JP2020015783A - インクジェット記録用インク - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の実施形態に係るインクジェット記録用インク(以下、インクと記載することがある)は、水性媒体と、顔料と、バインダー樹脂粒子と、親水性無機粒子とを含有する。本実施形態に係るインクにおいて、バインダー樹脂粒子の含有割合は、4.0質量%以上20.0質量%以下である。本実施形態に係るインクにおいて、親水性無機粒子の含有割合は、1.0質量%以上12.0質量%以下である。本実施形態に係るインクにおいて、沸点150℃以上の有機溶剤(高沸点有機溶剤)の含有割合は、4.0質量%以下である。本実施形態に係るインクは、界面活性剤を更に含有することが好ましい。
水性媒体は、水を主成分とする媒体であり、必要に応じて他の溶剤を含んでもよい。他の溶剤としては、水溶性である限り特に限定されないが、例えば、有機溶剤が挙げられる。水性媒体における水の含有割合としては、60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、95質量%以上が更に好ましく、100質量%が特に好ましい。
インクにおける高沸点有機溶剤の含有割合は、上述の通り4.0質量%以下であり、0.5質量%以下が好ましく、0.0質量%がより好ましい。このように、インクにおける高沸点有機溶剤の含有割合を4.0質量%以下とすることで、形成される画像の耐久性を向上できる。なお、インクが2種以上の高沸点有機溶剤を含有する場合、上述の高沸点有機溶剤の含有割合とは、2種類以上の高沸点有機溶剤の合計含有割合を意味する。
顔料としては、例えば、黄色顔料、橙色顔料、赤色顔料、青色顔料、紫色顔料、及び黒色顔料が挙げられる。黄色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー(74、93、95、109、110、120、128、138、139、151、154、155、173、180、185、又は193)が挙げられる。橙色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ(34、36、43、61、63、又は71)が挙げられる。赤色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド(122、又は202)が挙げられる。青色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー(15、又は15:3)が挙げられる。紫色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントバイオレット(19、23、又は33)が挙げられる。黒色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブラック7が挙げられる。
バインダー樹脂粒子は、水性媒体中に分散した状態で存在する。バインダー樹脂粒子は、インクにより形成される画像においてバインダーとして機能し、記録媒体に対する顔料の定着性を向上させる。
親水性無機粒子は、インクに適度な粘性及び表面張力を付与して吐出安定性を向上させる。ここで、親水性無機粒子とは、表面に疎水化処理を行っていない無機粒子を意味する。親水性無機粒子は、表面に疎水化処理を行った疎水性無機粒子と比較して水性媒体に対する分散性に優れる。
界面活性剤は、記録媒体の表面に対するインクの濡れ性を向上させる。これにより、浸透性記録媒体を用いる場合には、インクの記録媒体に対する浸透性を向上させる。界面活性剤としては、例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、及びノニオン界面活性剤が挙げられ、ノニオン界面活性剤が好ましい。ノニオン界面活性剤としては、アセチレングリコール型界面活性剤、又はポリシロキサン型界面活性剤が好ましい。
インクは、上述した成分以外に、その他の添加剤を更に含有してもよい。その他の添加剤としては、例えば、pH調整剤、定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、及び酸素吸収剤が挙げられる。pH調整剤としては、例えば、第三級アミン(より具体的には、トリエタノールアミン)が挙げられる。定着剤としては、例えば、水溶性ロジンが挙げられる。防黴剤としては、例えば、安息香酸ナトリウムが挙げられる。なお、安息香酸ナトリウムは、防腐剤としての機能も有する。酸化防止剤としては、例えば、アロハネート類が挙げられる。
インクの製造方法としては、特に限定されないが、例えば、顔料分散液と、バインダー樹脂粒子分散液と、親水性無機粒子分散液と、必要に応じて用いられる界面活性剤等の任意成分とを混合し、必要に応じて水性媒体(例えば、水)等で希釈する方法が挙げられる。ここで、顔料分散液とは、水性媒体と、水性媒体に分散する顔料粒子とを含む分散液である。バインダー樹脂粒子分散液とは、水性媒体と、水性媒体に分散する顔料粒子とを含む分散液である。親水性無機粒子分散液とは、水性媒体と、水性媒体に分散する親水性無機粒子分散液とを含む分散液である。なお、インクの製造において水を用いる場合、イオン交換水又は純水を用いることが好ましい。
本実施例において、インクの粘度は、落球式自動マイクロ粘度計(アントンパール社製「AMVn」)を用いて測定した。粘度の測定においては、直径1.6mmのキャピラリ―と、直径1.5mmかつ比重7.63のスチール球とを用い、落球角度を70度、温度を25℃とした。測定後、上述のアントンパール社製「AMVn」の専用ソフトウェアにてインクの粘度を算出した。
インクの表面張力は、協和界面科学社製「自動表面張力計DY−300」を用い、Wilhelmy法(プレート法)によって測定した。測定においては、温度を25℃とした。
本実施例において、粒子の体積平均粒子径(MV)及び多分散指数は、動的光散乱式粒径分布測定装置(シスメックス社製「ゼータサイザー(登録商標)ナノZS」)を用いて測定した。詳しくは、イオン交換水を用いて測定対象を希釈し、測定に適した濃度(希釈率:1000倍以上5000倍以下)に調整した。得られた希釈液について、ISO 13321:1996(Particle size analysis−Photon correlation spectroscopy)に記載の方法に基づいて、上述の動的光散乱式粒径分布測定装置を用いて体積平均粒子径(MV)及び多分散指数を求めた。
インクの調製に用いた主な材料を以下に示す。
・顔料分散液:水、顔料(ピグメントブルー15:3)及び被覆樹脂粒子(アクリル樹脂)を含む分散液(顔料の濃度:15質量%)、山陽色素社製「エマコール(登録商標)SF AD2080F」
・水性ウレタンディスパージョン:水及びウレタン樹脂粒子を含む分散液(ウレタン樹脂粒子の濃度:30質量%)、宇部興産社製「UPUD−ST−053D」
・アクリル酸系エマルション:水及びアクリル樹脂粒子を含む分散液(アクリル樹脂粒子の濃度:50質量%)、トーヨーケム社製「TOCRYL(登録商標)X−4402」
・親水性シリカ粒子分散液A:水及び親水性ヒュームドシリカ粒子を含む分散液(親水性ヒュームドシリカ粒子の濃度:20質量%)、日本アエロジル社製「W7530」、体積平均粒子径(MV):120nm、多分散指数:0.12
・疎水性シリカ粒子分散液:水及び疎水性ヒュームドシリカ粒子を含む分散液、日本アエロジル社製「W−8520N」、体積平均粒子径(MV):130nm、多分散指数:0.15
・日信化学社製「オルフィン(登録商標)E1010」:アセチレンジオールのエチレンオキシド付加物を含む界面活性剤
・高沸点有機溶剤:グリセリン(関東化学社製の特級試薬)、沸点290℃
水及び親水性コロイダルシリカ粒子を含む親水性コロイダルシリカ粒子分散液(トクヤマ社製「SANSIL(登録商標)SS−01」)20.0gに、イオン交換水60.0gを添加し、スターラ―にて予備攪拌することで希釈液を得た。次いで、この希釈液に1M水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した。その後、pH調整後の希釈液に対し、高圧分散装置(吉田機械工業社製「ナノヴェイタ(登録商標)C−ES」)で高圧分散処理(圧力条件:50MPa)を行った。高圧分散処理後の希釈液について、1M水酸化ナトリウム水溶液を添加して再度pHを10に調整した後、イオン交換水を更に添加して全量100.0gとなるように希釈し、親水性シリカ粒子分散液Bを得た。得られた親水性シリカ粒子分散液Bは、固形分濃度が20質量%、体積平均粒子径(MV)が100nm、多分散指数が0.25であった。
上述の顔料分散液(濃度:15質量%)20.0gと、バインダー樹脂粒子分散液としての水性ウレタンディスパージョン(濃度:30質量%)14.0gとを混合した。この混合液に、親水性シリカ粒子分散液A(濃度:20質量%)21.0gと、界面活性剤(日信化学社製「オルフィン(登録商標)E1010」)0.5gとを添加し、その後、合計60.0gとなるようにイオン交換水で希釈した。これにより、実施例1のインク(色:シアン)を得た。実施例1のインクは、25℃での粘度が5mPa・s、25℃での表面張力が30mN/mであった。
実施例2のインクの調製では、顔料分散液の使用量を12.0gに変更し、かつ親水性シリカ粒子分散液Aの使用量を30.0gに変更した。
実施例3のインクの調製では、水性ウレタンディスパージョンの使用量を24.0gに変更し、かつ親水性シリカ粒子分散液Aの使用量を9.0gに変更した。
実施例4のインクの調製では、親水性シリカ粒子分散液Aを使用せず、代わりに親水性シリカ粒子分散液B(濃度:20質量%)24.0gを使用した。
実施例5のインクの調製では、バインダー樹脂粒子分散液として水性ウレタンディスパージョンを使用せず、代わりにアクリル酸系エマルション(濃度:50質量%)8.4gを使用した。
実施例6のインクの調製では、高沸点有機溶剤であるグリセリン1.8gを添加した。
比較例1のインクの調製では、親水性シリカ粒子分散液Aを使用せず、代わりに疎水性シリカ粒子分散液(濃度:20%)21gを使用した。
比較例2のインクの調製では、顔料分散液の使用量を12.0gに変更し、親水性シリカ粒子分散液Aの使用量を45.0gに変更し、かつバインダー樹脂粒子分散液を使用しなかった。
比較例3のインクの調製では、顔料分散液の使用量を28.0gに変更し、親水性シリカ粒子分散液Aの使用量を30.0gに変更し、かつバインダー樹脂粒子分散液を使用しなかった。
比較例4のインクの調製では、水性ウレタンディスパージョンの使用量を6.0gに変更し、かつ親水性シリカ粒子分散液Aの使用量を30.0gに変更した。
比較例5のインクの調製では、高沸点有機溶剤であるグリセリン3.0gを添加した。
比較例6のインクの調製では、親水性シリカ粒子分散液Aを使用せず、高沸点有機溶剤であるグリセリン3.0gを添加した。
比較例7のインクの調製では、親水性シリカ粒子分散液Aを使用しなかった。
比較例8のインクの調製では、顔料分散液の使用量を10.0gに変更し、水性ウレタンディスパージョンの使用量を10.0gに変更し、親水性シリカ粒子分散液Aの使用量を39.0gに変更した。
以下の方法により、実施例1〜6及び比較例1〜8のインクについて、形成される画像の耐久性(耐擦過性、及び記録媒体に対する密着性)と、吐出安定性と、保存安定性とを評価した。評価結果を下記表2に示す。但し、比較例1のインクについては、印字開始直後からノズルの閉塞が生じたため、耐久性の評価に用いる画像を形成できなかった。そのため、比較例1のインクについては、形成される画像の耐久性を評価しなかった。
インクジェットプリンター(セイコーエプソン社製「PX−045a」)の専用カートリッジのインク室に評価対象のインクを充填した。この専用カートリッジを、上述のインクジェットプリンターに装着した。このインクジェットプリンターを評価機として用いた。
上述の評価機を用い、インクジェット用OHPフィルム(スリーエムジャパン社製)にソリッド画像(印字率100%)を形成した。そして、ソリッド画像を形成したインクジェット用OHPフィルムを120度で30秒間加熱し、画像を乾燥させた。このインクジェット用OHPフィルムをサンプルとして用い、碁盤目試験(クロスカット法)を実施した。具体的には、サンプル上の画像に対し、縦横各6本の2mm間隔の格子状(碁盤目様)の切り込みを入れ、一辺2mmの正方形状のマス目を25個形成した。切り込みを入れた画像上に粘着テープ(ニチバン社製「セロテープ(登録商標)CT−24」)を張り付け、約60度の角度で上述の粘着テープを剥離した。この際、粘着テープの剥離は、剥離開始から剥離終了までの時間が約1秒となる速度で行った。粘着テープの剥離後、サンプル上の剥離面を観察して剥離の程度をJIS(日本工業規格)K5600−5−6:1999に準じて分類0〜分類5に分類した。この分類では、分類0が最も剥離が抑えられていたことを示し、分類の数字が大きくなるほど剥離の程度が大きいことを示す。インクにより形成される画像の記録媒体に対する密着性は、分類0又は分類1であった場合を良好(A)、分類2〜分類5であった場合を不良(B)と判定した。
上述の密着性の評価と同様の方法により、サンプル(ソリッド画像が形成されたインクジェット用OHPフィルム)を作成した。このサンプルに対し、JIS(日本工業規格)L0849:2013に準じた耐擦過性の評価を実施した。具体的には、約220mm×30mmの短冊状に切り出したサンプルを学振式摩擦試験機(II型)(安田精機社製「学振式摩擦試験機(II型)」)にセットした。セットした短冊状サンプル上の画像に評価用白綿布を荷重200gで押しつけ、この荷重を維持しつつ評価用白綿布を100回往復運動させた。その後、評価用白綿布に生じた汚染の程度を、JIS(日本工業規格)L0805:2005に規定される汚染用グレースケールを用いて分類した。分類では、汚染の程度を、1級、1〜2級、2級、2〜3級、3級、3〜4級、4級、4〜5級、又は5級の9段階に分類した。この分類では、級数の数字が小さいほど汚染の程度が大きいことを示す。インクにより形成される画像の耐擦過性は、汚染の程度が4級、4〜5級又は5級であった場合を良好(A)、それ以外の場合を不良(B)と判定した。
上述の評価機を用い、インクジェット用OHPフィルム(スリーエムジャパン社製)に、30枚連続でソリッド画像(印字率100%)を形成した。その後、上述の評価機を用い、上述のインクジェット用OHPフィルムにノズルチェックパターンを印字した。形成されたノズルチェックパターンを基に、全ノズル本数(128本)のうち、ノズル抜けが発生したノズルの本数(ノズル抜け本数)を計測した。ノズル抜け本数は、その数値が小さいほどインクの吐出安定性が優れていることを示す。インクの吐出安定性は、ノズル抜け本数が10本未満の場合を良好(A)、ノズル抜け本数が10本以上の場合を不良(B)と判定した。
各インクをイオン交換水で10,000倍に希釈した。得られた10,000倍希釈インクを、紫外可視分光光度計(日立ハイテクサイエンス社製「U−3010」)を用い、測定波長500nmで吸光度を測定した。測定された吸光度を「吸光度A」とした。
保存安定度(%)=100×吸光度B/吸光度A
Claims (4)
- 水性媒体と、顔料と、バインダー樹脂粒子と、親水性無機粒子とを含有し、
前記バインダー樹脂粒子の含有割合は、4.0質量%以上20.0質量%以下であり、
前記親水性無機粒子の含有割合は、1.0質量%以上12.0質量%以下であり、
沸点150℃以上の有機溶剤の含有割合は、4.0質量%以下である、インクジェット記録用インク。 - 前記親水性無機粒子は、親水性シリカ粒子である、請求項1に記載のインクジェット記録用インク。
- 前記顔料の含有割合は、1.0質量%以上8.0質量%以下である、請求項1又は2に記載のインクジェット記録用インク。
- 前記バインダー樹脂粒子は、ウレタン樹脂又は(メタ)アクリル樹脂を含む、請求項1〜3の何れか一項に記載のインクジェット記録用インク。
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