JPH0128899Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はプレス金型、特に自動車のフロアパネ
ルにおけるトンネル部側面の加工等に適したプレ
ス金型のカム構造に関する。

（従来技術） 従来、例えば自動車のフロアパネルにおけるト
ンネル部側面の加工等に用いられるプレス金型
は、第１図に示すように、上型ａの下部に下面が
傾斜案内面b′とされた案内部材ｂを設けると共
に、先端に加工具ｃを取り付けたスライドカムｄ
を上記案内部材ｂに前後移動可能に保持した構成
で、上型ａの下降時に上記スライドカムｄが下型
ｅに立設された下型カムｆに当接して前方（矢印
Ａ方向）に押し出されることにより、該スライド
カムｄの先端に取り付けられた加工具ｃが下型ｅ
に載置されたプレスワークｇの側面部g′を加工す
る。こうした構造は、例えば特開昭56−117839号
公報にも開示されている。

然るに、上記の如き従来のプレス金型によれ
ば、１個の案内部材ｂによりスライドカムｄを一
定の傾斜角で前後移動可能に保持する構成である
から、所要寸法の傾斜案内面b′を確保しようとす
ると、該案内面b′の前後における高さ方向の寸法
差Ｈが大きくなる。そのため、案内部材ｂが背の
高いものとなり、装置全体が大型化し、或いはプ
レスストロークが制限されて上型ａが上方に位置
している場合における該上型ａと下型ｅとの間の
作業スペースが狭くなる等の欠点があつた。

（考案の目的） 本考案は従来のプレス金型における上記のよう
な問題を解決するもので、スライドカムを前後移
動可能に保持する案内部材を背の低いものとする
ことを可能として、十分なプレスストロークを確
保してワーク着脱作業等の作業性を向上させ、或
いはプレス装置全体の小型化を図ることを目的と
する。

（考案の構成） 上記目的を達成するため本考案は次のように構
成した。

即ち、下型の上部に載置されたプレスワークの
側面部を加工するプレス金型において、上型の下
部に上記プレスワークの側面部に近くなるに従つ
て下方に傾斜する二つの案内部材を前後に配設す
ると共に、これらのうちの前側の案内部材には加
工用スライドカムを、後側案内部材には前進用ス
ライドカムを夫々保持させ、且つ両スライドカム
を連結する。一方、下型には上記後側案内部材の
下方位置に下型カムを設ける。

然して、上記加工用スライドカム及び前進用ス
ライドカムは夫々対応する案内部材の傾斜面に沿
つて前後移動可能とされ、上型の下降時に前進用
スライドカムが上記下型カムに当接して、該前進
用スライドカム及びこれに連結された加工用スラ
イドカムが一体となつて前進し、これにより該加
工用スライドカムの先端に取り付けられた加工具
がプレスワークの側面部を加工するように構成さ
れている。

（考案の効果） 上記の如き構成によれば、従来における１個の
案内部材でスライドカムを前後移動可能に保持し
ていた構成に比較して、所要寸法の傾斜案内面を
確保しながら案内部材の高さ方向の寸法を短縮す
ることが可能になる。これにより、十分なプレス
ストロークが確保されてワーク着脱作業等の作業
性が向上され、或いはプレス装置全体の小型化が
可能となる。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第２図に示すように、プレス機械１は固定部分
としての下型２と、これに対向して上下動する上
型３とを有する。上記下型２は中央に突出部を有
し、その突出部側面２ａに穴あけ用のダイス４が
取り付けられて、該下型２の上に載置されたプレ
スワーク５の側面部５ａ（例えば自動車のフロア
パネルにおけるトンネル部側面）を穴加工するこ
とができるように構成されている。

一方、上記上型３の下部には二つの案内部材
６，７が前後に吊設されている。これら両案内部
材６，７の下面は夫々上記プレスワークの側面部
５ａに近くなるに従つて下方に傾斜する傾斜案内
面６ａ，７ａとされ、両案内面６ａ，７ａ、前側
の案内部材６については前端部に加工具８が着脱
可能に装着された加工用スライドカム９が、また
後側の案内部材７については前進用スライドカム
１０が前後移動可能に夫々保持されている。そし
て、該加工用スライドカム９と前進用スライドカ
ム１０とは連結部材１１を介し連結され、両者一
体となつて前後動するように構成されている。

ここで、第３図に示すように、上記前進用スラ
イドカム１０（加工用スライドカム９についても
同様）は、上端部に設けられた鍔部１０′，１
０′が案内部材７の下端部両側に固設されたレー
ル部材１２，１２に摺動可能に係合されているこ
とにより該案内部材７に前後移動可能に保持され
ている。また、該スライドカム１０と案内部材７
との間には、一体となつて前後動する両スライド
カム９，１０を後退位置に戻すための戻しバネ１
３が装着されている。

上記の構成に加えて、前進用スライドカム１０
の後部には傾斜状カム面１０ａが設けられている
と共に、上記下型２には該カム面１０ａに対応位
置させて下型カム１４が設けられている。この下
型カム１４は、上型３と共に前進用スライドカム
１０が下降して来た時に該カム１０のカム面１０
ａに当接し、該前進用スライドカム１０とこれに
連結部材１１で連結された加工用スライドカム９
とを、上記戻しバネ１３に抗して夫々案内部材
６，７の傾斜案内面６ａ，７ａに沿つて一体的に
前進させる。

次に上記実施例の作用について説明する。

先ず、第２図に示すように上型３が上方位置に
ある状態において、下型２の上にプレスワーク５
を載置する。その時、該上型３の各案内部材６，
７に保持された加工用スライドカム９及び前進用
スライドカム１０は戻しバネ１３によつて後退位
置に保持されている。この状態から上型３を下降
させると、第４図に示すように、上記前進用スラ
イドカムのカム面１０ａが下型に立設された下型
カム１４に当接すると共に、更に上型３が下降し
た時に、該前進用スライドカム１０が案内部材７
の傾斜案内面７ａと下型カム１４とによつて前方
に押し出され、該前進用スライドカム１０及び加
工用スライドカム９が一体的に案内部材７，６の
案内面７ａ，６ａに沿つて上記下型２の突出部側
面２ａに向かつて前進する。その結果、鎖線で示
すように、加工用スライドカム９の前端部に装着
された加工具８が、下型２の上に載置されたプレ
スワーク５の側面部５ａの所定位置に押し付けら
れ、該加工具８とプレスワーク５を挟んで対峙す
るダイス４とによつて該ワーク５に所要の加工が
施される。

尚、穴が突設された後、上型３が上昇し始める
と、上記下型カム１４による押し出し作用が解消
されることにより、前進用スライドカム１０及び
加工用スライドカム９が戻しバネ１３により後退
されて、上記加工具８がプレスワーク５から離脱
されると共に、更に当初の後退位置に戻され、第
２図に示す状態に復帰する。

然して、上記の構成においては、従来単一部材
であつた案内部材及びスライドカムが夫々二つの
案内部材６，７及びスライドカム９，１０に分割
され、且つ両案内部材６，７の傾斜案内面６ａ，
７ａが前後に略同じ高さに配置されているから、
スラドカムを一定の傾斜角で前後移動可能に保持
する案内面として、トータルとして十分な寸法が
確保されているにも拘らず、両案内面６ａ，７ａ
における前後の高さ方向の寸法差H′，H′が第１
図の従来例に比べて著しく短縮されているのであ
る。このため、プレスストロークが大きく取るこ
とができて、上型３が上方位置にある時の該上型
３と下型２との間の作業スペースを十分に確保す
ることが可能となり、或いはプレス装置全体の小
型化が可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のプレス金型の構成を示す正面
図、第２図は本考案プレス金型の実施例を示す正
面図、第３図は第２図における−線で切断し
た拡大断面図、第４図は該実施例の一作動状態を
示す正面図である。 ２……下型、３……上型、５……プレスワー
ク、５ａ……側面部、６，７……案内部材、９…
…加工用スライドカム、１０……前進用スライド
カム、１４……下型カム。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 下型の上部に載置されたプレスワークの側面部
   を加工するプレス金型において、上記下型に対向
   して上下移動する上型の下部に上記プレスワーク
   の側面部に近くなるに従つて下方に傾斜する二つ
   の案内部材を前後に配設し、これらの案内部材の
   うちの前側の案内部材には加工に応じた加工具が
   取り付けられた加工用スライドカムを前後移動可
   能に保持する一方、後側の案内部材には前進用ス
   ライドカムを前後移動可能に保持し、且つ上記加
   工用スライドカムと前進用スライドカムとを連結
   すると共に、上記下型上における後側案内部材の
   下方位置に上型の下降時に前進用スライドカムと
   接して該スライドカム及び加工用スライドカムを
   前進させる下型カムを設けたことを特徴とするプ
   レス金型用カム構造。