JPH0134551Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、往復ガソリンエンジンの如く回転角
速度が間欠的に大きく変動する回転機器の回転軸
によりローターを回転させて発電を行なう発電機
装置に関するものである。

従来技術および解決しようとする課題 往復ガソリンエンジン、特に自動二輪車に搭載
されるガソリンエンジンでは、気筒数が少ないた
め、燃焼室内の混合気が点火されて爆発した瞬間
にクランク軸に大きなトルクが加えられ、回転角
速度が間欠的に著しく変動する。

そして自動二輪車発電機では、ローターをクラ
ンク軸に直結させるタイプが一般的であるが、例
えば磁鋼が、フライホイール効果を兼ねアーマチ
ユアコイルの外側を回転するフライホイールマグ
ネツトの如き慣性質量の大きなローターをクラン
ク軸に固定した場合に、クランク軸の回転むらと
ローターの慣性によつてクランク軸に大きな捩り
モーメントが作用し、これに耐えるようにクラン
ク軸が太くなつて軽量化の阻害原因となり、また
発電機の発電特性にも好ましくない影響を及ぼす
ことになる。

課題を解決するための手段および作用 本考案はこのような不具合を解決した発電機装
置の改良に係り、回転軸によりローターを回転さ
せて発電を行う発電機装置において、前記回転軸
に一体的にフランジが嵌着され、該フランジにそ
の周方向に亘り間隔を存して外側面にて周方向に
指向した第１弾発部材収納凹部が複数個設けら
れ、前記フランジに近接支持されるローターフラ
ンジ部にその周方向に亘り間隔を存して該フラン
ジ近接面にて周方向に指向した第２弾発部材収納
凹部が複数個設けられ、ローターが前記フランジ
の外側面に近接されるとともに該フランジに一定
範囲内で相対的に回転自在に嵌合され、前記フラ
ンジの第１弾発部材収納凹部と前記ローターフラ
ンジ部の第２弾発部材収納凹部とで画成される空
間部に弾発部材が嵌装されたことを特徴とするも
のである。

本考案は前記したように構成されているので、
前記回転軸に回転むらが生じた場合に、前記ロー
ターは、前記フランジと一定範囲内で相対的な回
転が可能となり、前記回転むらは、前記フランジ
とローターフランジ部との両弾発部材収納凹部に
嵌装された弾発部材の弾性変形でもつて吸収され
る。

実施例 ACゼネレーター２は、クランク軸１の一端部
にローターボルト４で固定されたフランジ５と、
同フランジ５にスラストプレート７およびかしめ
ピン６によつて回転自在に保持されるとともに、
円筒部内周にマグネツト８ａを備えたローター８
と、同ローター８の内方に位置し、カバー３に保
持されたアーマチユア９およびアーマチユアコイ
ル９ａとで構成されている。

また、フランジ５の反ローター側に位置して、
クランク軸１上にドリブンスプロケツト１２が回
転自在に枢支され、同ドリブンスプロケツト１２
の軸筒部をインナー部材１２ａとするスタータ
ー・クラツチ１３のアウター部材１３ａが、かし
めピン６によつてフランジ５に固着されている。
そして、ドリブンスプロケツト１２は、チエーン
１１を介してスターター・モーター１０によつて
駆動回転され、逆にクランク軸１からはワンウエ
イクラツチであるスターター・クラツチ１３によ
つて駆動回転されないように構成されている（以
上、第１図参照）。

しかして、前記フランジ５には、後記ダンパー
スプリングＳを嵌挿するための複数の凹陥溝５
ａ、およびかしめピン６を挿通するための複数の
ピン孔５ｂが形成され、それぞれ同一円周上に配
列されている。一方、ローター８のフランジ部に
は、前記凹陥溝５ａに対応する複数の貫通長孔８
ｂ、およびかしめピン６を挿通するための複数の
ピン孔８ｃが形成され、それぞれ同一円周上に配
列されている（第２図参照）。

ローター８およびスターター・クラツチ１３の
アウター部材１３ａは、かしめピン６によつてフ
ランジ５に対して固定されるが、ピン孔８ｃが長
円形状に形成されているため、ローター８とフラ
ンジ５の相対回転は可能である。

また、フランジ５とローター８との取付関係に
よて凹陥溝５ａと貫通長孔８ｂとで画成された各
空間部に、ダンパースプリングＳが内装されてい
る（第２図、第３図参照）。

前記構成において、スターター・モーター１０
を始動すると、この回転はチエーン１１を介して
ドリブンスプロケツト１２に伝達され、一方向ク
ラツチであるスターター・クラツチ１３が接続状
態となり、アウター部材１３ａと一体のフランジ
５が回転し、クランク軸１が回転してエンジンが
始動される。フランジ５の回転は、ダンパースプ
リングＳを介してローター８へ伝達され、ACゼ
ネレータ２による発電が行なわれる。

しかして、二サイクル・エンジンでは、クラン
ク角θ＝2πを周期とするトルク変動があり、四
サイクル・エンジンでは、クランク角θ＝4πを
周期とするトルク変動があるため、通常ならばロ
ーター８の慣性力によつて、クランク軸１に、大
きな捩りモーメントが間欠的に作用するばすであ
るが、本実施例では、クランク軸１のトルクをダ
ンパースプリングＳによつてロータ８に伝達する
ように構成しているので、衝撃的に変化するトル
クがダンパースプリングＳによつて緩衝され、ク
ランク軸１に対する負荷が軽減される。しかも、
ダンパースプリングＳの作用によつて、ローター
８の回転むらが少なくなり、発電電圧の変動が低
減化される。

また、前記トルク変動に応じて、ローター８を
含むクランク軸系に捩り振動を生ずるが、フラン
ジ５とローター８間にダンパースプリングＳを介
挿することにより、クランク軸系のばね定数を小
さくし、その固有振動数を低く設定して、エンジ
ンの使用回転数範囲で共振を起さないようにする
ことが可能である。

なお、前記実施例におけるダンパースプリング
Ｓの代りに、ダンパーゴムを使用することも可能
である。

考案の効果 本考案では、前記したように前記回転軸の回転
角速度が間欠的に著しく変動して回転むらが生じ
ても、前記フランジとローターフランジ部との両
弾発部材収納凹部に嵌装された弾発部材の弾性変
形でもつて吸収されるため、クランク軸に作用す
る捩りモーメントが減少して、クランク軸の軽量
化が可能となり、前記ローターにも衝撃的な力が
緩和され、発電機の発電特性および耐久性が改善
される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係る発電機装置の
断面図、第２図はその要部分解斜視図、第３図は
ダンパースプリングの配設状態を示す断面図であ
る。 １……クランク軸、２……ACゼネレーター、
３……カバー、４……ローターボルト、５……フ
ランジ、６……かしめピン、７……スラストプレ
ート、８……ローター、８ａ……マグネツト、９
……アーマチユア、１０……スターター・モータ
ー、１１……チエーン、１２……ドリブンスプロ
ケツト、１２ａ……インナー部材、１３……スタ
ーター・クラツチ、１３ａ……アウター部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 回転軸によりローターを回転させて発電を行う
   発電機装置において、前記回転軸に一体的にフラ
   ンジが嵌着され、該フランジにその周方向に亘り
   間隔を存して側面にて周方向に指向した第１弾発
   部材収納凹部が複数個設けられ、前記フランジに
   近接支持されるローターフランジ部にその周方向
   に亘り間隔を存して該フランジ近接面にて周方向
   に指向した第２弾発部材収納凹部が複数個設けら
   れ、ローターが前記フランジの外側面に近接支持
   されるとともに該フランジに一定範囲内で相対的
   に回転自在に嵌合され、前記フランジの第１弾発
   部材収納凹部と前記ローターフランジ部の第２弾
   発部材収納凹部とで画成される空間部に弾発部材
   が嵌装されたことを特徴とする発電機装置。