JPH0114115Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 コンバイン等に搭載される籾タンクは脱穀機の
揚穀機吐出口に連通しており、籾タンクが満杯に
なると揚穀機内の移送装置により籾が抵抗を受け
て損傷したり移送装置が破損したりする恐れがあ
り、これを防止するために籾タンクの天板に開口
部を設け、これより溢流した籾が回収されず、損
失が大きかつた。これを解決する為に、天板の周
囲に立壁を設けて、これに溢流する籾を一時貯溜
することが考えられるが、立壁の高さだけ機体高
が高くなり、且つ溢流した籾が溜るだけで逃げ場
がないため、ある程度溜ると籾圧力が高まり、前
述の移送装置により籾が大きな抵抗を受けて損傷
する等の欠陥があつた。

本考案は上記のような従来の実情に鑑み、これ
を改善することを目的としたもので、殊に、収穫
機の籾タンクの天板を吐出口側に高く、対向側を
低く傾斜させ、その低位側に籾溜りを形成するよ
うに立壁を設け、吐出口側のオーバーフロー用開
口からオーバーフローする籾を、上記籾溜りに一
時貯溜し、天板の開動によりこれを逆傾斜させて
籾をタンク内に落下回収するようにしたものであ
る。

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
ると、図中１はコンバインの前処理装置で、機体
前方に支架されており、機体の一側には脱穀機２
が搭載され、他側には運転操作部３及び其の後方
に籾タンク４が配設されている。

５は脱穀機２から籾タンク４へ向けて延設され
た揚穀機であつて、該揚穀機５の上部は籾タンク
４内の一側部に貫通し、吐出口６が対向壁４ａに
向けて開口している。７は揚穀機５に内装した揚
穀螺旋、８はその上部に設けた撥出羽根で、脱穀
機２により脱穀された籾がこれら揚穀螺旋７、撥
出羽根８により揚穀されて吐出口６より籾タンク
４内に放出されるようになつている。籾タンク４
の上面は、揚穀機５上方がタンクカバー４ｂによ
り被覆され、他方は吐出口６側が高位に、対向側
壁４ａ側が低位に傾斜した天板９で被覆されてい
る。又該天板９は、タンクカバー４ｂの端部に設
けた蝶番に枢着され、その支点１０を中心にして
開閉自在なるよう構成されており、対向側壁４ａ
の上端部に設けた止め金１１により固定されるよ
うになつている。天板９の枢支端部より板面中部
に亘つて、オーバーフロー用の開口９ａが開設さ
れており、該開口９ａは、吐出口６よりの放出路
上方に位置し、枢支端部を巾狭とし、対辺を巾広
の弧状となした平面視扇状に形成されている。

１２は上記開口９ａを被覆するように設けたオ
ーバーフロー弁で、吐出口６側の端部がタンクカ
バー４ｂの端部に蝶番１２ａされ、その枢支点１
２ｂは天板９の枢支点１０と同一芯上にあつて、
オーバーフロー弁１２は単独又は天板９と連動し
て回動できるようになつている。１３は磁石で天
板９の弧状辺の縁部に設けられていて、常時はオ
ーバーフロー弁１２を磁着して弁１２を閉じ、タ
ンク内に籾が満杯となると、籾圧が磁力に打勝つ
て弁１２が開くようになつている。１４はセンサ
ーで、オーバーフロー弁１２の下面に装着されて
いて、タンク４内の籾が満杯になると、オーバー
フロー弁１２が開く前に、上記センサー１４は籾
の圧力を受けてONとなり、運転操作部３に設け
た警報器に通電し、オーバーフロー弁１２が開く
と、センサー１４に直接加わる籾の圧力が減少し
てOFFとなるよう構成されている。

１５は立壁で、天板９上面の吐出口６側を除く
他の三辺に立設されていて、第２図に示す如く、
立壁１５上辺は、カバー４ｂの高さで、ほゞ水平
にして、斜面をなす天板９の上面と、該立壁１５
とにより籾溜り１６が形成されている。

又、立壁１５は、第４図に示す如く平面視で枢
支辺側が徐々に狭められ、開口９ａに近接するよ
うに設けられている。

本考案は上述のように構成されており、脱穀機
２の揚穀機５で揚送された籾は、揚穀機５上部の
撥出羽根８の回動により吐出口６より撥ね出され
て、籾タンク４に投入される。そして籾は、第２
図Ａ線で示す如く吐出口６側が高く、対向側が低
い斜面を築き乍ら堆積するが、天板９が上記の斜
面に沿うよう形成されているので、同図Ｂ線で示
す如く、無駄な空間を生ずることなく、完全な満
杯状態まで収容される。満杯になると、吐出口６
より放出される籾の押圧力が磁力に打勝つて、オ
ーバーフロー弁１２を押上げ、弁は支点１２ｂを
中心にして第２図の鎖線で示す位置まで開動す
る。すると、吐出口６から放出される籾は、オー
バーフローして開口９ａを通り、天板９と立壁１
５で形成される籾溜り１６に収容される。前記オ
ーバーフロー弁１２が開動した際、センサー１４
を付設したものにおいては警報により、又、セン
サーのないものにおいても操縦席より観知するこ
とが出来るから、タンク４内の籾が下部の吐出樋
より流出して減量するのを待ち、止め金１１を外
して、第３図に示す如く、天板９を上方に開動さ
せれば、籾溜り１６に収容されたオーバーフロー
籾は、開口９ａよりタンク４内に落下する。その
際、立壁１５の開口９ａ側は徐々に狭くなつてお
り、又オーバーフロー弁１２は衝立の用をなすか
ら籾を零すことなく迅速に回収できるものであ
る。

本考案はこのように、籾タンクの一側上部に揚
穀機の吐出口を設け、該吐出口より籾を撥出羽根
によつて撥ね出し乍らタンク内に供給するものに
おいて、タンクの上部に、吐出口側を高位に、対
向側を低位に傾斜する天板を、吐出口側を支点と
して開閉可能に枢支させ、該天板上面には吐出口
側を除く他の三辺に立壁を設けると共に、天板の
吐出口側にオーバーフロー用の開口を開設したこ
とを特徴とする収穫機の籾タンクにおけるオーバ
ーフロー装置であつて、天板の上面即ち籾タンク
の上辺を、揚穀機吐出口側が高く、対向側を低く
し、籾の堆積傾斜角に沿うよう形成し、隅部の無
駄な空間を無くしたから、同じ高さのタンクと同
等の収納容量を有するものであり乍ら、上記斜面
上に立壁を有する天板を設けて籾溜りを形成した
から、立壁を設けても機体高が高くなることな
く、又、天板は傾斜しているから開口から吐出し
た籾は速かに斜面に沿つて流れ、従来のように、
開口の直上部に籾が堆積して盛上り、移送されて
来る籾がこれに押圧され、移送装置や撥出羽根に
より抵抗を受けて損傷したりする事がなく、更
に、籾の吐出口側に回動支点と開口を設けたか
ら、天板を開動するだけで籾の回収が出来る等の
効果を奏するものである。

尚、本考案実施例のように、オーバーフロー開
口部に、屑等の機外飛散を防止するオーバーフロ
ー弁を設ける場合、弁自身も小型にして重量を軽
減し、作動を容易にするために開口部を小さく形
成せねばならないが、そのようなものにおいて
も、立壁を吐出口対向側ほど広巾な扇状に形成し
たから、籾溜りを広く形成できると共に、開口部
の巾は狭くても、天板を開動させれば籾の回収も
確実に出来るなどの特徴を有するものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案装置を施したコンバインを示すも
のであつて、第１図はコンバインの平面図、第２
図及び第３図は要部の作用を示す断面図、第４図
は要部の斜視図である。 ４…籾タンク、６…吐出口、９…天板、９ａ…
開口、１６…籾溜り。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 籾タンクの一側上部に揚穀機の吐出口を設け、
   該吐出口より籾を撥出羽根によつて撥ね出し乍ら
   タンク内に供給するものにおいて、タンクの上部
   に、吐出口側を高位に、対向側を低位に傾斜する
   天板を、吐出口側を支点として開閉可能に枢支さ
   せ、該天板上面には吐出口側を除く他の三辺に立
   壁を設けると共に、天板の吐出口側にオーバーフ
   ロー用の開口を開設したことを特徴とする収穫機
   の籾タンクにおけるオーバーフロー装置。