JPH0120504B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、カセツトテープレコーダの録音あ
るいは再生時に磁気テープに電磁的にバツクテン
シヨンを与える装置に関するものであり、その目
的とするところは巻取り側リールデスクを駆動源
として供給側リールデスクに磁気テープの巻径と
同傾向で変化する回転トルクを加えることによ
り、巻始めと巻終りの変化が少いバツクテンシヨ
ンを磁気テープに与えることのできるバツクテン
シヨン附与装置を提供することにある。

カセツトテープレコーダにおいてはテープ走行
を安定化させるためやヘツドタツチを良くする目
的のために磁気テープに適度のバツクテンシヨン
を与える必要があるが、従来は摩擦フエルトなど
を用いて供給側リールデスクに回転負荷を加え、
磁気テープによつて供給側リールデスクが従動回
転することにより回転負荷に応じたバツクテンシ
ヨンが磁気テープに与えられるようにしていた。

ところが、カセツト内のリールハブに巻かれた
磁気テープの巻径は巻始めと巻終りとでは変化
し、その変化幅はカセツトテープの場合は2.3倍
程度となるが、供給側リールデスクに加えられる
回転負荷は一定なので、この回転負荷トルクを磁
気テープの巻半径で割算したものであるバツクテ
ンシヨンの値は、磁気テープの巻径に反比例して
変化する。

従つて、磁気テープの巻始めではバツクテンシ
ヨンの値が甚だ小さくなつて良好なヘツドタツチ
を得ることができず、反対に巻終りではバツクテ
ンシヨンの値が過大になつてワウ・フラツタが悪
化し、さらに、バツクテンシヨンの変化は巻始め
と巻終りのテープ速度の差、つまり変動幅を生ず
る大きな要因となつている。

すなわち、従来のカセツトテープレコーダにお
いては、バツクテンシヨンが巻始めと巻終りで大
幅に変化するためにヘツドタツチとワウ・フラツ
タの双方を両立させることが難しく、何れか一方
のみを優先させてバツクテンシヨンの値を設定し
ているのが実情である。

この発明は、上記従来例のような問題点を解消
するもので、第１図はこの発明の磁気テープのバ
ツクテンシヨン附与装置の一実施例の平面図を、
また、第２図はこの装置の回転部分の断面図を示
す。

第１図および第２図において、１は供給側リー
ルデスクで、メカニズム基台２に植立したリール
軸３に回転可能に嵌合し、供給側リールデスク１
の下面にはアルミ板製の渦電流円盤４と鋼板製の
磁性円盤５とが重ねて嵌めこまれている。

６は巻取り側リールデスクで、同じくメカニズ
ム基台上のリール軸７に回転可能に嵌合し、この
巻取り側リールデスク６の下方にはリールデスク
ギヤ８が嵌めこまれている。

９は伝達ギヤで、その下方に一体に成型された
ベルトプーリ１０とともにメカニズム基台２に螺
着されたカラー１１を支点として回動自在なギヤ
アーム１２の一端に回転可能に保持されており、
上記のギヤアーム１２は時計方向に回動した場合
にピン１３に当接して伝達ギヤ９とリールデスク
ギヤ８との噛合い位置を規制される。

１４は上記供給側リールデスク１の下方でリー
ル軸３と同軸に設けた回転デスクで、その下方に
はベルトプーリ１５が一体に成型され、その上面
に鋼円盤１６と、６極に着磁されたフエライト製
のマグネツト１７とが重ねて固着されている。

３１は例えばゴム製のベルトで、上記プーリ１
０と１５の間に張架され、伝達ギヤ９の回転を回
転デスク１４に伝達するとともに、ベルト張力に
よつてギヤアーム１２をギヤ噛み合い方向に回動
附勢している。

１８はリールモータで、巻取り側リールデスク
６あるいは供給側リールデスク１を選択的に駆動
するために正逆２方向に回転可能である。

１９はモータプーリで、リールモータ１８の出
力軸に設けられ、２０はアイドラで、アイドラア
ーム２１の一端に回転可能に保持され、モータプ
ーリ１９の回転方向に応じて巻取り側あるいは供
給側のリールデスクと転接可能であるが、このよ
うな構成は公知であり、その詳細な説明は省略す
る。

さらに、２２はカセツト、２３は磁気テープ
で、この磁気テープ２３はキヤプスタン２４とピ
ンチローラ２５とにより駆動されて消去ヘツド２
６および録音・再生ヘツド２７を経由して矢印Ａ
方向に定速走行させられる際に供給側リールデス
ク１に加えられた回転トルクによつてバツクテン
シヨンが与えられる。

この外に、２８は前記ギヤアーム１２の一端に
植立されたピン、２９は回動自在なイジエクトレ
バで、その左端の折曲片３０は再生摺動板（図示
せず）に、また、その右端部は上記のピン２８に
当接可能である。

この発明の磁気テープのバツクテンシヨン附与
装置の実施例の構成は以上のようなもので、次に
その作用について以下に説明する。

第１図は録音あるいは再生時の巻始めの状態を
図示しており、カセツト２２内の磁気テープ２３
の巻径は供給側が最大に、巻取り側は最小になつ
ている。

上図においては、アイドラ２０はモータプーリ
１９と巻取り側リールデスク６に転接し、一方、
リールモータ１８には定格電圧より低い電圧が供
給されて、キヤプスタン２４とピンチローラ２５
によつて定格速度（4.76cm／sec）で送られる磁
気テープ２３を巻取る程度の低速度で巻取り側リ
ールデスク６を回転駆動している。

このためにリールデスクギヤ８と噛合つている
伝達ギヤ９が時計方向に回転してゴム製のベルト
３１を介して回転デスク１４を同方向に回転させ
る。

従つて、録音あるいは再生時には巻取り側リー
ルデスク６は反時計方向に回転し、磁気テープ２
３によつて供給側リールデスク１も同方向に従動
回転するが、供給側リールデスク１の下方にあつ
て所定の磁気空隙を距てて対向する回転デスク１
４はこれらとは反対方向すなわち時計方向に回転
させられ、マグネツト１７の磁束によつて渦電流
円盤４には渦電流が発生して、供給側リールデス
ク１には時計方向の回転トルクが加わる。

この場合に、マグネツト１７と渦電流円盤４の
間に生ずる回転トルクは両者の相対速度にほぼ比
例する。

第３図は録音あるいは再生時間と巻取り側リー
ルデスク、供給側リールデスク、および回転デス
クの回転速度の変化を示し、カーブａは巻取り側
リールデスク６の回転速度を、カーブｂは供給側
リールデスク１の回転速度を、また、カーブｃは
巻取り側リールデスク６に対して約３倍に増速駆
動される回転デスク１４の回転速度を示し、さら
に、カーブｄは供給側リールデスク１と回転デス
ク１４の間の相対回転速度を示す。

すなわち、カーブａとｂとは逆の増減傾向を示
し、磁気テープの巻始めにおいて供給側リールデ
スク１の回転が遅い時には巻取り側リールデスク
６の回転は速くなるので、巻取り側リールデスク
６を駆動源として回転デスク１４を回転させれ
ば、供給側リールデスク１にはカーブｄのような
回転速度に比例した回転トルクを生ずる。

第４図は供給側リールデスクにおけるテープ巻
径の変化と、供給側リールデスクに加わる回転ト
ルクの変化と、バツクテンシヨンの変化とを示
し、カーブｅは巻径の変化を、また、カーブｆは
回転トルクの変化を、カーブｇ，ｈはバツクテン
シヨンの変化をそれぞれ示す。

すなわち、カーブｅとカーブｆはほぼ同一傾向
で変化するので、供給側リールデスク１に加わる
回転トルクをテープ巻半径で割算したものである
バツクテンシヨンの値はカーブｇのように従来の
バツクテンシヨンの変化カーブｈに比べると巻始
めと巻終りの変化幅が少くなる。

さらに、供給側リールデスク１の下方に設けた
渦電流円盤４には磁性円盤５が設けられている
が、この磁性円盤５は、回転デスク１４に設けた
鋼板円盤１６とともにマグネツト１７の磁路を形
成する外に、マグネツト１７と磁性円盤５の間に
吸引力を生じて、これに基づく回転トルクも供給
側リールデスク１に加わる。

ただし、マグネツト１７の吸引力による回転ト
ルクの値は回転速度に無関係な一定値で、第４図
のカーブｆはこれと渦電流円盤４による回転トル
クとが加算されたものになる。

すなわち、磁性円盤５は供給側リールデスク１
に加わる回転トルクを所望値に設定する補助的手
法として用いているもので、この発明の構成にと
つて不可欠なものではない。

なお、上記のバツクテンシヨンは録音あるいは
再生時にのみ必要で、早送りあるいは巻戻し時に
は不要となるので、この実施例においては早送り
あるいは巻戻し時には再生摺動板（図示せず）の
矢印Ｂ方向への後退動作により、イジエクトレバ
２９を折曲片３０を介して反時計方向に回動さ
せ、その右端部がギヤアーム１２のピン２８に当
接して伝達ギヤ９のリールデスクギヤ８との噛み
合いを外すようにしている。

また、回転デスク１４を駆動する手段は、上記
に限定されるものではなく、上記のようにリール
モータ１８に低い電源電圧を供給して電磁的にス
リツプさせている場合には、モータプーリ１９と
巻取り側リールデスク６の回転数は比例するの
で、例えばモータプーリによつて適宜の伝達機構
を介して回転デスク１４を駆動することもでき
る。

さらに、マグネツト１７は回転デスク１４側に
設けるとは限らず、供給側リールデスクの側にマ
グネツトを設け、回転デスク側に渦電流円盤４を
設けるようにしてもよい。

この外に、上記実施例では回転デスク１４を供
給側リールデスク１と同軸に設けているが、この
回転デスクの設置は上記に限定されるものではな
く、例えば回転デスク１４をリール軸３とは別軸
上に回転可能に取付けて、供給側リールデスク１
に設けた渦電流円盤４と回転デスク１４に設けた
マグネツト１７の一部のみが対向するようにして
もよい。

すなわち、回転デスク１４は磁気テープによつ
て従動回転する方向とは逆方向の回転トルクを供
給側リールデスクに加え得るような位置関係にあ
ることが必要である。

以上のように、この発明の実施例の磁気テープ
のバツクテンシヨン附与装置は、回転速度が供給
側リールデスクとは逆傾向で変化する巻取り側リ
ールデスクを駆動源としてマグネツトを供給側リ
ールデスクと反対方向に回転させ、渦電流円盤に
発生する電磁力によつて供給側リールデスクにテ
ープ巻径と同傾向で変化する回転トルクを発生さ
せ、さらに、録音あるいは再生時には巻取り側リ
ールデスクの回転速度が比較的遅い点をカバーす
るためにリールデスクギヤと伝達ギヤによつてマ
グネツトを増速駆動して必要な回転トルクを得る
とともに、磁性円盤を併用して回転速度に無関係
な一定トルクを供給側リールデスクに加えるよう
にしたもので、このような構成によつて、磁気テ
ープの巻始めと巻終りの変化幅が少い任意の値の
バツクテンシヨンを磁気テープに与えることがで
きる。

この発明の磁気テープのバツクテンシヨン附与
装置は、磁気テープの巻始めと巻終りにおけるバ
ツクテンシヨンの変化幅を少くできるので、バツ
クテンシヨンの値を従来の最大と最小値の中間値
に設定することにより、ヘツドタツチとワウ・フ
ラツタの双方を両立させることができるととも
に、テープ速度の変動幅も少くなる。

また、供給側リールデスクに対する回転トルク
が非接触で、かつ、電磁的に加えられるので、従
来例のフエルトなどのような摩耗や経時変化のお
それがなく、長期間にわたつて安定したバツクテ
ンシヨンを与えることが可能になる。

さらに、この発明の装置は、バツクテンシヨン
の不要時には供給側リールデスクから容易に切り
離せるので、早送りあるいは巻戻し時には磁気テ
ープにバツクテンシヨンが加わらないという利点
もある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の磁気テープのバツクテンシ
ヨン附与装置の一実施例の平面図、第２図はこの
装置の回転部分の断面図、第３図は巻取り側リー
ルデスク、供給側リールデスク、回転デスクの回
転速度の時間的変化を示す図、第４図は供給側リ
ールデスクに加わる回転トルクと、供給側リール
デスクの巻径と、トルクと、バツクテンシヨンの
時間的変化を示す図である。 １……供給側リールデスク、４……渦電流円
盤、５……磁性円盤、６……巻取り側リールデス
ク、８……リールデスクギヤ、９……伝達ギヤ、
１２……ギヤアーム、１４……回転デスク、１７
……マグネツト、１８……リールモータ、１９…
…モータプーリ、２０……アイドラ、２２……カ
セツト、２３……磁気テープ、２４……キヤプス
タン、２５……ピンチローラ、２９……イジエク
トレバ、３１……ゴム製のベルト。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 巻取り側リールデスクおよび供給側リールデ
   スクと、供給側リールデスクの近傍に位置し、か
   つこれと対向する面を有する回転デスクとを備
   え、供給側リールデスクと回転デスクのそれぞれ
   の対向する面の一方に渦電流円盤を設けるととも
   に、他方にはマグネツトを設けて、巻取り側リー
   ルデスクあるいは巻取り側リールデスクと比例し
   た回転数を有する回転体を駆動源として上記回転
   デスクを回転駆動することによつて、供給側リー
   ルデスクに巻始めと巻終りとでは値が変化し、か
   つ巻取り側リールデスクとは反対方向の回転トル
   クを加え、磁気テープに供給側リールデスクに加
   えられる回転トルクに応じたバツクテンシヨンを
   与えるように構成した磁気テープのバツクテンシ
   ヨン附与装置。 ２ 上記の供給側リールデスクあるいは回転デス
   クに設けた渦電流円盤は、これと一体回転する磁
   性円盤を有し、この磁性円盤とマグネツトの間の
   吸引力による回転トルクを供給側リールデスクに
   加算するように構成した特許請求の範囲第１項に
   記載の磁気テープのバツクテンシヨン附与装置。 ３ 上記の駆動源によつて回転デスクを回転駆動
   する手段として、巻取り側リールデスクに設けた
   リールデスクギヤと、このリールデスクギヤと噛
   み合う伝達ギヤと、この伝達ギヤと回転デスクの
   間に張架された弾性を有するベルトとを用い、上
   記手段によつて回転デスクを巻取り側リールデス
   クと反対方向に増速駆動するように構成した特許
   請求の範囲第１項に記載の磁気テープのバツクテ
   ンシヨン附与装置。 ４ 録音あるいは再生時には上記の巻取り側リー
   ルデスクに設けたリールデスクギヤと伝達ギヤと
   が噛み合い、早送りあるいは巻戻し時にはリール
   デスクギヤと伝達ギヤとが非噛合となるように伝
   達ギヤに接離手段を設けた特許請求の範囲第３項
   に記載の磁気テープのバツクテンシヨン附与装
   置。