JP2019163427A - インクジェットインク組成物 - Google Patents

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Hiroshi Fukumoto
福本  浩
尚義 加賀田
Hisayoshi Kagata
尚義 加賀田
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Takeshi Yano
健 矢野
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Abstract

【課題】インクの保存安定性及び耐目詰まり性をバランスよく向上可能なインクジェットインク組成物を提供することを目的とする。【解決手段】分散染料と、アルギニン又はその誘導体と、水とを含むインクジェットインク組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェットインク組成物に関する。
インクジェット記録方法は、比較的単純な装置で、高精細な画像の記録が可能であり、各方面で急速な発展を遂げている。その中でも、分散染料を用いたインクジェット記録方法について種々の検討がなされている。
例えば、特許文献1には、分散染料と、特定の構造を有するナフタレン系分散剤とを含有するインクジェット用分散染料インクは、インクの保存安定性及び目詰まり特性を改善できることが開示されている。
一方、特許文献2には、顔料と、水溶性溶媒及び/又は水と、所定の重量平均分子量を有するウレタン樹脂と、1,2−アルカンジオールとを含有し、1,2−アルカンジオールの含有量が所定範囲内である水性顔料組成物が開示されている。この文献によれば、所定の重量平均分子量を有するウレタン樹脂と、1,2−アルカンジオールとを所定の割合で組み合わせることにより、水性顔料組成物は、乾燥固化後のインクの再溶解性に優れることが開示されている。
特開平9−71742号公報 特開2015−120863号公報
しかしながら、特許文献1のインクジェット用分散染料インクは、ナフタレン系分散剤を含有することに起因して、臭気の抑制が十分でない。また、ナフタレン系分散剤を用いて分散染料を分散させても、分散安定性が十分でない。
特許文献2の水性顔料組成物は、顔料インクに関するものであり、特許文献2に分散染料を用いることは想定されていない。また、分散染料と1,2−アルカンジオールとを組み合わせると、インクの保存安定性及びインクの目詰まり特性が劣る虞がある。
そこで本発明は、保存安定性及び耐目詰まり性をバランスよく向上可能なインクジェットインク組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、所定の組成を有するインク組成物を用いることにより上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)
分散染料と、アルギニン又はその誘導体と、水とを含むインクジェットインク組成物。
(2)
樹脂を更に含む(1)のインクジェットインク組成物。
(3)
前記樹脂の含有量が、前記分散染料の含有量100質量部に対して、20〜150質量部である、(1)又は(2)のインクジェットインク組成物。
(4)
前記樹脂が、ウレタン系樹脂及びスチレンアクリル系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種以上を含む、(1)〜(3)のいずれかのインクジェットインク組成物。
(5)
前記アルギニン又はその誘導体が、アルギニン、アルギニンメチルエステル、アルギニンエチルエステル、及びアルギニンアミドから選択される少なくとも1種以上である、(1)〜(4)のいずれかのインクジェットインク組成物。
(6)
前記分散染料が、C.I.ディスパースブルー359、C.I.ディスパースブルー60、C.I.ディスパースブルー360、C.I.ディスパースオレンジ25、C.I.ソルベントオレンジ60、C.I.ディスパースバイオレット28、C.I.ディスパースイエロー54、C.I.ディスパースイエロー82、C.I.ディスパースレッド60、及びC.I.ディスパースレッド364から選択される1種以上を含む、(1)〜(5)のいずれかのインクジェットインク組成物。
(7)
前記アルギニン又はその誘導体の含有量が、前記インクジェットインク組成物全体に対して、0.3〜6.0質量%である、(1)〜(6)のいずれかのインクジェットインク組成物。
(8)
アルカンジオールの含有量が、前記インクジェットインク組成物全体に対して、0.5質量%以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
[インクジェットインク組成物]
本実施形態のインクジェットインク組成物は、分散染料と、アルギニン又はその誘導体と、水とを含む。本実施形態のインクジェットインク組成物は、上記の構成を備えることにより、その保存安定性及び耐目詰まり性をバランスよく向上できる。また、本実施形態のインクジェットインク組成物は、保存安定性及び耐目詰まり性をバランスよく一層向上させる観点から、樹脂を更に含むことが好ましい。この要因は、以下のように考えられるが要因は以下の内容に限定されない。本実施形態のインクジェットインク組成物は樹脂を含有する場合、樹脂は、分散染料との親和性に優れるため、インクの分散安定性を向上することができる。しかしながら、従来、インク組成物中の水が蒸発し乾燥した場合、インク組成物中の樹脂は凝集しやすくなる。その結果、樹脂と分散染料とを含むインク組成物は、分散安定性に劣ってしまう。これに対し、本実施形態のインクジェットインク組成物に含まれるアルギニン又はその誘導体は、乾燥時における樹脂の凝集を解す働きを有する。そのため、本実施形態のインクジェット組成物は、樹脂の分散安定性を維持できる。その結果、本実施形態のインクジェットインク組成物は、耐目詰まり性を向上できる。同様に、本実施形態のインクジェットインクジェット組成物は、インク固着時の再溶解性を向上できる。以上より、本実施形態のインクジェットインク組成物は、その保存安定性及び耐目詰まり性をバランスよく向上できる。なお、インク組成物の保存安定性及び耐目詰まり性を向上させるために、インク組成物にナフタレン系分散剤を含有させることも考えられる。しかしながら、ナフタレン系分散剤を含むインク組成物は、臭気の抑制が十分ではない。これに対して、本実施形態のインクジェットインク組成物は、アルギニン又はその誘導体を含有することにより、臭気を発生するナフタレン系分散剤を用いなくてもインクの保存安定性及び耐目詰まり性を向上できる。なお、本実施形態のインクジェットインク組成物は、保存安定性及び耐目詰まり性をバランスよく向上させるために必ずしも樹脂を含有する必要はない。
[分散染料]
本実施形態のインクジェットインク組成物は、分散染料を含有する。分散染料は、昇華性染料であることが好ましい。ここでいう「昇華性染料」とは、加熱により昇華する性質を有する染料をいう。
分散染料としては、特に限定されないが、例えば、イエロー分散染料、オレンジ分散染料、レッド分散染料、バイオレット分散染料、グリーン分散染料、ブラウン分散染料、ブルー分散染料及びブラック分散染料が挙げられる。
イエロー分散染料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ディスパースイエロー3、4、5、7、9、13、23、24、30、33、34、42、44、49、50、51、54、56、58、60、63、64、66、68、71、74、76、79、82、83、85、86、88、90、91、93、98、99、100、104、108、114、116、118、119、122、124、126、135、140、141、149、160、162、163、164、165、179、180、182、183、184、186、192、198、199、202、204、210、211、215、216、218、224、227、及び231が挙げられる。
オレンジ分散染料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ディスパースオレンジ1、3、5、7、11、13、17、20、21、25、29、30、31、32、33、37、38、42、43、44、45、46、47、48、49、50、53、54、55、56、57、58、59、61、66、71、73、76、78、80、89、90、91、93、96、97、119、127、130、139、及び142が挙げられる。
レッド分散染料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ディスパースレッド1、4、5、7、11、12、13、15、17、27、43、44、50、52、53、54、55、56、58、59、60、65、72、73、74、75、76、78、81、82、86、88、90、91、92、93、96、103、105、106、107、108、110、111、113、117、118、121、122、126、127、128、131、132、134、135、137、143、145、146、151、152、153、154、157、159、164、167、169、177、179、181、183、184、185、188、189、190、191、192、200、201、202、203、205、206、207、210、221、224、225、227、229、239、240、257、258、266、277、278、279、281、288、298、302、303、310、311、312、320、324、及び328が挙げられる。
バイオレット分散染料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ディスパースバイオレット1、4、8、23、26、27、28、31、33、35、36、38、40、43、46、48、50、51、52、56、57、59、61、63、69、及び77が挙げられる。
グリーン分散染料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ディスパースグリーン9が挙げられる。
ブラウン分散染料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ディスパースブラウン1、2、4、9、13、19が挙げられる。
ブルー分散染料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ディスパースブルー3、7、9、14、16、19、20、26、27、35、43、44、54、55、56、58、60、62、64、71、72、73、75、79、81、82、83、87、91、93、94、95、96、102、106、108、112、113、115、118、120、122、125、128、130、134、139、141、142、143、146、148、149、153、154、158、165、167、171、173、174、176、181、183、185、186、187、189、197、198、200、201、205、207、211、214、224、225、257、259、266、267、268、270、284、285、287、288、291、293、295、297、301、315、330、333、359、及び360が挙げられる。
ブラック分散染料としては、特に限定されないが、例えば、C.I.ディスパースブラック1、3、10、及び24が挙げられる。
分散染料は、本発明の作用効果をより有効かつ確実に奏する観点から、C.I.ディスパースブルー359、C.I.ディスパースブルー60、C.I.ディスパースブルー360、C.I.ディスパースオレンジ25、C.I.ソルベントオレンジ60、C.I.ディスパースバイオレット28、C.I.ディスパースイエロー54、C.I.ディスパースイエロー82、C.I.ディスパースレッド60、及びC.I.ディスパースレッド364から選択される1種以上を含むことが好ましい。
分散染料の含有量は、本発明の作用効果をより有効かつ確実に奏する観点から、インクジェットインク組成物全体に対して、1.0〜10質量%であることが好ましく、2.5〜7.0質量%であることがより好ましい。
[樹脂]
本実施形態のインクジェットインク組成物は、樹脂を含有することが好ましい。本実施形態のインクジェットインク組成物は、樹脂を含有することにより、インクの分散安定性を一層向上できるとともに、保存安定性及び耐目詰まり性をバランスよく一層向上できる。樹脂としては、特に限定されず、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、スチレンアクリル系樹脂、フルオレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ロジン変性樹脂、テルペン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、及びエチレン酢酸ビニル系樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの中でも、樹脂は、インク組成物の保存安定性及び耐目詰まり性をバランスよく一層向上させる観点から、ウレタン系樹脂及びスチレンアクリル系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種以上を含むことが好ましい。
ウレタン系樹脂としては、分子内にウレタン結合を有する樹脂であれば特に限定されない。ウレタン系樹脂は、インクジェットインク組成物の保存安定性の観点から、アニオン性官能基を有すると好ましく、カルボキシ基、スルホ基及びヒドロキシ基からなる群より選ばれる1種以上のアニオン性官能基を有するとより好ましい。
ウレタン系樹脂としては、ウレタン結合以外に、主鎖にエーテル結合を含むポリエーテル型ウレタン樹脂、主鎖にエステル結合を含むポリエステル型ウレタン樹脂、及び主鎖にカーボネート結合を含むポリカーボネート型ウレタン樹脂が挙げられる。これらのウレタン系樹脂は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。
ウレタン系樹脂は、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、三井化学株式会社製品の「タケラック W6110」、大成ファインケミカル株式会社製品の「アクリット WBR−022U」、三洋化成株式会社製品の「パーマリン UX−368T」、三洋化成株式会社製品の「ユープレン UXA−307」、三洋化成株式会社製品の「ユーコート UWS−145」、ルーブリゾール社製品の「ソルスバース46000」(いずれも商品名)が挙げられる。
スチレンアクリル系樹脂としては、特に限定されず、例えば、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α―メチルスチレン−アクリル酸共重合体、及びスチレン−α―メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体が挙げられる。これらの共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれの形態を有してもよい。また、スチレンアクリル系樹脂は、市販品を用いてもよく、市販品としては、例えば、BASFジャパン株式会社製品の「ジョンクリル67」(商品名)が挙げられる。
本実施形態のインクジェットインク組成物における樹脂の含有量は、インクの保存安定性を一層向上させる観点から、分散染料の含有量100質量部に対して、20〜150質量部であることが好ましい。同様の観点から、樹脂の含有量は、21質量部以上であることがより好ましく、22質量部以上であることが更に好ましい。また、同様の観点から、樹脂の含有量は、120質量部以下であることがより好ましく、100質量部以下であることが更に好ましい。
[アルギニン又はその誘導体]
本実施形態のインクジェットインク組成物は、アルギニン又はその誘導体を含む。本実施形態のインクジェットインク組成物は、アルギニン又はその誘導体を含むことにより、臭気の発生を抑制し、耐目詰まり性及びインク固着時の再溶解性を向上できる。
アルギニン誘導体としては、例えば、アルギニンのエステル誘導体及びアルギニンのアミド誘導体が挙げられる。アルギニンのエステル誘導体としては、例えば、アルギニンメチルエステル及びアルギニンエチルエステルのようなアルギニンアルキルエステルが挙げられる。アルギニンのアミド誘導体としては、例えば、アルギニンアミドが挙げられる。アルギニン又はその誘導体は、L体、D体及びLD体のいずれであってもよく、塩の形態や溶媒和物の形態を有していてもよい。アルギニン又はその誘導体は、これらの中でも、耐目詰まり性及びインク固着時の再溶解性を一層向上できる観点から、アルギニン、アルギニンメチルエステル、アルギニンエチルエステル、及びアルギニンアミドから選択される少なくとも1種以上であることが好ましく、アルギニンであることが好ましい。
アルギニン又はその誘導体の含有量は、インクジェットインク組成物全体に対して、0.3〜6.0質量%であることが好ましい。その含有量が0.3質量%以上であることにより、インクジェットインク組成物は、耐目詰まり性及びインク固着時の再溶解性を一層向上できる傾向にある。また、その含有量が5.0質量%以下であることにより、インクジェットインク組成物は、インクの保存安定性を一層向上できる傾向にある。同様の観点から、その含有量は、0.4質量%以上であることがより好ましく、また、その含有量は、5.0質量%以下であることがより好ましい。
[水]
本実施形態のインクジェットインク組成物は、水を含有する。水としては、特に限定されず、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水及び超純水が挙げられる。
水の含有量は、インクジェットインク組成物全体に対して、30〜80質量%程度であってもよい。
[水溶性有機溶剤]
本実施形態のインクジェットインク組成物は、水溶性有機溶剤を含有してもよい。インクジェットインク組成物は、水溶性有機溶剤を含有することにより、吐出安定性に一層優れる傾向にある。水溶性有機溶剤としては、例えば、分子内の炭素数が2以上6以下であり、かつ、分子内にエーテル結合を1つ含有してもよいポリオール化合物が挙げられる。上記ポリオール化合物の具体例としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、メチルトリグリコール、ブチルトリグリコール(トリエチレングリコールモノブチルエーテル)、ブチルジグリコール(ジエチレングリコールモノブチルエーテル)、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、グリセリン、及びアルカンジオールが挙げられる。アルカンジオールとしては、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール及び3−メチル−1,5−ペンタンジオールが挙げられる。これらの水溶性有機溶剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。
アルカンジオールの含有量は、保存安定性を一層向上させる観点から、インクジェットインク組成物全体に対して、0.5質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましい。同様の観点から、インクジェットインク組成物は、アルカンジオールを含有しないことが更に好ましい。
[界面活性剤]
本実施形態の界面活性剤としては、特に限定されず、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、及びシリコーン系界面活性剤が挙げられる。これらの中でも、界面活性剤は、本発明の作用効果をより有効かつ確実に奏する観点から、アセチレングリコ−ル系界面活性剤が好ましい。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール及び2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのアルキレンオキサイド付加物、並びに2,4−ジメチル−5−デシン−4−オール及び2,4−ジメチル−5−デシン−4−オールのアルキレンオキサイド付加物からなる群より選択される1種以上が好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤の市販品としては、特に限定されないが、例えば、オルフィン104シリーズやオルフィンE1010等のEシリーズ(エアプロダクツ株式会社製品)、サーフィノール465、サーフィノール61(日信化学工業株式会社製品)等が挙げられる。アセチレングリコール系界面活性剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。
フッ素系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルベタイン、パーフルオロアルキルアミンオキサイド化合物が挙げられる。フッ素系界面活性剤の市販品としては、特に限定されないが、例えば、S−144、S−145(旭硝子株式会社製品);FC−170C、FC−430、フロラード−FC4430(住友スリーエム株式会社製品);FSO、FSO−100、FSN、FSN−100、FS−300(Dupont社製);FT−250、251(株式会社ネオス製品)などが挙げられる。フッ素系界面活性剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。
シリコーン系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリシロキサン系化合物、ポリエーテル変性オルガノシロキサン等が挙げられる。シリコーン系界面活性剤の市販品としては、特に限定されないが、例えば、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−347、BYK−348、BYK−349(ビックケミー・ジャパン株式会社製品)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(信越化学株式会社製品)等が挙げられる。シリコーン系界面活性剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。
界面活性剤の含有量は、インクジェットインク組成物全体に対して0.1〜5質量%程度であってもよい。
[用途]
本実施形態のインクジェットインク組成物は、昇華転写を利用した布帛等に対する染色方法に好適に適用できる。ここでいう昇華転写を利用した染色方法としては、例えば、紙等のシート状の転写媒体に本実施形態のインクジェットインク組成物を用いてインクジェット方式による印刷を行った後、布帛等の被記録媒体に上記転写媒体を重ねて加熱により昇華転写する方法が挙げられる。
[インクジェット記録方法]
昇華転写を利用した染色方法である本実施形態のインクジェット記録方法は、本実施形態のインクジェットインク組成物を第1記録媒体の記録面に付着させる工程と、第1記録媒体の記録面に第2記録媒体を配置する工程と、第1記録媒体及び前記第2記録媒体を加熱する工程とを有する。換言すると、昇華転写インクジェット記録方法(染色物の製造方法)は、インクジェット法を用いて、本実施形態のインクジェットインク組成物を中間転写媒体に付与するインク付与工程と、当該インク組成物が付与された中間転写媒体を、そのインク組成物が付与された面と被染色物の染色面とを対向させた状態で加熱し、分散染料を被染色物に転写させる転写工程とを有する。これにより、生産性良く染色物を製造することができるインク組成物を用いた染色物の製造方法を提供することができる。以下、各工程について説明する。
(インク付与工程)
本工程では、インクジェット法を用いて、本実施形態のインクジェットインク組成物を中間転写媒体(第1記録媒体)の記録面に付与する。インクジェット法によるインク組成物の吐出は、液滴吐出装置(例えば後述のインクジェット記録装置)を用いて行うことができる。
液滴吐出方式(インクジェット法の方式)としては、ピエゾ方式や、インク組成物を加熱して発生した泡(バブル)によりインク組成物を吐出させる方式等を用いることができる。これらの中で、インク組成物の変質のし難さ等の観点から、ピエゾ方式が好ましい。
中間転写媒体としては、例えば、普通紙等の紙、インク受容層が設けられた記録媒体(インクジェット用専用紙、コート紙等で呼称される)等を用いることができる。これらの中では、シリカ等の無機粒子を含有するインク受容層が設けられた紙がより好ましい。これにより、中間転写媒体に付与されたインク組成物が乾燥する過程で、記録面に滲み等が抑制された中間記録物を得ることができる。また、このような媒体であれば、さらに記録面の表面に分散染料を留めやすく、後の転写工程において、分散染料の昇華をより効率的に行うことができる。
本工程では、複数種のインク組成物を用いてもよい。これにより、例えば表現することのできる色域をより広いものとすることができる。その複数種のインク組成物のうち1種が本実施形態のインクジェットインク組成物であってもよく、2種以上が本実施形態のインクジェットインク組成物であってもよい。本発明の作用効果をより有効かつ確実に奏する観点から、上記複数種のインク組成物の全てが本実施形態のインクジェットインク組成物であると好ましい。
(転写工程)
その後、インク組成物が付与された中間転写媒体の記録面を、被染色物と対向させた状態(第1記録媒体の記録面に第2記録媒体を配置した状態)で加熱し、インク組成物を構成する分散染料を被染色物に転写させる。これにより、布帛等の被染色物とした染色物が得られる。
本工程は、インク組成物が付与された中間転写媒体を、被染色物と対向させた状態で加熱することにより行えばよい。本工程は、中間転写媒体と被染色物とを密着させた状態で加熱することにより行うことがより好ましい。これにより、例えば、より鮮明な画像を第2記録媒体に記録する(染色する)ことができる。
被染色物としては、例えば、布帛(疎水性繊維布帛等)、樹脂(プラスチック)フィルム等のシート状の物が好適に用いられるが、シート状以外の球状、直方体形状等の立体的な形状を有する物を用いてもよい。
また、被染色物としては、例えば、樹脂、プラスチックで構成されたもののほか、ガラス、金属、陶磁器を用いてもよい。被染色物としての布帛を構成する繊維としては、例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、トリアセテート繊維、ジアセテート繊維、ポリアミド繊維及びこれらの繊維を2種以上用いた混紡品が挙げられる。また、これらとレーヨン等の再生繊維あるいは木綿、絹、羊毛等の天然繊維との混紡品を用いてもよい。
また、被染色物としての樹脂(プラスチック)フィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリウレタンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリイミドフィルム、及びポリアミドイミドフィルムが挙げられる。樹脂(プラスチック)フィルムは、複数の層が積層された積層体であってもよいし、材料の組成が傾斜的に変化する傾斜材料で構成されたものであってもよい。
このような昇華転写インクジェット記録方法によれば、本実施形態に係るインクジェットインク組成物を用いるため、当該インク組成物の保存安定性及び記録時の耐目詰まり性をバランスよく向上できる。また、ナフタレン系分散剤を用いない場合は、当該インク組成物の保存安定性及び記録時の耐目詰まり性をバランスよく向上できると共に、インク組成物及び染色物からの臭気の発生も抑制できる。
布帛を含む被記録媒体としては、布帛そのものであってもよいが、布帛が樹脂粒子を含む前処理液で前処理されたものであることが好ましい。布帛が前処理されていることにより、より摩擦堅牢性に優れた記録物が得られる傾向にある。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
[インクジェットインク組成物の調製]
各材料を下記表1及び表2に示す組成で混合し、十分に撹拌し、インクジェットインク組成物を得た。なお、下記の表1及び表2中、数値の単位は質量%であり、合計は100.0質量%であり、分散染料及び樹脂の各含有量は、固形分換算値である。
[耐目詰まり性]
各実施例及び比較例のインクジェットインク組成物をインクジェットプリンター(セイコーエプソン株式会社製品の「PX−G930」)のヘッド全列に充填し、全列正常に吐出することを確認した。その後、プリントヘッドを待機位置からずらして印字領域にて停止させた状態で、40℃20%RH環境下に3日間放置した。放置後、プリントヘッドを待機位置に戻して、クリーニング動作を行い、吐出が回復するまでにかかったクリーニング回数を数えた。評価基準は、以下の通りである。その結果を表1及び表2に併せて示す。
(評価基準)
A:クリーニング5回以下で全ノズルが回復した。
B:クリーニング6回以上10回以下で全ノズルが回復した。
C:クリーニング11回以上でも回復しなかった。
[保存安定性]
各実施例及び比較例のインクジェットインク組成物をアルミニウム製パック中に封入し、60℃の環境下で5時間放置した。その後、インクジェットインク組成物中に含まれる分散質の粒径を測定し、加熱処理前からの分散質の粒径の変動量について、以下の基準に従い評価した。なお、分散質の粒径の測定は、マイクロトラックUPA(日機装株式会社製商品名)を用いて行った。
(評価基準)
A:加熱前後における分散質の平均粒径の変化量(変化率)が10%未満である。
B:加熱前後における分散質の平均粒径の変化量(変化率)が10%以上30%未満である。
C:加熱前後における分散質の平均粒径の変化量(変化率)が30%以上である。
[耐臭気性]
各実施例及び比較例のインクジェットインク組成物をインクジェットプリンター(セイコーエプソン株式会社製品の「PX−G930」)のヘッド全列に充填し、全列正常に吐出することを確認した後、1時間、閉め切った高さ3m×幅5m×5mの部屋で印刷した。その後、被検者が部屋に入室し、以下の判定を行った。5名実施し、多い方の判定を採用した。
(評価基準)
A:やっと感知できる臭い
B:何の臭いか楽に感知できる臭い
実施例1、7、12〜14と比較例1との結果から明らかなように、インクジェットインク組成物が、アルギニン又はその誘導体を含むことにより、耐目詰まり性を向上できることが分かった。
実施例1、12〜14と比較例2〜5との結果から明らかなように、アルギニン又はその誘導体に代えて、その他のアミン酸(L−アラニン、Lセリン、L−ヒスチジン、L−プロリン)を用いても耐目詰まり性を向上できないことが分かった。

Claims (8)

  1. 分散染料と、アルギニン又はその誘導体と、水とを含むインクジェットインク組成物。
  2. 樹脂を更に含む請求項1記載のインクジェットインク組成物。
  3. 前記樹脂の含有量が、前記分散染料の含有量100質量部に対して、20〜150質量部である、請求項1又は2に記載のインクジェットインク組成物。
  4. 前記樹脂が、ウレタン系樹脂及びスチレンアクリル系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種以上を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。
  5. 前記アルギニン又はその誘導体が、アルギニン、アルギニンメチルエステル、アルギニンエチルエステル、及びアルギニンアミドから選択される少なくとも1種以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。
  6. 前記分散染料が、C.I.ディスパースブルー359、C.I.ディスパースブルー60、C.I.ディスパースブルー360、C.I.ディスパースオレンジ25、C.I.ソルベントオレンジ60、C.I.ディスパースバイオレット28、C.I.ディスパースイエロー54、C.I.ディスパースイエロー82、C.I.ディスパースレッド60、及びC.I.ディスパースレッド364から選択される1種以上を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。
  7. 前記アルギニン又はその誘導体の含有量が、前記インクジェットインク組成物全体に対して、0.3〜6.0質量%である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。
  8. アルカンジオールの含有量が、前記インクジェットインク組成物全体に対して、0.5質量%以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。
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JP2021040762A (ja) * 2019-09-06 2021-03-18 株式会社ユニバーサルエンターテインメント 遊技機
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WO2021241600A1 (ja) * 2020-05-27 2021-12-02 日本化薬株式会社 分散剤、着色分散液、インクジェット捺染用インク、インクセット、捺染した疎水性繊維、および疎水性繊維の捺染方法

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