JPH0124091B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、粉塵、細粒を含む粒状物を積載して
運搬後、荷卸しに際し荷箱を揚立させることによ
つて、積載物中に混在する粉塵、細粒が篩別けら
れて、夫々別個の煽戸から排出されるようにされ
た篩別け装置を備えたリヤダンプ方式のダンプ運
搬車に関する。

〔従来の技術〕

一般に、シリコマンガン、フエロシリコン、フ
エロクロム等の合金鉄類又はコークス、石炭等の
粒状物は、生産の頭初から同質の粒塵、細粒を含
むものが多い。これらを商品として需要先へ供給
する場合、若しくは別の工場へ原材料として供給
する場合には、篩別けの工程を経て粉塵、細粒を
除いたものが供給される。従来、この篩別けに際
しては、リヤダンプトラツクで運ばれた貨物を固
定設備としての別の篩別け装置にかけて篩別けし
ているのが普通である。

しかし、この篩別けの工程は場所や設備を必要
とするほかに、大変手間が掛るし、また、それと
は別に粉塵等の飛散による環境汚染などの問題も
あつた。

本発明者は、上記の問題に鑑みこの篩別け工程
を省略し、リヤダンプトラツクによる輸送の過程
の最終段階である荷卸し時において篩別けを可能
ならしめた、篩別け装置を備えたダンプトラツク
を先に提案した。その詳細は特開昭56−28025号
公報（特公昭58−58245号公報）に示されている。
それらに示されているダンプトラツクにおいて
は、篩別けを必要とする粒状貨物を積載し、これ
を荷卸しの際に荷箱の揚立によつて同時に篩別け
ることができ、粒状貨物が細粒粉を多く含むこと
である場合でも、篩別けされた粒状貨物が荷箱の
揚立によつて篩下細粒粉と再び混ざつてしまわな
いようにしてある。

〔発明が解決しようとする問題点〕

ところで、粒状貨物の性状が固まり易いもので
ある場合、荷卸し時の荷箱の揚立によつて粒状貨
物が一度にずり落ちることなくその上下層の撹拌
を伴いながら適度に抑制された流下をして一様に
篩別けされるようにすることは、多くの場合に運
転者が自身で行なう荷箱揚立操作を単純化するた
め、および常に良好な篩別けの結果を得るために
ぜひ必要なことである。前記公報に示されたダン
プトラツクにおいてもこれの対策がなされている
が、それは唯単なる荷箱床面上の幅方向の複数本
の固定突条で構成されているため、荷卸し時の荷
箱の揚立による粒状貨物の雪崩現象を防ぐには不
充分で、荷箱の揚立の速度を加減するなど、運転
者に対して複雑な操作を課していた。

本発明の目的は、上述の事態に鑑み、篩別け工
程のための専用の場所や固定設備を不要とし、輸
送の過程において篩別けを同時に果し得るように
したダンプ運搬車において、荷箱の揚立操作を複
雑にせずとも、荷卸し時に粒状貨物が雪崩現象を
起すことなく適量ずつ篩に供給されるように調節
可能としたダンプ運搬車を提供することである。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明によるダンプ運搬車は、前述の問題点を
解決するために、前立板と両側立板とで床板の三
方を囲み、残りの一方に後方煽戸を開閉可能に且
つ閉鎖位置にロツク可能に取り付けた起伏可能な
荷箱と；荷箱内後方部に設置された篩網と；この
篩網の下部に設けられ、後方が、開閉可能且つ閉
鎖位置にロツク可能な前記後方煽戸によつて閉じ
られた篩下荷室とを備えたものにおいて、前記篩
網より前方の荷箱内に動力作動手段によつて傾斜
角度を調整可能に設けられ、傾斜度合に応じて荷
の流れに抵抗を与えるストツパーを備えたことを
特徴とするものである。

〔作用〕

本発明の篩別け装置を備えたダンプ運搬車にお
いては、荷箱の傾動による粒状貨物の流下をスト
ツパーの動力作動手段による傾斜度合の調整で制
御し、粒状貨物の雪崩状の一斉流下を防止し、適
度な流下を達成するものである。

〔実施例〕 図中の符号１は荷箱であつて、車体２に設けた
荷箱起伏用流体ジヤツキ装置１０の動作により起
伏自在にしてある。荷箱１は前立板１４と左右両
側の側立板１５（図では右側のもののみを示す）
とで床板６，７の三方を囲み、残る一方、すなわ
ち床板７の後方に後方煽戸９ａ，９ｂを取付けて
構成されている。荷箱１の中ほどには、両側立板
１５に上部両端が枢支され、下縁が床板６との間
で隙間１６を形成した仕切煽戸５が配置されてお
り、この仕切煽戸５によつて、荷箱１内が、積荷
の粒状貨物を積載する場所としての前方部３と、
荷卸し時に粒状貨物を篩別けする場所としての後
方部４とに分けられている。前記仕切煽戸５は、
両側立板上の枢支部１７から後方へ延びた腕１８
の先に垂下固定されており、枢支部１７まわりに
枢動可能であつてしかも任意の回動位置に固定で
きるようになされている。また仕切煽戸５の高さ
は両側立板１５よりも高くなされ、直立状態に固
定ロツクされることで、前方部３の積荷が走行中
に後方部４へ洩れ落ちるのを防止する。

６は前方部３の床板であつて、図示の実施例で
は車長方向前方が積載深さを大ならしめるため前
下り傾斜させてある。７は後方部４の床板であつ
て、前方部３の床板６よりも底深くなつている。
後方部４の中間高さ位置には上下二段に篩網８ａ
と８ｂがそれぞれ平らに張り渡されており、各々
の篩網の後方部分は仕切床板７ａ，７ｂによつて
閉じられていて、それぞれ第１篩下荷室１９ａと
第２篩下荷室１９ｂとを形成し、それぞれ一方の
荷室１９ａの後部が一方の後方煽戸９ａで、他方
の荷室１９ｂの後部が他方の後方煽戸９ｂで開閉
可能に区切られている。これらの後方煽戸９ａと
９ｂは、手動或いは遠隔操作でロツクおよびその
解除が可能なかけ金等を備えた通常のものと変り
はない。また、上方の篩網８ａよりも下方の篩網
８ｂのほうが目の細かいものであることは述べる
までもない。さらにまた仕切床板７ａの上部にお
ける荷箱後端は図示の例では開放されているが、
ここにも後方煽戸を設けても良いことは勿論であ
る。

さてこの実施例においては、荷箱前方部３内の
後方寄り位置、つまり仕切煽戸５の直前位置に、
床板６から起伏して傾斜角度を変えられるように
ストツパー１２が設けられている。このストツパ
ー１２は床板６の裏面に取付けられた油圧シリン
ダ装置１１によつて起伏され、起立状態ではその
高さが側立板１５の上縁よりも低くなるようにさ
れている。

このストツパー１２の主な役目は、荷卸しの場
合に粒状貨物が一度に雪崩現象を起こさないよう
に起伏の傾斜角度を加減して、仕切煽戸５の下部
の隙間１６から後方部４へ流出する荷卸量を調整
するために設けたものである。

またこの例では仕切煽戸５の回動位置を適当に
してこれをロツクすることで隙間１６の開度も加
減でき、ストツパー１２と合わせて荷の流下量の
調整に効果的である。

１３は荷箱１の前半部３の両側板間に夫々上部
が軸支された邪魔板であつて、固定角度を調整す
るためのロツク装置を備えていてもよく、これは
荷卸しの際に必要に応じて垂直方向に固定するこ
とによつて、粒状貨物の急な流下を抑止すると共
に、ストツパー１２にかかる荷の重さを一部分担
し、荷箱の補強要素としても機能する。

前記の篩網８ａ，８ｂは後方部４内にそれぞれ
ほぼ水平に配置されており、好ましくは個々に
種々のメツシユのものと交換可能に固定する。ま
た上方の篩網８ａは下方の篩網８ｂよりも外形面
積が大であり、上方の篩網８ａを取り外したとき
に形成される開口から、下方の篩網８ｂを抜き出
せるようにしてある。またそれらの篩目は当然の
ことながら下方の篩目を細かくし、例えば10〜80
mmのものを粒状貨物の種類、目的に応じて適当に
交換して用いる。なお、この実施例では篩網を２
段としたものを示したが、勿論２段以上の多段と
することもできる。更に、この篩網８ａと８ｂの
広さは、単巾方向には略荷箱内法と等しい巾と
し、車長方向の長さは荷卸しの際、荷箱の傾斜に
伴い粒状貨物が短時間に完全に過篩別けされる
長さとする必要がある。また、図から明らかなよ
うに、後方部４の仕切床板７ａ，７ｂは、いずれ
も篩網８ａ，８ｂを車長方向前方寄りに設けるこ
とで車長方向後方の床板として比較的広い面積を
保有させてある。これは構造上重要な作用をなす
もので、これによつて形成される荷室１９ａおよ
び１９ｂの後方部に篩別けされた粒状物を溜め、
図示を省略してある最上部の後部煽戸や、第１の
篩下煽戸９ａ及び第２の篩下煽戸９ｂを順次開く
ことにより、車外へ粒度毎に分別されたものが
別々に排出されることになる。

尚、各煽戸のロツク装置を例えば油圧または空
圧系統の回路へ結合することにより各煽戸及びス
トツパー１２の開閉操作を定められた一個所で行
えるようにすることも勿論可能である。

尚、図面には揚立状態の荷箱１を鎖線で示して
ある。

次に粒状貨物の積載、荷卸しの操作について説
明すると、先づ粒状物の積載は、荷箱１の前半部
３、即ち仕切煽戸５より前方にのみ行われる。そ
れ故、積載量が少なくならないように前述のよう
に荷箱前方を深くし、又荷箱の車長方向長さを一
般用のものより長くする配慮をするのがよい。次
に、輸送先における荷卸しに際しては、仕切煽戸
５を回動して隙間１６を開とし、ストツパー１２
を、油圧シリンダ装置１１を作動させて適当な傾
斜角度に起立させた上で、荷箱起伏用ダンプ装置
を作動させて傾斜角度を略50゜の角度まで傾斜さ
せるが、その間に粒状貨物の流下状態が常に一層
になつて流下し、雪崩現象や一斉流下が起らない
ようにするために、前記ストツパー１２の傾斜角
度をシリンダ装置１１で調整するものである。こ
の場合、必要に応じて邪魔板１３を回動すること
も上記の調整に有効に働く。このようにして篩網
８ａ及び８ｂへ掛る前の粒状貨物の流れの厚さを
均一な層流とすることが本発明の効果を確実なら
しめる。また、篩網８ａ及び８ｂの後方の床板７
ａ及び７ｂは篩別けには直接関係しないが、篩下
荷室１９ａ，１９ｂの仕切りの役目を果すこと
と、夫々篩下煽戸９ａ及び９ｂを開くことにより
篩別けされた貨物が車外へ排出される時に混合し
ないようにすること及び溢出防止の作用をなす。

〔発明の効果〕

本発明の篩別け装置を備えたダンプ運搬車は、
従来は篩別け工程と別に輸送していて粉塵、細粒
を含む粒状物を輸送の過程で同時に効果的に篩別
けすることを可能とする。この場合、荷箱の複雑
な揚立操作が不要であり、別の操作手段で独立し
て荷の流下をコントロールできるので、荷卸し時
に粒状貨物が雪崩現象を起すことなく適量ずつ篩
に供給されるようにすることが可能である。従つ
て、篩別け工程の設備、手間が総て省略される輸
送機能と篩別け機能を兼ね備えた操作性の良いダ
ンプ運搬車を提供するもので、産業上多大の貢献
をなすものである。

【図面の簡単な説明】

図面は、荷箱部分を模式的断面で示した本発明
の実施例を示す側面図である。 主要部分の符号の説明、１：荷箱、２：車体、
３：前方部、４：後方部、５：仕切煽戸、６，
７：床板、８ａ，ｂ：篩網、９ａ，ｂ：後方煽
戸、１０：荷箱起伏用流体圧ジヤツキ装置、１
１：油圧シリンダ装置、１２：ストツパー、１
３：邪魔板、１４：前立板、１５：側立板、１
６：隙間、１７：枢支部、１８：腕、１９ａ，
ｂ：篩下荷室。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 前立板１４と両側立板１５とで床板６，７の
   三方を囲み、残りの一方に後方煽戸を９ａを開閉
   可能に且つ閉鎖位置にロツク可能に取り付けた起
   伏可能な荷箱１と；荷箱内後方部に設置された篩
   網８ａと；この篩網の下部に設けられ、後方が、
   開閉可能且つ閉鎖位置にロツク可能な前記後方煽
   戸９ａによつて閉じられた篩下荷室１９ａ；とを
   備えたものにおいて、 前記篩網８ａより前方の荷箱内に動力作動手段
   １１によつて傾斜角度を調整可能に設けられ、傾
   斜度合に応じて荷の流れに抵抗を与えるストツパ
   ー１２を備えたことを特徴とするダンプ運搬車。 ２ 動力作動手段が、ストツパー１２を回動させ
   る流体圧シリンダ装置１１を有することを特徴と
   する特許請求の範囲第１項に記載のダンプ運搬
   車。 ３ ストツパー１２が、その傾斜の中間位置でロ
   ツク可能になされていることを特徴とする特許請
   求の範囲第１項に記載のダンプ運搬車。