JP7841319B2 - インクジェットインク組成物、及びインク収容体 - Google Patents

インクジェットインク組成物、及びインク収容体

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Description

本発明は、インクジェットインク組成物、及びインク収容体に関する。
インクジェット記録方法は、紙等の媒体に対する画像の記録だけでなく、布帛の捺染にも適用が試みられ、インクジェット捺染用として各種のインク組成物や記録方法の検討も行われている。例えば、特許文献1には、C.I.ディスパースオレンジ25及びC.I.ディスパースブラウン27からなる群より選ばれる1種以上である特定染料と、アニオン系分散剤と、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールの誘導体、及び、前記特定染料とは異なるフェニルアゾ化合物からなる群より選ばれる1種以上である物質Aとを含む水性インクジェット用組成物が開示されている。
特開2021-17510号公報
しかしながら、特許文献1に記載の水性インクジェットインク組成物では、インク収容体内で材料に起因する凝集体としての異物が発生するとの課題がある。
本発明は、インクジェットインク組成物は、昇華性染料と、アニオン系分散剤と、アニオン系界面活性剤と、を含み、前記昇華性染料が、C.I.ディスパースオレンジ25、C.I.ディスパースオレンジ80、C.I.ディスパースブラウン27、C.I.ソルベントオレンジ60、C.I.ソルベントバイオレット13、及びC.I.ディスパースバイオレット28からなる群より選ばれる1種以上を含み、前記アニオン系界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアリールエーテル硫酸塩、及びポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩からなる群より選ばれる1種以上を含む。
図1は、インク収容体の一例を示す斜視図である。
以下、本発明の実施形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
1.インクジェットインク組成物
本実施形態のインクジェットインク組成物(以下、「インク組成物」とも称する)は、昇華性染料と、アニオン系分散剤と、アニオン系界面活性剤と、を含み、昇華性染料が、C.I.ディスパースオレンジ25、C.I.ディスパースオレンジ80、C.I.ディスパースブラウン27、C.I.ソルベントオレンジ60、C.I.ソルベントバイオレット13、及びC.I.ディスパースバイオレット28からなる群より選ばれる1種以上を含み、アニオン系界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアリールエーテル硫酸塩、及びポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩からなる群より選ばれる1種以上を含む。
本実施形態によれば、インク収容体内で材料に起因する凝集体としての異物の発生が効果的に防止されるインク組成物を得ることができる。
このように本実施形態によって優れた効果が得られる要因について定かではないが、本発明者らは、次のように推定している。
まず、インク収容体の内壁同士が内部のインク組成物を挟んで密着した状態でインク収容体を長期間保管したときに、材料に起因する凝集体としての異物が発生しやすい。特に、インク収容体の内壁素材がポリエチレン等のポリオレフィンであり、収容されるインク組成物が、昇華性染料として、C.I.ディスパースオレンジ25、C.I.ディスパースオレンジ80、C.I.ディスパースブラウン27、C.I.ソルベントオレンジ60、C.I.ソルベントバイオレット13、及びC.I.ディスパースバイオレット28からなる群より選ばれる1種以上を含む場合、異物は顕著に発生する傾向にある。
インク収容体の内壁同士が近接して、狭小空間となった部分において、インク組成物中に含まれる水分が、ポリエチレン等のポリオレフィンに吸収されることで内壁が膨潤し、局所的に染料濃度が高くなる。これにより、インク組成物中における染料の分散状態が悪くなり、その結果、異物が発生すると推測している。
また、凝集は、高温環境下でより進行しやすくなるが、インク収容物に熱がかかると、ポリオレフィンによる水分吸収がより進行するため、一層凝集が進行しやすくなるとも推定している。
一方、本実施形態のインク組成物は、昇華性染料と共に、アニオン系分散剤と、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアリールエーテル硫酸塩、及びポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩からなる群より選ばれる1種以上を含むアニオン系界面活性剤とを含む。アニオン系分散剤は染料に吸着するが、これらのアニオン系界面活性剤は染料により吸着しやすいため、アニオン系分散剤のみを含むイオン組成物に比べて、染料の電荷がよりマイナス側に偏る傾向にある。それにより、静電反発力が向上することで、染料の分散が安定化する。
更に、これらのアニオン系界面活性剤は、インク収容体の内壁であるポリオレフィンにもより吸着しやすい。そのため、内壁表層の電荷もマイナス側に偏り、内壁と染料との静電反発力も向上するため、分散がより安定化する。
そして、これらのアニオン系界面活性剤は、エチレンオキサイド構造を持つため、インク組成物中に含まれる成分との相溶性が高く、分散安定性の向上効果がより大きい。
これらのことから、本実施形態によれば、インク収容体内で材料に起因する凝集体としての異物の発生が効果的に防止されるインク組成物を得ることができると推測している。ただし、理由はこれに限定されない。
次に、インク組成物に含まれる各成分について説明する。
1.1.昇華性染料
本実施形態のインク組成物は、昇華性染料を含む。昇華性染料は、C.I.ディスパースオレンジ25、C.I.ディスパースオレンジ80、C.I.ディスパースブラウン27、C.I.ソルベントオレンジ60、C.I.ソルベントバイオレット13、及びC.I.ディスパースバイオレット28からなる群より選ばれる1種以上を含む。なお、本明細書において、「昇華性染料」とは、加熱により昇華する性質を有する染料をいう。昇華性染料は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの昇華性染料の中でも、C.I.ディスパースオレンジ25は、凝集体としての異物がより発生しやすい。しかし、本実施形態のインク組成物によれば、このような異物を生じやすいC.I.ディスパースオレンジ25を含んでも、異物の発生を効果的に防止することができる。
インク収容体内で異物の発生がより効果的に防止されるインク組成物を得ることができることから、C.I.ディスパースオレンジ25、C.I.ディスパースオレンジ80、C.I.ディスパースブラウン27、C.I.ソルベントオレンジ60、C.I.ソルベントバイオレット13、及びC.I.ディスパースバイオレット28の含有量は、インク組成物の総量に対して、合計で0.05質量%以上30質量%以下であることが好ましく、0.1質量以上20質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以上10質量%以下であることが更に好ましく、1.0質量%以上5.0質量%以下であることが特に好ましい。
1.2.アニオン系分散剤
本実施形態のインク組成物は、アニオン系分散剤を含む。アニオン系分散剤は、電離してアニオンとなるものであれば、特に限定されない。また、本明細書において、アニオン系分散剤は、アニオン系界面活性剤と異なるものである。アニオン系分散剤は、昇華性染料の染料分散液の調製時に添加されることが好ましい。アニオン系分散剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
染料の分散安定性の向上効果がより大きく、インク収容体内での異物の発生をより効果的に防止できることから、アニオン系分散剤の重量平均分子量Mwは、1000以上20000以下であることが好ましく、2000以上10000以下であることがより好ましく、3000以上5000以下であることが更に好ましい。本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー、いわゆるGPCで測定されるポリスチレン換算の値を称する。
アニオン系分散剤としては、その構造中に、スルホ基又はその塩、及び芳香環を有する化合物が好ましく、スルホ基の塩及び芳香環を有する化合物がより好ましい。このようなアニオン系分散剤を用いることで、染料の分散安定性の向上効果がより大きく、インク収容体内での異物の発生をより効果的に防止できる傾向にある。
アニオン系分散剤としては、下記式(2)で表される化合物、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、及びリグニンスルホン酸のナトリウム塩からなる群より選ばれる1種以上を含むことが好ましい。これらのアニオン系分散剤は、染料の分散安定性の向上効果が更に大きく、インク収容体内での異物の発生を更に効果的に防止できる傾向にある。
式(2)中、R2は、炭素数1以上4以下の1価の炭化水素基を示し、nは、1以上の整数を示す。
2における炭素数1以上4以下の1価の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、及び1,1-ジメチルプロピル基などの直鎖状又は分岐状のアルキル基;ビニル基、及びアリル基などの直鎖状又は分岐状のアルケニル基が挙げられる。それらの中でも、染料の分散安定性の向上効果が更に大きく、インク収容体内での異物の発生を更に効果的に防止できる傾向にあることから、R2としては、n-ブチル基及びiso-ブチル基が好ましく、n-ブチル基がより好ましい。染料の分散安定性の向上効果がより大きく、インク収容体内での異物の発生をより効果的に防止できる傾向にあることから、式(2)で表される化合物としては、n-ブチルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩が好ましい。
nは、1以上50以下の整数であることが好ましく、1以上30以下の整数であることがより好ましく、1以上20以下の整数であることが更に好ましい。
染料の分散安定性の向上効果が更により大きく、インク収容体内での異物の発生を更により効果的に防止できる傾向にあることから、アニオン系分散剤の含有量は、インク組成物の総量に対して、0.05質量%以上30質量%以下であることが好ましく、0.1質量以上20質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以上10質量%以下であることが更に好ましく、1.0質量%以上5.0質量%以下であることが特に好ましい。
1.3.アニオン系界面活性剤
本実施形態のインク組成物は、アニオン系界面活性剤を含む。アニオン系界面活性剤は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアリールエーテル硫酸塩、及びポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩からなる群より選ばれる1種以上を含む。これらのアニオン系分散剤は、昇華性染料及びインク収容体の内壁と吸着しやすく、インク組成物中に含まれる成分との相溶性が高いことから、染料の分散安定性の向上効果が大きく、インク収容体内での異物の発生を効果的に防止できる傾向にある。アニオン系界面活性剤は、染料分散液と共にインク組成物の調製時に添加されることが好ましい。アニオン系界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
塩としては、例えば、カリウム塩及びナトリウム塩等の周期表第1族のアルカリ金属塩;カルシウム塩及びマグネシウム塩等の周期表第2族のアルカリ土類金属塩が挙げられる。これらの中でも、染料の分散安定性の向上効果がより大きく、インク収容体内での異物の発生をより効果的に防止できることから、周期表第1族のアルカリ金属塩が好ましく、カリウム塩及びナトリウム塩がより好ましく、ナトリウム塩が更に好ましい。
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩としては、例えば、エチレンオキシドの重合数が1以上30以下であり、アルキル基の炭素数が1以上50以下であるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩が挙げられる。染料の分散安定性の向上効果がより大きく、インク収容体内での異物の発生をより効果的に防止できることから、エチレンオキシドの重合数が1以上20以下であり、アルキル基の炭素数が10以上40以下であるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩であることが好ましい。
このようなポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩としては、例えば、エチレンオキシドの重合数が1以上20以下であるポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩、エチレンオキシドの重合数が1以上20以下であるポリオキシエチレンミリスチルエーテル硫酸塩、エチレンオキシドの重合数が1以上20以下であるポリオキシエチレンセチルエーテル硫酸塩、エチレンオキシドの重合数が1以上20以下であるポリオキシエチレンステアリルエーテル硫酸塩、エチレンオキシドの重合数が1以上20以下であるポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸塩、及びエチレンオキシドの重合数が1以上20以下であり、アルキル基の炭素数が10以上40以下であるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩が挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸塩としては、例えば、エチレンオキシドの重合数が1以上30以下であり、アルキル基の炭素数が1以上50以下であるポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸塩が挙げられる。染料の分散安定性の向上効果がより大きく、インク収容体内での異物の発生をより効果的に防止できることから、エチレンオキシドの重合数が1以上25以下であり、アルケニル基の炭素数が10以上40以下であるポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸塩であることが好ましい。
このようなポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸塩としては、例えば、エチレンオキシドの重合数が1以上25以下であるポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸ナトリウムが挙げられる。
ポリオキシエチレンアリールエーテル硫酸塩としては、例えば、エチレンオキシドの重合数が1以上30以下であり、アリール基の炭素数が1以上50以下であるポリオキシエチレンアリールエーテル硫酸塩が挙げられる。染料の分散安定性の向上効果がより大きく、インク収容体内での異物の発生をより効果的に防止できることから、エチレンオキシドの重合数が1以上20以下であり、アリール基の炭素数が10以上40以下であるポリオキシエチレンアリールエーテル硫酸塩であることが好ましい。
このようなポリオキシエチレンアリールエーテル硫酸塩としては、例えば、エチレンオキシドの重合数が1以上20以下であるポリオキシエチレンフェニルエーテル硫酸塩、エチレンオキシドの重合数が1以上20以下であるポリオキシエチレンモノスチレン化フェニルエーテル硫酸塩、エチレンオキシドの重合数が1以上20以下であるポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル硫酸塩、エチレンオキシドの重合数が1以上20以下であるポリオキシエチレントリスチレン化フェニルエーテル硫酸塩、及びエチレンオキシドの重合数が1以上20以下であるポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸塩が挙げられる。染料の分散安定性の向上効果がより大きく、インク収容体内での異物の発生をより効果的に防止できることから、これらの中でも、エチレンオキシドの重合数が15以上16以下であるポリオキシエチレントリスチレン化フェニルエーテル硫酸塩が好ましい。ポリオキシエチレンアリールエーテル硫酸塩は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩としては、例えば、エチレンオキシドの重合数が1以上30以下であり、アリール基の炭素数が1以上50以下であるポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩が挙げられる。染料の分散安定性の向上効果がより大きく、インク収容体内での異物の発生をより効果的に防止できることから、エチレンオキシドの重合数が1以上20以下であり、アルキル基の炭素数が10以上40以下であるポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩であることが好ましい。
このようなポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩としては、例えば、エチレンオキシドの重合数が1以上20以下であるポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸塩、エチレンオキシドの重合数が1以上20以下であるポリオキシエチレンミリスチルエーテルリン酸塩、エチレンオキシドの重合数が1以上20以下であるポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸塩、エチレンオキシドの重合数が1以上20以下であるポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸塩、エチレンオキシドの重合数が1以上20以下であるポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸塩、及びエチレンオキシドの重合数が5以上15以下であり、アルキル基の炭素数が10以上20以下であるポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩が挙げられる。染料の分散安定性の向上効果がより大きく、インク収容体内での異物の発生をより効果的に防止できることから、これらの中でも、エチレンオキシドの重合数が10であり、アルキル基の炭素数が12以上15以下であるポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩が好ましい。ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アニオン系界面活性剤としては、下記式(1)で表される化合物を含むことがより好ましい。式(1)で表される化合物は、昇華性染料及びインク収容体の内壁とより吸着しやすく、インク組成物中に含まれる成分との相溶性がより高いことから、染料の分散安定性の向上効果が更に大きく、インク収容体内での異物の発生を更に効果的に防止できる傾向にある。
O(CHCHO)SO ・・・(1)
式(1)中、R1は、炭素数10以上50以下のアルキル基、炭素数10以上50以下のアルケニル基、又は炭素数10以上50以下のアリール基を示す。Mは、アルカリ金属イオンを示す。mは、エチレンオキシドの重合数を示し、1以上30以下の整数を示す。
1における炭素数10以上50以下のアルキル基としては、好ましくは炭素数11以上40以下の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。
このようなアルキル基としては、例えば、デシル基、イソデシル基、ドデシル基、イソドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、リノレイル基、リノレニル基、フィチル基、ミリシル基、ウンデシル基、オレイル基、ラウリル基、ミリスチル基、セチル基、ステアリル基、ブチルオクチル基、イコシル基、ベヘニル基、ミリシル基、及びカテチル基が挙げられる。染料の分散安定性の向上効果が一層大きく、インク収容体内での異物の発生を一層効果的に防止できることから、これらの中でも、ラウリル基が好ましい。
1における炭素数10以上50以下のアルケニル基としては、好ましくは炭素数11以上40以下の直鎖状又は分岐状のアルケニル基が挙げられる。
このようなアルケニル基としては、例えば、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、テトラデセニル基、オクタデセニル基、オレイル基、リノレイル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、メチルシクロペンテニル基、及びメチルシクロヘキセニル基が挙げられる。染料の分散安定性の向上効果が一層大きく、インク収容体内での異物の発生を一層効果的に防止できることから、これらの中でも、オレイル基が好ましい。
1における炭素数10以上50以下のアリール基としては、好ましくは炭素数11以上40以下、より好ましくは13以上20以下のアリール基が挙げられる。
このようなアリール基としては、例えば、ナフタレン基、ビフェニル基、ターフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、イソプロピルフェニル基、ブチルフェニル基、t-ブチルフェニル基、ジ-t-ブチルフェニル、モノスチレン化フェニル基、ジスチレン化フェニル基、トリスチレン化フェニル基、テトラスチル化フェニル基、ペンタスチル化フェニル基、モノスチレン化ナフタレン基、ジスチレン化ナフタレン基、トリスチレン化ナフタレン基、テトラスチル化ナフタレン基、ペンタスチル化ナフタレン基、及び多環フェニル基が挙げられる。染料の分散安定性の向上効果が一層大きく、インク収容体内での異物の発生を一層効果的に防止できることから、これらの中でも、トリスチレン化フェニル基が好ましい。
染料の分散安定性の向上効果がより大きく、インク収容体内での異物の発生をより効果的に防止できることから、Mとしては、カリウムイオン及びナトリウムイオンが好ましく、ナトリウムイオンがより好ましい。
mは、1以上20以下の整数を示す。
染料の分散安定性の向上効果がより大きく、インク収容体内での異物の発生をより効果的に防止できることから、R1が炭素数10以上50以下のアリール基である場合、mは10以上18以下であることが好ましく、15以上16以下であることがより好ましい。
アニオン系界面活性剤としては、市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、エマール(登録商標)327及び170J、並びにラテムル(登録商標)WX(以上、商品名、花王(株)製);NIKKOL(登録商標)DDP-10(商品名、日光ケミカルズ(株)製);SM-210(商品名、東邦化学工業(株)製)が挙げられる。
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアリールエーテル硫酸塩、及びポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩の含有量は、インク組成物の総量に対して、合計で0.05質量%以上2.0質量%以下であることが好ましく、0.1質量以上1.5質量%以下であることがより好ましい。アニオン系界面活性剤が、インク組成物に上記範囲で含まれることで、昇華性染料及びインク収容体の内壁と一層吸着しやすく、インク組成物中に含まれる成分との相溶性が一層高くなることから、染料の分散安定性の向上効果が一層大きく、インク収容体内での異物の発生を一層効果的に防止できる傾向にある。また、インク組成物は、より優れた低起泡性を有する傾向にある。
1.4.フェニルアゾ化合物
昇華性染料として、C.I.ディスパースオレンジ25、C.I.ディスパースオレンジ80、及びC.I.ディスパースブラウン27からなる群より選ばれる1種以上の特定染料を含む場合、特定染料とは異なるフェニルアゾ化合物を更に含むことが好ましい。フェニルアゾ化合物は、フェニル基とアゾ基を有する化合物であり、かつC.I.ディスパースオレンジ25、C.I.ディスパースオレンジ80、及びC.I.ディスパースブラウン27のいずれとも異なる化合物であれば、特に限定されない。フェニルアゾ化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態において、フェニルアゾ化合物をインク組成物に含むことで、インク組成物は、染料の分散安定性の向上効果がより大きくなり、インク収容体内での異物の発生がより効果的に防止される傾向にある。
フェニルアゾ化合物としては、例えば、C.I.フードオレンジ1、2、3、4、4:1;C.I.アシッドオレンジ1、10、10:1、100、12、125、127、134、137、14、142、144、148、154、159、16、160、164、17、173、18、19、20、23、27、28、30、31、41、5、51、52、56、60、61、62、7、72、74、76、8、86、87、88、88:1、89、9、92、97、98;C.I.ベーシックオレンジ1、2、24、25、29、30、33、54、69;C.I.ダイレクトオレンジ17、18、75、84、85;C.I.ディスパースオレンジ1、1:1、10、127、138、149、152、157、17、18、23、25:1、3、3:1、30、31、33、36、37、41、42、44、49、5、50、52、53、56、57、61、62、67、68、7、71、73、76、78、90、96、97;C.I.リアクティブオレンジ1、107、113、116、118、119、12、122、123、124、125、126、13、134、135、139、14、16、2、29、3、33、35、37、38、4、5、56、64、67、68、7、70、72、72:1、82、84、86、87、91、94、95、96;C.I.ソルベントオレンジ1、102、103、105、11、110、12、2、20、3、4、4:1、40:1、41、45、49、5、54、56、6、62、7、75、8、81、9、98、99;C.I.アシッドレッド6、18、57、97、106、151、249、260;C.I.アシッドイエロー17、19、42、49、79が挙げられる。
これらの中でも、C.I.ディスパースオレンジ30、C.I.ディスパースオレンジ31、及びC.I.ディスパースオレンジ73からなる群より選ばれる1種以上を含むことが好ましい。これらのフェニルアゾ化合物がインク組成物に含まれることで、染料の分散安定性の向上効果が更に大きく、インク収容体内での異物の発生を更に効果的に防止できる傾向にある。
染料の分散安定性の向上効果が一層大きく、インク収容体内で異物の発生が一層効果的に防止されるインク組成物を得ることができることから、フェニルアゾ化合物の含有量は、インク組成物の総量に対して、0.05質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.1質量以上5.0質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以上1.0質量%以下であることが更に好ましい。
1.5.水溶性有機溶剤
インク組成物は、水溶性有機溶剤を含んでもよい。
そのような水溶性有機溶剤としては、例えば、グリセリン;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、及び1,6-ヘキサンジオールのようなグリコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、及びトリエチレングリコールモノブチルエーテルのようなグリコールモノエーテル類;メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、iso-プロピルアルコール、n-ブタノール、2-ブタノール、tert-ブタノール、iso-ブタノール、n-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、及びtert-ペンタノールのようなアルコール類が挙げられる。水溶性有機溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
それらの中でも、グリコール類は、保湿剤として機能することができる。また、グリコールモノエーテル類は、浸透剤として機能することができる。
本実施形態の作用効果をより有効かつ確実に奏する観点から、水溶性有機溶剤の含有量は、インク組成物の総量に対して、合計で5質量%以上30質量%以下であることが好ましい。
1.6.界面活性剤
インク組成物は、アニオン系界面活性剤と異なる界面活性剤を含んでもよい。
界面活性剤は、インク組成物の表面張力を低下させ記録媒体との濡れ性を調整する機能を備える。界面活性剤としては、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、及びフッ素系界面活性剤が挙げられる。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、サーフィノール(登録商標)104、104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG-50、104S、420、440、465、485、SE、SE-F、504、61、DF37、CT111、CT121、CT131、CT136、TG、GA、DF110D(日信化学工業(株)製);オルフィン(登録商標)B、Y、P、A、STG、SPC、E1004、E1010、PD-001、PD-002W、PD-003、PD-004、EXP.4001、EXP.4036、EXP.4051、AF-103、AF-104、AK-02、SK-14;AE-3(日信化学工業(株)製);アセチレノール(登録商標)E00、E00P、E40、E100(川研ファインケミカル(株)製)が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、ポリエーテル変性オルガノシロキサン等のポリシロキサン系化合物が挙げられる。ポリエーテル変性オルガノシロキサンの市販品としては、例えば、BYK-306、BYK-307、BYK-333、BYK-341、BYK-345、BYK-346、BYK-348(ビックケミー・ジャパン(株)製)、KF-351A、KF-352A、KF-353、KF-354L、KF-355A、KF-615A、KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、KF-6004、KF-6020、X-22-4515、KF-6011、KF-6012、KF-6015、KF-6017(信越化学工業(株)製)が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、フッ素変性ポリマーが挙げられる。例えば、BYK-340(ビックケミー・ジャパン(株)製)が挙げられる。
界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
染料の分散安定性の向上効果がより大きく、インク収容体内で異物の発生がより効果的に防止されるインク組成物を得ることができることから、界面活性剤の含有量は、インク組成物の総量に対して、0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上5.0質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上1.0質量%以下であることが更に好ましい。
1.7.水
インク組成物は、水を含んでもよい。
水としては、例えば、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、及び蒸留水等の純水、並びに超純水のようなイオン性不純物を極力除去したものが挙げられる。また、紫外線照射や過酸化水素の添加等によって滅菌した水は、インク組成物を長期間保存する場合に、カビやバクテリアの発生を抑制することができるため、好ましい。
水の含有量は、インク組成物の総量に対して、30質量%以上80質量%以下であることが好ましい。水の含有量を上記の範囲とすることにより、インク組成物の粘度の増大を抑制することができる。
1.8.その他の成分
インク組成物は、溶解助剤、粘度調整剤、pH調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、防腐剤、防かび剤、腐食防止剤、及び分散に影響を与える金属イオンを捕獲するためのキレート化剤などの、インク組成物において通常用いることができる種々の添加剤を含んでもよい。添加剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
染料の分散安定性の向上効果がより大きく、インク収容体内で異物の発生がより効果的に防止されるインク組成物を得ることができることから、添加剤の含有量は、インク組成物の総量に対して、合計で0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
1.9.インク組成物の物性
インク組成物の粘度は、20℃において、1.5mPa・s以上15mPa・s以下とすることが好ましく、1.5mPa・s以上7mPa・s以下とすることがより好ましく、1.5mPa・s以上5.5mPa・s以下とすることがより好ましい。
インク組成物は、記録媒体への濡れ拡がり性を適切なものとする観点から、25℃における表面張力の上限が、好ましくは40mN/m以下であり、より好ましくは38mN/m以下であり、更に好ましくは35mN/m以下であり、更により好ましくは32mN/m以下であり、特に好ましくは30mN/m以下である。また、表面張力の下限は、同様の観点から、好ましくは15mN/m以上であり、より好ましくは20mN/m以上であり、更に好ましくは25mN/m以上であり、更により好ましくは27mN/m以上である。なお、本明細書において、表面張力は、表面張力計CBVP-Z(商品名、協和界面科学(株)製)を用いて、常温常圧下で白金プレートを組成物で濡らしたときの表面張力として測定することができる。
インク組成物の表面張力が上記範囲であれば、インクジェット記録における吐出安定性及び初期充填性をより良好にすることができる。
1.10.インク組成物の製造方法
インク組成物は、昇華性染料と、アニオン系分散剤と、アニオン系界面活性剤と、必要に応じて、フェニルアゾ化合物と、水溶性有機溶剤と、アニオン系界面活性剤とは異なる界面活性剤と、水と、その他の成分とを、任意の順序で混合し、必要に応じてろ過などを実施して不純物や異物などを除去することで調製することができる。また、インク組成物の製造に際しては、予め、昇華性染料と、アニオン系分散剤と、必要に応じて、フェニルアゾ化合物と、水とを、任意の順序で混合、分散し、必要に応じてろ過などを実施して不純物や異物などを除去して調製される染料分散液を用いることが好ましい。例えば、昇華性染料と、アニオン系分散剤と、必要に応じて、フェニルアゾ化合物と、水とを、ペイントシェーカー、ビーズミル、ボールミルなどの混合分散機を用いて混合し、分散液を得ることができる。
各成分の混合方法としては、メカニカルスターラー、及びマグネティックスターラーなどの撹拌装置を備えた容器に、各成分を順次添加して撹拌、及び混合する方法が用いられる。ろ過方法としては、遠心ろ過、及びフィルターろ過などが挙げられる。
2.用途
インク組成物は、インク収容体内で材料に起因する凝集体としての異物の発生が効果的に防止される。そのため、インク組成物は、昇華転写を利用した布帛等に対する染色方法に好適である。昇華転写を利用した染色方法としては、例えば、紙等のシート状の転写媒体に、インクジェット記録装置を用いてインクジェット方式により印刷を行った後、布帛等の被記録媒体に上記転写媒体を重ねて加熱により昇華転写する方法が挙げられる。
2.1.インクジェット記録装置
インクジェット記録装置は、インク組成物を収容するインク収容体、及びこれに接続される記録ヘッドを少なくとも有し、インク組成物を記録ヘッドから吐出して中間転写媒体である転写紙に画像を形成することができれば特に限定されない。また、インクジェット記録装置としては、シリアル型、及びライン型のいずれでも使用することができる。これらの型のインクジェット記録装置には記録ヘッドが搭載されており、転写紙と記録ヘッドとの相対的な位置関係を変化させながら、記録ヘッドのノズル孔からインク組成物の液滴を所定のタイミングで、間欠的にかつ所定の体積で吐出する。これにより、転写紙にインク組成物を付着させて、所定の転写画像を形成することができる。
一般に、シリアル型のインクジェット記録装置では、記録媒体の搬送方向と、記録ヘッドの往復動作の方向が交差しており、記録ヘッドの往復動作と記録媒体の搬送動作との組み合わせによって、記録媒体と記録ヘッドとの相対的な位置関係を変化させる。またこの場合、一般的には、記録ヘッドには複数のノズル孔が配置され、記録媒体の搬送方向に沿ってノズル孔の列、すなわちノズル列が形成されている。また、記録ヘッドには、インク組成物の種類や数に応じて、複数のノズル列が形成される場合もある。
また、一般に、ライン型のインクジェット記録装置では、記録ヘッドは往復動作を行わず、記録媒体の搬送によって記録媒体と記録ヘッドとの相対的な位置関係を変化させて、記録媒体と記録ヘッドとの相対的な位置関係を変化させる。この場合においても、一般的には、記録ヘッドには、ノズル孔が複数配置され、記録媒体の搬送方向に交差する方向に沿ってノズル列が形成されている。
2.2.インク収容体
本実施形態において、インク収容体とは、容器及び包装体を包含する概念であって、インク組成物を直接的又は間接的に収容するものを称する。すなわち、インク収容体は、インク組成物が収容されている。インク収容体は、インクジェット記録装置でインク組成物を使用する前に、インク組成物を保管、及び輸送するために用いられる。また、インク収容体としては、インクジェット記録装置でインク組成物を使用する際に、インク収容体に収容されるインク組成物を記録装置に供給するものも含まれる。
本実施形態に係るインク組成物は、インク収容体内で材料に起因する凝集体としての異物の発生が効果的に防止される。そのため、優れた保存安定性をもって、インク組成物をインク収容体に収容することができる。
インク収容体の内壁がポリエチレン等のポリオレフィンであっても、本実施形態に係るインク組成物によれば、異物の発生を効果的に防止することができる。そのため、本実施形態のこのような作用効果をより有効かつ確実に奏する観点から、インク収容体としては、インク組成物を収容する容器と、接続部材と、を備え、容器が、ポリオレフィンを含むフィルムで形成されることが好ましい。次に、図1を用いて、このようなインク収容体についての一例を説明する。なお、図1は、インク収容体1の外観図である。
インク収容体1は、インク組成物をインクジェット記録装置に供給するためのものである。図1に示すように、インク収容体1は、容器11と、接続部材12とを備える。容器11は、インク組成物を収容する。容器11は、可撓性を有する袋体であることが好ましい。容器11は、袋状であり、複数のフィルムを貼り付けることで形成されていることが好ましい。本実施形態では、2枚のフィルムを重ね合わせて、周縁部の一部同士、及び、周縁部の他の一部と接続部材12の接合部13とを熱溶着などの方法により接合することで容器11が形成される。
容器11を構成するフィルムは、可撓性とガスバリア性を有する素材で形成されている。例えば、フィルムの素材としては、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、及びポリオレフィンが挙げられる。ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、及びポリプロピレンが挙げられる。フィルムの柔軟性に優れることから、ポリオレフィンが好ましく、ポリエチレンがより好ましい。また、これらの素材で構成されたフィルムを複数積層した積層構造を用いてフィルムが形成されてもよい。このような積層構造では、例えば、外層を耐衝撃性に優れたポリエチレンテレフタレート又はナイロンによって形成し、内層を耐インク性に優れたポリエチレンなどのポリオレフィンによって形成してもよい。さらに、アルミニウムなどを蒸着した層を有するフィルムを積層構造の1つの構成部材としてもよい。
インク収容体11のインク収容量は、1000mL以上であることが好ましい。インク収容体1のインク収容量が前記範囲内にあると、より多くのインク組成物をインク収容体1に収容可能となる。なお、本明細書において「インク収容量」とは、インク収容体1に収容可能なインク組成物の最大体積をいう。
インク収容体の具体例としては、インクジェット記録装置におけるカートリッジ、袋、及びタンク等が挙げられる。
3.インクジェット記録方法
昇華転写を利用した染色方法であるインクジェット記録方法は、インク組成物を第1記録媒体の記録面に付着させる工程と、第1記録媒体の記録面に第2記録媒体を配置する工程と、第1記録媒体及び前記第2記録媒体を加熱する工程とを有する。換言すると、昇華転写インクジェット記録方法は、インクジェット法を用いて、インク組成物を中間転写媒体に付与するインク付与工程と、当該インク組成物が付与された中間転写媒体を、そのインク組成物が付与された面と被染色物の染色面とを対向させた状態で加熱し、分散染料を被染色物に転写させる転写工程とを有する。これにより、生産性良く染色物を製造することができ、当該昇華転写インクジェット記録方法は、染色物の製造方法ともいえる。以下、各工程について説明する。
3.1.インク付与工程
本工程では、インクジェット法を用いて、インク組成物を第1記録媒体である中間転写媒体の記録面に付与する。インクジェット法によるインク組成物の吐出は、液滴吐出装置を用いて行うことができる。そのような液滴吐出装置としては、例えば、上述のインクジェット記録装置が挙げられる。
インクジェット法における液滴吐出方式としては、ピエゾ方式や、インク組成物を加熱して発生した泡(バブル)によりインク組成物を吐出させる方式等を用いることができる。これらの中で、インク組成物の変質のし難さ等の観点から、ピエゾ方式が好ましい。
中間転写媒体としては、例えば、普通紙等の紙、及びインク受容層が設けられた記録媒体等を用いることができる。上記のインク受容層が設けられた記録媒体は、例えば、インクジェット用専用紙、及びコート紙等で呼称される。これらの中では、シリカ等の無機粒子を含有するインク受容層が設けられた紙がより好ましい。これにより、中間転写媒体に付与されたインク組成物が乾燥する過程で、記録面に滲み等が抑制された中間記録物を得ることができる。また、このような媒体であれば、さらに記録面の表面に分散染料を留めやすく、後の転写工程において、分散染料の昇華をより効率的に行うことができる。
本工程では、複数種のインク組成物を用いてもよい。これにより、例えば、表現することのできる色域をより広いものとすることができる。その複数種のインク組成物のうち1種が本実施形態のインク組成物であってもよく、2種以上が本実施形態のインク組成物であってもよい。
3.2.転写工程
その後、インク組成物が付与された中間転写媒体の記録面を、被染色物と対向させた状態、言い換えれば第1記録媒体の記録面に第2記録媒体を配置した状態、で加熱し、インク組成物を構成する分散染料を被染色物に転写させる。これにより、分散染料が転写された染色物が得られる。
本工程では、インク組成物が付与された中間転写媒体を、被染色物と対向させた状態で加熱すればよい。本工程では、中間転写媒体と被染色物とを密着させた状態で加熱することがより好ましい。これにより、例えば、より鮮明な画像を第2記録媒体に記録する、すなわち染色することができる。
被染色物としては、例えば、疎水性繊維布帛のような布帛、並びに、樹脂フィルム、及びプラスチックフィルムのようなシート状のものが好適に用いられるが、シート状以外の球状、及び直方体形状等の立体的な形状を有するものを用いてもよい。
また、被染色物としては、例えば、樹脂、及びプラスチックで構成されたもののほか、疎水性樹脂がコーティングされたガラス、金属、及び陶磁器を用いてもよい。被染色物としての布帛を構成する繊維としては、例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、トリアセテート繊維、ジアセテート繊維、ポリアミド繊維、及びこれらの繊維を2種以上用いた混紡品が挙げられる。また、これらとレーヨン等の再生繊維あるいは木綿、絹、及び羊毛等の天然繊維との混紡品を用いてもよい。
また、被染色物としての樹脂フィルム、及びプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリウレタンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリイミドフィルム、及びポリアミドイミドフィルムが挙げられる。このようなフィルムは、複数の層が積層された積層体であってもよいし、材料の組成が傾斜的に変化する傾斜材料で構成されたものであってもよい。
布帛を含む被記録媒体としては、布帛そのものであってもよいが、布帛が樹脂粒子を含む前処理液で前処理されたものであることが好ましい。布帛が前処理されていることにより、より摩擦堅牢性に優れた記録物が得られる傾向にある。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
1.インクジェットインク組成物の調製
1.1.染料分散液1~25の調製
表1及び2に記載の組成となるように、混合物調製用タンクに各成分を入れ、0.3mmジルコニアビーズを用いてペイントシェーカーにて分散させ、染料分散液1~25をそれぞれ得た。なお、表1及び2における各成分の数値は、質量%を表す。
また、表1及び2に示す各成分は、以下のとおりである。
〔昇華性染料〕
・ディスパースオレンジ25…C.I.ディスパースオレンジ25(市販品)
・ディスパースオレンジ80…C.I.ディスパースオレンジ80(市販品)
・ディスパースブラウン27…C.I.ディスパースブラウン27(市販品)
・ソルベントオレンジ60…C.I.ソルベントオレンジ60(市販品)
・ソルベントバイオレット13…C.I.ソルベントバイオレット13(市販品)
・ディスパースバイオレット28…C.I.ディスパースバイオレット28(市販品)
・ディスパースイエロー54…C.I.ディスパースイエロー54(市販品)
〔アニオン系分散剤〕
・ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物Na…ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム
・n-ブチルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物Na…ブチルナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム、上記式(2)で表される化合物
・リグニンスルホン酸Na
〔フェニルアゾ化合物〕
・ディスパースオレンジ30…C.I.ディスパースオレンジ30(市販品)
・ディスパースオレンジ31…C.I.ディスパースオレンジ31(市販品)
・ディスパースオレンジ73…C.I.ディスパースオレンジ73(市販品)
1.2.インク1~25の調製
(実施例1~20、比較例1~4、及び参考例1)
表3及び4に記載の組成となるように、混合物調製用タンクに各成分を入れ、スターラーで2時間混合攪拌した。その後、孔径1μmのメンブランフィルターでろ過することにより、インク組成物としてインク1~25をそれぞれ得た。なお、表3及び4における各成分の数値は、質量%を表す。
また、表3及び4に示す各成分は、以下のとおりである。
〔分散染料〕
上記で得られた染料分散液1~25のそれぞれを用いた。なお、表3及び4において、「配合した染料分散液」における番号は、上記で得られた染料分散液1~25のそれぞれに相当する。また、「配合量」は、インク組成物に配合した染料分散液の配合量を示す。
〔水溶性有機溶剤〕
・グリセリン
・プロピレングリコール
〔シリコーン系界面活性剤〕
・BYK-348…BYK(登録商標)-348(商品名、ビックケミー・ジャパン(株)製)
〔アニオン系界面活性剤〕
・エマール327…エマール(登録商標)327(商品名、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、アルキル基の炭素数:12、エチレンオキシドの重合数:3、有効成分27%、花王(株))
・エマール170J…エマール(登録商標)170J(商品名、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、アルキル基の炭素数:12、エチレンオキシドの重合数:1、有効成分70%、花王(株)製)
・ラテムルWX…ラテムル(登録商標)WX(商品名、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸ナトリウム、アルキル基の炭素数:18~38、エチレンオキシドの重合数:1~23、有効成分26%、花王(株)製)
・NIKKOL DDP-10…NIKKOL(登録商標)DDP-10(商品名、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸ナトリウム、アルキル基の炭素数:12~15、エチレンオキシドの重合数:10、有効成分100%、日光ケミカルズ(株)製)
・SM-210…SM-210(商品名、ポリオキシエチレントリスチレン化フェニルエーテル硫酸塩、エチレンオキシドの重合数:15~16、有効成分100%、東邦化学工業(株)製)
・NIKKOL SCS…NIKKOL(登録商標)SCS(商品名、セチル硫酸ナトリウム、アルキル基の炭素数:16、エチレンオキシドの重合数:0、有効成分100%、日光ケミカルズ(株)製)
〔ノニオン系界面活性剤〕
・B65-250…ユニオン(登録商標)B65-250(商品名、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキル基の炭素数:22、エチレンオキシドの重合数:25、有効成分100%、新日本理化(株)製)
2.評価方法
2.1.異物の発生状況
内壁素材がポリエチレンのインクパック(インク収容量:200mL)に、上記で得られたインク1~25のそれぞれを80g封入し、その後、インクパックの内壁が密着した状態で60℃環境下にて5日間放置した。インクパックの内壁密着面積は、50cm2とした。
放置後、インク1~25のそれぞれを口径10μmの金属メッシュフィルターでろ過し、当該金属メッシュフィルター上に残留した固形物の1mm四方当たりの個数を数え、次の評価基準に従って、異物の発生状況を評価した。なお、異物の発生量が多いほど、分散安定性が低いといえる。それらの結果を表5及び6に示す。
(評価基準)
A:1mm四方当たりの固形物個数が5個未満であった。
B:1mm四方当たりの固形物個数が5個以上30個未満であった。
C:1mm四方当たりの固形物個数が30個以上であった。
2.2.起泡性
ラボランスクリュー管瓶(アズワン(株)製)110mLに、上記で得られたインク1~25のそれぞれを30g入れて、インクの液面の上層に気泡層がない状態になるまで静置した。この管瓶を10秒間で30回振とうさせて、その後、水平面に載置した。載置直後の液面の上層にある気泡の高さを測定し、次の評価基準に従って、起泡性を評価した。それらの評価結果を表5及び表6に示す。
(評価基準)
A:20mm未満
B:20mm以上30mm未満
C:30mm以上
表5及び6に示すように、本実施形態のインク組成物によれば、異物の発生が効果的に防止されるインク組成物を得ることができることがわかった。
実施例1と実施例2~4との対比、実施例14と実施例15との対比、及び実施例16と実施例17との対比から、フェニルアゾ化合物をインク組成物に含むことで、インク組成物は、染料の分散安定性の向上効果がより大きくなり、インク収容体内での異物の発生がより効果的に防止されることがわかった。
実施例4と実施例7及び比較例2との対比から、アニオン系界面活性剤の含有量が、インク組成物の総量に対して、0.05質量%以上2.0質量%以下であることで、異物の発生が効果的に防止されるインク組成物を得ることができることがわかった。また、インク組成物は、より優れた低起泡性を有する傾向にあることがわかった
1…インク収容体、11…容器、12…接続部材、13…接合部。

Claims (8)

  1. 昇華性染料と、アニオン系分散剤と、アニオン系界面活性剤と、を含み、
    前記昇華性染料が、C.I.ディスパースオレンジ25、C.I.ディスパースオレンジ80、C.I.ディスパースブラウン27、C.I.ソルベントオレンジ60、C.I.ソルベントバイオレット13、及びC.I.ディスパースバイオレット28からなる群より選ばれる1種以上を含み、
    前記アニオン系界面活性剤が、ポリオキシエチレンアリールエーテル硫酸塩、及びポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩からなる群より選ばれる1種以上を含む、インクジェットインク組成物。
  2. 記ポリオキシエチレンアリールエーテル硫酸塩、及び前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩の含有量が、前記インク組成物の総量に対して、合計で0.05質量%以上2.0質量%以下である、請求項1に記載のインクジェットインク組成物。
  3. 前記アニオン系界面活性剤が、下記式(1)で表される化合物を含む、請求項1又は2に記載のインクジェットインク組成物。
    1O(CH2CH2O)mSO3 -+・・・(1)
    (式(1)中、R1は、炭素数10以上50以下のアルキル基、炭素数10以上50以下のアルケニル基、又は炭素数10以上50以下のアリール基を示し、M+は、アルカリ金属イオンを示し、mは、1以上30以下の整数を示す。)。
  4. 前記アニオン系分散剤が、下記式(2)で表される化合物、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、及びリグニンスルホン酸のナトリウム塩からなる群より選ばれる1種以上を含み、請求項1~3のいずれか一項に記載のインクジェットインク組成物。
    (式(2)中、R2は、炭素数1以上4以下の1価の炭化水素基を示し、nは、1以上の整数を示す。)。
  5. 前記昇華性染料が、前記C.I.ディスパースオレンジ25、前記C.I.ディスパースオレンジ80、及び前記C.I.ディスパースブラウン27からなる群より選ばれる1種以上を含む場合、前記C.I.ディスパースオレンジ25、前記C.I.ディスパースオレンジ80、及び前記C.I.ディスパースブラウン27のいずれとも異なるフェニルアゾ化合物を更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のインクジェットインク組成物。
  6. 前記フェニルアゾ化合物が、C.I.ディスパースオレンジ30、C.I.ディスパースオレンジ31、及びC.I.ディスパースオレンジ73からなる群より選ばれる1種以上を含む、請求項5に記載のインクジェットインク組成物。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載のインクジェットインク組成物が収容された、インク収容体。
  8. 前記インク組成物を収容する容器と、接続部材と、を備え、
    前記容器が、ポリオレフィンを含むフィルムで形成される、請求項7に記載のインク収容体。
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