JPH0140624B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 () 発明の背景 技術分野 本発明は容器を患者の注入部位よりも所要上方
に設置して容器内の薬液を重力作用により体内に
注入し一定時間経過後同容器を注入部位よりも下
方に設置して同薬液を重力作用により容器内に回
収する腹膜透析などの治療に好適使用され、その
他輸液や輸血などの治療にも使用される医療用液
体連通装置及びそれを備えた医療用液体容器に係
り、特に破断される前は容器内液体の流動を阻止
し、破断後は液体の往復流に支障をきたさない破
断部材を備えている医療用液体連通装置及びこれ
を備えた医療用液体容器に関する。

従来技術及びその問題点 腹膜透析治療に使用されている医療用液体容器
を第１図に示す。該液体容器１は内部に透析液が
収容され液出口１ａが突き破り可能な薄膜で閉じ
られている。しかして、該液体容器１内の透析液
は輸送チユーブ２の一端に設けられた突き刺し針
３を液出口１ａに突き刺すことにより輸送チユー
ブ２を通りさらに輸送チユーブ２と接続された図
示しない留置タイプカテーテルを通つて患者の腹
腔内に注入される。しかるに、液体容器１、輸送
チユーブ２及び突き刺し針３は包装袋に収容され
減菌処理され提供されるが使用に際してはそれぞ
れの包装袋を破り上述の如く接続するものである
ので、手速く突き刺しても空気中に浮遊する微生
物が液出口１ａと輸送チユーブ２の接続箇所より
進入することが皆無とは言えず、事実該接続箇所
より微生物が進入し輸送チユーブ２及び留置タイ
プカテーテルを通つて微生物に対する抵抗力が全
くない腹腔に入り繁殖して腹膜炎を併発している
と報告されている。そこで、従来において既に液
体容器１と輸送チユーブ２の接続箇所からの微生
物の侵入を防止する改善が種々なされている。か
かる改善は液体容器の液出口に輸送チユーブを一
体に接続して従来のように使用に際して接続して
いた箇所をなくしたものであり、そして液体容器
内に収容する透析液が流れ出ないようにするため
の密栓を設けたものである。該密栓については
種々の手段がある。例えば液体容器の液出口ない
し輸送チユーブ内に通路を閉塞する突き破り可能
な膜を設け、使用時には該膜を輸送チユーブ内に
装着した突き刺し針を外部から突き刺し操作して
突き破る構造があり、また液体容器の液出口ない
し輸送チユーブ内に通路を閉塞するように球体を
強制的に嵌め入れておき使用時に該球体をチユー
ブをしごくようにして容器本体内に落し込んだ
り、輸送チユーブ内の拡径通路部分に移動する構
造がある。

次に密栓の役目を果すものとして破断部材を備
えている医療用液体容器を第２図に示す。該液体
容器は内部に液体が収容された容器本体４と、該
容器本体４と接続された輸送チユーブ５と、該輸
送チユーブ５内に設けられた密栓の役目を果して
おり破断された後はチユーブ内通路６を開通する
破断部材７とを備えてなる。輸送チユーブ５は径
の異なる２本のチユーブを継ぎ足してなる。すな
わち、容器本体４に接続され破断部材７を収容し
ている大径チユーブ５ａと、該大径チユーブ５ａ
に一端を接続され他端を留置タイプカテーテルも
しくは留置タイプカテーテルと接続された延長チ
ユーブに接続される小径チユーブ５ｂとからな
る。破断部材７は硬質または半硬質プラスチツク
スよりなる液流路７ａを有する大径な筒状部７ｂ
と、切離部７ｃを有する小径な凸状体７ｄとから
なる一体形状である。しかして透析治療に際して
は、大径チユーブ５ａを介して破断部材７の筒状
部７ｂと凸状体７ｄを両手で掴んで切り曲げれば
破断部材７は切離部７ｃより切離され液流路７ａ
が開通される。すると、切離された凸状体７ｄは
透析液とともに軸方向に流れようとするが該凸状
体７ｄの先端が小径チユーブ５ｂの内径より大き
いので第３図のように小径チユーブ５ｂの端面で
軸方向の移動が阻止される。そして該凸状体７ｄ
は大径チユーブ５ａの内径がさほど大きくないの
でチユーブ内で逆転することがなく小径チユーブ
５ｂの端部開口を合致して立つてしまい、該端部
開口が閉塞され流量が低下し、透析時間が多くか
かる不具合がある。この不具合を解消するには凸
状体７ｄの先端は第４図に示すように厚さｔが小
径チユーブ５ｂの内径の1~2より小さくかつ、幅
ｗが小型チユーブ５ｂの内径より大きい平板状に
形成されている。すなわち、切離された凸状体７
ｄの平板状先端が小径チユーブ５ｂの端部開口に
合致しても端部開口に隙間が残され該隙間により
液体の十分な流量の通過が確保され透析時間が無
駄に多く要することがないように工夫が施こされ
ている。しかしながら、このような工夫は透析液
を腹腔から排出して液体容器４内に回収する場合
すなわち前記の流体の流れとは逆向きに流れる場
合については考虜されていない。すなわち透析液
回収のため該液体容器４は床などの下位置に設置
されしかも透析液の流れが逆になり凸状体７ｄの
外径が大径チユーブ５ａの内径に対し1/2前後で
あるので第５図に示すように切離された凸状体７
ｄが切離部７ｃにぴつたり乗つてしまうか筒状部
７ｂの切離開口の半分以上を塞ぐように乗つてし
まうことが大径チユーブ５ａの凸状体７ｄに対応
する箇所を指で叩いても周囲空間が狭いので凸状
体７ｄが中央位置からチユーブ内面に接触する位
置に容易には移動しないことが多々あり透析液の
回収時間が注入時間よりはるかに多くかかるとい
う不具合を生じている。

() 発明の目的 本発明は上述した点に鑑み案出したもので、容
器本体と輸送チユーブを予め一体に接続して微生
物の侵入する恐れのある接続箇所をなくし輸送チ
ユーブ内に破断部材を密栓として設けてなる医療
用液体連通装置または医療用液体容器において、
液体の回収時に切離された凸状体が切離部を閉塞
する確率がきわめて低く、仮り閉塞しても外部か
ら指先などを輸送チユーブを軽く叩けば凸状体を
容易に移動できて上記閉塞を解くことができるよ
うにして液体の往復流を可能とした改良された破
断部材をを有してなる医療用液体連通装置及びそ
の装置を備えた医療用液体容器を提供することに
ある。

本願第一発明の医療用液体連通装置は、可撓性
のある輸送チユーブと、硬質プラスチツクスより
なり外周が該輸送チユーブ内面に液密固定され内
部にチユーブ軸方向に貫通した液流路がある筒状
部を有し該筒状部の一端に該液流路の一端を閉塞
して該筒状部外方に延伸する前記チユーブ内経よ
りも小径な凸状体を有し該凸状体の適宜位置に該
筒状部と該凸状体を切離して前記液流路の閉塞端
を開放しうる切離部を有する破断部材と、前記輸
送チユーブ内の該凸状体外方に設けられ切離後の
該凸状体のチユーブ軸方向への自由な移動を前記
筒状部からの所要長さの範囲内に阻止しうる阻止
部とを備えた医療用液体連通装置において、 前記筒状部の軸心が前記筒状部の軸心に対して
偏心して設けられていることを特徴とするもので
ある。

また、本願第二発明の医療用液体容器は、内部
に液体が収容された容器本体と、該容器本体に接
続され該容器本体内の液体収容部と連通する通路
を有する可撓性のある輸送チユーブと、硬質プラ
スチツクスよりなり外周が該輸送チユーブ内面に
液密固定され内部にチユーブ軸方向に貫通した液
流路がある筒状部を有し該筒状部の一端に該液流
路の一端を閉塞して該筒状部外方に延伸する前記
チユーブ内径よりも小径な凸状体を有し該凸状体
の適宜位置に該筒状部と該凸状体を切離して前記
液流路の閉塞端を開放しうる切離部を有する破断
部材と、前記輸送チユーブ内の該凸状体外方に設
けられ切離後の該凸状体のチユーブ軸方向への自
由な移動を前記筒状部から所要長さの範囲内にお
いて阻止しうる阻止部とを備えた医療用液体容器
において、前記凸状体の軸心が前記筒状部の軸心
に対して偏心して設けられていることを特徴とす
るものである。第一発明と第二発明との相違は容
器本体の有無にあり、第一発明は密栓型の破断部
材を有する輸送チユーブであり、第二発明は該輸
送チユーブと容器本体を一体接続したものであ
る。

したがつて、本願第一発明の医療用液体連通装
置及び第二発明の医療用液体容器は凸状体の軸心
が筒状部の軸心に対して偏心させることで切離さ
れた凸状体が液体回収時に切離開口にぴつたり合
致して乗る確率をきわめて低くし、またぴつたり
合致して乗ることがあつても凸状体に輸送チユー
ブの外方より軽く力を加えれば切離部より外れる
ように移動修正できるようにしたもので偏心度が
大きいほど良い。

また本発明は小さな力でも曲げモーメントが大
きく作用して凸状体を切離できるようにして取扱
いやすくするために、切離部は凸状体の筒状部と
の段部近傍にある実施態様及び凸状体の切離部は
薄肉状に形成されてなる実施態様とするのが良
い。

また本発明は凸状体の側方に該凸状体と輸送チ
ユーブで形成される隙間に切離された凸状体が収
容され切離開口を閉塞しないようにするために、
凸状体は該間隙より小さい外径である実施態様を
するのが良い。

また本発明は切離された凸状体が接離開口を閉
塞しないようにするために、破断部材は凸状体を
複数個有するものである実施態様とするのが良
い。

また本発明は切離された凸状体が切離開口に乗
りにくくし、また乗つても切離開口を完全に閉塞
しないようにするために、凸状体はその軸方向に
垂直な断面形状が三角形、多角形、星形、楕円形
などの扁平形状である実施態様とするのが良い。

また本発明は切離された凸状体がチユーブ内を
移動するのを阻止するために、チユーブは破断部
材を収容する部分が他のチユーブ部分より内径を
所要大きく形成され凸状部は他のチユーブ部分の
内径より大きい外径である実施態様として他のチ
ユーブ部分の端面を阻止部とするのが良い。

() 発明の具体的な説明 第６図は、本願第一発明の医療用液体連通装置
と第二発明の医療用液体容器に共通する実施例を
示す。医療用液体連通装置は容器本体４を発明構
成要件として含まず、医療用液体容器は含んでい
る。該容器本体４は内部に液体が収容されてい
る。該容器本体４に接続されている輸送チユーブ
５は可撓性を有し該容器本体４内の液体収容部４
ａと連通する通路６を有している。符合７は破断
部材であり、硬質プラスチツクスよりなり外周が
該輸送チユーブ内面に全周密着して接着剤もしく
は高周波融着により液密固定され内部にチユーブ
軸方向に液流路７ａがある筒状部７ｂを有し該筒
状部７ｂの一端に該液流路７ａの一端を閉塞して
該筒状部７ｂ外方に延伸する前記チユーブ内径よ
りも小径な凸状体７ｄを有し該凸状体７ｄの筒状
部寄り近傍に該筒状部７ｂと該凸状体７ｄを切離
して前記液流路の閉塞端を開放しうる薄肉状に形
成してなる。前記容器本体４はプラスチツクスか
らなり好ましくは携帯性を持たせるとともに容器
内薬液量を観察できるようにするために薬液と化
学反応を起し難い生物学的安全性の高い可撓性の
ある透明もしくは半透明プラスチツクスからなり
丸めて畳みうる平面的袋状とするのが良い。前記
輸送チユーブ５はシリコーンゴム又は塩化ビニ
ル、ポリエチレン、エチレンビニルアセテート等
の可撓性のある透明もしくは半透明プラスチツク
スからなる。そして、前記輸送チユーブ５は容器
本体４に小径チユーブ５Ｃを介して接続され破断
部材７を収容する大径チユーブ５ａと、該大径チ
ユーブ５ａの他端に嵌入するように液密接続され
液流路６を画成している内径が前記破断部材７の
凸状体７ｄの外径よりも小さくその端面を切離後
の凸状体７ｄがチユーブ軸方向に移動するのを阻
止する阻止部としている小径チユーブ５ｂとから
なる継足し構成である。そして、破断部材７の凸
状体７ｄの先端は第７図ａ，ｂに示すようにマイ
ナスドライバーの先端形状またはプラスドライバ
の先端形状に似た形状、あるいは第７図ｃに示す
ように先端から側面に至り小孔が開いた形状に形
成されている。

本発明はここまでの構成については第２図に示
す従来品と特に変るものではない。以下に本発明
が従来品と異なつている点について言及する。凸
状体７ｄの軸心が筒状部７ｂの軸心に対して偏心
しており、凸状体７ｄは該凸状体７ｄの側方に該
凸状体７ｄと輸送チユーブ５ａとで形成される間
隙の最長部分長さＳよりも小さい外径D〓となつ
ている。すなわち凸状体７ｄの外径は筒状部７ｂ
の外径の1/2よりも小さくなつている。

次に上述した構成の医療用液体容器の作用を説
明する。

容器本体４内に収容された液体を腹膜などに注
入するには輸送チユーブを復腔に埋込まれたカテ
ーテルまたは該カテーテルと接続した延長チユー
ブと接続し容器本体４を上方に設置してから破断
部材７を切離部７ｃから凸状体７ｄを切離すれば
良い。この場合、切離部７ｃが凸状体７ｄの筒状
部７ｂ近傍にあると小さい力を大径チユーブ５ａ
の外側から凸状体７ｄ先端に加えるだけで大きな
曲げモーメントが作用して容易に切離できる。凸
状体７ｄが切離されると液通路７ａの閉側端が開
口され、容器本体４内に収容された液体が輸送チ
ユーブ５を通り図示しない留置タイプカテーテル
を通つて腹腔内に注入される。この液体の注入に
際しては上述のように容器本体４を患者の腹腔よ
りも上方に設置するものであるから、切離された
凸状部７ｄは小径チユーブ５ｂの端部に当接し第
８図のように多々として端部開口に位置すること
があるが、凸状部７ｄの先端は第７図ａ，ｂ，ｃ
のような先端形状となつているので小径チユーブ
５ｂの端部開口が閉塞されず予定された流量の液
体が小径チユーブ５ｂを通り腹腔内に流入するこ
とになり注入時間が所定時間より余分に長くかか
ることはない。また腹腔内に注入された液体を回
収する場合には容器本体４を床などの下方位置に
設置し留置タイプカテーテルもしくはチユーブを
閉塞しているクランプを弛めれば良い。この場合
は、第９図に示すように筒状部７ｂが切離された
凸状体７ｄに対して下方にくることになり、切離
された凸状体７ｄは小型チユーブ５ｂの端部開口
より離れ筒状部７ｂの偏心位置にある切離開口上
には乗りにくく殆んどの場合切離開口の側方に来
て筒状部７ｂの端面に当接収容される。万一、切
離された凸状体７ｄが筒状部７ｂの切離開口に乗
ることがあつてもぴつたり一致して乗ることはな
く大径チユーブ５ａの凸状体７ｄに対応する位置
を指などで軽く叩けば切離開口よりずれ落ちる。
したがつて腹腔より留置タイプカテーテルを通し
て排出される液体は輸送チユーブ５及び筒状部７
ｂの液流路７ａを通り容器本体４内に回収され
る。しかして液体回収時の流量は液体注入時の流
量と変ることがない。

() 本発明の変形例 第１０図に示すように凸状体７ｄの外径が筒状
部７ｂの外径の1/2よりも小さいが切離前の凸状
体の側方に該凸状体７ｄと大径チユーブ５ａとで
形成される最大隙間より大きくなるように偏心度
が小さい破断部材を備えたものでも良い。したが
つて切離された凸状体７ｄは筒状部７ｂの切離開
口に乗ることがあるが凸状体７ｄが筒状部７ｂに
対して偏心しているので切離開口を完全に閉じる
ように乗る確率が低くなり、取扱い者が凸状体７
ｄを切離開口からずらす操作を必要とするのがき
わめてまれとなる。また第１１図に示すように凸
状体７ｄの外径が筒状部７ｂの外径の1/2以上で
あり凸状体７ｄの軸心が筒状部７ｄの軸心に対し
て偏心している破断部材を備えたものでも良い。
この場合は液体回収時は切離された凸状体７ｄが
筒状部７ｂ上に乗る確率が第１０図の場合より高
いものの第２図の場合に比べてきわめて低くな
る。第１０図の場合も第１１図の場合も、もしも
凸状体７ｄが切離開口を塞いで位置するときは大
径チユーブ５ａの凸状体７ｄに対応する位置を指
などで軽く叩けば大径チユーブ内空間がさほど大
きくなくも凸状体７ｄが筒状部７ｂに対して偏心
しているので筒状部７ｂの切離開口より容易にず
れる。第１０図及び第１１図の場合に限定するも
のではないが、特にこれらの場合は偏心した位置
にある凸状体７ｄをさらにその軸方向に垂直な断
面を第１２図ａ，ｂ，ｃ，ｄにそれぞれ示すよう
に多角形、三角形、星形、楕円形などの扁平形状
に形成した変形例とするのが良い。かような扁平
形状にすると、偏心しただけの場合よりも液体回
収時に切離された凸状体７ｄが筒状部７ｂの切離
開口に一層乗りにくくなり万一乗つても切離開口
を閉塞することはなく凸状体７ｄを外方から移動
が一層しやすくなり凸状体７ｄが切離開口を閉塞
しないように側方に位置しやすく液体回収時の流
量と液体注入時の流量とが変ることはない。

また第１３図に示すように、凸状体７ｄが１個
でなく複数個有る破断部材７を備えたものでも良
い。凸状体７ｄが複数個有る場合には凸状体７ｄ
の外径が小径チユーブ５ｂの内径よりも小さくな
るので凸状体７ｄの先端を第１４図のように平た
い末広がり形状として小径チユーブ５ｂの通路に
侵入しないようにする。しかして、切離された凸
状体７ｄ，７ｄは液体注入時には小径チユーブ５
ｂの端部開口を閉塞することはないのは勿論のこ
と、第１５図に示すように液体回収時にも複数個
の凸状体７ｄ，７ｄがそれぞれ不規則に倒れて互
いに干渉しあつて筒状部７ｂの複数個の切離開口
のうち１個を閉塞することがあつても２個同時に
閉塞することがない。

第１６図に示すように輸送チユーブ５が大径チ
ユーブと小径チユーブとで接続してなるものでな
く一体の同径チユーブよりなるもので、多孔状の
ピース状阻止部８を破断部材７の凸状体７ｄに対
向して備え、さらに凸状体７ｄの先端を特に平た
くしたりせず丸棒状としたものでも良い。この例
で分かるように本発明の医療用液体容器は容器本
体と輸送チユーブと破断部材を備えてなるが、輸
送チユーブは大径チユーブと小径チユーブを継ぎ
足してなるものに限定されるものでなく、また破
断部材は凸状体の先端を扁平にしたものに限定さ
れるものでなく、また切離された凸状体を阻止す
る阻止部をチユーブ内に固定するピース状部材と
しても良い。

第１７図に示すように、容器本体４に接続した
小径チユーブ５ｂに凸状体７ｄが偏心している破
断部材７を収容した大径チユーブ５ａが接続さ
れ、凸状体７ｄが小径チユーブ５ｂに対向してい
る構成でも良い。この例によれば、破断部材７を
切離部から切離すると、切離された凸状体７ｄが
筒状部７ｂの切離開口の側方にきて該切離開口が
閉塞される恐れがなく液体注入が無駄に時間を要
さずに行なわれ、また液体回収時には凸状体７ｄ
が小径チユーブ５ｂの端面に当接し端部開口を閉
塞する恐れがない。

また第１８図に示すように、筒状部７ｂの内部
の偏心した位置に凸状体７ｄの外径よりも小さい
内径をした液流路７ａがあり、凸状体７ｄには流
路７ａが及んでおらず、凸状体７ｄの付根に切り
込みを設けてなる切離部７ｃであり、凸状体７ｄ
を切離して液体回収時に凸状体７ｄが筒状部７ｂ
の切離開口を閉塞しないようにするために筒状部
７ｂの端面に凸状体７ｄを側方に偏寄らせる傾斜
面７ｅがある構成でも良い。

() 効果 以上説明してきたように本願第一発明の医療用
液体連通装置と第二発明の医療用液体容器は、い
ずれも輸送チユーブ内に、使用前は密栓の役目を
果しかつ使用に際して切離することにより密栓状
態を解く役目を果す液流路を有する筒状部と液流
路の一端を閉塞し切離部を有する凸状体との一体
形状である破断部材を備え、さらに切離後の凸状
体の自由な軸方向の移動を阻止する阻止部を備え
てなる構成のものにおいて、凸状体の軸心を筒状
部の軸心に対して所要偏心させた構成である。

本発明によれば、切離された凸状体が液体回収
時（または破断部材の取付方向が逆の場合は液体
注入時）に筒状部の切離開口を完全に閉じてしま
う確率がきわめて低く、取扱い者が凸状体を外部
よりずらす操作の必要がまれとなり、また完全に
閉じてしまつても輸送チユーブの切離された凸状
体に対応する箇所を指などが軽く叩くだけで切離
された凸状体を筒状部の切離開口からずらすこと
が容易でありしたがつて閉塞を解くことが容易で
あり、もつて液体注入時と液体回収時の時間に大
きな差を生じない。これに対し、第２図に示す従
来品によれば液体回収時に切離された凸状体が筒
状部の切離開口を閉塞してしまう確率が高く、指
などで輸送チユーブの凸状体に対応する箇所を叩
いても閉塞を解くことが容易にできるものでな
く、閉塞を解けないでいると液体回収に無駄な多
くの時間を要することとなつている。

本発明によれば、液体を体内に注入するだけで
回収する必要のない輸液や輸血などの治療にも使
用できるが、特に液体を体内に注入し、一定時間
後同液体を回収する腹膜透析、中でも持続的可動
性腹膜透析に好適に使用できる。

また本発明の実施態様として、切離部は凸状体
の筒状部との段部近傍にある場合は、一定の曲げ
力で切離可能であることから従来のように凸状体
の中程に切離部を設けた場合に比して凸状体を短
かくすることができ、破断部材を輸送チユーブ内
に強制的に挿入収容する構成のものでは凸状体の
先端が輸送チユーブ内面に当つて該凸状体が切離
部より切離してしまうという製品むらを解消でき
る。また本発明の実施態様として、切離部は薄肉
状に形成してなる場合は、該切離部を破断部材の
成形時に同時形成できる。

また本発明の実施態様として、凸状体の側方に
該凸状体外径より大きい隙間が確保されるように
該凸状体の外径及び偏心度を決定した場合には液
体回収時または液体注入時に切離された凸状体が
上記隙間に収容されうるので筒状体の切離開口に
閉塞する確率が一層低くなり、仮に閉塞した場合
にも凸状体を切離開口からずらすことが一層容易
となる。

また本発明の実施態様として、凸状体を複数個
有している破断部材を備えた場合には、切離され
た複数個の凸状体が個々の偏心位置に配列状態に
なることがないので１個の凸状体が筒状体に開口
した複数個の切離開口のうち１個を閉塞すること
があつても他の切離開口を閉塞することがなく液
体注入時間と液体回収時間に差が生じない。

また本発明の実施態様として、凸状体の軸方向
に垂直な断面形状が三角形、多角形、星形、楕形
円形などの扁平形状である場合には、凸状体を偏
心したことを相俟つて切離された凸状体が筒状部
の切離開口を閉塞するように乗る確率が殆んど０
に近くなり、指などで輸送チユーブの凸状体に対
応する箇所を叩いて該凸状体を移動することも必
要なくなる。

また本発明の実施態様として、チユーブは１本
ものでなく径の異なる２本を継ぎ足すものとし、
大径チユーブ内に凸状体が小径チユーブの端面に
対向し、かつ凸状体の先端が小径チユーブの内径
より大きい扁平形状とした場合には、切離された
凸状体が軸方向に自由に動くのを阻止するための
ピースを輸送チユーブ内の切離前の凸状体に対向
する位置に設ける必要がなく製造コストを低減で
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は輸送チユーブとは一体に接続されてお
らず輸送チユーブに備えた突き刺し針を液出口に
突き刺して液体を供給できる従来の医療用容器の
正面図、第２図は内部の密栓の役目を果す破断部
材を収容した輸送チユーブが一体に接続された従
来の医療用液体容器の一部縦断面した正面図、第
３図は第２図の医療用液体容器が液体注入状態で
あるときの要部縦断面図、第４図は第２図の医療
用液体容器に使用されている破断部材の斜視図、
第５図は第２図の医療用液体容器が液体回収状態
にあるときの要部縦断面図、第６図は本発明の実
施例にかかる医療用液体容器の一部縦断面した正
面図、第７図ａ，ｂ，ｃはそれぞれ本発明にかか
る破断部材の斜視図、第８図は第６図の医療用液
体容器が液体注入状態にあるときの要部縦断正面
図、第９図は第６図の医療用液体容器が液体回収
状態にあるときの要部縦断正面図、第１０図ない
し第１８図は本発明の医療用液体容器の変形例に
かかるものであつて、第１０図、第１１図、第１
３図、第１５図、第１６図及び第１８図はそれぞ
れ異なる変形例の要部縦断正面図、第１２図ａ，
ｂ，ｃ，ｄはそれぞれ異なる変形例の要部横断面
図、第１４図は凸状体先端形状の斜視図、第１７
図は凸状体が容器本体に対向するように破断部材
を取付けた変形例の一部縦断面した正面図であ
る。 ４……容器本体、４ａ……液体収容部、５……
輸送チユーブ（５ａ……大径チユーブ、５ｂ……
小径チユーブ）、６……通路、７……破断部材、
７ａ……液流路、７ｂ……筒状部、７ｃ……切離
部、７ｄ……凸状体、５ｃ……阻止部（小径チユ
ーブ端面）、８……ピース状阻止部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 可撓性のある輸送チユーブと、硬質プラスチ
   ツクスよりなり外周が該輸送チユーブ内面に液密
   固定され内部にチユーブ軸方向に貫通した液流路
   がある筒状部を有し該筒状部の一端に該液流路の
   一端を閉塞して該筒状部外方に延伸する前記チユ
   ーブ内径よりも小径な凸状体を有し該凸状体の適
   宜位置に該筒状部と該筒状体を切離して前記液流
   路の閉塞端を開放しうる切離部を有する破断部材
   と、前記輸送チユーブ内の該凸状体外方に設けら
   れ切離後の該凸状体のチユーブ軸方向への自由な
   移動を前記筒状部から所要長さの範囲内に阻止し
   うる阻止部とを備えた医療用液体連通装置におい
   て、 前記凸状体の軸心が前記筒状部の軸心に対して
   偏心して設けられていることを特徴とする医療用
   液体連通装置。 ２ 切離部は凸状体と筒状体との段部近傍にある
   特許請求の範囲第１項記載の医療用液体連通装
   置。 ３ 凸状体の切離部は薄肉状に形成されてなる特
   許請求の範囲第１項または第２項に記載の医療用
   液体連通装置。 ４ 凸状体は該凸状体の側方に該凸状体と輸送チ
   ユーブとで形成される間隙よりも小さい外径を有
   する特許請求の範囲第１項、第２項または第３項
   記載の医療用液体連通装置。 ５ 破断部材は凸状体を複数個有するものである
   特許請求の範囲第１項、第２項または第４項記載
   の医療用液体連通装置。 ６ 凸状体はその軸方向に垂直な断面形状が三角
   形、多角形、星形、楕円形などの偏平形状である
   特許請求の範囲第１項、第２項、第３項または第
   ５項記載の医療用液体連通装置。 ７ チユーブは破断部材を収容する部分が他のチ
   ユーブ部分より内径を所要大きく形成され、凸状
   体は該他のチユーブ部分の内径より大きい外径で
   ある特許請求の範囲第１項、第２項、第３項、第
   ４項、第５項または第６項記載の医療用液体連通
   装置。 ８ 内部に液体が収容された容器本体と、該容器
   本体に接続された該容器本体内の液体収容部と連
   通する通路を有する可撓性のある輸送チユーブ
   と、硬質プラスチツクスよりなり外周が該輸送チ
   ユーブ内面に液密固定され内部にチユーブ軸方向
   に貫通した液流路がある筒状部を有し該筒状部の
   一端に該液流路の一端を閉塞して該筒状部外方に
   延伸する前記チユーブ内径よりも小径な凸状体を
   有し該凸状体の適宜位置に該筒状部と該筒状体を
   切離して前記液流路の閉塞端を開放しうる切離部
   を有する破断部材と、前記輸送チユーブ内の該凸
   状体外方に設けられ切離後の該凸状体のチユーブ
   軸方向への自由な移動を前記筒状部から所要長さ
   の範囲内に阻止しうる阻止部とを備えた医療用液
   体連通装置において、 前記凸状体の軸心が前記筒状部の軸心に対して
   偏心して設けられていることを特徴とする医療用
   液体容器。 ９ 切離部は凸状体と筒状部との段部近傍にある
   特許請求の範囲第８項記載の医療用液体容器。 １０ 凸状体の切離部は薄肉状に形成されてなる
   特許請求の範囲第８項または第９項に記載の医療
   用液体容器。 １１ 凸状体は該凸状体の側方に該凸状体と輸送
   チユーブとで形成される間隙よりも小さい外径を
   有する特許請求の範囲第８項、第９項または第１
   ０項記載の医療用液体容器。 １２ 破断部材は凸状体を複数個有するものであ
   る特許請求の範囲第８項、第９項または第１１項
   記載の医療用液体容器。 １３ 凸状体はその軸方向に垂直な断面形状が三
   角形、多角形、星形、楕円形などの偏平形状であ
   る特許請求の範囲第８項、第９項、第１０項また
   は第１２項記載の医療用液体容器。 １４ チユーブは破断部材を収容する部分が他の
   チユーブ部分より内径を所要大きく形成され、凸
   状体は該他のチユーブ部分の内径より大きい外径
   である特許請求の範囲第８項、第９項、第１０
   項、第１１項、第１２項または第１３項記載の医
   療用液体容器。