JPH0942447A - 摺動部材の組合せ - Google Patents

摺動部材の組合せ

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JPH0942447A
JPH0942447A JP19980195A JP19980195A JPH0942447A JP H0942447 A JPH0942447 A JP H0942447A JP 19980195 A JP19980195 A JP 19980195A JP 19980195 A JP19980195 A JP 19980195A JP H0942447 A JPH0942447 A JP H0942447A
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sliding
aluminum
piston
sliding members
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JP19980195A
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English (en)
Inventor
Eiji Hirai
英次 平井
Masaaki Beppu
正昭 別府
Kiyotake Mori
清毅 森
Seiji Funatani
清司 鮒谷
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Nihon Parkerizing Co Ltd
Original Assignee
Nihon Parkerizing Co Ltd
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F05INDEXING SCHEMES RELATING TO ENGINES OR PUMPS IN VARIOUS SUBCLASSES OF CLASSES F01-F04
    • F05CINDEXING SCHEME RELATING TO MATERIALS, MATERIAL PROPERTIES OR MATERIAL CHARACTERISTICS FOR MACHINES, ENGINES OR PUMPS OTHER THAN NON-POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES OR ENGINES
    • F05C2201/00Metals
    • F05C2201/02Light metals
    • F05C2201/021Aluminium
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F05INDEXING SCHEMES RELATING TO ENGINES OR PUMPS IN VARIOUS SUBCLASSES OF CLASSES F01-F04
    • F05CINDEXING SCHEME RELATING TO MATERIALS, MATERIAL PROPERTIES OR MATERIAL CHARACTERISTICS FOR MACHINES, ENGINES OR PUMPS OTHER THAN NON-POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES OR ENGINES
    • F05C2203/00Non-metallic inorganic materials
    • F05C2203/04Phosphor

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  • Cylinder Crankcases Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Pistons, Piston Rings, And Cylinders (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐摩耗性・耐焼付き性に優れ、安価な摺動部
材の組合せ、例えば内燃機関用シリンダー/ピストンの
組合せを提供する。 【解決手段】 Al−Si合金(好ましくはSi含有
率:7〜30重量%)からなる第1部材(例えばシリン
ダー)に、Al含有金属基体と、Ni−P合金マトリッ
クス中に窒化ほう素、炭化硅素、窒化硅素からなる分散
粒子が分散している複合めっき皮膜とからなる第2部材
(例えばピストン)を組合せ、必要によりさらに鉄含有
金属基体、及び窒化処理又は硬質クロムめっきにより形
成された硬質皮膜からなる第3部材(例えばピストンリ
ング)を組み合せる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、摺動部材の組合せ
に関するものである。更に詳しく述べるならば、本発明
は、互に摺動し合う複数個のアルミニウム含有金属製摺
動部材からなり、かつ低摩擦性と、優れた耐摩耗性を示
す摺動部材の組合せに関するものである。本発明の摺動
部材の組合せは、例えばアルミニウム含有金属製内燃機
関におけるシリンダー、ピストン、および必要によりピ
ストンリングの組合せなどに、優れた性能を発揮するも
のである。
【0002】
【従来の技術】近年、原動機などにおいて、省エネルギ
ーのために軽量化の要求が高まり、この要求に対応する
ために、アルミニウム含有金属のような軽金属の利用が
増加している。例えば、内燃機関においては、燃料消費
量を低下させながら、性能を向上させ、かつ排気ガス発
生量を低減させるために、アルミニウム合金の利用が重
要な課題となっている。また、ボート類の船に取り付け
られる船外エンジン、および発電機、チェーンソウ、芝
刈機などに用いられる小型ポータブルエンジンにおいて
もアルミニウム含有金属製エンジンが普及しており、そ
の性能向上が強く求められている。
【0003】しかしアルミニウム含有金属から作られた
摺動部材には機械的強度、剛性などにおいて、一層の向
上が求められており、かつ、その耐摩耗性および耐焼付
性などのように耐久性に関連する性能についても一層の
向上が要望されている。このような要望に対応するため
に、アルミニウム含有金属製摺動部材に種々の表面処理
を施すことが提案されている。
【0004】このようなアルミニウム含有金属製摺動部
材用表面処理法としては、ニッケル、又はクロムを主成
分とする湿式めっき法、および陽極酸化処理法が知られ
ており、このように表面処理されたアルミニウム含有金
属製摺動部材と組み合される摺動部材として、鋳鉄製摺
動部材又は硬質クロムめっき、又はNi−P複合めっき
を施したアルミニウム合金製摺動部材などが考えられて
いる。しかしながら、従来のアルミニウム含有金属製摺
動部材を用いる摺動部材の組合せは、耐焼付性、および
実用耐久性などにおいて、不満なものであった。
【0005】例えば排気量100cc以下の汎用エンジン
の場合、アルミニウム合金鋳物材からなるピストンと、
摺動面に硬質クロムめっきを施したアルミニウム合金ダ
イカスト製シリンダーとの組合せが知られている。しか
しながら、この組合せにおいて、シリンダーに施される
硬質クロム電気めっき工程は、めっき電流効率が20%
程度という低いものであって、成膜速度が著るしく遅い
ためニッケルを主成分とする電気めっき工程に比して生
産効率が不良であり、かつコストが高いという欠点を有
する。また、この硬質クロムめっき工程には、クロムめ
っき廃液の処理について環境保護のために強い規制を受
けるなどの問題がある。さらに硬質クロムめっき層は、
潤滑油の供給不足などによる油膜切れを生じ易く、ま
た、ピストンとシリンダーとの間に極部的なコンタクト
を生ずると、焼付き易いなどの問題点がある。このた
め、硬質クロムめっきに代る種々の表面処理法が提案さ
れている。
【0006】特開昭55−78856号には、内燃機関
用ピストンの滑動面に、ボロンナイトライド又はセリサ
イト、及びりん化合物を含むニッケルめっきを施して、
潤滑性の改善されためっき層を形成することが開示され
ている。しかし、上記公開公報には、ピストンを形成す
る基材については全く開示がなく、かつこのニッケルめ
っきピストンに組み合わされるべきシリンダーを形成す
る材料については全く記載がない。
【0007】内燃機関用シリンダーを、アルミニウム合
金により形成することも試みられてきたが一般に、アル
ミニウム合金製シリンダーは、強度および剛性が不十分
であるため、その摺動面に材質強化処理又は表面改質処
理、例えば、各種めっき、溶射、ライナー挿入、又はセ
ラミック又はグラファイト繊維による補強が必要である
と考えられていた。しかしながら、シリンダーにおける
上記材質強化処理又は表面改質処理は、シリンダーのコ
スト上昇の原因となりその実用化の障害となっている。
【0008】例えば特開平2−119663号には、ア
ルミニウム合金製基体の摺動表面に、窒化珪素粒子を含
有する鉄、又は鉄−りん合金めっきを施したピストン
と、アルミニウム合金製基体の摺動表面に、窒化珪素粒
子を含有するニッケル−コバルト−りん合金めっきを施
したシリンダーとの組合せが開示されている。また上記
公開公報には、前記めっきピストンとシリンダーとの組
合せにより、耐摩耗性および耐焼付性が向上し、かつ相
手部材への攻撃性が抑制される旨が記載されている。
【0009】しかしながら、前記ピストンとシリンダー
との組合せにおいて、シリンダー内壁面(摺動面)に対
する窒化珪素粒子含有ニッケル−コバルト−りん合金め
っきは、シリンダーの製造コストを著るしく高いものに
するという問題点があり、このため、上記摺動部材の組
合せは、実用上不満足なものであった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、摩擦性が低
く、耐摩耗性および耐焼付性に優れ、しかも製造コスト
が低い、摺動部材の組合せを提供しようとするものであ
る。特に本発明は、摺動部材の一つとして表面処理が施
されておらず、従って製造コストの低いアルミニウム合
金製部材を用い、しかも、耐摩耗性および耐焼付性に優
れた摺動部材の組合せを提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係る摺動部材の
組合せは、互いに摺動し合う複数個の部材からなり、そ
の第1部材が、アルミニウム−シリコン合金から形成さ
れ、その第2部材が、アルミニウム含有金属からなる基
体、及び前記基体の表面上に形成され、かつニッケル−
りん合金からなるマトリックスと、このマトリックス中
に分散され、かつ窒化ほう素粒子、炭化硅素粒子及び窒
化硅素粒子から選ばれた少なくとも1種の分散粒子とを
含む複合めっき皮膜からなることを特徴とする、もので
ある。
【0012】本発明の摺動部材の組合せにおいて、前記
第1部材を形成するアルミニウム−シリコン合金のシリ
コン含有量が7〜30重量%であることが好ましい。
【0013】本発明の摺動部材の組合せの一実施態様に
おいて、前記第1部材が内燃機関用シリンダーであり、
前記第2部材が前記シリンダーに組合されたピストンで
あって、前記複合めっき皮膜が前記ピストンの少なくと
も摺動周面に形成されている。
【0014】本発明の摺動部材の組合せは、前記第1お
よび第2部材のそれぞれと摺動し合う第3部材を有し、
この第3部材が、鉄含有金属からなる基体と、この基体
の表面に窒化処理、又は硬質クロムめっき処理により形
成された硬質皮膜とからなるものであってもよい。
【0015】本発明の前記第1〜3部材を含む摺動部材
の組合せにおいて前記第1部材が内燃機関用シリンダー
であり、前記第2部材が前記シリンダーに組合されたピ
ストンであって、前記複合めっき皮膜が前記ピストンの
少なくとも摺動周面に形成されており、前記第3部材
が、前記ピストンに組み合わされたピストンリングであ
って、前記硬質皮膜が前記ピストンリングの摺動表面に
形成されている。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明に係る摺動部材の組合せの
第1部材は、アルミニウム−シリコン合金から形成され
るものである。このアルミニウム−シリコン合金のシリ
コン含有率には格別の制限はないが、7〜30重量%で
あることが好ましく、10〜25%であることがより好
ましい。このようなアルミニウム−シリコン合金は優れ
た耐熱性、剛性および機械的強度を有している。アルミ
ニウム−シリコンの過共晶合金では、初晶シリコンが均
一に析出分散していることが好ましい。この過共晶中の
シリコン初晶は、1000程度の硬度(Hv)を有し、
この過共晶のシリコン初晶の一部分がアルミニウム−シ
リコン合金からなる第一摺動部材の表面に、頭出し(露
出)して、この第一部材表面に、優れた耐摩耗性を付与
する。
【0017】アルミニウム−シリコン合金中のシリコン
含有率が7重量%未満になると、アルミニウム−シリコ
ン合金の過共晶に析出するシリコン初晶の性能が十分に
発揮されない。また、その含有率が30重量%を超える
と、得られるアルミニウム−シリコン合金の鋳造性、お
よび加工性が低下し、所定形状・寸法の摺動部材、例え
ば、エンジン用シリンダーを効率よく安定して量産する
ことが困難になる。
【0018】第1部材は、前述のように、その表面に表
面皮膜(例えば硬質クロムめっき層など)を有しておら
ず、また、表面硬化処理を受けていないものであるが、
その潤滑性を高めるために、第1部材の摺動表面に多数
の微細溝が形成されていて、潤滑剤を収容保持できる粗
面をなしていることが好ましい。微細溝の形状、寸法、
分布などは、所望に応じて適宜に設定すればよいが、例
えば、幅2μm、深さ2μm、間隔5μmの多数の微細
溝が、互に交差して形成されていることが好ましい。ま
た、このようにして形成された粗面は0.1〜2.0μ
mの表面粗さ(Ra)を有することが好ましい。
【0019】本発明の摺動部材の組合せにおいて、その
第2部材として、アルミニウム含有金属(すなわち、ア
ルミニウム、又はアルミニウム合金)からなる基体、及
びこの基体の少なくとも摺動表面上に形成され、かつニ
ッケル−りん合金からなるマトリックスと、このマトリ
ックス中に分散され、かつ窒化ほう素粒子、炭化硅素粒
子及び窒化硅素粒子から選ばれた少なくとも1種の分散
粒子を含む複合めっき皮膜からなる摺動部材が用いられ
る。
【0020】第2部材の基体を形成するアルミニウム含
有金属材料はアルミニウム、及びアルミニウム合金の展
伸材、例えばアルミニウム及びアルミニウム合金の板、
棒、管、押出形材及び鍛造品、アルミニウム合金の鋳物
材、及びアルミニウム合金ダイカスト材から選ぶことが
できる。第2部材基体用アルミニウム合金としては、ア
ルミニウムと、銅、シリコン、マグネシウム、マンガ
ン、ニッケルから選ばれた1種以上との合金を用いるこ
とができ、好ましくはアルミニウム−Si−Cu−Ni
−Mg系合金、アルミニウム−Si−Cu−Mg系合金
などが用いられる。
【0021】第2部材の複合めっき皮膜のマトリックス
を形成するニッケル−りん合金は、0.1〜12重量%
のりんを含有することが好ましく、このりん含有量は電
解ニッケル複合めっきの場合は0.5〜2.0重量%で
あることが好ましく、無電解ニッケル複合めっきの場合
は7〜10重量%であることがより好ましい。
【0022】第2部材の複合めっき皮膜に含まれる分散
粒子は、窒化ほう素粒子、炭化硅素粒子及び窒化硅素粒
子から選ばれる。第2部材の複合めっき皮膜は、第2部
材の摺動表面の耐焼付き性、および耐摩耗性を顕著に向
上させることができるが、特に、前記特定分散粒子は、
第2部材摺動表面の耐焼付き性向上に有効なものであ
る。この分散粒子の含有量は必要に応じて適宜設定する
ことができるが、一般に0.2〜10重量%であること
が好ましく、1.0〜7重量%であることがさらに好ま
しい。
【0023】第2部材複合めっき皮膜中の特定分散粒子
の含有量が0.2重量%未満であると、特定分散粒子に
よる潤滑性が不十分になって、表面摩擦係数が増大し焼
付きが発生し易くなることがある。また、特定分散粒子
の含有量が10重量%を超えると、得られる複合めっき
皮膜が脆くなり、かつその硬度が低下して、摺動特性が
不良になることがある。
【0024】第2部材複合めっき皮膜に含まれる特定分
散粒子の粒径、形状などに格別の制限はないが、一般
に、0.1〜7μmの粒径を有することが好ましく、よ
り好ましい粒径は0.5〜5μmである。特定分散粒子
の粒径が過小又は過大であると、前記効果(耐摩耗性、
耐焼付き性の向上)が十分得られないことがある。
【0025】第2部材複合めっき皮膜のマトリックス
は、前述のように、ニッケル−りん合金により形成され
ているが、このマトリックスが、複合めっき皮膜の優れ
た耐摩耗性の原因と考えられ、特に、ニッケルにりんが
合金化されていることが重要である。例えばニッケルか
らなるマトリックス(りんを含まない)中に、セラミッ
ク粒子が分散しているめっき皮膜は、常温において、本
発明における複合めっき皮膜(Ni−P合金マトリック
ス)と同様に600程度の表面硬さ(Hv)を示す。し
かし、高温においては、本発明の複合めっき皮膜(Ni
−P合金マトリックス)の硬度は、前記めっき(Niマ
トリックス)皮膜の硬度にくらべて、顕著に高いものに
なる。
【0026】例えば、4ストロークガソリンエンジンの
ピストン表面の温度は、シリンダーが水冷されているの
で、高めに見積っても、たかだか300℃であると云わ
れている。また排気量100cc以下の汎用エンジンにお
いても、その温度は250℃前後のレベルにあると云わ
れているが、このような温度範囲において、本発明に用
いられる複合めっき皮膜(Ni−P合金マトリックス)
の硬度(Hv)は750前後であるが、ニッケルからな
るマトリックス中にセラミック粒子が分散しているめっ
き皮膜の場合は約400程度であって、その間に顕著な
差違を生ずる。
【0027】本発明に用いられるNi−P合金マトリッ
クス含有複合めっき皮膜が、高温においてすぐれた硬度
と、耐摩耗性を示す理由は、ニッケル中に固溶している
りんが加熱による温度上昇に伴って、Ni3 P結晶とし
て析出することにあると考えられている。
【0028】本発明の第2部分の複合めっき皮膜の厚さ
は、必要に応じて適宜に設定することができるが、一般
に、2〜100μmであることが好ましく、5〜40μ
mであることがさらに好ましい。複合めっき皮膜の厚さ
が2μm未満であると、その耐摩耗性および耐焼付き性
防止効果が不十分になることがあり、それが100μm
を超える膜厚としてもその効果の向上は望めずかつコス
ト的にも好ましくない。
【0029】本発明の第2部材において、その基材表面
上に、複合めっき皮膜を形成するには、例えばニッケル
供給源(例えば、スルファミン酸ニッケル、塩化ニッケ
ル、硫酸ニッケルなど)、りん供給源(例えば次亜りん
酸ソーダ、次亜りん酸、亜りん酸など)および分散粒子
を含む複合めっき浴を調製し、アルミニウム含有金属基
体を電極として、これに電気めっきを施すことができ
る。また、酸性浴、あるいはアルカリ性浴を用い分散粒
子を含む無電解ニッケル、りん複合めっきを施すことも
可能である。これらの複合めっき浴にはpH緩衝剤、ピッ
ト防止剤、光沢剤、応力減少剤などを添加してもよい。
【0030】本発明の摺動部材の組合せの一実施態様に
おいて、第1部材が内燃機関用シリンダーであり、第2
部材が、前記シリンダーに組合されたピストンであっ
て、前記複合めっき皮膜が、ピストンの少なくとも摺動
周面に形成されているものであってもよい。このような
シリンダーとピストンとの組合せにおいて、シリンダー
は、アルミニウム−シリコン合金からなり、その表面に
は硬質クロムめっき又は硬化処理などが施されていない
にも拘らず、本発明の特定第2部材として規定されてい
るピストンを組合せることにより、これらのシリンダー
およびピストンは、実用上優れた耐摩耗性および耐焼付
き性を示し、かつ実用上十分な潤滑性(低摩擦性)を示
すことができる。特にピストンのスカート部に形成され
た本発明の複合めっき皮膜は、耐摩耗性および耐焼付き
性の向上に加えて、内燃機関温度を低温安定化させるこ
とができ、ピストンクリアランスを低減させることがで
き、かつ液体潤滑剤(エンジンオイル等)の消費量を低
減させるという効果を得ることができる。さらに、ピス
トンのクラウン部に、本発明の複合めっき皮膜を形成す
ると、この複合めっき皮膜の高い耐熱性によって、優れ
た溶損防止効果が得られ、しかもカーボンスーツの付着
を減少させることが可能になる。すなわち、本発明によ
って、優れた性能を有する内燃機関用アルミニウム含有
金属製シリンダーおよびピストンの組合せを、安価に、
かつ高生産性をもって提供することが可能になるのであ
る。特に本発明の採用により、アルミニウム含有金属製
内燃機関のトータルコストを20〜30%低減すること
が可能になる。
【0031】本発明の摺動部材の組合せは、第1部材お
よび第2部材のそれぞれと摺動し合う第3部材を有して
もよく、この第3部材は、鉄含有金属からなる基体と、
この基体の摺動表面に形成された硬質皮膜を有するもの
であってもよく、この硬質皮膜は窒化処理、又は硬質ク
ロムめっき処理により形成されたものであってもよい。
第3部材の基体を形成する鉄含有金属は、必要に応じて
適宜選定することができるが、例えば球状黒鉛鋳鉄、ね
ずみ鋳鉄、ステンレス鋼などから選ぶことができる。
【0032】第3部材の硬質皮膜が窒化処理により形成
される場合、この窒化処理は、既知の方法によって施す
ことができ、得られる硬質皮膜の厚さも必要に応じて適
宜設定すればよく、例えば窒化皮膜は、1〜20μmの
厚さに形成される。また、第3部材の硬質皮膜を硬質ク
ロムめっき処理で形成する場合、その処理条件、皮膜組
成、皮膜厚さなどは必要に応じて適宜設定することがで
きるが、一般に、Hv750程度の硬さを有する金属クロ
ムを含む皮膜を、既知のめっき条件、例えば三酸化クロ
ム及び硫酸を含むサージェント浴(45〜55℃、10
〜80A/dm2 )の条件下に、1〜20μmの厚さに形
成すればよい。
【0033】本発明の、第1〜3部材を含む摺動部材の
組合せの一実施態様において、第1部材が内燃機関用シ
リンダーであり、第2部材が前記シリンダーに組合され
たピストンであって、複合めっき皮膜が前記ピストンの
少なくとも摺動周面に形成されており、第3部材が、前
記ピストンに組み合わされたピストンリングであって、
硬質皮膜が前記ピストンリングの摺動表面に形成されて
いるものであってもよい。このようなシリンダー、ピス
トン、ピストンリングの組合せは、アルミニウム−シリ
コン合金製シリンダーを、それに表面処理又はめっき処
理を施すことなくそのまゝ使用できるという実用上すぐ
れた利点を有する。
【0034】
【実施例】本発明を下記実施例によりさらに説明する。実施例1 AC8A(JIS H 5202)製のピストンのピン
穴部を除く外周面全面(スカート部、リング溝部及びク
ラウン部)に、ニッケル−りん合金からなるマトリック
スに窒化ほう素粒子を分散させた複合めっき皮膜を形成
させた。表1に、用いためっき浴の浴組成及びめっき条
件を示す。また表2に、ピストン各部分における複合め
っき皮膜の膜厚を示す。なお、形成された複合めっき皮
膜のニッケル−りん合金マトリックスのりん含有量は
1.2重量%であり、また、複合めっき皮膜中の分散粒
子の含有量は3.7重量%であった。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】また、相手材となるシリンダーを、18重
量%のシリコンを含有するアルミニウム−シリコン合金
を用いて形成した。すなわち、アルミニウム−シリコン
合金製のシリンダーを、鋳造により所定の形状のシリン
ダ−ブロックに仕上げた後、ピストン及びピストンリン
グと摺動する内径面のみに、クロスハッチ仕上げの機械
加工(微細溝の形成表面粗さ:0.53Ra)を施した。
なお、この機械加工において、素材中に過共晶に析出し
ている初晶シリコンに亀裂や脱落を与えないように機械
加工条件が調整された。
【0038】また、ピストンリングには、ねずみ鋳鉄製
の基体に硬質クロムめっき皮膜を形成させたものを用い
た。なお、ピストンリングに施した硬質クロムめっき皮
膜の膜厚は、4μmであった。表3に、上記硬質クロム
めっき皮膜の形成に用いた硬質クロムめっき浴の浴組成
及びめっき条件を示す。
【0039】
【表3】
【0040】上記工程により得られたピストン、シリン
ダー及びピストンリングを2サイクル空冷2気筒エンジ
ンに組付け、実機耐久テストに供した。この実機耐久テ
ストは、2サイクル用の混合ガソリン(混合比50:
1)を燃料として用い、最高回転数6000rpm 全負
荷、試験時間400時間の条件におけるベンチテストで
あった。その結果を表4に示す。
【0041】実施例2 実施例1と同様のシリンダー、ピストンおよびピストン
リング製造操作を行った。但し、ピストン用複合めっき
皮膜の分散粒子として炭化珪素を用いた。即ち、AC8
A(JIS H 5202)製のピストンのピン穴部を
除く外周面全面(スカート部、リング溝部及びクラウン
部)に、ニッケル−りん合金からなるマトリックスに炭
化珪素を分散させた複合めっき皮膜を実施例1と同様の
方法および膜厚分布で形成させた。なお、用いためっき
浴の組成及びめっき条件は、分散粒子として、窒化ほう
素を炭化珪素(平均粒径2μm)50g/Lに変更した
ことを除き、表1に示すものと同様であった。また、得
られた複合めっき皮膜のニッケル−りん合金マトリック
スのりん含有量は1.0重量%であり、複合めっき皮膜
中の分散粒子(炭化珪素)の含有量は2.9重量%であ
った。また、相手材となるシリンダー及びピストンリン
グは、実施例1と同様のものを用いた。テスト結果を表
4に示す。
【0042】実施例3 実施例1と同様にしてシリンダー、ピストンおよびピス
トンリングを製造した。但し、複合めっき皮膜用分散粒
子として窒化珪素を用いた。即ち、AC8A(JIS
H 5202)製のピストンのピン穴部を除く外周面全
面(スカート部、リング溝部及びクラウン部)に、ニッ
ケル−りん合金からなるマトリックスに窒化珪素を分散
させた複合めっき皮膜を実施例1と同様の方法および膜
厚分布で形成させた。なお、用いためっき浴の組成及び
めっき条件は、分散粒子として、窒化ほう素を窒化珪素
(平均粒径1μm)50g/Lに変更したことを除き、
表1に示したものと同様であった。また、得られた複合
めっき皮膜のニッケル−りん合金マトリックスのりん含
有量は1.3重量%であり、複合めっき皮膜中の分散粒
子(窒化珪素)の含有量は2.7重量%であった。ま
た、相手材となるシリンダー及びピストンリングは、実
施例1と同様のものを用いた。テスト結果を表4に示
す。
【0043】比較例1 比較例1において、現在、100cc以下の汎用エンジン
で一般的に使用されているシリンダー、ピストンおよび
ピストンリングの組合せを用いた。即ち、ピストンを、
無処理のAC8A(JIS H 5202)材により形
成し、シリンダーを、ピストン及びピストンリングと摺
動する内壁面に硬質クロムめっき皮膜を形成させたAD
C12(JIS H 5302)材を用い、また、ピス
トンリングを、無処理のねずみ鋳鉄材により形成した。
なお、シリンダーの内壁面に施した硬質クロムめっき皮
膜は、表3に示した条件で膜厚が80μmになるように
形成され、このめっき後、ホーニング加工により所定の
寸法精度に仕上げた(ホーニング加工後の硬質クロムめ
っきの膜厚:約50μm)。テスト結果を表4に示す。
【0044】
【表4】
【0045】表4に示されているように、本発明を適用
した実施例1〜3の組合せは、耐摩耗性、耐焼付き性に
おいて優れていたため、ピストンの膨張等によりシリン
ダーとピストンが直接接触する条件下においても焼付き
を生ずることがなく、その結果、ピストンクリアランス
を従来のもの(比較例1)にくらべて20〜35μm程
度狭くする事に成功した。これにより、ガス抜け等のロ
スが低減され、比較例1に比してトルクでは5〜7%程
度の向上が達成され、燃費では6.5〜8%程度の向上
を実現することができた。
【0046】
【発明の効果】本発明の摺動部材の組合せにより、その
第1部材(例えば内燃機関のシリンダー)を、表面処理
を施していないアルミニウム−シリコン合金から形成し
ているにも拘らず、それと組合せる第2部材(例えばピ
ストン)を、アルミニウム含有金属基体と、その上に形
成され、かつニッケル−りん合金マトリックスおよび窒
化ほう素、炭化硅素又は窒化硅素からなる分散粒子を含
む特定複合めっき皮膜からなる複合材料により形成する
ことによって、優れた耐摩耗性および耐焼付き性を有す
る摺動部材の組合せの実用化が可能になる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F02F 3/10 F02F 3/10 B 5/00 5/00 F F16J 9/26 F16J 9/26 C 10/04 10/04 (72)発明者 鮒谷 清司 東京都中央区日本橋1−15−1 日本パー カライジング株式会社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに摺動し合う複数個の部材からな
    り、その第1部材が、アルミニウム−シリコン合金から
    形成され、その第2部材が、アルミニウム含有金属から
    なる基体、及び前記基体の表面上に形成され、かつニッ
    ケル−りん合金からなるマトリックスと、このマトリッ
    クス中に分散され、かつ窒化ほう素粒子、炭化硅素粒子
    及び窒化硅素粒子から選ばれた少なくとも1種の分散粒
    子とを含む複合めっき皮膜からなることを特徴とする、
    摺動部材の組合せ。
  2. 【請求項2】 前記第1部材を形成するアルミニウム−
    シリコン合金において、シリコンの含有量が7〜30重
    量%である、請求項1に記載の摺動部材の組合せ。
  3. 【請求項3】 前記第1部材の摺動面に多数の微細溝が
    形成されている、請求項1に記載の摺動部材の組合せ。
  4. 【請求項4】 前記第1部材の摺動面において、過共晶
    に析出している多数の初晶シリコン粒子が頭出ししてい
    る、請求項1に記載の摺動部材の組合せ。
  5. 【請求項5】 前記第2部材の基体を形成するアルミニ
    ウム含有金属材料が、アルミニウム、及びアルミニウム
    合金の展伸材、アルミニウム合金鋳物材、及びアルミニ
    ウム合金ダイカスト材から選ばれる、請求項1に記載の
    摺動部材の組合せ。
  6. 【請求項6】 前記第2部材の複合めっき皮膜のニッケ
    ル−りん合金マトリックスが0.1〜12重量%のりん
    を含有する、請求項1に記載の摺動部材の組合せ。
  7. 【請求項7】 前記第2部材の複合めっき皮膜中の分散
    粒子の含有量が0.2〜10重量%である請求項1に記
    載の摺動部材の組合せ。
  8. 【請求項8】 前記第2部材の複合めっき皮膜中の分散
    粒子が0.1〜7μmの粒子を有する、請求項1に記載
    の摺動部材の組合せ。
  9. 【請求項9】 前記第2部材の複合めっき皮膜が2〜1
    00μmの厚さを有する、請求項1に記載の摺動部材の
    組合せ。
  10. 【請求項10】 前記第1部材が内燃機関用シリンダー
    であり、前記第2部材が前記シリンダーに組合されたピ
    ストンであって、前記複合めっき皮膜が前記ピストンの
    少なくとも摺動周面に形成されている、請求項1〜9の
    いずれか1項に記載の摺動部材の組合せ。
  11. 【請求項11】 前記第1部材および第2部材のそれぞ
    れと摺動し合う第3部材を有し、この第3部材が、鉄含
    有金属からなる基体と、この基体の摺動表面に窒化処
    理、又は硬質クロムめっき処理により形成された硬質皮
    膜とからなる、請求項1に記載の摺動部材の組合せ。
  12. 【請求項12】 前記第1部材が内燃機関用シリンダー
    であり、前記第2部材が前記シリンダーに組合されたピ
    ストンであって、前記複合めっき皮膜が前記ピストンの
    少なくとも摺動周面に形成されており、前記第3部材
    が、前記ピストンに組み合わされたピストンリングであ
    って、前記硬質皮膜が前記ピストンリングの摺動表面に
    形成されている、請求項11に記載の摺動部材の組合
    せ。
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