JPH0119456B2 - - Google Patents
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- JPH0119456B2 JPH0119456B2 JP60149186A JP14918685A JPH0119456B2 JP H0119456 B2 JPH0119456 B2 JP H0119456B2 JP 60149186 A JP60149186 A JP 60149186A JP 14918685 A JP14918685 A JP 14918685A JP H0119456 B2 JPH0119456 B2 JP H0119456B2
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Classifications
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F02—COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
- F02F—CYLINDERS, PISTONS OR CASINGS, FOR COMBUSTION ENGINES; ARRANGEMENTS OF SEALINGS IN COMBUSTION ENGINES
- F02F1/00—Cylinders; Cylinder heads
-
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- F02F7/00—Casings, e.g. crankcases or frames
- F02F7/0085—Materials for constructing engines or their parts
Landscapes
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Combustion & Propulsion (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- General Engineering & Computer Science (AREA)
- Cylinder Crankcases Of Internal Combustion Engines (AREA)
Description
〔産業上の利用分野〕
本発明は耐摩耗性及び耐焼付性に優れた内燃機
関用アルミニウム合金製シリンダ(シリンダブロ
ツク、シリンダライナを含む)に関する。 〔従来の技術〕 自特車用内燃機関のシリンダ材としては、従来
主として安価で摺動特性の優れた片状黒鉛鋳鉄が
使用されてきたが、近年特に燃料の消費効率化の
ためにエンジンの軽量化が図られている。この一
環として、シリンダブロツクのアルミニウム合金
鋳物への交換が試みられ一部実用化されている。 しかし、一体のアルミニウム合金鋳物とした場
合には、アルミ材は軟質なため、特に、高温でピ
ストン、ピストンリングが高速、高荷重で往復摺
動するシリンダ内壁では、壁面の異常摩耗及びピ
ストン、ピストンリングとの焼付等の異常現象が
発生しやすい。 よつて、このアルミニウム合金鋳物をシリンダ
ブロツクとして使用するため種々の対策が検討さ
れ実用化が図られいる。 例えば、 アルミニウム合金シリンダブロツクのシリン
ダ内壁面にメツキ、溶射、線爆被膜等により摺
動特性の良好な層を被爆したり、又は同等処理
を施したアルミニウム合金ライナを挿入する。 片状黒鉛鋳鉄のライナを鋳包み又は圧入す
る。 使用するアルミニウム合金ブロツク及びライ
ナ材に多量のSi又はMg等を添加して凝固時に
微細な硬質粒子を分散させる。更にそれら硬質
粒子を後のエツチングによつて表面に露出させ
たり又は摺動面の潤滑油溜りとする。 〔発明が解決しようとする問題点〕 しかしこれらの手段では、 については、工程が増し、又専用の装置が必
要なためコスト高となり、かつこれら被膜は摺動
特性上相手材への攻撃性が高く、特殊なピストン
リング材が必要となる。 については、挿入するライナが鋳鉄材により
重量軽減の効果が少なく、又ブロツクアルミ材及
び鋳鉄ライナ材の熱膨張の差により接合部に間〓
が生じやすく、運転時のシリンダ内部の熱放散が
不充分となる。 については、特に比較的微細な粒子の分散で
あり、又鋳造性、機械的特性面より合金添加量に
制限があることから、未だ過酷な使用条件に自動
車用エンジンでは耐焼付特性が不充分である。 本発明は以上の点に鑑みてなされたものであ
り、耐摩耗性及び耐焼付性に優れ、かつ安価なア
ルミニウム合金製シリンダを提供することを目的
とする。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明は、上記目的を達成するためのものであ
り、(1)鋳鉄又は鋼よりなるリング摺動面に窒素化
処理又は鉄系めつき処理による硬さHv500以上の
硬化処理層を形成したピストンリングと組合わせ
て用いるアルミニウム合金製シリンダにおいて、
重量比でSi10〜20%、Cu2.0〜6.0%、Mg0.4〜1.0
%及び残部が実質的にAlからなり、硬さHRB65
以上の鋳造Al合金中に、粒子の大きさ5〜100μ
のSi3N4が重量比で5〜20%分散させた材料を用
いたダイカスト鋳造アルミニウム合金製シリンダ
及び(2)上記の鋳造Al合金中に、さらに固体潤滑
剤として黒鉛又はMoS2粒子を重量比10%以下の
範囲で分散させた材料を用いたダイカスト鋳造ア
ルミニウム合金製シリンダである。 以下に本発明アルミニウム合金製シリンダを構
成する各合金元素と外添複合硬質粒子の添加効果
及びその限定理由について詳述する。 合金成分中Siは共晶、初晶の形で基地中に微
粒子として分散し基地を強化して耐摩耗性を向
上し、鋳造性、機械性質も向上するが、10%未
満では基地強化が不充分であり、又20%を超え
ると初晶Siが粗大化して鋳造性、機械加工性を
損なう。 Cuは熱処理による基地の強化、硬化をさせ
るために重要な元素であるが、2.0%未満では
充分な熱処理効果が得られず、又6.0%を超え
ると合金の靭性を劣化させ、鋳造性を悪化させ
る。 MgもCuと同様に熱処理による基地強化を目
的とするが、又繰返し加熱時の寸法の安定性を
も図る。これが0.4%未満では目的に対し不充
分であり、又1.0%を超えると合金の靭性を劣
化する。 複合添加するSi3N4粒子については、通常複
合材の硬質粒子としては安価で入手の容易な
SiC、Cr3C2、TiC、Al2O3等が使用されるがこ
れらは摺動性上潤滑油との濡れ性が悪く、相手
材を攻撃する性質が強いため、このような不具
合のない粒子としてSi3N4を選定した。 粒子の大きさは5μ未満では耐焼付性が充分
に得られず、又鋳造上均一分散が困難であり、
逆に100μを超えると機械加工性を劣化させる。 添加配合量は5%未満では耐摩耗性が得られ
ず、又20%を超えると機械的性質及び機械加工
性が著しく悪化する。 基地硬さについては、本発明の主旨である硬
質粒子の働きを充分に発揮せしめるために重要
な特性項目で、基地が軟らかく強度が弱いと、
摺動時のピストンリング表面応力により、硬質
粒子が基地アルミと共に流動したり又はアルミ
基地中へ埋没するために充分にその効果が得ら
れない。よつて、基地は硬さHRB65以上で強
度が高く、表面の硬質粒子を保持して硬質粒子
の一次摺動面としての働きを充分に引き出す必
要がある。 また、Si3N4粒子を添加した以上のAl合金中
に更に黒鉛又はMoS2粒子を添加すれば、潤滑
油が不充分となる状況下でも、ある程度の自己
潤滑作用を持たせることができ、相手ピストン
リング材に対する攻撃性が更に緩和される。 この場合粒子の大きさは、2μ未満では基地
から剥離しやすく、又鋳造上基地中に均一に分
散させることが困難であり、逆に50μmを超え
ると比重の関係から溶解混合時に浮上分離して
鋳造性を悪化させる。従つて、粒子の大きさは
2〜50μmが好適である。 添加配合量は10%を超えると機械的性質が著
しく劣化するために10%以下とする。 なお、更に本発明のアルミニウム合金製シリ
ンダの効果を最大限に引き出し、エンジンの高
負荷、長寿命の要求に応えるために組合わせて
使用するピストンリングは下記のものが好適で
ある。 即ちピストンリングとしては、特に耐焼付性
の面から摺動面が鉄を主成分とすることが必要
であり、又前記アルミニウム合金製シリンダ基
地中に分散する初晶Si及び硬質粒子に対して自
身が負けることなく安定した摺動面を得るため
には、摺動面の硬さがHv500以上であることが
必要である。これらの特性を満足するピストン
リングとしては合金鋳鉄、合金鋼等の鋳鉄又は
鋼よりなり、摺動面に窒化処理又は鉄系めつき
処理による硬化処理層を形成したものが好適で
ある。 〔実施例〕 表−1に示す本発明及び比較例について、アル
ミニウム合金溶湯中に硬質粒子粉末を添加し、均
一に撹拌混合の後、ダイカスト鋳造法によりアル
ミニウム合金製シリンダ素材を鋳造し、T5熱処
理(180℃×8Hr)又はT6熱処理(500℃×3Hr→
水焼入れ→180℃×8Hr)を実施し組織、硬さを
調整した。これら素材から17mm幅×7mm厚さ×70
mm長さの短冊形試験片を切り出し、摩耗基礎特性
を確認するため往復動摩耗試験を実施した。な
お、供試した短冊試験片の試験摺動面表面は最終
バフ研磨仕上げをして表面あらさの影響を除い
た。試験の相手ピストンリング材としては、13%
Crマルテンサイト系ステンレス鋼よりなり摺動
面に窒化処理により窒化層を形成したφ8×23mm
のピンを使用した。なお、シリンダ材試験片同様
表面あらさの影響を除くためにピンの摺動面をバ
フ研磨仕上げして供試した。 試験に使用した往復動摩耗試験機の概略図を第
3図に示す。摩耗試験機において、1はシリンダ
材試験片、2はピストンリング材ピン、3は摺動
摩擦力を検出するロードセル、4は摩擦荷重をか
けるための油圧ユニツト、5は検出した摩擦力の
記録計、6は油圧(荷重)の表示記録計である。 試験結果を第1図に示す。 図中、シリンダ材及びピストンリング材の摩耗
量はそれぞれ試験回数3回の平均値を示し、スカ
ツフ発生までの時間は同焼付試験回数5回の平均
値を示したものである。 この結果より、現状内燃機関のシリンダ用とし
て一般に使用されている鋳鉄材Kに対して、アル
ジル合金材A、Bではシリンダ材としての耐摩耗
性、耐焼付性が不充分である。又、通常耐摩耗硬
質粒子として添加されている例の多いSiC、
Al2O3を複合添加したC、D材は、シリンダ自身
の摩耗は良好であるが、相手ピストンリング材に
対する坑撃性が顕著である。 これらに対して潤滑油との濡れ性が高いSi3N4
を分散したE、F材は上記の欠点が改善されてお
り、更にF材に対して母材を強化した本発明品の
G、H、Iでは添加分散されSi3N4の効果がより
発揮されて、シリンダ材摩耗、相手ピストンリン
グ材摩耗、スカツフ特性共大幅に改良されてい
る。 又、本発明品中J材はSi3N4粒子と共に黒鉛を
添加し、耐焼付性の向上を更に図つたもので鋳鉄
材K相当まで耐焼付性を高めることができる。
関用アルミニウム合金製シリンダ(シリンダブロ
ツク、シリンダライナを含む)に関する。 〔従来の技術〕 自特車用内燃機関のシリンダ材としては、従来
主として安価で摺動特性の優れた片状黒鉛鋳鉄が
使用されてきたが、近年特に燃料の消費効率化の
ためにエンジンの軽量化が図られている。この一
環として、シリンダブロツクのアルミニウム合金
鋳物への交換が試みられ一部実用化されている。 しかし、一体のアルミニウム合金鋳物とした場
合には、アルミ材は軟質なため、特に、高温でピ
ストン、ピストンリングが高速、高荷重で往復摺
動するシリンダ内壁では、壁面の異常摩耗及びピ
ストン、ピストンリングとの焼付等の異常現象が
発生しやすい。 よつて、このアルミニウム合金鋳物をシリンダ
ブロツクとして使用するため種々の対策が検討さ
れ実用化が図られいる。 例えば、 アルミニウム合金シリンダブロツクのシリン
ダ内壁面にメツキ、溶射、線爆被膜等により摺
動特性の良好な層を被爆したり、又は同等処理
を施したアルミニウム合金ライナを挿入する。 片状黒鉛鋳鉄のライナを鋳包み又は圧入す
る。 使用するアルミニウム合金ブロツク及びライ
ナ材に多量のSi又はMg等を添加して凝固時に
微細な硬質粒子を分散させる。更にそれら硬質
粒子を後のエツチングによつて表面に露出させ
たり又は摺動面の潤滑油溜りとする。 〔発明が解決しようとする問題点〕 しかしこれらの手段では、 については、工程が増し、又専用の装置が必
要なためコスト高となり、かつこれら被膜は摺動
特性上相手材への攻撃性が高く、特殊なピストン
リング材が必要となる。 については、挿入するライナが鋳鉄材により
重量軽減の効果が少なく、又ブロツクアルミ材及
び鋳鉄ライナ材の熱膨張の差により接合部に間〓
が生じやすく、運転時のシリンダ内部の熱放散が
不充分となる。 については、特に比較的微細な粒子の分散で
あり、又鋳造性、機械的特性面より合金添加量に
制限があることから、未だ過酷な使用条件に自動
車用エンジンでは耐焼付特性が不充分である。 本発明は以上の点に鑑みてなされたものであ
り、耐摩耗性及び耐焼付性に優れ、かつ安価なア
ルミニウム合金製シリンダを提供することを目的
とする。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明は、上記目的を達成するためのものであ
り、(1)鋳鉄又は鋼よりなるリング摺動面に窒素化
処理又は鉄系めつき処理による硬さHv500以上の
硬化処理層を形成したピストンリングと組合わせ
て用いるアルミニウム合金製シリンダにおいて、
重量比でSi10〜20%、Cu2.0〜6.0%、Mg0.4〜1.0
%及び残部が実質的にAlからなり、硬さHRB65
以上の鋳造Al合金中に、粒子の大きさ5〜100μ
のSi3N4が重量比で5〜20%分散させた材料を用
いたダイカスト鋳造アルミニウム合金製シリンダ
及び(2)上記の鋳造Al合金中に、さらに固体潤滑
剤として黒鉛又はMoS2粒子を重量比10%以下の
範囲で分散させた材料を用いたダイカスト鋳造ア
ルミニウム合金製シリンダである。 以下に本発明アルミニウム合金製シリンダを構
成する各合金元素と外添複合硬質粒子の添加効果
及びその限定理由について詳述する。 合金成分中Siは共晶、初晶の形で基地中に微
粒子として分散し基地を強化して耐摩耗性を向
上し、鋳造性、機械性質も向上するが、10%未
満では基地強化が不充分であり、又20%を超え
ると初晶Siが粗大化して鋳造性、機械加工性を
損なう。 Cuは熱処理による基地の強化、硬化をさせ
るために重要な元素であるが、2.0%未満では
充分な熱処理効果が得られず、又6.0%を超え
ると合金の靭性を劣化させ、鋳造性を悪化させ
る。 MgもCuと同様に熱処理による基地強化を目
的とするが、又繰返し加熱時の寸法の安定性を
も図る。これが0.4%未満では目的に対し不充
分であり、又1.0%を超えると合金の靭性を劣
化する。 複合添加するSi3N4粒子については、通常複
合材の硬質粒子としては安価で入手の容易な
SiC、Cr3C2、TiC、Al2O3等が使用されるがこ
れらは摺動性上潤滑油との濡れ性が悪く、相手
材を攻撃する性質が強いため、このような不具
合のない粒子としてSi3N4を選定した。 粒子の大きさは5μ未満では耐焼付性が充分
に得られず、又鋳造上均一分散が困難であり、
逆に100μを超えると機械加工性を劣化させる。 添加配合量は5%未満では耐摩耗性が得られ
ず、又20%を超えると機械的性質及び機械加工
性が著しく悪化する。 基地硬さについては、本発明の主旨である硬
質粒子の働きを充分に発揮せしめるために重要
な特性項目で、基地が軟らかく強度が弱いと、
摺動時のピストンリング表面応力により、硬質
粒子が基地アルミと共に流動したり又はアルミ
基地中へ埋没するために充分にその効果が得ら
れない。よつて、基地は硬さHRB65以上で強
度が高く、表面の硬質粒子を保持して硬質粒子
の一次摺動面としての働きを充分に引き出す必
要がある。 また、Si3N4粒子を添加した以上のAl合金中
に更に黒鉛又はMoS2粒子を添加すれば、潤滑
油が不充分となる状況下でも、ある程度の自己
潤滑作用を持たせることができ、相手ピストン
リング材に対する攻撃性が更に緩和される。 この場合粒子の大きさは、2μ未満では基地
から剥離しやすく、又鋳造上基地中に均一に分
散させることが困難であり、逆に50μmを超え
ると比重の関係から溶解混合時に浮上分離して
鋳造性を悪化させる。従つて、粒子の大きさは
2〜50μmが好適である。 添加配合量は10%を超えると機械的性質が著
しく劣化するために10%以下とする。 なお、更に本発明のアルミニウム合金製シリ
ンダの効果を最大限に引き出し、エンジンの高
負荷、長寿命の要求に応えるために組合わせて
使用するピストンリングは下記のものが好適で
ある。 即ちピストンリングとしては、特に耐焼付性
の面から摺動面が鉄を主成分とすることが必要
であり、又前記アルミニウム合金製シリンダ基
地中に分散する初晶Si及び硬質粒子に対して自
身が負けることなく安定した摺動面を得るため
には、摺動面の硬さがHv500以上であることが
必要である。これらの特性を満足するピストン
リングとしては合金鋳鉄、合金鋼等の鋳鉄又は
鋼よりなり、摺動面に窒化処理又は鉄系めつき
処理による硬化処理層を形成したものが好適で
ある。 〔実施例〕 表−1に示す本発明及び比較例について、アル
ミニウム合金溶湯中に硬質粒子粉末を添加し、均
一に撹拌混合の後、ダイカスト鋳造法によりアル
ミニウム合金製シリンダ素材を鋳造し、T5熱処
理(180℃×8Hr)又はT6熱処理(500℃×3Hr→
水焼入れ→180℃×8Hr)を実施し組織、硬さを
調整した。これら素材から17mm幅×7mm厚さ×70
mm長さの短冊形試験片を切り出し、摩耗基礎特性
を確認するため往復動摩耗試験を実施した。な
お、供試した短冊試験片の試験摺動面表面は最終
バフ研磨仕上げをして表面あらさの影響を除い
た。試験の相手ピストンリング材としては、13%
Crマルテンサイト系ステンレス鋼よりなり摺動
面に窒化処理により窒化層を形成したφ8×23mm
のピンを使用した。なお、シリンダ材試験片同様
表面あらさの影響を除くためにピンの摺動面をバ
フ研磨仕上げして供試した。 試験に使用した往復動摩耗試験機の概略図を第
3図に示す。摩耗試験機において、1はシリンダ
材試験片、2はピストンリング材ピン、3は摺動
摩擦力を検出するロードセル、4は摩擦荷重をか
けるための油圧ユニツト、5は検出した摩擦力の
記録計、6は油圧(荷重)の表示記録計である。 試験結果を第1図に示す。 図中、シリンダ材及びピストンリング材の摩耗
量はそれぞれ試験回数3回の平均値を示し、スカ
ツフ発生までの時間は同焼付試験回数5回の平均
値を示したものである。 この結果より、現状内燃機関のシリンダ用とし
て一般に使用されている鋳鉄材Kに対して、アル
ジル合金材A、Bではシリンダ材としての耐摩耗
性、耐焼付性が不充分である。又、通常耐摩耗硬
質粒子として添加されている例の多いSiC、
Al2O3を複合添加したC、D材は、シリンダ自身
の摩耗は良好であるが、相手ピストンリング材に
対する坑撃性が顕著である。 これらに対して潤滑油との濡れ性が高いSi3N4
を分散したE、F材は上記の欠点が改善されてお
り、更にF材に対して母材を強化した本発明品の
G、H、Iでは添加分散されSi3N4の効果がより
発揮されて、シリンダ材摩耗、相手ピストンリン
グ材摩耗、スカツフ特性共大幅に改良されてい
る。 又、本発明品中J材はSi3N4粒子と共に黒鉛を
添加し、耐焼付性の向上を更に図つたもので鋳鉄
材K相当まで耐焼付性を高めることができる。
以上詳述したように、本発明アルミニウム合金
製シリンダは従来のアルミニウム合金製シリンダ
に比べて非常に良好な摺動特性を持つものであ
り、製法は簡単で、かつ安価である。 よつて、本発明のシリンダを使用することによ
り、耐摩耗性、耐焼付性の優れたエンジンを製造
することができ、しかもエンジンの大幅な軽量化
が可能となるものである。
製シリンダは従来のアルミニウム合金製シリンダ
に比べて非常に良好な摺動特性を持つものであ
り、製法は簡単で、かつ安価である。 よつて、本発明のシリンダを使用することによ
り、耐摩耗性、耐焼付性の優れたエンジンを製造
することができ、しかもエンジンの大幅な軽量化
が可能となるものである。
第1図は本発明及び比較例の試験結果を示す
図、第2図はピストンリング選定試験結果を示す
図、第3図は往復動摩耗試験機の概略図である。 1……シリンダ材試験片、2……ピストンリン
グ材ピン、3……摺動摩擦力を検出するロードセ
ル、4……摩擦荷重をかけるための油圧ユニツ
ト、5……検出した摩擦力の記録計、6……油圧
(荷重)の表示記録計。
図、第2図はピストンリング選定試験結果を示す
図、第3図は往復動摩耗試験機の概略図である。 1……シリンダ材試験片、2……ピストンリン
グ材ピン、3……摺動摩擦力を検出するロードセ
ル、4……摩擦荷重をかけるための油圧ユニツ
ト、5……検出した摩擦力の記録計、6……油圧
(荷重)の表示記録計。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 鋳鉄又は鋼よりなるリング摺動面に窒化処理
又は鉄系めつき処理による硬さHv500以上の硬化
処理層を形成したピストンリングと組合わせて用
いるアルミニウム合金製シリンダにおいて、重量
比でSi10〜20%、Cu2.0〜6.0%、Mg0.4〜1.0%及
び残部が実質的にAlからなり、硬さHRB65以上
の鋳造Al合金中に、粒子の大きさ5〜100μの
Si3N4が重量比で5〜20%分散させた材料を用い
たダイカスト鋳造アルミニウム合金製シリンダ。 2 鋳鉄又は鋼よりなるリング摺動面に窒化処理
又は鉄系めつき処理による硬さHv500以上の硬化
処理層を形成したピストンリングと組合わせて用
いるアルミニウム合金製シリンダにおいて、重量
比でSi10〜20%、Cu2.0〜6.0%、Mg0.4〜1.0%及
び残部が実質的にAlからなり、硬さHRB65以上
の鋳造Al合金中に、粒子の大きさ5〜100μの
Si3N4が重量比で5〜20%、及び固体潤滑剤とし
て黒鉛又はMoS2粒子を重量比10%以下の範囲で
分散させた材料を用いたダイカスト鋳造アルミニ
ウム合金製シリンダ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14918685A JPS6210236A (ja) | 1985-07-09 | 1985-07-09 | アルミニウム合金製シリンダ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14918685A JPS6210236A (ja) | 1985-07-09 | 1985-07-09 | アルミニウム合金製シリンダ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS6210236A JPS6210236A (ja) | 1987-01-19 |
JPH0119456B2 true JPH0119456B2 (ja) | 1989-04-11 |
Family
ID=15469676
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP14918685A Granted JPS6210236A (ja) | 1985-07-09 | 1985-07-09 | アルミニウム合金製シリンダ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS6210236A (ja) |
Families Citing this family (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS63183147A (ja) * | 1987-01-23 | 1988-07-28 | Toshiba Corp | 磁気テ−プ接触部品用アルミニウム合金 |
JPH01246340A (ja) * | 1988-03-28 | 1989-10-02 | Ryobi Ltd | 粒子分散型合金とその製造方法 |
JPH01246341A (ja) * | 1988-03-28 | 1989-10-02 | Ryobi Ltd | 粒子分散型合金とその製造方法 |
JPH01247545A (ja) * | 1988-03-30 | 1989-10-03 | Ryobi Ltd | 粒子分散型合金とその製造方法 |
US5106702A (en) * | 1988-08-04 | 1992-04-21 | Advanced Composite Materials Corporation | Reinforced aluminum matrix composite |
DE4244502C1 (de) * | 1992-12-30 | 1994-03-17 | Bruehl Aluminiumtechnik | Zylinderkurbelgehäuse und Verfahren zu seiner Herstellung |
CN110465644A (zh) * | 2019-07-23 | 2019-11-19 | 华南理工大学 | 一种双层材料缸套的制备方法 |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS56116851A (en) * | 1980-02-21 | 1981-09-12 | Nissan Motor Co Ltd | Cylinder liner material for internal combustion engine |
JPS5881948A (ja) * | 1981-11-11 | 1983-05-17 | Nissan Motor Co Ltd | 耐摩耗性ならびに振動減衰能に優れたアルミニウム複合材料 |
JPS58141356A (ja) * | 1982-02-15 | 1983-08-22 | Nissan Motor Co Ltd | 耐摩耗性焼結アルミニウム合金 |
JPS59219444A (ja) * | 1983-05-24 | 1984-12-10 | Toyota Motor Corp | 分散強化型アルミニウム合金 |
-
1985
- 1985-07-09 JP JP14918685A patent/JPS6210236A/ja active Granted
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS56116851A (en) * | 1980-02-21 | 1981-09-12 | Nissan Motor Co Ltd | Cylinder liner material for internal combustion engine |
JPS5881948A (ja) * | 1981-11-11 | 1983-05-17 | Nissan Motor Co Ltd | 耐摩耗性ならびに振動減衰能に優れたアルミニウム複合材料 |
JPS58141356A (ja) * | 1982-02-15 | 1983-08-22 | Nissan Motor Co Ltd | 耐摩耗性焼結アルミニウム合金 |
JPS59219444A (ja) * | 1983-05-24 | 1984-12-10 | Toyota Motor Corp | 分散強化型アルミニウム合金 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS6210236A (ja) | 1987-01-19 |
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