止状態には僅か
な遊びがあるから、タンク３内の高圧化に伴い中
栓７および上蓋１５が上方に僅かに変位し、タン
ク３内の蒸気が注水口５と中栓７との間の間隙お
よび中栓７と上蓋１５との間の間隙を通して流出
し、したがつてタンク３の破裂というような危険
を避けることができる。また、タンク３内の水温
を検して加熱ヒータ８への通断電を行なう検知用
サーモスタツトが短絡等の事故を起した場合に、
加熱ヒータ８が通電された状態のままで湯の沸騰
が継続し、タンク３内が蒸気により高圧化する
が、このような場合にも同様に蒸気を逃がしてタ
ンク３の破裂を防止することができる。

［発明の効果］ 以上説明したようにこの発明によれば、蒸気逃
し路に異物が付着するなどしてそれが詰つたり、
或いは検知用サーモスタツトが事故を起すような
ことがあつても、タンクが破裂するような危険に
までは至ることがなく、またまたタンク内の蒸気
をベローズを通らない蒸気逃し路を通して蒸気孔
からポツトの外部に流出させるようにしたから、
ベローズの熱的劣化を防止してその耐久性を向上
させることができるという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例を示す動作前の断
面図、第２図は同じく動作中の要部の断面図であ
る。 ３…タンク、１０…蒸気逃し路、１５…上蓋。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 貯湯用のタンクを収納したケースの上端に、
   一端を支点にして回動する回動自在構造の上蓋を
   設け、この上蓋内に上記タンク内の湯の加圧用の
   ベローズを設け、上記タンク内の蒸気を上記ベー
   ロズ内を通らない蒸気逃し路を通してポツトの外
   部に流出させる蒸気孔を、ポツトの一定位置に設
   けたことを特徴とするポツト。