JPH0116306Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、正の抵抗温度特性を有する正特性サ
ーミスタによる筒型の発熱装置に関する。

従来技術 正特性サーミスタは、過熱の危険のない高信頼
度の発熱要素として、各種の発熱装置に使用され
ている。正特性サーミスタを使用して、例えば複
写機の定着ローラまたは各種の筒型ヒータ等のよ
うに、発熱部を筒型に構成する場合、従来は例え
ば第１図〜第３図に示す構造をとつていた。ま
ず、第１図に示すものは、平板状の正特性サーミ
スタ素体１の厚さ方向の両面に電極２，３を形成
した複数個の正特性サーミスタを、一方の電極２
が内径側に位置し、他方の電極３が外径側に位置
するようにして円筒状に配列し、内径側の電極２
及び外径側の電極３に円筒状等の電極板４及び５
を接続した構造となつている。なお、図示はして
いないが、外径側の電極３に絶縁被覆を施し、そ
の上から被加熱体を嵌合させる構造をとるのが普
通である。

次に第２図に示すものは、被加熱体たる円筒状
の放熱体６の内径部７内に、電極２，３に電極板
４，５をそれぞれ対接させかつ全体に絶縁チユー
ブまたは絶縁シート等の絶縁被覆８を施した平板
状の正特性サーミスタを内蔵させ、この正特性サ
ーミスタの両側に伝熱体９、１０を圧接させるこ
とにより、正特性サーミスタに発生した熱を、前
記放熱体６に伝達する構造となつている。

また、第３図に示すものは、正特性サーミスタ
素体１自体を円筒状に形成し、その内径面及び外
径面に電極２，３をそれぞれ形成した構造となつ
ている。電極２，３の導出及び被加熱体の熱結合
構造は、第１図の場合と同様である。

従来技術の欠点 上述のように、従来のこの種の発熱装置は、被
加熱体と正特性サーミスタとの間に、正特性サー
ミスタの電極２，３に導通する電極板４，５や絶
縁被覆等が必要であるため、これらの構成部分の
熱容量が働いて、熱伝導性が悪くなり、即応性が
損なわれる欠点があつた。また、正特性サーミス
タ素体１の内径側及び外周側の両面から熱を取り
出す構成となるため、正特性サーミスタ素体自体
の熱容量が働いて、外部に対する熱伝導の即応性
が低下するという欠点もあつた。

更に個別的に見た場合、第１図に示す従来構造
のものは、平板状の正特性サーミスタを円筒状等
に配列し、かつこれらが型崩れを起さないように
組立てる必要があるため、組立が面倒であるこ
と、内径面側に発生した熱を利用することができ
ないため、熱効率が悪いこと等の欠点がある。第
２図に示すものは、正特性サーミスタに発生した
熱を伝熱体９，１０を介して放熱体６に伝達し、
該放熱体４から被加熱体に熱を伝導する間接的な
加熱となるため、熱伝導性が悪くなること、熱容
量の大きな放熱体４及び伝熱体９，１０が必要で
あるため、熱伝達の時間遅れが大きくなり、即応
性に欠けること、内径側に発生した熱を利用する
ことができないため、熱効率が低いこと等の欠点
がある。

本考案の目的 本考案は上述する従来の欠点を除去し、外部の
被加熱体に対する熱伝導性、熱効率が非常に高
く、即応性に優れ、しかも製造の容易な筒型の発
熱装置を提供することを目的とする。

本考案の構成 上記目的を達成するため、本考案に係る発熱装
置は、筒状の正特性サーミスタ素体の外周に凹部
及び凸部を交互に設け、前記凹部内に電極を形成
した発熱装置であつて、 前記凹部及び前記凸部は、凹凸がほぼ同じ間隔
で交互に繰返され、前記凹凸の繰返しにより正特
性サーミスタ素体の外周が波状となるように形成
されており、 隣接する凹部の電極は、互いに異極として駆動
すること を特徴とする。

実施例 第４図は本考案に係る発熱装置の斜視図、第５
図は同じく部分的な拡大図である。この実施例で
は、正特性サーミスタ素体１は、外周面の軸方向
に沿つて、適当な間隔Ｄ１及び深さＨ１の凹部１
０１及び凸部１０２を交互に設けた円筒状となつ
ている。。前記凹部１０１及び１０２は、専用の
成形設備を必要とすることなく、従来の湿式もし
くは乾式成形設備を利用して、正特性サーミスタ
素体１の成形時に同時に成形することができるか
ら、製造が容易である。

凹部１０１及び凸部１０２は、凹凸がほぼ同じ
間隔Ｄ１で交互に繰返され、前記凹凸の繰返しに
より正特性サーミスタ素体１の外周が波状となる
ように形成する。

前記凹部１０１の内部には電極１０３を被着形
成してある。該電極１０３の形成に当つては、正
特性サーミスタ素体１の全面にNi無電解メツキ
処理等を施した後、軸方向の両端面及び凸部１０
２の表面に被着しているメツキ層をラツプ研磨等
の手段で削除するだけでよい。従つて、電極１０
３の形成、分離作業が容易である。

この発熱装置を駆動するには、隣合う電極１０
３，１０３が互いに異極となるように、電圧を印
加する。即ち電極１０３の隔一毎に陽極（＋）及
び陰極（−）に接続する。すると、電極１０３−
１０３間にある各凸部１０２に電流が流れ、各凸
部１０２が発熱し、その表面イが発熱面となる。
このように、本考案に係る発熱装置は、発熱部が
電極１０３のある凹部１０１に対して凸部１０２
となつているから、凸部１０２の表面イをアルミ
ニユウーム等で成る被加熱体で直接被覆し、これ
を直接的に加熱することができる。しかも、発熱
部が正特性サーミスタ素体の内径側及び外周側に
分れる従来のものと異なつて、発熱部が正特性サ
ーミスタ素体１の表面に集中するから、正特性サ
ーミスタ素体１全体の熱容量による影響が小さく
なり、外部の被加熱体に対して熱を急速に伝達す
ることが可能になる。このため、熱伝導性、即応
性及び熱効率の非常に高い発熱装置が得られる。

更に、凹部１０１及び凸部１０２は、凹凸がほ
ぼ同じ間隔Ｄ１で交互に繰返され、凹凸の繰返し
により正特性サーミスタ素体１の外周が波状とな
るように形成されていて、隣接する凹部１０１−
１０１の電極１０３−１０３は、互いに異極とし
て駆動するようにしたから、波状に多数個形成さ
れた凸部１０２のそれぞれの表面が発熱面とな
り、発熱量が増大すると共に、正特性サーミスタ
素体１の外周面における発熱が均一化され、被加
熱体を均一に効率よく加熱できるようになる。

上記実施例では、円筒状のものを例にとつて説
明したが、多角形状等、他の形状のものにも適用
が可能である。

本考案の効果 以上述べたように、本考案によれば、次のよう
な効果が得られる。

(a) 筒状の正特性サーミスタ素体の外周に凹部及
び凸部を交互に設け、凹部内に電極を形成した
から、外部被加熱体に対する熱伝導性、熱効率
が高く、即応性に優れ、しかも製造の容易な筒
型の発熱装置を提供できる。

(b) 凹部及び凸部は、凹凸がほぼ同じ間隔で交互
に繰返され、凹凸の繰返しにより正特性サーミ
スタ素体の外周が波状となるように形成されて
いて、隣接する凹部の電極は、互いに異極とし
て駆動するようにしたから、波状に多数個形成
された凸部のそれぞれの表面が発熱面となり、
発熱量が増大すると共に、正特性サーミスタ素
体の外周面における発熱が均一化され、被加熱
体を均一に効率よく発熱し得る発熱装置を提供
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図は従来の発熱装置の構造を示
す図、第４図は本考案に係る発熱装置の斜視図、
第５図は同じく部分的に拡大して示す図である。 １……正特性サーミスタ素体、１０１……凹
部、１０２……凸部、１０３……電極。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 筒状の正特性サーミスタ素体の外周に凹部及
   び凸部を交互に設け、前記凹部内に電極を形成
   した発熱装置であつて、 前記凹部及び前記凸部は、凹凸がほぼ同じ間
   隔で交互に繰返され、前記凹凸の繰返しにより
   前記正特性サーミスタ素体の外周が波状となる
   ように形成されており、 隣接する凹部の前記電極は、互いに異極とし
   て駆動すること を特徴とする発熱装置。 (2) 前記正特性サーミスタは、円筒状であること
   を特徴とする実用新案登録請求の範囲第１項に
   記載の発熱装置。 (3) 前記凹部及び前記凸部は、前記正特性サーミ
   スタの長さ方向に沿つて形成したことを特徴と
   する実用新案登録請求の範囲第１項または第２
   項に記載の発熱装置。