JPH0128683B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は気泡コンクリートパネルの製造方法に
関する。

一般に建築資材用としてコンクリートパネルが
多用されているが、このようなコンクリートパネ
ルの材質として、コンクリートと木材の持つ両方
の長所を備えんが為、すなわちコンクリートパネ
ルでありながら軽くて断熱性の良いものにしよう
として近年、気泡コンクリートが採用されてい
る。

このような気泡コンクリートの製造工程とし
て、次のような工程が提案されている。まず、パ
ネルの骨組をコイル材を縦横に何本も組み合わせ
て金網状に形成し、この金網状のコイル材の周囲
をフレームに固定する。この骨組を脱脂、水洗、
モルタル漬けして防錆処理を施した後、型枠内に
セツトし、この型枠内にセメント、混和剤、水等
からなる気泡コンクリートスラリーを打設し、し
ばらくの間仮養生させる。

仮養生が終ると型枠から外し何枚かをまとめて
前養生工程にて水をかけた後、オートクレーブ
（圧力蒸気釜）内へ入れて高温、高圧状態にて養
生する。オートクレーブにて養生されたパネル
は、外観の仕上塗装等が行なわれた後、製品とし
てストツクされる。

ところで、このようにして製造される気泡コン
クリートパネルは、いわゆる多機能素材と呼ばれ
るものであり、単一の気泡コンクリートパネルの
一方の側の表面が建築物の外壁面となり、他方の
側の表面がそのまま内壁となるようにして用いら
れうるものである。しかしながら、気泡コンクリ
ートパネルの外壁面として用いられるパネル表面
は、そのままでは機械的強度等が必らずしも十分
なものとはいえないものであつた。また、建築物
のエクステリアとしての模様付けをする場合は、
模様付け用の型部を有する大型の平板状部材等を
用いていたが、必らずしも効率のよいものではな
かつた。

一方、気泡コンクリートパネルの製造工程にお
いて、前記型枠内に気泡コンクリートスラリーを
打設する際には通常バケツト等を用いるが、１つ
の型枠に打設した後、次の型枠を所定の位置にセ
ツトして打設を再開するまでの間はバケツト等か
らのスラリーの供給は停止させておくこととな
る。しかしながら、この間にバケツト等内では残
留気泡コンクリートスラリーの硬化が進行してし
まうものであるため、一旦バケツト等内を水洗し
て、前記残留気泡コンクリートスラリーをバケツ
ト等から洗い流していたため廃スラリーを生じて
いた。このようにして生ずる廃スラリーを従来は
そのまま廃棄していたが、資材の省資源化という
要請にも反し、且公害の原因ともなりうるもので
あり、前記廃スラリーの有効利用方法が望まれて
いた。

本発明の目的は、廃スラリーを有効利用して、
模様付けをしたり、機械的強度等を増大したパネ
ル表面を有する気泡コンクリートパネルの製造方
法を提供するにある。

本発明は、パネル用型枠に気泡コンクリートス
ラリーを打設したのちに生じる廃スラリーを専用
の型材に流し込み、前記型材の形状によつてはそ
ののちプレス成形して所定の形態にしたのち養生
させるなどして廃スラリーより表面固着物を形成
する一方、パネル用型枠に打設した気泡コンクリ
ートスラリーの表面を一旦平らに均してパネル表
面を画成し、このパネル表面に前記表面固着物を
散状に配置し、ついで表面固着物をパネル表面に
押込むように押圧してパネル表面に、より確実に
固着させるようにしてパネル表面に模様を付けた
りパネル表面の機械的強度等を増大させることに
より、前記目的を達成しようとするものである。

以下、本発明の実施例を図面をも参照して説明
する。

第１図には、金網状のコイル材１を配置したパ
ネル用型枠２に、バケツト３より気泡コンクリー
トスラリー４を打設している状態が示されてい
る。

この気泡コンクリートスラリー４は、水硬性の
セメント質物質よりなる水分散スラリーに予め発
泡した泡を添加したものや、合成界面活性剤、蛋
白質分解物などの起泡剤の添加後の撹拌により発
泡したものであることが好ましい。また、前記水
分散スラリーには、砂、軽量骨材、珪砂粉末等を
加えてもよい。

水硬性のセメント質物質としてはポルトランド
セメント、フライアツシユセメント、スラグセメ
ント、シリカセメント、中庸熱セメント、アルミ
ナセメント等が挙げられるが、これらのものを２
種以上混合したものであつてもよい。

型枠２に気泡コンクリートスラリー４を打設し
た後、表面を一旦平らに均して、第２図に示すよ
うにパネル表面５を画成する。

ついで、このパネル表面５の全域にわたつて、
第３図に示すように、所定の大きさに形成した表
面固着物６を容器７より略均一的に撤いてパネル
表面５上に散状に配置する。

この表面固着物６は、第４図に示すように、前
記バケツト３を水洗する際に生ずる廃スラリー８
を、型材９に直接流し込み、型材９に設けた所定
の大きさおよび形状の複数の凹部１０により所定
の形状に形成し、第５図に示すように脱型した
後、養生させて用いる。養生はオートクレーブ養
生を含むことが好ましい。

このようにして形成した表面固着物６をパネル
表面５上に散状に配置した後、第６図に示すよう
に、ローラ１１を図中矢印Ｍの方向にパネル表面
５上を押圧回転移動させて、表面固着物６をパネ
ル表面５に押込んで固着させる。この際、パネル
表面５は、表面固着物６が押込まれるため高比重
（密度）化し、機械的強度の増大や水密性の向上
などがはかられることとなる。

また、ローラ１１をパネル表面５より若干の間
隔を設けた位置で移動させるなどすれば、パネル
表面５上に撤いた表面固着物６の状態に応じて凹
凸状の模様１２が形成され、あるいは、ローラ１
１をパネル表面５に密着するように移動させてパ
ネル表面５全体を平坦にした場合にあつても、表
面固着物６とパネル表面５との表面性状の相違に
基づいて模様１２が形成されることとなる。

次に、パネル全体をしばらくの間仮養生させ、
ついで脱型、前養生、オートクレーブ養生を適宜
行えば、第７図に示すように、パネル表面５に所
定の模様１２を有する気泡コンクリートパネル１
３を製造することができる。

このような本実施例によれば次のような効果が
ある。

廃スラリー８を有効に利用することができるた
め、省資源化の要請に応ずることができ、しかも
廃スラリー８の廃棄による公害等をひきおこすお
それがない。

また、パネル表面５に容易に模様１２を形成す
ることができ、しかも、模様１２の形状は、表面
固着物６の撤き方やローラ１１による押圧の状態
などにより種々のものとすることができるという
効果がある。

さらに、表面固着物６をパネル表面５に押込ん
でパネル表面５を高比重化するため、機械的強度
や水密性などに優れたパネル表面５を有する気泡
コンクリートパネル１３を提供することができ
る。

その上、表面固着物６はパネル１３を形成する
気泡コンクリートスラリー４の廃スラリー８より
形成され、つまりパネル表面５と同一材料で形成
されているため、表面固着物６とパネル表面５と
の親和力が強く、よつて相互の結合を強くできて
表面固着物６が剥がれ難く、パネル１３の表面強
度をさらに向上できるという効果もある。

なお、上述の実施例においては、表面固着物６
は複数の凹部１０を有する型材９により形成する
ものとしたが、第８図に示すように、方形状の型
枠２１に廃スラリー８を流し込んで、一旦平板状
の廃スラリー板であつてまだ比較的軟らかいもの
とした後、第９図に示すように、この廃スラリー
板２２に複数の型部２３を有するプレス型部材２
４をプレスした後脱型して形成してもよい。ある
いはまた、前記廃スラリー板２２をカツタにより
所定の形状に切断してもよい。さらに、廃スラリ
ー８を前記バケツト３から直接型材９，２１に流
し込むものとしたが、廃スラリー８を一旦別の容
器等にストツクしたのち流し込んでもよい。

上述のように本発明によれば、廃スラリーを有
効利用して、模様付けをしたり、機械的強度等を
増大したパネル表面を有する気泡コンクリートパ
ネルの製造方法を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図、第６図、第７図は本発明
による気泡コンクリートパネルの製造方法の一実
施例の製造工程を示す斜視図、第４図、第５図は
前記実施例における表面固着物の製造工程を示す
斜視図、第８図、第９図は表面固着物の製造方法
の他の実施例の製造工程を示す斜視図である。 ２…パネル用型枠、４…気泡コンクリートスラ
リー、５…パネル表面、６…表面固着物、８…廃
スラリー、１１…ローラ、９，２１…型材、２４
…プレス型部材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 廃スラリーより表面固着物を形成する一方、
   パネル用型枠に気泡コンクリートスラリーを打設
   したのち表面を一旦平らに均してパネル表面を画
   成し、このパネル表面に前記表面固着物を散状に
   配置し、ついで表面固着物をパネル表面に押圧し
   て固着させるようにしてパネルを形成するととも
   に、前記パネル用型枠に気泡コンクリートスラリ
   ーを打設したのちに生じる余剰分を前記廃スラリ
   ーとして再利用することを特徴とする気泡コンク
   リートパネルの製造方法。 ２ 特許請求の範囲第１項において、廃スラリー
   より表面固着物を形成する方法は、廃スラリーを
   型材に流し込んで所定の形態にしたのち養生させ
   る方法であることを特徴とする気泡コンクリート
   パネルの製造方法。 ３ 特許請求の範囲第１項において、廃スラリー
   より表面固着物を形成する方法は、廃スラリーを
   型材に流し込んだのちプレス成形して所定の形状
   にしたのち養生させる方法であることを特徴とす
   る気泡コンクリートパネルの製造方法。