JP3638993B2 - 筆記具のペン先 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、本体内に液状のインキを設けており、弁機構とこの弁を押圧し摺動するペン先の構成をもつ筆記具のペン先に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の筆記具は数多くの先願がある。例えば、液状のインキを有し弁機構を設けた筆記具もしくは中継芯を使用して細いペン芯へインキを伝達する筆記具の先願は、実公昭38−527号(以下(イ)とする。)、実開昭58−9778号(以下(ロ)とする。)、実開昭58−99086号(以下(ハ)とする。)、実公昭64−4541号(以下(二)とする。)、実開昭63−144284号(以下(ホ)とする。)、実開昭60−36282号(以下(ヘ)とする。)、実公昭60−36471号(以下(ト)とする。)がある。
液状のインキを直接本体内部に収容して弁機構を持ち、その上にペン芯を設けペン芯をプッシュすることによりインキを出し、ペン芯に伝達させて筆記可能としている。こうした筆記具は従来より存在し、先願(イ)にもある。また(ハ)、(ニ)も同様である。
こうした筆記具は繊維芯、合成樹脂のペン先であり、繊維芯の場合、外周面がペン芯成形時に樹脂化し外皮を作ってしまい、インキの吸収・伝達はペン芯の後面からペン芯中を通り先端へのみの伝達となっている。
【0003】
また合成樹脂のペン先は、内部はパイプ状になっているが、その外側を外皮で覆われておりインキの伝達は内部のみである。こうしたインキの伝達であるので、弁より過剰にインキが流出すると外皮を伝ってペン芯中に吸収されないままペン先に向かうので、ボタ落ちやペン先部の汚れとなる。
更に、また繊維芯であるのでインキの伝達に時間を要するため、過剰にペン芯を押圧してしまい弁機構からのインキの過剰流出となる。
(ロ)は、複数の凹溝を放射状に設けたペン芯であり、直接紙等に接触する部分とを別部材としている点は同様である。
しかしながら、(ロ)は図でも明らかな様に凹溝も中心のコア部分も全体的に砲弾状の形状をしており、先端部材とを直接嵌合してホルダーの外側に出してペン先としている。また、ペン芯の凹溝が放射状をしており、凹溝は外周に向かう程広角と成っていること、及び、インキ受け、インキ溜りがないので弁より過剰のインキがペン先及び先端部材まで一気に流れ出て、インキのボタ落ちの原因となる。
本発明の図3にみられるようなパターンは、先願にて存在し特開昭57−188398号があるが、これらは外皮をともなったペン芯として使用している。
(ホ)は外皮をともなっており、直接紙等に筆記するペン芯としている。従って本発明とは明らかに構成が異なる。
(ヘ)、(ト)は、中継芯を有する筆記具であるが、この中継芯をポリエステル繊維やアクリル繊維としており、特に筆記具のタイプとしてはインキ吸蔵体にインキを含浸させたものである。こうした構成の中で、ペン先の細い部材へインキを伝達するものであって、本発明の構成とは異なり、インキの伝達はそれぞれの繊維のインキ伝達力によるので過剰なインキの噴出による問題はない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の筆記具のペン先には、以上の様に弁機構、中継芯、ペン芯という構成になっているが、中継芯が繊維材や内部をパイプ状とし外側に外皮を設けた合成樹脂ペン芯としているため、ペン芯が細いと特にインキの伝達力、保持力がなく過剰のインキが流れインキのボタ落ち、ペン先の汚れが生じる。また、中継芯が繊維材であるのでインキの伝達に時間を必要とするので、過剰にペン芯をプッシュしてしまいインキが過剰になりボタ落ちの原因となる。こうした中継芯は、外皮をともなっているので中継芯の外周面を伝うインキをそのままペン芯へ過剰のインキを流しインキのボタ落ちやインキ漏れが生じる。したがって、過剰のインキを流さず即座にペン芯へインキを伝達し過剰なインキを流さず、またもし過剰のインキが流れても中継芯に保持力があり、インキを保持しインキのボタ落ち、ペン先の汚れを防止する筆記具のペン先を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
液状のインキを内部に有する有底筒状の本体1の開口端の内壁面側に弁機構2を設けて、前記弁機構2を覆う様に本体1の開口端の外壁面側に設けた螺子とホルダー3の内壁に設けた螺子螺子嵌合し、更に前記ホルダー3の内部にはペン芯ホルダー11によって嵌着された中継芯10と内部に誘導管を有するペン芯12とからなるペン先20を摺動自在とし、
弁6の開口部に嵌着する弁パッキン5と、この内部に弁棒4と弾性部材8を組み込み、弁棒4の傘部7と弁6の底部9とで弾性部材8を支持し、前記弾性部材8により前記弁棒4が常に弾発保持されるとともに押圧され前記傘部7と前記弁パッキン5と押圧当接し気密保持し、インキを必要とするときに前記気密保持は解除可能とした弁機構2であり、
前記弁棒4の先端には放射状の伝達溝15を有する合成樹脂からなる中継芯10を配して、鍔16を有するペン芯ホルダー11の広開口端側に前記中継芯10を圧入嵌合し、更に細開口端にペン芯12を設けた筆記具において、
前記ペン芯12と中継芯10との間には、インキ溜りの空間13を設けたことを特徴とする筆記具のペン先である。
【0006】
【作用】
本発明のペン芯12へのインキ伝達を説明すると、ペン芯ホルダー11の細開口端よりペン芯12を露呈したペン芯ホルダー11をホルダー3より一部露呈しており、その後方にはペン芯ホルダー11により圧入嵌合固定されている中継芯10が設けられ、更に後方には弁機構2が設けられている。
弁機構2は弁棒4、弁パッキン5、弁6よりなっており、弁棒4は弾発部材8により弾発支持されており中継芯10の後端が当接されている。
本体内部にあるインキをペン芯12に伝達するには、ペン先20を紙等に押しつける(ペン芯プッシュする)と、中継芯10は弁棒4を押圧し弁パッキン5のテーパー部14と弁棒4の傘部7との気密当接を解除しインキを導き出す。
すると、中継芯10の後端が弁パッキン5内部まで配置されているのでインキは中継芯10の伝達溝15を伝ってペン芯ホルダー11内へ移動する。
またペン芯ホルダー11の中継芯嵌合部分には鍔16が設けられているため、中継芯10の外側を伝達したインキは前記鍔16によって受けとめられペン芯12へと伝達していく。こうしてスムーズなインキの移向が得られる。
更に、またペン芯プッシュにより過剰なインキが導き出されるとインキは上記のごとく伝達される。特に中継芯10の外側を伝いインキはペン芯ホルダー11の鍔16で受けとめられ、空間13にインキが蓄えられペン芯12へと伝達流出されていく。
【0007】
【実施例】
本発明の実施例を図1、図2、図3、図4をもとに詳細に説明する。
1は、有底筒状の本体であり、内部に液状のインキを設けている。一方を開口端としており、前記開口端には弁機構2を内壁面側に設け外壁面側を螺子としておりホルダー3を螺子嵌合している。
2は、弁機構であり、弾発部材8、弁棒4、弁パッキン5、弁6より構成されており、弁棒4に設けられた傘部7と弁6の底部9により支持された弾発部材8により弾発保持された弁棒4の前記傘部7と弁パッキン5のテーパー部13と気密当接保持している。組み付けに際しては、弁6の一方開口端には縁18が設けられており本体1の開口端と当接しており、更に弾発部材8と弁棒4を組み込み弁6の底部9と弁棒4に設けられたに傘部7によって支持され、前記傘部7は弁パッキン5のテーパー部14に圧着当接して気密保持している。ここで、弁パッキン5は、弁6の縁18を設けた開口端より挿嵌されて弁パッキン5にも縁19を設け前記弁6の縁18と当接し、ホルダー3の内部に設けられた段部によって圧着されている。
10は、中継芯であり中心より放射状に伝達溝15を設けており、前記溝9は外周に近いほど幅が狭い形状をしている。材質は、合成樹脂である。中継芯10の伝達溝15は、外周の幅を小さくし鍔16に導かれたインキまたは、空間13に蓄えられたインキを毛細管現象により伝達溝15の中央に蓄えれる。前記中継芯10の一方端は弁棒4に当接し、他方端は、ペン芯ホルダー11の広開口端と圧入嵌合している。
【0008】
11は、ペン芯ホルダーであり細開口端にはペン芯12が挿入され接着、もしくは、カシメにより固定されている。ペン先20は、ペン芯12、ペン芯ホルダー11と中継芯10とからなる。前記ペン芯12と中継芯10は、ペン芯ホルダー11内で空間13を設けて配置されている。
ペン芯ホルダー11の広開口端側に鍔16を設けており、中継芯10の外周面を伝うインキを受けてペン芯ホルダー内にインキを収容できる。ここで、広開口端を本実施例では円形としているが特にその形状は、円形の中継芯10に対し、辺で嵌合保持する3角形、4角形、5角形等、多角形とするものでもよい。
また、ホルダー3の内壁面にリブ17を設ければ、前記鍔16と前記リブ17が当接し、摺動を規制し、ペン先20の飛び出しを防止する。ペン芯12は金属、合成樹脂等、内部に誘導管を設けたものであれば本発明の対象となる。
本発明の筆記具のペン先を使用する筆記具は、次のように使用され、インキをペン芯12に伝達する。
ペン芯ホルダー11の細開口端よりペン芯12を一部露呈したペン芯ホルダー11をホルダー3より一部露呈させており、その後方にはペン芯ホルダー11により圧入嵌合されている中継芯10が設けられ、更に後方には弁機構2が設けられている。
【0009】
弁機構2は弁棒4、弁パッキン5、弁6よりなっており、弁棒4は弾発部材8により弾発支持されており中継芯10の後端が当接されている。
本体内部にあるインキをペン先20に伝達するには、ペン先20を紙等に押しつける(ペン芯プッシュする)と、中継芯10は弁棒4を押圧し弁パッキン5と弁棒4の気密を解除しインキを導き出す。
すると、中継芯10の後端が弁パッキン内部まで配置されているのでインキは中継芯の伝達溝を伝ってペン芯ホルダー11内へ移動する。
またペン芯ホルダー11の中継芯嵌合部分には鍔16が設けられているため、中継芯10の外側を伝達したインキは前記鍔16によって受けとめられペン芯ホルダー11の内へと伝達していく。こうしてスムーズなインキの移向が得られる。
更に、またペン芯プッシュにより過剰なインキが導き出されるとインキは上記のごとく伝達される。特に中継芯10の外側を伝いインキはペン芯ホルダー11の鍔16で受けとめられ、空間13にインキが蓄えられペン芯12へと伝達流出されていく。
更に、中継芯10の伝達溝15中にもインキが貯えられ、インキの漏れや汚れを解消する。
【0010】
【効果】
本発明は、放射状の伝達溝15を有する合成樹脂中継芯10とその先端に設けられ、外皮を有しインキの誘導管を有するペン芯12からなるペン先20であるのでインキの伝達時間が少なくペン芯プッシュ回数が少なくすむので、過剰なインキ流出が少ないのでボタ落ち、インキ漏れ、ペン先の汚れがない。
また、ペン芯ホルダー11の広開口端には鍔16が設けられており中継芯10の伝達溝15に導かれない中継芯10の外周面を伝うインキを前記鍔16はペン芯ホルダー11の内部に導きインキ漏れを防止し、更にペン先の摺動運動を規制している。
また、蓄えられたインキと伝達溝15が中継芯10の外周へ向かう程、狭くなっているので中継芯10の外周を伝うインキは、伝達溝15の内部へ毛細管により吸収されインキ漏れを防止する。
ペン芯ホルダー11の内部に、ペン芯12と中継芯10とで空間13を設けているのでインキが蓄えられスムーズなインキ伝達が得られる。
【0011】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の一部拡大半断面図
【図2】本発明の実施例のペン先20の拡大図
【図3】本発明の実施例の中継芯のAA断面図
【図4】本発明の実施例の他の中継芯のAA断面図
【0012】
【符号の説明】
1:本体
2:弁機構
3:ホルダー
4:弁棒
5:弁パッキン
6:弁
7:傘部
8:弾発部材
9:底部
10:中継芯
11:ペン芯ホルダー
12:ペン芯
13:空間
14:テーパー部
15:伝達溝
16:鍔
17:リブ
18:縁
19:縁
20:ペン先

Claims (1)

  1. 液状のインキを内部に有する有底筒状の本体(1)の開口端の内壁面側に弁機構(2)を設けて、前記弁機構(2)を覆う様に本体(1)の開口端の外壁面側に設けた螺子とホルダー(3)の内壁に設けた螺子螺子嵌合し、更に前記ホルダー(3)の内部にはペン芯ホルダー(11)によって嵌着された中継芯(10)と内部に誘導管を有するペン芯(12)とからなるペン先(20)を摺動自在とし、
    (6)の開口部に嵌着する弁パッキン(5)と、この内部に弁棒(4)と弾性部材(8)を組み込み、弁棒(4)の傘部(7)と弁(6)の底部(9)とで弾性部材(8)を支持し、前記弾性部材(8)により前記弁棒(4)が常に弾発保持されるとともに押圧され前記傘部(7)と前記弁パッキン(5)と押圧当接し気密保持し、インキを必要とするときに前記気密保持は解除可能とした弁機構(2)であり、
    前記弁棒(4)の先端には放射状の伝達溝(15)を有する合成樹脂からなる中継芯(10)を配して、鍔(16)を有するペン芯ホルダー(11)の広開口端側に前記中継芯(10)を圧入嵌合し、更に細開口端にペン芯(12)を設けた筆記具において、
    前記ペン芯(12)と中継芯(10)との間には、インキ溜りの空間(13)を設けたことを特徴とする筆記具のペン先。
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