JPH0128719Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、外乱電波や漏洩電波のような電磁波
を遮蔽するシールド体の連結等に用いるスライド
フアスナーチエーンに関する。

家電製品、電気的精密測定機、高周波応用機器
のような電気装置や、電線、ケーブル等は、外乱
電波による弊害を防止する目的や、機器で発生し
た高周波が外部に漏洩することを防止する目的
で、電気装置を金網等の電磁波シールド体で作ら
れたシールドケージ内に収納したり、電線、ケー
ブルの周囲に電磁波シールド体で作られたカバー
を設けることがある。この場合、シールドケージ
の開口部の開閉や、カバーの取付け、取外しを容
易にするためには、スライドフアスナーを使用す
ると好適であり、またこのような電磁波シールド
体の連結に用いるスライドフアスナーは、それ自
体が電磁波遮蔽機能を有することが望ましい。

このように電磁波遮蔽機能を有するスライドフ
アスナーとして、針金を経緯に編んだ金網を柔軟
な合成樹脂でコーテイングし、その一側縁にフア
スナーエレメント（以下、単にエレメントいう）
を固着したもの、ワイヤーやブレードを織成した
テープにエレメントを直付けしたもの、及び金網
の一側縁にエレメントを半田付けしたものが提案
されている。

しかし、金網に合成樹脂をコーテイングしたス
ライドフアスナーは、金網と樹脂が一体になつて
いるため、柔軟性に乏しいし、製造が面倒で高価
である。また、ワイヤーやブレードを織成したテ
ープにエレメントを直付けしたスライドフアスナ
ーは、エレメントの取付け強度が弱いためエレメ
ントが安定せず、しかもエレメントの取付けピツ
チを一定にしにくい欠点がある。さらに、金網に
エレメントを半田付け又は接着したスライドフア
スナーは、エレメントの取付けが非常に面倒であ
るし、高価であり、しかもエレメントの取付けピ
ツチを一定にすることが極めて面倒である。

本考案は、柔軟性を有するにもかかわらず、エ
レメントを容易に一定のピツチで取付けることが
でき、しかもエレメントの取付け強度が大である
電磁波遮蔽用のスライドフアスナーチエーンを提
供することを目的とする。

上記目的は、本考案によれば、少なくとも一端
縁に折返し部を形成した柔軟性を有する電磁波遮
蔽部材の少なくとも前記折返し部の内側に柔軟性
を有する芯材を内装して芯紐部を形成し、少なく
とも一部が導電性を有するエレメントを導電性を
有する部分が遮蔽部材と電気的に接続した状態に
芯紐部に固着したスライドフアスナーチエーンに
より達成される。

前記遮蔽部材は、電磁波を吸収及び又は反射す
ることにより遮蔽する柔軟なものであればよい。
このような遮蔽部材としては、導電性を有する網
や箔を用いることができる。導電性を有する網
は、細い鋼線、銅線、黄銅線等の金属線、又は細
い糸状材と細い金属線とのより線、さらには細い
糸状材に金属をコーテイングした線等を用いて経
編、又は緯編にしたものを用いることができる。
導電性を有する箔は、電解銅箔、アルミ箔等の金
属箔、布地等に金属膜を形成した箔等を用いるこ
とができる。

前記芯材は、柔軟性を有するならば導電性を有
する必要はなく、天然材料又は合成材料で形成さ
れた布、紐、綿毛、真綿等を用いることができ
る。

エレメントは、全体がアルミニウム等の金属で
あるとその製造が容易であるから好適であるが、
合成樹脂製の主体部の表面に電解又は塗装等によ
り金属をコーテイングして表面を導電性にしたも
のでもよいし、樹脂粉と金属粉を型に入れて高周
波等により溶融成形して金属粉を表面に浮き上が
らせたものを用いることができる。

以下、図面に示す実施例について説明する。

第１図ないし第３図のスライドフアスナーチエ
ーンは、柔軟性を有する遮蔽部材１を袋状に折返
し、その中空部に柔軟性を有する幅広の芯材２を
設け、遮蔽部材１の一方の折返し部３と芯材２の
対応する端縁部４により芯紐部５を形成し、この
芯紐部５に金属製のエレメント６を固着してい
る。

遮蔽部材１は、第２図に示すように、細い針金
で緯編にした金網である。芯材２は、細い多数の
繊維を束にした糸で織成した生地であり、芯紐部
５を形成している端縁部４以外の部分８が遮蔽部
材１の対応する部分７とともにテープ部９を構成
している。各エレメント６は、第３図に示すよう
に、芯紐部５を脚部で挟圧し、芯紐部５に続く部
分を前記脚部の先端で挟圧した状態に取付けられ
ている。従つて、遮蔽部材１とエレメント６はエ
レメントの脚部において電気的に接続している。

このスライドフアスナーチエーンは、遮蔽部材
１が緯編の金網であるから、テープ部５の長手方
向に伸縮可能であり、経編の金網や織成の金網に
比べてよい柔軟である。また、遮蔽部材１が芯材
２の周囲に余裕をもつて設けられているから、遮
蔽部材１により芯材２が保護されるし、柔軟性を
保つことができる。さらに、遮蔽部材１の部分７
と芯材２の部分８とでテープ部９を構成している
から、テープ部の機械的強度が大である。

このスライドフアスナーチエーンは、第４図に
示すように、シールドケージやカバー等のシール
ド体Ａ，Ａにテープ部９において縫着される。こ
の場合、遮蔽部材１と芯材２がともにシールド体
Ａ，Ａに縫着することになるから、縫着作業が容
易であるし、強固に縫着することができる。

スライドフアスナーチエーンを第４図のように
縫着したシールド体Ａ，Ａは、第５図に示すよう
に、シールドケージＢの開口部を有する正面に設
けられる。スライドフアスナーチエーンＦは開口
部の周辺にコ字状に位置し、シールド体Ａ，Ａの
連結部からの電波の漏洩及び侵入を防止する。シ
ールドケージＢは、左右の側面、背面、上面にも
金網等のシールド体Ｃが設けられ電磁波の漏洩及
び侵入を防止される。

第６図に示すスライドフアスナーチエーンは、
幅狭の芯材２１を用いた実施例である。芯材２１
は、芯材２と同じ材料で作られており、遮蔽部材
１の一方の折返し部３の内側に設けられて端縁部
４が折返し部３とともに芯紐部５を構成してお
り、この芯紐部５にエレメント６を固着してい
る。エレメント６はその脚部で芯紐部５を挟圧し
ているとともに、芯紐部５に続く部分を脚部の先
端部で挟圧している。このスライドフアスナーチ
エーンも、遮蔽部材１とエレメント６はエレメン
トの脚部において電気的に接続している。

第７図のスライドフアスナーチエーンは、芯紐
部５を構成する分だけの芯材２２が設けた実施例
である。従つて、エレメント６は、遮蔽部材１の
折返し部３と芯材２２とで構成された芯紐部５を
脚部で挟圧しているとともに、遮蔽部材１の折返
し部３に続く部分を脚部の先端部で挟圧してい
る。このスライドフアスナーチエーンも、遮蔽部
材１とエレメント６は脚部において電気的に接続
している。このスライドフアスナーチエーンは、
エレメント６の脚部の先端で芯材を挟圧していな
いから、第３図及び第５図の例に比べると、エレ
メント６の取付け強度はやや劣るが、芯材２２全
体を遮蔽部材１の折返し部３に押圧した状態でエ
レメント６を取付ければよいから、エレメントの
取付け作業がきわめて容易である。芯材２２も芯
材２と同じ材料で作られている。

第８図のスライドフアスナーチエーンは、一方
の側部のみに折返し部３を形成した金網製の遮蔽
部材１１を用い、芯材２の裏側の遮蔽部材を除去
している。このスライドフアスナーチエーンも、
エレメント６は折返し部３と端縁部４とで構成さ
れた芯紐部５に固着されて、脚部で芯紐部５を挟
圧しているとともに、脚部の先端部で芯紐部に続
く部分を挟圧している。従つて、このスライドフ
アスナーチエーンも遮蔽部材１１とエレメント６
はエレメントの脚部において電気的に接続してい
る。

第９図と第１０図に示すスライドフアスナーチ
エーンは、合成樹脂製の主体部６３の外周面に形
成した金属粉からなる導電部６２を形成したエレ
メント６１を用いている。このエレメント６１
は、金属粉と樹脂粉を金型に入れて溶融成形する
ことにより製造することができ、溶融成形時に金
属粉が外表面に浮き上がり、浮き上つた金属粉が
互いに接触して導電部を形成している。この導電
部は脚部の内側外表面にも形成され、従つてエレ
メント６１は芯紐部５とそれに続く部分を挟圧し
ている脚部の内側外表面に存在する金属粉により
遮蔽部材１と電気的に接続している。

第１１図ないし第１３図はケーブルＤ用のカバ
ーとして直接使用可能なスライドフアスナーチエ
ーンの一実施例を示す。このスライドフアスナー
チエーンは、幅広の袋状にした金網からなる遮蔽
部材１２の両端の折返し部３，３に柔軟性を有す
る芯材２３，２３を各々設けて、両端に芯紐部
５，５を形成し、両芯紐部５にエレメント６を第
７図スライドフアスナーチエーンと同様に固着し
ている。従つて、両芯紐部５，５に設けられたエ
レメント６は、脚部において遮蔽部材１２と電気
的に接続しているとともに、遮蔽部材１２を介し
て互いに電気的に接続している。このスライドフ
アスナーチエーンは、第１３図に示すように、ケ
ーブルＤを包囲し、両芯紐部５，５のエレメント
６を互いに噛合した状態で使用する。

本考案のスライドフアスナーチエーンは、シー
ルドケージやケーブル用カバー連結のみならず、
室内の天井、壁等に金網等のシールド体を設けて
電波の遮蔽をする場合のシールド体の連結にも用
いることができる。

以上のように本考案は、少なくとも一端に折返
し部を形成した柔軟な電磁波遮蔽部材の少なくと
も前記折返し部に柔軟な芯材を設けて芯紐部と
し、この芯紐部にエレメントを固着したものであ
るから、エレメントの取付部が太く、従つてエレ
メントを容易にして一定のピツチに取付けること
ができるし、取付け強度が大であり、遮蔽部材と
エレメントが外れるおそれがなく廉価である。ま
た、芯紐部自体も柔軟性を有するから、スライド
フアスナーとしての機能を損なうことがなく、シ
ールドケージ等の開口部の開閉を長期間にわたつ
て安定に行なうことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のスライドフアスナーチエーン
の第１実施例の斜視図、第２図は同スライドフア
スナーチエーンの平面部、第３図は同スライドフ
アスナーチエーンの一部を拡大して示す図、第４
図は同スライドフアスナーチエーンをシールド材
に縫着した状態を示す図、第５図は同スライドフ
アスナーチエーンを用いたシールドケージの一例
を示す斜視図、第６図、第７図及び第８図は各々
第２、第３、及び第４実施例の一部を拡大して示
す図、第９図は第５実施例の平面図、第１０図は
第９図における−線断面図、第１１図は第６
実施例の平面図、第１２図は第１１図におけるXII
−XII線断面図、第１３図は第６実施例の使用例を
示す斜視図である。 １，１１，１２：電磁波の遮蔽部材、２，２
１，２２，２３：芯材、３：折返し部、５：芯紐
部、６，６１：フアスナーエレメント。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 少なくとも一端に折返し部を形成した柔軟性を
   有する電磁波遮蔽部材の少なくとも前記折返し部
   の内側に柔軟性を有する芯材を設けて芯紐部を形
   成し、少なくとも一部が導電性を有するフアスナ
   ーエレメントを前記導電性を有する部分が前記遮
   蔽部材と電気的に接続した状態に前記芯紐部に固
   着してなる電磁波遮蔽用スライドフアスナーチエ
   ーン。