JPH0123319B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、万年筆、より詳しく云うと、軸の前
端部から突出するように軸に収容された通常のペ
ン先とペン心（feed bar）とを有し、軸が毛管路
及び通気路を有する孔を備えた仕切り部材によつ
て、ペン心の後端部付近で軸線方向に分けられて
いるタイプの万年筆に関する。

［従来の技術］ 万年筆に内蔵されるインク供給カートリツジ
は、ケニツグ（Koenig）に付与された米国特許
第3532436号及びムツチユラー（Mutschler）に
付与された米国特許第3521969号の各明細書に開
示されているように、本技術分野においては公知
である。これら従来のカートリツジは、ピンある
いはスタツドを越えて伸びるようになつているニ
ツプル（nipple）状の端部が軸の後部に挿入され
るように形成されている。

［発明が解決しようとする問題点］ 従つて、カートリツジはこの突起部を介して装
着しなければならず、プラスチツク製のカートリ
ツジとスタツドとの係合摩擦によりカートリツジ
の装着は著しく面倒なものとなる。従来のカート
リツジが有するかかる欠点に対し、変形自在の材
料を用いてカートリツジをつくることが提案され
ているが、変形自在の材料はいずれも、弾性を失
ない易く、従つて、かかる材料からつくられたカ
ートリツジはインク漏れを生じ易い。

本発明は、従来技術が有する叙上の欠点に鑑み
てなされたものである。

［問題点を解決するための手段］ 本発明は、ペン先１０と、ペン心１５と、ペン
先１０及びペン心１５を保持する軸１２と、ペン
心１５から離れるようにして伸びかつ貫通孔２６
を有する筒状のボス２４を備えペン心１５に隣接
して軸１２内に設けられた仕切り部材２０と、閉
塞端部３２と先端に向かつてテーパの付いた開放
端部３５とを備えて軸１２に伸びるカートリツジ
３０とを具備してなる万年筆において、上記問題
点を解決する。すなわち本発明においては、カー
トリツジ３０の開放端部３５の先端の径方向内側
に、軸１２の両端部に向かつて互いに反対方向に
伸びるリツプ３８及び４０を有する突起から成る
シール手段３６を設け、このシール手段３６の内
径寸法をボス２４の外径寸法よりも小さく形成し
た。そして、カートリツジ３０の開放端部３５と
仕切り部材２０の径方向内側の面とを係合させて
シール部材３６に径方向内側に向かう力を与え、
シール手段３６をボス２４にきつく接触させる。
また、仕切り部材２０と開放端部３５の先端とを
係合させて追加シール３５ａを形成する。

［発明の概要］ 本発明に係る万年筆は、軸又はケーシング（以
下、軸という。）１２の後部に、軸線方向に伸び
るボス２４を有する仕切り部材２０が収納されて
いる。そしてインクを収容することができるカー
トリツジ３０は、閉塞端部３２を有する後方円筒
部３１と開放し得る端部すなわち開放端部３５を
有する前方円筒部３４とを備え、開放端部３５は
ボス２４の外面と係合する。開放端部３５の内面
には、ボス２４の外面に滑り嵌めされてボス２４
の外面に封止係合即ちシール係合する二重リツプ
シールからなるシール手段３６が設けられてい
る。シール手段３６はボス２４の外径よりも小さ
い内径を有しており、また、カートリツジ３０の
前方に向つて縮径するテーパの付いた開放端部３
５の外面が仕切り部材２０の内面と係合すると、
シール手段３６は半径方向内側に押圧されて、シ
ール作用が得られる。更に、カートリツジ３０の
前方円筒部３４の開放端部３５の先端が仕切り部
材２０と係合して一層良好なシールが得られる。

本発明は、カートリツジ３０の二重リツプシー
ルすなわちシール手段３６をボス２４の周囲に配
置せしめるようにしたもので、種々の優れた作用
効果が得られる。先ず、第１に、カートリツジ３
０内の圧力がリツプ４０に作用し、通常の大気圧
以上の圧力でリツプ４０を加圧するので、リツプ
４０をボス２４に対して押圧することができる。
更に、外圧がリツプ３８に作用した場合でも、同
様な態様で圧力差を補償するので、カートリツジ
３０とボス２４とのシール係合を容易に行なうこ
とができる。カートリツジ３０とボス２４とのシ
ール係合を保つため、カートリツジ３０は軸１２
内に嵌合される段が付き且つテーパの付いた部分
を有している。

本発明の一実施例の万年筆では、カートリツジ
３０は段付きの内面を有する軸部分により安定に
保持される。即ち、段を有し前方に向つて縮径す
るテーパの付いた部分が軸１２に装着されると、
カートリツジ３０と軸１２は、少なくとも２つの
離隔した部分４８及び５０で接触する。かかる構
成により、カートリツジ３０は軸線方向に安定に
保持されるとともに、空気がシール部を介して入
り込むことにより万年筆のインク供給系の微妙な
バランスを崩すという弊害が除去される。更に、
カートリツジ３０は、前方円筒部３４の開放端部
３５の先端が仕切り部材２０に当接係合するとと
もに、カートリツジ３０の一部分が軸１２の内面
と密接係合して装着されるので、上記した良好な
シールが得られる。

［実施例］ 以下、本発明を図面に示す好ましい実施例に基
づいて説明する。

第１図に示す万年筆は、軸１２及び軸１２の前
端部から突出するように軸に収容されかつペン心
（feed bar）１５を組合わされて成る一般的なペ
ン先１０を有しており、ペン先１０とペン心１５
とは固定ナツト１６により軸１２に保持されてい
る。軸１２の後部の内面にはねじ山１８が切られ
ている。参照番号２０は軸１２の後部に収容され
ている仕切り部材を示しており、仕切り部材２０
は軸１２のねじ山１８と螺合するねじ山を外面に
有する外壁２０ａとペン心１５の後端部１５ａと
当接する前端部２２とを有している。仕切り部材
２０の後部内側には、１以上の毛管路２８を内面
に有する貫通孔２６を備えた軸線方向に伸びるボ
ス２４が、仕切り部材２０の外壁２０ａと共軸を
なすように設けられており、仕切り部材２０の外
壁２０ａの内面とボス２４の外面との間には環状
の孔が形成されている。

軸１２は後部に、軸延長部材１２′を備えてい
る。そして、この軸延長部材１２′は前方に軸１
２内に滑り嵌めされる縮径部１３を有しており、
縮径部１３を画定する段部１４を軸１２の後端部
に当接させることにより、軸延長部材１２′は軸
１２に係合保持される。軸延長部材１２′は、キ
ヤツプ（図示せず）のねじ部と螺合するねじ山１
７を外面に有するとともに、カートリツジ３０が
挿入される孔を有している。従つて、本発明に係
る万年筆は、軸延長部材１２′が有する径の大き
い孔と仕切り部材２０の外壁２０ａの内面とボス
２４の外面とにより画定される径の小さい孔の、
２つの径の異なつた孔からカートリツジ挿入孔を
形成していることがわかる。カートリツジ３０を
挿入する孔は段付きの孔として形成することもで
きる。

インク溜めであるカートリツジ３０は、例え
ば、ポリエチレン等のプラスチツクのごとき半硬
質の材料から作ることのできる略円筒形の中空体
からなる。カートリツジ３０は、図示のように、
閉塞端部３２を有する後方円筒部３１、前方に向
つて縮径するテーパの付いた中間部３３及び開放
端部３５を有するとともに前方に向つて縮径する
テーパが付いた前方円筒部３４を備えている。前
方円筒部３４の開放端部３５の内面には、軸線方
向に沿つて対向して設けられた一対の環状のリツ
プ３８及び４０を先端に有する二重リツプシール
（シール手段）３６が半径方向に環状に設けられ
ており、カートリツジ３０が軸内に装着されるま
では、二重リープシール３６が画定する孔の中に
ボール４２が装着されてカートリツジ３０が封止
されている。ボール４２は、カートリツジ３０の
開放端部３５をボス２４の周面に装着するとカー
トリツジ３０の内部へ移動し、二重リツプシール
３６が開放される。

特に、第３図に詳細に示すように、二重リツプ
シール３６は軸線方向前方に突出するリツプ３８
と後方へ突出するリツプ４０とを有している。後
方へ突出するリツプ４０は、カートリツジ３０内
のインクの圧力によつて作動されるようになつて
いる。即ち、カートリツジ内のインクの圧力が何
らかの理由で上昇すると、リツプ４０はボス２４
に押し付けられ、カートリツジ３０内のインクが
カートリツジ３０から押出されるのを阻止する。
同様に、リツプ３８が設けられているカートリツ
ジの大気に接する外側の部分に、何らかの理由で
過剰の圧力が加わると、リツプ３８がボス２４に
押付けられて、インクが押出されるのを阻止す
る。かくして、カートリツジ３０に外側から圧力
が加わつた場合にも、カートリツジ３０の開放端
部３５は、ボス２４を周囲からきつく締付けるこ
とになる。このようなボス２４の添付けは、カー
トリツジの開放端部３５の先端が仕切り部材２０
と係合部分３５ａで当接係合することにより、一
層効果的に行なわれる。

更に、図面に示すように、カートリツジ３０
は、前方円筒部３４が仕切り部材２０の外壁２０
ａの内面と係合部分４８で係合して仕切り部材２
０に密着するとともに、二重リツプシール３６を
半径方向内側に付勢するようになつている。ま
た、カートリツジ３０の中間部３３は軸延長部材
１２′の内面と係合部分５０で係合する。これら
係合部分４８と部分５０とは互いに離隔してお
り、これらの係合部分４８及び５０がカートリツ
ジ３０を嵌着状態に保持する。これにより、カー
トリツジ３０の装着が安定し、かつ、二重リツプ
シール３６がボス２４に対して均一に封止係合す
なわちシール係合するようになる。

［発明の効果］ 本発明によれば、カートリツジの開放端部の径
方向内側に軸の両端部に向かつて互いに反対方向
に伸びるリツプを有するシール手段を設け且つ該
シール手段の内径寸法をボスの外径寸法よりも小
さく形成し、更に開放端部と仕切り部材の径方向
内側の内面とを係合させてシール部材に径方向内
側に向かう力を与えてシール手段をボスにきつく
接触させるようにしたので、良好なシールを得る
ことができる。また、仕切り部材と開放端部の先
端とを係合させて追加シールを形成するので、一
層良好なシールが得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る万年筆の部分断面正面
図、第２図は第１図の２−２線断面図、第３図は
第１図の万年筆の軸内に設けられた仕切り部材と
カートリツジとの係合部を部分的に拡大して示し
た断面図である。 １０……ペン先、１２……軸、１２′……軸延
長部材、１３……縮径部、１４……段部、１５…
…ペン心、１６……固定ナツト、１７，１８……
ねじ山、２０……仕切り部材、２４……ボス、２
６……孔、２８……毛管路、３０……カートリツ
ジ、３１……後方円筒部、３３……中間部、３４
……前方円筒部、３５……開放端部、３６……二
重リツプシール（シール手段）、３８，４０……
リツプ、４２……ボール、３５ａ，４８，５０…
…係合部分。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ペン先と、 ペン心と、 前記ペン先及びペン心を保持する軸と、 前記ペン心から離れるようにして伸びかつ貫通
   孔を有する筒状のボスを備え前記ペン心に隣接し
   て前記軸内に設けられた仕切り部材と、 閉塞端部と先端に向かつてテーパの付いた開放
   端部とを備えて前記軸内に伸びるカートリツジと
   を具備してなる万年筆において、 前記ボスの前記貫通孔には内壁面に毛管路が形
   成され、 前記カートリツジの前記開放端部は径方向内側
   にシール手段を備え、該シール手段は前記軸の両
   端部に向かつて互いに反対方向に伸びるリツプを
   有する突起から成り、前記シール手段の内径寸法
   は前記ボスの外径寸法よりも小さく形成され、 前記カートリツジの前記開放端部と前記仕切り
   部材の径方向内側の面とが係合して前記シール部
   材に径方向内側に向かう力が与えられて前記シー
   ル手段が前記ボスにきつく接触させられ、前記仕
   切り部材と前記開放端部の先端とが係合して追加
   シールが形成されていることを特徴とする万年
   筆。 ２ 前記カートリツジの外面には段が設けられて
   おり、前記軸の内面の一部は前記カートリツジの
   前記外面の一部と係合していることを特徴とする
   特許請求の範囲第１項に記載の万年筆。 ３ 前記仕切り部材は前記ボスの周囲に環状の孔
   を画定する筒状の外壁を備えていることを特徴と
   する特許請求の範囲第１項に記載の万年筆。