JPH0124306Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は既設の建物に展装されている古い外壁
材を新しい外壁材に改装するための改良装置に関
する。

古い外壁材を建造物躯体より斫り取つて、これ
に新しい外壁材を展装すれば、斫り作業のための
日数及び粉塵の発生などの面から好ましくないた
め、古い外壁材を建造物躯体より除去することな
く残存せしめ、この上から新しい外壁材を展装す
るようにした施工例が従来から存在する。この場
合、古い外壁材をそのまま残存せしめ、この上に
支持骨枠を介して新しい外壁材を展装するのであ
るから、当然に新しい外壁材の室外側への突出量
が多くなり、これがために既設の古い窓枠と新し
い外壁材との段差が大きくなつて外観上の体裁が
悪くなるから古い窓枠を撤去して、あるいは別に
新しい窓枠を新外壁材に近接して取付ける必要が
生じる。ところが既設の古い窓枠は、建造物躯体
に直接取付けられるから強度上問題はないが、新
しい窓枠は建造物躯体より室外側に突出した位置
で取付けられるからその支持構造が充分に堅固で
なければならず、また各階層に取付けられる新し
い窓枠は互いに面一になるよう整正形成されなけ
ればならない。しかるに従来にあつては、この面
の配慮が充分になされておらず、強度上不安があ
り、整正形成上多くの問題があつた。

本考案は、上述の難点を解消することを目的と
したもので、以下本発明の一実施例を図面によつ
て説明すると、第１図のように例えば外壁をタイ
ル張りとした既存の建造物躯体Ａの外壁材１を第
２図のように新しい外壁材２、例えばカーテンウ
オール、スパンドレル（商品名）の如き外壁材２
に取りかえるにあたり、本発明は第３図の如く建
造物躯体Ａにおける古い外壁材１の頂壁部たる古
い笠木部分３に比較的長尺な支持金物である笠木
取付部材４を頂壁部長手方向に所要間隔おいて配
設して基礎植込み杆（例えば商品名ホールインア
ンカー）５にて固着する。この際、笠木取付部材
４には予め長孔４ａが穿設されており、基礎植込
み杆５にて固着する時に、該取付部材４を長孔４
ａに沿つて古い笠木部分３上を幅方向に移動させ
て各取付部材４の両端に設けた取付部片４ｂ，４
ｃの室内外への突出量を整正形成し、後述の笠木
ユニツト６を取付ける時の位置決めを兼ねる。次
に予め笠木板６ａに笠木受板６ｂを一体固着する
と共に笠木受板６ｂの幅方向両端をＬ字状に折曲
して連結部片６ｃ，６ｄを形成し、且つ笠木受板
６ｂの裏面長手方向に取付金具６ｅと補強リブ６
ｆを一体溶着したものを笠木ユニツト６として製
作しておき、この笠木ユニツト６を前記笠木取付
部材４に被冠し、笠木ユニツト６の取付金具６ｅ
と連結部片６ｄとを、笠木取付部材４の取付部片
４ｂ，４ｃに溶着し、なお適宜補強リブ６ｆと笠
木取付部材４との間にモルタル７を充填し笠木ユ
ニツト６の古い笠木部分３に対する支持を強固に
する。又、建造物躯体Ａの外側面において古い外
壁材１に基板部９ａと取付板部９ｂとからなるア
ングル状の取付金物９を所要多数個所位置に配し
て各取付金物９の基板部９ａを基礎植込み杆８に
て固着し、外壁材１から突出した各取付金物９の
取付板部９ｂ間にわたつて鉛直状態に配した縦支
持骨枠１０を架設且つ溶着する。この縦支持骨枠
１０は外壁材２を面一に整正形成するための芯出
し部材を兼ねる。第６図に示すように既設の建物
は長期の使用中に、不等沈下や腐蝕作用によつて
傾斜したり、古い外壁材に凹凸が発生している。
また当初の建築時から各階層の外壁材１ａ，１
ｂ，１ｃから面一に形成されていない場合があ
る。このため縦支持骨枠１０を取付金物９の取付
板部９ｂに溶着するに当たつて、縦支持骨枠１０
を、窓開口部１２を除いて古い外壁材１の上下全
長間にわたつて延びる長尺なチヤンネル状の骨枠
を用い、この縦支持骨枠１０が鉛直状態になるよ
う吊下または立設した状態で、たとえばその上端
部と下端部とを取付金物９の取付板部９ｂの側面
部に仮付け溶接し、しかる後、各階層の外壁材１
ａ，１ｂ，１ｃから突出する取付金物９の取付板
部９ｂの側面部と縦支持骨枠１０とを本付け溶接
する工程を経る。しかる後縦支持骨枠１０間にわ
たつて水平方向に延びるチヤンネル状の横支持骨
枠１１を架設且つ溶着し、これによつて古い外壁
材１の外面に格子状に縦横の支持骨枠１０，１１
を配設固定し、横支持骨枠１１に外壁材２をビス
止めなどによつて展装固着する。一方、建造物躯
体Ａの窓開口部１２内において第４図に示すよう
に古い窓枠の枠主体１３に対し不要な出張り部分
を適当に切除してその基体部分をコンクリート壁
に残存させ、且つこの古い枠主体１３の上枠１３
ａに補助金物１４の一端を溶着すると共に、この
補助金物１４の他端を窓開口部１２から建造物躯
体Ａより室外側に突出させて該突出端部に水平方
向の通し部材たる連結金物１５を溶着し、この連
結金物１５を縦支持骨枠１０に溶着させる。

１９は新に取付けられるアルミニウム製窓枠で
あつて、該窓枠の上枠１９ａにはそのアンカー部
分に係合用鉤形突条２０ａ，２０ａが対向形成さ
れ、これにアンカー金物２１の二又状挟持片部２
１ａ，２１ａが係合された状態で、該窓枠１９を
古い外壁材１よりも室外側の窓開口部１２にあつ
て、縦支持骨枠１０の延長線上に配置し、前記連
結金物１５と上枠１９ａに係合されているアンカ
ー金物２１とを適当な補足金物２２ａを介して連
結してなる。

本考案の特徴とする構造は、第５図に示すよう
に古い枠主体１３の下枠１３ｂにも補助金物１６
の一端を溶着すると共に、その他端を室外側に突
出させてこの突出端部に水平方向に延びる通し部
材たる逆Ｌ字状の連結金物１７を溶着する。そし
てこの連結金物１７を窓開口部１２よりも下側の
縦支持骨枠１０に適当な補足金物２２ｂを介在さ
せて溶着すると共に、この連結金物１７に新しい
窓枠１９の見付け方向（正面水平方向）と見込み
方向（奥行方向）の取付位置基準板を兼ねた断面
略階段状のアンカー金物１８を溶着し、このアン
カー金物１８に新しい窓枠１９の下枠１９ｂを載
置することによつて、その水平片部１８ａと垂直
片部１８ｂとに対する下枠１９ｂの接当によつて
正確に位置決めされ、この状態でビス止めされる
ようになつている。

なおまた第４図及び第５図において２３ａ，２
３ａはそれぞれ水切り板で、このうち第５図に示
すように下枠側の水切り板２３ｂには新しい外壁
材２の上端部を包覆する凹部２５が設けられ、シ
ール材２８によつて水密結合される。また２６
ａ，２６ｂは新しい窓枠１９から室内側に向けて
取付けた膳板である。

また第３図において、新しい外壁材２の最上端
部は前述の笠木板６ａの外壁側先端部を凸凹状に
連続折曲して形成した凹部２４によつて覆われ、
この凹部２４において笠木ユニツト６と外壁材２
の最上端部とがシール材２７によつて水密結合さ
れるようになつている。

以上説明したように本考案は、古い外壁材に縦
方向適当間隔に複数個のアングル状取付金物を配
して各取付金物の基板部を該外壁材に固着し、こ
れらアングル状取付金物の各取付板部の側面部
に、外壁材の芯出しを兼ねて鉛直状態に配した縦
支持骨枠を溶着したものであるから、建造物の各
階層においてその外壁材表面が凹凸を呈して面一
でなかつたり、あるいは建造物の全階層に亘つて
外壁材表面が凹凸や段差を形成したりまた鉛直面
に対し傾斜状を呈していても、縦支持骨枠それ自
体を鉛直位置に保持した状態で各取付金物の取付
板部に溶着することによつてこの縦支持骨枠が云
わば鉛直基準枠を形成し、この鉛直基準枠たる縦
支持骨枠に横支持骨枠を介して新しい外壁材を固
着することによりこの新設外壁材は鉛直面に沿つ
て面一に取付けられ得る。特に縦支持骨枠を取付
金物に取付けるにあたつては、古い外壁材表面の
凹凸や段差により該外壁材表面と鉛直状態に配設
される縦支持骨枠との間隔が各取付金物の設置箇
所ごとにまちまちであつても、縦支持骨枠は各取
付金物における取付板部の先端部ではなくその側
面部に溶着されるものであるから、各取付板部の
長さをある程度余裕をもつて長くとつておいて縦
支持骨枠を、各取付板部の側面部の何処かに接当
しうるように鉛直に建て付け、該側面部との任意
接当位置にて溶接を施せばよく、したがつて各取
付金物の取付板部の長さを前記間隔に応じて個々
に設定する必要がないため縦支持骨枠の取付金物
に対する取付けが非常に簡単となる。そして、鉛
直位置に固定した縦支持骨枠の下端部延長上に新
しい窓枠の下枠を配置して、この下枠と、隣り合
う縦支持骨枠間に亘つて固着した連結金物とをア
ンカー金物を介し連結するため、各階層の窓枠は
特別に位置決めを行うことなく互に面一にして且
つ鉛直面上に自動的に整正形成される。また、古
い外壁材に縦方向適当間隔に取付金物を溶着し、
これら複数の取付金物に溶着された縦支持骨枠と
各縦支持骨枠に橋架固着された連結金物を介して
新しい窓枠の下枠を連結してなるため、下枠を充
分堅固に取付けることができる。

更に本考案によれば、隣り合う縦支持骨枠間に
わたつて固着した連結金物に新しい窓枠の見付け
方向と見込み方向の基準板を兼ねた断面略階段状
のアンカー金物を固着し、このアンカー金物と窓
枠の下枠とを連結しているので、アンカー金物を
基準としてこれに下枠を載架するだけで下枠の取
付けが簡単にして且つ正確に行える。

【図面の簡単な説明】

第１図は改装される前の建物の外観を示す正面
図、第２図は改装された建物の外観を示す正面
図、第３図は改装された建物の古い笠木部分を示
す拡大縦断側面図、第４図は改装された建物の窓
部上枠部分を示す拡大縦断側面図、第５図は改装
された建物の窓部下枠部分を示す拡大縦断側面
図、第６図は改装された建物の外壁材取付状態を
示す縦断側面図である。 １……古い外壁材、２……新しい外壁材、９…
…取付金物、９ａ……基板部、９ｂ……取付板
部、１０……縦支持骨枠、１１……横支持骨枠、
１７……連結金物、１８……アンカー金物、１９
……新しい窓枠、１９ｂ……下枠。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 建造物躯体より除去することなく残存せしめた
   古い外壁材に縦方向適当間隔に複数個のアングル
   状取付金物を配して各取付金物の基板部を該外壁
   材に固着し、これらアングル状取付金物の各取付
   板部の側面部に、新しい外壁材の芯出しを兼ねて
   鉛直状態に配した縦支持骨枠を溶着し、該縦支持
   骨枠に横支持骨枠を溶着してこれら横縦支持骨枠
   を格子状に枠組し、この格子状支持骨枠に新しい
   外壁材を展装固着すると共に、隣り合う縦支持骨
   枠間にわたつて通し部材たる連結金物を固着し、
   この連結金物に新しい窓枠の見付け方向と見込み
   方向の基準板を兼ねた断面略階段状のアンカー金
   物を固着し、このアンカー金物と、縦支持骨枠の
   上端部延長上に配置した新しい窓枠の下枠とを連
   結してなる改装された建物における窓下枠の取付
   装置。