JPH0133332B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、成形品の表面絵付け方法の内の、特
に押し出し成形における成形同時絵付け方法に関
するものであり、従来の方法では不可能であつた
り、また、可能であつても、安定生産には、ほど
遠くなつてしまうような複雑な形状をもつ成形品
にも、容易に安定して絵付けすることを可能なら
しめるものである。

（従来技術） 現在、成形品の絵付け方法としては、次の３つ
が考えられる。

(i) 直接印刷 (ii) 印刷フイルムのラミネート (iii) 転写フイルムによる絵付け 又、絵付けを行う時期も、 (a) 成形と同時に絵付けを行う。

(b) 成形とは別工程で絵付けを行う。

の２種類があり、製品として得られる成形品の要
求物性、コスト、生産性等を考慮して、上記の内
から任意に組合せているのが現状である。

押し出し成形によつて得られる成形品の絵付け
方法としては「(i)直接印刷」が採用される場合は
少く、「(ii)印刷フイルムのラミネート」及び「(iii)
転写フイルムによる絵付け」が主流となつてい
る。

「(ii)印刷フイルムのラミネート」は、成形品の
所望の部位に絵柄が印刷されたフイルムを接着さ
せるものであり、「(iii)転写フイルムによる絵付け」
も、成形品の所望の部位に絵柄が転写可能に印刷
されたベースフイルムを圧着させ、絵柄を基材に
転写させた後にベーススフイルムを剥離するもの
で、両者とも成形品にフイルムをラミネートさせ
る作業が必要となる。

成形品にフイルムをラミネートする方法として
は、大別して次の２種類がある。

(a)押し出し成形時に成形と同時にフイルムをラ
ミネートする方法。(b)成形品が成形された後に、
別工程でフイルムをラミネートする方法。(a)の方
法の中で、最も代表的で簡単な方法は、成形品が
ダイスから所望の形状に押し出され、冷却固化さ
せるためのサイジングダイに挿入される際に、サ
イジングダイの入口でフイルムを同時に挿入させ
る方法である。

(b)の方法は、成形品の形状に応じて数本の圧ロ
ールを用い、順次基材にフイルムを圧着させてい
く方法である。(a)(b)どちらの方法を選ぶかは、製
品に要求される性能、ロツト数、成形品の形状、
コスト等を考慮して決定されるが、どちらの方法
も成形品の形状に制限があり、鋭角的で深い溝が
連続したり、平面と曲面の数種の組合せがあると
いつたような、極端に複雑な断面形状をもつ成形
品の場合は、上記の２種類の方法では対応しきれ
ないのが現状である。

（目的） 本発明は、このような従来の方法では、フイル
ムラミネートは不可能だと考えられていたような
複雑な断面形状をもつ成形品でも、容易に安定し
てフイルムラミネートを行うことが出来る方法を
提供するものである。

（構成） 以下、具体的な実施例を示し、図面を参照しな
がら本発明について詳しく説明する。

第１図は、本発明の一実施例を表すものであ
り、硬質塩化ビニルの異型押し出し成形品の表面
に半硬質塩化ビニル製の印刷フイルムをラミネー
トする場合の、工程図を示すものである。言うま
でもなく、本発明はこの組合せに限定されるもの
ではなく、通常押し出し成形が可能とされている
基材と通気性のない熱可塑性樹脂フイルム全ての
組合せについて応用可能であり、硬質塩化ビニル
樹脂基材と半硬質塩化ビニルフイルムという組合
せは、本発明を具体的に詳しく説明するにあたつ
ての代表例にすぎない。

すなわち、押し出し機１によつて溶融された硬
質塩化ビニルは、ダイス２を通つて第２図に示す
ような所望の形状に押し出され、冷却する前にラ
ミネート用型治具４に挿入される。

一方、ラミネート用フイルムである半硬質塩化
ビニルフイルム１０には、予め、接着剤を塗布し
ておき、別個に設置された巻き出し装置８から、
数本のガイドロールに導かれ、これもラミネート
用型治具４に挿入される。第３図に示すように、
硬質塩化ビニル成形体３は、ラミネート用型治具
４内に設けられた基材用導入路１１に沿つて進
み、ラミネート用フイルムである半硬質塩化ビニ
ルフイルム１０もラミネート用型治具４内に設け
られたフイルム用導入路９に沿つて進む。フイル
ム用導入路９は、ラミネート用型治具４の挿入口
附近では成形体３から離れた位置にあり、形状も
ゆるやかな曲面であるが、出口の方に進むにつれ
て、成形品との距離を縮めながら第４図に示すよ
うに最終ラミネート形状に近い形状をとるように
なる。そして、第５図に示すように出口附近にお
いては完全に成形品の表面形状と同一となり、位
置的にも成形品と適合する位置となる。

ラミネート用フイルムである半硬質塩化ビニル
フイルム１０が、以上のようなフイルム用導入路
９に完全に一致した形で流れれば、複雑な表面形
状を有する成形品でも、シワ等の欠陥が発生する
ことなくラミネートを行うことが可能となる。そ
こで、ラミネート用フイルムである半硬質塩化ビ
ニルフイルム１０を、フイルム用導入路９に、完
全に一致させる為に、該導入路に脱気孔１２を設
ける。すなわち、硬質塩化ビニル成形体３のもつ
熱で柔軟になつた半硬質塩化ビニルフイルム１０
は、フイルム用導入路に設けられた脱気孔１２か
らの脱気により導入路の形状に半ば強制的に一致
させられ、その形状に沿つて進むようになる。成
形体の熱だけでは不十分な時には、予備加熱用の
ヒーターを設置することができる。

ラミネート用型治具としては、金型、樹脂型、
木型等が考えられ、成形品の材質、フイルムの材
質、目標とする製品の形状、コスト等から適宜選
択すればよい。

以上のようにして、硬質塩化ビニル成形体３と
半硬質塩化ビニルフイルム１０は、ラミネート用
型治具４を出たところで、所望の形状で完全に一
体化した状態でサイジングダイ６に挿入され、冷
却固下、切断の工程を経て製品が得られる。

以上、硬質塩化ビニル成形体に半硬質塩化ビニ
ルフイルムをラミネートする場合を具体的実施例
として本発明を詳しく説明してきたが、前述した
ように、本発明はこれに限定されるものではな
く、通常押し出し成形が可能と考えられる全ての
樹脂について適用可能であり、又ラミネート用フ
イルムも印刷フイルムに限定するものではなく、
転写フイルムによる絵付けも同様の原理によつて
容易に可能となる。

なお、ラミネート用型治具については本実施例
ではサイジングダイと別個のものとして設置した
が、サイジングダイと一体化させ、前半が本実施
例のラミネート用型治具、後半がサイジングダイ
といつたものも、使用できる。

（効果） 成形体の表面形状が複雑な場合でも、シワ等の
欠陥が発生することなく絵付けができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の方法の一実施例を示す説明
図、第２図はＡ−Ａ断面における成形品の形状を
示す断面図、第３図〜第５図は各々Ｂ−Ｂ断面、
Ｃ−Ｃ断面、Ｄ−Ｄ断面における型治具内の状態
を示す断面図である。 １……押し出し機、２……ダイス、３……成形
体、４……型治具、５……成形体とフイルムの一
体化物、６……サイジングダイ、７……冷却装
置、８……巻き出し装置、９……フイルム用導入
路、１０……半硬質塩化ビニルフイルム、１１…
…基材用導入路、１２……脱気孔。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 押し出し成形において、所望の絵柄が印刷さ
   れた熱可塑性樹脂フイルムを成形品の表面にラミ
   ネートするか、又は転写フイルムを使つて表面に
   絵柄を印刷する際に、ダイスから押し出された成
   形品の表面に、ラミネート用のフイルム或は転写
   フイルムを成形品の表面形状に沿つて密着させる
   べく、挿入口においては成形品と該フイルムが離
   れた位置にあり、漸次フイルムの形状が変化しつ
   つ成形品に近づいて、出口においてはフイルムが
   成形品の表面に密着するようにフイルムの導入路
   を設けた型治具をダイスの次に設置し、該型治具
   内で、ダイスから押し出された成形品の持つ熱、
   あるいは、別個に設置した予備加熱用ヒーターに
   よつて柔軟化した熱可塑性樹脂フイルムあるいは
   転写フイルムを、脱気により該型治具内に設けら
   れたフイルムの導入路に密着させながらフイルム
   を成形品の表面に密着させることにより、任意の
   形状の成形品表面に絵柄を付与することを特徴と
   する成形同時絵付け方法。