JPS646516Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は正特性サーミスタを使用してロールを
加熱する複写機用ロールヒータに関する。

従来、この種の複写機用ロールヒータは、第１
図に示すように、外周面に四フツ化エチレン樹脂
コートもしくはシリコンライニング等のコーテン
グ１を施した筒状のロール２の内部に赤外線ラン
プもしくはハロゲンランプ等からなる内部ランプ
３を設け、該内部ランプ３の熱放射によつてロー
ル２を加熱し、該ロール２と加圧ローラ４との間
に感光済のペーパ５を通して該ペーパ５にトナー
を定着処理するようにしている。

複写機用ロールヒータを上記構成とした場合、
発熱源である内部ランプ３からロール２までは空
気を媒体として熱伝導しているため、ロール２の
外周面の温度立上り時間が長くかゝり、複写可能
になるまでの待ち時間が長くかゝるうえ、内部ラ
ンプ３の発熱を制御するためのコントローラが必
要となり、コストが高くなる問題があつた。

上記問題を解消するため、第２図に示すよう
に、円柱状に形成した正特性サーミスタ６，…，
６の軸心部に金属棒７を貫通させ、上記正特性サ
ーミスタ６，…，６の発熱を利用して上記の定着
処理を行うようにしたものも提案されているが、
正特性サーミスタ６，…，６の寸法精度を高くす
ることが困難であり、また、正特性サーミスタ
６，…，６に加圧ローラ４から相当大きな力が
かゝるため、その耐力が不足するという問題があ
り、実用性が殆んどないものであつた。

本考案の目的は、ロールの温度の立上り時間が
早く、ロールの温度を略一定の温度とすることが
でき、外力に対して大きな耐力を有する複写機用
ロールヒータを提供することである。

このため、本考案は、円筒状のロールの内壁か
ら２枚の伝熱板を平行に張り渡してロールの軸方
向に縦走する空間を形成し、各々が一面に一対の
櫛歯状電極を有し、他面の両側部に夫々帯状電極
を有し、両側面に上記櫛歯状電極および帯状電極
を夫々相互に導電する側面電極を有する少なくと
も一対の板状の正特性サーミスタを備え、これら
正特性サーミスタの上記帯状電極を互いに対向さ
せて上記正特性サーミスタを配置するとともに、
対向する上記帯状電極の間に夫々バネ端子を介装
して、その上下に絶縁板を重ね、全体を上記空間
内に収容して上記バネ端子のバネ力により正特性
サーミスタを上記伝熱板に向かつて付勢する一
方、上記伝熱板と対向するロールの内壁面に沿つ
てシート状の面ヒータを貼着し、上記各正特性サ
ーミスタと各面ヒータとが電源に対して直列とな
るように接続したことを特徴としている。

以下、本考案の実施例を示す図面を参照して本
考案を詳細に説明する。

第３図および第４図において、１１は両端に開
口を有する円筒状のロール、１２，…，１２は該
ロール１１を加熱する正特性サーミスタ、１３
ａ，１３ｂはこれら正特性サーミスタ１２，…，
１２に給電を行うバネ端子、１４は上記正特性サ
ーミスタ１２，…，１２の位置を規制するスペー
サ、１５，１５は上記正特性サーミスタ１２，
…，１２とともにロール１１を加熱する面ヒー
タ、１６，１７は上記ロール１１の両端を夫々封
止する封止部材、１８は上記正特性サーミスタ１
２，…，１２への給電部である。

上記ロール１１はアルミニウム等の熱伝導性の
良好な金属からなり、該ロール１１の内壁には、
押出し成型等の手法により、２枚の伝熱板１９，
１９を平行に張り渡して、上記ロール１１の軸方
向に縦走する空間２０を形成する一方、上記ロー
ル１１の外周面には、四フツ化エチレン樹脂コー
トもしくはシリコンゴムライニング等のコーテイ
ング２１を施している。

一方、正特性サーミスタ１２，…，１２は、第
４図に示すように、例えばチタン酸バリウム系の
正特性サーミスタ材料を四角形の板状に焼成した
正特性サーミスタ基板２２の一面に櫛歯状電極２
３，２４を形成し、これら櫛歯状電極２３，２４
を上記正特性サーミスタ基板２２の他面の両側部
に形成した一定巾の帯状電極２５，２６に、上記
正特性サーミスタ基板２２の両側面に形成した側
面電極２７，２８により導通させた周知の電極構
成を有する。

上記正特性サーミスタ１２，…，１２をロール
１１内の伝熱板１９，１９に付勢するバネ端子１
３ａ，１３ｂは、いずれもステンレスもしくは燐
青銅等の良好なバネ性を有する金属板を一定巾に
打ち抜き、その各一端に夫々端子部１３′ａ，１
３′ｂ（第３図参照）を残して、略一定周期で正弦
波状に湾曲させたものである。

正特性サーミスタ１２，…，１２のロール１１
の空間２０内における位置を規制するスペーサ１
４，１４は、耐熱性を有する絶縁性樹脂を断面が
四角形の柱状となるように成型するとともに、そ
の各一側面に上記正特性サーミスタ１２，…，１
２が嵌入する切込み部２９，…，２９および２
９，…，２９を夫々設けている。

上記の２つのスペーサ１４，１４は、その切込
み部２９，…，２９および切込み部２９，…，２
９が夫々対向するように配置し、これら切込み部
２９，…，２９および切込み部２９，…，２９に
より画成される部分に、バネ端子１３ａ，１３ｂ
を間に挾んで正特性サーミスタ１２，１２，…，
１２，１２を夫々嵌入した後、その上下からアル
ミナ磁器等の絶縁体からなる四角形状の絶縁板３
０，３０を重ね合せて、全体をロール１１の伝熱
板１９，１９間の空間２０内に収容している。

このとき、上記バネ端子１３ａ，１３ｂは、そ
の上側の正特性サーミスタ１２，…，１２の帯状
電極２５，…，２５と下側の正特性サーミスタ１
２，…，１２の帯状電極２６，…，２６との間、
および上側の正特性サーミスタ１２，…，１２の
帯状電極２６，…，２６と下側の正特性サーミス
タ１２，…，１２の帯状電極２５，…，２５との
間に夫々介装され、そのバネ力により、バネ端子
１３ａ，１３ｂの上下の正特性サーミスタ１２，
…，１２および１２，…，１２を伝熱板１９およ
び１９に夫々付勢している。

次に、面ヒータ１５，１５は、第５図ａおよび
ｂに夫々示すように、可撓性を有する長方形状の
絶縁シート３１の両側に一定巾の銅箔３２，３２
を形成し、これら銅箔３２，３２の間にカーボン
等からなる抵抗体３３を塗布するとともに、上記
銅箔３２，３２にリード線３４ａ，３４ｂを夫々
取り付け、上記絶縁シート３１をポリイミドや四
フツ化エチレン樹脂等の耐熱フイルム３５，３５
で覆つた周知のものである。

上記面ヒータ１５，１５は、第４図に示すよう
に、上記伝熱板１９，１９に対向するロール１１
の内壁面に沿つて、耐熱性および熱伝導性の良好
な接着剤で貼り付けている。

なお、上記第４図において、伝熱板１９，１９
に設けた突条３６，…，３６は、ロール１１の内
壁との間で、上記面ヒータ１５，１５の各両側部
を夫々係止するためのものである。

第３図に示すように、上記ロール１１の両端部
の開口を封止する封止部材１６および１７はいず
れも鉄もしくは真鍮または高力アルミニウム等の
軸受金具として適す金属からなり、上記ロール１
１の外径に等しい径を有する。

上記封止部材１６および１７の軸心部からは中
空の軸部１６ａおよび１７ａを夫々突出させる一
方、これら軸部１６ａおよび１７ａとは反対側に
上記ロール１１の両端部に夫々嵌合する嵌合部１
６ｂおよび１７ｂを夫々設けている。

封止部材１６および１７は、上記嵌合部１６ｂ
および１７ｂの外周にネジを刻んで上記ロール１
１の両端部に夫々ネジ込み、上記ロール１１の両
端部に夫々取り付けている。

なお、上記ロール１１および封止部材１６，１
７のネジは、ロール１１が回転すればネジが締る
方向に切つておくことが好ましい。

封止部材１６および１７のうち、一方の封止部
材１６の軸部１６ａには、その先端部の内径を他
の部分よりも大きくして段部４０を設け、該段部
４０に絶縁性を有する樹脂からなる給電部１８の
突部１８ａをネジ込みもしくは接着等の手段によ
つて固定している。

上記給電部１８は封止部材１６の軸部１６ａの
内径および外径に夫々等しい内径および外径を有
しており、上記給電部１８には給電用のリング４
１ａおよび４１ｂを、その外周面を露出させて、
同軸にモールドしている。

上記リング４１ａおよび４１ｂの内周面からは
夫々ピン端子４２ａおよび４２ｂを上記給電部１
８の内側に突出させ、これらピン端子４２ａおよ
び４２ｂに夫々リード線４３ａおよび４３ｂの各
一端を半田付けする一方、上記リード線４３ａの
他端を面ヒータ１５，１５のリード線３４ａ，３
４ａに夫々接続している。

いま一つのリード線４３ｂの他端には圧着端子
４４を取り付け、該圧着端子４４にバネ端子１３
ｂの端子部１３b′を圧入して、上記バネ端子１３
ｂをリング４１ｂに接続している。

上記面ヒータ１５，１５のリード線３４ａ，３
４ｂは互いに接続して圧着端子４５に取り付け、
該圧着端子４５にバネ端子１３ａの端子部１３
a′を圧入している。

上記のように接続すれば、第６図に示すよう
に、面ヒータ１５，１５の各一端はリング４１ａ
に、また、正特性サーミスタ１２，…，１２の各
一端はリング４１ｂに夫々接続され、上記面ヒー
タ１５，１５の各他端および正特性サーミスタ１
２，…，１２の各他端が相互に接続された回路構
成となる。

従つて、上記リング４１ａ，４１ｂに夫々圧接
させたブラシ４６ａ，４６ｂに電源４７を接続す
れば、面ヒータ１５，１５および正特性サーミス
タ１２，…，１２に給電が行われるが、上記実施
例においては、正特性サーミスタ１２，…，１２
よりもはるかに大きな電力を消費する面ヒータ１
５，１５をロール１１の内壁に貼着しているた
め、第７図に曲線Ａで示すように、ロール１１の
温度は非常に短い時間で規定温度まで立ち上る。

ちなみに、上記実施例において面ヒータ１５，
１５を使用せず、正特性サーミスタ１２，…，１
２のみによりロール１１を加熱した場合、第７図
に曲線Ｂで示すように、ロール１１の温度が規定
温度まで上昇するに要する時間は、面ヒータ１
５，１５を併用した場合の数倍の時間を必要とす
ることが分る。

以上の説明において本考案の基本的な実施例に
ついて説明したが、本考案は上記実施例に限定さ
れるものではなく、本考案の要旨の範囲内で種々
の構成とすることができる。

以上、詳述したことからも明らかなように、本
考案は、正特性サーミスタよりもはるかに大きな
電力を取り扱うことのできる面ヒータを正特性サ
ーミスタと併用してロールを加熱するようにした
から、ロール温度の立上り時間が非常に短くな
り、電源投入から短時間で複写可能となる一方、
上記正特性サーミスタが絶縁板を介して伝熱板に
接しているため、ロールにかゝる熱的な負荷変動
に対する正特性サーミスタの応答も速くなり、ロ
ール温度の変動も小さくすることができる。

また、ロール内には伝熱板が張り渡されている
ため、外力に対して大きな耐力を有する複写機用
ロールヒータとすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は夫々従来の複写機用ロー
ルヒータの概略を示す説明図、第３図は本考案に
係る複写機用ロールヒータの縦断面図、第４図は
第３図の分解斜視図、第５図ａおよび第５図ｂは
夫々面ヒータの構造を示す平面図および縦断面
図、第６図は第３図の複写機用ロールヒータの等
価回路図、第７図は第３図の複写機用ロールヒー
タおよび面ヒータを使用しない複写機用ロールヒ
ータのロール温度の立上り特性図である。 １１…ロール、１２…正特性サーミスタ、１３
ａ，１３ｂ…バネ端子、１４…スペーサ、１５…
面ヒータ、１６，１７…封止部材、１８…給電
部、１９…伝熱板、２０…空間。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 円筒状のロールの内壁から２枚の伝熱板を平行
   に張り渡してロールの軸方向に縦走する空間を形
   成し、各々が一面に一対の櫛歯状電極を有し、他
   面の両側部に夫々帯状電極を有し、両側面に上記
   櫛歯状電極および帯状電極を夫々相互に導電する
   側面電極を有する少なくとも一対の板状の正特性
   サーミスタを備え、これら正特性サーミスタの上
   記帯状電極を互いに対向させて上記正特性サーミ
   スタを配置するとともに、対向する上記帯状電極
   の間に夫々バネ端子を介装して、その上下に絶縁
   板を重ね、全体を上記空間内に収容して上記バネ
   端子のバネ力により正特性サーミスタを上記伝熱
   板に向かつて付勢する一方、上記伝熱板と対向す
   るロールの内壁面に沿つてシート状の面ヒータを
   貼着し、上記各正特性サーミスタと各面ヒータと
   が電源に対して直列となるように接続したことを
   特徴とる複写機用ロールヒータ。