関連出願
本出願は、2019年1月31日に提出された米国仮特許出願第62/799,218号、2019年4月10日に提出された米国仮特許出願第62/832,064号、及び2019年5月30日に提出された米国仮特許出願第62/854,579号の利益を主張するものであり、これらの仮特許出願のそれぞれはその全体が参照により組み込まれる。
背景
I.技術分野
本明細書において述べられる実施形態は、概してレーザ加工装置及びその構成要素に関するものであり、これを動作させるための方法に関するものである。
II.技術的背景
一般的に、ワークピースのレーザ加工は、ワークピースにレーザエネルギーを照射してワークピースを形成している1以上の材料の1以上の特性又は性質を加熱し、溶融し、蒸発させ、アブレートし、クラックを生じさせ、脱色し、研磨し、粗くし、炭化し、発泡させ、あるいは改質することによりなされる。例えば、プリント回路基板(PCB)のようなワークピースにレーザ加工を行い、その内部にビアを形成することができる。ワークピースを高速に加工するために、高パワーレーザ源を用いてレーザエネルギーを生成し、レーザエネルギーを照射するワークピースの位置を高速で変化させ、(例えば、パルス持続時間、パルスエネルギー、パルス繰り返し率などの)レーザエネルギーの特性などを高速で変化させられることが要求されることがある。また、レーザ加工中に使用されるレーザエネルギーの波長は、加工されるワークピースの種類に応じて選択され得る。しかしながら、ある特定の波長域(例えば、電磁スペクトルの紫外域の波長)のレーザエネルギーを用いたレーザ加工のために開発された従来の構成要素や方法は、他の波長域(例えば、電磁スペクトルの長波長赤外域の波長)のレーザエネルギーを用いて同一のレーザ加工を行うのには適切ではない場合がある。本明細書において述べられる実施形態は、このような問題及び本発明者等により発見された他の問題を考慮して開発されたものである。
概要
本発明の一実施形態は、ビーム経路に沿って伝搬可能なレーザエネルギービームを生成可能なレーザ源と、上記ビーム経路内に配置され、上記ビーム経路を偏向可能な第1のポジショナと、上記第1のポジショナに連結されるコントローラとを含むレーザ加工装置として特徴付けることができる。上記コントローラは、上記ビーム経路を第1の1次角度範囲内及び第2の1次角度範囲内で偏向するように上記第1のポジショナの動作を制御するように構成され得る。上記第2の1次角度範囲は、上記第1の角度範囲と重なっておらず、上記第1の1次角度範囲と接していない。上記コントローラは、上記ビーム経路を上記第1の1次角度範囲内の複数の第1の角度に偏向し、第2の1次角度範囲内の複数の第2の角度に偏向するように上記第1のポジショナの動作を制御するようにさらに構成され得る。
本発明の他の実施形態は、フレームと、上記フレームに連結され、レーザエネルギービームを反射するように構成されるピックオフミラーと、上記フレームに連結され、上記レーザエネルギービームを吸収するように構成されるビームダンプとを含む一体化ビームダンプシステムとして特徴付けることができる。
本発明の他の実施形態は、第1の面と、少なくとも1つの第2の面とを有するフレームを備える一体化ビームダンプシステムとして特徴付けることができる。上記第1の面は、レーザエネルギービームを反射するように構成され得る。上記少なくとも1つの第2の面は、上記レーザエネルギービームを吸収するように構成され得る。
本発明の他の実施形態は、反射面を有するミラーを備え、上記反射面の形状は、フリンジゼルニケZ4項及びZ9項により特徴付けられ、上記Z4項の係数に対する上記Z9項の係数の比は、-0.1から-0.3の範囲にある波面補正光学部品として特徴付けることができる。
本発明の他の実施形態は、反射面と、本体と、上記本体内に規定されるポケットとを有する形状可変鏡を含む波面補正光学部品として特徴付けることができる。上記本体は、上記反射面と上記ポケットとの間に形状可変なメンブレン領域を含み得る。上記メンブレン領域の中心部分は第1の厚さを有し、上記メンブレン領域の周縁部分は上記第1の厚さよりも大きな第2の厚さを有し得る。
本発明の他の実施形態は、反射面と、少なくとも1つのリブを含む本体と、上記本体内に規定された複数のポケットとを有する形状可変鏡を含む波面補正光学部品として特徴付けることができる。上記本体は、上記反射面と上記ポケットとの間に形状可変なメンブレン領域を含み得る。上記少なくとも1つのリブは、上記複数のポケットの間に配置され得る。
本発明の他の実施形態は、加圧可能ポケットを有するメンブレン型形状可変鏡と、上記ミラーに連結される台座であって、上記台座を貫通する少なくとも1つの穿孔を有し、上記少なくとも1つの穿孔は、上記加圧可能ポケットと流体的に連通する台座と、上記台座と光学マウントアセンブリとに連結されるマウントプレートとを備える波面補正光学部品システムとして特徴付けることができる。
本発明の他の実施形態は、レーザエネルギービームを透過可能な第1の光学的構成要素であって、熱レンズ効果の影響を受けやすい第1の光学的構成要素と、上記第1の光学的構成要素を透過した上記レーザエネルギービームにおける波面収差であって上記熱レンズ効果に起因する波面収差を補正するように構成される波面補償光学部品と、第1の平面での上記第1の光学的構成要素の像を第2の平面にリレーするように配置及び構成される光リレーシステムとを含むシステムとして特徴付けることができる。上記波面補償光学部品は、上記第2の平面に配置され得る。上記第1の光リレーシステムは、上記第2の平面での上記第1の光学的構成要素の上記像のサイズが、上記第1の平面での上記第1の光学的構成要素の上記像のサイズと異なるように構成され得る。
本発明の他の実施形態は、音響光学偏向器(AOD)と、プリズムとグレーティングとからなる群から選択される少なくとも1つを含む分散補償器と、上記分散補償器の光学的に上流側の位置で上記分散補償器と光学的に連結される第1の光学的構成要素であって、入射レーザエネルギービームを拡大するように構成される第1の光学的構成要素と、光学的に上記分散補償器と上記AODとの間の位置で上記分散補償器及び上記AODと光学的に連結される第2の光学的構成要素であって、入射するレーザエネルギービームを縮小するように構成される第2の光学的構成要素とを含むシステムとして特徴付けることができる。
本発明の他の実施形態は、入射レーザエネルギービームを回折し、該回折されたレーザエネルギービームをビーム経路に沿って出力可能な音響光学偏向器であって、上記入射レーザエネルギービームを可変的に回折することにより、上記ビーム経路を第1の角度範囲内と第2の角度範囲内とで偏向可能な音響光学偏向器(AOD)と、プリズムとグレーティングとからなる群から選択される少なくとも1つを含む第1の分散補償器であって、上記AODの出力と光学的に連結され、上記第1の角度範囲内で偏向された上記ビーム経路上に配置される第1の分散補償器と、プリズムとグレーティングとからなる群から選択される少なくとも1つを含む第2の分散補償器であって、上記AODの出力と光学的に連結され、上記第2の角度範囲内で偏向された上記ビーム経路上に配置される第2の分散補償器とを含むシステムとして特徴付けることができる。
本発明の他の実施形態は、ビーム経路に沿って伝搬可能なレーザエネルギービームを生成可能なレーザ源と、上記ビーム経路内に配置され、上記ビーム経路を偏向可能なポジショナと、第1の音響光学偏向器(AOD)と上記第1のAODの出力と光学的に連結される第2のAODとを含むポジショナと、上記ポジショナに連結されるコントローラであって、少なくとも1つのスライス期間中に、上記レーザエネルギービームを少なくとも1つのパルススライスに時間的に分割するように上記第1のAOD及び上記第2のAODを動作させるように構成されるコントローラとを含むシステムとして特徴付けることができる。
図1は、一実施形態によるマルチヘッドレーザ加工装置を模式的に示すものである。
図2及び図3は、ある実施形態による第1のポジショナを用いて実現され得るビーム経路偏向スキームを模式的に示すものである。
図4は、一実施形態による第1のポジショナに組み込まれ得る多軸AODシステムを模式的に示すものである。
図5及び図6は、ある実施形態によるビームダンプシステムがどのようにして第1のポジショナに組み込まれ得るかを模式的に示すものである。
図7は、一実施形態による一体化ビームダンプシステムを模式的に示す任意u/v/w座標系における斜視図である。図7において、u軸、v軸、及びw軸は互いに直交している。
図8及び図9は、図7に示される一体化ビームダンプシステム内でレーザエネルギーが伝搬してトラップされることが可能な例示的なビーム経路を示す斜視図である。
図10は、他の実施形態による一体化ビームダンプシステムを模式的に示す任意u/v/w座標系における斜視図である。図10において、u軸、v軸、及びw軸は互いに直交している。
図11から図14は、図10に示される一体化ビームダンプシステム内でレーザエネルギーが伝搬してトラップされることが可能な例示的なビーム経路を示す斜視図である。
図15は、バルク透明材料の温度に対する、フリンジゼルニケ多項式のZ4項及びZ9項の係数(及びその比)の実験的に決定された依存性を示すグラフを示すものである。
図16は、一実施形態による波面補償光学部品の平面図を模式的に示すものである。
図16Aは、図16に示される波面補償光学部品を図16のXVIA-XVIA線で切断したおときの断面図を模式的に示すものである。
図17は、一実施形態による台座に連結された図16に示される波面補償光学部品の断面図を模式的に示すものである。
図18及び図19は、それぞれ台座に連結された、他の実施形態による波面補償光学部品の断面図を模式的に示すものである。
図20、図21、図22、図23、及び図24は、ある実施形態による光リレーシステムを示すものである。
図25は、一実施形態による光学マウントを示すものである。
図26、図27、図28、及び図29は、ある実施形態による分散補償器を組み込んだビーム経路アセンブリを模式的に示すものである。
図30は、一実施形態によるレーザ源からのビーム経路を図29に示される第1の光ポート及び第2の光ポートに導くためのビーム経路アセンブリを模式的に示すものである。
図31、図32、図33、及び図34は、ある実施形態による第1のポジショナの第1のAOD及び第2のAODを駆動可能な例示的周波数範囲を示すグラフを示している。
図35、図35A、図35B、図36、図37、図38、図39、図40、及び図41は、ある実施形態によるパルススライシングを行うための手法を模式的に示すものである。
詳細な説明
以下、添付図面を参照しつつ実施形態の例を説明する。明示的に述べている場合を除き、図面においては、構成要素、特徴、要素などのサイズや位置などやそれらの間の距離は、必ずしも縮尺通りではなく、また理解しやすいように誇張されている。図面を通して同様の数字は同様の要素を意味している。このため、同一又は類似の数字は、対応する図面で言及又は説明されていない場合であっても、他の図面を参照して述べられることがある。また、参照番号の付されていない要素であっても、他の図面を参照して述べられることがある。
明細書において使用される用語は、特定の例示的な実施形態を説明するためだけのものであり、限定を意図しているものではない。特に定義されている場合を除き、本明細書において使用される(技術的用語及び科学的用語を含む)すべての用語は、当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で使用される場合には、内容が明確にそうではないことを示している場合を除き、単数形は複数形を含むことを意図している。さらに、「備える」及び/又は「備えている」という用語は、本明細書で使用されている場合には、述べられた特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を特定するものであるが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそのグループの存在又は追加を排除するものではないことを理解すべきである。特に示している場合を除き、値の範囲が記載されているときは、その範囲は、その範囲の上限と下限の間にあるサブレンジだけではなく、その上限及び下限を含むものである。特に示している場合を除き、「第1」や「第2」などの用語は、要素を互いに区別するために使用されているだけである。例えば、あるノードを「第1のノード」と呼ぶことができ、同様に別のノードを「第2のノード」と呼ぶことができ、あるいはこれと逆にすることもできる。
特に示されている場合を除き、「約」や「その前後」などは、量、サイズ、配合、パラメータ、及び他の数量及び特性が、正確ではなく、また正確である必要がなく、必要に応じて、あるいは許容誤差、換算係数、端数計算、測定誤差など、及び当業者に知られている他のファクタを反映して、概数であってもよく、さらに/あるいは大きくても小さくてもよいことを意味している。本明細書において、「下方」、「下」、「下側」、「上方」、及び「上側」などの空間的に相対的な用語は、図に示されるような、ある要素又は特徴の他の要素又は特徴に対する関係を述べる際に説明を容易にするために使用され得るものである。空間的に相対的な用語は、図において示されている方位に加えて異なる方位を含むことを意図するものであることは理解すべきである。例えば、他の要素又は特徴の「下方」又は「下」にあるとして説明される要素は、図中の対象物が反転した場合には、他の要素又は特徴の「上方」を向くことになる。このように、「下方」という例示的な用語は、上方及び下方の方位の双方を含み得るものである。対象物が他の方位を向く場合(例えば90度回転される場合や他の方位にある場合)には、本明細書において使用される空間的に相対的な記述子はこれに応じて解釈され得る。
本明細書において使用されるセクション見出しは、特に言及している場合を除いて、整理のためだけのものであり、述べられた主題を限定するものと解釈すべきではない。本開示の精神及び教示を逸脱することなく、多くの異なる形態、実施形態及び組み合わせが考えられ、本開示を本明細書で述べた実施形態の例に限定して解釈すべきではないことは理解できるであろう。むしろ、これらの例及び実施形態は、本開示が完全かつすべてを含むものであって、本開示の範囲を当業者に十分に伝えるように提供されるものである。
I.概要
本明細書において述べられる実施形態は、概して、ワークピースをレーザ加工(あるいは、より簡単に「加工」)するための方法及び装置に関するものである。一般的には、レーザ放射をワークピースに照射してワークピースを形成する1以上の材料の1以上の特性又は性質(例えば、化学的組成、原子構造、イオン構造、分子構造、電子構造、微細構造、ナノ構造、密度、粘性、屈折率、透磁率、比誘電率、テクスチャ、色、硬さ、電磁放射に対する透過率など、又はこれらを任意に組み合わせたもの)を加熱し、溶融し、蒸発させ、アブレートし、傷つけ、脱色し、研磨し、粗くし、炭化し、発泡させ、あるいは改質することにより、加工が全体にわたって、あるいは部分的に行われる。加工される材料は、加工の前又は加工中においてワークピースの外部に存在していてもよく、あるいは、加工の前又は加工中において完全にワークピースの内部に位置していても(すなわち、ワークピースの外部に存在していなくても)よい。
開示されたレーザ加工用装置により行うことができるプロセスの具体例としては、ビアのドリル加工又は他の孔の形成、カッティング、打ち抜き、溶接、スクライビング、彫刻、マーキング(例えば、表面マーキング、サブ表面マーキングなど)、レーザ誘起フォワード転送、洗浄、漂白、高輝度ピクセルの修復(例えば、カラーフィルタ暗化、OLED材料の改質など)、膜除去、表面テクスチャリング(例えば、粗くする、滑らかにするなど)、又はこれに類似するもの、あるいはこれらを任意に組み合わせたものが挙げられる。このように、加工の結果として、ワークピース上に、あるいはワークピース内に形成され得る1以上のフィーチャは、開口、スロット、ビア又は他の孔、溝、トレンチ、スクライブライン、切溝、凹部、導電トレース、オーム接触、抵抗パターン、人間が読み取ることができる又は機械により読み取ることができる印(例えば、視覚的に又はテクスチャにおいて区別できる1以上の特性を有するワークピース内又はそのようなワークピース上の1以上の領域を備える)、又はこれに類似するもの、あるいはこれらを任意に組み合わせたものを含み得る。開口、スロット、ビア、孔などのフィーチャは、上面視において任意の好適な又は望ましい形状(例えば、円形、楕円形、正方形、矩形、三角形、管状、又はこれに類似するもの、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの)を有していてもよい。さらに、開口、スロット、ビア、孔などのフィーチャは、(例えば、いわゆる「貫通ビア」、「貫通孔」などを形成するように)ワークピースを完全に貫通して延びていてもよいし、あるいは(いわゆる「非貫通ビア」、「非貫通孔」などを形成するように)ワークピース内を部分的にのみ延びていてもよい。
加工され得るワークピースは、1以上の金属、ポリマー、セラミック、複合物、又はこれらを任意に組み合わせたもの(例えば、合金であるか、化合物であるか、混合物であるか、溶液であるか、複合物であるかなどを問わない)から形成されるものとして総称して特徴付けることができる。したがって、加工され得る材料には、Al、Ag、Au、Cr、Cu、Fe、In、Mg、Mo、Ni、Pt、Sn、Tiなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの(例えば、合金であるか、複合物であるかなどを問わない)などの1以上の金属、導電性金属酸化物(例えばITOなど)、透明な導電性ポリマー、セラミック、ワックス、樹脂、層間誘電体材料(例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素など、メチルシルセスキオキサン(MSQ)、水素シルセスキオキサン(HSQ)、フッ化オルトケイ酸テトラエチル(FTEOS)など、あるいはこれらを任意に組み合わせたもののようなlow-k誘電体材料)、有機誘電体材料(例えば、SILK、ベンゾシクロブテン、Nautilus(いずれもDow社により製造される)、ポリフルオロテトラエチレン(DuPont社により製造される)、FLARE(Allied Chemical社により製造される)など、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの)、半導体又は光学素子基板材料(例えば、Al2O3、AlN、BeO、Cu、GaAS、GaN、Ge、InP、Si、SiO2、SiC、Si1-xGex(0.0001<x<0.9999)など、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの又は合金)、ガラス(例えば、溶融石英、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ナトリウムガラス、酸化鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、酸化ゲルマニウムガラス、アルミン酸塩ガラス、リン酸塩ガラス、ホウ酸塩ガラス、カルコゲナイドガラス、アモルファス金属など、又はこれらの任意の組み合わせ)、サファイヤ、高分子材料(例えば、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアセタール、ポリカーボネート、改質ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、アクリロニトリルブタジエンスチレン、又はこれらの任意の化合物、複合物、又は合金)、革、紙、組立材(例えば、「ABF」としても知られる、味の素ビルドアップフィルムなど)、ソルダレジストなど、あるいはこれらの任意の複合物、積層体、又は他の組み合わせが含まれる。
加工され得るワークピースの具体例としては、プリント回路基板(PCB)のパネル(本明細書においては「PCBパネル」ともいう)、PCB、PCB積層体(例えば、FR4、高Tgエポキシ、BT、ポリイミドなど、あるいはこれらの任意の組み合わせ)、PCB積層体プリプレグ、基板状PCB(SLP)、フレキシブルプリント回路(FPC)のパネル(本明細書においては「FPCパネル」ともいう)、FPC、カバーレイフィルム、集積回路(IC)、IC基板、ICパッケージ(ICP)、発光ダイオード(LED)、LEDパッケージ、半導体ウェハ、電子又は光学デバイス基板、インターポーザ、リードフレーム、リードフレームブランク、ディスプレイ基板(例えば、TFT、カラーフィルタ、有機LED(OLED)アレイ、量子ドットLEDアレイなど、又はこれらを任意に組み合わせたものが形成された基板)、レンズ、ミラー、タービン翼、粉末、膜、箔、板、型(例えば、ワックスモールド、射出成形プロセスやインベストメント鋳造プロセス用の型など)、布地(織物、フェルトなど)、外科用器具、医療用インプラント、パッケージされた製品、靴、自転車、自動車、自動車部品又は航空部品(例えば、フレーム、ボディパネルなど)、器具(例えば、電子レンジ、オーブン、冷蔵庫など)、(例えば、腕時計、コンピュータ、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ウェアラブル電子デバイスなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたもののための)デバイスハウジングが挙げられる。
II.システム-概要
図1は、本発明の一実施形態におけるレーザ加工装置を模式的に示している。
図1に示される実施形態を参照すると、ワークピース102a及び102b(それぞれを総称して「ワークピース102」という)を加工するためのレーザ加工装置100(本明細書においては単に「装置」ともいう)は、レーザエネルギービームを生成するレーザ源104と、第1のポジショナ106と、複数の第2のポジショナ(例えば、第2のポジショナ108a及び108b、それぞれを総称して「第2のポジショナ108」という)と、第3のポジショナ110と、複数のスキャンレンズ(例えば、スキャンレンズ112a及び112b、それぞれを総称して「スキャンレンズ112」という)とを含むものとして特徴付けることができる。図1は、レーザ加工装置100が2つの第2のポジショナ108を含んでいる実施形態を示しているが、本明細書において開示される数多くの実施形態は、1つの第2のポジショナ108だけを含んでいるレーザ加工装置にも適用することができ、あるいは2個よりも多くの第2のポジショナ108にも適用することができることは理解できるであろう。
スキャンレンズ112及び対応する第2のポジショナ108は、必要に応じて、共通のハウジング又は「スキャンヘッド」に一体化することができる。例えば、スキャンレンズ112a及び対応する第2のポジショナ108(すなわち第2のポジショナ108a)は、共通のスキャンヘッド120aに一体化することができる。同様に、スキャンレンズ112b及び対応する第2のポジショナ108(すなわち第2のポジショナ108b)は、共通のスキャンヘッド120bに一体化することができる。本明細書で使用される場合には、スキャンヘッド120a及びスキャンヘッド120bのそれぞれは、本明細書では総称して「スキャンヘッド120」ともいう。
図1は、複数のワークピース102を共通して支持する1つの第3のポジショナ110を示しているが、(例えば、それぞれ異なるワークピース102を支持するために、あるいは共通のワークピース102を支持するために、あるいはこれに類する目的のために、あるいはこれらを任意に組み合わせた目的のために)複数の第3のポジショナ110を設けてもよいことは理解できるであろう。しかしながら、以下に述べる説明を考慮すると、いずれかの第2のポジショナ108又は第3のポジショナ110によって提供される機能が必要とされない場合には、いずれかの第2のポジショナ108又は第3のポジショナ110を含めることは任意なものであることを理解すべきである。
以下でより詳細に述べるように、第1のポジショナ106は、ビーム経路114を第2のポジショナ108のいずれかに偏向するためにレーザエネルギービームを回折し、反射し、屈折し、又は偏向することが可能になっている。本明細書で使用される場合には、「ビーム経路」という用語は、レーザエネルギービームがレーザ源104からスキャンレンズ112に伝搬する際に、レーザエネルギービーム中のレーザエネルギーが通る経路を意味する。ビーム経路114を第2のポジショナ108aに偏向する際には、第1の角度範囲(本明細書においては「第1の1次角度範囲116a」ともいう)内の任意の角度(例えば、これは第1のポジショナ106に入射するビーム経路114に対して測定される)でビーム経路114を偏向することができる。同様に、ビーム経路114を第2のポジショナ108bに偏向する際には、第2の角度範囲(本明細書においては「第2の1次角度範囲116b」ともいう)内の任意の角度(例えば、これは第1のポジショナ106に入射するビーム経路114に対して測定される)でビーム経路114を偏向することができる。本明細書で使用される場合には、第1の1次角度範囲116a及び第2の1次角度範囲116bのそれぞれは、本明細書では総称して「1次角度範囲116」ともいう。一般的に、第1の1次角度範囲116aは、第2の1次角度範囲116bと重なっておらず、接してもいない。第1の1次角度範囲116aは、第2の1次角度範囲116bよりも大きくてもよく、小さくてもよく、あるいはこれと等しくてもよい。本明細書で使用される場合には、1次角度範囲116のうち1つ以上の1次角度範囲内でビーム経路114を偏向することを本明細書では「ビーム分岐」という。
第2のポジショナ108のそれぞれは、ビーム経路114を対応するスキャンレンズ112に偏向するように、レーザ源104により生成され、第1のポジショナ106により偏向されたレーザエネルギービームを回折し、反射し、屈折し、あるいはこれに類することを行い、あるいはこれらを任意に組み合わせて行う(すなわち、レーザエネルギービームを「偏向」する)ことが可能になっている。例えば、第2のポジショナ108aは、ビーム経路114をスキャンレンズ112aに偏向することができる。同様に、第2のポジショナ108bは、ビーム経路114をスキャンレンズ112bに偏向することができる。ビーム経路114をスキャンレンズ112aに偏向する際には、第2のポジショナ108aは、第1の角度範囲(本明細書では「第1の2次角度範囲118a」ともいう)内の任意の角度(例えば、これはスキャンレンズ112aの光軸に対して測定される)でビーム経路114を偏向することができる。同様に、ビーム経路114をスキャンレンズ112bに偏向する際には、第2のポジショナ108bは、第2の角度範囲(本明細書では「第2の2次角度範囲118b」ともいう)内の任意の角度(例えば、これはスキャンレンズ112bの光軸に対して測定される)でビーム経路114を偏向することができる。第1の2次角度範囲118aは、第2の2次角度範囲118bよりも大きくてもよく、小さくてもよく、あるいはこれと等しくてもよい。
スキャンレンズ112に偏向されたレーザエネルギーは、典型的には、ワークピース102に照射されるようにスキャンレンズ112により集束され、ビーム軸に沿って伝搬するように透過する。例えば、スキャンレンズ112aに透過偏向されたレーザエネルギーはワークピース102aに照射され、スキャンレンズ112bに偏向されたレーザエネルギーはワークピース102bに照射される。ワークピース102に照射されるレーザエネルギーは、ガウス形空間強度プロファイル又は非ガウス形(すなわち「整形」)空間強度プロファイル(例えば、「トップハット形」空間強度プロファイル、スーパーガウス形空間強度プロファイルなど)を有するものとして特徴付けることができる。
図1は、それぞれが異なるビーム軸に交差するように配置された複数のワークピース102を示しているが、複数のスキャンレンズから照射されるレーザエネルギーによって1つのより大きなワークピース102を加工してもよいことは理解できるであろう。さらに、図1は、それぞれが異なる第2のポジショナ108によって偏向されたビーム経路に沿って伝搬するレーザエネルギーを透過させるように配置された複数の複数のスキャンレンズ112を示しているが、複数の第2のポジショナ108によって偏向されたビーム経路に沿って伝搬するレーザエネルギーが共通のスキャンレンズ112を透過するように(例えば、ミラー、プリズム、ビームスプリッタなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものを用いて)装置100を構成してもよいことは理解できるであろう。
本明細書で使用される場合には、「スポットサイズ」という用語は、照射されるレーザエネルギービームによって少なくとも部分的に加工されるワークピース102の一領域をビーム軸が交差する位置(「プロセススポット」、「スポット位置」、あるいは単に「スポット」とも呼ばれる)に照射されるレーザエネルギービームの直径又は最大空間幅を意味する。本明細書における説明については、スポットサイズは、ビーム軸から、光学強度がビーム軸での光強度の1/e2にまで下がるところまでの半径方向距離又は横断距離として測定される。一般的に、レーザエネルギービームのスポットサイズは、ビームウェストで最小となる。ワークピース102に照射されると、ビーム内のレーザエネルギーは、2μmから200μmの範囲のスポットサイズでワークピース102に当たるものとして特徴付けることができる。しかしながら、スポットサイズは、2μmより小さくでき、あるいは200μmよりも大きくできることは理解できるであろう。このように、ワークピース102に照射されるレーザエネルギービームは、2μm、3μm、5μm、7μm、10μm、15μm、30μm、35μm、40μm、45μm、50μm、55μm、80μm、100μm、150μm、200μmなど、あるいはこれらの値のいずれかの間の値よりも大きいか、あるいは小さいか、あるいはこれと等しいスポットサイズを有することができる。
また、装置100は、レーザエネルギービームがビーム経路114に沿って伝搬する際に、レーザエネルギービームを集束し、拡大し、コリメートし、整形し、偏光し、フィルタし、分割し、結合し、クロップし、吸収し、あるいは修正し、調整するなどのための1以上の他の光学的構成要素(例えば、ビームトラップ、ビームエキスパンダ、ビーム成形器、ビームスプリッタ、アパーチャ、フィルタ、コリメータ、レンズ、ミラー、プリズム、偏光子、位相リターダ、回折光学素子(当該技術分野においてDOEとして一般的に知られている)、屈折光学素子(当該技術分野においてROEとして一般的に知られている)など、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの)を含み得る。ビームエキスパンダ、レンズ、ビームスプリッタ、プリズム、ダイクロイックフィルタ、窓、波長板、DOE、ROEなどの光学的構成要素が、入射したレーザエネルギービームを透過させることを意図された集合透明材料(これは必要に応じて反射防止コーティングなどで被覆され得る)から構成される限りにおいては、そのような光学的構成要素は、本明細書では総称して「透過型光学的構成要素」と呼ばれる。本明細書で使用される場合には、ポジショナ及び他の光学的構成要素の集合は、レーザ加工装置100に一緒に組み込まれた際には、「ビーム経路アセンブリ」を構成するものと考えられる。
A.レーザ源
一実施形態においては、レーザ源104はレーザパルスを生成することができる。このため、レーザ源104は、パルスレーザ源、CWレーザ源、QCWレーザ源、バーストモードレーザなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものを含み得る。レーザ源104がQCWレーザ源又はCWレーザ源を含む場合、レーザ源104は、パルスモードで動作してもよく、あるいは非パルスモードで動作するが、QCWレーザ源又はCWレーザ源から出力されるレーザ放射のビームを時間的に変調するパルスゲーティングユニット(例えば、音響光学(AO)変調器(AOM)、ビームチョッパなど)をさらに含んでいてもよい。図示されていないが、装置100は、レーザ源104により出力される光の波長を変換するように構成される1以上の高調波発生結晶(「波長変換結晶」としても知られている)を必要に応じて含むことができる。しかしながら、他の実施形態においては、レーザ源104が、QCWレーザ源又はCWレーザ源として提供され、パルスゲーティングユニットを含んでいなくてもよい。このように、レーザ源104は、その後ビーム経路114に沿って伝搬可能な一連のレーザパルスとして、あるいは連続又は準連続レーザビームとして表され得るレーザエネルギービームを生成可能なものとして広く特徴付けることができる。本明細書で述べられる多くの実施形態はレーザパルスに言及しているが、適切な場合又は必要な場合には、連続ビーム又は準連続ビームを代替的又は付加的に用いることができることを理解すべきである。
レーザ源104により出力されるレーザエネルギーは、電磁スペクトルの紫外光域(UV)、可視光域又は赤外光域(IR)の1以上の波長を有することができる。電磁スペクトルのUV範囲にあるレーザエネルギーは、100nm、121nm、124nm、157nm、200nm、334nm、337nm、351nm、380nmなど、あるいはこれらの値のいずれかの間の波長のような、10nm(又はその前後)から385nm(又はその前後)の範囲にある1以上の波長を有していてもよい。電磁スペクトルの可視緑色光域のレーザエネルギーは、511nm、515nm、530nm、532nm、543nm、568nmなど、あるいはこれらの値のいずれかの間の波長のような、500nm(又はその前後)から560nm(又はその前後)の範囲にある1以上の波長を有していてもよい。電磁スペクトルのIR域のレーザエネルギーは、600nmから1000nm、752.5nm、780nmから1060nm、799.3nm、980nm、1047nm、1053nm、1060nm、1064nm、1080nm、1090nm、1152nm、1150nmから1350nm、1540nm、2.6μmから4μm、4.8μmから8.3μm、9.4μm、10.6μmなど、あるいはこれらの値のいずれかの間の波長のような、750nm(又はその前後)から15μm(又はその前後)の範囲にある1以上の波長を有していてもよい。
レーザエネルギービームが一連のレーザパルスとして表される場合には、レーザ源104により出力されるレーザパルスは、10fsから900msの範囲のパルス幅又はパルス持続時間(すなわち、時間に対するパルス中の光パワーの半値全幅(FWHM)に基づく)を有し得る。しかしながら、パルス持続時間を10fsよりも短くしてもよく、あるいは900msよりも長くしてもよいことは理解できるであろう。このように、レーザ源104により出力される少なくとも1つのレーザパルスは、10fs、15fs、30fs、50fs、100fs、150fs、200fs、300fs、500fs、600fs、750fs、800fs、850fs、900fs、950fs、1ps、2ps、3ps、4ps、5ps、7ps、10ps、15ps、25ps、50ps、75ps、100ps、200ps、500ps、1ns、1.5ns、2ns、5ns、10ns、20ns、50ns、100ns、200ns、400ns、800ns、1000ns、2μs、5μs、10μs、15μs、20μs、25μs、30μs、40μs、50μs、100μs、300μs、500μs、900μs、1ms、2ms、5ms、10ms、20ms、50ms、100ms、300ms、500ms、900ms、1sなど、あるいはこれらの値のいずれかの間の値より短いパルス持続時間、これよりも長いパルス持続時間、あるいはこれと等しいパルス持続時間を有することができる。
レーザ源104により出力されるレーザパルスは、5mWから50kWの範囲にある平均パワーを有することができる。しかしながら、平均パワーを5mWよりも低くしてもよく、あるいは50kWよりも高くしてもよいことは理解できるであろう。このように、レーザ源104により出力されるレーザパルスは、5mW、10mW、15mW、20mW、25mW、50mW、75mW、100mW、300mW、500mW、800mW、1W、2W、3W、4W、5W、6W、7W、10W、15W、18W、25W、30W、50W、60W、100W、150W、200W、250W、500W、2kW、3kW、20kW、50kWなど、あるいはこれらの値のいずれかの間の値よりも低い平均パワー、これよりも高い平均パワー、あるいはこれと等しい平均パワーを有することができる。
レーザパルスは、5kHzから5GHzの範囲にあるパルス繰り返し率でレーザ源104により出力され得る。しかしながら、パルス繰り返し率は、5kHzよりも低くてもよく、あるいは5GHzよりも高くてもよいことは理解できるであろう。このように、5kHz、50kHz、100kHz、175kHz、225kHz、250kHz、275kHz、500kHz、800kHz、900kHz、1MHz、1.5MHz、1.8MHz、1.9MHz、2MHz、2.5MHz、3MHz、4MHz、5MHz、10MHz、20MHz、50MHz、60MHz、100MHz、150MHz、200MHz、250MHz、300MHz、350MHz、500MHz、550MHz、600MHz、900MHz、2GHz、10GHzなど、あるいはこれらの値のいずれかの間の値よりも低いパルス繰り返し率、これよりも高いパルス繰り返し率、あるいはこれと等しいパルス繰り返し率でレーザ源104によりレーザパルスを出力することができる。
波長、平均パワー、及びレーザエネルギービームが一連のレーザパルスとして表される場合にはパルス持続時間及びパルス繰り返し率に加えて、ワークピース102に照射されるレーザエネルギービームは、パルスエネルギー、ピークパワーなどの1以上の他の特性により特徴付けることができる。そのような特性は、(例えば、1以上のフィーチャを形成するために)ワークピース102を加工するのに十分な光強度(W/cm2で測定される)やフルエンス(J/cm2で測定される)などでワークピース102のプロセススポットを照射するために(例えば、必要に応じて波長、パルス持続時間、平均パワー、パルス繰り返し率などの1以上の他の特性に基づいて)選択することができる。
レーザ源104を特徴付け得るレーザの種類の例としては、ガスレーザ(例えば、二酸化炭素レーザ、一酸化炭素レーザ、エキシマレーザなど)、固体レーザ(例えば、Nd:YAGレーザなど)、ロッドレーザ、ファイバレーザ、フォトニック結晶ロッド/ファイバレーザ、パッシブモードロック固体バルク又はファイバレーザ、色素レーザ、モードロックダイオードレーザ、パルスレーザ(例えば、msパルスレーザ、nsパルスレーザ、psパルスレーザ、fsパルスレーザ)、CWレーザ、QCWレーザなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものが挙げられる。構成によっては、ガスレーザ(例えば二酸化炭素レーザなど)は、1以上のモード(例えば、CWモード、QCWモード、パルスモード、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの)で動作するように構成され得る。レーザ源104として提供され得るレーザ源の具体例としては、EOLITE社により製造されるBOREAS、HEGOA、SIROCCO又はCHINOOKシリーズのレーザ、PYROPHOTONICS社により製造されるPYROFLEXシリーズのレーザ、COHERENT社により製造されるPALADIN Advanced 355又はDIAMONDシリーズ(例えば、DIAMOND Eシリーズ、Gシリーズ-、J-2シリーズ、J-3シリーズ、J-5シリーズ)、FLARE NXシリーズ、MATRIX QS DPSSシリーズ、MEPHISTO Qシリーズ、AVIA LXシリーズ、AVIA NXシリーズ、RAPID NXシリーズ、HYPERRAPID NXシリーズ、RAPIDシリーズ、HELIOSシリーズ、FIDELITYシリーズ、MONACOシリーズ、OPERAシリーズ、又はRAPID FXシリーズのレーザ、SPECTRA PHYSICS社により製造されるASCENDシリーズ、EXCELSIORシリーズ、EXPLORERシリーズ、HIPPOシリーズ、NAVIGATORシリーズ、QUANTA-RAYシリーズ、QUASARシリーズ、SPIRITシリーズ、TALONシリーズ、又はVGENシリーズのレーザ、SYNRAD社により製造されるPULSTARシリーズ又はFIRESTARシリーズのレーザ、いずれもTRUMPF社により製造されるTRUFLOWシリーズのレーザ(例えば、TRUFLOW 2000、2600、3000、3200、3600、4000、5000、6000、6000、8000、10000、12000、15000、20000)、TRUCOAXシリーズのレーザ(例えば、TRUCOAX 1000)又はTRUDISKシリーズ、TRUPULSEシリーズ、TRUDIODEシリーズ、TRUFIBERシリーズ、又はTRUMICROシリーズのレーザ、IMRA AMERICA社により製造されるFCPAμJEWEL又はFEMTOLITEシリーズのレーザ、AMPLITUDE SYSTEMES社により製造されるTANGERINE及びSATSUMAシリーズのレーザ(及びMIKAN及びT-PULSEシリーズの発振器)、IPG PHOTONICS社により製造されるCLシリーズ、CLPFシリーズ、CLPNシリーズ、CLPNTシリーズ、CLTシリーズ、ELMシリーズ、ELPFシリーズ、ELPNシリーズ、ELPPシリーズ、ELRシリーズ、ELSシリーズ、FLPNシリーズ、FLPNTシリーズ、FLTシリーズ、GLPFシリーズ、GLPNシリーズ、GLRシリーズ、HLPNシリーズ、HLPPシリーズ、RFLシリーズ、TLMシリーズ、TLPNシリーズ、TLRシリーズ、ULPNシリーズ、ULRシリーズ、VLMシリーズ、VLPNシリーズ、YLMシリーズ、YLPFシリーズ、YLPNシリーズ、YLPPシリーズ、YLRシリーズ、YLSシリーズ、FLPMシリーズ、FLPMTシリーズ、DLMシリーズ、BLMシリーズ、又はDLRシリーズのレーザ(例えば、GPLN-100-M、GPLN-500-QCW、GPLN-500-M、GPLN-500-R、GPLN-2000-Sなどを含む)、又はこれに類するもの、あるいはこれらを任意に組み合わせたもののような1以上のレーザ源が挙げられる。
B.第1のポジショナ
一般的に、第1のポジショナ106は、(例えば、第1の1次角度範囲116a内、第2の1次角度範囲116b内、あるいはこれらを組み合わせたものの範囲内でビーム経路114を偏向することにより)X軸(又はX方向)、Y軸(又はY方向)、又はこれらを組み合わせたものに沿ってビーム軸118をワークピース102に対して移動できるようになっている。図示されていないが、Y軸(又はY方向)は、図示されたX軸(又はX方向)及びZ軸(又はZ方向)に直交する軸(又は方向)を意味するものと理解できるであろう。
一実施形態においては、(例えば第1の分岐期間中に)ビーム経路114を第2のポジショナ108aに偏向し、(例えば、第1の分岐期間後の第2の分岐期間中に)ビーム経路114を第2のポジショナ108bに偏向するように、あるいはこれと逆になるように、あるいはこれらを組み合わせるように第1のポジショナ106の動作を制御してもよい。他の例においては、ビーム経路114を第2のポジショナ108a及び第2のポジショナ108bに同時に偏向するように第1のポジショナ106の動作を制御してもよい。本明細書で述べられる実施形態においては、第1の分岐期間の長さは、第2の分岐期間の長さよりも長くてもよく、あるいは短くてもよく、あるいはこれと等しくてもよい。第1の分岐期間と第2の分岐期間のそれぞれの長さは、第1のポジショナ106の位置決め期間よりも長くてもよく、あるいは短くてもよく、あるいはこれと等しくてもよい。一実施形態においては、第1の分岐期間と第2の分岐期間のそれぞれの長さは、第1のポジショナ106の位置決め期間の整数倍(この整数は、1、2、3、4、5、10、20、50、100などの整数、あるいはこれらの値のいずれかの間にある任意の整数であり得る)として特徴付けることができる。第1のポジショナ106の「位置決め期間」に関するさらなる説明に関する後述のセクションを参照されたい。ある実施形態においては、それぞれの分岐期間の長さは、200μs、125μs、100μs、50μs、33μs、25μs、20μs、13.3μs、12.5μs、10μs、4μs、2μs、1.3μs、1μs、0.2μs、0.1μs、0.05μs、0.025μs、0.02μs、0.013μs、0.01μs、0.008μs、0.0067μs、0.0057μs、0.0044μs、0.004μsなど、あるいはこれらの値のいずれかの間の値よりも長くてもよく、あるいは短くてもよく、あるいはこれと等しくてもよい。
レーザ源104により出力されるレーザエネルギービームが一連のレーザパルスとして表される場合には、それぞれの分岐期間は、レーザエネルギービーム中のレーザパルスのパルス持続時間以上の期間を有し得る。しかしながら、他の実施形態においては、1以上の分岐期間が、レーザエネルギービーム中のレーザパルスのパルス持続時間より短い期間を有していてもよい。そのような実施形態においては、ビーム分岐をすることによって、レーザパルスが時間的に分割されることになり得る。したがって、このビーム分岐を「パルススライシング」とも呼ぶことができる。パルススライシングは、以下でより詳細に述べられるが、これは、ビーム分岐と関連して行われ得るか、あるいはビーム分岐とは別に行われ得る。すなわち、単一の1次角度範囲116内(例えば、第1の1次角度範囲116a内又は第2の1次角度範囲116b内)の異なる角度でビーム経路114を偏向するように第1のポジショナ106を動作させているときにパルススライシングが実現され得る。このように、パルススライシングは、ビーム分岐と関連して行うことができ、あるいは、ビーム分岐とは別に行うことができる。レーザパルスが時間的に分割される期間は、総称して「スライス期間」と呼ぶことができる。本明細書においては、パルススライシングの手法が、レーザパルスを時間的に分割するために適用されるものとして述べられているが、これらの手法は、連続レーザビーム又は準連続レーザビームとして表されるレーザエネルギービームを時間的に分割するために同様に適用できることは理解できるであろう。
第1のポジショナ106により行われるワークピース102に対するビーム軸の移動は、スキャンレンズ112により投影される第1のスキャン領域内でプロセススポットをスキャン、移動、あるいは位置決めできるように概して限定されている。一般的に、第1のポジショナ106の構成、ビーム経路114に沿った第1のポジショナ106の位置、第1のポジショナ106に入射するレーザエネルギービームのビームサイズなどの1以上のファクタに応じて、第1のスキャン領域は、X方向又はY方向のいずれかにおいて、0.01mm、0.04mm、0.1mm、0.5mm、1.0mm、1.4mm、1.5mm、1.8mm、2mm、2.5mm、3.0mm、3.5mm、4.0mm、4.2mm、5mm、10mm、25mm、50mm、60mmなど、あるいはこれらの値のいずれかの間の値より短い距離、又はこれより長い距離、又はこれと等しい距離まで延びていてもよい。本明細書で使用される場合には、「ビームサイズ」という用語は、レーザエネルギービームの直径又は幅を意味し、ビーム軸から、光学強度がビーム経路114に沿った伝搬軸での光強度の1/e2にまで下がるところまでの半径方向距離又は横断距離として測定され得る。(例えば、X方向又はY方向における、あるいはその他の方向における)第1のスキャン領域の最大寸法は、ワークピース102に形成されるフィーチャ(例えば、開口、凹部、ビア、トレンチなど)の対応する最大寸法(XY平面で測定される)よりも大きくてもよく、あるいはこれと等しくてもよく、あるいはこれよりも小さくてもよい。
一般的に、第1のポジショナ106は、ガルバノメータミラーシステム、AO偏向器(AOD)システム、電気光学(EO)偏向器(EOD)システム、ファーストステアリングミラー(FSM)システムなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものとして提供され得る。AODシステムのAODは、一般的に、結晶ゲルマニウム(Ge)、ガリウムヒ素(GaAs)、黄鉛鉱(PbMoO4)、二酸化テルル(TeO2)、水晶、ガラス状SiO2、三硫化ヒ素(As2S3)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものなどの材料から形成されるAOセルを含んでいる。EODシステムのEODは、一般的に、ニオブ酸リチウム、ニオブ酸タンタライトカリウムなどから形成されるEOセルを含んでいる。AOセルとEOセルが入射レーザエネルギービームを透過させるように構成されている限りにおいて、AOセルとEOセルは、透過型光学的構成要素の一種であると考えることができる。
第1のポジショナ106は、第1のポジショナ106がプロセススポットを第1のスキャン領域内の任意の位置に位置決め(し、これによりビーム軸を移動)する速度を意味する「第1の位置決め速度」を有するものとして特徴付けることができる。例えば、第1の位置決め速度は、8kHz、10kHz、20kHz、30kHz、40kHz、50kHz、75kHz、80kHz、100kHz、250kHz、500kHz、750kHz、1MHz、5MHz、10MHz、20MHz、40MHz、50MHz、75MHz、100MHz、125MHz、150MHz、175MHz、200MHz、225MHz、250MHzなど、あるいはこれらの値のいずれかの間の値よりも大きくてもよく、あるいはこれ以下であってもよい。本明細書において、この範囲は、第1の位置決め帯域幅とも呼ばれる。第1のポジショナ106の動作中、駆動信号を繰り返し第1のポジショナ106に与え、第1の位置決め帯域幅は、駆動信号が与えられる速度に対応する(これに等しい、あるいは少なくとも実質的に等しい)。駆動信号が与えられる速度は「更新速度」又は「リフレッシュ速度」とも呼ばれる。本明細書において、第1の位置決め速度の逆数は「第1の位置決め期間」と呼ばれ、プロセススポットの位置が第1のスキャン領域内のある場所から第1のスキャン領域内の別の場所まで変化するまでにかかる最短時間を意味する。このため、第1のポジショナ106は、200μs、125μs、100μs、50μs、33μs、25μs、20μs、15μs、13.3μs、12.5μs、10μs、4μs、2μs、1.3μs、1μs、0.2μs、0.1μs、0.05μs、0.025μs、0.02μs、0.013μs、0.01μs、0.008μs、0.0067μs、0.0057μs、0.0044μs、0.004μsなど、あるいはこれらの値のいずれかの間の値よりも長い、あるいはこれ以下の第1の位置決め期間を有するものとして特徴付けることができる。
i.概して第1のポジショナとしてのAODシステムに関する実施形態
一実施形態においては、第1のポジショナ106は、少なくとも1つの(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つなどの)単一素子AOD、少なくとも1つの(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つなどの)多素子AODなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものを含むAODシステムとして提供される。本明細書においては、AODを1つだけ含むAODシステムは「シングルセルAODシステム」と呼ばれ、1つよりも多くのAODを含むAODシステムは「マルチセルAODシステム」と呼ばれる。本明細書で使用される場合には、「単一素子」AODは、AOセルに音響的に連結された超音波変換素子を1つだけ備えたAODを意味し、「多素子」AODは、共通のAOセルに音響的に連結された超音波変換素子を2つ以上含んでいる。AODシステムは、ビーム経路114を対応する方法で偏向することにより(例えば、ビーム軸を単一の軸に沿って偏向可能な)単一軸AODシステムとして、あるいは(例えば、ビーム軸を1以上の軸に沿って、例えばX軸に沿って、あるいはY軸に沿って、あるいはこれらを任意に組み合わせた軸に沿って偏向可能な)多軸AODシステムとして提供され得る。一般的に、多軸AODシステムは、シングルセルAODシステム又はマルチセルAODシステムとして提供され得る。マルチセル多軸AODシステムは、典型的には、それぞれ異なる軸に沿ってビーム軸を偏向可能な複数のAODを含んでいる。例えば、マルチセル多軸システムは、1つの軸に沿って(例えばX軸に沿って)ビーム軸を偏向可能な第1のAOD(例えば、単一素子又は多素子AODシステム)と、第2の軸(例えばY軸に沿って)ビーム軸を偏向可能な第2のAOD(例えば、単一素子又は多素子AOD)とを含み得る。シングルセル多軸軸システムは、典型的には、2つの軸に沿って(例えばX軸及びY軸に沿って)ビーム軸を偏向可能な単一のAODを含んでいる。例えば、シングルセル多軸システムは、共通のAOセルの直交配置された平面、小面、側面などに音響的に連結された2つ以上の超音波変換素子を含み得る。
当業者によって理解されるように、AO技術(例えば、AOD、AOMなど)は、(AODの「回折軸」に沿って)AOセルを伝搬する1以上の音波により生じる回折作用を利用して、(AOD内の「光軸」に沿って)AOセルを同時に伝搬する入射光波(すなわち、本出願の文脈においてはレーザエネルギービーム)を回折している。入射レーザエネルギービームを回折することにより、典型的にはゼロ次及び1次回折ピークを含み、さらに高次(例えば、2次、3次など)の他の回折ピークも含み得る回折模様が生じる。当該技術分野において知られているように、ゼロ次回折折ピークにおいて回折されたレーザエネルギービームの部分は「ゼロ次」ビームと呼ばれ、1次回折ピークにおいて回折されたレーザエネルギービームの部分は「1次」ビームと呼ばれるなどする。概して、ゼロ次ビーム及びその他の次数のビーム(例えば1次ビームなど)は、(例えば、AOセルの光出力側を通って)AOセルから出ていくときに異なるビーム経路に沿って伝搬する。例えば、ゼロ次ビームは、ゼロ次ビーム経路に沿って伝搬し、1次ビームは、第1次ビーム経路に沿って伝搬するといったようである。
音波は、典型的には、(例えば、第1のポジショナ106の1以上のドライバからの)RF駆動信号を超音波変換素子に印加することによりAOセルに入力される。このため、AODシステムの1以上の超音波変換素子にRF駆動信号を印加することによりAODシステムを動作させることができる。(例えば、コントローラ122、構成要素固有のコントローラなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものにより出力される1以上の制御信号に基づいて)RF駆動信号の特性(例えば、振幅、周波数、位相など)を制御して、入射光波が回折される方法を調整することができる。例えば、与えられたRF駆動信号の周波数が、ビーム経路114が偏向される角度を決定する。当該技術分野において知られているように、ビーム経路114が偏向される角度Θは、以下のように計算することができる。
ここで、λはレーザエネルギービームの光波長、fは印加RF駆動信号の周波数、vはAOセル内の音波の速度である。印加RF駆動信号の周波数が複数の周波数から構成される場合には、ビーム経路114は同時に複数の角度で偏向される。
AOセルから出る1次ビーム経路は、典型的には、AOセル内で回転あるいは偏向されたビーム経路114とみなすことができる。本明細書で特に示さない限り、AOセルから出るビーム経路114は1次ビーム経路に対応している。AOセルから出るビーム経路114が(例えば、AOセルに入射したときのビーム経路114に対して)回転される中心軸(本明細書では「回転軸」ともいう)は、AOセルの回折軸と入射レーザエネルギービームを回折するようにAODを動作又は駆動したときにAOセル内で入射レーザエネルギービームが伝搬する方向に沿った光軸との両方に直交する。このように、AODは、AOセルの回折軸とAOセル内の光軸とを含む(あるいは、そうでなければこれに略平行な)平面(本明細書では「偏向平面」ともいう)内で入射ビーム経路114を偏向する。本明細書では、AODが偏向平面内でビーム経路114を偏向できる空間的範囲は、そのAODの「スキャン領域」と呼ばれる。したがって、第1のポジショナ106の第1のスキャン領域は、(例えば、第1のポジショナ106が単一のAODを含む場合には)単一のAODのスキャン領域に対応すると考えることができ、(例えば、第1のポジショナ106が複数のAODを含む場合には)複数のAODの結合スキャン領域に対応すると考えることができる。
AOセルを形成する材料は、AOセルに入射するようにビーム経路114に沿って伝搬するレーザエネルギーの波長に依存することは理解できるであろう。例えば、偏向されるレーザエネルギーの波長が2μm(又はその前後)から20μm(又はその前後)の範囲にある場合には、結晶ゲルマニウムのような材料を用いることができ、偏向されるレーザエネルギーの波長が1μm(又はその前後)から11μm(又はその前後)の範囲にある場合には、ガリウムヒ素や三硫化ヒ素のような材料を用いることができ、偏向されるレーザエネルギーの波長が200nm(又はその前後)から5μm(又はその前後)の範囲にある場合には、ガラス状SiO2、石英、ニオブ酸リチウム、黄鉛鉱、及び二酸化テルルのような材料を用いることができる。
C.第2のポジショナ
一般的に、第2のポジショナ108は、(例えば、第1の2次角度範囲118a内又は第2の2次角度範囲118b内でビーム経路114を偏向することにより)ワークピース102に対してビーム軸をX軸(又はX方向)、Y軸(又はY方向)、又はこれらの組み合わせたものに沿って移動させることが可能である。
第2のポジショナ108により行われるワークピース102に対するビーム軸の移動は、スキャンレンズ112により投影される第2のスキャン領域内でプロセススポットをスキャン、移動、あるいは位置決めできるように概して限定されている。一般的に、第2のポジショナ108の構成、ビーム経路114に沿った第2のポジショナ108の位置、第2のポジショナ108に入射するレーザエネルギービームのビームサイズ、スポットサイズなどの1以上のファクタに応じて、第2のスキャン領域は、X方向又はY方向のいずれかにおいて、第1のスキャン領域の対応する距離よりも長い距離まで延びていてもよい。上記の観点から、第2のスキャン領域は、X方向又はY方向のいずれかにおいて、1mm、25mm、50mm、75mm、100mm、250mm、500mm、750mm、1cm、25cm、50cm、75cm、1m、1.25m、1.5mなど、あるいはこれらの値のいずれかの間の値より短い距離、又はこれより長い距離、又はこれと等しい距離まで延びていてもよい。(例えば、X方向又はY方向、あるいはその他の方向における)第2のスキャン領域の最大寸法は、ワークピース102に形成されるフィーチャ(例えば、開口、凹部、ビア、トレンチ、スクライブライン、導電トレースなど)の(XY平面において測定される)最大寸法よりも大きくてもよく、これと等しくてもよく、あるいはこれよりも小さくてもよい。
本明細書で述べられる構成の観点においては、第1のポジショナ106により行われるビーム軸の移動を第2のポジショナ108により行われるビーム軸の移動に重ね合わせることができる。このため、第2のポジショナ108は、第2のスキャン領域内で第1のスキャン領域をスキャンすることができる。
一般的に、第2のポジショナ108が第2のスキャン領域内の任意の位置にプロセススポットを位置決め(これにより第2のスキャン領域内でビーム軸を移動、さらに/あるいは第2のスキャン領域内で第1のスキャン領域をスキャン)できる位置決め速度は、第1の位置決め帯域幅よりも小さい範囲(本明細書では「第2の位置決め帯域幅」ともいう)に及ぶものである。一実施形態においては、第2の位置決め帯域幅は、500Hz(又はその前後)から8kHz(又はその前後)の範囲にある。例えば、第2の位置決め帯域幅は、500Hz、750Hz、1kHz、1.25kHz、1.5kHz、1.75kHz、2kHz、2.5kHz、3kHz、3.5kHz、4kHz、4.5kHz、5kHz、5.5kHz、6kHz、6.5kHz、7kHz、7.5kHz、8kHzなど、あるいはこれらの値のいずれかの間の値よりも高くてもよく、あるいはこれと等しくてもよく、あるいはこれより低くてもよい。
一実施形態においては、第2のポジショナ108は、2つのガルバノメータミラーコンポーネント、すなわち、ワークピース102に対してビーム軸をX軸に沿って移動させるように構成される第1のガルバノメータミラーコンポーネント(例えばX軸ガルバノメータミラーコンポーネント)と、ワークピース102に対してビーム軸をY軸に沿って移動させるように構成される第2のガルバノメータミラーコンポーネント(例えばY軸ガルバノメータミラーコンポーネント)とを含むガルバノメータミラーシステムとして提供され得る。しかしながら、他の実施形態においては、第2のポジショナ108は、ワークピース102に対してビーム軸をX軸及びY軸に沿って移動させるように構成される単一のガルバノメータミラーコンポーネントのみを含むガルバノメータミラーシステムとして提供されてもよい。さらに他の実施形態においては、第2のポジショナ108は、回転多面鏡システムなどとして提供されてもよい。このように、第2のポジショナ108及び第1のポジショナ106の特定の構成に応じて、第2の位置決め帯域幅は第1の位置決め帯域幅より大きいか、これと等しくてもよいことは理解できるであろう。
D.第3のポジショナ
第3のポジショナ110は、スキャンレンズ112に対してワークピース102(例えばワークピース102a及び102b)を移動させ、その結果、ビーム軸に対してワークピース102を移動させることができる。ビーム軸に対するワークピース102の移動は、第3のスキャン領域内でプロセススポットをスキャン、移動、あるいは位置決めできるように概して限定されている。第3のポジショナ110の構成のような1以上のファクタに応じて、第3のスキャン領域は、X方向、Y方向、あるいはこれらを任意に組み合わせた方向において、第2のスキャン領域の対応する距離よりも長い距離又はこれと等しい距離まで延びていてもよい。しかしながら、一般的に、(例えば、X方向又はY方向、あるいはその他の方向における)第3のスキャン領域の最大寸法は、ワークピース102に形成されるフィーチャの(XY平面において測定される)対応する最大寸法よりも大きいか、これと等しい。必要に応じて、第3のポジショナ110は、(例えば、1mmから50mmの範囲にわたって)Z方向に延びるスキャン領域内でビーム軸に対してワークピース102を移動可能であってもよい。このように、第3のスキャン領域は、X方向、Y方向、及び/又はZ方向に沿って延びていてもよい。
本明細書で述べられる構成の観点においては、(例えば、第1のポジショナ106及び/又は第2のポジショナ108により行われる)ワークピース102に対するプロセススポットの移動を第3のポジショナ110により行われるワークピース102の移動に重ね合わせることができることは理解すべきである。このため、第3のポジショナ110は、第3のスキャン領域内で第1のスキャン領域及び/又は第2のスキャン領域をスキャンすることができる。一般的に、第3のポジショナ110が第3のスキャン領域内の任意の位置にワークピース102を位置決め(これによりワークピース102を移動し、第3のスキャン領域内で第1のスキャン領域をスキャンし、さらに/あるいは第3のスキャン領域内で第2のスキャン領域をスキャン)できる位置決め速度は、第2の位置決め帯域幅よりも小さい範囲(本明細書では「第3の位置決め帯域幅」ともいう)に及ぶものである。一実施形態においては、第3の位置決め帯域幅は500Hz(又はその前後)未満である。例えば、第3の位置決め帯域幅は、500Hz、250Hz、150Hz、100Hz、75Hz、50Hz、25Hz、10Hz、7.5Hz、5Hz、2.5Hz、2Hz、1.5Hz、1Hzなど、あるいはこれらの値のいずれかの間の値と等しくてもよく、これよりも低くてもよい。
一実施形態においては、第3のポジショナ110は、(例えば、それぞれワークピース102にX方向、Y方向、及び/又はZ方向に沿った並進移動を与えることができる)1以上の直動ステージ、(例えば、それぞれワークピース102にX方向、Y方向、及び/又はZ方向に平行な軸を中心とした回転移動を与えることができる)1以上の回転ステージなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものとして提供される。一実施形態においては、第3のポジショナ110は、ワークピース102をX方向に沿って移動するためのXステージと、Xステージにより支持され(これによりXステージによりX方向に沿って移動可能となる)、ワークピース102をY方向に沿って移動するためのYステージとを含んでいる。
図示はされていないが、装置100は、必要に応じて、第3のポジショナ110のステージに連結される固定具(例えばチャック)を含んでいてもよい。固定具は支持領域を含み得るもので、ワークピース102は、この支持領域内で固定具に機械的にクランプされ、固定され、保持され、固着され、あるいは固定具に支持され得る。一実施形態においては、ワークピース102は、固定具の典型的には平坦な主支持面に直接接触するようにクランプされ、固定され、保持され、固着され、あるいは支持され得る。他の実施形態においては、ワークピース102は、固定具の支持面から離間するようにクランプされ、固定され、保持され、固着され、あるいは支持され得る。一実施形態においては、ワークピース102は、固定具からワークピース102に選択的に与えられる、あるいはワークピース102と固定具との間に存在する力(例えば、静電力、真空力、磁力)により固定され、保持され、あるいは固着され得る。
これまで述べたように、装置100は、第3のポジショナ110として、いわゆる「スタック型」位置決めシステムを使用し得る。この「スタック型」位置決めシステムは、第1のポジショナ106、第2のポジショナ108、スキャンレンズ112などのワークピース以外の構成要素の位置をワークピース102に対して(例えば、当該技術分野において知られているような1以上の支持部、フレームなどを介して)装置100内で静止させつつ、ワークピース102を移動可能とするものである。他の実施形態においては、第3のポジショナ110は、第1のポジショナ106、第2のポジショナ108、スキャンレンズ112など、あるいはこれらを任意に組み合わせたもののような1以上の構成要素を移動するように配置し、動作させてもよく、ワークピース102を静止させておいてもよい。
さらに他の実施形態においては、第3のポジショナ110は、第1のポジショナ106、第2のポジショナ108、スキャンレンズ112など、あるいはこれらを任意に組み合わせたもののような1以上の構成要素が(例えば、フレームやガントリなどに搭載された)1以上の直動又は回転ステージにより搬送され、ワークピース102が1以上の他の直動又は回転ステージにより搬送される、いわゆる「分割軸」位置決めシステムとして提供され得る。そのような実施形態においては、第3のポジショナ110は、(例えば、第2のポジショナ108及びスキャンレンズ112を含む)スキャンヘッドのような1以上の構成要素を移動するように配置され、動作可能な1以上の直動又は回転ステージと、ワークピース102を移動するように配置され、動作可能な1以上の直動又は回転ステージとを含んでいる。例えば、第3のポジショナ110は、Y方向に沿ってワークピース102を移動させるYステージと、X方向に沿ってスキャンヘッドを移動させるXステージとを含んでいてもよい。装置100において有益に又は都合良く利用され得る分割軸位置決めシステムの例としては、米国特許第5,751,585号、第5,798,927号、第5,847,960号、第6,606,999号、第7,605,343号、第8,680,430号、第8,847,113号において、あるいは米国特許出願公開第2014/0083983号において開示されているもののいずれか、あるいはこれらを任意に組み合わせたものが挙げられる。これらの文献のそれぞれはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
第3のポジショナ110がZステージを含む一実施形態においては、Zステージは、ワークピース102をZ方向に沿って移動させるように配置及び構成され得る。この場合において、Zステージは、ワークピース102を移動又は位置決めするための上述した他のステージのうち1つ以上により搬送されてもよく、あるいは、ワークピース102を移動又は位置決めするための上述した他のステージのうち1つ以上を搬送してもよく、あるいはこれらを任意に組み合わせてもよい。第3のポジショナ110がZステージを含む他の実施形態においては、Zステージは、スキャンヘッドをZ方向に沿って移動させるように配置及び構成され得る。このように、第3のポジショナ110が分割軸位置決めシステムとして提供される場合には、ZステージはXステージを搬送してもよいし、あるいはXステージにより搬送されてもよい。ワークピース102又はスキャンヘッドをZ方向に沿って移動させることにより、ワークピース102でのスポットサイズを変化させることができる。
さらに他の実施形態においては、第1のポジショナ106、第2のポジショナ108、スキャンレンズ112などの1以上の構成要素は、多軸関節ロボットアーム(例えば、2軸、3軸、4軸、5軸、又は6軸アーム)により搬送され得る。そのような実施形態においては、第2のポジショナ108及び/又はスキャンレンズ112は、必要に応じて、ロボットアームのエンドエフェクタにより搬送され得る。さらに他の実施形態においては、ワークピース102は、多軸関節ロボットアームのエンドエフェクタ上で直接(すなわち第3のポジショナ110なしで)搬送され得る。さらに他の実施形態においては、第3のポジショナ110は、多軸関節ロボットアームのエンドエフェクタ上で搬送され得る。
D.スキャンレンズ
概して、(例えば、単純なレンズ又は複合レンズのいずれかとして提供される)スキャンレンズ112は、典型的には、所望のプロセススポット又はその近傍に位置し得るビームウェストを生成するようにビーム経路に沿って方向付けられたレーザエネルギービームの焦点を合わせるように構成されている。スキャンレンズ112は、fシータレンズ、テレセントリックレンズ、アキシコンレンズ(その場合には、一連のビームウェストが生成され、ビーム軸に沿って互いにずれた複数のプロセススポットが生じる)など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものとして提供され得る。スキャンレンズ112は、(図示されるような)非テレセントリックレンズfシータレンズ、テレセントリックレンズ、アキシコンレンズ(その場合には、一連のビームウェストが生成され、ビーム軸に沿って互いにずれた複数のプロセススポットが生じる)など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものとして提供され得る。
一実施形態においては、スキャンレンズ112は、固定焦点距離レンズとして提供され、(例えば、ビームウェストの位置をビーム軸に沿って変化させるように)スキャンレンズ112を移動可能なスキャンレンズポジショナ(例えば、図示しないレンズアクチュエータ)に連結される。例えば、レンズアクチュエータは、Z方向に沿ってスキャンレンズ112を直線的に並進可能なボイスコイルとして提供され得る。この場合において、スキャンレンズ112は、溶融シリカ、光学ガラス、セレン化亜鉛、硫化亜鉛、ゲルマニウム、ガリウムヒ素、フッ化マグネシウムなどの材料から形成されていてもよい。他の実施形態においては、スキャンレンズ112は、ビーム軸に沿ってビームウェストの位置を変化させるために(例えばレンズアクチュエータを介して)作動され得る可変焦点距離レンズ(例えば、ズームレンズ、又はCOGNEX社、VARIOPTIC社などにより現在提供されている技術を組み込んだ、いわゆる「液体レンズ」など)として提供される。ビーム軸に沿ってビームウェストの位置を変化させることにより、ワークピース102でのスポットサイズを変化させることができる。
装置100がレンズアクチュエータを含む実施形態においては、レンズアクチュエータは、(例えば、スキャンヘッド内で第2のポジショナ108に対してスキャンレンズ112を移動可能とするように)スキャンレンズ112に連結されていてもよい。あるいは、レンズアクチュエータは、(例えば、スキャンレンズ112及び第2のポジショナ108が一緒に移動する場合には、スキャンヘッド自体を移動可能とするように)スキャンヘッド120に連結されていてもよい。他の実施形態においては、スキャンレンズ112及び第2のポジショナ108は、(例えば、スキャンレンズ112が一体化されるハウジングが第2のポジショナ108が一体化されるハウジングに対して移動可能となるように)異なるハウジングに一体化される。
F.コントローラ
一般的に、装置100は、装置100の制御及び動作を制御又は促進するためのコントローラ122のような1以上のコントローラを含んでいる。一実施形態においては、コントローラ122は、レーザ源104、第1のポジショナ106、第2のポジショナ108、第3のポジショナ110、レンズアクチュエータ、(可変焦点距離レンズとして提供される場合には)スキャンレンズ112、固定具などの装置100の1以上の構成要素と(例えば、USB、RS-232、Ethernet、Firewire、Wi-Fi、RFID、NFC、Bluetooth、Li-Fi、SERCOS、MARCO、EtherCATなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたもののような1以上の有線又は無線のシリアル又はパラレル通信リンクを介して)通信可能に連結されており、これにより、これらの構成要素が、コントローラ122により出力された1以上の制御信号に応答して動作するようになっている。
例えば、コントローラ122は、ビーム軸とワークピースとの間で相対移動を行い、ワークピース102内で経路又は軌跡(本明細書においては「プロセス軌跡」とも呼ばれる)に沿ってプロセススポットとワークピース102との間で相対運動を生じさせるように第1のポジショナ106、第2のポジショナ108、又は第3のポジショナ110、あるいはこれらを任意に組み合わせたものの動作を制御し得る。これらのポジショナのうち任意の2つ、又はこれらのうちの3つすべてが、2つのポジショナ(例えば、第1のポジショナ106及び第2のポジショナ108、第1のポジショナ106及び第3のポジショナ110、第2のポジショナ108及び第3のポジショナ110)又は3つのポジショナが同時にプロセススポットとワークピース102との間で相対移動を生じさせる(これにより、ビーム軸とワークピースとの間で「複合相対移動」を生じさせる)ように制御されてもよいことは理解できるであろう。もちろん、任意の時点で、プロセススポットとワークピース102との間で相対移動を生じさせる(これにより、ビーム軸とワークピースとの間で「非複合相対移動」を生じさせる)ように1つのポジショナ(例えば、第1のポジショナ106、第2のポジショナ108又は第3のポジショナ110)だけを制御することも可能である。
一実施形態においては、コントローラ122は、ワークピース102内のプロセス軌跡に沿ってプロセススポットとワークピース102との間で相対移動を生じさせるように、ビーム軸とそれぞれのワークピース102との間で(例えば、対応する第2のポジショナ108と連携した、あるいは第3のポジショナ110と連携した、あるいはこれらを任意に組み合わせたものと連携した)複合相対移動又は非複合相対移動を生じさせる方法でそれぞれの1次角度範囲116内でビーム経路114を偏向するように第1のポジショナ106の動作を制御し得る。例えば、ワークピース102a内の第1のプロセス軌跡に沿ってプロセススポットとワークピース102aとの間で相対移動を生じさせるように、ビーム軸とワークピース102aとの間で(例えば、対応する第2のポジショナ108aと連携した、あるいは第3のポジショナ110と連携した、あるいはこれらを任意に組み合わせたものと連携した)複合相対移動又は非複合相対移動を生じさせる方法で第1の1次角度範囲116a内でビーム経路114を偏向するように第1のポジショナ106の動作を制御することができる。同様に、ワークピース102b内の第2のプロセス軌跡に沿ってプロセススポットとワークピース102bとの間で相対移動を生じさせるように、ビーム軸とワークピース102bとの間で(例えば、対応する第2のポジショナ108bと連携した、あるいは第3のポジショナ110と連携した、あるいはこれらを任意に組み合わせたものと連携した)複合相対移動又は非複合相対移動を生じさせる方法で第2の1次角度範囲116b内でビーム経路114を偏向するように第1のポジショナ106の動作を制御することができる。第1のプロセス軌跡は、第2のプロセス軌跡と同じであってもよく、これと異なっていてもよい。
他の実施形態においては、コントローラ122は、対応する第2のポジショナ108により導入されたトラッキング誤差を補償する方法でそれぞれの1次角度範囲116内でビーム経路114を偏向するように第1のポジショナ106の動作を制御し得る。例えば、対応する第2のポジショナ108aにより導入されたトラッキング誤差を補償する方法で第1の1次角度範囲116a内でビーム経路114を偏向するように第1のポジショナ106の動作を制御することができる。同様に、対応する第2のポジショナ108bにより導入されたトラッキング誤差を補償する方法で第2の1次角度範囲116b内でビーム経路114を偏向するように第1のポジショナ106の動作を制御することができる。
上述した構成要素のうち1つ以上に行わせるように制御可能な動作の他の例としては、上述した米国特許第5,751,585号、第5,847,960号、第6,606,999号、第8,680,430号、第8,847,113号において開示されているような、あるいは、米国特許第4,912,487号、第5,633,747号、第5,638,267号、第5,917,300号、第6,314,463号、第6,430,465号、第6,600,600号、第6,606,998号、第6,816,294号、第6,947,454号、第7,019,891号、第7,027,199号、第7,133,182号、第7,133,186号、第7,133,187号、第7,133,188号、第7,244,906号、第7,245,412号、第7,259,354号、第7,611,745号、第7,834,293号、第8,026,158号、第8,076,605号、第8,288,679号、第8,404,998号、第8,497,450号、第8,648,277号、第8,896,909号、第8,928,853号、第9,259,802号において開示されているような、あるいは米国特許出願公開第2014/0026351号、第2014/0196140号、第2014/0263201号、第2014/0263212号、第2014/0263223号、第2014/0312013号において、あるいはドイツ連邦特許第DE102013201968B4号において、あるいは国際特許公開第WO2009/087392号において、あるいはこれらを任意に組み合わせたものにおいて開示されているような動作、機能、プロセス、及び方法などが挙げられる。これらの文献のそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。他の例においては、コントローラ122は、例えば、国際特許公開第WO2017/044646A1号に開示されているように、(例えば、1以上のAODの1以上の超音波変換素子に印加されるRF信号をチャーピングすることにより、1以上のAODの1以上の超音波変換素子にスペクトル整形されたRF信号を印加することにより、あるいはこれに類する方法により、あるいはこれらを任意に組み合わせた方法により)プロセススポットに照射されるレーザエネルギービームのスポット形状又はスポットサイズを変化させるための1以上のAOD(例えば、ある実施形態においては、第1のポジショナ106、第2のポジショナ108、又はそれらの組み合わせ)を含む任意のポジショナの動作を制御し得る。上記公報は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。印加されたRF信号は、所望の又は好適な方法により線形的に又は非線形的にチャープされていてもよい。例えば、印加されたRF信号は、第1の速度でチャープされ、その後第2の速度でチャープされて、AOセルを通過するレーザエネルギービームを2つの異なる方法によって回折してもよい。この場合において、第1の速度は、第2の速度よりも遅くてもよいし、速くてもよい。
一般的に、コントローラ122は、命令を実行する際に上述した制御信号を生成するように動作可能な1以上のプロセッサを含んでいる。プロセッサは、命令を実行するように動作可能なプログラマブルプロセッサ(例えば、1以上の汎用コンピュータプロセッサ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものを含む)として提供され得る。プロセッサにより実行可能な命令は、ソフトウェア、ファームウェアなど、あるいは、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、フィールドプログラマブルオブジェクトアレイ(FPOA)、特定用途向け集積回路(ASIC)を含む(デジタル回路、アナログ回路、アナログ/デジタル混合回路を含む)好適な形態の回路など、あるいはこれらを任意に組み合わせて実現され得る。命令の実行は、1つのプロセッサ上で行ってもよく、複数のプロセッサに分散させてもよく、1つのデバイス内又はデバイスのネットワークにわたる複数のプロセッサにわたって並行に行っても、あるいはこれに類する方法でも、あるいはこれらを任意に組み合わせて行ってもよい。
一実施形態においては、コントローラ122は、(例えば、1以上の有線又は無線通信リンクを介して)プロセッサによりアクセス可能なコンピュータメモリのような有形媒体を含んでいる。本明細書で使用される場合には、「コンピュータメモリ」は、磁気媒体(例えば、磁気テープ、ハードディスクドライブなど)、光学ディスク、揮発性又は不揮発性半導体メモリ(例えば、RAM、ROM、NAND型フラッシュメモリ、NOR型フラッシュメモリ、SONOSメモリなど)などを含んでおり、ローカルアクセス可能なもの、又は(例えばネットワークを通じて)遠隔アクセス可能なもの、又はこれらを組み合わせたものであってもよい。一般的に、命令は、コンピュータソフトウェア(例えば、実行コード、ファイル、命令など、ライブラリファイルなど)として格納され得る。そのようなコンピュータソフトウェアは、例えば、C、C++、Visual Basic、Java、Python、Tel、Perl、Scheme、Ruby、アセンブリ言語、ハードウェア記述言語(例えば、VHDL、VERILOGなど)などによって書かれ、当業者によって本明細書で述べられた説明から簡単に作成することができる。コンピュータソフトウェアは、通常、コンピュータメモリにより伝達される1以上のデータ構造に格納される。
図示はされていないが、1以上のドライバ(例えば、RFドライバ、サーボドライバ、ラインドライバ、電源など)が、レーザ源104、第1のポジショナ106、第2のポジショナ108、第3のポジショナ110、レンズアクチュエータ、(可変焦点距離レンズとして提供される場合には)スキャンレンズ112、固定具などのような1以上の構成要素を制御するためにそのような構成要素の入力と通信可能に連結され得る。したがって、レーザ源104、第1のポジショナ106、第2のポジショナ108、第3のポジショナ110、レンズアクチュエータ、(可変焦点距離レンズとして提供される場合には)スキャンレンズ112、固定具などのような1以上の構成要素も、当該技術分野において知られているような任意の好適なドライバを含んでいると考えることができる。それぞれのドライバは、典型的には、コントローラ122が通信可能に連結される入力を含んでおり、コントローラ122は1以上の制御信号(例えばトリガ信号など)を生成可能となっている。この制御信号は、装置100の1以上の構成要素に関連付けられた1以上のドライバの入力に送信され得る。このように、レーザ源104、第1のポジショナ106、第2のポジショナ108、第3のポジショナ110、レンズアクチュエータ、(可変焦点距離レンズとして提供される場合には)スキャンレンズ112、固定具などの構成要素は、コントローラ122により生成された制御信号に応答するようになっている。
図示はされていないが、1以上の付加的なコントローラ(例えば、構成要素固有のコントローラ)が、必要に応じて、レーザ源104、第1のポジショナ106、第2のポジショナ108、第3のポジショナ110、レンズアクチュエータ、(可変焦点距離レンズとして提供される場合には)スキャンレンズ112、固定具などの構成要素と通信可能に連結された(そして当該構成要素に関連付けられた)ドライバの入力と通信可能に連結され得る。この実施形態において、それぞれの構成要素固有のコントローラは、コントローラ122と通信可能に連結され、コントローラ122から受信した1以上の制御信号に応答して1以上の制御信号(例えばトリガ信号など)を生成可能であってもよい。この1以上の制御信号は、その後、これと通信可能に連結されたドライバの入力に送信され得る。この実施形態において、構成要素固有のコントローラは、コントローラ122に関して述べたのと同様に動作可能となっていてもよい。
1以上の構成要素固有のコントローラが設けられる他の実施形態においては、ある構成要素(例えばレーザ源104)に関連付けられた構成要素固有のコントローラは、ある構成要素(例えば第1のポジショナ106など)に関連付けられた構成要素固有のコントローラと通信可能に連結され得る。この実施形態においては、構成要素固有のコントローラのうち1つ以上が、1以上の他の構成要素固有のコントローラから受信した1以上の制御信号に応答して、1以上の制御信号(例えばトリガ信号など)を生成可能である。
III.第1のポジショナに関する実施形態の例
A.AODシステムに関する実施形態
図2を参照すると、第1のポジショナ106が(例えば上述したような)AODシステムとして提供される場合には、ゼロ次ビーム経路200が第1の1次角度範囲116aと第2の1次角度範囲116bとの間に位置しているビーム経路偏向スキームを実現するように第1のポジショナ106を動作させることができる。この偏向スキームにおいては、(例えば、特定の周波数を有する印加RF駆動信号に応答して)印加されるRF駆動信号の位相を反転させることにより、第1の1次角度範囲116a又は第2の1次角度範囲116b内でビーム経路114を偏向するように第1のポジショナ106を動作させる又は駆動することができる。図示された実施形態においては、ビームトラップ202は、ビーム経路200に沿って伝搬するレーザエネルギーを吸収するように配置される。
図3を参照すると、第1のポジショナ106が(例えば上述したような)AODシステムとして提供される場合には、ゼロ次ビーム経路300が第1の1次角度範囲116aと第2の1次角度範囲116bとの間に位置していないビーム経路偏向スキームを実現するように第1のポジショナ106を動作させることができる。この偏向スキームにおいては、(例えば、特定の周波数を有する印加RF駆動信号に応答して)印加されるRF駆動信号の位相を反転させることなく、印加されるRF駆動信号の周波数を変化させることにより、第1の1次角度範囲116a又は第2の1次角度範囲116b内で入射ビーム経路114を偏向するように第1のポジショナ106を動作させる又は駆動することができる。図示された実施形態においては、ビームトラップ202は、ビーム経路300に沿って伝搬するレーザエネルギーを吸収するように配置される。
図2及び図3に関して上記で述べた実施形態のいずれかにおいては、第1のポジショナ106は、単軸AODシステム又は多軸AODシステムとして提供され得る。(例えば上述したような)AODシステム内でのAODの構成に応じて、AODは、縦モードAOD又は剪断モードAODとして特徴付けることができ、直線偏光又は円偏光されたレーザエネルギービームを回折できるようになっていてもよい。このように、レーザエネルギービームの波長に応じて、またAODシステム中のAODのAOセルを形成する材料に応じて、AOD内のAOセルの回折軸がこれに入射するレーザエネルギービームの偏光面に平行又は垂直(あるいは少なくとも実質的に平行又は垂直)となるように内部のAODを方向付けることができる。例えば、レーザエネルギービームの波長は、電磁波スペクトルの紫外線域又は可視緑光域にあり、AODのAOセルは、石英のような材料から形成され、AOセルの回折軸が入射したレーザエネルギービームの偏光面に垂直(又は少なくとも実質的に垂直)になるようにAODを方向付けることができる。他の例においては、レーザエネルギービームの波長がいわゆる電磁波スペクトルの中波長赤外域又は長波長赤外域(すなわち、3μm(又はその前後)から15μm(又はその前後)の範囲にわたる波長)にあり、AODのAOセルが結晶ゲルマニウムのような材料から形成される場合には、AOセルの回折軸が入射したレーザエネルギービームの偏光面に平行(又は少なくとも実質的に平行)になるようにAODを方向付けることができる。
図4に関して、多軸AODシステムは、第1のAOD402及び第2のAOD404を含むマルチセル多軸AODシステム400として提供されてもよい。第1のAOD402及び第2のAOD404のいずれも上述した方法により提供され得る。第1のAOD402は、(例えば、ビーム経路114に沿って伝搬する)入射レーザエネルギービームを第1の回転軸を中心として第1の角度範囲(本明細書では「第1のAOD角度範囲406」ともいう)内で任意の角度(例えば、第1のAOD402に入射するビーム経路114に対して測定される)だけ回転させて、偏向されたビーム経路114’に沿って伝搬する1次ビームを透過させるように配置され、動作できるようになっている。同様に、第2のAOD404は、第1のAOD402を透過した入射レーザエネルギービーム(これはゼロ次ビーム、1次ビームなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものであり得る)を第2の回転軸を中心として第2の角度範囲(本明細では「第2のAOD角度範囲408」ともいう)内で任意の角度(例えば、第2のAOD404に入射するビーム経路114’に対して測定される)だけ回転させて、偏向されたビーム経路114”に沿って伝搬する1次ビームを透過させるように配置され、動作できるようになっている。理解できるように、ビーム経路114’及びビーム経路114”のそれぞれは、レーザエネルギービームが伝搬可能な経路の特定の例を表している。したがって、本明細書では、ビーム経路114’及びビーム経路114”のそれぞれを総称して「ビーム経路114」ということもできる。
一般的に、第2のAOD404は、第2の回転軸が第1の回転軸と異なったものとなるように第1のAOD402に対して方向付けられる。例えば、第2の回転軸は、第1の回転軸に直交していてもよく、あるいは第1の回転軸に対して斜めになっていてもよい。しかしながら、他の実施形態においては、第2のAOD404は、第2の回転軸が第1の回転軸に平行(又は少なくとも実質的に平行)となるように第1のAOD402に対して方向付けられる。この場合において、第2のAOD404上に投影した場合に第1のAOD402の偏向平面が第2のAOD404の偏向平面の方向に対して(例えば、90度又はその前後)回転するように第1のAOD402の偏向平面を(例えば、90度又はその前後だけ)回転させるように1以上の光学的構成要素をビーム経路114’に配置することができる。例えば、上述したように偏向平面を回転させ得る方法の例に関して、国際公開第WO2019/060590A1を参照されたい。
一般的に、第1のAOD402内のAOセルは、第2のAOD404内のAOセルと同一か、あるいはこれと異なり得る材料から形成されている。さらに、第1のAOD402が入射レーザエネルギービームを偏光するために使用する音波の種類(すなわち、剪断モード又は縦モード)は、第2のAOD404が入射レーザエネルギービームを偏光するために使用する音波の種類と同じであってもよいし、あるいはこれと異なっていてもよい。
第1のAOD402だけが1次ビームを生成し、あるいは第2のAOD404だけが1次ビームを生成し、あるいは第1のAOD402と第2のAOD404の両方が1次ビームを生成するように、任意の時点でAODシステム400を動作させてもよいことは理解できるであろう。したがって、第1のポジショナ106により生じたビーム経路114の偏向は、ビーム経路114’から得られる偏向のみから生じるものと、あるいはビーム経路114”から得られる偏向のみから生じるものと、あるいはビーム経路114’及び114”から得られる偏向の重ね合わせから生じるものと考えることができる。同様に、1次角度範囲116は、第1のAOD角度範囲406のみである、あるいは第2のAOD角度範囲408のみである、あるいは第1のAOD角度範囲406と第2のAOD角度範囲408の重ね合わせであると考えることができる。最後に、図4に示される1次角度範囲116は、図2又は図3のいずれかに示される第1の1次角度範囲116a又は第2の1次角度範囲116bのいずれかであってもよい。
図4に示される実施形態においては、第1のAOD402から出たゼロ次ビームは第2のAOD404に送られ、第2のAOD404を透過したゼロ次ビームはビームトラップ(図示せず)に吸収され得る。しかしながら、他の実施形態においては、第1のAOD402を透過したゼロ次ビームが、(例えば、第1のAOD402と第2のAOD404との間に配置された図示しないビームトラップやミラーによって)遮られて、第1のAOD402からゼロ次ビーム経路に沿って伝搬するレーザエネルギーが第2のAOD404に送られることを防止してもよい。第1のAOD402が比較的高い回折効率を有し、レーザパルスの全期間中オンのままにできるのであれば、上述したゼロ次ビームを遮ることが好ましい場合がある。しかしながら、第2のAOD404が第1のAOD402を補償するので、2つのAODに対する熱負荷が相対的に等しくなることが多いため、第1のAOD402を全パルス持続時間中オンにし続けることにより、第1のAOD402及び第2のAOD404に対する平均熱負荷が増加し得る。AODの熱負荷が増加することにより、(例えば熱レンズ効果により)潜在的に好ましくないビーム歪みが生じ得る。
上記にかかわらず、ゼロ次ビームを第2のAOD404に送ることが、第2のAOD404のAOセルを第1のAOD402のAOセルと同一の温度(又は同一の温度に近い温度)に維持するのを補助することがある。ゼロ次ビームを第2のAOD404に送ることは、第2のAOD404の動作中にレーザエネルギービームが内部を通過する第2のAOD404のAOセルの領域内で比較的均一な温度分布を維持するのを補助し得る。これにより、第2のAOD404の動作中における熱レンズ効果やビームドリフトなどの好ましくない影響をなくすか、あるいは低減することができる。上記の観点から、ゼロ次ビームを第2のAOD404に送ることは、AOセルを形成する材料が、偏向されるレーザエネルギービームの波長において比較的高い吸収係数を有する場合には、特に有利であり得る。例えば、結晶ゲルマニウムは、(例えば、電磁波スペクトルの近UV波長域から可視波長域の波長における石英の吸収係数と比較すると)電磁波スペクトルの中波長赤外域から長波長赤外域の波長において比較的高い吸収係数を有することが知られている。
第1のポジショナ106がAODシステム400のようなAODシステムとして提供される場合、第1のポジショナ106は、必要に応じて、ビームトラップ、ビームエキスパンダ、ビーム整形器、アパーチャ、フィルタ、コリメータ、レンズ、ミラー、位相リターダ、偏光器など、あるいはこれらを任意に組み合わせたもののような1以上の他の付加的な光学的構成要素を含み得る。
B.概してビームダンプシステムに関する実施形態
ある実施形態においては、第1のポジショナ106は、AODから望ましくないビーム経路に沿って伝搬するレーザエネルギーを捕捉及び吸収する(すなわちトラップする)1以上のビームダンプシステムを含んでいる。従来から、AODから伝搬する望ましくないレーザエネルギーは、レーザエネルギーを離れた位置にあるビームトラップに(例えば、その反射面で)反射するピックオフミラーを用いてその進路が変えられている。レーザエネルギーは、ピックオフミラーから直接ビームトラップに反射されてもよいし、あるいは、1以上の付加的なリレーミラーを介して間接的にビームトラップに反射されてもよい。ピックオフミラーとビームトラップ(及びその間のリレーミラー)は、ビームダンプシステムを構成する。
図5を参照すると、第1のポジショナ106は、第1のAOD402の光出力側に配置されるビームダンプシステム500(本明細書では「第1のビームダンプシステム」ともいう)を含み得る。第1のAOD402は、典型的には、入射レーザエネルギービームを回折することにより、それぞれゼロ次ビーム経路300及び1次ビーム経路114’に沿って第1のAOD402から伝搬するゼロ次ビーム及び1次ビームを生成するように動作する。多くの場合には、他の回折次数の1以上のビームも生成される。これらのビームのそれぞれは、図5において総称して502の符号が付されている1以上の他のビーム経路に沿って第1のAOD402から伝搬し得る。ビームダンプシステム500は、それぞれゼロ次ビーム経路300及び1次ビーム経路114’に沿って伝搬するレーザエネルギーを(例えば、第2のAOD404まで)伝搬させ続けつつ、ビーム経路502のうちのいずれかのようなビーム経路に沿って伝搬するレーザエネルギーをトラップするように構成されている。他の実施形態において、ビームダンプシステム500は、ゼロ次ビーム経路300に沿って伝搬するレーザエネルギーをトラップするように(すなわち、レーザエネルギーが第2のAOD404に伝搬しないように)構成されていてもよい。
図6を参照すると、第1のポジショナ106は、第2のAOD404の光出力側に配置されるビームダンプシステム600(本明細書では「第2のビームダンプシステム」ともいう)を含んでいてもよい。第2のAOD404は、典型的には、(例えば、第1のAOD402から1次ビーム経路114’に沿って伝搬し、必要に応じて、第1のAOD402からゼロ次ビーム経路300に沿って伝搬する)入射レーザエネルギービームを回折するように動作する。第2のAOD404の動作中、ビーム経路114’に沿って伝搬する入射レーザエネルギービームは回折されて、1次ビーム経路114”に沿って第2のAOD404から伝搬する1次ビームが生成される。第1のAOD402と同様に、第2のAOD404の動作中に他の回折次数の1以上のビームも生成され得る。これらのビームのそれぞれは、図6において総称して602の符号が付されている1以上の他のビーム経路に沿って第2のAOD404から伝搬し得る。加えて、ゼロ次ビーム経路300に沿って第1のAOD402から伝搬するレーザエネルギービームの少なくとも一部は、第2のAOD404からゼロ次ビーム経路300に沿って伝搬し得る。ビームダンプシステム600は、1次ビーム経路114”に沿って伝搬するレーザエネルギーを(例えば、第2のポジショナ108まで)伝搬させ続けつつ、ビーム経路300及び602のようなビーム経路に沿って伝搬するレーザエネルギーをトラップするように構成されている。
一実施形態においては、第1のポジショナ106は、第1のビームダンプシステム500と第2のビームダンプシステム600の双方を含んでいる。しかしながら、他の実施形態においては、第1のポジショナ106は、第1のビームダンプシステム500を含み、第2のビームダンプシステム600を含んでいなくてもよいし、第2のビームダンプシステム600を含み、第1のビームダンプシステム500を含んでいなくてもよい。本明細書では、第1のビームダンプシステム500及び第2のビームダンプシステム600(本明細書ではそれぞれ総称して「ビームダンプシステム」という)は、マルチセル多軸AODシステム400として提供される第1のポジショナ106内に組み込まれているものとして述べられているが、本明細書で述べられるビームダンプシステムのうち任意の数のビームダンプシステムが、1つのAODだけを含む第1のポジショナ106に組み込まれていてもよく、あるいは、プリズム、レンズ、ガルバノメータミラーシステム、ファストステアリングミラーシステムなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものなどの他の光学的構成要素と連携して用いられてもよいことは理解できるであろう。
i.ビームダンプシステムに関する実施形態の例
一実施形態においては、ビームダンプシステムのピックオフミラーとビームトラップ(及びその間のリレーミラー)は、(例えば、ネジ、接着材、クランプなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものにより)それぞれ共通の光ブレッドボードなどに別々に設けられ装着される物理的に分離した構成要素として提供される。これにより柔軟な解決法が提供されるが、これらの構成要素間の位置決めが困難で時間のかかるプロセスになり得る。
ビームダンプシステムにおける別個に設けられる構成要素に関連した上記の潜在的な問題を解決するために、他の実施形態によるビームダンプシステムは、(必要に応じて予め位置合わせされた)ピックオフミラー、ビームトラップ、及び介在するリレーミラーを共通パッケージに一体化してもよい。そのようなビームダンプシステム(本明細書では「一体化ビームダンプシステム」ともいう)は、当該技術分野において知られている任意の好適な方法によりビーム経路アセンブリに簡単に組み込むことができる。このとき、なすべき位置合わせは、一体化ビームダンプシステムの光入力部を望ましくないビーム経路の位置に合わせることだけである。
ある実施形態の例においては、一体化ビームダンプシステムは、1以上の別個に設けられるピックオフミラー、1以上のビームトラップ、及び必要に応じて、ピックオフミラーとビームトラップとの間の1以上のリレーミラーを含み得る。これらすべては、光ブレッドボードのような共通の構造物に(例えば、ネジ、接着材、クランプなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものにより)取り付けられる。当該技術分野において知られているように、光ブレッドボードは、鋼、黄銅、アルミニウム又はアルミニウム合金、カーボンファイバ強化高分子複合材料などの材料から形成され、光学的構成要素を(例えば、ネジ、接着材、クランプなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものにより)取り付けることが可能な平坦面を提供する略平板状の構造物である。そして、光ブレッドボードは、次に、レーザ加工装置100のビーム経路アセンブリ内に取り付けられる。
他の実施形態の例においては、別個に設けられる構成要素が取り付けられる共通の構造物は、(例えば、鋼、黄銅、アルミニウム又はアルミニウム合金、銅又は銅合金、カーボンファイバ強化高分子複合材料などの材料から形成される)フレームであってもよい。この場合において、フレームは、別個に設けられる構成要素のうち異なる構成要素を(例えば、ネジ、接着材、クランプなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものにより)それぞれ取り付けることができる複数の面(そのうちの少なくとも2つは同一平面上にない)を有している。例えば、当該技術分野において知られているCNCミリング、鋳造、溶接、真空バギング、圧縮成型など、あるいはこれらを任意に組み合わせた任意の好適な又は所望の方法によりフレームを作製することができる。
他の実施形態の例においては、(例えば、ピックオフミラー、リレーミラー、あるいはこれらを任意に組み合わせたものとして機能するのに好適な)1以上の反射面、(例えば、ビームトラップやその一部として機能するのに好適な)1以上の光吸収面又は光吸収構造など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものを形成するような方法でフレームが設けられるか、加工されていてもよい。例えば、フレームが鋼、黄銅、アルミニウム又はアルミニウム合金、銅又は銅合金などの金属材料から形成されている場合には、フレームの表面を(例えば、化学的に、機械的に、あるいはこれらを任意に組み合わせて)研削及び/又は研磨して反射面を形成することができる。他の例においては、フレームを形成している材料に関係なく、フレームの表面を(例えば、電解めっきプロセス、無電解めっきプロセス、真空蒸着プロセスなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものを介して)その表面に入射するレーザエネルギービームの光の波長に対して反射性を有する材料でコーティングすることができる。反射面を形成するためにフレーム上にコーティングされ得る材料の例としては、アルミニウム、金、銀、銅など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものが挙げられる。
他の例においては、フレームが鋼、アルミニウム又はアルミニウム合金、銅又は銅合金などの金属材料から形成されている場合には、フレームの表面に対してエッチング、粗面化、酸化、陽極化などを行って、(例えば、ビームトラップ又はその一部として機能するのに好適な)入射レーザエネルギービームを好適に吸収する面又は他の構造物を形成することができる。他の例においては、フレームを形成している材料に関係なく、フレームの表面を(例えば、電解めっきプロセス、無電解めっきプロセス、真空蒸着プロセス、塗装プロセスなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものを介して)その表面に入射するレーザエネルギービームに対して好適な吸収性を有する材料でコーティングすることができる。
ビームトラップの構成やビームトラップにより吸収されるレーザエネルギービームのパワー及び波長などの1以上のファクタによっては、レーザエネルギーが吸収されると、ビームトラップが好ましくない状態で加熱することがある。したがって、一体化ビームダンプシステムは、ビームトラップに熱的に連結され、ビームトラップから熱を除去するように構成された1以上の冷却システムを含んでいてもよい。好適な冷却システムの例としては、ヒートシンク、ヒートパイプ、ペルチェヒートポンプ、ウォータブロックなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものが挙げられる。一実施形態においては、1以上の冷却システムが、光ブレッドボード又はフレームに熱的に連結され得る。他の実施形態においては、1以上の冷却システムが光ブレッドボード又はフレームと一体化され、あるいこれに機械的に連結され得る。
ii.一体化ビームダンプシステムに関する実施形態の例
図7を参照すると、一体化ビームダンプシステム700のような一体化ビームダンプシステムは、鋼、黄銅、アルミニウム又はアルミニウム合金、銅又は銅合金など、あるいはこれらを任意に組み合わせたもののような材料から形成されるフレーム702を含み得る。フレーム702は、面704,706,708,710,712,714,716のような複数の面を形成するために、当該技術分野において知られている任意の好適な又は所望のプロセスにより(例えば、CNCミリング、鋳造、溶接など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものにより)形成され得る。一般的に、面704,706,708は反射面として提供され、面710,712,714,716は必要に応じて吸収面として提供される。例えば、図8及び図9に関して詳細に述べられるように、面704及び706はピックオフミラーとして機能することができ、面708はリレーミラーとして機能することができ、面710,712,714,716は、ビームトラップ718を形成するように互いに相対的に配置され得る。このように、面704及び706は、好ましくないビーム経路に沿って伝搬するレーザエネルギーの進路を面708に向けることができ、面708は、進路が変えられたレーザエネルギーをビームトラップ718に向けて反射する。
フレーム702の形成時又はフレーム702の形成後に、面704,706,708に反射性を持たせるようにすることができる。例えば、フレーム702が形成された後に、面704,706,708のうち1つ以上が形成されているフレーム702の領域に(例えば、上述したような)1以上の研削又は研磨処理を施すことにより、あるいは面704,706,708のうち1つ以上を(例えば、上述したような)好適な反射材でコーティングすることなどにより、あるいはこれらを任意に組み合わせることにより、面704,706,708に反射性を持たせることができる。
フレーム702の形成時又はフレーム702の形成後に、面710,712,714,716に吸収性を持たせるようにすることができる。例えば、面704,706,708,710,712,714,716が反射性を有するようにフレーム702を形成することができ、その後、フレーム702に適用されるその後のプロセス(例えば、1以上のエッチング処理、粗面化処理、酸化処理、陽極化処理、コーティング処理など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものを含む)が面704,706,708に光学的な吸収性を与えることを防止するために面704,706,708をマスクすることができる。面704,706,708をマスクするために使用することができるマスキング材料の例としては、当該技術分野において知られているようなテープ、ワックス、ラッカー、マスキング樹脂などが挙げられる。面704,706,708を適切にマスクした後、面710,712,714,716に光学的な吸収性を与えるために(例えば、上述したような)1以上の処理を施してもよい。その後、依然として反射性を有する面704,706,708からマスク材料を除去してもよい。
一実施形態においては、(例えばアルミニウム又は酸化アルミニウムから形成される)ブロックを(例えばCNCミリングにより)加工することによりフレーム702を形成することができ、得られたフレーム702の面を陽極酸化させて、入射レーザエネルギービームを少なくとも部分的に(あるいは少なくとも実質的に)吸収するのに十分な厚さの陽極酸化層を形成することができる。一般的に、所望のレーザエネルギーの光吸収を提供するのに必要な陽極酸化層の最小厚さは、吸収されるレーザエネルギーの波長に依存する。例えば、45μm以上の厚さに形成された陽極酸化層は、9.4μmの波長でのレーザエネルギーを好適に吸収するのに十分であることがわかった。フレーム702を陽極酸化した後、面704,706,708のうち1つ以上が形成されているフレーム702の領域は、陽極酸化層を除去して好適に反射性を有する面を形成するように研削及び/又は研磨されていてもよい。あるいは、フレーム702を陽極酸化する前に面704,706,708を(例えば、上述したように)マスクしてもよく、フレーム702のマスクされていない部分(例えば、面710,712,714,716)が好適に陽極酸化された後にマスキング材料を除去してもよい。
図8を参照すると、面704は、好ましくないビーム経路(例えば、第1のAOD402又は第2のAOD404から伝搬するビーム経路800)に沿って伝搬するレーザエネルギーの進路を面708に向けるピックオフミラーとして機能し得る。面708は、面704で反射したレーザエネルギーを、レーザエネルギーが吸収されるビームトラップ718に(例えば面716に)反射するリレーミラーとして機能し得る。図8は、ビーム経路800が面716で終端している(これにより、ビーム経路800に沿って伝搬するすべてのレーザエネルギーが吸収されることを示唆している)ように示しているが、一部のレーザエネルギーは面716で反射し得ることは理解できるであろう。この場合において、レーザエネルギーは、面716から面712に反射し、残ったエネルギーは、完全に吸収されるか、あるいは部分的に面716に反射して、面716で少なくとも部分的に吸収される。
同様に、図9を参照すると、面706は、好ましくないビーム経路(例えば、第1のAOD402又は第2のAOD404から伝搬するビーム経路900)に沿って面708に伝搬するレーザエネルギーの進路を変えるためのピックオフミラーとして機能し得る。面708は、面704で反射したレーザエネルギーをレーザエネルギーが吸収されるビームトラップ718に向けて(例えば、面710に向けて)反射するためのリレーミラーとして機能し得る。図9は、ビーム経路900が面710で終端するものとして図示している(これにより、ビーム経路900に沿って伝搬するすべてのレーザエネルギーが吸収されることを示唆している)が、一部のレーザエネルギーが面710で反射してもよいことは理解できるであろう。この場合には、レーザエネルギーは、面710から面714に反射し、面714においては、残ったレーザエネルギーが完全に吸収されるか、あるいは部分的に反射して面710に戻って面710で少なくとも部分的に吸収される。
図7に戻って、フレーム702は、一体化ビームダンプシステム700の光入力部として機能する開口720をさらに含み得る。図示されているように、開口720は、第1のAOD402又は第2のAOD404からのビーム経路に沿って(例えば、図7に示されるようなビーム経路114又は300に沿って、あるいは、図8又は図9にそれぞれ示されるようなビーム経路800又は900のような他のビーム経路に沿って、あるいは、これらを任意に組み合わせた経路に沿って)伝搬するレーザエネルギーがそこを通過できるように配置され、そのサイズが決められている。フレーム702は、それぞれ一体化ビームダンプシステム700の光出力部として機能する開口722及び724をさらに含み得る。すなわち、開口722は、ビーム経路114に沿って伝搬するレーザエネルギーがそこを通過できるように配置され、そのサイズが決められている。同様に、開口724は、ビーム経路300に沿って伝搬するレーザエネルギーがそこを通過できるように配置され、そのサイズが決められている。
図10を参照すると、一体化ビームダンプシステム1000のような一体化ビームダンプシステムは、鋼、黄銅、アルミニウム又はアルミニウム合金、銅又は銅合金など、あるいはこれらを任意に組み合わせたもののような材料から形成されるフレーム1002を含み得る。フレーム1002は、面1004,1006,1008,1010,1012,1014,1016,1018,1020のような複数の面を形成するように、当該技術分野において知られている任意の好適な又は所望のプロセスにより(例えば、フレーム702に関して上記で述べたような方法で)形成され得る。一般的に、面1004,1006,1008,1010,1012は反射面として提供され、面1014,1016,1018,1020は光吸収面として提供される。面1004,1006,1008,1010,1012のいずれかは、入射レーザエネルギービームを好適に反射するように任意の方法により(例えば、面704,706,708に関して述べたのと同一又は類似の方法により)形成されていてもよい。同様に、面1014,1016,1018,1020のいずれかは、入射レーザエネルギービームを好適に吸収するように任意の方法により(例えば、面710,712,714,716に関して述べたのと同一又は類似の方法により)形成されていてもよい。したがって、図11から図14に関してより詳細に述べられるように、面1004,1006,1008はピックオフミラーとして機能し得るし、面1010及び1012はリレーミラーとして機能し得るし、面1014,1016,1018,1020はビームトラップ1022を形成するように互いに配置され得る。このように、面1004,1006,1008は、好ましくないビーム経路に沿って伝搬するレーザエネルギーの進路を変えることができる。特に、面1004は、入射レーザエネルギーを直接ビームトラップ1020に向けて反射するように構成され、面1006及び1008は、それぞれ入射レーザエネルギーを面1010及び1012に向けて反射するように構成される。次に、面1010及び1012は、進路が変えられたレーザエネルギーをビームトラップ1022に向けて反射するようにそれぞれ構成される。
図11を参照すると、面1004は、好ましくないビーム経路(例えば、第1のAOD402又は第2のAOD404から伝搬するビーム経路1100)に沿って伝搬するレーザエネルギーの進路を面1014に向けるピックオフミラーとして機能し得る。図11は、ビーム経路1100が面1014で終端している(これにより、ビーム経路1100に沿って伝搬するレーザエネルギーのすべてが吸収されることを示唆している)ように示しているが、一部のレーザエネルギーは面1014で反射し得ることは理解できるであろう。この場合において、レーザエネルギーは、面1014から面1018に反射し、残ったレーザエネルギーは、面1018で完全に吸収されるか、あるいは部分的に面1014に反射して、面1014で少なくとも部分的に吸収される。
同様に、図12を参照すると、面1008は、好ましくないビーム経路(例えば、第1のAOD402又は第2のAOD404から伝搬するビーム経路1200)に沿って伝搬するレーザエネルギーの進路を面1014に向けるピックオフミラーとして機能し得る。図12は、ビーム経路1200が面1016で終端している(これにより、ビーム経路1200に沿って伝搬するレーザエネルギーの一部が面1014で反射し、そのように反射してビーム経路1200に沿って伝搬するレーザエネルギーのすべてが面1016で吸収されることを示唆している)ように示しているが、一部のレーザエネルギーは面1016で反射し得ることは理解できるであろう。この場合において、レーザエネルギーは、面1016から面1020に反射する可能性が最も高く、残ったレーザエネルギーは、面1020で完全に吸収されるか、あるいは部分的に面1016に反射して、面1016で少なくとも部分的に吸収される。
図13を参照すると、面1006は、好ましくないビーム経路(例えば、第1のAOD402又は第2のAOD404から伝搬するビーム経路1300)に沿って伝搬するレーザエネルギーの進路を面1010に向けるピックオフミラーとして機能し得る。面1010は、面1004で反射したレーザエネルギーをレーザエネルギーが吸収されるビームトラップ1022に向けて(例えば、面1016に向けて)反射するリレーミラーとして機能し得る。図13は、ビーム経路1300が面1016で終端している(これにより、ビーム経路1300に沿って伝搬するレーザエネルギーのすべてが吸収されることを示唆している)ように示しているが、一部のレーザエネルギーは面1016で反射し得ることは理解できるであろう。この場合において、レーザエネルギーは、面1016から面1020に反射し、残ったレーザエネルギーは、面1020で完全に吸収されるか、あるいは部分的に面1016に反射して、面1016で少なくとも部分的に吸収される。
同様に、図14を参照すると、面1008は、好ましくないビーム経路(例えば、第1のAOD402又は第2のAOD404から伝搬するビーム経路1400)に沿って伝搬するレーザエネルギーの進路を面1012に向けるピックオフミラーとして機能し得る。面1012は、面1008で反射したレーザエネルギーをレーザエネルギーが吸収されるビームトラップ1022に向けて(例えば、面1016に向けて)反射するリレーミラーとして機能し得る。図14は、ビーム経路1400が面1016で終端している(これにより、ビーム経路1400に沿って伝搬するレーザエネルギーのすべてが吸収されることを示唆している)ように示しているが、一部のレーザエネルギーは面1016で反射し得ることは理解できるであろう。この場合において、レーザエネルギーは、面1016から面1020に反射し、残ったレーザエネルギーは、面1020で完全に吸収されるか、あるいは部分的に面1016に反射して、面1016で少なくとも部分的に吸収される。
図10に戻って、フレーム1002は、一体化ビームダンプシステム1000の光入力部として機能する開口1024をさらに含み得る。図示されているように、開口1024は、第1のAOD402又は第2のAOD404からのビーム経路に沿って(例えば、図10に示されるようなビーム経路114に沿って、あるいは、図11、図12、図13、又は図14にそれぞれ示されるようなビーム経路1100,1200,1300,1400のような他のビーム経路に沿って、あるいは、これらを任意に組み合わせた経路に沿って)伝搬するレーザエネルギーがそこを通過できるように配置され、そのサイズが決められている。フレーム1002は、一体化ビームダンプシステム1000の光出力部として機能する開口1026をさらに含み得る。すなわち、開口1026は、ビーム経路114に沿って伝搬するレーザエネルギーがそこを通過できるように配置され、そのサイズが決められている。一体化ビームダンプシステム1000においては、(例えば、第1のAOD402又は第2のAOD404から伝搬する)ゼロ次ビーム経路300の進路はビームトラップ1022に向けられ、ビームトラップ1022に送られる。この場合において、ゼロ次ビーム経路300は、例えばビーム経路1200又は1300によって表すことができる。
一体化ビームダンプシステム700及び1000に関する上記説明からすれば、フレーム702及び1002によって提供される上記面は、レーザエネルギーがそれぞれのビームトラップに向かって伝搬し得る内部領域を規定することは理解できるであろう。例えば、フレーム702によって提供される上記面は内部領域726を規定し、フレーム1002によって提供される上記面は内部領域1028を規定する。好ましくない塵や他の粒子又は物体がこれらの内部領域に進入することを防止し、あるいはこれを最小限にするために、一体化ビームダンプシステム700又は1000のいずれかは、必要に応じて、内部領域に及ぶ1以上のプレートを含んでいてもよい。例えば、一体化ビームダンプシステム700は、(例えば、その第1の側方で)フレーム702に連結される第1のプレート728、(例えば、その第1の側方とは反対側の第2の側方で)フレーム702に(例えば、ネジ、接着材、クランプなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものにより)連結される第2のプレート730(図7においては点線で示されている)、又はこれらを組み合わせたものを含んでいてもよい。同様に、一体化ビームダンプシステム1000は、(例えば、その第1の側方で)フレーム1002に連結される第1のプレート1030、(例えば、その第1の側方とは反対側の第2の側方で)フレーム1002に(例えば、ネジ、接着材、クランプなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものにより)連結される第2のプレート1032(図10においては点線で示されている)、又はこれらを組み合わせたものを含んでいてもよい。一体化ビームダンプシステム1000に関しては、上記ではフレーム1002が面1008を提供するものとして説明されているが、面1008は、(例えば、ネジ、接着材、クランプなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものにより)第1のプレート1030に連結されるブロック(例えばブロック1034)により提供されていてもよい。
一実施形態においては、一体化ビームダンプシステム700又は1000のフレームに連結される上記プレートのいずれかが、関連するビームトラップ(すなわちビームトラップ718又は1022)から熱を除去できるように熱伝導性材料(例えば、鋼、黄銅、アルミニウム又はアルミニウム合金、銅又は銅合金など、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの)により形成されていてもよい。他の実施形態の実施形態においては、1以上の冷却システム(例えば、ヒートシンク、ヒートパイプ、ペルチェヒートポンプ、ウォータブロックなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの)が、プレート728,730,1030,1032のうち1つ以上に連結されるか、あるいはこれと完全に又は部分的に一体化されていてもよい。
C.概して位相リターダに関する実施形態
第1のポジショナ106に含められるAODの種類によっては、AODを通過した1次ビーム経路内で偏光面(すなわち電界が振動する平面)を回転させることが望ましい場合がある。入射レーザエネルギービームの相当な部分を1次ビームに回折するために必要なRF駆動パワー量が、偏向されているレーザエネルギービームの偏光状態に大きく依存している場合には、偏光面を回転させることが望ましい。さらに、マルチセルAODシステム内のそれぞれのAODが同一の材料から構成されるAOセルを含んでいる場合、及びマルチセルAODシステム内のそれぞれのAODが入射レーザエネルギービームを偏向するために同一種の音波を用いる場合、及びマルチセルAODシステム内の第1のAOD(例えば、多軸AODシステム400における第1のAOD402)を通過した1次ビーム内の偏光状態を直線的にし、マルチセルAODシステム内の第2のAOD(例えば、多軸AODシステム400における第2のAOD404)の回折軸に対して特定の方向に向けることが好ましい場合には、第2のAODの方向が第1のAODの方向に対して回転されるのと同様に、第2のAODを通過した1次ビーム内の偏光状態を第1のAODを通過した1次ビーム内の偏光状態に対して回転させることが同様に好ましい。
第1のポジショナ106に組み込むことができる位相リターダの例としては、1以上の透過型位相リターダ(例えば、半波長板、1/4波長板、1/8波長板など、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの)、(例えば、180度位相シフト、90度位相シフトなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものを与えるように構成された)1以上の反射型位相リターダなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものが挙げられる。一般的に、必要に応じて、AODに入射するレーザエネルギービームのビーム経路(例えば、1次ビーム経路やそれ以外)に1以上の位相リターダを挿入して、AODに入射する直線偏光レーザエネルギービームの偏光面をAOD内のAOセルの回折軸に合わせることができる。例えば、1以上の位相リターダをビーム経路114’上の第1のAODと第2のAODとの間の位置に配置して、第1のAODを出て第2のAODに入射することとなる直線偏光レーザエネルギービームの偏光面を第2のAOD内のAOセルの回折軸に合わせてもよい。
D.概して波面歪みの補償に関する実施形態
多くの場合、透過型光学的構成要素は、これに入射する光の一部を吸収する。入射光が高パワーレーザエネルギービームである場合、吸収された光は、透過型光学的構成要素を構成している材料を加熱する。時として、レーザエネルギービームが(例えば、ガウス形空間強度プロファイルと同様の)不均一な空間強度プロファイルを有している場合、ビームの異なる領域が、透過型光学的構成要素の異なる部分を異なる温度に加熱する。例えば、ガウス形空間強度分布を有するビームの中央領域は、ビームの周辺領域に比べて、透過型光学的構成要素の1つの領域をより多く加熱する。透過型光学的構成要素を構成する多くの材料の屈折率は温度とともに変化する(熱光学効果として知られる)ので、高パワーレーザエネルギービームの波面は、透過型光学的構成要素を通過するときに修正される。加えて、透過型光学的構成要素の比較的高温である領域は(熱膨張の結果として)膨らむことがあり、そのような膨張により透過型光学的構成要素の形状がレンズの形状に近くなることがある。また、透過型光学的構成要素内の熱誘導機械的応力(光弾性効果として知られる)によって屈折率の変化が生じ得る。本明細書において使用される場合には、透過型光学的構成要素の異なる部分を異なる形態で加熱することを透過型光学的構成要素の「示差加熱」ともいうことがある。透過型光学的構成要素の示差加熱は、レーザエネルギーの吸収以外の手段によっても実現することができる。例えば、透過型光学的構成要素を熱源の近くに置くことができる。EOセル又はAOセルのような透過型光学的構成要素は、例えば、これらが組み込まれているシステムが作動されているときに、異なる形態で加熱され得る。当該技術分野において知られているように、透過型光学的構成要素の示差加熱は、透過型光学的構成要素内の屈折率の特異的な変化、すなわち「熱レンズ」としても知られる効果を引き起こすことがある。熱レンズ効果は、レーザエネルギービームがビーム経路114に沿って伝搬し、ビーム経路アセンブリを通過する際に、レーザエネルギービームを好ましくない形で集束し、あるいは焦点を外し、あるいはその波面を歪ませることがある。
熱レンズ効果に関連する潜在的に有害な効果を解決する1つの方法は、入射レーザエネルギービーム中の光の波長に対して実質的に透明な透過型光学的構成要素を用いる(すなわち、熱レンズ効果が起きないようにする)ことである。他の手法は、レーザエネルギービーム中のパワーを単純に低くすることである。しかしながら、これらのアプローチは、実質的に透明な透過型光学的構成要素が存在しない場合、あるいは、比較的低いパワーのレーザエネルギービームを用いてワークピースを所望の形態で加工できない場合には、実施するのが困難であるか不可能であることがある。このため、以下でより詳細に述べる実施形態によれば、ビーム経路アセンブリの1以上の透過型光学的構成要素内の熱レンズ効果によって引き起こされ得る波面歪みを補償する(すなわち、完全にあるいは部分的に補償する)ために、ビーム経路114に1以上の光学的構成要素(本明細書では「波面補償光学部品」という)を配置することができる。
本明細書に述べられている実施形態においては、透過型光学的構成要素に入力されるレーザエネルギービームは、典型的には、軸対称であり(すなわち、丸い、あるいは少なくとも実質的に丸い)、熱レンズ効果により引き起こされる歪みは、多くの場合、同じく軸対称である1以上の位相収差に左右される。レーザエネルギービームの波面上に生じる位相収差は、ゼルニケ多項式に当該技術分野において知られている係数を適切な大きさにしたものを組み合わせたものによって述べることができる。すなわち、以下の通りである。
ここで、ρは、注目する開口の中心からの正規化径座標(この文脈における「正規化」は、ρが注目する開口の縁部で1の値を取ることを意味する)、θは、注目する開口内の角座標、ajは、距離を単位とするゼルニケ多項式のj次項の係数値(例えば、λの単位では、λは、上述したレーザエネルギービーム中の光の光波長である)、Zjは、ゼルニケ多項式のj次項である。
本明細書での議論においては、ゼルニケ多項式のj次項は、「フリンジ」(「アリゾナ大学」としても知られる)ナンバリング及び正規化スキームを用いて述べられる。以下の項が最も注目されるものであるので、これらは以下の表1に明示的に示されている。
読者は、これらの項が放射対称であり、したがって、Z
j(ρ,θ)がθに依存するものではないことに気づくであろう。
出願人により実施された実験を通じて、ガウス形空間強度プロファイルを有するレーザエネルギービームが透過型光学的構成要素のバルク透明材料を加熱して透過型光学的構成要素内に熱レンズ効果を引き起こすときに、Z9項の係数の符号が、ほとんどいつもZ4項の係数の符号の反対になり、Z9項の係数の大きさはZ4項の係数の大きさよりも小さくなる傾向があり、吸収されたレーザパワーの量が変化してもZ4項に対するZ9項の係数の比は目立つほど変化しないことが分かっている。このため、Z4項及びZ9項の係数の独立した恣意的な補正は厳密には必要でない。これらの観測は、フリンジゼルニケ多項式適合を規定する開口サイズの恣意的な選択に多少依存しているが、レーザエネルギービームの4σ幅よりわずかに小さい値からその2倍程度までの開口サイズが最も有用である(完全なガウス形ビームに関しては、4σ幅は、ピークでの強度の1/e2のオフセンタ点でのビームの全幅に等しい)。
例えば、図15は、(例えば、AOセルを形成するために使用されるタイプの)結晶ゲルマニウムのブロックから形成されるバルク透明材料の温度とともにZ4項及びZ9項の係数(及びそれらの比)がどのように変化するのかを示す1組の実験結果のグラフを示している。この場合において、CO2レーザ源から生成され、8μmから12μmの範囲の波長と一定のパワーを有するたレーザエネルギービームが、ゲルマニウムブロックに照射された。ブロックはレーザエネルギービームに照射されていたので、ゲルマニウムブロックの周囲を循環する冷却水の温度を変化させることにより、ゲルマニウムブロックの温度を変化させた。このように、冷却水の温度を上昇させると、ゲルマニウムに吸収されたレーザエネルギーの量は上昇した。図15に示されるグラフから、Z9項の係数(すなわち「a9」が付されたデータ)の符号は、Z4項(すなわち「a4」が付されたデータ)の符号と常に逆であり、Z9項の係数は、Z4項の係数より小さくなる傾向にあることがわかる。また、Z4項に対するZ9項の係数の比(すなわち「a9/a4」が付されたデータ)は目立つほど変化しないことがわかる。グラフ中のデータは、アパーチャが入射レーザエネルギービームの4σ幅の約1.6倍であるときの観測に基づいたものであることに留意すべきである。
上記では熱レンズ効果に関する特定の議論が、結晶ゲルマニウムから形成されるバルク透明材料と8μmから12μmの範囲の波長を有する高パワーレーザエネルギービームとの組み合わせに関してなされたが、(例えば、バルク透明材料中の不純物の存在、バルク透明材料を伝搬するレーザエネルギービームのパワー、バルク透明材料を伝搬するレーザエネルギービームの波長など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものなどの1以上のファクタに応じて)二酸化テルルのようなAOセルを形成するために使用される他のバルク透明材料においても熱レンズ効果が観測されることは理解できるであろう。さらに、上記では熱レンズ効果に関する特定の議論が、AOセルに使用されるバルク透明材料に関してなされたが、レーザ利得媒体のような他の光学的構成要素だけではなく、バルク透明材料により形成されるレンズ、ビームスプリッタ、プリズム、ダイクロイックフィルタ、窓、波長板、DOE、ROEなどの他の透明な光学的構成要素(必要に応じて1以上の反射防止膜などにより被覆されていてもよい)においても熱レンズ効果が観測されることは理解できるであろう。したがって、熱レンズ効果により生じるレーザエネルギービームの波面収差を補正又は補償する手法は、一般的に、いずれの透明な光学的構成要素の中で熱レンズ効果が引き起こされたかにかかわらず、レーザ源104により生成されたレーザエネルギービームの波面収差を補正することに適用することができる。
i.波面補償光学部品に関する実施形態の例
熱レンズ効果により引き起こされることが考えられるレーザエネルギービーム中の収差の性質について述べてきたが、収差を補償するためにビーム経路114に配置され得る波面補償光学部品の数多くの実施形態を以下で説明する。しかしながら、一般的に、波面補償光学部品は、1以上のレンズ、ミラーなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたもののような1以上の光学的構成要素として提供され得る。
一実施形態においては、波面補償光学部品は、フリンジゼルニケ項(例えば、Z4、Z9、Z16など、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの)により特徴付けられる形状の反射面を有する反射型光学的構成要素(例えば、球面ミラー又は曲面ミラー)として提供され得る。ここで、フリンジゼルニケ項の係数は、レーザエネルギービーム中の波面歪みを補償するように選択される。反射面の形状は、当該技術分野において知られている任意の好適な手法により(例えば、ミラーの高精度ダイヤモンド旋削によって、あるいは磁気粘性流体的な方法(MRF研磨)を用いたミラー基板の高精度研磨によってなど)作られてもよい。
他の実施形態においては、波面補償光学部品は、フリンジゼルニケ項(例えば、Z4、Z9、Z16など、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの)により特徴付けられる形状の反射面を有する透過型光学的構成要素(例えば球面レンズなど)として提供され得る。ここで、フリンジゼルニケ項の係数は、レーザエネルギービーム中の波面歪みを補償するように選択される。他の実施形態においては、透過型光学的構成要素は、Z9項に対して所望の値の係数を生成するために少し距離を離して設定された2以上の球面レンズを含み得る。
さらに他の実施形態においては、波面補償光学部品は、(例えば、上述したようにして提供される)1以上の反射型光学的構成要素と(例えば、上述したようにして提供される)1以上の透過型光学的構成要素との組み合わせとして提供され得る。この場合において、Z4項に対する係数の任意の量の補償を1以上の透過型光学的構成要素の1以上の面上で実現することができ、Z9項に対する係数の任意の量の補償を1以上の反射型光学的構成要素の1以上の面上で実現することができる。
上述した反射型及び透過型光学的構成要素は、典型的には、透過型光学的構成要素内の熱レンズ効果により生じた影響を静的に補償するものであり、したがって、「静的波面補償光学部品」の例と考えられる。他の実施形態においては、波面補償光学部品は、透過型光学的構成要素内の熱レンズ効果により生じた影響を動的に補償するものであり、したがって、「動的波面補償光学部品」と考えることができる。この場合において、動的波面補償光学部品は、1以上の可変焦点距離レンズ又はレンズアセンブリ、1以上の形状可変鏡、1以上の光透過型空間光変調器を単体であるいは組み合わせて含み得る。形状可変鏡の種類の例としては、分割型形状可変鏡(すなわち、独立して駆動可能な平板ミラーを備え、必要に応じてMEMS技術により形成され得る)、メンブレン型形状可変鏡(すなわち、当該技術分野において知られている方法により機械的に、空気圧を用いて、油圧を用いて、機械的になどにより変形可能な反射型メンブレンを備える)などが挙げられる。また、動的波面補償光学部品は、互いに相対的に移動可能であってもよい固定焦点距離レンズ又はレンズアセンブリ、1以上の形状不変鏡など、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの(例えば、1以上のズームレンズ)を含み得る。
波面補償光学部品内の光学的構成要素の種類にかかわらず、波面補償光学部品は、(a)波面補償光学部品の「光学的に上流側の」ビーム経路114の1以上の位置で(すなわち、波面補償光学部品に伝搬する前に)レーザエネルギービームにより蓄積された波面歪み、(b)波面補償光学部品の「光学的に下流側の」ビーム経路114の1以上の位置で(すなわち、波面補償光学部品から伝搬した後に)レーザエネルギービームにより蓄積されると予想される波面歪み、又は(c)上記(a)と上記(b)の組み合わせを補償するように構成され得る。本明細書で使用される場合には、波面補償光学部品に伝搬する前のレーザエネルギービームにより蓄積された波面歪みは「実波面歪み」とも呼ばれ、波面補償光学部品から伝搬した後のレーザエネルギービームにより蓄積されると予想される波面歪みは「予想波面歪み」とも呼ばれる。
a.メンブレン型形状可変鏡に関する実施形態の例
一実施形態においては、図16及び図16Aを参照すると、メンブレン型形状可変鏡はミラー1600として提供され得る。一般的に、ミラー1600は、反射面1602、本体1604、及び本体1604内に形成されたポケット1606(例えば、本体の背面から反射面1602に向かって延びる)を含んでいる。このように、本体1604は、(例えば、反射面1602とポケット1606との間に形成された)相対的に薄いメンブレン領域1608と、(例えば、ポケット1606の周縁を取り囲む)相対的に厚いメンブレン領域1610とを含むものとして特徴付けることができる。一実施形態においては、本体1604は銅のような材料から形成され得る。また、反射面1602は本体1604と同一の材料から形成され得る(例えば、本体1604を研磨して反射面1602を形成してもよい)。あるいは、反射面1602は、本体1604上に形成された膜又は他の被覆として形成され得る。
メンブレン領域1608は、ポケット1606内の圧力を変化させることにより変形するように構成される。例えば、図17を参照すると、ミラー1600は、ポケット1606の周縁に沿って延びるシールを形成するように(例えば、接着材、1以上の溶接部、1以上のクランプ、1以上のネジなどを介して、あるいはこれらを任意に組み合わせて)台座1700に連結されていてもよい(すなわち、ポケット1606の周縁では、ミラー1600の周縁領域1610が台座1700の表面1702に対して付勢されるか、これに密着される)。台座1700は、当該技術分野において知られているように、ポケット1606を加圧又は減圧するようにその中を流体(例えば空気が)が通過することができる穿孔1704を含んでいる。ポケット1606が十分に加圧されていない場合(例えば、ポケット1606内の圧力がポケット1606の外部の環境の雰囲気圧力と等しい場合)、反射面1602は実質的に平坦である。ポケット1606が十分に加圧されている場合(例えば、ポケット1606内の圧力がポケット1606の外部の環境の雰囲気圧力よりも所定の閾値量だけ高い場合)、反射面1602の形状は、補償しようとしている波面歪み(実波面歪み、予想波面歪み、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの)と少なくとも実質的に同一の特性を有するように変化する。メンブレン領域1608の幾何学的形状は、反射面1602が変化すると、反射面1602の形状を特徴付けるために使用することができるフリンジゼルニケ項(例えば、Z4、Z9、Z16など、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの)の係数が、レーザエネルギービーム中の波面歪み(実波面歪み、予想波面歪み、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの)を補償するように変化することを確実にするように構成され得る。
一般的に、ポケット1606内の圧力の制御は、レギュレータ(例えば、定圧レギュレータ又は可変圧レギュレータなど)、制御弁(例えば、コントローラ122又は他のコントローラにより出力された1以上のコマンド信号に応答する電子制御型制御弁)など、あるいはこれらを任意に組み合わせたもののような1以上の制御要素により行うことができる。この制御要素は、(例えば、ワークピースを加工するためのレーザエネルギービームを生成するようにレーザ源104が作動されているときに)加圧空気をポケット1606に導入し、(例えば、レーザ源104が停止されたとき、あるいは位置合わせを容易にするための低パワービームレーザエネルギーを生成するようにレーザ源104が作動されているときなどに)ポケット1606を減圧することができる。この場合において、ホース(例えば、気圧ホース、油圧ホースなど)の第1の端部が、典型的には、穿孔1704と流体的に連通するように台座1700に連結され、ホースの(第1の端部とは反対側の)第2の端部が、制御要素と流体的に連通する。
一実施形態においては、装置100は、必要に応じて、レーザエネルギービームのパワー(レーザパワーモニタの場合)、波面(波面センサの場合)などを表す測定信号を生成するように(例えば、第1のポジショナ106に対して光学的に上流側の位置に、あるいは光学的に第1のポジショナ106と第2のポジショナ108との間の位置に、あるいは第2のポジショナ108に対して光学的に下流側の位置に、あるいはこれに類する位置に、あるいはこれらを任意に組み合わせた位置に)配置及び構成されたレーザパワーモニタ、波面センサなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものを含んでいてもよい。測定信号は、コントローラ122に、あるいはレギュレータ又は制御弁に関連付けられた構成要素固有のコントローラに、あるいはこれに類するものに、あるいはこれらを任意に組み合わせたものに出力することができる。受信した測定信号に基づいて、コントローラ(コントローラ122であるか、レギュレータ又は制御弁に関連付けられた構成要素固有のコントローラであるかを問わず)は、その後、制御信号をレギュレータに、さらに/あるいは制御弁に出力し、測定信号が、レーザエネルギービームのパワーが例えば所定の閾値パワー、あるいは所定の波面などを超えて増加してしまったことを示している場合には、ポケット1606内の圧力を上げることができる。
戻って図16及び図16Aを参照すると、メンブレン領域1608の幾何学的形状は、一実施形態においては、反射面1602の形状を特徴付けるために使用することができる上述したフリンジゼルニケ項のうち1つ以上の係数がポケット1606内の圧力に対して線形(あるいは少なくとも実質的に線形の、あるいは正に線形な)依存性を有することを確実するように構成されていてもよい。一般的に、ポケット1606内の圧力は、0psi(又はその前後)から85psi(又はその前後)までに変化し得る。他の実施形態においては、メンブレン領域1608の幾何学的形状は、反射面1602の形状を特徴付けるために使用することができる上述したフリンジゼルニケ項のうち2つ以上の係数の間の比(本明細書では「補償比」ともいう)が所定の範囲内にあることを確実にするように構成され得る。例えば、メンブレン領域1608の幾何学的形状は、Z4項の係数に対するZ9項の係数の補償比(すなわちZ9:Z4)が-0.1から-0.3の範囲(例えば、-0.15から-0.25の範囲、-0.18から-0.23の範囲、-0.19から-0.22の範囲、-0.19から-0.21の範囲など)にあることを確実にするように構成され得る。この補償比は、ポケット1606内の圧力に基づいて上述した範囲内で変化してもよく、あるいはポケット1606内の圧力とは関係なく、一定(又は少なくとも実質的に一定)であってもよい。
上記の観点から、メンブレン領域1608は、平面図で見たときに(すなわち、図16に示されるように)少なくとも実質的に円形であり得る。メンブレン領域1608の中央部分は、メンブレン領域1608の周縁部分の第2の厚さt2よりも小さい第1の厚さt1を有し得る。メンブレン領域1608は、第1の半径r1を有するものとして特徴付けることができ、メンブレン領域1608の上記中央部分(すなわち、第1の厚さt1を有するメンブレン領域1608の部分)は、第2の半径r2を有するものとして特徴付けることができる。第1の厚さt1は、0.8mm(又はその前後)から0.3mm(又はその前後)の範囲、例えば0.5mm(又はその前後)であり得る。第2の厚さt2は、1.0mm(又はその前後)から2.0mm(又はその前後)の範囲、例えば1.5mm(又はその前後)であり得る。第1の半径r1は、3.0mm(又はその前後)から4.0mm(又はその前後)の範囲、例えば3.5mm(又はその前後)であり得る。第2の厚さr2は、16.0mm(又はその前後)から18.0mm(又はその前後)の範囲、例えば17.0mm(又はその前後)であり得る。一般的に、ミラー1600自体は、第2の半径r2よりも大きい第3の半径r3を有するものとして特徴付けることができ、ミラー1600の周縁領域1610は、第2の厚さt2よりもずっと大きな第3の厚さt3を有する。例えば、第3の半径r3は、24mm(又はその前後)から26mm(又はその前後)の範囲(例えば、25mm又はその前後)であり得る。第3の厚さt3は、8mm(又はその前後)から10mm(又はその前後)(例えば、10mm又はその前後)であり得る。図16Aは、2つの異なる面が接する小さな半径(例えば、点線の円で囲まれた領域内の半径)を示している。これらの半径は、これらの領域でのミラー基板上の応力を低減することができ、クラックが形成されてこれらの領域に伝搬する可能性を低減することができる。これらの半径の存在により、ミラーの形状を恒久的に変えるまでにミラー1600が耐え得る断続的な圧力サイクルの数という意味において、ミラー1600の寿命がより長くなることが期待される。
一実施形態においては、ミラー1600は、(例えば、少なくとも互いに略平行な前面及び背面を有する)円板状の本体を得た後、背面から本体を加工して、図示されるような第1のキャビティ1612と第2のキャビティ1614を含むポケット1606を形成することにより形成される。ポケット1606を形成した後、本体の前面が当該技術分野において知られている1以上の好適な手法(例えば、平坦研磨、ダイヤモンド旋削、磁気粘性流体的仕上げ(MRF)など、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの)により平坦に研磨される。必要に応じて、高パワーレーザエネルギービームを反射するのに好適な1以上の高反射コーティングで研磨された前面を被覆してもよい。
他の実施形態においては、ミラー1600は、上述したように形成され得るが、本体を加工して第1のキャビティ1612及び第2のキャビティ1614を形成するのではなく、メンブレン領域1608を形成するためには第1のキャビティ1612だけを形成すればよい。その後、任意の好適な形状、堅さ、厚さ、及び材料の1以上の補剛材を所望の反射面1602の反対側の第1のキャビティ1612の面に接合してもよい。補剛材の形状、堅さ、厚さ、及び材料は、上述した方法によりレーザエネルギービーム中の波面歪み(実波面歪み、予想波面歪み、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの)を補償するような方法でメンブレン領域1608が確実に変形するように選択することができる。他の実施形態においては、ミラー1600は、変形可能な反射性メンブレンを筒体に取り付けることにより形成され得る。
上述したように構成されているため、メンブレン型形状可変鏡1600の反射面1602は、Z4及びZ9のような放射対称フリンジゼルニケ多項式の組み合わせにより特徴付けることができる形状(又は形状の範囲)を取るように変形する。他の実施形態においては、反射面1602が変形すると、反射面1602の形状を単一の対称フリンジゼルニケ多項式(例えばZ9)により好適に特徴付けることができるように、当該技術分野において知られている任意の好適な方法でメンブレン型形状可変鏡1600の構成を修正することができる。
例えば、図18を参照すると、メンブレン型形状可変鏡はミラー1800として提供され得る。ミラー1800は、ミラー1600に関して述べたのと同様に提供され得る。しかしながら、ミラー1800は、ポケット1802,1804,1806のような複数のポケットを含み得る。ポケット1804及び1806は、環状の形状であり、ポケット1802の周縁に沿って延びている。ポケット1802,1804,1806は、変形可能領域1608の背面から延びる1対の環状リブ1808及び1810によって半径方向に互いに離間されている。ポケット1802,1804,1806(ひいてはリブ1808及び1810)は、任意の好適な方法により(例えば、ミラー1800を構成する本体の背面を加工することにより)形成することができる。他の実施形態においては、最初にミラー1800を構成する本体の背面に単一のキャビティを加工し、環状リブ1808及び1810を変形可能領域1608の背面に接合することによりポケット1802,1804,1806を形成することができる。
ミラー1800が(例えば、接着材、1以上の溶接部、1以上のクランプ、1以上のネジなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものを介して)台座1700に好適に連結されている場合、ミラー1800のリブ1808及び1810だけでなく周縁領域1610が、台座1700の表面1702に対して付勢されるか、これに密着される。この結果、ポケット1802,1804,1806の周縁に沿って延びる複数のシールが形成される(このシールにおいては、1以上のリブが面1702に対して付勢されるか、これに密着され、周縁領域1610が面1702に対して付勢されるか、これに密着される)。
図18に示されるように、台座1700は、第1の穿孔1812と、オプションの第2の穿孔1814と、第3の穿孔1816とを備えている。第1の穿孔1812は、ポケット1802と流体的に連通しており、(存在する場合には)第2の穿孔1814は、ポケット1804と流体的に連通しており、第3の穿孔1816は、ポケット1806と流体的に連通している。ポケット1802及びポケット1806内の圧力の制御は、上記で例示的に説明したように、(例えば、第1の穿孔1812及び第3の穿孔1816のそれぞれに接続される)1以上のホース及び(例えば、ホースに接続される)1以上の制御要素を用いて行うことができる。存在する場合には、第2の穿孔1814は、ポケット1804が、ポケット1804の外側の周辺環境と流体的に連通するように、外部環境に対して開放されている。一実施形態においては、ポケット1806内の圧力と独立してポケット1802内の圧力を制御することができる。他の実施形態においては、ポケット1806内の圧力に依存するような方法でポケット1802内の圧力を制御することができ、あるいはポケット1802内の圧力に依存するような方法でポケット1806内の圧力を制御することができる。例えば、第1の穿孔1812は、第2の穿孔1816とは異なる制御要素に連結され得る。他の例においては、第1の穿孔1812及び第2の穿孔1816は、同一の制御要素に共通して連結され、この制御要素は、ポケット1806に対してポケット1802を加圧又は減圧可能、あるいはポケット1802に対してポケット1806を加圧又は減圧可能となっているか、あるいは、ポケット1802及びポケット1806を共通して加圧又は減圧可能となっている。
ポケット1802及び1806が十分に加圧されていない場合(例えば、ポケット1802及び1806内の圧力がポケット1802及び1806の外側の外部環境の雰囲気圧力と等しい場合)、反射面1602は実質的に平坦である。ポケット1802及び1806が十分に加圧されている場合(例えば、ポケット1802及び1806のそれぞれの圧力がポケット1804の外側の環境の雰囲気圧力よりも所定の閾値量だけ高い場合)、ポケット1802及び1806により露出しているメンブレン領域1608の部分が(例えば、台座1700の面1702から離れて外側に曲がるように)凸状に変形し、これにより、ポケット1804により露出しているメンブレン領域1608の部分が(例えば、台座1700の面1702に向かって内側に曲がるように)凹状に変形する。この場合において、メンブレン領域1608とリブ1808及び1810との間の接続部は環状支点として作用し、これにより、ポケット1802及び1806に対応する位置でメンブレン領域1608が凸状に変形することが可能となり、ポケット1804に対応する位置でメンブレン領域1608を凹状に変形させる。ミラー1800の幾何学的形状は、反射面1602の形状が変化すると、フリンジゼルニケ項Z9の係数がレーザエネルギービーム中の球面収差を補償するように変化することを確実にするように構成され得る。
他の実施形態においては、図19を参照すると、メンブレン型形状可変鏡はミラー1900として提供され得る。ミラー1900は、ミラー1800に関して述べたのと同様に提供され得る。しかしながら、ミラー1900は、1対のポケット(すなわち、ポケット1902及びポケット1904)を規定する単一の環状リブ1906のみを含んでいる。ポケット1904は、環状の形状であり、ポケット1902の周縁に沿って延びている。ポケット1902及び1904(ひいてはリブ1906)は、(例えば、ミラー1800に関して述べたように)任意の好適な方法により形成することができる。
ミラー1900が(例えば、接着材、1以上の溶接部、1以上のクランプ、1以上のネジなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものを介して)台座1700に好適に連結されている場合、ミラー1900の周縁領域1610及びリブ1906が台座1700の表面1702に対して付勢されるか、これに密着される。この結果、ポケット1902及び1904の周縁に沿って延びる複数のシールが形成される。
図19に示されるように、台座1700は、第1の穿孔1908と第2の穿孔1910とを備えている。第1の穿孔1908は、ポケット1902と流体的に連通しており、第2の穿孔1910は、ポケット1904と流体的に連通している。ポケット1902及び1904内の圧力の制御は、上記で例示的に説明したように、(例えば、第1の穿孔1908及び第2の穿孔1910のそれぞれに接続される)1以上のホース及び(例えば、ホースに接続される)1以上の制御要素を用いて行うことができる。一実施形態においては、ポケット1910内の圧力と独立してポケット1902内の圧力を制御することができ、あるいは、ポケット1902内の圧力と独立してポケット1910内の圧力を制御することができる。他の実施形態においては、ポケット1904内の圧力に依存するような方法でポケット1902内の圧力を制御することができ、あるいはポケット1902内の圧力に依存するような方法でポケット1904内の圧力を制御することができる。例えば、第1の穿孔1908は、第2の穿孔1910とは異なる制御要素に連結され得る。他の例においては、第1の穿孔1908及び第2の穿孔1910は、同一の制御要素に共通して連結され、この制御要素は、ポケット1904に対してポケット1902を加圧又は減圧可能、あるいはポケット1902に対してポケット1904を加圧又は減圧可能となっているか、あるいは、ポケット1902及びポケット1904を共通して加圧又は減圧可能となっている。
ポケット1902及び1904が十分に加圧されていない場合(例えば、ポケット1902及び1904内の圧力がポケット1902及び1904の外側の外部環境の雰囲気圧力と等しい場合)、反射面1602は実質的に平坦である。ポケット1902及び1904が十分に加圧されている場合(例えば、ポケット1902及び1904のそれぞれの圧力がポケット1902及び1904の外側の環境の雰囲気圧力よりも所定の閾値量だけ高い場合)、ポケット1902及び1904により露出しているメンブレン領域1608の部分が(例えば、台座1700の面1702から離れて外側に曲がるように)凸状に変形する。この場合において、メンブレン領域1608とリブ1906との間の接続部は環状支点として作用し、これにより、メンブレン領域1608が上述したように凸状に変形することが可能となり、リブ1906でメンブレン領域1608を上述したように凹状に変形させる。ミラー1900の幾何学的形状は、反射面1602の形状が変化すると、フリンジゼルニケ項Z9の係数がレーザエネルギービーム中の球面収差を補償するように変化することを確実にするように構成され得る。
上述した方法により形成及び構成される上記メンブレン型形状可変鏡のいずれも、変形した反射面1602の形状が、上述した放射対称フリンジゼルニケ多項式の組み合わせにより定義される形状に限らず様々な形状を取り得るように、当該技術分野において知られている任意の好適な方法により修正することができることは理解できるであろう。例えば、図16、図18、及び図19に関して述べられたメンブレン型形状可変鏡のポケットは放射対称である。メンブレン型形状可変鏡が非放射対称のポケットを有するように修正される場合には、変形した反射面1602の形状は放射対称とならない。
ii.概して光リレーシステムの利用に関する実施形態
一般的に、透過型光学的構成要素内の熱レンズ効果により引き起こされる波面収差は、透過型光学的構成要素内の特定に位置で生じ、これは、本明細書において「物体平面」又は「第1の平面」と呼ぶ平面によって近似することができる。理想的には、波面収差は、物体平面(すなわち波面収差が生成された場所)で補正される。しかしながら、これは通常物理的に不可能である。したがって、物体平面は、透過型光学的構成要素の外部に位置する他の平面(「像平面」又は「第2の平面」という)に再投影され、波面補償光学部品は、(例えば、上述した方法により)波面収差を補償するために像平面に位置する。
したがって、ある実施形態においては、ビーム経路アセンブリは、物体平面を波面補償光学部品にリレー又は再投影する(すなわち、像平面を波面補償光学部品上に配置する)ためにビーム経路114内に配置された光リレーシステムを含んでいてもよい。一般的に、
光リレーシステムは、任意の数の光学的構成要素(例えば、1以上のミラー、1以上のレンズなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの)を含み得る。光リレーシステム内の光学的構成要素の構成及び配置は、像平面での物体の像のサイズが物体平面での実際の物体のサイズと異なる(例えば、これよりも大きい又は小さい)ことを確実にするために、当該技術分野において知られているようなものであり得る。
a.光リレーシステムに関する実施形態の例
図20を参照すると、光リレーシステム2000のような光リレーシステムは、第1の光リレー2000a、第2の光リレー2000b、又は第1の光リレー2000aと第2の光リレー2000bの組み合わせを含み得る。光リレーシステム2000は、波面補償光学部品2002と第1の光学的構成要素2004a及び第2の光学的構成要素2004bの一方又は双方とを含むビーム経路アセンブリ内に組み込まれる。一般的に、第1の光学的構成要素2004a及び第2の光学的構成要素2004bのうち少なくとも一方は、(例えば上述したように)熱レンズ効果により入射レーザエネルギービームの波面を歪ませ得る光学的構成要素を代表している。このため、波面補償光学部品2002は、第1の光学的構成要素2004a内の熱レンズ効果の結果としてレーザエネルギービームにより蓄積された実波面歪みを補償する、あるいは第2の光学的構成要素2004b内の熱レンズ効果の結果としてレーザエネルギービームにより蓄積された予想波面歪みを補償する、あるいはこれらを組み合わせるように構成され得る。波面補償光学部品2002は、静的波面補償光学部品、動的波面補償光学部品など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものとして提供され得る。しかしながら、一般的に、波面補償光学部品2002は、これに入射するレーザエネルギービームに対して透過性を有しており、入射レーザエネルギービームを透過するように構成される。
例示的に示されているように、第1の光リレー2000a及び第2の光リレー2000bのそれぞれは1組のレンズとして提供される。図20は、第1の光リレー2000a及び第2の光リレー2000bのそれぞれは、レンズ間に何も光学的構成要素を含んでいないように示しているが、他の実施形態においては、第1の光リレー2000a及び第2の光リレー2000bの一方又は双方のレンズ間に1以上の光学的構成要素(例えばミラーなど)を介在させてもよい。第1の光リレー2000aは、リレーされたレーザエネルギービームの第1の像平面での像が第1の物体平面での像よりも大きくなるように、第1の物体平面での(すなわち、第1の光学的構成要素2004a内の平面での)レーザエネルギービームの像を第1の像平面(すなわち、波面補償光学部品2002に位置する又は波面補償光学部品2002内に位置する平面)にリレーするように配置及び構成されている。第2の光リレー2000bは、リレーされたレーザエネルギービームの第2の像平面での像が第2の物体平面での像よりも小さくなるように、第2の物体平面での(すなわち、波面補償光学部品2002での平面(これは第1の像平面と同一であり得る)での)レーザエネルギービームの像を第2の像平面(すなわち、第2の光学的構成要素2004bに位置する又は第2の光学的構成要素2004b内に位置する平面)にリレーするように配置及び構成されている。一実施形態においては、第1の光リレー2000a及び第2の光リレー2000bは、リレーされたレーザエネルギービームの第2の像平面での像のサイズが、第1の物体平面でのレーザエネルギービームの像のサイズと同一になるように配置及び構成されている。他の実施形態においては、第1の光リレー2000a及び第2の光リレー2000bは、リレーされたレーザエネルギービームの第2の像平面での像のサイズが、第1の物体平面でのレーザエネルギービームの像のサイズよりも大きくなるように、あるいは小さくなるように配置及び構成され得る。
図21を参照すると、上述した光リレーシステム2000は、第1の光学的構成要素2004a及び第2の光学的構成要素2004bの一方又は双方を含むが、波面補償光学部品2002に代えて波面補償光学部品2100を含むビーム経路アセンブリ内に組み込まれていてもよい。波面補償光学部品2002と同様に、波面補償光学部品2100は、第1の光学的構成要素2004a内の熱レンズ効果の結果としてレーザエネルギービームにより蓄積された実波面歪みを補償する、あるいは第2の光学的構成要素2004b内の熱レンズ効果の結果としてレーザエネルギービームにより蓄積された予想波面歪みを補償する、あるいはこれらを組み合わせるように構成され得る。さらに、波面補償光学部品2100は、静的波面補償光学部品、動的波面補償光学部品など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものとして提供され得る。しかしながら、図示された実施形態においては、波面補償光学部品2100は、(入射レーザエネルギービームを透過させるのとは反対に)これに入射するレーザエネルギービームを反射するように構成される。本実施形態においては、波面補償光学部品2100は、(上記で例示的に述べられた)任意の好適な方法により提供されるメンブレン型形状可変鏡であり得る。
図20及び図21に例示的に示される実施形態によれば、第1の光リレー2000a及び第2の光リレー2000bは、完全に別個の構成要素として提供される。すなわち、第1の光リレー2000a及び第2の光リレー2000bは、共通の構成要素(例えば、レンズ、ミラーなど)を物理的に組み込んでいない。しかしながら、他の実施形態においては、第1の光リレー2000a及び第2の光リレー2000bは、1以上の共通の構成要素(例えば、レンズ、ミラーなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの)を組み込むことができる。例えば、図22を参照すると、光リレーシステム2200のような光リレーシステムは、第1の光リレー2200aと第2の光リレー2200bとを含み得る。この場合において、第1の光リレー2200aは、第1のレンズ2202と第2のレンズ2204とを組み込んでおり、第2の光リレー2200bは、第2のレンズ2204と第3のレンズ2206とを組み込んでいる。光リレーシステム2200は、波面補償光学部品(例えば、上述した波面補償光学部品2100)と第1の光学的構成要素2004a及び第2の光学的構成要素2004bの一方又は双方とを含むビーム経路アセンブリ内に組み込まれる。
第1の光リレー2200aは、リレーされたレーザエネルギービームの第1の像平面での像が第1の物体平面での像よりも大きくなるように、(例えば、ビーム経路114に沿って伝搬する)レーザエネルギービームの第1の物体平面での(すなわち、第1の光学的構成要素2004a内の平面での)像を第1の像平面(すなわち、波面補償光学部品2100に位置する又は波面補償光学部品2100内に位置する平面)にリレーするように配置及び構成されている。第2の光リレー2200bは、リレーされたレーザエネルギービームの第2の像平面での像が第2の物体平面での像よりも小さくなるように、第2の物体平面での(すなわち、波面補償光学部品2100での平面(これは第1の像平面と同一であり得る)での)レーザエネルギービームの像を第2の像平面(すなわち、第2の光学的構成要素2004bに位置する又は第2の光学的構成要素2004b内に位置する平面)にリレーするように配置及び構成されている。一実施形態においては、第1の光リレー2200a及び第2の光リレー2200bは、リレーされたレーザエネルギービームの第2の像平面での像のサイズが、第1の物体平面でのレーザエネルギービームの像のサイズと同一になるように配置及び構成されている。他の実施形態においては、第1の光リレー2200a及び第2の光リレー2200bは、リレーされたレーザエネルギービームの第2の像平面での像のサイズが、第1の物体平面でのレーザエネルギービームの像のサイズよりも大きくなるように、あるいは小さくなるように配置及び構成され得る。
図22は、第1の光リレー2200a及び第2の光リレー2200bのそれぞれは、レンズ間に何も光学的構成要素を含んでいないように示しているが、他の実施形態においては、第1の光リレー2200a及び第2の光リレー2200bの一方又は双方のレンズ間に1以上の光学的構成要素(例えばミラーなど)を介在させてもよい。例えば、図23を参照すると、第2のレンズ2204と第3のレンズ2206との間のビーム経路114に沿って配置される複数のミラー(例えば、ミラー2302及び2304)を組み込むように上述した光リレーシステム2200を修正し(これにより光リレーシステム2300を構成し)てもよい。
一般的に、図20、図21、図22、図23、及び図24のいずれかに示される第1の光学的構成要素2004a及び第2の光学的構成要素2004bの一方又は双方は、上述した透過型光学的構成要素のいずれか1つ以上、レーザ利得媒体など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものとして提供され得る。一実施形態においては、第1の光学的構成要素2004a及び第2の光学的構成要素2004bのうち少なくとも一方は、上述したAODシステムのいずれかのAOセル(例えば、結晶Ge、GaAs、PbMoO4、TeO2、水晶、ガラス状SiO2、As2S3、LiNbO3などからなる)などとして提供される。例えば、第1の光学的構成要素2004aは、上述した第1のAOD402のAOセルとして提供され得る。第2の光学的構成要素2004bは、上述した第2のAOD404のAOセルとして提供され得る。このため、第1の光学的構成要素2004aは第1のAOD402の一部であると考えることができ、第2の光学的構成要素2004bは第2のAOD404の一部であると考えることができる。1つの具体例においては、第1のAOD402及び第2のAOD404のAOセルは、いずれも同一の材料(例えば、Ge、GaAs、PbMoO4、TeO2、石英、SiO2、As2S3、LiNbO3など、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの)から形成され得る。このような場合、図示はされていないが、(例えば、上述した目的のために)位相リターダのような1以上の追加の光学的構成要素を第1の光学的構成要素2004aと第2の光学的構成要素2004bとの間のビーム経路内に(例えば、図22又は図23のいずれかに示されるビーム経路114内に、あるいは、図24に示されるビーム経路114’内に)配置されるように設けてもよい。例えば、上述した位相リターダのような1以上の位相リターダは、第1の光学的構成要素2004aと第1のレンズ2202との間の位置で、あるいは第2の光学的構成要素2004bと第3のレンズ2206との間の位置で、第1のレンズ2202と第3のレンズ2206との間の位置で、あるいはこれと類似する位置で、あるいはこれらを任意に組み合わせた位置で、ビーム経路内に配置され得る。
第1の光学的構成要素2004a及び第2の光学的構成要素2004bがそれぞれ上述した第1のAOD402及び第2のAOD404のAOセルとして提供される場合には、図23に示される第1の光学的構成要素2004aから伝搬するビーム経路114は、(例えば、図4に示される)第1のAOD402から伝搬する1次ビーム114’に対応し得る。同様に第1の光学的構成要素2004aから伝搬するゼロ次ビーム(これも図示せず)を吸収するビームダンプ(図示せず)を設けてもよい。他の実施形態においては、ゼロ次ビームが第1の光学的構成要素2004aから(例えば、図24に示される)第2の光学的構成要素2004bに伝搬できるようにしてもよい。
図24を参照すると、ミラー2302及び2304の配置及び構成に加えて、レンズ2202,2204,2206の配置及び構成は、第2の光学的構成要素2004b内の1次ビーム経路114とゼロ次ビーム経路300との間の角度差の大きさ及び方向が、介在するすべての光学部品を取り除いて、第2の光学的構成要素2004bを単純に第1の光学的構成要素2004aの光出力部に配置した場合と同一に(又は少なくとも実質的に同一に)なるようにされる。これは、(例えば、上記で例示的に述べたビームダンプシステムを用いて)第2の光学的構成要素2004bから望ましくないビーム経路に沿って伝搬するレーザエネルギーの捕捉及び吸収(すなわちトラップ)を容易にする点で有用であり得る。
図24に例示的に示されるように、ゼロ次ビーム経路300は、1次ビーム経路114’と同一の光学的構成要素の順序を辿るものではない。すなわち、ゼロ次ビーム経路300は、光リレーシステム2300を伝搬せず、波面補償光学部品2100によって反射されることもないが、1次ビーム経路114’は光リレーシステム2300を伝搬し、波面補償光学部品2100によって反射される。このため、第1の光学的構成要素2004aにおいて1次ビームにより蓄積される熱レンズ効果(上述したように、歪みのうち特に集束効果を含み得る)は、1次ビームが第2の光学的構成要素2004bに到達するときまでに補償されるが、第1の光学的構成要素2004aにおいてゼロ次ビームにより蓄積される熱レンズ効果(これも集束効果を含み得る)は、ゼロ次ビームが第2の光学的構成要素2004bに到達するときまでには補償されない。この結果、第1の光学的構成要素2004aから伝搬するゼロ次ビームは、2つのビームが第2の光学的構成要素2004bに到達するときまでには1次ビームよりも非常に小さくなる。この差を補償するために、最終的に第2の光学的構成要素2004bに伝搬するゼロ次ビームのサイズを調整するために第1の光学的構成要素2004aから伝搬するゼロ次ビーム経路300内に配置されたレンズ2402(例えば、単一の発散レンズ)を含むように、光リレーシステム2300を修正してもよい(これにより光リレーシステム2400を構成してもよい)。一実施形態においては、ゼロ次ビームが第2の光学的構成要素2004bに入射する位置をずらすようにレンズ2402の位置及び/又は向きを調整可能にしてもよい。
図24に関して述べた実施形態では、ゼロ次ビーム経路300が1次ビーム経路114’と同一の光学的構成要素の順序を辿るものではないが、他の実施形態においては、ゼロ次ビーム経路300が1次ビーム経路114’と同一の光学的構成要素の順序を辿ってもよいことは理解できるであろう。例えば、(例えば、ゼロ次ビーム経路300が、第2のレンズ2204を通って、波面補償光学部品2100に向かい、ミラー2302に向かい、ミラー2304に向かい、第3のレンズ2206を通って、第2の光学的構成要素2004bに向かって順番に伝搬するように)第1の光学的構成要素2004aを出たゼロ次ビーム経路300を1次ビーム経路114’に少なくとも概して平行な方向に沿って第1のレンズ2202に透過させるために1以上の光学要素(例えば、1以上のミラー)を設けてもよい。この場合において、ビーム経路アセンブリからレンズ2402を省略してもよい。他の例においては、第1のレンズ2202、第2のレンズ2204、波面補償光学部品2100、ミラー2302、ミラー2304、及び第3のレンズ2206のうち少なくとも1つのサイズ及び配置は、ゼロ次ビーム経路300及び1次ビーム経路114’の双方に位置するように調整され得る。
E.光学的構成要素の取付に関する実施形態
レンズ、窓、位相リターダ、フィルタ、ミラーなどのような上述した光学的構成要素のいずれかは、光学マウントを用いてビーム経路アセンブリ内の適切な位置に保持され得る。そして、光学マウントは、典型的には、装置100のフレーム又は壁、装置100内に組み込まれた光ブレッドボードなどに連結される。多くの場合、マウントは、一定の範囲の環境条件で光学的構成要素の位置を保持及び維持するように、1以上の圧縮力が光学的構成要素に作用するように構成される。しかしながら、一部の光学的構成要素の光学的表面は、機械的応力に対して非常に敏感であり得るので、比較的小さな圧縮力でさえ光学的表面を好ましくない形態で変形させることがある。本明細書で使用される場合には、「光学的表面」は、(例えば、光学的構成要素がミラーの場合)反射面、(例えば、光学的構成要素がレンズなどの場合)屈折面のことを意味し得る。
特に好ましくない変形が生じやすい光学的表面を有する光学的構成要素の1つの特定の種類は、メンブレン型形状可変鏡である。したがって、図25に例示的に示される一実施形態においては、メンブレン型形状可変鏡を保持するためのマウント2500は、図17に関して示され述べられた台座1700のような台座と、台座1700に連結されたマウントプレート2502とを含み得る。マウントプレート2502は、台座1700の連結部2504で台座1700に連結されている。一実施形態においては、連結部2504にはネジ山が形成されており、マウントプレート2502は、ネジ山が形成された連結部2504に螺合するように構成された雌ネジが形成された穿孔を含んでいる。他の実施形態においては、連結部2504は、他の連結手段(例えば、接着、溶接、1以上のクランプ、1以上のネジなど)によりマウントプレート2502の穿孔内に固定される。マウントプレート2502は、当該技術分野において知られている任意の方法により(例えば、1以上のネジ、クランプ、バネ、接着材などを介して)任意の好適な又は公知の固定又は調整可能光学マウントアセンブリ(図示せず)に連結され得る。連結部2504がマウントプレート2502のネジ溝が形成された穿孔に螺合される実施形態においては、マウント2500は、ロックナット2506も含み得る。ロックナット2506をマウントプレート2502のネジ溝が形成された穿孔に螺合して、連結部2504をマウントプレート2502のネジ溝が形成された穿孔内にロックすることを補助することができる。
図示された実施形態においては、ミラー1600のメンブレン領域1608内に応力(又はかなりの応力)が引き起こされないようにメンブレン型形状可変鏡1600が台座1700に連結される。さらに、穿孔1704は、連結部2504の全長にわたって表面1702から延びているように示されており、上述した方法によりポケット1606を加圧又は減圧するように流体(例えば空気)が穿孔1704内を通過することができる。穿孔1704を通して流体を移送するのを容易にするために、穿孔1704の一端に継手2508を挿入してもよい。継手2508は、任意の好適な又は公知の方法によりホースに(例えば、上述した気圧ホース、油圧ホースなどのようなホースの第1の端部に)連結されるように構成され得る。
図25は、マウント2500が(ミラー1600を固定するために)図17に示される台座1700に連結されているものとして示しているが、マウント2500は、ミラー1600又は他のメンブレン型形状可変鏡を固定するために他の台座に連結されていてもよいことは理解できるであろう。例えば、マウント2500は、(ミラー1800を固定するために)図18に示される台座1700に連結されていてもよく、あるいは(ミラー1900を固定するために)図19に示される台座1700に連結されていてもよい。また、上記ではマウント2500がメンブレン型形状可変鏡の固定に使用するための台座を含むものとして説明されているが、マウント2500は、他の光学的構成要素の固定に使用する任意の他の好適な台座を含んでいてもよいことは理解できるであろう。
F.概して波長分散の補償に関する実施形態
AODは、スペクトル分散性を有する要素であり、この結果、AODによりレーザエネルギービームが偏向される角度がレーザエネルギービームの波長に依存することは理解されるべきである。AODに入射するレーザエネルギービームのスペクトル線幅が大きすぎる場合、AOD内の入射ビームの回折により、好ましくない形態で空間的に歪み得る偏向レーザエネルギービーム(これは例えば、ワークピース102において細長いプロセススポットのように好ましくない形態の歪みを生じ得る)あるいは異なる波長又はスペクトル線幅を有する多くのビームレットに空間的に分解され得る偏向レーザエネルギービームが生じる。このため、上述したようなレーザ加工用途については、第1のポジショナ106におけるAODに最終的に入射するレーザエネルギービームは、線幅の広いレーザエネルギービームに対するAOD回折内イベントの上述した悪影響を最小限にする又はこれをなくすのに好適に狭いスペクトル線幅を有することが好ましい。スペクトル線幅は、例えばレーザエネルギービーム内の光パワースペクトル強度の半値全幅(FWHM)に基づいて測定することができる。
電磁波スペクトルの紫外域、可視域、又はNIR域内で出力されるレーザを生成可能な多くの従来のレーザ源104により生成されるレーザエネルギービームのスペクトル線幅は、レーザ加工用途については好適に狭い。高パワーCWガスレーザ(例えば、約300Wよりも高い平均パワーを有する二酸化炭素又は一酸化炭素CWレーザ)や(例えば、約300W未満の平均パワーを有する)他の低パワーCW又はパルスガスレーザのようなレーザ源104は、場合によっては、レーザ加工用途については好適に狭いSWIR域、MWIR域、又はLWIR域のスペクトル線幅を有するレーザパルスを生成し得る。これらの場合においては、そのようなガスレーザにより出力される狭いスペクトル線幅は、レーザ源104のレーザ共振器内に1以上のスペクトル的に選択可能なデバイス(例えば、エタロン又はグレーティング)を組み込むことにより実現される。
しかしながら、ある実施形態においては、AODに最終的に入射するレーザエネルギービームのスペクトル線幅は、レーザ加工用途については好適には狭くない。例えば、適切なスペクトル的に選択可能なデバイスを欠いているガスレーザ(例えば、高パワー又は低パワーCW又はパルス二酸化炭素又は一酸化炭素ガスレーザ)により生成されるレーザエネルギービームは、好ましくない程度に広いスペクトル線幅を有するレーザエネルギービームを生成し得る。そのようなビームを偏向するために(例えば、結晶ゲルマニウムから形成されるAOセルを組み込んだ)AODを使用した場合には、AODは、上述したように好ましくない形態で空間的に歪み得る偏向レーザエネルギービーム又は空間的に分解され得る偏向レーザエネルギービームを生じる。そのような実施形態においては、ビーム経路アセンブリは、ビーム経路114に配置される1以上の波長分散補償器(本明細書においてはそれぞれ単に「分散補償器」ともいう)を含み得る。一般的に、分散補償器は、プリズム、グレーティングなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものとして提供され得る。分散補償器の構成は、ビーム経路114に沿って伝搬するレーザエネルギービームの波長、レーザエネルギービームのビームサイズなどの1以上のファクタによって変化することは理解できるであろう。例えば、ビーム経路114に沿って伝搬するレーザエネルギービームが、電磁波スペクトルの赤外域の(例えば、3μm(又はその前後)から15μm(又はその前後)の範囲などの波長にわたるMWIR域又はLWIR域の)波長を有する場合、溶融石灰、シリコン、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、ゲルマニウム、セレン化亜鉛、硫化亜鉛、臭化カリウム、サファイヤ、塩化ナトリウムなどのような材料から形成される分散プリズムとして分散補償器を設けてもよい。
i.分散補償器に関する実施形態の例
一実施形態においては、図26を参照すると、分散補償器2600は、AOD2602の光学的に上流側の位置でビーム経路114上に配置される。一般的に、分散補償器2600は、AOD2602の偏向平面に平行な(又は少なくとも概して又は実質的に平行な)平面上でレーザエネルギービームを分散させるように方向付けなければならない。図26に示される実施形態においては、AOD2602は、第1のポジショナ106のAOD(例えば、第1のAOD402又は第2のAOD404)である。
他の実施形態においては、図27を参照すると、分散補償器2600は、AOD2602の光学的に上流側の位置でビーム経路114上の光リレーシステムの構成要素の間に配置される。例えば、光リレーシステムは、分散補償器2600の光学的に上流側の位置に配置される第1のビームエキスパンダ2700と、分散補償器2600の光学的に下流側の位置に配置される第2のビームエキスパンダ2702とを含み得る。第1のビームエキスパンダ2700は、ビーム経路114に沿って伝搬するレーザエネルギービームを(例えば、第1のビームサイズから第1のビームサイズよりも大きな第2のビームサイズに)拡大するように配置及び構成されており、第2のビームエキスパンダ2702は、分散補償器2600からビーム経路114に沿って伝搬するレーザエネルギービームを(例えば、第2のビームサイズ又はその前後から第1のビームサイズに、あるいは第3のビームサイズに)小さくする(又は「縮小」する)ように配置及び構成されている。第3のビームサイズは、第2のビームサイズよりも小さくてもよく、第1のビームサイズよりも小さくてもあるいは大きくてもよい。図26に示される実施形態と同様に、図27に示されるAOD2602は、第1のポジショナ106のAOD(例えば、第1のAOD402又は第2のAOD404)である。第1のビームエキスパンダ2700により提供されるビームサイズの拡大が十分に大きい場合には、分散補償器2600の設計仕様を有利に緩和することができる(これは、一般的に分散補償器2600を製造するコストを低減する)。
場合によっては、1次レーザエネルギービームは、ビーム経路114’に沿って伝搬するにつれ発散する。したがって、1次ビーム経路114’に沿った第1の位置での(例えば、第2のポジショナ108の光入力部での)1次レーザエネルギービームのビームサイズが、(例えば、AOD2602が上述した第1のAOD402である場合)AOD2602の表面でのレーザエネルギービームのビームサイズよりも大きくなり得る。そのような場合には、図28を参照すると、AOD2602の光学的に下流側の位置でビーム経路114上に分散補償器2600を配置することができる。図28に示される実施形態においては、AOD2602は、第1のポジショナ106の第2のAOD404である。したがって、ビーム経路114は、1次ビーム経路114”に対応している。このため、図示された距離「d」(本明細書では「経路長」ともいう)は、第2のAOD404の光出力部と第2のビームポジショナ108の光入力部(例えば、第2のポジショナ108a又は第2のポジショナ108b)との間のビーム経路114(例えば1次ビーム経路114”)に沿った長さを表している。一般的に、距離「d」は、1m(又はその前後)から5m(又はその前後)の範囲であり得る。しかしながら、例えば、1以上の焦点外れ要素(例えば、1以上の好適なレンズ、ミラーなど)がビーム経路114に挿入される場合には、距離「d」は短くてもよいことは理解できるであろう。
図26から図28に示される実施形態においては、分散補償器2600は分散プリズム(例えば、等辺分散プリズム)として設けられているが、他の好適なプリズム幾何学的形状(例えば正三角形プリズム)やグレーティングなどの他の種類の分散補償器を用いることができることは理解できるであろう。
装置100が複数の第2のポジショナ108(例えば、上記で図1に関して述べたような第2のポジショナ108a及び108b)を含む実施形態においては、装置100のビーム経路アセンブリは、これに対応して複数の分散補償器2600を含み得る。例えば、図29を参照すると、ビーム経路アセンブリは、第1の分散補償器2600aと第2の分散補償器2600bとを含み得る。第1の分散補償器2600aは、第1の1次角度範囲116a内で偏向されたビーム経路114上に配置され、第2の分散補償器2600bは、第2の1次角度範囲116b内で偏向されたビーム経路114上に配置される。ビーム経路114が(上記で図4に関連して述べたような)第1のポジショナ106により偏向されたビーム経路である実施形態においては、ビーム経路114は上述した1次ビーム経路114”に対応する。
図29に示される実施形態においては、第1の分散補償器2600a及び第2の分散補償器2600bは、それぞれ光学壁2902に(例えば、その第1の側面2904に)取り付けられている。同様に、第2のポジショナ108a及び108bも光学壁2902の第1の側面2904に取り付けられていてもよいが、そうである必要はない。第1のポジショナ106により偏向されるビーム経路114は、第1の1次角度範囲116a内又は第2の1次角度範囲116b内で偏向され得る。ビーム経路114が第1の1次角度範囲内で偏向されると、光学壁2902に形成された光ポート(すなわち第1の光ポート2906a)を通ってリレーされ、その後、(例えば、ミラー2908a1,2908a2,2908a3(それぞれを総称して「第1のミラー2908a」という)のような1組の第1のミラーによって反射されて)第1の分散補償器2600aに導かれる。同様に、ビーム経路114が第2の1次角度範囲116b内で偏向されると、光学壁2902に形成された光ポート(すなわち第2の光ポート2906b)を通ってリレーされ、その後、(例えば、ミラー2908b1,2908b2,2908b3(それぞれを総称して「第2のミラー2908b」という)のような1組の第2のミラーによって反射されて)第2の分散補償器2600bに導かれる。第1の分散補償器2600aを出たビーム経路114は、(例えば、ミラー2910aによって反射されて)第2のポジショナ108aに導かれる。同様に、第2の分散補償器2600bを出たビーム経路114は、(例えば、ミラー2910bによって反射されて)第2のポジショナ108bに導かれる。
図29に示される実施形態においては、それぞれのミラー2908a,2908b,2910a,2910bは、光学壁2902の第1の側面2904に取り付けられている。しかしながら、そのような光学的構成要素は、他の好適な手法を用いてビーム経路114上に設けられていてもよいことは理解できるであろう。さらに、図29に示されるビーム経路アセンブリを異なる形態で(例えば、ミラー2908a,2908b,2910a,2910bを異なる配置で、第2のポジショナ108を異なる配置で、図示されているものよりミラーの数を増やしたり減らしたりして、あるいはこれに類する形態で、あるいはこれらを任意に組み合わせて)設けてもよいことは理解できるであろう。一実施形態においては、(例えば、第1のミラー2908a3に対する)第1の分散補償器2600aの向きは、(例えば、第1のミラー2908b3に対する)第2の分散補償器2600aの向きとは異なっており、第1のポジショナ106が第1の1次角度範囲116a内でビーム経路114を偏向するように動作される場合に対して第1のポジショナ106が第2の1次角度範囲116b内でビーム経路114を偏向するように動作される場合に1次レーザエネルギービームに導入される分散の差の原因となっている。
G.ビーム経路アセンブリに関する追加の実施形態
図29には示されていないが、装置100は、第1のポジショナ106の光出力部と第1の光ポート2906aとの間で(第1の側面2904とは反対側の)光学ボード2902の第2の側面に配置された、第1の1次角度範囲116a内で偏向されたビーム経路114を第1の光ポート2906aに導くための1以上のミラーを含み得る。同様に、装置100は、第1のポジショナ106の光出力と第2の光ポート2906bとの間で光学ボード2902の第2の側面に配置された、第2の1次角度範囲116b内で偏向されたビーム経路114を第2の光ポート2906bに導くための1以上のミラーを含んでいてもよい。光学ボード2902の第2の側面でのビーム経路アセンブリに関する例示的な実施形態を図30に関して述べる。
図30を参照すると、光学ボード2902の第2の側面は3000で特定されている。第1の光ポート2906a、第2の光ポート2906b、第1の光学的構成要素2004a、第2の光学的構成要素2004b、及び上述したレーザ源104も図示されている。図30に示される実施形態では、第1の光学的構成要素2004aは、(例えば上述した)第1のAOD402のAOセルとして提供され、第2の光学的構成要素2004bは、(例えば上述した)第2のAOD404のAOセルとして提供される。このため、第1の光学的構成要素2004aは、第1のAOD402の一部であると考えることができ、第2の光学的構成要素2004bは、第2のAOD404の一部であると考えることができる。
図30に例示的に示されているように、レーザ源104から第1の光ポート2906a及び第2の光ポート2906bにビーム経路114を導くことを容易にするために複数のミラーを設けてもよい。例えば、レーザ源104からのビーム経路114を第1の光学的構成要素2004aに導くために第1組のミラー3004a及び3004bを設けてもよく、第1の光学的構成要素2004aからのビーム経路114を第2の光学的構成要素2004bに導くために第2組のミラー3006a及び3006bを設けてもよく、(第1の1次角度範囲116a内で偏向される場合には)第2の光学的構成要素2004aからのビーム経路114を第1の光ポート2906aに導くために第3組のミラー3008a,3010a,3012aを設けてもよく、(第2の1次角度範囲116b内で偏向される場合には)第2の光学的構成要素2004aからのビーム経路114を第2の光ポート2906bに導くために第4組のミラー3008b,3010b,3012bを設けてもよい。図30に示されるビーム経路アセンブリにおいては、ミラー3008aはピックオフミラーとして提供され得る。
本明細書で述べられているか、あるいは当該技術分野において知られている任意の好適な手法により、第1の光学的構成要素2004a、第2の光学的構成要素2004b、及びミラー3004a,3004b,3006a,3006b,3008a,3008b,3010a,3010b,3012a,3012bのような光学的構成要素を光学ボード2902の第2の側面3000に取り付けてもよい。しかしながら、他の好適な手法を用いてそのような光学的構成要素をビーム経路114上に設けてもよいことは理解できるであろう。さらに、図30に示されているビーム経路アセンブリを異なる形態で(例えば、ミラー3004a,3004b,3006a,3006b,3008a,3008b,3010a,3010b,3012a,3012bを異なる配置で、光学的構成要素2004a及び2004bを異なる配置で、図示されているものよりミラーの数を増やしたり減らしたりして、あるいはこれに類する形態で、あるいはこれらを任意に組み合わせて)設けてもよいことは理解できるであろう。例えば、第1の光学的構成要素2004aは、ミラー3006bと第2の光学的構成要素2004bとの間の位置でビーム経路114上に配置され得る。他の例においては、第2の光学的構成要素2004bは、第1の光学的構成要素2004aとミラー3006aとの間の位置でビーム経路114上に配置され得る。
i.第1の及び第2の光学的構成要素に関する議論
一実施形態においては、第1の光学的構成要素2004aは、第2の光学的構成要素2004bを組み込んだ第2のAOD404に関連付けられた第2の回転軸が、第1の光学的構成要素2004aを組み込んだ第1のAOD402に関連付けられた第1の回転軸に平行(又は少なくとも実質的に平行)となるように、図30に示されるビーム経路アセンブリ内で第2の光学的構成要素2004bに対して方向付けられている。この場合において、ミラー3006a及び3006bは、第1のAOD402の偏向平面が第2のAOD404に投影された際に、第2のAOD404の偏向平面と異なる(例えば、これに直交するか、斜めに交わる)ことを確実にするように方向付けられている。例えば、偏向平面がどのように回転し得るのかについては国際公開WO2019/060590A1を参照されたい。
他の実施形態においては、第1の光学的構成要素2004aは、第2の光学的構成要素2004bを組み込んだ第2のAOD404に関連付けられた第2の回転軸が、第1の光学的構成要素2004aを組み込んだ第1のAOD402に関連付けられた第1の回転軸に直交する(又は少なくとも実質的に直交するあるいは斜めに交わる)ように、図30に示されるビーム経路アセンブリ内で第2の光学的構成要素2004bに対して方向付けられている。この場合において、ミラー3006a及び3006bは、第1のAOD402の偏向平面が第2のAOD404に投影された際に、第2のAOD404の偏向平面と直交したまま(これと少なくとも実質的に直交したまま、あるいは斜めに交わったまま)であることを確実にするように方向付けられている。例えば、偏向平面を回転することをどのように防止し得るのかについては国際公開WO2019/060590A1を参照されたい。
ii.付加的な光学的構成要素に関する議論
図示はされていないが、図30に示されるビーム経路アセンブリ内に、レーザエネルギービームがビーム経路114に沿って(例えば、レーザ源104から光ポート2906a及び2906bの一方又は双方に)伝搬する際に、レーザエネルギービームを集束し、拡大し、コリメートし、整形し、偏光し、フィルタし、分割し、結合し、クロップし、吸収し、あるいは変更し、調整し、方向付けするなどのための1以上の他の光学的構成要素(例えば、ビームトラップ、ビームダンプシステム、ビームエキスパンダ、整形器、ビームスプリッタ、アパーチャ、フィルタ、コリメータ、レンズ、ミラー、プリズム、偏光器、位相リターダ、DOE、ROEなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの)を設けてもよい。以下では、図30に示されるビーム経路アセンブリに組み込まれ得る付加的な光学的構成要素について簡単に述べる。ビーム経路アセンブリは、これらの光学的構成要素のうち1つ以上又はすべてを任意の組み合わせで含んでいてもよいことは理解できるであろう。
一実施形態においては、ビームエキスパンダ、コリメータなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたもののような光学的構成要素は、ミラー3004bと第1の光学的構成要素2004aとの間の位置でビーム経路114上に配置され得る。
他の実施形態においては、第1の光学的構成要素2004aから、あるいは第2の光学的構成要素2004bから、あるいはこれらの組み合わせから望ましくないビーム経路に沿って伝搬するレーザエネルギーを捕捉又は吸収するために1以上のビームトラップ又はビームダンプシステムを設けてもよい。例えば、ミラー3006bと第2の光学的構成要素2004bとの間の位置に、第1の光学的構成要素2004aから1次ビーム経路114’(及び必要に応じてゼロ次ビーム経路300(図示せず))以外のすべてのビーム経路に沿って伝搬するレーザエネルギーを選択的にトラップする第1のビームトラップ又はビームダンプシステムを配置してもよい。同様に、第2の光学的構成要素2004bとミラー3008aとの間の位置に、第2の光学的構成要素2004bから1次ビーム経路114”以外のビーム経路に沿って伝搬するレーザエネルギーをトラップする第2のビームトラップ又はビームダンプシステムを配置してもよい。一実施形態においては、第1のビームダンプシステムは、一体化ビームダンプシステム700として提供され、第2のビームダンプシステムは、一体化ビームダンプシステム1000として提供される。
他の実施形態においては、(例えば、上述したような)実波面歪み又は予測波面歪みを補償するために波面補償光学部品2002又は2100のような波面補償光学部品など、あるいはこれらを任意に組み合わせたものを設けてもよい(例えば、第1の光学的構成要素2004aと第2の光学的構成要素2004bとの間のビーム経路114上の位置、すなわちビーム経路114’上の位置に配置してもよい)。
他の実施形態においては、図20,図21,図22,図23,図24のいずれかに関して上記で述べた光リレーシステム2000,2200,2300,2400のような光リレーシステムを構成する1以上の光学的構成要素が、(例えば、上述したような)波面歪みの補償を容易にするために波面補償光学部品を備えていてもよい。
他の実施形態においては、図30に例示的に示されているように、ビーム経路114上に(例えば、上述したように、レーザエネルギービームの波長及び第2の光学的構成要素2004bを形成する材料に応じて)第2の光学的構成要素2004bに入射したレーザエネルギービームの偏光面を回転して、レーザエネルギービームの偏光面が第2の光学的構成要素2004bの回折軸と平行又は垂直(あるいは少なくとも実質的に平行又は垂直)となることを確実にする(例えば、上述したような)1以上の位相リターダを配置してもよい。必要であれば、ビーム経路114上に(例えば、上述したように、レーザエネルギービームの波長及び第1の光学的構成要素2004aを形成する材料に応じて)第1の光学的構成要素2004aに入射したレーザエネルギービームの偏光面を回転して、レーザエネルギービームの偏向面が第1の光学的構成要素2004aの回折軸と平行又は垂直(あるいは少なくとも実質的に平行又は垂直)となることを確実にする1以上の位相リターダを同様に配置してもよい。一実施形態の例においては、第1の光学的構成要素2004a及び第2の光学的構成要素2004bは、結晶ゲルマニウムのようなAOセル材料から形成され、第1の光学的構成要素2004a及び第2の光学的構成要素2004bに入射するレーザエネルギービームは、9μm(又はその前後)から11μm(又はその前後)の範囲の波長と20W(又はその前後)から20kW(又はその前後)の範囲の平均パワーとを有するものとして特徴付けられる。そのような実施形態の例においては、ミラー3006a及び3006bの一方は、(例えば、180度の位相シフトを与えるように構成される)反射位相リターダとして提供され得る。あるいは、ミラー3006a及び3006bの双方が、(例えば、90度の位相シフトを与えるように構成される)反射位相リターダとして提供され得る。しかしながら、第1の光学的構成要素2004a及び第2の光学的構成要素2004bは他の好適なAOセル材料から形成されていてもよく、第1の光学的構成要素2004a及び第2の光学的構成要素2004bに入射するレーザエネルギービームは、他の好適な波長(例えば、電磁波スペクトルのUV域又は可視域)及び(例えば、上述したように)ワークピースを加工するのに十分なパワー特性(例えば、平均パワー、ピークパワーなど)を有するものとして特徴付けられてもよいことは理解できるであろう。
iii.レーザセンサシステムに関する実施形態
必要に応じて、装置100は、レーザセンサシステム3014a及び3014bのような1以上のレーザセンサシステムをさらに含んでいる。この実施形態においては、ミラー3010a及び3010bは、入射レーザエネルギービーム中の光の大部分を反射し、わずかな光(例えば、2%又はその前後)を透過するように構成された部分透過ミラーとして提供され、レーザセンサシステムは、対応する部分透過ミラーを透過した光を受けるように配置される。例えば、レーザセンサシステム3014aは、ミラー3010aを透過した光を受けるように配置され、レーザセンサシステム3014bは、ミラー3010bを透過した光を受けるように配置される。
一般的に、レーザセンサシステム3014a及び3014bのそれぞれは、そこを透過するレーザエネルギー又はパワーを検知又は測定し、検知又は測定に基づいたセンサデータを生成するように構成された光検出器を含んでいる。センサデータは好適な手段によりコントローラ122に出力され、その後、コントローラ122で(例えば、レーザパワーの変化を補償する)リアルタイムパルスエネルギー制御、(例えば、RFパワー及び周波数などに対して第1のポジショナ106のAODシステムにおける伝送変化を補償する)システム較正など、あるいはこれらを任意に組み合わせたもののような装置100の様々な機能をサポートするために加工され得る。
レーザセンサシステム3014a及び3014bは、それぞれ第1のポジショナ106のAODである第1の光学的構成要素2004a及び第2の光学的構成要素2004bの光学的な下流側に位置しているので、光検出器による読取値は、光検出器に入射するエネルギービームの位置及び角度に応じて変化し得る。このため、光検出器上を入射レーザエネルギービームが移動することによって、読取誤差が生じることがあり、これにより間違ったパワー制御やシステム較正などを引き起こす可能性がある。光検出器に関連する空間的及び方向的な過敏性を低減又は除去するために、レーザセンサシステムのそれぞれは、レーザエネルギービームが光検出器に当たる前にレーザエネルギービームを拡大及び/又は拡散するように配置されるビームエキスパンダ及び/又はディフューザを含んでいてもよい。
他の実施形態においては、レーザセンサシステム3014a及び3014bのそれぞれは、光検出器の光学的に上流側に配置され、光検出器に関連付けられる空間的及び方向的な過敏性を低減する積分球3016を備えていてもよい。積分球3016は、上述したビームエキスパンダ/ディフューザを使用する代わりとして、あるいは、上述したビームエキスパンダ/ディフューザを使用することを補完するために設けられていてもよい。一般的に、当該技術分野において知られているように、積分球3016は、中空球形の(又は少なくとも実質的に球形の)空洞を含み、その内面が拡散反射コーティングで被覆されている光学的構成要素である。積分球3016は、採光ポート(図示されているが、符号は付されていない)と検出ポートとを含んでいる。積分球3016は、部分透過ミラーから(すなわち、ミラー3010a又は3010bから)伝搬する光が採光ポートを通って対応する積分球3016の空洞の中に入ることができるように配置されている。空洞の内面のいずれかの点に入射した光は散乱して、最終的には検出ポートで積分球3016から出て光検出器(この実施形態では3018で特定される)に入射するようになっている。
H.AOD駆動手法に関する実施形態
i.ビーム分岐に関する実施形態
上述したように、図4は、総じて、多軸AODシステム400に入射する1次角度範囲116内のビーム経路114の偏向を図示している。図3に関して上記で述べた偏向スキームを実現するために、複数の第1の周波数範囲のうちの1つの範囲内にある駆動周波数を有する第1の印加RF駆動信号によりAOD402を動作又は駆動させることができ、複数の第2の周波数範囲のうちの対応する1つの範囲内にある駆動周波数を有する第2の印加RF駆動信号により第2のAOD404を動作又は駆動させることができる。例えば、図1、図4、及び図31を参照すると、多軸AODシステム400に入射するビーム経路114を第1の1次角度範囲116a内で(第2のポジショナ108aに)偏向するために、第1のAOD402に印加される第1のRF駆動信号は、第1の周波数範囲3102a内にある第1の駆動周波数f1を有し得る。第2のAOD404に印加される第2のRF駆動信号は、対応する第2の周波数範囲3104a内にある第2の駆動周波数f2を有し得る。多軸AODシステム400に入射するビーム経路114を第2の1次角度範囲116b内で(第2のポジショナ108bに)偏向するために、第1のAOD402に印加される第1のRF駆動信号は、第1の周波数範囲3102b内にある第1の駆動周波数f1を有し得る。第2のAOD404に印加される第2のRF駆動信号は、対応する第2の周波数範囲3104b内にある第2の駆動周波数f2を有し得る。
一般的に、第1の周波数範囲3102aは、第1の周波数範囲3102bと重なっておらず、第1の周波数範囲3102bに隣接していない。同様に、第2の周波数範囲3104aは、第2の周波数範囲3104bと重なっておらず、第2の周波数範囲3104bに隣接していない。したがって、第1の周波数範囲3102aと第1の周波数範囲3102bとの間及び第2の周波数範囲3104aと第2の周波数範囲3104bとの間には「ギャップ」が存在する。一般的に、第1の周波数範囲3102aと第1の周波数範囲3102bとの間のギャップ(すなわち「第1の周波数範囲ギャップ」)は、第2の周波数範囲3104aと第2の周波数範囲3104bとの間のギャップ(すなわち「第2の周波数範囲ギャップ」)よりも大きくても、小さくても、あるいはこれと等しくてもよい。第1の周波数範囲ギャップ及び第2の周波数範囲ギャップのいずれも、0.3MHz、0.5MHz、0.7MHz、0.9MHz、1MHz、2MHz、5MHz、10MHzなど、あるいはこれらの値の間の幅を有し得る。
一般的に、第1の周波数範囲3102a、第1の周波数範囲3102b、第2の周波数範囲3104a、及び第2の周波数範囲3104bは、ある範囲の周波数にわたるものである。例えば、第1の周波数範囲3102a、第1の周波数範囲3102b、第2の周波数範囲3104a、及び第2の周波数範囲3104bのいずれかの周波数範囲は、3MHz、5MHz、7MHz、9MHz、10MHz、12MHz、15MHz、20MHzなど、あるいはこれらの値の間の値と等しくなり得る。第1の周波数範囲3102aは、第1の周波数範囲3102bよりも大きくても、小さくても、あるいはこれと等しくてもよい。同様に、第2の周波数範囲3104aは、第2の周波数範囲3104bよりも大きくても、小さくても、あるいはこれと等しくてもよい。第1の周波数範囲3102aは、第2の周波数範囲3104aよりも大きくても、小さくても、あるいはこれと等しくてもよい。同様に、第1の周波数範囲3102bは、第2の周波数範囲3104bよりも大きくても、小さくても、あるいはこれと等しくてもよい。
図31に示されているように、第1の周波数範囲3102a内にある第1の駆動周波数f1を有する第1の印加RF駆動信号に応答して、第1のAOD402は、第1の回転軸周りに入射レーザエネルギービームを回転させることにより、ビーム経路114を第1のAOD角度範囲406a内の角度だけ偏向する。同様に、第1の周波数範囲3102b内にある第1の駆動周波数f1を有する第1の印加RF駆動信号に応答して、第1のAOD402は、第1の回転軸周りに入射レーザエネルギービームを回転させることにより、ビーム経路114を第1のAOD角度範囲406b内の別の角度だけ偏向する。理解されるように、第1のAOD角度範囲406a及び406bのそれぞれは、上述した「第1のAOD角度範囲406」の特定の実施形態を表しており、このため、総称して「第1のAOD角度範囲406」ということができる。
同様に、第2の周波数範囲3104a内にある第2の駆動周波数f2を有する第2の印加RF駆動信号に応答して、第2のAOD404は、第2の回転軸周りに入射レーザエネルギービームを回転させることにより、ビーム経路114’を第2のAOD角度範囲408a内の角度だけ偏向する。同様に、第2の周波数範囲3104b内にある第2の駆動周波数f2を有する第2の印加RF駆動信号に応答して、第2のAOD404は、第2の回転軸周りに入射レーザエネルギービームを回転させることにより、ビーム経路114’を第2のAOD角度範囲408b内の別の角度だけ偏向する。理解されるように、第2のAOD角度範囲408a及び408bのそれぞれは、上述した「第2のAOD角度範囲408」の特定の実施形態を表しており、このため、総称して「第2のAOD角度範囲408」ということができる。
上述したように、(第1の周波数範囲3102a又は第1の周波数範囲3102bのいずれかの範囲内にある第1の駆動周波数を第1のAOD402に印加することにより)第1のAOD402を駆動し、(第2の周波数範囲3104a又は第2の周波数範囲3104bのいずれかの範囲内にある第2の駆動周波数を第2のAOD404に印加することにより)第2のAOD404を駆動すると、多軸AODシステム400の得られるスキャン領域は、複数のサブスキャン領域(すなわち、第1のサブスキャン領域3106a及び第2のサブスキャン領域3106b)に効果的に分割される。
a.偏向と分散に関する追加の議論
上述したように、AODは、最終的にワークピース102に照射されるプロセススポットを歪ませる(例えば細長くする)ことが可能なスペクトル分散要素である。プロセススポットを歪ませる程度は、レーザエネルギービームのスペクトル線幅に比例し、AODにより(あるいは複数のAODにより生じる偏向の合計により)生じる偏向に比例するものとして少なくとも部分的に特徴付けることができる。例えば、第1のAOD402及び第2のAOD404の偏向の合計により生じるスペクトル分散は、f1を第1の駆動周波数とし、f2を第2の駆動周波数とすると、
に比例する。
プリズムのような分散補償器2600は、上述したようなスペクトル分散を補償することができるが、所定のビームサイズと組み合わせた所定のプリズムは、固定量のスペクトル分散のみを補償することができる。したがって、レーザエネルギービームを偏向するようにAODを駆動する動作は、依然としてワークピース102におけるプロセススポットにある程度の歪みを与え得る。ワークピース102におけるプロセススポットに与えられる歪み量は、第1のサブスキャン領域3106aの中心又はその近傍での偏向から生じるスペクトル分散を最適に補償するように(例えば第1のミラー2908a3に対して)第1の分散補償器2600aを方向付けするとともに、第2のサブスキャン領域3106bの中心又はその近傍での偏向から生じるスペクトル分散を最適に補償するように(例えば第1のミラー2908b3に対して)第2の分散補償器2600bを方向付けしつつ、第1のサブスキャン領域3106aと第2のサブスキャン領域3106bのサイズをレーザエネルギービームのスペクトル線幅とバランスさせることにより(例えば、ワークピース102の加工に悪影響を与えないように)十分に低くすることができる。
一実施形態においては、第1のサブスキャン領域3106a及び第2のサブスキャン領域3106bの中心を規定する駆動周波数(すなわちf1及びf2)は、第1のサブスキャン領域3106aに対する
が、第2のサブスキャン領域3106bに対する
に等しくなる(又は少なくとも実質的に等しくなる)ように選択され得る。第1のサブスキャン領域3106aに対するf1は、第2のサブスキャン領域3106bに対するf2に等しくなり得る(又は少なくとも実質的に等しくなり得る)。同様に、第1のサブスキャン領域3106aに対するf2は、第2のサブスキャン領域3106bに対するf1に等しくなり得る(又は少なくとも実質的に等しくなり得る)。第1のサブスキャン領域3106aに対する
が第2のサブスキャン領域3106bに対する
に等しい(又は少なくとも実質的に等しい)場合には、第1のサブスキャン領域3106a内で偏向されるレーザエネルギービームに与えられるスペクトル分散の大きさは、第2のサブスキャン領域3106b内で偏向されるレーザエネルギービームに与えられるスペクトル分散の大きさと等しい(又は少なくとも実質的に等しい)が、スペクトル分散の方向は異なる。このため、第1の分散補償器2600aは、第2の分散補償器2600bと同一の構成を有し得るが、(例えば第1のミラー2908a3に対する)第1の分散補償器2600aの方向は、(例えば第1のミラー2908b3に対する)第2の分散補償器2600bの方向と異なる。すなわち、(例えば第1のミラー2908a3に対する)第1の分散補償器2600aの方向は、第1のサブスキャン領域3106aの中心又はその近傍で偏向されるレーザエネルギービームに与えられるスペクトル分散の方向に対応し得る。(例えば第1のミラー2908b3に対する)第2の分散補償器2600bの方向は、第2のサブスキャン領域3106bの中心又はその近傍で偏向されるレーザエネルギービームに与えられるスペクトル分散の方向に対応し得る。
b.サブスキャン領域に関する追加の議論
図31に示される実施形態においては、第1の周波数範囲3102a及び3102bは、第1の方向に(例えば、第1の周波数範囲ギャップに対応する角度だけ)、また第2の方向に(例えば、第2の周波数範囲ギャップに対応する角度だけ)互いに空間的にオフセットされた1対の正方形状のサブスキャン領域3106a及び3106bを生成するように、第2の周波数範囲3104a及び3104bと協調して選択される。第1の周波数範囲ギャップが第2の周波数範囲ギャップに等しい場合、サブスキャン領域3106aと3106bとの間で最も近い点(すなわち、図31に示されるように、第1のサブスキャン領域3106aの右下の隅と第2のサブスキャン領域3106bの左上の隅)は、第1の周波数範囲ギャップ又は第2の周波数範囲ギャップのいずれかよりも41%大きい。また、サブスキャン領域3106aと3106bとの間で最も近い点は、実際には、線ではなく点である。したがって、第2のサブスキャン領域3106b内(すなわち第2の1次角度範囲116b内)で偏向されるレーザエネルギービームに対して、第1のサブスキャン領域3106a内(すなわち第1の1次角度範囲116a内)で偏向されるレーザエネルギービームを選択的に反射するために使用されるピックオフミラー(例えばミラー3008a)上でビームクリッピングによりビーム歪みが生じる場合には、そのような歪みが生じる頻度は、サブスキャン領域の縁部全体に沿ってビーム歪みが生じるのではなく、サブスキャン領域の1つの隅においてのみビーム歪みが生じる場合に比べて、ずっと低い。しかしながら、第1の周波数範囲ギャップ及び第2の周波数範囲ギャップの一方又は双方のサイズは、そのような歪みに対するワークピース加工の感度(又は不感応度)によっては必要に応じて、独立して又は協調して大きくしたり小さくしたりできることは理解できるであろう。
上記では、図31に示されるように、第1の方向に(例えば、第1の周波数範囲ギャップに対応する角度だけ)、また第2の方向に(例えば、第2の周波数範囲ギャップに対応する角度だけ)互いに空間的にオフセットされた1対の同じ大きさの正方形状のサブスキャン領域3106a及び3106bからなるサブスキャン領域の配置に関して述べてきたが、他の実施形態も考えられることは理解できるであろう。
例えば、サブスキャン領域3106a及び3106bの配置は、(例えば、図32に示されるように)図31に示される配置とは異なっていてもよい。他の例では、AODが駆動される周波数範囲は、2つよりも多くの正方形状サブスキャン領域を生成するように、あるいは正方形以外の形状(例えば、矩形、円形、楕円形、三角形、六角形など)を有する1以上のサブスキャン領域を生成するように、あるいは異なるサイズのサブスキャン領域を生成するように、あるいはこれに類するものを生成するように、あるいはこれらを任意に組み合わせて選択され得る。
他の例においては、図33を参照すると、第1の周波数範囲3300内にある駆動周波数を有する第1の印加RF駆動信号によって第1のAOD402を駆動することができ、上述した複数の第2の周波数範囲3104a及び3104bのうち対応するものの範囲内にある駆動周波数を有する第2の印加RF駆動信号によって第2のAOD404を駆動することができる。このため、多軸AODシステム400に入射するビーム経路114を第1の1次角度範囲116a内で(第2のポジショナ108aに)偏向するために、第1のAOD402に印加される第1のRF駆動信号は、第1の周波数範囲3300内にある第1の駆動周波数f1を有していてもよく、第2のAOD404に印加される第2のRF駆動信号は、第2の周波数範囲3104a内にある第2の駆動周波数f2を有していてもよい。多軸AODシステム400に入射するビーム経路114を第2の1次角度範囲116b内で(第2のポジショナ108bに)偏向するために、第1のAOD402に印加される第1のRF駆動信号は、第1の周波数範囲3300内にある第1の駆動周波数f1を有していてもよく、第2のAOD404に印加される第2のRF駆動信号は、第2の周波数範囲3104b内にある第2の駆動周波数f2を有していてもよい。(第1の周波数範囲3300内にある第1の駆動周波数を第1のAOD402に印加することにより)第1のAOD402を駆動し、(第2の周波数範囲3104a又は第2の周波数範囲3104b内にある第2の駆動周波数を第2のAOD404に印加することにより)第2のAOD404を駆動すると、多軸AODシステム400の得られるスキャン領域は、複数のサブスキャン領域(すなわち、第1のサブスキャン領域3302a及び第2のサブスキャン領域3302b)に効果的に分割される。また、図34に例示的に示される範囲内にある駆動周波数を印加することにより多軸AODシステム400のAODを同様に駆動することができることは理解できるであろう。
図33又は図34に示される駆動周波数範囲により多軸AODシステム400のAODを駆動することは、例えば、第2のポジショナ108がガルバノメータミラーシステムを含む場合に、気づいたテレセントリック誤差を補正あるいは少なくとも部分的に補償する際に有用となり得る。そのような用途においては、第1の周波数範囲3300の1以上のサブレンジ内(例えば、第1のサブレンジ3304a内、第2のサブレンジ3304b内など、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの)の周波数を(例えば、図33に示されるように)第1のAOD402に印加して1つの軸(例えばX軸)に沿って存在するテレセントリック誤差を補正してもよく、あるいは(例えば、図34に示されるように)第2のAOD404に印加して他の軸(例えばY軸)に沿って存在するテレセントリック誤差を補正してもよい。
ii.パルススライシングに関する実施形態
上述したように、パルススライシングを行うように、すなわち、共通のレーザパルス(本明細書では「マザーレーザパルス」ともいう)を少なくとも2つのレーザパルスに時間的に分割するように第1のポジショナ106を動作させることができる。本明細書では、共通のマザーレーザパルスの時間的に分割された部分は「パルススライス」とも呼ばれる。パルススライシングの一実施形態は図35に例示的に示されており、ここではマザーレーザパルス3500が2つのパルススライスに時間的に分割されている。具体的には、第1のスライス期間p1中にマザーレーザパルス3500が第1のパルススライス3500aに分割され、第2のスライス期間p2中にマザーレーザパルス3500が第2のパルススライス3500bに分割される。理解されるように、パルススライスのパルス持続時間は、一般的に、そのマザーレーザパルスから時間的に分割されたスライス期間の長さに対応している。このため、例えば、第1のパルススライス3500aは、第1のスライス期間p1に等しいパルス持続時間を有するものとして特徴付けることができ、第2のパルススライス3500bは、第2のスライス期間p2に等しいパルス持続時間を有するものとして特徴付けることができる。
順番に続くスライス期間は、連続的に生じてもよいし(すなわち、あるスライス期間は先行するスライス期間の直後に始まる)、あるいは間欠的に生じてもよいし(すなわち、あるスライス期間は先行するスライス期間の直後の遅延の後に始まる)、あるいはこれらを組み合わせたものであってもよい。順番に続くスライス期間が間欠的に生じる場合には、遅延の長さは、第1のポジショナ106の位置決め期間の整数倍(この整数は、1、2、3、4、5、10、20、50、100など、あるいはこれらの間にある値のような任意の整数であり得る。)として特徴付けることができることは理解できるであろう。図35に示される実施形態は、順番に続くスライス期間p1とp2とが間欠的に生じる例である。最初のスライス期間の開始から最後のスライス期間の終了まで共通のマザーレーザパルスに対して適用される合計の時間は、マザーレーザパルスのパルス持続時間(時間に対する光パワーの半値全幅(FWHM)に基づく)以下である。このため、マザーレーザパルスは、一般的に、第1のポジショナ106の位置決め期間よりも長いパルス持続時間を有するものとして特徴付けることができる。ある実施形態においては、マザーレーザパルスのパルス持続時間は、1μs、2μs、5μs、10μs、15μs、20μs、25μs、30μs、40μs、50μs、100μs、300μs、500μs、900μs、1ms、2ms、5ms、10ms、20ms、50ms、100ms、300ms、500ms、900ms、1sなど、あるいはこれらの間の値よりも長く、あるいはこれと等しく、あるいはこれよりも短い。
一実施形態においては、それぞれのスライス期間の長さ(ひいては、それぞれのパルススライスのパルス持続時間)は、第1のポジショナ106の位置決め期間の整数倍(例えば、この整数は、1、2、3、5、10、20、50、100、150、200、300など、あるいはこれらの間の値などである)である。ある実施形態においては、それぞれのスライス期間の長さは、200μs、125μs、100μs、50μs、33μs、25μs、20μs、13.3μs、12.5μs、10μs、4μs、2μs、1.3μs、1μs、0.2μs、0.1μs、0.05μs、0.025μs、0.02μs、0.013μs、0.01μs、0.008μs、0.0067μs、0.0057μs、0.0044μs、0.004μsなど、あるいはこれらの間の値よりも長く、あるいはこれと等しく、あるいはこれよりも短い。一般的に、マザーレーザパルスの1以上のスライス期間の長さは、同一のマザーレーザパルスの1以上の他のスライス期間の長さと同じであってもよく、あるいはこれと異なっていてもよい。例えば、図35は、第1のスライス期間p1が第2のスライス期間p2と等しいものとして図示しているが、第1のスライス期間p1の長さは第2のスライス期間p2の期間よりも長くてもよく、あるいはこれよりも短くてもよい。
スライス期間外では、当該技術分野において知られている任意の方法により第1のポジショナ106を動作させて、ビーム経路114に沿って伝搬するレーザエネルギービームが、最終的に第1のポジショナ106により偏向されたとき、ワークピース102を加工するには不十分なエネルギーを有するように入射レーザエネルギービームを減衰させることができる。これに加えて、あるいはこれに代えて、スライス期間外では、本明細書で述べられているか、あるいは当該技術分野において知られているように、ビーム経路114をビームトラップ、ビームダンプシステムなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたものに向けて偏向するように第1のポジショナ106を動作させることができる。第1のポジショナ106が本明細書で述べられたAODシステムとして提供される実施形態においては、スライス期間外では、AODシステム中のAODのうち1つ以上が、必要に応じて、レーザエネルギービームをゼロ次ビーム経路(例えば、ゼロ次ビーム経路200又は300)に、あるいは1以上の高次ビーム経路(例えば、2次ビーム経路、3次ビーム経路など)に、あるいはビームトラップに、あるいはビームダンプシステム(例えば、一体化ビームダンプシステム700又は1000など)などに、あるいはこれらを任意に組み合わせたものに送るように駆動されても(あるいは場合によっては駆動されなくても)よい。
上述したように、ビーム分岐と連係してパルススライシングを実施することができ、あるいは、ビーム分岐から分離してパルススライシングを実施することができる。したがって、異なるパルススライスを同一の1次角度範囲116内の異なる角度に偏向するように(例えば、異なるパルススライスを同一の第2のポジショナ108に偏向するように)、あるいは異なるパルススライスをそれぞれ異なる1次角度範囲116内の角度に偏向するように(例えば、異なるパルススライスをそれぞれ第2のポジショナ108の異なるポジショナに偏向するように)、あるいはこれらを任意に組み合わせるように第1のポジショナ106の動作を制御することができる。例えば、第1のパルススライス3500a及び第2のパルススライス3500bを第1の1次角度範囲116a内の異なる角度に偏向するように(例えば、第1のパルススライス3500a及び第2のパルススライス3500bを第2のポジショナ108aに偏向するように)第1のポジショナ106の動作を制御することができる。他の例においては、第1のパルススライス3500aを第1の1次角度範囲116a内の角度だけ偏向し(例えば、第1のパルススライス3500aを第2のポジショナ108aに偏向し)、その後、第2のパルススライス3500bを第2の1次角度範囲116b内の角度だけ偏向する(例えば、第2のパルススライス3500bを第2のポジショナ108bに偏向する)ように第1のポジショナ106の動作を制御してもよい。このため、図35Aに示される光パワープロファイルを有するパルススライス3500aは、第2のポジショナ108aまで伝搬することができ、図35Bに示される光パワープロファイルを有するパルススライス3500bは、第2のポジショナ108bまで伝搬することができる。パルススライスが1次角度範囲116内で偏向される場合、(例えば、選択された1次角度範囲116に対応する第2のポジショナの位置決め誤差を補償するように、あるいはワークピース102の加工中にプロセススポットとワークピース102aとの間でプロセス軌跡に沿って相対移動を生じさせるようになど、あるいはこれらを任意に組み合わるように)ビーム経路114(ひいては、ビーム経路114に沿って伝搬するパルススライス)を任意の選択された1次角度範囲116内で任意の好適な又は所望な方法で偏向するように第1のポジショナ106の動作を制御してもよい。
図35は、レーザパルス3500を2つのパルススライス(すなわち、第1のパルススライス3500aと第2のパルススライス3500b)にだけ時間的分割することを示しているが、レーザパルス3500を2つよりも多くのパルススライスに(例えば、3つパルススライスに、5つのパルススライスに、8つのパルススライスに、10個のパルススライスに、25個のパルススライスに、30個のパルススライスに、50個のパルススライスなどに、あるいはこれに類するパルススライスに、あるいはこれらの間の値のパルススライスになど)時間的に分割してもよいことは理解できるであろう。例えば、図36を参照すると、レーザパルス3500は、4つのパルススライス3600a,3600b,3600c,3600dに時間的に分割され得る。一実施形態においては、順番に続いて分割されるパルススライスが異なる1次角度範囲116内で偏向されるように第1のポジショナ106の動作が制御される。例えば、パルススライス3600aは第1の1次角度範囲116aに偏向することができ、その後、パルススライス3600bは第2の1次角度範囲116bに偏向することができ、その後、パルススライス3600cは第1の1次角度範囲116aに偏向することができ、その後、パルススライス3600dは第2の1次角度範囲116bに偏向することができる。しかしながら、他の実施形態においては、順番に続いて分割されるパルススライスが同一の1次角度範囲116内又は異なる1次角度範囲116内で偏向されるように第1のポジショナ106の動作が制御される。例えば、パルススライス3600aは第1の1次角度範囲116aに偏向することができ、その後、パルススライス3600b及び3600cは第2の1次角度範囲116bに偏向することができ、その後、パルススライス3600dは第1の1次角度範囲116aに偏向することができる。
上記ではパルススライシングが単一のマザーレーザパルス(すなわちレーザパルス3500)に関して述べられてきたが、順番に続いて伝搬する一連のマザーレーザパルスに関してパルススライシングを行うように第1のポジショナ106を動作させてもよいことは理解できるであろう。この一連のパルスにおいて、順番に続くマザーレーザパルスを任意の所望の方法により時間的に分割してもよく、順番に続く2つのマザーレーザパルスを同一の方法によりあるいは異なる方法により時間的に分割してもよい。
第1のポジショナ106がマルチセルAODシステムとして設けられる実施形態においては、マルチセルAODシステム内の少なくとも2つのAODの協調した動作又は駆動によりパルススライシングを行うことができる。例えば、図37を参照すると、マルチセルAODシステムが上述したAODシステム400として設けられる実施形態においては、ビーム経路114を1次角度範囲116のうち1つ以上の範囲内に偏向するようにスライス期間の間(例えば、上述したように)第1のAOD402及び第2のAOD404を動作させることができる。ブロック3700の水平方向の範囲は、第1のAOD402に入射するレーザエネルギービームを偏向するように第1のAOD402が動作される期間を示しており、ブロック3702の水平方向の範囲は、第2のAOD404に入射するレーザエネルギービームを偏向するように第2のAOD404が動作される期間を示している。図37においては、ブロック3700及び3702の水平方向の範囲がスライス期間(例えば、上述した第1のスライス期間p1、第2のスライス期間p2など)に等しい。
しかしながら、他の実施形態においては、ビーム経路114を1次角度範囲116のうち1以上の範囲内に偏向するようにスライス期間よりも長い期間にわたって第1のAOD402及び第2のAOD404の一方又は双方を動作させてもよいが、これらが駆動される期間がスライス期間に等しい期間にわたって重なるように動作させる。例えば、図38、図39、図40、及び図41参照。
iii.回折効率に関する議論
本明細書で使用される場合には、「回折効率」という用語は、AODに入射するレーザエネルギービームにおいてAODのAOセル内で1次ビームに回折されるエネルギーの割合を意味する。このため、回折効率は、AODに入射する入射レーザエネルギービームの光パワーに対するAODにより生成された1次ビームの光パワーの比として表され得る。一般的に、印加RF駆動信号の振幅は、AODの回折効率に対して非線形効果を与えることがあり、AODの回折効率は、AODを駆動するために印加されるRF駆動信号の周波数の関数としても変化し得る。上記の観点から、第1のポジショナ106が上述したAODシステム400として提供される実施形態においては、第1のAOD402を駆動するために印加される第1のRF駆動信号は、ある振幅(本明細書では「第1の振幅」ともいう)を有するものとして特徴付けることができ、第2のAOD404を駆動するために印加される第2のRF駆動信号は、ある振幅(本明細書では「第2の振幅」ともいう)を有するものとして特徴付けることができる。
一般的に、第1の振幅は、第1のRF駆動信号の第1の駆動周波数、第1の駆動周波数が属する第1の周波数範囲、第1のRF駆動信号によって第1のAOD402を駆動するときの所望の回折効率、第1のRF駆動信号によって第1のAOD402が駆動される期間中に偏向されるレーザエネルギービームのピーク光パワー、第1のRF駆動信号によって第1のAOD402が駆動される期間中に偏向されるレーザエネルギービームの平均光パワーなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたもののような1以上のファクタに基づいて選択あるいは設定され得る。同様に、第2の振幅は、第2のRF駆動信号の第2の駆動周波数、第2の駆動周波数が属する第2の周波数範囲、第2のRF駆動信号によって第2のAOD404を駆動するときの所望の回折効率、第2のRF駆動信号によって第2のAOD404が駆動される期間中に偏向されるレーザエネルギービームのピーク光パワー、第2のRF駆動信号によって第2のAOD404が駆動される期間中に偏向されるレーザエネルギービームの平均光パワーなど、あるいはこれらを任意に組み合わせたもののような1以上のファクタに基づいて選択あるいは設定され得る。(例えば、上述したような)パルススライシングを行うようにAODシステム400を動作させる場合には、第1の振幅、第2の振幅、又はその組み合わせは、レーザエネルギービームから時間的に分割されるパルススライスの所望のパルス持続時間に基づいて、必要に応じて選択あるいは設定され得る。
AODシステム400が、(例えば、図3、図31、図32、図33、又は図34のいずれかに関して述べたような)ビーム分岐を行うために駆動される実施形態においては、第1のRF駆動信号は、第1のRF駆動信号が第1の周波数範囲3102a内の第1の駆動周波数f1を有する場合には、第1の振幅a1aを有するものとして特徴付けることができる。同様に、第1のRF駆動信号が第1の周波数範囲3102b内の第1の駆動周波数f1を有する場合には、第1のRF駆動信号は、第1の振幅a1bを有するものとして特徴付けることができる。この場合において、第1の振幅a1aは第1の振幅a1bよりも高くなり得る。あるいは、第1の振幅a1aは第1の振幅a1bよりも低いか、等しくなり得る。同様に、第2のRF駆動信号が第2の周波数範囲3104a内の第2の駆動周波数f2を有する場合には、第2のRF駆動信号は、第2の振幅a2aを有するものとして特徴付けることができ、第2のRF駆動信号が第2の周波数範囲3104b内の第2の駆動周波数f2を有する場合には、第2のRF駆動信号は、第2の振幅a2bを有するものとして特徴付けることができる。この場合において、第2の振幅a2aは第2の振幅a2bよりも低くなり得る。あるいは、第2の振幅a2aは第2の振幅a2bよりも高いか、等しくなり得る。
AODシステム400を(例えば、上述したような)ビーム分岐を行うように動作させる場合には、第1のRF駆動信号の第1の振幅は、第1のAOD角度範囲406a内で偏向された1次ビーム経路114’に沿って伝搬するレーザエネルギービームの光パワーが、第1のAOD角度範囲406b内で偏向された1次ビーム経路114’に沿って伝搬するレーザエネルギービームの光パワーよりも高い、あるいはこれよりも低い、あるいはこれと少なくとも実質的に等しくなるように選択され得る。1次ビーム経路114’が、第1のAOD角度範囲406a又は406bのいずれかの範囲内で偏向されている間に、第1のRF駆動信号の第1の振幅は、変化し得るか、あるいは一定の(あるいは少なくとも実質的に一定の)レベルに維持され得る。同様に、第2のRF駆動信号の第2の振幅は、第2のAOD角度範囲408a内で偏向された1次ビーム経路114”に沿って伝搬するレーザエネルギービームの光パワーが、第2のAOD角度範囲408b内で偏向された1次ビーム経路114”に沿って伝搬するレーザエネルギービームの光パワーよりも高い、あるいはこれよりも低い、あるいはこれと少なくとも実質的に等しくなるように選択され得る。1次ビーム経路114”が、第2のAOD角度範囲408a又は408bのいずれかの範囲内で偏向されている間に、第2のRF駆動信号の第2の振幅は、変化し得るか、あるいは一定の(あるいは少なくとも実質的に一定の)レベルに維持され得る。
IV.結論
上記は、本発明の実施形態及び例を説明したものであって、これに限定するものとして解釈されるものではない。いくつかの特定の実施形態及び例が図面を参照して述べられたが、当業者は、本発明の新規な教示や利点から大きく逸脱することなく、開示された実施形態及び例と他の実施形態に対して多くの改良が可能であることを容易に認識するであろう。したがって、そのような改良はすべて、特許請求の範囲において規定される本発明の範囲に含まれることを意図している。例えば、当業者は、そのような組み合わせが互いに排他的になる場合を除いて、いずれかの文や段落、例又は実施形態の主題を他の文や段落、例又は実施形態の一部又は全部の主題と組み合わせることができることを理解するであろう。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲とこれに含まれるべき請求項の均等物とによって決定されるべきである。