JPH05222588A - 内燃機関用アルミニウム合金製ピストン - Google Patents

内燃機関用アルミニウム合金製ピストン

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JPH05222588A
JPH05222588A JP5633992A JP5633992A JPH05222588A JP H05222588 A JPH05222588 A JP H05222588A JP 5633992 A JP5633992 A JP 5633992A JP 5633992 A JP5633992 A JP 5633992A JP H05222588 A JPH05222588 A JP H05222588A
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piston
plating layer
nickel
resistance
ring groove
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JP5633992A
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Manabu Shinada
学 品田
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Original Assignee
Riken Corp
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F05INDEXING SCHEMES RELATING TO ENGINES OR PUMPS IN VARIOUS SUBCLASSES OF CLASSES F01-F04
    • F05CINDEXING SCHEME RELATING TO MATERIALS, MATERIAL PROPERTIES OR MATERIAL CHARACTERISTICS FOR MACHINES, ENGINES OR PUMPS OTHER THAN NON-POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES OR ENGINES
    • F05C2201/00Metals
    • F05C2201/02Light metals
    • F05C2201/021Aluminium

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  • Chemically Coating (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 リング溝における耐摩耗性、耐かじり性及び
耐熱性に優れるとともに、スカート部の耐摩耗性及び耐
スカッフ性に優れた内燃機関用アルミニウム合金製ピス
トンを提供する。 【構成】 内燃機関用アルミニウム合金製ピストン1の
リング溝表面に、ニッケルとタングステンとボロンとか
らなる硬質で高強度のめっき層2を形成するとともに、
スカート部の外表面に硬質粒子を分散させためっき層7
を形成してなるピストン。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は内燃機関に用いられるア
ルミニウム合金製ピストンに関し、特にリング溝におけ
る耐摩耗性、耐焼付け性及び耐熱性に優れるとともに、
スカート部の耐摩耗性、耐スカッフ性に優れた内燃機関
用アルミニウム合金製ピストンに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来ア
ルミニウム合金製ピストンは、リング溝をアルミニウム
のままで使用するには、耐摩耗性が劣るため、無電解ニ
ッケル−リン合金めっきや、硬質アルマイト処理等を施
して、耐摩耗性を向上させていた。
【0003】また、シリンダーとピストンとして、共に
アルミニウム合金を使用した全アルミニウム合金製エン
ジンでは、ピストンのスカート部表面に耐摩耗性及び耐
焼付き性の良好なめっきを施したアルミニウムピストン
を使用する必要がある。
【0004】この耐摩耗性等の良好なめっきとしては、
鉄系めっきが一般的に使用されている。しかし、シリン
ダ材が高シリコン材になると、初晶Siの硬い鋭角部に
より、スカート部の鉄系めっきも摩耗したり、摺動キズ
が発生し、出力が低下するという問題がある。
【0005】ところで、近年、自動車等の内燃機関は小
型軽量化とともに、高出力化及び高速回転化の傾向にあ
り、このため内燃機関の熱負荷が増大し、油温も上昇し
ている。このような苛酷な条件下でアルミニウム合金製
ピストンを作動させると、ピストンのリング溝の摩耗が
進むだけでなく、その表面がピストンリング表面に凝着
する現象が生じる。この凝着現象は、ピストンリングの
焼付き及び折損を引き起し、エンジントラブルの原因と
なっている。
【0006】そこで、ピストンのリング溝の耐摩耗性の
向上及びピストンリングのアルミニウム凝着を防止する
ことを目的として、ピストンのリング溝の表面に無電解
めっき法によって、ニッケル−燐めっき(いわゆるカニ
ゼンめっき)を施すことが行われているが、この方法で
は十分な硬度のめっき層が得られず、また熱硬化処理を
施すことができないため、耐摩耗性及び耐久性の面で不
十分であり、ブローバイの増加やピストン溝の下地のア
ルミニウムがピストンリングの側面と接触してアルミニ
ウムの凝着を生じる。この欠点を補うために、ピストン
溝にアルマイト処理を施すことも行われているが、そう
すると表面が粗くなり、ガスのシール性が低下するとい
う問題がある。
【0007】一方、スカート部には通常鉄系めっき等が
施される。しかし、鉄系めっきは、初期においてはアル
ミライナーとの耐焼付け性に優れているものの、使用中
にライナー材の初晶シリコンによる摩耗や摺動傷を発生
し、ピストンの耐摩耗性や耐焼付け性が大幅に低下する
という問題がある。
【0008】したがって、本発明の目的は、リング溝に
おける耐摩耗性、耐かじり性及び耐熱性に優れるととも
に、スカート部の耐摩耗性及び耐スカッフ性に優れた内
燃機関用アルミニウム合金製ピストンを提供することで
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者は、内燃機関用アルミニウム合金製ピ
ストンのリング溝表面に、ニッケルとタングステンとボ
ロンとからなる硬質で高強度のめっき層を形成するとと
もに、スカート部の外表面に硬質粒子を分散させためっ
き層を形成すれば、熱硬化処理を施さなくても、ピスト
ンのリング溝表面のアルミニウム合金がピストンリング
表面へ凝着するのを防止することができるとともに、ス
カート部の耐摩耗性及び耐スカッフ性を向上させること
ができることを見出し、本発明に想到した。
【0010】すなわち、本発明の内燃機関用アルミニウ
ム合金製ピストンは、前記ピストン外周の少なくとも第
一のリング溝の表面に、ニッケルとタングステンとボロ
ンとからなる合金めっき層が形成されており、少なくと
もスカート部の最外層には金属炭化物、金属酸化物又は
金属窒化物からなる硬質粒子が分散した鉄系、ニッケル
系、又はコバルト系複合めっき層が形成されていること
を特徴とする。
【0011】
【作用】本発明のピストンは、ピストン外周の少なくと
も第一のリング溝の表面に、ニッケルとタングステンと
ボロンとからなる合金めっき層を有するので、ピストン
のリング溝表面がピストンリング表面へ凝着するのを防
止することができる。また、少なくともスカート部の最
外層に金属炭化物、金属酸化物又は金属窒化物からなる
硬質粒子を分散させた鉄系、ニッケル系、又はコバルト
系複合めっき層が形成さているので、スカート部の耐摩
耗性、耐スカッフ性が向上している。
【0012】このような効果が得られる理由は、(1) リ
ング溝には一般に剪断強さと、耐熱性、耐食性、耐摩耗
性、耐スカッフ性、耐焼付き性、硬度等が要求される
が、本発明においては、リング溝に、上記性能に優れた
ニッケルとタングステンとボロンとからなる合金めっき
層が形成されており、また(2) スカート部には特に優れ
た耐摩耗性と耐スカッフ性とが要求されるが、そのスカ
ート部に形成れためっき層には、上記性能に優れた硬質
粒子が分散しているからである。このように、それぞれ
の箇所において必要とされる性能に応じためっき層が形
成されている。
【0013】
【実施例】図1は、本発明の一実施例による内燃機関用
アルミニウム合金製ピストンのリング溝の近傍を詳細に
示す断面図である。アルミニウム合金製ピストン1は上
部外周面にそれぞれ形成された第一のリング溝2と、第
二のリング溝3と、オイルリング溝4と、その下方に位
置するスカート部5とからなり、オイルリング溝4に
は、排油孔41が形成されている。
【0014】本実施例においては、少なくとも第一のリ
ング溝を包含する外周部及びスカート部5に、無電解め
っき法によるニッケル−タングステン−ボロン合金めっ
き層6、6' が形成されている。また、スカート部5の
合金めっき層6上には、さらに硬質粒子分散めっき層7
が形成されている。
【0015】無電解めっき法によるニッケル−タングス
テン−ボロン合金めっき層6は、せん断強さに優れたニ
ッケルと、耐熱性及び耐食性に優れたタングステンと、
耐摩耗性及び耐スカッフ性に優れたボロンとから構成さ
れているため、アルミニウムの凝着現象を防止するのに
十分なせん断強さ、耐摩耗性、耐食性及び耐スカッフ性
を有する。またニッケル−タングステン−ボロン合金め
っき層6は、析出状態におけるマイクロビッカース硬度
(HMV) を 800以上、好ましくは800 〜850 に確保可能で
あるため、熱硬化処理を施さなくても十分な硬度が得ら
れる。さらにニッケル−タングステン−ボロン合金めっ
き層6は優れた耐熱性を有する。またニッケル−タング
ステン−ボロン合金のめっき層6は、均一電着性に優れ
た無電解めっき法で形成することにより、均一な厚さに
形成される。
【0016】無電解めっき法により形成される合金めっ
き層6中に含まれるタングステンは、合金めっき層6の
耐熱性及び耐食性を向上する。ニッケル+タングステン
+ポロンの合計を100 重量%として、タングステンの量
が3重量%未満では、耐熱性及び耐食性の効果が不十分
である。また50重量%を超えても耐熱性及び耐食性に著
しい向上は見られず、経済性の観点から見ると不利であ
る。従って、タングステンの量は3〜50重量%とするの
が好ましい。特に好ましいタングステンの量は5〜45重
量%である。
【0017】また、合金めっき層6中に含まれるボロン
は、タングステンとともに合金めっき層6の耐食性及び
耐熱性の向上に優れた効果を発揮する。ボロンはさら
に、合金めっき層6の硬度を高め、耐摩耗性、耐スカッ
フ性の向上に優れた効果を発揮する。ニッケル+タング
ステン+ポロンの合計を100 重量%として、ボロンの量
が0.5 重量%未満では十分な硬度が得られず、耐摩耗性
向上の効果も小さい。また10重量%を超えると硬度は増
すが脆くなり、衝撃強度も低下する。従って、ボロンの
量は0.5 〜10重量%とするのが好ましい。特に好ましい
ボロンの量は1〜5重量%である。
【0018】合金めっき層6の残部は、実質的にニッケ
ルである。従って、ニッケルの量はニッケル+タングス
テン+ポロンの合計を100 重量%として40〜96.5重量%
が好ましく、特に好ましくは50〜94重量%である。
【0019】上記ニッケル−タングステン−ボロン合金
めっき層6の厚さは、3μmより薄いと、耐熱性、耐摩
耗性、耐スカッフ性、耐焼付き性、硬度等の向上が十分
でなく、また10μmを超えると剥離等を生じやすくなる
ため、3〜10μmとするのが好ましい。上述した通り、
合金めっき層6のマイクロビッカース硬度 (HMV) は80
0 以上であり、従来のニッケル−燐合金めっきのマイク
ロビッカース硬度 (HMV) (約600)よりも大きいので、
その分合金めっき層6の厚さを薄くすることができる。
なお、合金めっき層6' の組成及び厚さも合金めっき層
6と同じでよい。
【0020】本実施例においてはこのようなニッケル−
タングステン−ボロン合金めっき層6、6' は、第一の
リング溝2及びその周囲と、スカート部5にのみ形成さ
れている。これは、第一のリング溝2及びスカート部5
において、特に剪断強さ、耐熱性、耐食性、耐摩耗性、
耐スカッフ性、硬度等の物性の向上が要求されるためで
ある。なお、必要に応じて上記以外の箇所(例えば、第
二のリング溝3やオイルリング溝4及びその近傍)にニ
ッケル−タングステン−ボロン合金めっき層を設けても
よい。
【0021】また、少なくともスカート部5に形成され
る硬質粒子分散めっき層7は、鉄系、ニッケル系あるい
はコバルト系のめっき基地中に硬質粒子を分散してなる
ものである。基地としては、例えば、ニッケル−コバル
ト−燐合金、鉄、コバルト−鉄等が挙げられる。特にニ
ッケル−コバルト−燐合金が好ましい。
【0022】ニッケル−コバルト−燐合金の場合、複合
めっき合金基地中に含まれるコバルトは、基地の耐熱性
及び耐食性を改善するとともに皮膜の圧壊疲労強度を向
上させる。またピストン温度が300 ℃を超えるような使
用条件下では、表面のコバルトが酸化されて四酸化三コ
バルトが形成される。この四酸化三コバルトからなる酸
化物層は低摩擦係数を有するため、好適な摺動性が得ら
れる。コバルトの量は10〜50重量%とするのが好まし
い。より好ましいコバルトの量は15〜40重量%である。
複合めっき皮膜の合金基地中のコバルトの量が10重量%
未満では上記の効果が顕著に得られず、また50重量%を
超えてもその効果に著しい変化はない。
【0023】また、合金基地中にニッケルを含有させる
ことにより、基地の耐熱性、耐食性及び靭性が改善さ
れ、さらに強度も向上する。ニッケルの量は11〜65重量
%が好ましく、より好ましいニッケルの量は22〜55重量
%である。ニッケルの量が11重量%未満では上記の効果
が顕著に得られず、また65重量%を超えてもその効果に
著しい変化はない。
【0024】さらに、合金基地中に燐を含有すると、基
地の硬度が高くなり、耐摩耗性に優れた効果を示す。燐
の量は1〜15重量%とするのが好ましい。より好ましい
燐の含有量は2〜10重量%である。燐の量が1重量%未
満では硬度が高くならず、耐摩耗性を向上させる効果は
少ない。また15重量%を超えると硬度は増すが、めっき
層はかえって脆くなって衝撃強度が弱くなり、めっき層
の密着性も悪くなる。
【0025】また、硬質粒子は、金属炭化物、金属酸化
物又は金属窒化物からなるものであり、皮膜の耐摩耗性
の向上に優れた効果を示す。このような硬質粒子として
は、例えば窒化珪素、炭化珪素、酸化クロム、窒化チタ
ン等を用いることができる。
【0026】硬質粒子は、皮膜の耐摩耗性の向上に優れ
た効果を示す。また硬質粒子は金属との濡れ性が低いの
で、耐スカッフ性の改善にも寄与する。硬質粒子の量は
5〜30容量%で、その平均粒径は0.5 〜10μmとするの
が好ましい。容量が5%未満あるいは粒径が0.5 μm未
満では基地表面に占める窒化珪素の面積が少なく、耐摩
耗性及び耐スカッフ性の向上効果が少ない。また容量が
30%を超えるか粒径が10μmを超えると相手材の摩耗を
大きくすることとなり、また表面粗さも大きくなる。さ
らに複合皮膜の強度も低下する。なお、硬質粒子の容量
%は基地表面の面積比から求めることができる。
【0027】複合めっき皮膜の形成には、上記基地とな
るめっき浴中に硬質粒子を分散させたものを使用する。
コバルト化合物及びニッケル化合物等を用いる場合には
硫酸塩、スルファミン酸塩等を用い、燐化合物を用いる
場合には、次亜燐酸塩、亜燐酸塩等を用い、さらに鉄を
使用する場合には、鉄化合物の硫酸塩、スルファミン酸
塩等を用いる。
【0028】得られた複合めっき皮膜は水洗、乾燥後、
必要に応じてベーキング処理を行う。ベーキング処理温
度は100 〜200 ℃程度で、時間は30〜60分である。この
ベーキング処理により複合めっき皮膜中に吸蔵された水
素が放出され、マイクロビッカース硬度(HMV) 600 〜
700 程度 (ベーキング処理なしの場合、500 〜550 程
度) の複合めっき皮膜が得られる。
【0029】このような硬質粒子分散複合めっき層7の
厚さが、5μm未満では皮膜が薄いため、十分な耐摩耗
性が得られず、また25μmを超えると、表面の粗さが大
きくなり、スカート部の形状も変化する。また鉄系のめ
っき基地の場合、被膜にクラックが発生しやすくなる。
したがって、硬質粒子分散複合めっき層7の厚さは、5
〜25μmとするのが好ましい。
【0030】なお、硬質粒子分散複合めっき層7は、本
実施例においては、スカート部5にのみ設けているが、
トップランド8及びピストンヘッド9に設けることも可
能である。
【0031】以上、本発明を添付図面を参照して説明し
てきたが、本発明は、上記の実施例に限定されることな
く、種々の変更が可能である。例えば、第二のリング溝
やオイルリング溝にも、ニッケルとタングステンとボロ
ンとからなる合金めっき層を設けてもよい。
【0032】本発明を以下の実施例によりさらに具体的
に説明する。実施例1 外周にリング溝を有するアルミニウム合金 (AC8A材)製
のピストンを用い、前処理として通常のジンケート処理
を施し、図1に示すように第一のリング溝及びスカート
部にニッケル−タングステン−ボロン合金めっき層、
6' を形成する第一の工程と、スカート部に硬質粒子分
散複合めっき層7を形成する第二の工程とにより、アル
ミニウム合金製ピストンを製造した。
【0033】まず、第一の工程では、ジンケート処理を
施したアルミニウム合金 (AC8A材)製のピストンの第二
のリング溝3及びオイルリング溝4部分をマスキング
し、第1表に示すめっき浴を用い、第2表に示す条件で
めっきを行った。
【0034】第1表 硫酸ニッケル 15 g/リットル マロン酸 34 g/リットル タングステン酸ナトリウム 35 g/リットル 次亜リン酸ナトリウム 10 g/リットル ジメチルアミンボラン(DMAB) 3.5g/リットル
【0035】第2表 浴温 70℃ pH 5.3 時間 50分
【0036】この第1の工程により得られたニッケル−
タングステン−ボロン合金めっき層6、6' の厚さは5
μmで、マイクロビッカース硬度 (HMV) は800 であっ
た。
【0037】第3表に示す組成のニッケル−コバルト−
燐合金めっき浴中に、平均粒径1.0μmの窒化珪素粒子
を懸濁させ、得られためっき浴中に、上記アルミニウム
合金製ピストンのスカート部以外をマスキングして浸漬
し、めっき浴温度55℃、pH 2.5、電流密度5A/dm2 で5
分間電流を流して、電気めっきを行った。
【0038】第3表 硫酸コバルト 200 g/リットル 硫酸ニッケル 30 g/リットル 塩化ニッケル 30 g/リットル 次亜燐酸ナトリウム 2 g/リットル 窒化珪素粒子 60 g/リットル (平均粒径1.0 μm、最大粒径10μm)
【0039】このようにして得られた窒化珪素粒子分散
複合めっき層における窒化珪素の容積占有率は20容量%
であり、またその膜厚は12μmで、マイクロビッカース
硬度(HMV) は500 であった。
【0040】このようにして得られたピストンに、ピス
トンリングを取りつけ、水冷4サイクル、6気筒(2400
cc)A390高シリコンアルミニウム合金製シリンダのエン
ジンに組み込み、回転数6800rpm 、負荷4/4 の運転条件
で、100 時間の耐久テストを行った。テスト終了後、ピ
ストンを抜き取り、リング溝及びピストンリング、シリ
ンダの摩耗状態を調べたところ、ピストン、シリンダ及
びピストンリングの表面に摩耗や焼付き等は認められ
ず、まためっきの欠損や剥離等も認められなかった。
【0041】比較例1 実施例1と同様のアルミニウム合金 (AC8A材) 製ピスト
ンを用い、前処理として通常のジンケート処理を施し
た。
【0042】第一の工程としてこのピストンを第二のリ
ング溝及びオイルリング溝部分をマスキングし、無電解
めっき浴として第4表に示す組成のニッケル−燐合金め
っき浴中を用いて第5表に示す条件でめっきを行った。
【0043】第4表浴組成 硫酸ニッケル 30 g/リットル 次亜リン酸ニッケル 10 g/リットル プロピオン酸 2.2g/リットル 乳酸 27 g/リットル
【0044】第5表 浴温 90℃ pH 4.5 時間 25分
【0045】この第1の工程により得られたニッケル−
燐合金めっき層の厚さは7μmで、マイクロビッカース
硬度 (HMV) は600 であった。
【0046】次に、このアルミニウム合金製ピストンの
スカート部以外をマスキングして、硬質粒子を含有しな
い鉄めっきを15μmの厚さに形成し、ピストンとした。
【0047】このようにして得られたピストンに対して
実施例1と同様の耐久テストを行ったところ、ピストン
の第一のリング溝のめっき層の膜厚は3.5 〜6.5 μmと
大幅に摩耗しており、また、スカート部の鉄めっきも2
〜3μm摩耗しており、軽いスカッフィングがスカート
部のスラスト面に認められた。
【0048】実施例2、3 実施例1で使用したアルミニウム合金製ピストン(ジン
ケート処理済)の第一のリング溝に実施例1と同様に無
電解ニッケル−タングステン−ボロン合金めっき層を5
μmの厚さに施し、スカート部に、鉄めっき浴中に平均
粒径1.2 μmの炭化珪素粒子を懸濁させためっき浴に浸
漬し、電流密度5A/dm2 で20分間で電気めっきを行い、
膜厚15μmの層を形成した (実施例2)。なお、スカー
ト部における炭化珪素粒子の割合は20容量%であり、マ
イクロビッカース硬度 (HMV) は500 であった。
【0049】また、実施例1と同様に無電解ニッケル−
タングステン−ボロン合金めっき層を5μmの厚さに施
した後、スカート部に第6表に示す平均粒径1.2 μmの
酸化クロム粒子を懸濁させたコバルト−ニッケル−リン
合金めっき浴に浸漬し、電流密度5A/dm2 で15分間で電
気めっきを行い、膜厚12μmの層を形成した (実施例
3)。
【0050】第6表 硫酸コバルト 200 g/リットル 硫酸ニッケル 30 g/リットル 塩化ニッケル 50 g/リットル 次亜燐酸ナトリウム 2 g/リットル 酸化クロム 60 g/リットル (平均粒径1.2 μm、最大粒径5μm)
【0051】このようにして得られた酸化クロム分散複
合めっき層における酸化クロムの容積占有率は20容量%
であり、マイクロビッカース硬度 (HMV) は550 であっ
た。
【0052】このようにして得られたピストンに対して
実施例1と同様の耐久テストをそれぞれ行ったところ、
表面に摩耗や焼付き等は認められず、まためっきの欠損
や剥離等も認められなかった。
【0053】
【発明の効果】以上に詳述したように、本発明のアルミ
ニウム合金製ピストンは、リング溝の表面にマイクロビ
ッカース硬度 (HMV)が800 以上と高硬度であり、かつ
せん断強さ、耐熱性、耐摩耗性、耐食性及び耐スカッフ
性に優れたニッケル−タングステン−ボロン合金めっき
層を無電解めっき法により形成しているので、高出力、
高負荷のエンジンでも十分な耐摩耗性、耐かじり性及び
耐熱性を有する。これらにより、アルミニウユ合金製ピ
ストンのリング溝の耐摩耗性及び耐かじり性が飛躍的に
向上し、また相手材であるピストンリングも摩耗するこ
とがない。
【0054】また、本発明のアルミニウム合金製ピスト
ンは、スカート部に硬質粒子分散複合めっき層を形成し
てなるので、ピストンのスカート面、特にスラスト側の
耐スカッフ性や、耐摩耗性が良好であり、高シリコンア
ルミニウム合金製シリンダや高出力高負荷の過酷なエン
ジンであってもトラブルなく、長時間の運転可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のピストンのリング溝の近傍を詳細に示
す部分断面図である。
【符号の説明】
1・・・・アルミニウム合金製ピストン 2・・・・第一のリング溝 3・・・・第二のリング溝 4・・・・オイルリング溝 41・・・・排油孔 5・・・・スカート部 6・・・・ニッケル−タングステン−ボロン合金めっき
層 7・・・・硬質粒子分散めっき層 8・・・・トップランド 9・・・・ピストンヘッド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C23C 18/50

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関用アルミニウム合金製ピストン
    において、前記ピストン外周の少なくとも第一のリング
    溝の表面に、ニッケルとタングステンとボロンとからな
    る合金めっき層が形成されており、少なくともスカート
    部の最外層には金属炭化物、金属酸化物又は金属窒化物
    からなる硬質粒子が分散した鉄系、ニッケル系、又はコ
    バルト系複合めっき層が形成されていることを特徴とす
    るピストン。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のピストンにおいて、前
    記スカート部の硬質粒子分散複合めっき層の下層にニッ
    ケルとタングステンとボロンとからなる合金めっき層が
    形成されていることを特徴とするピストン。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載のピストンにおい
    て、前記第一のリング溝に形成された合金めっき層の膜
    厚が3〜10μmであることを特徴とするピストン。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載のピス
    トンにおいて、前記硬質粒子分散複合めっき層の膜厚が
    5〜25μmであることを特徴とするピストン。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかに記載のピス
    トンにおいて、前記硬質粒子分散複合めっき層中の硬質
    粒子の粒径が0.5 〜10μmであり、またその容積占有率
    が5〜30容量%であることを特徴とするピストン。
JP5633992A 1992-02-06 1992-02-06 内燃機関用アルミニウム合金製ピストン Pending JPH05222588A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2001323382A (ja) * 2000-05-11 2001-11-22 Honda Kinzoku Gijutsu Kk ピストンのマスキング方法
CN109136894A (zh) * 2018-09-18 2019-01-04 惠州市碧欣环保科技有限公司 一种环保型多元合金自催化镀工艺

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