JPH0114338B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （利用分野及び考案の概要） 本発明は、刺しゆうカーペツト、特に、ループ
織の刺しゆうカーペツトを製造する装置のパイル
糸切断装置に関するものであり、フツク機を機械
的に走行させながら基布にパイル糸を差し込んで
刺しゆうカーペツトを織り上げる際、フツク機と
は別個の切断装置を設けるとともにこの切断装置
をフツク機の動作と関連させて作動させることに
より、手織におけると同様にループ織刺しゆうカ
ーペツトを機械的に製造できるようにするもので
ある。

（従来技術及びその問題点） 図柄に大きな変化のある刺しゆうカーペツト
は、従来はフツク機を用いて手織りにより製作さ
れている。このフツク機は、第５図に示すような
針機構部１０を具備する構造で、駆動装置によつ
て所定タイミングで出没する可動筒１１差し込み
板１２及びハサミ１３を具備し、固定筒１４に連
設したガイド片１５を、枠に張設した基布Ａに当
接させてこのフツク機１を走行させると、フツク
機を挿通するパイル糸Ｂが基布にループ状に差し
込まれ、刺しゆうされる。

このフツク機では、ハサミ１３を動作させる非
ループ織と、ハサミ１３を動作させないループ織
とが選択できるようになつており、非ループ織の
場合には、第６図に示すａ〜ｄの一連の動作によ
り各部が所定タイミングで出没してパイル糸Ｂが
基布Ａに差し込まれ、製品表面側に形成されたル
ープ状部分がその都度ハサミ１３により切断され
ることとなる。

この非ループ織の刺しゆうカーペツトを製作す
るには、すでに、昭和60年８月５日付で特許出願
（特開昭62―33860号）した製造装置（第７図）が
考えられ、予め図柄に合わせたデータをNC装置
Ｎに入力させ、このNC装置からの出力によつて
走行台４に取り付けたフツク機１を走行させると
ともにその走行姿勢を制御し、フツク機が、刺し
ゆう区間の始点部への移動→降下（基布Ａに対
接）→走行→上昇復帰（基布Ａから離反）の動作
を繰り返すようにするだけで、所望の図柄の刺し
ゆうカーペツトが製作できる。

ところが、上記の構成の装置のフツク機をルー
プ織の状態にセツトするだけでは、所望のループ
織の刺しゆうカーペツトが製作できない。

ループ織の場合、パイル糸Ｂの各ループ状部が
連続しており、一区間の刺しゆう完了時にそのま
まフツク機１を持ち上げて後続区間にこのフツク
機を移動させると、フツク機１内を挿通するパイ
ル糸は差し込み板１２と可動筒１１とによつて挾
圧されていることから、この挾圧部分の摩擦力に
よつて、すでに基布に差し込まれているパイル糸
が引つ張られ、基布から抜け出ることとなるから
である。

（技術的課題） 本発明は、このような、フツク機１を基布張設
用の枠２と平行な面内で且基布Ａの上方を走行す
る走行台４に設け、この走行台を予め設定したプ
ログラムに従つて各刺しゆう区間毎に走行させ、
前記刺しゆう区間の始点部でフツク機１を降下さ
せて基布Ａに対接させるとともに終点部でフツク
機１を持ち上げて基布Ａから離反させるようにし
た刺しゆうカーペツトの製造装置において、ルー
プ織の刺しゆうカーペツトを製造できるようにす
るため、各刺しゆう区間の終点部でパイル糸を切
断できるようにすることをその技術的課題とす
る。

（手段） 上記技術的課題を解決するために講じた本発明
の技術的手段は、走行台４にフツク機１とともに
切断装置５を取付け、この切断装置５を基布Ａの
上面近傍に位置させるとともに、フツク機１の昇
降域外部に位置させ、この切断装置は、その刃が
前記フツク機昇降域内に出没する構成とするとと
もに前記刃はフツク機昇降域内に突出した時点で
パイル糸Ｂを切断する構成とし、フツク機１の先
端の針機構部１０が基布Ａから所定の高さに復帰
上昇した時点で切断装置５が前記パイル糸切断動
作をするようにしたことである。

（作用） 本発明の上記技術的手段は次のように作用す
る。

フツク機１のハサミ１３を動作させない状態、
又は、フツク機１にハサミ１３を具備させない状
態とし、走行台４を予め設定したプログラムに従
つて走行させ、この走行中にフツク機を動作させ
ると、各刺しゆう区間の始点部から終点部までの
間でパイル糸Ｂが基布Ａにループ織状態で刺しゆ
うされる。この刺しゆう工程中では、切断装置５
はフツク機１の針機構部１０の昇降域から外れて
位置することから、この切断装置はフツク機１の
動作及び走行の障害とはならず、切断装置５と針
機構部１０とは常に一定の間隔で一体的に移動す
る。

刺しゆう区間の終点部に達すると、フツク機１
が独立して上昇復帰し、基布Ａから所定の高さに
復帰上昇すると、針機構部１０と基布Ａとの間に
パイル糸が延びた状態となり、この時点で切断装
置５の刃がこのパイル糸部に突出してこれを切断
する。

次いで、刃が初期位置に復帰するとともにフツ
ク機１は上昇復帰したまま走行台４は後続の刺し
ゆう区間の始点部に移動せしめられ、この地点で
フツク機１が降下せしめられたあと、走行台４と
共に走行せしめられて次の刺しゆう動作に入る。

予め設定されたプログラムに従つて上記動作を
繰り返すと、基布Ａに所望の図柄が刺しゆうさ
れ、且つ、パイル糸はループ状に連続するものと
なる。

（効果） 本発明は上記構成であるから、次の特有の効果
を有する。

各刺しゆう区間の終点部でパイル糸が切断され
るから、フツク機１を所定タイミングで動作させ
ながら、走行台４を各刺しゆう区間毎に連続的に
走行させることにより、ループ織の刺しゆうカー
ペツトが織り上げられる。

（実施例） 以下、本発明の実施例の装置を第１図〜第４図
に基いて説明する。

この実施例では、フツク機１を設けた走行台４
及びこれを予め設定したプログラムに従つて走行
させるための構成は、既に特許出願した装置（第
７図のもの）と同様であり、走行台４は、枠２の
一方の対向辺の各辺に沿つて平行に設けた一対の
第１支持レール３１，３１間に架設された支持台
３上に移動可能に設けられ、前記支持台３は第１
支持レール３１，３１にすすみ対偶し、走行台４
はこの支持台３に設け且前記第１支持レールに対
して直角な一対の第２支持レール３３，３３とす
すみ対偶する。

又、支持台３は第１支持レール３１と平行に設
け且第１パルスモータ３４によつて正逆回転駆動
される第１送りネジ３５とネジ対偶し、走行台４
は第２支持レール３３と平行に設け且つ第２パル
スモータ４２によつて正逆回動される第２送りネ
ジ４１とネジ対偶し、これら第１，第２パルスモ
ータ３４，４２にはNC装置Ｎからの出力が入力
され、予めNC装置Ｎに読み込まれるデータに応
じてこれらパルスモータが正逆回動を繰り返す。

従つて、第１支持レール３１の方向をｙ軸，第
２支持レール３３の方向をｘ軸とすると、NC装
置Ｎからの出力に応じて走行台４がｘ軸，ｙ軸平
面内で各方向に走行することとなる。（以上、第
７図参照）。

次に、この実施例では、第１図の如く、走行台
４に設けた第３パルスモータ４３によつてフツク
機１が姿勢制御されるようになつており、この
為、第３パルスモータ４３の出力軸５４とフツク
機１を支持する環状の歯車４５とが伝動状態にあ
り、NC装置Ｎからの出力によつて、この第３パ
ルスモータ４３が第１，第２パルスモータ３４，
４２との関係で回動せしめられ、フツク機１の走
行姿勢がその走行方向に対して常に適正にセツト
されるようになつている。

すなわち、フツク機１の可動筒１１の斜め開口
部が常に走行方向の後方を向くようにセツトされ
る。

歯車４５の中央開口部４６には支柱６によつて
昇降可能に支持され且第１エアーシリンダ６１に
よつて昇降駆動されるフツク機１が位置し、この
フツク機１の先端の針機構部１０は下方の基布Ａ
に対向する。さらに、支柱６の反対側には腕５１
が下方の基布Ａに向かつて突出し、この腕５１に
切断装置５が取付けられており、この切断装置５
の下端部が基布Ａとの間に一定の間隙を有するよ
うに、その取付位置が設定されている。

前記切断装置５は、第２図の如き構成で、NC
装置Ｎからの出力信号に応じて動作する第２エア
ーシリンダ５２と、この出力軸５４に取付けた一
対の刃５３，５３と、これら刃がカム対偶するカ
ム板５５とからなり、前記一対の刃５３，５３の
支点部５６が前記第２エアーシリンダ５２の出力
軸５４に連結され、刃の後端部に突設した突起５
７，５７がカム板５５に形成した一対のカム溝５
８，５８に各別に嵌入している。

前記カム板５５の後端に第２エアーシリンダ５
２が取付けられてこれらが一体的に腕５１に固定
され、このカム板に取付位置を歯車４５の中心か
ら半径方向に一定距離ズラせてある。このことか
ら、第２エアーシリンダ５２の出力軸に連結され
た刃５３，５３の先端部は、フツク機１の昇降軌
跡、すなわち歯車４５の回転中心、から一定距離
外れて位置することとなる。

上記構成の切断装置では、カム溝５８，５８は
先端部で相互の間隔が徐々に拡がる略Ｙ字状とな
つており、CN装置Ｎからの出力信号によつて第
２エアーシリンダ５２が動作し、その出力軸５４
が突出せしめられると、この出力軸と一体的に移
動する刃５３，５３は、その一定範囲では刃５
３，５３相互が開放状態のままで進出し、その後
さらに先端側に移動せしめられるに従つて、刃５
３，５３の後端部の突起５７，５７とカム溝５
８，５８との対偶関係により５３，５３先端部相
互が閉じられ、この間、フツク機１を針機構部１
０の先端から延びるパイル糸Ｂが切断されること
となる。尚、ここで、前記５３，５３の先端動作
位置とパイル糸垂下位置とを一致させてあること
は言うまでもない。

次に、この実施例では、第１，第２エアーシリ
ンダ６１，５２の動作、及びフツク機１の針機構
部１０の動作・停止をもNC装置Ｎにより制御す
るようにしてあり、第１，第２，第３パルスモー
タ３４，４２，４３の動作と関連させて予め設定
したプログラムに従つてこれら各部が動作・停止
を繰り返す。

さらに、切断装置５と第１エアーシリンダ６１
及びフツク機１の動作状態は既述したように関連
せしめられ、一区間の刺しゆうが完了した時点で
フツク機１の刺しゆう動作を一旦停止させ、次い
で、第１エアーシリンダ６１を動作させてフツク
機１を一定ストローク持ち上げたあと、その時点
で第２エアーシリンダ５２を動作させて切断装置
５が切断動作するように設定してある。

特に、この実施例では、第３図の如く、一区間
の刺しゆう完了時点Ｐでフツク機１の刺しゆう動
作を停止させ、この地点から、パイル糸切断位置
Ｑまでフツク機１を持ち上げる過程でこのフツク
機を一定回数空動作させるように、このフツク機
１の動作タイミングを設定してある。

一区間の刺しゆう完了時点Ｐから、フツク機１
を動作停止状態のままでＱ点まで持ち上げて切断
装置５によりパイル糸Ｂを切断する場合には、フ
ツク機内におけるパイル糸保持力により、一旦基
布Ａに差し込まれたパイル糸Ｂが、フツク機１の
上昇に伴つてその一部が基布から引き抜かれるこ
ととなるが、上記のように、パイル糸切断位置に
フツク機１を上昇復帰させる間又はこれに先立つ
てフツク機１を一定回数空動作させると、パイル
糸Ｂがこの空動作によつて送り出されることとな
り、上記した不都合が防止できる。

尚、切断装置５としては、上記した装置以外
に、第４図に示すような、固定刃５０ａと第２エ
アーシリンダ５２によつてこの固定刃に対して接
離される可動刃５０ｂとの組み合わせも利用でき
る。

この場合、固定刃５０ａは常にフツク機１の針
機構部１０の近傍に位置し、フツク機１が所定位
置に上昇復帰した時点でNC装置Ｎからの指令に
よつて第２エアーシリンダ５２が動作し、可動刃
５０ｂが進出してパイル糸Ｂを切断する。

又、第１図の実施例では、フツク機１の固定筒
には、公知のガイド片１５にかえて、中央に透孔
を有する皿状ガイド１６を具備させてある。これ
により、フツク機１の走行姿勢変化が円滑なもの
となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明実施例の要部説明図、第２図は
切断装置の分解斜視図、第３図は一区間の刺しゆ
う工程におけるフツク機高さの経時的変化を示す
説明図、第４図は他の実施例の要部説明図、第５
図は本発明の装置に用いる公知のフツク機の構造
概略図、第６図はその動作説明図、第７図は先願
発明の装置の概略説明図であり、図中、 １……フツク機、１０……針機構部、２……
枠、４……走行台、５……切断装置、Ａ……基
布、Ｂ……パイル糸。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ フツク機１を基布張設用の枠２と平行な面内
   で且基布Ａの上方を走行する走行台４に設け、こ
   の走行台を予め設定したプログラムに従つて各刺
   しゆう区間毎に走行させ、前記刺しゆう区間の始
   点部でフツク機１を降下させて基布Ａに対接させ
   るとともに終点部でフツク機１を持ち上げて基布
   Ａから離反させるようにした刺しゆうカーペツト
   の製造装置において、走行台４にフツク機１とと
   もに切断装置５を取付け、この切断装置５を基布
   Ａの上面近傍に位置させるとともに、フツク機１
   の昇降域外部に位置させ、この切断装置は、その
   刃が前記フツク機昇降域内に出没する構成とする
   とともに前記刃はフツク機昇降域内に突出した時
   点でパイル糸Ｂを切断する構成とし、フツク機１
   の先端の針機構部１０が基布Ａから所定の高さに
   復帰上昇した時点で切断装置５が前記パイル糸切
   断動作をするようにした刺しゆうカーペツトの製
   造方法。 ２ パイル糸切断位置にフツク機１を上昇復帰さ
   せる間又はこれに先立つてフツク機１を一定回数
   空動作させるようにした特許請求の範囲第１項記
   載の刺しゆうカーペツトの製造方法。