JPH0133312Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は成形型に関し、特に中子を用いる合
成樹脂成形用の型に関するものである。

従来技術 例えば一端が閉じた細長い（細長比の大きい）
中空品を射出成形によつて得る場合、キヤビテイ
内に中子を配置した状態で成形材料である樹脂を
注入する。すなわちキヤビテイを形成する上型と
下型とによつて中子の一端部を挟んでそれを固定
し、上型もしくは下型に形成したゲートから樹脂
をキヤビテイ内に注入する。しかるに得るべき製
品の細長比が大きい場合には、中子を長いものと
する必要があり、これに加え樹脂の注入圧力が高
圧であるために、中子が樹脂の注入に伴つて撓
み、その結果中子の先端部が上型もしくは下型に
接近し、製品に偏肉や欠肉が生じるおそれがあつ
た。

このような不都合を解消するために、中子の自
由端をも何らかの手段で支持することが考えられ
るが、そのような支持手段を用いる場合、樹脂の
注入に伴つて支持手段をキヤビテイ内から抜き取
る必要があり、また製品に疵などの欠陥が生じな
いよう支持手段の抜取りのタイミングを適正化す
る必要があるなどの技術的課題があつた。

考案の目的 この考案は上記の事情に鑑みてなされたもの
で、偏肉や欠肉等の欠陥を生じることなく細長比
の大きい中空品を得ることのできる成形型を提供
することを目的とするものである。

考案の構成および作用 この考案は、中子を挟持する１対の支持ピン
を、キヤビテイを形成する第１および第２の型の
それぞれに、キヤビテイ内に向けて突出退入自在
に設け、かつ成形材料の流入を検知する検知器を
キヤビテイの内部に臨ませて配置し、その検知器
の出力信号に基づいて各支持ピンを駆動機構によ
つて後退させることにより、中子の支持を解除す
るとともに、支持ピンをキヤビテイ内から抜き取
るよう構成したことを特徴とするものである。

すなわち、成形材料がある程度キヤビテイ内に
流入するまでは中子を支持ピンによつて挟持し、
しかる後検知器が成形材料を検知することにより
出力する信号に基づいて支持ピンがキヤビテイ内
から後退させられて中子の支持を解除する。した
がつて成形材料が中子をある程度包み込むまで
は、中子を支持ピンによつて挟持し、その撓みを
防ぐ。

実施例 以下この考案の実施例を添付の図面を参照して
説明する。

第１図はこの考案の一実施例を示す概略的な断
面図であつて、上型１と下型２とのそれぞれの対
向面に、細長比の大きい形状のキヤビテイ３を形
成するための凹部が形成されており、上型１と下
型２とを密着させる所謂型を閉じることにより上
下各型１，２によつて一端部を挟持固定された中
子４が、キヤビテイ３内にその長手方向に沿つて
片持ち梁状に配置されている。上型１のうち中子
４の基端部に近い個所にゲート５が形成されてお
り、これに対し上型１および下型２のうち中子４
の自由端部に近い個所に支持ピン６ａ，６ｂがそ
れぞれ設けられている。これらの支持ピン６ａ，
６ｂは、前進して互いに接近することにより中子
４を挟持し、かつ後退して互いに離隔することに
より中子４の挟持を解除するとともに最終的には
先端部がキヤビテイ３の内面と一致するまで後退
するよう構成されている。これらの支持ピン６
ａ，６ｂを前進後退させるための駆動機構につい
て説明すると、各支持ピン６ａ，６ｂの後端部に
ピスト７ａ，７ｂが形成され、これに対しピスト
ン７ａ，７ｂを前後動自在に収容した中空部８
ａ，８ｂが上型１および下型２に形成されてお
り、さらに上型１および下型２には、外面から中
空部８ａ，８ｂのうちの前端部に到る第１管路９
ａ，９ｂと、外面から中空部８ａ，８ｂのうちの
後端部に到る第２管路１０ａ，１０ｂとが形成さ
れており、したがつて駆動機構は圧油もしくは加
圧空気等の圧力流体で動作するシリンダとされて
いる。前記第１管路９ａ，９ｂはホース１１を介
して電磁切換弁１２に接続され、第２管路１０
ａ，１０ｂはホース１３を介して電磁切換弁１２
に接続され、その電磁切換弁１２を動作させるこ
とにより圧力流体の供給個所を変えて前記支持ピ
ン６ａ，６ｂを前進もしくは後退させるよう構成
されている。

また上型１および下型２におけるキヤビテイ３
を形成するそれぞれの内面でかつゲート５と支持
ピン６ａ，６ｂとの間に温度や圧力の上昇によつ
て成形材料の流入を検知する検知器１４ａ，１４
ｂが取付けられており、各検知器１４ａ，１４ｂ
は変換器１５に接続され、さらにその変換器１５
は、前記電磁切換弁１２を駆動する増幅器１６に
接続されている。

つぎに動作を説明すると、成形を行なうために
上型１と下型２とを密着させて型を閉じることに
より、これら上型１および下型２によつて中子４
の一端部を挟持し、中子４をキヤビテイ３内に配
置する。また駆動機構をなす前記中空部８ａ，８
ｂのうち、ピストン７ａ，７ｂの後側に圧油等の
圧力流体を供給して各支持ピン６ａ，ｂをキヤビ
テイ３の内部に向けて前進させ、これら支持ピン
６ａ，６ｂによつて中子４の自由端部を挟持・固
定する。この状態で成形材料をゲート５からキヤ
ビテイ３内に注入すると、成形材料は中子４の基
端部側における外周を満しつつキヤビテイ３の他
端部側へ進行するが、中子４はその自由端部を支
持ピン６ａ，６ｂによつて挟持・固定されている
から、撓むことはない。成形材料が検知器１４
ａ，１４ｂの個所まで到達すると、検知器１４
ａ，１４ｂが成形材料の温度や圧力に感応して信
号を出力し、その信号が変換器１５にて信号処理
された後に増幅器１６に入力され、その結果増幅
器１６の出力によつて電磁切換弁１２ａ，１２ｂ
が切換わる電磁切換弁１２ａ，１２ｂが切換わる
ことにより、前述した駆動機構を構成する各中空
部８ａ，８ｂのうちピストン７ａ，７ｂよりも前
端側に圧力流体が供給されるから、支持ピン６
ａ，６ｂはピストン７ａ，７ｂと共に後退して中
子４の挟持を解除するとともに、最終的には先端
面が、キヤビテイ３を形成する上下各型１，２の
内面と一致するまで後退する。その場合、中子４
はその大半を成形材料によつて包み込まれている
から、支持ピン６ａ，６ｂによる挟持を解除して
も撓むことがない。また検知器１４ａ，１４ｂを
ゲート５と支持ピン６ａ，６ｂとの間に配置した
ことにより、成形材料が支持ピン６ａ，６ｂ到達
する以前に支持ピン６ａ，６ｂが後退移動する。
したがつて成形材料が支持ピン６ａ，６ｂに引き
ずられることによるシワ等の成形痕や支持ピン６
ａ，６ｂの作動不良による成形品表面での欠肉や
凹痕等の成形痕を防止できる。

以上のようにしてキヤビテイ３内に成形材料を
充填して固化させた後、上型１および下型２を開
いて成形品を中子４と共に取出す。ついで、次の
工程に備えるため、離型剤の塗布などの措置を施
した後、上型１および下型２を前述したように閉
じて中子４をキヤビテイ３内に支持し、かつ支持
ピン６ａ，６ｂを前進させて中子４の自由端を挟
持・固定する。

第２図はこの考案の他の実施例を示すもので、
ここに示す成形型は、検知器１４ａ，１４ｂを各
支持ピン６ａ，６ｂの先端外周部に取付けた構成
としたものである。このような構成であつても、
キヤビテイ３内に注入した成形材料が中子４の大
半を包み込んだ後に支持ピン６ａ，６ｂを後退さ
せて中子４の支持を解除することになるから、細
長比が大きい場合であつても中子４の撓みを防止
して偏肉や欠肉のない成形を行なうことができ
る。

なお、この考案は上下に開閉する構成に限ら
ず、水平方向に左右へ開閉する構成にも適用する
ことができる。また支持ピンを前後動させる駆動
機構は、上記の実施例で示した構成に限られるも
のではない。

考案の効果 以上説明したようにこの考案は、キヤビテイを
形成する第１および第２の型によつて開閉自在に
構成され、そのキヤビテイ内に中子が配置される
とともに、第１の型および第２の型のそれぞれ
に、キヤビテイ内に突き出て前記中子の所定個所
を挟持する支持ピンが突出退入自在に取付けら
れ、また成形材料のキヤビテイ内への流入を検知
する検知器が、キヤビテイの内部に臨ませて配置
され、さらにその検知器の出力信号に基づいて前
記各支持ピンを後退移動させる駆動機構が設けら
れていることを特徴とするものであるから、成形
材料の注入による中子の撓みを防止することがで
き、したがつて細長比の大きい中空品を得る場合
であつても、中子の先端の偏位やそれに伴う偏肉
や欠肉を防止し、良好な成形品を得ることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示す断面図、第
２図この考案の他の実施例を示す断面図である。 １……上型、２……下型、３……キヤビテイ、
４……中子、６ａ，６ｂ……支持ピン、７ａ，７
ｂ……ピストン、８ａ，８ｂ……中空部、１４
ａ，１４ｂ……検知器。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. キヤビテイを形成する第１および第２の型によ
   つて開閉自在に構成され、そのキヤビテイ内に中
   子が配置されるとともに、第１の型および第２の
   型のそれぞれに、キヤビテイ内に突き出て前記中
   子の所定個所を挟持する支持ピンが突出退入自在
   に取付けられ、また成形材料のキヤビテイ内への
   流入を検知する検知器が、キヤビテイの内部に臨
   ませて配置され、さらにその検知器の出力信号に
   基づいて前記各支持ピンを後退移動させる駆動機
   構が設けられていることを特徴とする成形型。