JPH01301839A - 耐食性に優れた刃物用鋼材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野、〕 本発明は、耐食性に優れた刃物用鋼材に関し、特には、
冷凍食品等の切断用刃物に用いられる刃物用鋼材に関す
るものである。

（従来の技術） 従来から刃物用鋼材は、刃物に加工された場合に良好な
切れ味が出せ、この良好な切れ味を維持するために耐食
性に優れると共に、高硬度（ｔｌＲｃ３５以上）な特性
を存するものが開発されて使用されてきた。そして、中
でもこのような特性を満たすものとして、１３Ｃｒ系の
マルテンサイトステンレス鋼材がステンレス包丁等の刃
物に汎用されている。

〔発明が解決しようとする課題〕

ところで、上述の１３Ｃｒ系のマルテンサイトステンレ
ス鋼材で作った刃物でも、例えば、魚類等の冷凍食品を
切断して、そのまま刃物を放置しておくと短時間で腐食
を生じ、再使用し得なくなるという問題が指摘されてい
る。この腐食の原因は、１３Ｃ「系のマルテンサイトス
テンレス鋼材を刃物に荒加工した後仕上加工前に高硬度
（ＨＲｃ　３５以上）を付与するための熱処理（焼入れ
焼戻し）を行うが、この熱処理によって耐食性を向上さ
せる合金成分中のＣｒがＣｒ炭化物となって析出し母相
中の濃度が減少する上、塩分を含む環境に曝されるため
と推論される。しかも、１３Ｃｒ系のマルテンサイトス
テンレス調は、マルテンサイト＆１ＩｔＩａを得るため
にＣｒの含有量が約１６−１％以下に制限されている。

また、上記の刃物の製造工程では、熱処理および表面処
理を行う等工程が複雑になると共に、製造コストも高い
ものとなっている。

本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、
その目的とするところは、刃物の製造工程における仕上
加工前の熱処理を省略し得ると共に、耐食性に優れ且つ
高硬度を有する刃物用鋼材を提供することである。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために、本発明の耐食性に優れた刃
物用鋼材は、その成分組成がＣ０．０５〜０゜２５−１
％、Ｓｉ　　０．０５〜０．６０ｗｔ％、Ｍｎ　　１６
〜２５ｗｔ％、Ｃｒ　　１５〜２５ｗｔ％、Ｎ　０．２
〜０．６　ｗｔ％を含有し、残部Ｆｅおよび不可避不純
物からなるものである。

また、上記成分組成に、Ｎｉ　　４．Ｑ　ｗｔ％ｔ％を
含有させても良い。

またさらに、上記成分組成に、Ｍｏ　３．０ｗｔ％以下
、Ｃｕ　４．０ｗｔ％以下、Ｖ　　１．０ｗｔ％以下、
Ｔｉ　　１．０ｗｔ％以下、Ｎｂ　１．Ｏｗｔ％以下、
Ｗ　　１．０ｗｔ％以下の内の一種または二種以上を含
有させても良い。

〔作　　用〕

本発明による刃物用鋼材は、上記成分組成からなるので
、耐食性に優れ且つ高硬度を有し、しかも、最終冷間圧
延のままで刃物に要求される高硬度（ＨＲｃ　３５以上
）が得られる。

次に、各成分組成の特定理由について述べる。

Ｃは、極めて優れたオーステナイト形成元素であると共
に、硬度を高める元素であるが、０．０５ｗｔ％未満で
は、オーステナイト形成効果が少なく、且つ硬度が出難
い。また、０．２５ｗｔ％を超えると、鋼材製造工程中
の溶体化熱処理後の冷却過程で、Ｃｒ炭化物の粒界析出
を生じ耐食性の劣化を・招くので、０．０５〜０．２５
ｗｔ％の範囲とした。

Ｓｉは、脱酸剤として添加されるが、０．０５ｗｔ％未
満では、脱酸効果が不足し、また、０．６０ｗｔ％を超
えると、Ｓｉの酸化物がＢ系介在物として析出し耐食性
を劣化させるので、０．０５〜０．６０ｗｔ％の範囲と
した。

Ｍｎは、オーステナイト形成元素であるが、１６ｉｉｔ
％未満では、オーステナイト形成効果が少なく、また、
２５−ｔ％を超えると、熱間加工性が著しく劣化するの
で、１６〜２５−ｔ％の範囲とした。尚、望ましくは、
１６〜２０ｗ　ｔ％である。

Ｃｒは、耐食性を確保するための最も重要な元素であり
、１５ｗｔ％未満では、耐食性を得る効果が少なく、ま
た、２５ｗｔ％を趨えると、耐食性に寄与する効果が飽
和する一方、熱間加工性を著しく劣化させるので、１５
〜２５−ｔ％の範囲とした。尚、望ましくは、１６〜２
０−ｔ％である。

Ｎは、Ｃと同様に極めて有効なオーステナイト形成元素
であると共に、硬度を付与し耐食性の向上にも有効であ
る上、ＣのようにＣｒ化合物を生成する作用が大きくな
いので合金元素として積極的に含有することができるが
、０．２　ｗｔ％ｔ％では、これらの効果が充分に得ら
れず、また、０．６　ｗｔ％を超えると、鋼塊に気泡を
生じ易くなると共に、熱間加工性が著しく劣化するので
、０．２〜０．６　ｗｔ％の範囲とした。尚、望ましく
は、０．３〜Ｑ、５　ｗｔ％である。

上述の主要成分に対し、さらに含有し得る成分−として
、次のものがある。

Ｎｉは、Ｃ，Ｍｎ、　Ｎと同様にオーステナイト形成元
素であり、また、耐食性の向上に有効であると共に、溶
製に際して問題を有するＨに換えて含有することができ
るが、高価なので必要に応じ４．０ｗｔ％までの範囲で
含有させると良い。また、上記の効果を積極的に得るな
ら０．５ｗｔ％以上含有させることが望ましい。

Ｍｏは、耐食性の向上に有効であり、また硬度を高める
効果を有するが、３．ｈｔ％を超えると、これらの効果
が飽和すると共に、極めて高価になるので、３．０　ｗ
ｔ％までの範囲で含有させると良い。

また、上記の効果を積極的に得るなら０．１ｗｔ％以上
含有させることが望ましい。

Ｃｕは、オーステナイト形成元素であり、また耐食性を
高める効果を有するが、４．０ｗｔ％を超えると、熱間
加工性が劣化するので、４．０ｗｔ％までの範囲で含有
させると良い。また、上記の効果を積極的に得るならＱ
、　１ｗｔ％以上含有させることが望ましい。

次に、Ｖ、　Ｔｉ、　Ｎｂ、　Ｗは、結晶粒度を微細化
して硬度の向上に有効であり、且つ結晶粒界のＣｒ欠乏
層生成原因となるＣ「炭化物の析出を抑制して耐食性の
改善に有効な元素であり、従って、これらの元素の内の
一種または二種以上を１．Ｑ　＠ｔ％以下含有させると
良い。また、これらの元素が有する効果を積極的に得る
なら０．００５ｗｔ％以上含有させることが望ましい。

〔実　施　例〕

次に、本発明の耐食性に優れた刃物用鋼材の実施例を説
明する。

高周波炉を用いて常法により溶製、鋳造して下表左欄に
示す合金成分からなる５０ｋｇ０鋼塊を得、次いで、熱
間圧延により厚さ４１１−の鋼板とした後、１１００’
ｃの温度で６０分間加熱して水冷し、この後さらに、加
工率５０％の冷間圧延を行い厚さ２１ｍ＋１の鋼板とし
た。

上記鋼板から幅１２ｈ請×長さ４００輪−の形状の刃物
用鋼板を切断して切り出した後、その刃物用鋼板の長辺
の一方を研磨して刃物に仕上げた０次いで、これら刃物
についてＨＲｃ硬度を測定すると共に、冷凍魚類の切断
を行い切れ味を判定した。さらに冷凍魚類を切断したま
まの刃物を３日間放置してその表面の腐食状態を観察し
た。これら測定および判定等の結果を下表右欄に合わせ
て示す。

（以　下　余　白） 表に示された結果より明らかなように、本発明例である
胤１〜Ｎα１６までの刃物は、１ＩＲｃ　３５以上の高
硬度を有し良好な切れ味を有すると共に、優れた耐食性
を有するのに対し、比較例である［７は、Ｃが少ないた
め、また比較例である漱１８は、Ｎが少ないためにＨＲ
ｃ　３５以上の硬度が得られず切れ味が頼り無く今夕し
であった。また比較例である隘１９は、Ｃｒ含有量が少
ない例で、ＨＲｃ　３５以上の硬度が得られ切れ味は良
いが、腐食が認められ耐食性が悪かった。また従来例で
ある磁２０は、１３ｃｒ系マルテンサイトステンレス鋼
材を、刃物に荒加工した後仕上加工前に焼入れ焼戻しを
行って製造した刃物であって、高Ｍｎ鋼でＣｒ含有量の
少ない比較例Ｎα１９と同様に、１ＩＲｃ　３５以上の
硬度が得られ切れ味は良いが、腐食が認められ耐食性が
悪かった。

（発明の効果〕 以上説明したように、本発明による刃物用鋼材によれば
、最終冷間圧延のままで刃物に要求されるＨＲＣ３５以
上の高硬度が得られ、且つ、耐食性に優れているので、
切れ味の良い刃物が製造できる他、最終冷間圧延のまま
で刃物に要求されるＩＩＲｃ３５以上の高硬度が得られ
るので、従来鋼材においては必須であった熱処理（焼入
れ焼戻し）工程が省け、しかも、冷間圧延のままで平坦
度が良いことから刃物加工時の作業性が良く、刃物が安
価に製造できる利点を有する。

特許出願人　株式会社コヘルコ科研 代理人　弁理士　金　丸　章　−

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. （１）Ｃ０．０５〜０．２５ｗｔ％、Ｓｉ０．０５〜０
   ．６０ｗｔ％、Ｍｎ１６〜２５ｗｔ％、Ｃｒ１５〜２５
   ｗｔ％、Ｎ０．２〜０．６ｗｔ％を含有し、残部Ｆｅお
   よび不可避不純物からなることを特徴とする耐食性に優
   れた刃物用鋼材。
2. （２）請求項１の成分組成に、Ｎｉ４．０ｗｔ％以下を
   含有してなることを特徴とする耐食性に優れた刃物用鋼
   材。
3. （３）請求項１および請求項２の成分組成に、Ｍｏ３．
   ０ｗｔ％以下、Ｃｕ４．０ｗｔ％以下、Ｖ１．０ｗｔ％
   以下、Ｔｉ１．０ｗｔ％以下、Ｎｂ１．０ｗｔ％以下、
   Ｗ１．０ｗｔ％以下の内の一種または二種以上を含有し
   てなることを特徴とする耐食性に優れた刃物用鋼材。