JPH0140409Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、走行機体に単動式油圧シリンダを介
して駆動昇降自在に苗植付装置を連結し、前記苗
植付装置に、その植付泥面に対するレベルを検出
するための接地センサーを昇降自在に設けると共
に、前記センサーと前記油圧シリンダに対するコ
ントロールバルブのスプールを連動連結し、前記
センサーの前記苗植付装置に対する昇降変位に基
き、前記センサーを前記苗植付装置に対して設定
高さ範囲内に維持させるように前記バルブを自動
的に操作する昇降制御機構を設けると共に、前記
スプールに対して、中立位置から上昇操作位置へ
強制操作自在に操作レバーを連係させた田植機に
関する。

上記田植機において苗植付装置を昇降させる
に、従来では、スプールを油圧ロツクのための中
立状態から一方へ操作するに伴つて上昇操作さ
れ、そして、中立状態から上述上昇操作側とは反
対側への操作に伴つて下降操作されるように横成
されており、植付作業状態で昇降制御する場合
に、下降状態から上昇状態あるいは上昇状態から
下降状態に切換えられる際に、そのたびごとに本
来的な中立状態を越えなければならず、応答性が
悪くて制御動作に遅れを生じやすく、微小な凹凸
には追随できない欠点があつた。

本考案は、上記の点に鑑み、微小な凹凸にも良
好に追随して昇降制御を精度良く行えるようにす
ると共に、そのための構成を有効利用して、枕地
での回向等のために強制上昇された苗植付装置を
下降できるものでありながらバルブをコンパクト
に構成できるように、かつ、苗植付装置の昇降に
付随する操作を良好に行えるようにすることを目
的とする。

次に、本考案実施の態様を例示図に基いて詳述
する。

前後に車輪１…を軸架すると共に操縦部２を配
設した走行車体の後部に、リンク機構３と単動式
油圧シリンダ４を介して駆動昇降自在に苗植付装
置５を連動連結し、乗用田植機を構成してある。

前記苗植付装置５の下部に配置された左右一対
の整地フロート６，６を一体的に昇降自在に設
け、前記苗植付装置５に対する昇降変位に基いて
植付泥面に対する苗植付装置５のレベルを検出す
る接地センサーに兼用構成してあり、そして、そ
のセンサーフロート６，６の後端側を枢支するブ
ラケツト７，７から延設したレバー部分７ａと、
前記シリンダ４に対するコントロールバルブＶの
スプール８とを、スプール８に連設したピン９に
係合する操作アーム１０、操作アーム１０を連設
した回転軸１１、及び、回転軸１１に連結するワ
イヤ１２から成る機械式連動機構１３を介して連
動連結してあり、もつて、前記センサーフロート
６の苗植付装置５に対する昇降変位に基き、前記
コントロールバルブＶを自動的に操作して前記セ
ンサーフロート６を苗植付装置５に対して設定範
囲内に維持させるように、即ち、苗植付装置５の
植付泥面に対するレベルを設定範囲内に維持させ
るように昇降制御機構１４を構成してある。

前記回転軸１１に、前記ピン９に対する接当に
よつて苗植付装置５を駆動上昇させる側にのみ強
制操作自在なアーム１５を連設した筒状部材１６
を外嵌すると共にその筒状部材１６に入為操作レ
バー１７を連動連結してスプール８にレバー１７
を連係させ、田圃での方向転換のための旋回時と
か、路上走行時に、前記制御機構１４の作動いか
んにかかわらず、苗植付装置５を強制的に駆動上
昇させられるように構成してある。

前記操作レバー１７は、上昇操作位置Ｕから自
動制御位置Ａを通る状態で中立位置Ｎにわたり可
逆的に揺動操作自在に設けられ、苗植付装置５を
対地浮上させた上昇状態から下降操作するに際
し、レバー１７を中立位置Ｎから自動制御位置Ａ
に操作することにより、制御機構１４を利用して
センサーフロート６の下降側付勢力によりスプー
ル８を自動操作するように構成してあり、そし
て、センサーフロート６が接地した作業走行状態
では、前記レバー１７を自動制御位置Ａに操作し
ておくことにより前記制御機構１４による昇降制
御動作を許容するように構成してある。

前記アーム１５は板状に構成され、かつ、アー
ム１５に、上昇操作のためにピン９に接当する第
１突出部１５ａに対して所定間隔へだてた状態
で、上昇側とは反対側に操作レバー１７を揺動さ
せた時に前記ピン９に接当して中立位置Ｎに強制
的に操作する第２突出部１５ｂを連設し、そし
て、アーム１５の板面所定箇所に第１凹部１８ａ
と第２凹部１８ｂを穿設形成し、他方、ケース１
９側に、前記凹部１８ａ，１８ｂに択一的に嵌入
させるためのボール２０を、圧縮スプリング２１
を介して嵌入側に付勢する状態で設け、第１凹部
１８ａにボール２０を嵌入させて、ピン９の第１
突出部１５ａへの接当により、スプール８の中立
位置Ｎへの変位を阻止し、対地浮上した苗植付装
置５の下降操作並びに植付作業時の昇降制御を行
わせる状態に維持させ、他方、第２凹部１８ｂに
ボール２０を嵌入させてピン９の第２突出部１５
ｂへの接当によりスプール８を中立位置Ｎに維持
させ、苗植付装置５を対地浮上させた状態で、機
体振動等に起因するセンサーフロート６の不測の
変位に起因するスプール８の変位を阻止し、油圧
ロツクを確実良好に行わせるように構成してあ
る。

前記コントロールバルブＶのスプール８には、
第４図に示すように、ピン９取付側端部に、シリ
ンダ側ポートａに対し、タンクポートｂとの連通
を断つてポンプポートｃのみを連通させる上昇操
作用の第１ランド２２が形成され、他方、他端側
に、シリンダ側ポートａに対し、タンクポートｂ
及びポンプポートｃのいずれとも連通させない中
立用の第２ランド２３が形成され、かつ、両ラン
ド２２，２３間で第２ランド２３に連ねて、前記
シリンダ側ポートａ、タンクポートｂ及びポンプ
ポートｃのいずれをも互いに連通させ、圧力バラ
ンスによりシリンダ４に圧油を給排させるための
アンダーラツプ２４が形成されている。

前記操作レバー１７に対する案内溝２５に、第
６図に示すように、前記スプール８を中立位置Ｎ
と上昇操作位置Ｕにわたつて強制操作する直線の
操作経路Ｒを設けると共に、その操作経路Ｒから
外れ、上昇操作位置Ｕ側にのみ直線的に連なる位
置に、前記アンダーラツプ部２４により圧油給排
を行わせる位置から中立位置Ｎへの前記スプール
８の変位を阻止する係止部２６を設けてある。

上記構成により、枕地での回向とは路上走行に
際しては、操作レバー１７を上昇操作位置Ｕに操
作することにより、苗植付装置５を強制上昇操作
でき、所定高さまで上昇した状態で中立位置Ｎに
操作することにより、前述のボール２０の第２凹
部１８ｂへの嵌入により、油圧ロツク状態を維持
させ（尚、路上走行時には機械的なロツク手段も
併用される。）、そして、回向終了後等、強制上昇
された苗植付装置５を下降操作する場合には、操
作レバー１７を係止部２６に操作すると共に、前
記ボール２０の第１凹部１８ａへの嵌入によりそ
の状態を維持し、制御機構１４を利用して、セン
サーフロート６の下降変位に伴うスプール８に対
する下降操作により、苗植付装置５が接地するま
で自ずと下降させ、かつ、接地後においては、第
７図に示すように、自ずとアンダーラツプ部２４
により昇降制御機構１４が作動し、圧力バランス
とセンサーフロート６の苗植付装置５に対する昇
降変位との協働によつて、シリンダ４に圧油を供
給する状態とシリンダ４から排油される状態とが
繰り返して現出され、植付泥面の微小なレベル変
化にも良好に追随させられるように構成してあ
る。

前記操作レバー１７に、第８図に示すように、
枢支軸芯の両側に突出する状態でアーム２７を連
設すると共に、アーム２７の両端夫々にリンク２
８，２８を連結し、そのリンク２８，２８の端部
に、入り側付勢の植付クラツチ２９に連結された
レリーズワイヤ３０を、長孔３１，３１を介して
連結してあり、操作レバー１７を上昇操作位置Ｕ
及び中立位置Ｎに操作した状態では、両リンク２
８，２８のいずれか一方を介してワイヤ３０を引
つ張り操作し、植付クラツチ２９を自動的に切り
操作し、そして、自動制御位置Ａに操作した状態
では、ワイヤ３０が引つ張り操作されず、植付ク
ラツチ２９を入り状態に維持させるように構成し
てある。

尚、上記実施例では、苗植付装置５の植付泥面
に対するレベルを検出するのに整地フロート６で
兼用構成しているが、例えば、専用のフロートあ
るいは橇状体を設けても良く、それらをして接地
センサー６と総称する。

以上要するに、本考案は、冒記した田植機にお
いて、前記スプール８に対し、一端側に前記油圧
シリンダ４への給油のみを許す上昇操作用の第１
ランド２２を、他端側に前記シリンダ４への圧油
の給排を阻止する中立用の第２ランド２３を、か
つ、前記第１ランド２２と第２ランド２３の中間
において、圧力バランスにより、前記シリンダ４
に圧油を供給する状態と前記シリンダ４から排油
される状態とを繰り返し現出させるためのアンダ
ーラツプ部２４を夫々形成し、前記スプール８を
中立位置Ｎと上昇操作位置Ｕにわたつて強制操作
自在に前記操作レバー１７を連係すると共に、そ
の操作レバー１７と前記苗植付装置５に対する植
付クラツチ２９とを、前記スプール８を前記アン
ダーラツプ部２４により圧油給排を行わせる位置
に維持させるように操作した状態でのみ前記植付
クラツチ２９を入り状態にするように連係してあ
る事を特徴とする。

つまりアンダーラツプ部２４を形成することに
より、圧力バランスで、スプール８の微小な変位
に対して、シリンダ４への給油状態、即ち、苗植
付装置５の上昇状態と、シリンダ４からの排油状
態、即ち、苗植付装置５の下降状態とが得られる
から、従来のように昇降を繰り返すたびに油圧ロ
ツクの中立位置を越えるといつた事が回避でき、
微小な凹凸にも良好に追随して昇降制御を精度良
く良好に行えるようになつた。

しかも、枕地での回向等、苗植付装置４を強制
上昇させ対地浮上した状態では、アンダーラツプ
部２４で圧油を給排することにより、センサー６
において、苗植付装置５のレベルが高くそれを下
降させる側に制御機構１４を自ずと作動する事に
着目し、それを利用して苗植付装置５の下降を行
わせるのみならず、そのアンダーラツプ部２４
を、スプール８の第１ランド２２と第２ランド２
３との中間に形成するから、従来、第２ランド２
３に対し、第１ランド２２とは反対側に形成して
いた下降用のランドを不要にでき、スプール８を
短くしてバルブＶをコンパクトにできるようにな
つた。

又、スプール８を中立状態に操作するに、スプ
ール８を一方の操作限度に摺動させさえすれば良
く、苗植付装置５を対地浮上させた状態で油圧ロ
ツクする場合の操作を極めて容易に行えるように
なつた。

しかも、操作レバー１７と植付クラツチ２９と
を連係して、植付作業状態でのみ植付クラツチ２
９が入り操作され、苗植付装置５を強制上昇操作
させる場合や、上昇状態での固定のために中立位
置Ｎに操作する場合には自ずと植付クラツチ２９
を切るから、例えば、枕地での回向のように、苗
植付装置５の昇降のみならず、マーカの作用姿勢
と非作用姿勢への切換操作や操向操作並びに植付
クラツチ２９の入切り操作という多数の操作を要
する時に、上記植付クラツチ２９の入切り操作を
不用にでき、苗植付装置５の昇降に付随する操作
を簡略化でき、上述のような枕地での回向操作を
容易に行えて作業者の疲労を軽減できるようにな
つた。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る田植機の実施の態様を例示
し、第１図は全体側面図、第２図は要部の斜視
図、第３図はバルブの一部切欠側面図、第４図は
バルブの一部切欠平面図、第５図は第３図の−
線断面図、第６図は案内溝の平面図、第７図は
自動制御状態の第４図の要部の概略平面図、第８
図は第６図の−線矢視図である。 ４……シリンダ、５……苗植付装置、６……セ
ンサー、８……スプール、１４……昇降制御機
構、１７……操作レバー、２２……第１ランド、
２３……第２ランド、２４……アンダーラツプ
部、２９……植付クラツチ、Ｕ……上昇操作位
置、Ｎ……中立位置、Ｖ……コントロールバル
ブ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 走行機体に単動式油圧シリンダ４を介して駆動
   昇降自在に苗植付装置５を連結し、前記苗植付装
   置５に、その植付泥面に対するレベルを検出する
   ための接地センサー６を昇降自在に設けると共
   に、前記センサー６と前記油圧シリンダ４に対す
   るコントロールバルブＶのスプール８を連動連結
   し、前記センサー６の前記苗植付装置５に対する
   昇降変位に基き、前記センサー６を前記苗植付装
   置５に対して設定高さ範囲内に維持させるように
   前記バルブＶを自動的に操作する昇降制御機構１
   ４を設けると共に、前記スプール８に対して、中
   立位置から上昇操作位置へ強制操作自在に操作レ
   バー１７を連係させた田植機であつて、前記スプ
   ール８に対し、一端側に前記油圧シリンダ４への
   給油のみを許す上昇操作用の第１ランド２２を、
   他端側に前記シリンダ４への圧油の給排を阻止す
   る中立用の第２ランド２３を、かつ、前記第１ラ
   ンド２２と第２ランド２３の中間において、圧力
   バランスにより、前記シリンダ４に圧油を供給す
   る状態と前記シリンダ４から排油される状態とを
   繰り返し現出させるためのアンダーラツプ部２４
   を夫々形成し、前記スプール８を中立位置Ｎと上
   昇操作位置Ｕにわたつて強制操作自在に前記操作
   レバー１７を連係すると共に、その操作レバー１
   ７と前記苗植付装置５に対する植付クラツチ２９
   とを、前記スプール８を前記アンダーラツプ部２
   ４により圧油給排を行わせる位置に維持させるよ
   うに操作した状態でのみ前記植付クラツチ２９を
   入り状態にするように連係してある事を特徴とす
   る田植機。