JPH0114769Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、過回転防止用点火装置の改良に関す
るものである。

過回転による内燃機関の破壊防止のために、内
燃機関の点火装置には過回転防止機能を有するも
のが、近年用いられるようになつた。これらの従
来装置は、設定回転数を超えると点火コイルの電
流を切る方式による過回転防止機能を有する点火
装置であるが、パワートランジスタのオン期間に
このトランジスタをオフすると、機関の正常な点
火位置以外で点火する危険がある。なお、実開昭
56−161183号公報に示されたイグナイタにおいて
も同様な問題がある。

本考案は、上記の問題に鑑みてなされたもので
あり、点火停止時点が、必ず、パワートランジス
タのオフ期間になるところの、安全な作動をする
過回転防止用点火装置を提供することを目的とす
るものである。

しかして、その構成は、周波数・電圧変換回路
の入力側に充電タイミングパルス発生回路を備え
ることに特徴があり、この構成をとることによ
り、前記変換回路の出力に基いて作動する過回転
防止用トランジスタが導通する時期を、点火コイ
ルに電流が流れていない時期にあわせたものであ
る。

以下、本考案を図面に示す実施例について説明
する。第１図は、本考案装置の概略構成を示すブ
ロツク図であり、内燃機関の点火時期において点
火信号Ｇを発生するイグナイタ１と、この点火信
号Ｇによりオフとなるパワートランジスタ２と、
このトランジスタ２のオフ期間に１次電流を遮断
されて２次コイルに高電圧を発生する点火コイル
３と、点火プラグ４とを備える点火装置におい
て、パワートランジスタ２のオフ期間に点火停止
信号Ｔを加える過回転防止回路５を設けたもので
ある。過回転防止回路５は、内燃機関の回転数に
応じた周波数に関する信号とパワートランジスタ
２がオフ期間にあることを示す信号とを含む電圧
を入力されてパルスＰを発生する充電タイミング
パルス発生回路６を包含している。このパルスＰ
は、パワートランジスタ２のオフ期間に発生され
るものであり、内燃機関の回転数に応じた周波数
を持つている。７は周波数・電圧変換回路であ
り、パルスＰを供給されて充電を開始し、このパ
ルスＰの周波数に応じた鋸歯状電圧Vrpmを発生
する。８は比較回路であり、前記電圧Vrpmと内
燃機関の設定回転数に応じた基準電圧Vrefとを
比較し、 Vrpm＞Vref になつたときハイレベルの出力を発生するもので
あり、この出力が発生する時期は、鋸歯状電圧
Vrpmの波高値が基準電圧Vrefを超える時期であ
るため、パワートランジスタ２のオフ期間に前記
出力を発生することができ、この出力によつて過
回転防止用トランジスタ９を導通させて、ローレ
ベルの点火停止信号Ｔをトランジスタ２に加える
時期が、このパワートランジスタ２のオフ期間に
なる。

第２図は、第１図図示の実施例における一構成
例を詳細に表わす回路図である。同図において、
１はイグナイタ、２はパワートランジスタ、３は
点火コイル、４は点火プラグであり、５は過回転
防止回路である。充電タイミングパルス発生回路
６は比較器６ａと抵抗６ｂ，６ｃ，６ｄよりな
り、反転入力端子はピツクアツプコイル１０の非
接地側に接続されており、非反転入力端子には基
準電圧が加えられ、出力端子は周波数・電圧変換
回路（Ｆ／Ｖ変換回路）７に接続されている。
Ｆ／Ｖ変換回路７はダイオードポンプ回路７ａ、
及びオペレーシヨナルアンプ７ｂを用いた積分回
路よりなる周知の構成を有しており、オペレーシ
ヨナルアンプ７ｂの出力端子は、比較回路８にお
ける比較器８ａの反転入力端子に接続されてい
る。比較器８ａの非反転入力端子には、基準電圧
Vrefが加えられており、出力端子はインバータ
８ｂを介して過回転防止用トランジスタ９のベー
スに接続されると共に、抵抗８ｃを介して非反転
入力端子に接続され、ヒステリシスを持たせてい
る。なお、トランジスタ９のエミツタは接地さ
れ、コレクタはパワートランジスタ２のベースに
接続されている。

第２図に示す一構成例について、過回転防止回
路５の動作を、第３図を用いて説明する。内燃機
関の回転数が設定回転数よりも低い時は、第３図
ａのごとく、Ｆ／Ｖ変換回路７の出力電圧Vrpm
は比較回路８の基準電圧Vrefより低く、 Vrpm＜Vref となつているため、比較器８ａの出力はハイレベ
ルにあり、インバータ８ｂの出力はローレベルで
あるのでトランジスタ９はオフし点火停止信号Ｔ
が発生しない。従つて、イグナイタ１から点火信
号Ｇがパワートランジスタ２に入力され、点火は
持続される。なお、ピツクアツプコイル１０に生
ずるピツクアツプ信号Ｓは、その負側の立下りに
おいてイグナイタ１を作動させ、その正側の立上
りにおいて充電タイミングパルス発生回路６を作
動させて、パルスＰを比較器６ａの出力端子に発
生する。つまり、コイル１０の正側の電圧が比較
器６ａの反転側入力端子に加えられたとき、この
端子（−）の電圧が非反転入力端子（＋）の電圧
より高い間は出力端子にハイレベルのパルスＰが
生じる。

内燃機関の回転数が増すと点火周期が短かくな
る。したがつて、Ｆ／Ｖコンバータ７のコンデン
サ７ｃの放電時間が短かくなり、このコンデンサ
７ｃの充電時間はオペレーシヨナルアンプ７ｂに
よる積分回路の時定数により定まり、回転数に関
係なく一定であるから、Ｆ／Ｖコンバータ７の出
力電圧Vrpmは増加する。つまり、内燃機関の回
転数が増加すると、Ｆ／Ｖコンバータ７に入力さ
れるパルスｐの周波数が増すため、出力電圧
Vrpmが比例的に増加するのである。

さらに、回転数が増加し設定回転数よりも高く
なつた瞬間（過回転領域にはいつた時）、出力電
圧Vrpmが比較器８ａの基準電圧Vrefより高くな
り、 Vrpm＞Vref となるため、比較器８ａの出力電圧はローレベル
になり、インバータ８ｂを介してハイレベルの電
圧がトランジスタ９のベースに加えられ、トラン
ジスタ９はオンし点火停止信号Ｔが発生しパワー
トランジスタ２はオンできなくなる。この状態を
第３図ｂに表わす。この時、Ｆ／Ｖコンバータ７
のコンデンサ７ｃの充電開始点つまりタイミング
パルスＰの発生時期は、ピツクアツプ信号ＳのＡ
点に合せてあるため、点火停止信号Ｔの発生位置
が必ずパワートランジスタ２のオフ期間にくる
（ここで、コンデンサ７ｃの充電期間は前述の如
く回転数によらず一定であり、トランジスタ２の
オフ期間はこの充電期間より短くはならないもの
である）。

比較器８ａがローレベルの出力を出し過回転防
止用トランジスタ９が作動すると、このローレベ
ル出力が抵抗８ｃを介して比較器８ａの非反転入
力端子（＋）に加えられるため、基準電圧Vref
は低下し第３図ｂに示すように新しい基準電圧
Vref′にまで小さくなる。したがつて、内燃機関
の回転数が下がりＦ／Ｖ変換回路７の出力電圧
Vrpmが、このヒステリシスによる新しい基準電
圧Vref′より低下し Vrpm＜Vref′ となるまで、点火は停止しており再点火はしな
い。

なお、上記の実施例においては、充電タイミン
グパルスＰにピツクアツプ信号ＳのＡ点を用いた
が、その他の実施例としては、ピツクアツプ信号
のＢ点を用いる方法、およびパワートランジスタ
２の電圧波形V_Trの立ち上り（ピツクアツプ信号
ＳのＢ点と同じタイミング）を用いる方法があ
る。しかしながら、本考案装置ではパワートラン
ジスタのオフ時に点火を停止させることができれ
ば、充電タイミングパルスには、何を用いてもよ
いことになる。また、上記実施例においては、過
回転防止回路５をイグナイター１と別途のブロツ
クとして図示したが、前記防止回路５はいわゆる
イグナイターの中に包含させてもよい。

以上述べたごとく、本考案装置は上記の構成を
有するから、設定回転数を超えると点火コイルの
電流を切る方式による過回転防止機能を有する内
燃機関の点火装置において、上記機能の作動する
時期を点火コイルの電流が流れていない時期にあ
わせることができ、内燃機関の正常な点火位置以
外の時に点火することがないという優れた効果が
ある。また、本考案装置は比較回路にヒステリシ
スを持たせているから、設定回転数付近での内燃
機関の回転数変動に対して、回路が誤動作をする
ことがなく、作動がきわめて安定しており、実用
的な点火装置を提供することができるという効果
がある。

なお、単に点火信号をＦ／Ｖ変換して過回転を
検出する従来方式では、コイル電流オフ期間にこ
れが必ず動作するとは限らないが、本考案は、充
電タイミングパルスをＦ／Ｖ変換回路に加えるこ
とにより、絶対にオフ期間に過回転防止機能が作
動する時期がくるように同期させているものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案装置の構成を示すブロツク図、
第２図はその詳細な一構成例を表わす回路図、第
３図は第２図の回路における動作波形を表わす波
形図である。 １……イグナイタ、２……パワートランジス
タ、３……点火コイル、４……点火プラグ、５…
…過回転防止回路、６……充電タイミングパルス
発生回路、７……Ｆ／Ｖコンバータ、８……比較
回路、９……過回転防止用トランジスタ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内燃機関の点火時期において点火信号を発生す
   るイグナイタと、この点火信号によりオフとなる
   パワートランジスタと、前記機関の回転数に応じ
   た周波数を持つパルスを前記トランジスタのオフ
   期間に発生する充電タイミングパルス発生回路
   と、前記パルスを供給されて充電を開始しこのパ
   ルスの周波数に応じた鋸歯状電圧を発生する周波
   数・電圧変換回路と、この電圧が基準電圧を超え
   たとき出力を発生する比較回路と、この出力に基
   いて前記パワートランジスタがオフ期間において
   ローレベルの点火停止信号を該トランジスタに加
   える過回転防止用トランジスタとを備えると共
   に、前記比較回路が前記出力を発生したのちは前
   記基準電圧を低下するヒステリシスを持つことを
   特徴とする過回転防止用点火装置。