JP2016203211A - レーザ加工装置及びレーザ加工方法 - Google Patents

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【課題】本発明は、ガルバノスキャナの停止に同期してレーザ発振器から出力されたレーザパルスをAOMで分岐させて被加工物に照射する方式において、レーザ発振器の経年変化を考慮してAOMにおける熱レンズ作用の変動による悪影響を防止し、加工品質を向上させることを目的とする。【解決手段】被加工物を加工する前の時点において前記被加工物を加工するための加工データに基づいて加工位置の順序を決定するとともに当該加工位置の順序でレーザ発振器を発振させた場合のレーザパワーを記録しておき、前記被加工物を加工する時点において前記記録データに基づいて前記レーザ発振器から出力されるレーザパルスのパルス幅を制御し、加工位置の間隔が大きくなった場合にレーザパルスの後端を遅延させてパルス幅を大きくすることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、例えばプリント基板にレーザを使用して穴明けを行うためのレーザ加工装置及びレーザ加工方法に関する。
レーザ穴明け方式として、ガルバノスキャナの停止に同期してレーザ発振器から出力されたレーザパルスを音響光学変調器(以下AOM)で分岐させて被加工物に照射する方式がある。この方式においては、穴間隔の変動に基づいてレーザ発振周期が変化してレーザパワーが変動するが、それによってAOMに熱レンズ作用の変動が起こり、加工穴形状が不均一となり、加工品質が低下する欠点がある。
この問題を解決するため、特許文献1に開示されているように、穴間隔の変動に合わせて、レーザパルスのデユ―テイが所定の割合になるように、パルス幅を調整する技術が提案されている。
しかしながら、レーザ発振器のレーザパワーは種々の条件に左右され、例えばレーザガスに寿命があるため、徐々にレーザパワーが落ちる等の経年変化があり、デユ―テイだけで一概に決められるものではない。従って、特許文献1の技術では、AOMにおける熱レンズ作用の変動による悪影響を防ぎきれない欠点がある。
特開2004-358507号公報
そこで本発明は、ガルバノスキャナの停止に同期してレーザ発振器から出力されたレーザパルスをAOMで分岐させて被加工物に照射する方式において、レーザ発振器の経年変化を考慮してAOMにおける熱レンズ作用の変動による悪影響を防止し、加工品質を向上させることを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1に記載のレーザ加工装置においては、被加工物の加工位置毎にレーザパルスを発振させるレーザ発振器と、当該レーザ発振器から出力されるレーザパルスを加工方向と非加工方向の二通りに分岐させる音響光学変調器とを有するレーザ加工装置において、前記レーザ発振器のレーザパワーを検知するパワーディテクタと、前記被加工物を加工するための加工データに基づいて加工位置の順序を決定する加工順序決定部と、前記被加工物を加工する前の時点において前記加工位置の順序で前記レーザ発振器を発振させた場合の前記パワーディテクタの検知データを記録するパワー記録部と、前記被加工物を加工する時点において前記パワー記録部に記録されたデータに基づいて前記レーザ発振器から出力されるレーザパルスのパルス幅を制御するレーザパルス幅制御部とを備え、当該レーザパルス幅制御部は加工位置の間隔が大きくなった場合にレーザパルスの後端を遅延させてパルス幅を大きくすることを特徴とする。
また、請求項2に記載のレーザ加工方法においては、被加工物の加工位置毎にレーザ発振器で発振させたレーザパルスを加工方向と非加工方向の二通りに分岐させる音響光学変調器に入力し、当該音響光学変調器において加工方向に分岐させたレーザパルスを前記被加工物上の加工位置へ照射させるレーザ加工方法において、前記被加工物を加工する前の時点において前記被加工物を加工するための加工データに基づいて加工位置の順序を決定するとともに当該加工位置の順序で前記レーザ発振器を発振させた場合のレーザパワーを記録しておき、前記被加工物を加工する時点において前記記録データに基づいて前記レーザ発振器から出力されるレーザパルスのパルス幅を制御し、加工位置の間隔が大きくなった場合にレーザパルスの後端を遅延させてパルス幅を大きくすることを特徴とする。
本発明によれば、ガルバノスキャナの停止に同期してレーザ発振器から出力されたレーザパルスをAOMで分岐させて被加工物に照射する方式において、レーザ発振器の経年変化を考慮してAOMにおける熱レンズ作用の変動による悪影響を防止することが可能となる。
本発明の一実施例となるレーザ穴明け装置のブロック図である。 図1におけるパワー記録部に記録されるレーザパワーの変化を説明するための図である。 図1におけるレーザパルス幅制御部の動作を説明するための図である。 本発明の一実施例となるレーザ穴明け装置のタイミングチャートである。
本発明の一実施例について説明する。図1は本発明の一実施例となるレーザ穴明け装置のブロック図である。図1において、1は図示しないテーブル上に載置された加工すべきプリント基板、2はレーザパルスL1を発振するレーザ発振器、3はレーザ発振器2から出力されたレーザパルスL1をパワー比率99%と1%に振り分けるビームスピリッタ、4はビームスピリッタ3でパワー比率99%分として振り分けられたレーザパルスL1を加工方向と非加工方向の二通りに分岐させるAOM、5はAOM4において加工方向へ分岐されたレーザパルスL2を走査させ順次プリント基板1の穴明け位置に照射するガルバノスキャナである。このガルバノスキャナ5は回転することによりレーザパルスL2を走査させるようになっている。6はAOM4において非加工方向へ分岐されたレーザパルスL3を吸収するダンパである。7はビームスピリッタ3でパワー比率1%分として振り分けられたレーザパルスL1のレーザパワーを検出するパワーディテクタである。
9は装置全体の動作を制御する全体制御部で、例えばプログラム制御の処理装置によって実現されるものである。全体制御部9は、レーザ発振器2でのレーザパルスL1の発振を指示するレーザ発振指令信号Sを出力するレーザ発振制御部10、AOM4の分岐動作を制御するAOM駆動信号Dを出力するAOM制御部11、ガルバノスキャナ5の動作を指示するガルバノ動作制御信号Gを出力するガルバノ制御部12、内部に格納された加工データに基づいて各穴の加工順序を決定する加工順序決定部13、各穴位置時点でパワーディテクタ7で検出したレーザパワー値を記録するパワー記録部14、パワー記録部14に記録された各穴位置時点におけるレーザパワー値に基づいて各穴位置時点毎のレーザ発振停止指令信号Nの出力時期を変え、その時のパルス幅を調整するレーザパルス幅制御部15とを含む。なお、全体制御部9に含まれるこれらの機能要素のうちの一部は全体制御部9とは別個に設けても良い。
レーザ穴明け装置としては、ここで説明するもの以外に種々の要素と接続線を有するが、ここでは省略してある。
ガルバノ動作制御信号Gは、オフの時間帯でガルバノスキャナ5を静止させ、オンの時間帯でガルバノスキャナ5を回転させる。ガルバノスキャナ5が静止した状態で一つの穴が明けられ、ガルバノスキャナ5が回転することによってレーザパルスL2を次の穴位置に照射させるようになる。
レーザ発振指令信号Sは、オンになることによりレーザ発振器2に発振を起こさせ、オフになることによりその発振を停止させる。
レーザ発振指令信号Sはガルバノ動作制御信号Gのオフに同期してオンとなり、またガルバノ動作制御信号Gはレーザ発振指令信号Sのオンとは一定の遅れをもってオンとなり、次の穴位置までガルバノスキャナを回転させる。
AOM駆動信号Dは、それがオンの時間帯でのみAOM4に入力されたレーザパルスL1を加工方向に分岐させてレーザパルスL2とし、それ以外のオフの時間帯では非加工方向のレーザパルスL3としてダンパ6の方向に分岐させる。
本装置における動作としては、実際にプリント基板1に加工を行わない加工前段階と実際にプリント基板1に加工を行う加工段階に分けられ、それぞれの段階では全体制御部9の制御により以下のように動作する。
加工前段階においては、加工順序決定部13の決定に従って各穴位置時点毎にレーザ発振器2が発振するが、全ての各穴位置時点毎にパワーディテクタ7で検出したレーザパワー値をパワー記録部14に記録する。この際、AOM制御部11はAOM駆動信号Dを常時オフにし、レーザ発振器2からのレーザパルスL1を非加工方向のレーザパルスL3としてダンパ6の方向に分岐させる。
図2は、パワー記録部14に記録されるレーザパワーの変化を説明するための図で、各穴位置毎にレーザパルスを1個ずつ照射しながら穴位置を移動させるサイクル加工の場合を示すものである。レーザ発振器2のレーザパワーは、穴間隔が小さい区間である穴位置N〜N+3においては大きく、穴間隔が大きくなった穴位置N+4〜N+6においては小さくなる。パワー記録部14には、全ての穴位置時点における上記の如きレーザパワー値を記録する。
次に、加工段階においては、加工順序決定部13の決定した加工順序に従って各穴位置時点毎にレーザ発振器2が発振するが、レーザパルス幅制御部15はパワー記録部14に記録された各穴位置時点毎のレーザパワー値を読み出し、それに基づいてレーザ発振制御部10を制御し、各穴位置時点毎のレーザ発振指令信号Sのオン期間を調整する。
すなわち、レーザパルス幅制御部15は、穴間隔が穴位置N〜N+3において最も小さく、穴位置N+4〜N+6のように穴間隔が大きくなった場合、図3に示すように、穴位置N〜N+3でのパルス幅をW1とすれば、穴位置N+4〜N+6では、レーザパワーの落ち込みを補償できるようパルス幅をW1より大きいW2、W3にする。W2、W3のように、どのくらい大きくすれば良いかについては、実験等により予め求めておく。こうすることで、図2の点線LPに示すよう、穴位置N+4〜N+6でのレーザ発振器2のレーザパワーの落ち込みを防ぐことができる。
図4は、本発明の一実施例となるレーザ穴明け装置のタイミングチャートであり、各穴位置毎にレーザパルスを1個ずつ照射しながら穴位置を移動させるサイクル加工の場合を示すものである。
穴位置M+1までが最も小さい間隔で、穴位置M+2において穴間隔が大きくなった場合、以前と同様にレーザ発振指令信号Sはガルバノ動作制御信号Gのオフに同期してオンになるが、オン期間が点線で示すように延長され、それに伴ってレーザパルスL1の後端が遅れ、パルス幅が大きくなる。
なお、この場合、AOM駆動信号Dについては変更せず、加工パルスであるレーザパルスL2のパルス幅は変えない。
以上では、サイクル加工の場合を説明したが、本発明は各穴位置毎に連続して複数のレーザパルスを照射した後で隣の穴位置に移動するバースト加工においても適用できる。
すなわち、バースト加工においては、各穴位置毎にガルバノスキャナ5が静止してレーザ発振器2に所定の周期で複数回発振させることになるが、加工前段階において、そのような周期に基づくレーザパワー値がパワー記録部14に記録されるので、加工段階において、サイクル加工の場合と同様、パワー記録部14のデータに従ってレーザパルスのパルス幅を調整できる。
以上の実施例によれば、加工前段階において、実際に加工に使うレーザ発振器2のレーザパワーの穴位置間隔との関係を把握し、その結果に基づいて加工段階においてレーザパルス幅を調整するようにするので、レーザ発振器2の経年変化を考慮してレーザパワーの変化をできるだけ抑えることができる。従って、AOM4における熱レンズ作用の変動による悪影響をできるだけ正確に防止し、加工品質を向上させることができる。
なお、以上の実施例においては、加工前段階において各穴位置時点毎にパワーディテクタ7で検出したレーザパワー値をパワー記録部14に記録するようにした。しかしながら、個々の穴位置間隔の変化が大きくなく、それによるレーザ発振器2のレーザパワーの変動が小さいことが予め判っている場合には、加工前段階においてはパワー記録部14に全ての穴位置時点でなく、数箇所おきの穴位置時点でレーザパワー値を記録しておき、加工段階においてその穴位置時点だけレーザパルス幅を調整するようにしても良い。
さらに、レーザ発振器2のレーザパワーが変化しても、それが許容できる範囲を設定できるなら、加工前段階においてはパワー記録部14に全ての穴位置時点でなく、所定のレベルに達しないレーザパワー値となった穴位置時点だけ記録しておき、加工段階においてその穴位置時点だけレーザパルス幅を調整するようにしても良い。
また、以上の実施例においては、プリント基板に穴明けを行う場合の実施例を説明したが、本発明は被加工物の複数個所に順次加工を施すレーザ加工に提供できる。
1:プリント基板、2:レーザ発振器、3:ビームスピリッタ、4:AOM
5:ガルバノスキャナ、6:ダンパ、7:パワーディテクタ、9:全体制御部
10:レーザ発振制御部、11:AOM制御部、12:ガルバノ制御部
13:加工順序決定部、14:パワー記録部、15:レーザパルス幅制御部
L1〜L3:レーザパルス、S:レーザ発振指令信号、G:ガルバノ動作制御信号
D:AOM駆動信号

Claims (2)

  1. 被加工物の加工位置毎にレーザパルスを発振させるレーザ発振器と、当該レーザ発振器から出力されるレーザパルスを加工方向と非加工方向の二通りに分岐させる音響光学変調器とを有するレーザ加工装置において、前記レーザ発振器のレーザパワーを検知するパワーディテクタと、前記被加工物を加工するための加工データに基づいて加工位置の順序を決定する加工順序決定部と、前記被加工物を加工する前の時点において前記加工位置の順序で前記レーザ発振器を発振させた場合の前記パワーディテクタの検知データを記録するパワー記録部と、前記被加工物を加工する時点において前記パワー記録部に記録されたデータに基づいて前記レーザ発振器から出力されるレーザパルスのパルス幅を制御するレーザパルス幅制御部とを備え、当該レーザパルス幅制御部は加工位置の間隔が大きくなった場合にレーザパルスの後端を遅延させてパルス幅を大きくすることを特徴とするレーザ加工装置。
  2. 被加工物の加工位置毎にレーザ発振器で発振させたレーザパルスを加工方向と非加工方向の二通りに分岐させる音響光学変調器に入力し、当該音響光学変調器において加工方向に分岐させたレーザパルスを前記被加工物上の加工位置へ照射させるレーザ加工方法において、前記被加工物を加工する前の時点において前記被加工物を加工するための加工データに基づいて加工位置の順序を決定するとともに当該加工位置の順序で前記レーザ発振器を発振させた場合のレーザパワーを記録しておき、前記被加工物を加工する時点において前記記録データに基づいて前記レーザ発振器から出力されるレーザパルスのパルス幅を制御し、加工位置の間隔が大きくなった場合にレーザパルスの後端を遅延させてパルス幅を大きくすることを特徴とするレーザ加工方法。
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