JPH0119785Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、電子機器等の操作ボタンの構造に
関するもので、特に、静電気による半導体回路部
品等の破壊防止と意匠上の改善とを同時に行なう
ための構造に関するものである。

従来、人体から操作ボタンを経てスイツチの導
体部等に放電される静電気の防止方法としては、
第１図に示すものが一般的である。

第１図は断面図を示すものであるが、１は操作
パネルであり、この操作パネル１には、操作ボタ
ン２が上下方向に動作可能に設けられる。操作ボ
タン２は、たとえば金属でめつきされる。操作ボ
タン２には、下方へ突出する作動杆２ａが設けら
れる。操作ボタン２の下方には、スイツチ３が配
置され、このスイツチ３は印刷配線板４にはんだ
付けされる。操作パネル１の下面には、アース板
５が配置され、このアース板５には、アースばね
６が接触する。アースばね６は、シヤーシ７のア
ース電位に、ねじ８などにより接地される。

このような構造において、人体からの静電気
は、操作ボタン２からアース板５、アースばね６
を経て、シヤーシ７のアース電位に放電される。

しかしながら、最近は、コストダウンのため、
操作ボタン２をめつきせず、メタリツク塗装のみ
で使用する場合も多い。また、第２図に断面図
で、第３図に平面図で示すように、操作パネル１
と一体に操作ボタン２を成形することもある。な
お、第２図において、第１図に示す部分に相当の
部分は、同様の参照番号を付し、重複する説明は
省略する。

第１図に示す操作ボタン２がめつきされていな
い場合や、第２図に示すような構造の場合、操作
パネル１と印刷配線板４上の導体４ａ、あるいは
スイツチ３の導体部との距離ｌが、人体に帯電し
た静電気が操作ボタン２の外周の隙間１ａから直
接気中放電する距離（15〜20mm）以上であれば、
人体からの静電気は適正にアース板５へと放電さ
れ、アース板５の効果があるが、それ以下の場合
は、第１図または第２図に点線で示すような放電
が生じ、半導体回路部品等の破壊を引起こすこと
がある。また、距離ｌが短いと、操作ボタン２の
外周の隙間１ａから内部が見えやすくなるという
意匠上の問題もあり、従来、このような条件での
設計は難しく、距離ｌを十分にとつた設計として
いた。

それゆえに、この考案の目的は、操作ボタンと
スイツチまたは印刷回路基板上の導体とが接近し
ている場合であつても、操作ボタンがめつきされ
ていない場合であつても、さらに操作ボタンがパ
ネルと一体の場合であつても、有効な電防防止を
図ることができ、同時に意匠上の問題をも解決で
きる操作ボタン構造を提供することである。

この考案は、要約すれば、操作ボタンとスイツ
チとの間にアース板を配置し、このアース板に
は、操作ボタンから延びる作動杆を貫通させる透
孔を設けておいて、静電気はこのアース板によつ
て放電させ、アース板の下方にあるスイツチや印
刷配線板の導体には届かないようにし、さらに、
このアース板の操作ボタン側に向く面には、黒色
または暗い色調が付与され、内部が見えることを
防止するようにした、操作ボタン構造である。

以下に、図面を参照して、この考案の一実施例
を説明する。

第４図はこの考案の一実施例を断面図で示すも
のである。第４図において、１１は操作パネル、
１２は操作ボタン、１３はスイツチ、１４は印刷
配線板、１５はアース板、１６はアースばね、１
７はシヤーシ、１８はねじであり、各構成要素の
機能は第１図に示す従来例と実質的に同様であ
る。

この実施例では、操作パネル１１には段部１１
ｂが形成され、操作パネル１１の下面に接してア
ース板１５が配置されながら、このアース板１５
が操作ボタン１２の下方にまで延びても、操作ボ
タン１２の動作を妨げないようにされている。そ
して、アース板１５には透孔１５ａが設けられ、
操作ボタン１２から下方へ延びる作動杆１２ａ
は、この透孔１５ａを貫通する。また、アース板
１５の操作ボタン１２側の面は、黒色または暗い
色調に着色されるか、アース板１５の当該面には
同様の色調のシート１５ｂが接着される。

上記構造において、静電気は、点線で示すよう
に、操作ボタン１２の沿面あるいは空気中から直
接アース板１５の透孔１５ａの周囲に放電し、ア
ースばね１６を介してシヤーシ１７のアース電位
に放電される。

このように、この実施例によれば、操作ボタン
１２とスイツチ１３との間に、透孔１５ａを有す
るアース板１５が配置されているため、印刷配線
板１４と操作ボタン１２とが近接していても、静
電気を印刷配線板１４上のスイツチ１３や導体１
４ａより前にあるアース板１５の透孔１５ａの周
縁に放電させことができ、他の半導体回路部品等
の破壊を招くことが有利に防止される。また、ア
ース板１５の操作ボタン１２側の面を黒色または
暗い色調としているため、操作ボタン１２の外周
の隙間１１ａから内部の部品が見えるのを防止す
ることができる。

第５図はこの考案の他の実施例であり、第２図
の従来例と同様、操作ボタン１２が操作パネル１
１と一体に成形された場合である。この実施例に
おいても、アース板１５が操作ボタン１２とスイ
ツチ１３との間に配置され、このアース板１５に
は作動杆１２ａを貫通させる透孔１５ａが設けら
れ、さらにアース板１５の操作ボタン１２側に向
く面には、たとえばシート１５ｂが接着され、こ
れによつて黒色または暗い色調が付与される。そ
の他の構成は第４図に示す実施例と同様であり、
相当の部分には同様の参照番号を付すことによつ
て、それらの説明を省略する。

以上のように、この考案によれば、放電の問題
に対しては、アース板が操作ボタンから延びる作
動杆を貫通させる状態で操作ボタンとスイツチと
の間に配置されることにより、静電気の放電は必
ずこのアース板によつて放電されることになり、
意匠上の問題に対しては、アース板の操作ボタン
側に向く面には、黒色または暗い色調を付与する
ことによつて、操作ボタンの外周の隙間から内部
が見えることが有利に防止される。

【図面の簡単な説明】

第１図は第１の従来例を示す断面図である。第
２図は第２の従来例を示す断面図であり、第３図
は同じく平面図である。第４図はこの考案の一実
施例を示す断面図である。第５図はこの考案の他
の実施例を示す断面図である。 図において、１１は操作パネル、１２は操作ボ
タン、１２ａは作動杆、１３はスイツチ、１５は
アース板、１５ａは透孔、１５ｂはシートであ
る。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 操作パネルに対して動作可能に操作ボタンが
   保持され、操作ボタンの押圧に応じてこのボタ
   ンに設けられた作動杆がスイツチに作用してこ
   のスイツチを動作させるように構成した操作ボ
   タン構造において、 前記操作ボタンと前記スイツチとの間にアー
   ス板が配置され、このアース板には前記作動杆
   を貫通させる透孔が設けられ、さらにアース板
   の操作ボタン側に向く面には、黒色または暗い
   色調が付与されたことを特徴とする、操作ボタ
   ン構造。 (2) 前記黒色または暗い色調の付与は、アース板
   の当該面を直接着色することにより実現され
   る、実用新案登録請求の範囲第１項記載の操作
   ボタン構造。 (3) 前記黒色または暗い色調の付与は、アース板
   の当該面に黒色または暗い色調のシートを接着
   することにより実現される、実用新案登録請求
   の範囲第１項記載の操作ボタン構造。