JP6191812B2 - 液体収容体および液体収容体セット - Google Patents

液体収容体および液体収容体セット Download PDF

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Description

本発明は、液体収容体および液体収容体セットに関する。
従来、印刷物上に金属光沢を有する塗膜を形成する手法として、真鍮、アルミニウム微粒子等から作製された金属粉を顔料に用いた印刷インキや金属箔を用いた箔押し印刷、金属箔を用いた熱転写方式等が用いられてきた。
近年、印刷におけるインクジェット記録方式への応用例が数多く見受けられ、その中の一つの応用例としてメタリック印刷があり、金属光沢を有する画像を形成することができるインクの開発が進められている。例えば、特許文献1には、アルキレングリコール等の有機溶剤をベースとしたアルミニウム顔料分散液およびそれを含有する非水系インク組成物が開示されている。
その一方で、地球環境面及び人体への安全面等の観点から、有機溶剤をベースとした非水系インク組成物よりも水等の水系媒体を含有する水性インク組成物の開発が望まれているという実態がある。しかしながら、金属顔料を水中に分散させると、金属顔料の表面が水との反応により変質したり、消耗したりして、金属光沢を損なうことがあった。
このような問題に対して、例えば特許文献2には、アルミニウム顔料の表面をシリカ等の被覆膜で被覆した耐水化アルミニウム顔料を界面活性剤水溶液中に分散させて得られる耐水化アルミニウム顔料分散液が開示されている。
特開2008−174712号公報 特開2011−132483号公報
しかしながら、金属顔料の表面を被覆膜で被覆させた顔料を用いても、水との反応を十分に抑制することができず、金属顔料と水との反応により、水素ガスが発生する場合がある。このような場合において、上記顔料を水系媒体で分散させたインク組成物を密閉された容器(例えば、インクカートリッジ等)に保存すると、発生した水素ガスによって容器が大きく変形したり、破損したりすることがある。
本発明のいくつかの態様にかかる目的の一つは、金属顔料および水系媒体を含有するインク組成物を収容する場合であっても、インク組成物に起因する破損を防止することができる液体収容体および液体収容体セットを提供することにある。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
[適用例1]
本発明に係る液体収容体の一態様は、
液体消費装置に接続可能な液体収容体であって、
前記液体収容体は、インク組成物を収容するインク収容部と、該インク収容部に収容された該インク組成物を流出させるインク流出部と、を有し、
前記インク組成物は、金属顔料の表面を被覆膜で被覆させた耐水化金属顔料と、水系媒体と、を含有し、
前記金属顔料は、前記水系媒体と反応して水素ガスを発生するものであり、
25℃の環境下において、前記インク収容部に収容された前記インク組成物から発生する1日当たりの水素ガスの発生量(AH2)が、前記インク収容部の1日当たりの水素ガスの透過量(BH2)以下である。
適用例1の液体収容体によれば、インク組成物中の金属顔料と水系媒体とが反応して、インク収容部内に水素ガスが生じても、水素ガスをインク収容部の外部に排出することができるので、破損を抑制することができる。
[適用例2]
適用例1において、
前記水素ガスの発生量(AH2)は、アルキメデス法によって測定され、0.01(cm/1日)以上2(cm/1日)以下であることができる。
[適用例3]
適用例1または適用例2において、
25℃の環境下において、前記インク収容部に収容された前記インク組成物に含まれる水の1日あたりの減少割合が、前記インク収容部に収容された直後における前記インク組成物に含まれる水の全質量に対して、0.01%以上0.05%以下であることができる。
[適用例4]
適用例1ないし適用例3のいずれか1例において、
前記インク収容部は、少なくとも一部がフィルムで構成されており、
前記フィルムの厚みは、50μm以上300μm以下であり、
前記フィルムのアルミニウム層の厚みが、5μm以下であることができる。
[適用例5]
適用例4において、
前記フィルムは、25℃の環境下において、1日当たりの水の透過量が0.0001ml/cm以上0.0032ml/cm以下であり、かつ、25℃の環境下において、1日当たりの水素の透過量が0.005ml/cm以上0.15ml/cm以下である層を含むことができる。
[適用例6]
適用例4または適用例5において、
前記フィルムは、ポリエチレンからなる層と、ナイロンからなる層と、を含むことができる。
[適用例7]
適用例6において、
さらに、前記フィルムは、酸化アルミニウムからなる層、又は、エチレン−酢酸ビニル共重合体からなる層を含むことができる。
[適用例8]
適用例1ないし適用例7のいずれか1例において、
前記金属顔料の円相当径の50%平均粒子径R50が、0.3μm以上であり、
前記インク収容部の容積を100%とした場合において、該インク収容部の容積に対する前記インク組成物の最大の収容割合が95%以下であることができる。
[適用例9]
本発明に係る液体収容体セットの一態様は、
適用例1ないし適用例8のいずれか1例に記載の液体収容体と、カラー液体収容体と、を含む液体収容体セットであって、
前記カラー液体収容体は、カラーインク組成物を収容するカラーインク収容部と、該カラーインク収容部に収容された該カラーインク組成物を流出させるカラーインク流出部と、を有し、
前記カラーインク組成物は、染料または平均粒子径が200nm以下の顔料と、媒体と、を含有する。
[適用例10]
適用例9において、
前記カラーインク収容部は、少なくとも一部がフィルムで構成されており、
前記カラーインク収容部の少なくとも一部を構成するフィルムは、5μm以上の厚みのアルミニウムからなる層を含むことができる。
[適用例11]
適用例9または適用例10において、
前記インク収容部の容積を100%としたときの、該インク収容部の容積に対する前記インク組成物の最大の収容割合をV(%)とし、
前記カラーインク収容部の容積を100%としたときの、該カラーインク収容部の容積に対する前記カラーインク組成物の最大の収容割合をV(%)とした場合に、
前記Vcが前記Vよりも高くてもよい。
本発明の一実施形態に係る液体収容体の構成を模式的に示す斜視図。 本発明の一実施形態に係る液体収容体の構成を模式的に示す分解斜視図。 本発明の一実施形態に係る液体収容体におけるインクパックと流路部材との接続状態を模式的に示す側面図。 本発明の一実施形態に係る液体収容体におけるホルダーにインクパックを取り付けた状態を模式的に示す断面図。
以下に本発明の好適な実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。また、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。なお、以下の実施形態で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.液体収容体
本発明の一実施形態に係る液体収容体は、液体消費装置に接続可能な液体収容体であって、前記液体収容体は、インク組成物を収容するインク収容部と、該インク収容部に収容された該インク組成物を流出させるインク流出部と、を有し、前記インク組成物は、金属顔料の表面を被覆膜で被覆させた耐水化金属顔料と、水系媒体と、を含有し、前記金属顔料は、前記水系媒体と反応して水素ガスを発生するものであり、25℃の環境下において、前記インク収容部に収容された前記インク組成物から発生する1日当たりの水素ガスの発生量(AH2)は、前記インク収容部の1日当たりの水素ガスの透過量(BH2)以下
であることを特徴とする。
以下、本実施形態に係る液体収容体について、液体収容体の構造、これに含まれるインク組成物およびインク組成物の製造方法の順に詳細に説明する。
1.1.液体収容体の構造
本実施形態に係る液体収容体の構造について、図1〜図4を参照にしながら詳細に説明する。以下に示す液体収容体の構成は、本発明の一実施形態であり、本発明に係る液体収容体は、これに限定されるものではない。
また、各図面は、液体収容体の構造の理解を容易にするために、その尺度を適宜変更している場合がある。また、各図面には、その説明を容易にするために互いに直交するX、Y、Z軸を付記しており、これらの軸方向は各図面で共通している。
1.1.1.構造
まず、本実施形態に係る液体収容体として用いられるインクカートリッジを例に挙げて説明する。図1は、インクカートリッジ100の構成を模式的に示す斜視図である。また、図2は、インクカートリッジ100の構成を模式的に示す分解斜視図である。
図1および図2において、Z軸は鉛直方向、Y軸はインクカートリッジ100の長手方向、X軸はY軸およびZ軸に直交する水平方向である。また、Z軸+方向を上方向とする。
本実施形態に係る液体収容体は、後述するインク組成物を収容するインク収容部と、インク収容部に収容されたインク組成物を流出させるインク流出部と、を有する。すなわち、図1および図2の例では、インクカートリッジ100は、後述するインク組成物を収容するインクパック10と、インク流出部を構成する流路部材20と、インクパック10を収納するホルダー30と、を有する。また、図1および図2の例では、インクカートリッジ100は、Y軸方向を長手方向、X軸方向を短手方向とする直方体形状を有しているが、これに限定されるものではない。
インク収容部は、少なくとも一面が可撓性を有していることが好ましい。これにより、インク収容部からインク組成物が流出するに伴って、インク収容部の容積が減少するので、インクの流出が容易になる。図2の例では、インクパック10は、後述するインク組成物(インク1)をその内部に収容する袋状の形態を有しており、全面が可撓性を有している。より詳しくは、インクパック10は、ピロー式の包装袋であり、流路部材20と接続される開口部11と、上下2方向にシール部12a,12bと、を備えている。
インク収容部は、少なくとも一部がフィルムで構成されていてもよい。これにより、可撓性の有する面を容易に形成できる。図2の例では、インクパック10は、全面がフィルムで構成されている。そのため、インクパック10からインク1が流出する際に、インクパックの容積の減少が促進されるので、インクの流出がスムーズに行われる傾向にある。
インク収容部を構成するフィルムの厚みは、50μm以上300μm以下であることが好ましく、50μm以上200μm以下であることがより好ましい。フィルムの厚みが50μm以上であることで、インク収容部内のインクが吸引されてインク収容部から流出した際に、インク収容部が正常な形で収縮するので、インク収容部内のインクを十分に流出させることできる。また、フィルムの厚みが300μm以下であることで、インク収容部の剛性を適正な範囲にできるので、液体収容体を揺動させた際に、インク収容部内のインクの攪拌が良好に行われる。
ここで、従来のインク収容部として、特開2009−184318号公報で開示された収容袋が挙げられるが、本発明に係る金属顔料のような沈降しやすい顔料を含む場合には、インク収容部の剛性は可能な限り低い方が好ましい。このような観点から、フィルムの厚みは、50μm以上150μm以下とすることがより好ましい。
インク収容部を構成するフィルムの材料としては、これに限定されないが、例えば、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、アルミニウム、酸化アルミニウム、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。当該フィルムは、これらのいずれかの材料からなる1層で構成されてもよいし、2層以上されて用いてもよい。
フィルムが2層以上からなる場合には、各層が接着剤等で接着されたものでよいし、各層が熱等により接着されたものであってもよいし、一の層に他の層が蒸着されたものであってもよい。
例えば、特開2008−12762号公報に開示されているように、アルミニウムが蒸着されたフィルムは、アルミニウムが蒸着されていないポリエチレンフィルム等に比べて、ガスバリア性(ガスが透過しにくいこと)、水蒸気バリア性(水蒸気が透過しにくいこと)に格段に優れる。そのため、インク収容部を構成するフィルムにおいて、アルミニウムからなる層の厚みは、5μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましく、アルミニウムからなる層が全く含まれていないことが特に好ましい。このように、5μmを超える厚みのアルミニウムからなる層を含まないことで、インク収容部内で発生した水素ガスがインク収容部の外部に排出されやすくなるので、インク収容部の膨張を抑制できたり、破損を防止することができる。なお、アルミニウムからなる層の厚みが「5μm以下」、「1μm以下」とは、0μmも含む。
インク収容部を構成するフィルムは、25℃の環境下において、1日あたりの水(水蒸気)の透過量が0.0001ml/cm以上0.0032ml/cm以下であり、かつ、1日当たりの水素の透過量が0.005ml/cm以上0.15ml/cm以下である層を含むことが好ましい。これにより、インク収容部内に収容されたインク組成物の水分を保持しつつ、インク収容部内で発生した水素を外部に排出することができる。そのため、インクの保存安定性を向上させつつ、インク収容部の破損等を防止できる液体収容体が得られる。このような特性を満たす材料としては、例えば、酸化アルミニウムが挙げられる。
インク収容部を構成するフィルムは、ポリエチレンからなる層と、ナイロンからなる層を含むことが好ましい。これらの層は水素ガスの透過性が高いので、インク収容部内で水素ガスが発生しても、水素ガスをインク収容部の外部に排出することができる。これにより、インク収容部の膨張の抑制や、破損を防止することができる。
インク収容部を構成するフィルムは、ポリエチレンからなる層とナイロンからなる層に加えて、酸化アルミニウム層、又は、エチレン−酢酸ビニル共重合体からなる層を含むことがより好ましい。上述したポリエチレンからなる層、およびナイロンからなる層はいずれも、水素ガスの透過性が高いだけでなく、水(水蒸気)の透過性も高い。そのため、ポリエチレンからなる層およびナイロンからなる層を含むだけでは、インク収容部内のインク組成物の水分が減少して、インク組成物の吐出不良等の原因になる場合がある。一方、酸化アルミニウム層、又は、エチレン−酢酸ビニル共重合体からなる層は、ポリエチレンからなる層およびナイロンからなる層と同様に、水素ガスの透過性に優れているが、水蒸気の透過性は低いものである。そのため、酸化アルミニウム層、又は、エチレン−酢酸ビニル共重合体からなる層を含むと、インク収容部内の水素ガスを外部に逃がしつつ、イン
ク収容部内に水分を保持できるという利点がある。
インク収容部に収容されるインク組成物の最大の収容割合は、インク収容部の容積を100%とした場合に、95%以下であることが好ましく、90%以下であることがより好ましい。インク組成物の最大の収容割合が95%以下であると、液体収容体を揺動してインク収容部内のインク組成物を攪拌する場合に、インク組成物がインク収容部内で流動しやすくなるので、インク組成物の再分散性が向上する。特に金属顔料は、金属光沢性を良好にするために後述する円相当径の50%平均粒子径R50が0.3μm以上とすることが多い。この場合には、金属顔料はインク収容部内で沈降する傾向にある。よって、上述の収容割合にしておくことで攪拌による再分散性を良好にしておくことが好ましい。なお、インク収容部の容積は、インク収容部にインク組成物を最大限(100%)充填した場合に使用されるインク組成物の使用量に相当する。
インク収容部の容積は、通常のインクジェット記録装置に使用されるインク収容部(インクパック)と同様の大きさであればよく、例えば、30cm以上1000cm以下であり、さらには80cm以上750cm以下であることができる。なお、本発明におけるインク収容部の容積とは、インク収容部の内部の容積のことをいう。
インク収容部の表面積は、通常のインクジェットプリンターに使用されるインク収容部(インクパック)と同様の大きさであればよく、例えば、40cm以上1600cm以下であり、さらには120cm以上1200cm以下であることができる。なお、本発明におけるインク収容部の表面積とは、インク収容部の内部おいてインクと接触可能な面の面積のことをいう。
インク流出部は、図1および図2の例では、流路部材20を用いて形成される。流路部材20は、樹脂で形成されるブロック体であり、インクパック10の開口部11を封止するように接続され、インクパック10をホルダー30に収容した状態でホルダー30の開口部31に固定される。流路部材20は、インクパック10にインク1を充填するための流路(図示省略)を備える。なお、インクパック10は、流路部材20に設けられた図示しない流路からインク1が充填された後、ホルダー30に封止される。
図3は、インクパック10と流路部材20との接続状態を模式的に示す側面図である。図3に示す通り、流路部材20は、インクパック10内のインク1を吸引して流路部材20内に導入する吸引口23と、吸引口23から導入されたインク1を流路部材から流出させる流出口22と、を備えている。インクカートリッジ100をインクジェット記録装置に装着した場合には、インクパック10内のインク1は、吸引口23から流出して、流出口22からインクジェット記録装置に供給される。また、吸引口23と流出口22との間には、逆止弁を含むインク検出機構24が備えられている。吸引口23は図示しない封止手段によって、インクジェット記録装置に装着されない際は閉じられた状態で存在している。なお、本実施形態にように、吸引口23以外に常にインクパック10の外部の大気に通じる大気開放口を有していないインクパックであれば、本願の課題がさらに顕著に生じ得る。
ホルダー30は、流路部材20が取り付けられる面を開放した樹脂製の筐体であり、直方体形状を有する。なお、ホルダーの形状は、直方体に限られるものではない。図2に示すように、ホルダー30は、天板30aと、側板30b,30c、底板30d、背板30eの5面から構成される。
ホルダー30の内部には、押さえ板32aと、押さえ板32bとが設けられている。押さえ板32aは、天板30aの半分程度の幅を有し、天板30aと平行に、天板aから一
定の間隙をもって側板30bに接続されている。また、押さえ板32bは、底板30dの半分程度の幅を有し、底板30dと平行に、底板30dから一定の間隙をもって側板30cに接続されている。
図4は、ホルダー30にインクパック10を取り付けた状態を模式的に表す断面図であり、具体的には、図1のインクカートリッジ100のXZ平面の断面を表している。
図4に示すように、インクパック10のシール部12aはホルダー30の押さえ板32aの上方の間隙に差し込まれており、インクパック10のシール部12bはホルダー30の押さえ板32bの下方の間隙に差し込まれている。このようにして、インクパック10は、ホルダー30に取り付けられる。
1.1.2.液体収容体とインク組成物との関係
本発明に係る液体収容体は、室温(25℃)の環境下において、インク収容部に収容された後述のインク組成物から発生する1日当たりの水素ガスの発生量(AH2)は、インク収容部の1日当たりの水素ガスの透過量(BH2)以下であることを特徴とする。これにより、インク収容部内で発生した水素ガスをインク収容部の外部に逃がすことができるので、インク収容部内が水素ガスの発生により破裂することを防止でき、インク収容部の変形に伴って上述したホルダーに取り付けにくくなることを防止できる。
ここで、水素ガスの発生量(AH2)と、水素ガスの透過量(BH2)と、の大小関係は、アルキメデス法に基づく以下の測定方法から導き出すことができる。まず、インク収容部を完全に沈めることができる量のイオン交換水の入ったメスシリンダーを準備する。次に、インク収容部内にインク組成物を充填して密閉した直後、メスシリンダーの水中に当該インク収容部を完全に沈める。このとき増加した水の体積(c1)を記録する。そして、メスシリンダーからインク収容部を取り出した後、インク収容部を25℃の環境下で24時間保存する。その後、インク収容部を再びメスシリンダーの水中に完全に沈めて、このとき増加した水の体積(c2)を記録する。このようにして得られたc1とc2の差が0であると、水素ガスの発生量(AH2)が水素ガスの透過量(BH2)以下であると判断できる。
また、水素ガスの発生量(AH2)は、アルキメデス法に基づいて測定することができ、具体的には次のようにして算出できる。まず、少量のインク組成物を量り取り、水素ガスを透過しないインクパックに収容し、インクパックを密閉する。密閉した直後、メスシリンダーの水中に当該インクパックを完全に沈めて、このとき増加した水の体積(d1)を記録する。そして、メスシリンダーからインクパックを取り出して、インクパックを25℃の環境下で24時間保存した後、インクパックを再びメスシリンダーの水中に完全に沈めて、このときの増加した水の体積(d2)を記録する。そして、d1とd2の差(d2−d1)を、インクパックに収容したインクに含まれる顔料の量で割ることで、1日当たりに顔料1gから発生する水素ガスの発生量[d3(cm/1g・1日)]が導き出される。このようして得られた水素ガスの発生量(d3)と、本実施形態に係るインク収容部に収容されたインク組成物に含まれる顔料の量と、の積から、水素ガスの発生量(AH2)を求めることができる。
上述した水素ガスの発生量(AH2)は、0.001(cm/1日)以上10(cm/1日)以下であることが好ましく、0.005(cm/1日)以上5(cm/1日)以下であることがより好ましく、0.01(cm/1日)以上2(cm/1日)以下であることが特に好ましい。
本発明に係る液体収容体は、25℃の環境下において、インク収容部に収容された上述
のインク組成物に含まれる水の1日あたりの減少割合が、インク収容部に収容された直後における前記インク組成物に含まれる水の全質量に対して、0.01%以上0.50%以下であることが好ましく、0.01%以上0.05%以下であることがより好ましい。水の減少割合が上記範囲内にあることで、インク収容部内のインク組成物の水分が十分に保持されるので、インク組成物の粘度や分散安定性が良好に保たれるので、インク組成物の保存安定性や吐出安定性が良好になる。
1.2.インク組成物
本実施形態に係るインク組成物は、上述の液体収容体に収容されるものであって、金属顔料の表面を被覆膜で被覆させた耐水化金属顔料と、水系媒体と、を含有する。以下、インク組成物に含まれる各成分について説明する。
1.2.1.耐水化金属顔料
本実施形態に係るインク組成物に含まれる耐水化金属顔料は、金属顔料の表面を被覆膜で被覆したものである。
金属顔料としては、媒体に付着されたときに金属光沢性を呈しうるものであれば特に限定されないが、例えば、アルミニウム、銀、金、白金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン、および銅からなる群より選択される1種または2種以上の合金が挙げられる。これらの中でも、金属光沢性を確保する観点及びコストの観点から、アルミニウム又はアルミニウム合金であることが好ましい。
本発明において、顔料とは、複数の顔料粒子から構成される顔料粒子の集合体のことをいう。
金属顔料を構成する顔料粒子は、良好な金属光沢性が得られやすい点から、その形状が平板状であることが好ましい。
金属顔料は、粒子像分析装置により得られる顔料粒子の投影画像の面積から求めた円相当径の50%平均粒子径R50(以下、単に「R50」ともいう。)が、0.3μm以上であれば良好な金属光沢が得られる。さらには、R50が0.5μm以上3μm以下であり、1nm以上100nm未満の厚み(Z)を有する金属顔料を使用することが好ましい。金属顔料のR50および厚み(Z)が上記範囲内にあることで、金属光沢性および記録安定性が良好となる。
本実施形態に係る金属顔料のR50のより好ましい態様としては、0.5μm以上1.5μm以下である。R50が上記範囲内にあることで、記録安定性がより一層良好となる場合がある。
「円相当径」とは、粒子像分析装置を用いて得られる該顔料粒子の投影画像の面積と同じ面積を持つ円と想定したときの当該円の直径である。例えば、顔料粒子の投影画像が多角形である場合、その投影画像を円に変換して得られた当該円の直径を、その顔料粒子の円相当径という。
金属顔料を構成する顔料粒子の投影画像の面積、円相当径は、粒子像分析装置を用いて測定することができる。粒子像分析装置としては、例えば、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100、FPIA−3000、FPIA−3000S(以上、シスメックス株式会社製)等が挙げられる。なお、円相当径の平均粒子径は、個数基準の粒子径である。
また、金属顔料を構成する顔料粒子の粒度分布(CV値)は、下記式(1)より求める
ことができる。
CV値=粒度分布の標準偏差/粒子径の平均値×100 ・・・(1)
ここで、得られるCV値は、好ましくは60以下であり、より好ましくは50以下であり、特に好ましくは40以下である。CV値が60以下の金属顔料を選択することで、記録安定性に優れるという効果が得られる。
また、金属顔料を構成する顔料粒子の投影画像の面積より求めた円相当径の最大粒子径は、3μm以下であることが好ましい。最大粒子径が3μm以下の金属顔料を用いると、インクジェット記録装置に用いた際に、ノズル開口部やインク流路における目詰を効果的に抑制できる。
本実施形態に係る金属顔料の厚み(Z)の好ましい態様としては、10nm以上50nm以下であり、より好ましくは10nm以上30nm以下である。厚み(Z)が上記範囲内にあることで、金属顔料の表面に被覆膜を形成しても、金属光沢性が損なわれずに良好となる傾向がある。
厚み(Z)は、例えば電子顕微鏡を用いて、顔料粒子の断面を観察することにより測定できる。電子顕微鏡には、透過型電子顕微鏡(TEM、JEOL JEM-2000EX)、電界放射走査型電子顕微鏡(FE−SEM、Hitachi S-4700)、走査透過電子顕微鏡(STEM、日立ハイテクノロジー株式会社製「HD−2000」)などを用いることができる。なお、厚み(Z)とは、平均厚みを意味し、具体的には、金属顔料を構成する顔料粒子を10個選択して、それらを個々に測定した場合の厚みの算術平均値のことをいう。
金属顔料を被覆する被覆膜は、金属顔料の耐水性向上させる材料であれば特に限定されないが、例えば、構造中にケイ素原子を有するアルコキシシラン(例えば、テトラエトキシシラン)や、ポリシラザン等を用いて形成される無機酸化物を含む膜や、フッ素系材料を用いた膜などであることが好ましい。これらの中でも、金属顔料の表面に均一かつ平坦な膜を形成できるという点から、アルコキシシランを用いることが好ましい。特に、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム顔料を用いる場合には、アルミニウム顔料との密着性に優れたシリカ膜が形成できるという点から、テトラエトキシシランを用いることがさらに好ましい。
被覆膜の作成方法については、特に限定されないが、例えば米国特許出願公開第2010/0256284号明細書、米国特許出願公開第2010/0256283号明細書等の記載を利用することができる。
被覆膜の厚みは、好ましくは1nm以上20nmであることが好ましく、より好ましくは3nm以上10nm以下であり、特に好ましくは1nm以上9nm以下である。被覆膜の厚みが上記範囲内、とりわけ前記下限値以上であると、金属顔料の耐水性が良好となり、前記下限値以下であれば、金属光沢性の低下を抑制しつつ耐水性を良好とすることができる。
なお、被覆膜の厚みは、金属顔料の厚み方向において、金属顔料の一方の表面に形成された被覆膜の厚みを指す。また、被覆膜の厚みは、電子顕微鏡(例えば、TEM、STEM、SEM、FE−SEM)を用いて、金属顔料の断面を観察することにより測定できる。
インク組成物中の耐水化金属顔料の濃度は、インク組成物の全質量に対して、好ましくは0.1質量%以上5.0質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上3.0質量%以下、さらに好ましくは0.25質量%以上2.5質量%以下、特に好ましくは0.5質量%以上2.0質量%以下である。
1.2.2.水系媒体
本実施形態に係るインク組成物は、水系媒体を含有する。水系媒体は、インク組成物中で上述の金属顔料を分散させる媒体として機能する。
水系媒体は、水を主成分とする媒体であればよい。水は、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、蒸留水などの純水または超純水を用いることが好ましい。特に、これらの水を紫外線照射または過酸化水素添加などにより滅菌処理した水は、長期間に亘りカビやバクテリアの発生を抑制することができるので好ましい。
水系媒体の含有量は、インク組成物の全質量に対して、好ましくは20質量%以上、より好ましくは20質量%以上60質量%以下、さらに好ましくは40質量%以上60質量%以下である。水系媒体の含有量が20質量%以上であると、環境負荷の低減という点や、取り扱いが容易な範囲の粘度に設定できるという点から好ましい。また、水系媒体の含有量が60質量%以下であることで、耐水化金属顔料と水との反応によるガスの発生や、耐水化金属顔料の腐食等を低減できる場合がある。
1.2.3.その他の成分
<有機溶剤>
本実施形態に係るインク組成物は、有機溶剤を含有してもよい。
有機溶剤としては、水系媒体との相溶性の観点から、極性有機溶剤であることが好ましい。極性有機溶剤としては、例えばアルコール類(メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、イソプロピルアルコール、フッ化アルコール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等)、カルボン酸エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、アルカンジオール類(1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール等の炭素数が4以上8以下の1,2−アルカンジオール)、多価アルコール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等)、グリコールエーテル系溶媒(トリエチレングリコールモノブチルエーテルなどのアルキレングリコールモノエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのアルキレングリコールジエーテル等)、ピロリドン誘導体(N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、5−メチル−2−ピロリドン等)が挙げられる。
これらの中でも、金属顔料としてアルミニウム顔料を用いる場合には、アルミニウム顔料の分散安定性に優れるという観点から、多価アルコール類およびグリコールエーテル類の少なくとも1種を用いることが好ましい。
また、多価アルコールは、例えば、インク組成物をインクジェット記録装置等の液体噴射装置に適用した場合に、インク組成物の乾燥を抑制し、ヘッドにおけるインク組成物の
目詰まりを抑制することができる。
アルカンジオールは、記録媒体等の被記録面への濡れ性を高めてインクの浸透性を高めるという観点から、好ましく用いることができる。
有機溶剤を含有する場合には、その含有量は、インク組成物の全質量に対して、30質量%以上であることが好ましく、30質量%以上80質量%以下であることがより好ましく、40質量%以上80質量%以下であることがより一層好ましく、50質量%以上80質量%以下であることが特に好ましい。有機溶剤の含有量が30質量%以上であると、耐水化金属顔料と水との反応によるガスの発生や、耐水化金属顔料の腐食等を低減できる場合がある。また、有機溶剤の含有量が80質量%以下であると、環境負荷の低減等の観点から好ましい。特に、有機溶剤の含有量が50質量%以上であると、水の揮発量が少なくなるので、後述するインク収容体を構成するフィルムがアルミニウムからなる層を有してない場合であっても、インク中の水分が減少することによる問題が生じにくくなる。
<塩基性触媒>
本実施形態に係るインク組成物は、塩基性触媒を含有してもよい。塩基性触媒は、金属顔料(例えば、アルミニウム顔料)と被覆膜を形成するための材料(例えば、TEOS)との反応時に添加することができる。
塩基性触媒としては、例えばアンモニア、トリアルキルアミン、エタノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、尿素、コリン、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
<界面活性剤>
本実施形態に係るインク組成物は、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤を添加することで、耐水化金属顔料の分散性を向上できる場合がある。
界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性、両性界面活性剤、高分子界面活性剤等、公知の界面活性剤のいずれも用いることができる。
これらの中でも、非イオン性界面活性剤であるアセチレングリコール系界面活性剤およびポリシロキサン系界面活性剤は、記録媒体等の被記録面への濡れ性を高めてインクの浸透性を高めることができる点から好ましく用いることができる。アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、2,4−ジメチル−5−ヘキシン−3−オールなどが挙げられる。また、アセチレングリコール系界面活性剤は、市販品を利用することもでき、例えば、オルフィンE1010、STG、Y(以上、日信化学工業株式会社製)、サーフィノール104、82、465、485、TG(以上、Air Products and Chemicals Inc.製)が挙げられる。ポリシロキサン系界面活性剤としては、市販品を利用することができ、例えば、BYK−347、BYK−348(以上、ビックケミー・ジャパン株式会社製)等が挙げられる。
<第三級アミン>
本実施形態に係るインク組成物は、第三級アミンを含有することが好ましい。第三級アミンは、立体障害効果やpH調製作用により、耐水化金属顔料の分散性を向上できる場合がある。
第三級アミンとしては、例えば、トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリブタノールアミン、N,N−ジメチル−2−アミノエタノール、N,N−ジエチル−2−アミノエタノール等のヒドロキシルアミンが挙げられる。これらの中でも、水分散性を一層向上できる点でトリエタノールアミン、トリプロパノールアミンが好ましく、水分散性に加えて貯蔵安定性を向上できる点でトリエタノールアミンがより好ましい。
第三級アミンを含有する場合には、その含有量は、インク組成物の全質量に対して、好ましくは0.1質量%以上2質量%以下、より好ましくは0.3質量%以上1.8質量%以下、より一層好ましくは0.4質量%以上1.6質量%以下である。第三級アミンの含有量が上記範囲内であると、上述の効果が一層向上する傾向にある。
<樹脂類>
本実施形態に係るインク組成物は、樹脂類を含有してもよい。樹脂類は、耐水化金属顔料を記録媒体上に強固に定着させる機能を有する。樹脂類としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、シアノアクリレート、アクリルアミド、オレフィン、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、ビニルアルコール、ビニルエーテル、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルカルバゾール、ビニルイミダゾール、塩化ビニリデンの単独重合体もしくは共重合体、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、天然樹脂等が挙げられる。なお、上記の共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれの形態でも用いることができる。
<pH調整剤>
本実施形態に係るインク組成物は、pH調整剤を含有してもよい。pH調整剤としては、例えば、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
<緩衝液>
本実施形態に係るインク組成物は、緩衝液を含有してもよい。緩衝液は、インク組成物のpHの振れ幅を小さくでき、pHを所望の範囲に保つことができる点から用いることができる。これにより、金属顔料と水系媒体との反応に伴うガスの発生や、耐水化金属顔料の溶出等、分散液のpHに起因して生じる不具合を抑制できる場合がある。
緩衝液としては、インク組成物のpHを5.0以上8.5以下の範囲に保つことができるものであれば、従来公知の緩衝液をいずれも使用することができ、例えば4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、モルホリノエタンスルホン酸(MES)、カルバモイルメチルイミノビス酢酸(ADA)、ピペラジン−1,4−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)、N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸(ACES)、コラミン塩酸、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸(BES)、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸(TES)、アセトアミドグリシン、トリシン、グリシンアミド、ビシン等のグッドバッファー、リン酸緩衝液、トリス緩衝液などが挙げられる。
<その他>
本実施形態に係るインク組成物は、水溶性ロジン等の定着剤、安息香酸ナトリウム等の防黴剤・防腐剤、アロハネート類等の酸化防止剤・紫外線吸収剤、キレート剤、酸素吸収剤等の添加剤を含有させることができる。これらの添加剤は、1種単独で用いることもで
きるし、2種以上組み合わせて用いることもできる。
2.液体収容体セット
次に、上述した液体収容体を含む液体収容体セットについて説明する。
本発明に係る液体収容体セットは、上述した液体収容体と、カラー液体収容体と、を含み、前記カラー液体収容体は、カラーインク組成物を収容するカラーインク収容部と、該カラーインク収容部に収容された該カラーインク組成物を流出させるカラーインク流出部と、を有し、前記カラーインク組成物は、染料または平均粒子径が200nm以下の顔料と、媒体と、を含有する。
本発明の一実施形態に係る液体収容セットに含まれる液体収容体については、上述した通りであるので、その説明を省略する。
以下、本発明の一実施形態に係る液体収容体セットに含まれるカラー液体収容体について説明する。なお、以下の説明では、上述した「液体収容体」,「インク収容部」,「インク流出部」のそれぞれを、「第1液体収容体」,「第1インク収容部」,「第1インク流出部」という場合がある。また、「カラー液体収容体」,「カラーインク収容体」,「カラーインク流出部」のそれぞれを、「第2液体収容体」,「第2インク収容体」,「第2インク流出部」という場合がある。
2.1.カラー液体収容体(第2液体収容体)
本実施形態に係る液体収容体セットに含まれる第2液体収容体は、カラーインク組成物を収容する第2インク収容部と、第2インク収容部に収容されたカラーインク組成物を流出させる第2インク流出部と、を有する。
本実施形態に係る第2液体収容体の説明では、第1液体収容体(上述の液体収容体)の構造および性質と共通する部分については、その説明を省略する場合がある。
2.1.1.カラー液体収容体(第2液体収容体)の構成
第2液体収容体における第2インク収容部および第2インク流出部は、それぞれ、上述した第1液体収容体における第1インク収容部および第1インク流出部に相当する。
第2インク収容部は、第1インク収容部と同様の観点から、少なくとも一面が可撓性を有していることが好ましい。
第2インク収容部は、第1インク収容部と同様の観点から、少なくとも一部がフィルムで構成されていてもよい。また、第2インク収容部を構成するフィルムの厚みは、第1インク収容部と同様の観点から、50μm以上300μm以下であることが好ましく、50μm以上200μm以下であることがより好ましい。
第2インク収容部を構成するフィルムの材料としては、これに限定されないが、例えば、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、アルミニウム、酸化アルミニウム、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。当該フィルムは、これらのいずれかの材料からなる1層で構成されていてもよいし、2層以上で構成されていてもよい。
後述するように、カラーインク組成物は金属顔料を含有しないので、第2インク収容体中での水素ガスの発生を考慮する必要がない。一方、第2インク収容部からカラーインク組成物の水分が蒸発してしまうと、保存安定性や吐出安定性の低下などの問題が生じる場合がある。このような観点から、第2インク収容部を構成するフィルムは、アルミニウム
からなる層を含むことが好ましい。すなわち、第2インク収容部を構成するフィルムは、第1インク収容部を構成するフィルムよりも、厚いアルミニウム層を含むことが好ましく、具体的には5μm以上の厚みのアルミニウムからなる層を含むことがより好ましい。
カラーインク組成物は、上述した金属顔料を含有するインク組成物と比べて、色材成分の沈降が生じにくい。そのため、第2インク収容部におけるカラーインク組成物の収容割合を、第1インク収容部におけるインク組成物の収容割合よりも高くしても、第2インク収容部を攪拌した際の効果が十分得られる。すなわち、第2インク収容部の容積を100%としたときの、該第2インク収容部の容積に対するカラーインク組成物の最大の収容割合をVc(%)とし、第1インク収容部の容積を100%としたときの、該第1インク収容部の容積に対する上述のインク組成物の最大の収容割合をV(%)とした場合において、VがVよりも高くなるようにすればよい。また、上記Vは、80%以上、さらには90%以上とすることができる。
2.1.2.カラーインク組成物
本実施形態に係るカラーインク組成物は、上述の第2液体収容体に収容されるものであって、色材として染料または平均粒子径が200nm以下の顔料と、媒体と、を含有する。
<色材>
染料としては、直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染料、反応性染料、分散染料、建染染料、可溶性建染染料、反応分散染料等の通常インクジェット式記録装置に使用する各種染料を使用することができる。
顔料としては平均粒子径が200μm以下の顔料であれば、いずれの顔料も用いることができる。このような顔料の一例としては、カーボンブラック、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレンおよびペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、中空構造を有する樹脂粒子等が挙げられる。
上述の顔料の平均粒子径とは、体積基準の平均粒子径であり、レーザー回折散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置により測定することができる。粒度分布測定装置としては、例えば、動的光散乱法を測定原理とする粒度分布計が挙げられる。粒子径分布測定装置としては、例えばマイクロトラックUPA、ナノトラックUPA−EX150(共に日機装株式会社製)、ELSZ−2、DLS−8000(以上、大塚電子株式会社製)、LB−550(株式会社堀場製作所製)等が挙げられる。
顔料は、インク中での分散性を高めるという観点から、表面処理を施した顔料であってもよいし、分散剤等を利用した顔料であってもよい。
表面処理を施した顔料とは、物理的処理または化学的処理によって顔料表面に親水性基(カルボキシル基、スルホン酸基等)を、直接または間接的に結合させて水性溶媒中に分散可能としたものである(以下、「自己分散型の顔料」ともいう。)。
また、分散剤を利用した顔料とは、界面活性剤や樹脂により顔料を分散させたものであり(以下、「ポリマー分散型顔料」ともいう。)、界面活性剤や樹脂としてはいずれも公知の物質を使用することが可能である。また、「ポリマー分散型顔料」の中には、樹脂により被覆された顔料も含まれる。樹脂により被覆された顔料は、酸析法、転相乳化法、及びミニエマルション重合法などにより得ることができる。
色材の含有量は、所望により適宜設定することができ、例えば、カラーインク組成物の全質量に対して、1質量%以上20質量%以下であることができ、さらには1質量%以上10質量%以下であることができる。
<媒体>
媒体は、カラーインク組成物中で上述の染料および顔料の媒体として機能する。媒体としては、水を主成分とする水系媒体であってもよいし、有機溶剤を主成分とする非水系媒体であってもよい。有機溶剤としては、例えば、上述の「1.2.3.その他の成分」で挙げたものを用いることができる。
媒体の含有量は、所望により適宜設定することができ、インク組成物の全質量に対して、例えば50質量%以上、さらには70質量%以上とすることができる。
<その他の成分>
本実施形態に係るカラーインク組成物は、その性能を向上させる観点から、上述の「1.2.3.その他の成分」で挙げた成分をさらに含有することができる。
3.液体消費装置
本発明の一実施形態に係る液体消費装置は、上述した液体収容体と接続されるものである。本発明の一実施形態に係る液体消費装置としては、インクジェットプリンター等の公知のインクジェット記録装置であればいずれも用いることができる。
上述の液体収容体は、インク組成物から発生した水素ガスを外部に放出することができる。そのため、インクジェット記録装置のヘッド等にインクを供給する際に、インクとともに水素がヘッドに送出されることを抑制できる。これにより、水素ガスに起因するインクの吐出不良等の不具合が防止されるので、吐出安定性に優れたインクジェット記録装置が得られる。
4.実施例
以下、本発明を実施例および比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
4.1.インク組成物の調製
以下の工程(a)〜(d)により耐水化アルミニウム顔料分散液A〜Cを調製した後、これを用いてインク組成物1〜3を得た。
4.1.1.耐水化アルミニウム顔料分散液
<工程(a)>
膜厚100μmのPETフィルム上に、セルロースアセテートブチレート(ブチル化率35〜39%、関東化学株式会社製)3.0質量%及びジエチレングリコールジエチルエーテル(日本乳化剤株式会社製)97質量%からなる樹脂層塗工液をバーコート法によって均一に塗布し、60℃、10分間乾燥することで、PETフィルム上に樹脂層薄膜を形成した。次いで、真空蒸着装置(「VE−1010型真空蒸着装置」、株式会社真空デバイス製)を用いて、上記の樹脂層上に平均膜厚20nmのアルミニウム蒸着層を形成した。次いで、上記方法にて形成した積層体を、ジエチレングリコールジエチルエーテル中、VS−150超音波分散機(アズワン株式会社製)を用いて、剥離・微細化・分散処理を同時に行い、積算の超音波分散処理時間が12時間であるアルミニウム顔料分散液を作製した。得られたアルミニウム顔料分散液を、開き目5μmのSUSメッシュフィルターにてろ過処理を行い、粗大粒子を除去した。次いで、ろ液を丸底フラスコに入れ、ロータリ
ーエバポレーターを用いてジエチレングリコールジエチルエーテルを留去した。これにより、アルミニウム顔料分散液を濃縮し、その後、そのアルミニウム顔料分散液の濃度調整を行い、5.0質量%のアルミニウム顔料分散液を得た。
<工程(b)>
次いで、得られたアルミニウム顔料分散液5質量部(アルミニウム顔料0.25質量部を含有)をビーカーに投入し、これにテトラエトキシシラン(TEOS)0.57質量部、塩基性触媒である1mol/Lアンモニア水0.1質量部を添加して、1日室温で攪拌することにより加水分解縮合させた。これにより、表面にシリカ膜が形成されたアルミニウム顔料(耐水化アルミニウム顔料)を含有するアルミニウム顔料分散液を得た。
<工程(c)>
次いで、それを遠心分離(10,000rpm、60分間)し、その上澄み液であるアルミニウム顔料分散液中に含まれるジエチレングリコールジエチルエーテルの少なくとも一部を除去した。
<工程(d)>
次いで、イオン交換水およびトリエタノールアミンを添加し、1日間室温で攪拌することにより、耐水化アルミニウム顔料分散液Aを得た。このようにして得られた耐水化アルミニウム顔料分散液Aの組成は、耐水化アルミニウム顔料5.0質量%、水93.4質量%、トリエタノールアミン1.6質量%である。
また、耐水化アルミニウム顔料分散液Bは、工程(b)においてTEOSの添加量を1.14質量部,反応期間を7日とした以外は、耐水化アルミニウム顔料Aと同様にして得られた。
耐水化アルミニウム顔料分散液Cは、工程(b)においてTEOSの添加量を1.14質量部,反応期間を30日とし、トリエタノールアミンの含有量が0.4質量%となるように添加した以外は、耐水化アルミニウム顔料Aと同様にして得られた。
4.1.2.インク組成物
表1の組成になるように、上記のようにして得られた耐水化アルミニウム顔料、1,2−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、2−ピロリドン、オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製、アセチレングリコール系界面活性剤)、トリエタノールアミン、イオン交換水を混合、攪拌した。このようにして、表1に記載の組成のインク組成物(インク)1〜3を得た。
Figure 0006191812
4.2.顔料の水素発生量の測定
各インクに含まれる顔料の水素発生量をアルキメデス法に基づいて測定した。また、以下のサンプルの作成および測定は、すべて常温(25℃)・常圧(1気圧)・常湿(65%RH)の環境下で実施した。なお、アルキメデス法に基づく測定下限値は、0.3cmとし、これを下回った場合には0cmとみなす。
まず、上記のようにして得られたインク1〜3を5gずつ量り取り、各インクをインクジェットプリンターPX−H10000のブラックインク用のインクパックに密閉した。そして速やかに、インクパックを軽く折り曲げた状態で、250mlの純水の入ったメスシリンダー内の水中に完全に沈めて、体積増加量p1(ml)を読み取った。p1の値を確認後、インクパックを取り出して、24時間保存した後、再度、インクパックをメスシリンダー内の水中に完全に沈めて、体積増加量p2(ml)を読み取った。
このようにして測定されたp1およびp2の差(p2−p1)が、顔料の水素発生量(cm/1日)に相当する。また、顔料の水素発生量(cm/1日)を、インクパックに収容したインク5gに含まれる顔料の重量で割ることで、各インクに含まれる顔料1g当たりの1日当たりの水素発生量P1(cm/1g・1日)を算出した。このようにして算出した値を表1に示す。
ここで、インクジェットプリンターPX−H10000のブラックインク用のインクパックは、アルミニウム層(厚み5μm以上)を有しており、水素ガスを透過しないものである。なお、当該インクパックと同等の水素透過性を有していれば、これに代えて用いることができる。
4.3.評価試験
以下の評価試験は、いずれも常温(25℃)・常圧(1気圧)・常湿(65%RH)で実施した。
4.3.1.評価試験1
評価試験1では、インクパック内でインクを短期間保存した場合におけるインクパック内の水素残量を、アルキメデス法により求めた。
具体的は、表2の実施例および比較例の組み合わせになるように、インクパック中にインク100gを収容した後、インクパックを密閉した。そして速やかに、インクパックを軽く折り曲げた状態で、250mlの純水の入ったメスシリンダー内の水中に完全に沈めて、体積増加量q1(ml)を読み取った。q1の値を確認後、インクパックを取り出して、24時間保存した後、再度、インクパックをメスシリンダー内の水中に完全に沈めて、体積増加量q2(ml)を読み取った。このようにして測定したq1およびq2の差(q2−q1)が、インクパック内の水素残量Q1(cm/1日)に相当する。このようにして得られた値を表2に示す。
なお、表2では、インクの短期水素発生量Q2(cm/1日)および水素透過量Q3(cm/1日)をあわせて示した。ここで、インクの短期水素発生量Q2(cm/1日)は、上記「4.2.顔料の水素発生量の測定」で算出したP1と、インクパック中に収容された顔料の重量と、の積から求めたものである。また、水素透過量Q3(cm/1日)は、インクの短期水素発生量Q2(cm/1日)と、インクパック内の水素残量Q1(cm/1日)と、の差(Q2−Q1)から求めたものである。
インクパックA〜Cには、膜厚が100μmであり、インクと接触する表面積が160cmであるものを用いた。具体的には、インクパックAは、ナイロン層、ポリエチレン層を有し、各層が接着剤によって接合されたものである。インクパックBは、エチレン−酢酸ビニル共重合体層、ナイロン層、ポリエチレン層を有し、各層が接着剤によって接合されたものである。インクパックCは、上述したインクジェットプリンターPX−H10000のブラックインク用のインクパックであり、アルミニウム層(厚み5μm以上)を有するものである。
4.3.2.評価試験2
評価試験2では、インクパック内でインクを長期間保存した場合におけるインクパック内の水素残量を、アルキメデス法により求めた。
具体的には、インクパックの保存期間を60日とした以外は、上記「4.3.1.評価試験1」と同様にして、インクパック内の水素残量R1(cm/60日)を求めた。このようにして得られた値を表2に示す。
なお、表2では、インクの長期水素発生量R2(cm/60日)および水素透過量R3(cm/60日)をあわせて示した。ここで、インクの長期水素発生量R2(cm/60日)は、上記「4.3.1.評価試験1」で算出したQ2と、保存期間60日と、の積から求めたものである。また、水素透過量R3(cm/60日)は、インクの短期水素発生量R2(cm/1日)と、インクパック内の水素残量R1(cm/1日)と、の差(R2−R1)から求めたものである。
4.3.3.評価試験3
評価試験3では、インクの収容されたインクパック内部から外部に透過する水蒸気量(透過量)を求めた。
具体的には、表2の実施例および比較例の組み合わせになるように、インクパック中にインク100gを収容した後、インクパックを密閉して24時間保存した。保存前後のインクパックの質量差を求め、これが調製当初のインクに含まれる水の全質量に占める割合を算出することで、水蒸気短期透過量(%/1日)を求めた。得られた値を表2に示す。また、判定基準を以下に示す。
○:水蒸気短期透過量(%/1日)が0.5%以下
×:水蒸気短期透過量(%/1日)が0.5%超過
4.3.4.評価試験4
評価試験4では、インクの収容されたインクパックをインクカートリッジに搭載したときにおける、インクの攪拌の効果に関する評価を行った。
具体的は、表3の参考例の組み合わせになるように、上述したインクパックBまたはC中に所定量のインクを収容した後、インクパックを密閉した。その後インクパックを60日間保存した後、図1に示すようなホルダーにインクパックを装填したインクカートリッジを得た。
60日経過後、インクカートリッジを水平に持ち、振り幅約10cmでインクカートリッジの長手方向に20回攪拌した。その後、インクカートリッジを反転させて水平に持ち、再び20回攪拌した。
攪拌の効果は、以下のように評価した。攪拌後のインクをその上層からポンプによってそれぞれの充填量の約10%の量に分離しながら取り出し、最後に残る約100mlを除きサンプルとした。次にそれぞれのサンプルから1gを取り出し千倍希釈してそれぞれの吸光度を測定した。測定は、分光光度計(製品名「Spectrophotometer
U−3300」、株式会社日立製作所製)を用い、希釈したインク組成物の波長500nmにおける吸光度(Abs値)を測定した。
攪拌の効果は、充分攪拌され分散粒子が分散している初期状態(金属顔料インクの初期金属顔料の濃度が10%の状態)の吸光度を100%として、金属顔料の沈降により変化したそれぞれのサンプルの吸光度比を算出し、その差(最大吸光度比−最小吸光度比)によって評価した。差が大きいほど、攪拌が不充分であることを示す。
吸光度比[%]={(サンプルの吸光度)/(初期状態の吸光度)}×100
判定基準は以下の通りである。また、判定結果を表3にあわせて示す。
◎(良好) :5%未満
○(十分) :5%以上10%未満
×(不充分) :10%以上
4.3.5.評価結果
以上の評価試験の結果を表2および表3に示す。
Figure 0006191812
Figure 0006191812
表2の評価試験の結果に示すように、実施例1〜3では、インクパックの外部に水素を排出できることが示された。
一方、比較例1では、インクパック内で発生した水素を外部に十分排出することができず、特にインクパックを長期間保存した場合に、パックの変形が顕著になることが示された。
また、比較例2および3では、インクパック内で発生した水素を外部に十分排出することができず、特にインクパックを長期間保存した場合に、パックの破損が生じた。
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1…インク、10…インクパック、11…開口部、12a,12b…シール部、20…流路部材、22…流出口、23…吸引口、24…インク検出機構、30…ホルダー、30a…天板、30b,30c…側板、30d…底板、30e…背板、31…開口部、32a,32b…押さえ板、100…インクカートリッジ

Claims (9)

  1. 液体消費装置に接続可能な液体収容体であって、
    前記液体収容体は、インク組成物を収容するインク収容部と、該インク収容部に収容された該インク組成物を流出させるインク流出部と、を有し、
    前記インク組成物は、金属顔料の表面を被覆膜で被覆させた耐水化金属顔料と、水系媒体と、を含有し、
    前記金属顔料は、前記水系媒体と反応して水素ガスを発生するものであり、
    25℃の環境下において、前記インク収容部に収容された前記インク組成物から発生する1日当たりの水素ガスの発生量(AH2)が、前記インク収容部の1日当たりの水素ガスの透過量(BH2)以下であり、
    前記インク収容部は、少なくとも一部がフィルムで構成されており、
    前記フィルムの厚みは、50μm以上300μm以下であり、
    前記フィルムのアルミニウム層の厚みは、5μm以下であり、
    前記フィルムは、ポリエチレンからなる層と、ナイロンからなる層と、を含み、
    さらに、前記フィルムは、酸化アルミニウムからなる層、又は、エチレン−酢酸ビニル共重合体からなる層を含む、液体収容体。
  2. 請求項1において、
    前記水素ガスの発生量(AH2)は、アルキメデス法によって測定され、前記インク組成物に含まれる前記金属顔料1g当たりの1日当たりの水素発生量であり、0.01(cm/1g・1日)以上2(cm/1g・1日)以下である、液体収容体。
  3. 請求項1または請求項2において、
    25℃の環境下において、前記インク収容部に収容された前記インク組成物に含まれる水の1日あたりの減少割合が、前記インク収容部に収容された直後における前記インク組成物に含まれる水の全質量に対して、0.01%以上0.5%以下である、液体収容体。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
    前記フィルムは、25℃の環境下において、1日当たりの水の透過量が0.0001ml/cm以上0.0032ml/cm以下であり、かつ、25℃の環境下において、1日当たりの水素の透過量が0.005ml/cm以上0.15ml/cm以下である層を含む、液体収容体。
  5. 請求項1ないし請求項のいずれか1項において、
    前記金属顔料の円相当径の50%平均粒子径R50が、0.3μm以上であり、
    前記インク収容部の容積を100%とした場合において、該インク収容部の容積に対する前記インク組成物の最大の収容割合が95%以下である、液体収容体。
  6. 請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の液体収容体と、カラー液体収容体と、を含む液体収容体セットであって、
    前記カラー液体収容体は、カラーインク組成物を収容するカラーインク収容部と、該カラーインク収容部に収容された該カラーインク組成物を流出させるカラーインク流出部と、を有し、
    前記カラーインク組成物は、染料または平均粒子径が200nm以下の顔料と、媒体と、を含有する、液体収容体セット。
  7. 請求項において、
    前記カラーインク収容部は、少なくとも一部がフィルムで構成されており、
    前記カラーインク収容部の少なくとも一部を構成するフィルムは、5μm以上の厚みのアルミニウムからなる層を含む、液体収容体セット。
  8. 請求項または請求項において、
    前記インク収容部の容積を100%としたときの、該インク収容部の容積に対する前記インク組成物の最大の収容割合をV(%)とし、
    前記カラーインク収容部の容積を100%としたときの、該カラーインク収容部の容積に対する前記カラーインク組成物の最大の収容割合をV(%)とした場合に、
    前記Vcが前記Vよりも高い、液体収容体セット。
  9. 液体消費装置に接続可能な液体収容体であって、
    前記液体収容体は、インク組成物を収容するインク収容部と、該インク収容部に収容された該インク組成物を流出させるインク流出部と、を有し、
    前記インク組成物は、金属顔料の表面を被覆膜で被覆させた耐水化金属顔料と、水系媒体と、を含有し、
    前記金属顔料は、前記水系媒体と反応して水素ガスを発生するものであり、
    前記インク収容部は、少なくとも一部がフィルムで構成されており、
    前記フィルムの厚みは、50μm以上300μm以下であり、
    前記フィルムのアルミニウム層の厚みは、5μm以下であり、
    前記フィルムは、ポリエチレンからなる層と、ナイロンからなる層と、を含み、
    さらに、前記フィルムは、酸化アルミニウムからなる層、又は、エチレン−酢酸ビニル共重合体からなる層を含む、液体収容体。
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