JP7600575B2 - ポリエステル樹脂 - Google Patents
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Description
この特許文献1に記載されるように、マット調ポリエステルフィルムを作成するためには、粒子を高濃度に添加することが必要であるが、粒子を高濃度に添加すると、ポリエステル樹脂の固有粘度(IV)が低い場合、フィルムの破断など強度低下を引き起こす。また、成形機での成形時に熱劣化してIVが低下するおそれもあるため、IVが高く、かつ熱履歴を受けてもIVが低下し難いポリエステル樹脂が必要となる。また、ポリエステル樹脂の体積固有抵抗値(ρV)が高いと、マット調ポリエステルフィルムの製膜時に冷却ロールへの電気密着性が低下し、製膜速度を下げる必要が生じる(高速製膜性が低下する)という不都合を生じるため、ρVがある程度低いポリエステル樹脂が望まれる。
すなわち、本発明の要旨は、以下の[1],[2]に存する。
(1)固有粘度が0.80dL/g以上。
(2)285℃で溶融時の体積固有抵抗値が10×107Ω・cm以下。
(3)該ポリエステル樹脂(初期固有粘度IV0dL/g)20gを試験管に入れ、5Torr以下の減圧下180℃のオイルバスに浸漬させて2.5時間乾燥し、引き続き窒素ガスシール下290℃で1時間30分溶融させた後に測定される該ポリエステル樹脂の固有粘度IVxdL/gから、下記式で算出される固有粘度低下率が10%未満。
固有粘度低下率={(IV0-IVx)/IV0}×100
本発明のポリエステル樹脂は、テレフタル酸成分を含むジカルボン酸成分とエチレングリコールを含むジオール成分とからなるポリエステル樹脂であって、下記(1)、(2)、及び(3)を満足するポリエステル樹脂である。
(1)固有粘度(IV)が0.80dL/g以上。
(2)285℃で溶融時の体積固有抵抗値(ρV)が10×107Ω・cm以下。
(3)該ポリエステル樹脂(初期固有粘度IV0dL/g)20gを試験管に入れ、5Torr以下の減圧下180℃のオイルバスに浸漬させて2.5時間乾燥し、引き続き窒素ガスシール下290℃で1時間30分溶融させた後に測定される該ポリエステル樹脂の固有粘度IVxdL/gから、下記式で算出される固有粘度(IV)低下率が10%未満。
固有粘度低下率={(IV0-IVx)/IV0}×100
本発明のポリエステル樹脂の固有粘度(IV)は、0.80dL/g以上である。ポリエステル樹脂の固有粘度(IV)が0.80dL/g以上であると、フィルム製造時の破断頻度が少なく好ましい。本発明のポリエステル樹脂の固有粘度(IV)の下限は、好ましくは0.82dL/g、より好ましくは0.83dL/gである。本発明のポリエステル樹脂の固有粘度(IV)の上限は、特に限定されないが、好ましくは1.00dL/gである。
ポリエステル樹脂の固有粘度(IV)は、ポリエステル樹脂製造時の溶融重縮合工程の温度、圧力、滞留時間によって、また固相重縮合工程の温度、圧力、滞留時間、不活性ガス中のエチレングリコールや水の濃度、ペレットの形状等によって、制御することが可能である。
固有粘度(IV)の測定には、後述する実施例の項に記載の測定方法を用いる。
本発明のポリエステル樹脂の285℃で溶融時の体積固有抵抗値(ρV)は10×107Ω・cm以下である。
285℃で溶融時の体積固有抵抗値(ρV)は、フィルム製膜の際に溶融樹脂とのロール密着性を上げるために必要な物性であり、好ましくは9×107Ω・cm以下、より好ましくは8×107Ω・cm以下、更に好ましくは7×107Ω・cm以下である。体積固有抵抗値(ρV)の下限値は特に限定されないが、好ましくは1×107Ω・cmである。
ポリエステル樹脂の285℃での溶融時の体積固有抵抗値(ρV)は、後述するポリエステル樹脂製造時のリン化合物及び周期表第2族金属化合物の添加量を制御することによって、上記上限以下とすることが可能である。
体積固有抵抗値(ρV)の測定には、後述する実施例の項に記載の測定方法を用いる。
本発明のポリエステル樹脂の固有粘度(IV)低下率は10%未満である。
固有粘度(IV)の低下は、ポリエステル樹脂の成形時にポリエステル樹脂が熱劣化することにより起こるものであり、後述するポリエステル樹脂製造時のリン化合物及び周期表第2族金属化合物の添加量を制御することによって、成形時の熱劣化による固有粘度(IV)の低下の少ないポリエステル樹脂とすることができる。
すなわち、ポリエステル樹脂(初期固有粘度IV0dL/g)20gを試験管に入れ、5Torr以下の減圧下180℃のオイルバスに浸漬させて2.5時間乾燥し、引き続き窒素ガスシール下290℃で1時間30分溶融させた後に測定される該ポリエステル樹脂の固有粘度IVxdL/gから、下記式で算出される固有粘度(IV)低下率が10%未満のポリエステル樹脂とすることができる。
固有粘度低下率={(IV0-IVx)/IV0}×100
本発明のポリエステル樹脂の製造において、後述のリン化合物は、得られるポリエステル樹脂に対するリン(P)原子含有量が、好ましくは0.3~2.4モル/トン、より好ましくは0.4~2.0モル/トン、特に好ましくは0.5~1.2モル/トンとなるように添加することが好ましい。
0.35≦P/M≦0.60
(上記式中、Pはポリエステル樹脂1トン当たりに含まれるリン原子のモル数、Mはポリエステル樹脂1トン当たりに含まれる周期表第2族金属原子のモル数)
P/Mが0.35以上であると、成形時の熱劣化によるポリエステル樹脂の固有粘度(IV)の低下の少ないものとすることができる。P/Mが0.35未満では、得られるポリエステル樹脂の285℃で溶融時の体積固有抵抗値(ρV)は下がるものの、ポリエステル樹脂を溶融保持した際に固有粘度(IV)の低下度合いが大きくなる。P/Mが0.60を超えると285℃で溶融時の体積固有抵抗値(ρV)が10×107Ω・cmを超えるものとなる。P/Mは特に0.40~0.57、とりわけ0.45~0.55であることが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂は、基本的には従来公知の製造方法、即ち、原料スラリーの調製、エステル化及び溶融重縮合、更に引続く固相重縮合により製造される。
本発明においては、テレフタル酸及びそのエステル形成性誘導体の少なくともいずれか一方を主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコールを主成分とするジオール成分とのエステル化反応及び/又はエステル交換反応を経て重縮合反応を行い、繰り返し構造単位の80%以上がエチレンテレフタレート単位である本発明のポリエステル樹脂を得る。
本発明においては、テレフタル酸及び/又はテレフタル酸のエステル形成性誘導体(テレフタル酸成分)を主成分として含むジカルボン酸成分が用いられる。本発明に用いる全ジカルボン酸成分中のテレフタル酸成分の含有量は、80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることが更に好ましい。テレフタル酸成分の割合が上記下限値以上であると、フィルムやボトル、繊維などに成形する際の延伸による分子鎖の配向結晶化の点から、成形体としての機械的強度、耐熱性が良好になりやすい。全ジカルボン酸成分中のテレフタル酸成分の割合の上限は100モル%でもよい。
本発明においては、エチレングリコールを主成分として含むジオール成分が用いられる。本発明に用いる全ジオール成分中のエチレングリコールの含有量は、80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることが更に好ましく、95モル%以上であることが特に好ましい。エチレングリコールの割合が上記下限値以上であると、フィルムやボトル、繊維などに成形する際の延伸による分子鎖の配向結晶化の点から、成形体としての機械的強度、耐熱性が良好になりやすい。全ジオール成分中のエチレングリコールの割合の上限は100モル%でもよい。
本発明においては、上記ジオール成分及びジカルボン酸成分に加えて、ポリエステル樹脂原料として、更に、その他の共重合可能な成分を用いてもよい。その他の共重合可能な成分としては、例えば、グリコール酸、p-ヒドロキシ安息香酸、p-β-ヒドロキシエトキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸やアルコキシカルボン酸、及び、ステアリルアルコール、ヘネイコサノール、オクタコサノール、ベンジルアルコール、ステアリン酸、ベヘン酸、安息香酸、t-ブチル安息香酸、ベンゾイル安息香酸等の単官能成分、トリカルバリル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ナフタレンテトラカルボン酸、没食子酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、シュガーエステル等の三官能以上の多官能成分等が挙げられる。これらのその他の共重合可能な成分は、その1種又は2種以上を、本発明の効果を妨げない範囲で用いることができる。
本発明のポリエステル樹脂の製造においては、エステル化反応、エステル交換反応、及び溶融重縮合反応において、触媒及び助剤を使用することができる。
エステル化反応又はエステル交換反応においては、後述の重縮合時に使用される触媒及び助剤と同様の触媒及び助剤を使用することができる。ただしエステル化反応においては、これらの触媒を使用しなくても反応は進行するため、触媒を添加しなくてもよい。
これらの触媒の中でも、反応性、反応系への溶解性、得られるポリエステル樹脂の着色などの観点から、好ましくはアンチモン化合物と周期表第2族金属化合物、更に好ましくはアンチモン化合物とマグネシウム化合物、特に好ましくは三酸化二アンチモンと酢酸マグネシウムが挙げられる。
本発明においてポリエステル樹脂を製造する際に用いられる溶融重縮合反応触媒としては、先述したエステル化反応又はエステル交換反応の触媒をそのまま溶融重縮合反応触媒として用いてもよいし、前記触媒を更に添加してもよい。
溶融重縮合反応触媒の中でも好ましくは重縮合活性、得られるポリエステル樹脂の熱安定性、入手のしやすさなどの観点からアンチモン化合物、特に好ましくは三酸化二アンチモンである。
なお、ゲルマニウム化合物は色調良好な樹脂を得やすいが、得られるポリエステル樹脂の熱安定性が劣る傾向となることがある。更にゲルマニウム化合物は比較的高価である。チタン化合物は得られるポリエステル樹脂の熱安定性が劣る傾向となることがある。
エステル化反応触媒又はエステル交換反応触媒、及び溶融重縮合反応触媒の添加量は、特には限定されないが、得られるポリエステル樹脂に含まれる触媒由来の金属濃度が下記の範囲内となるように添加されるのが好ましい。
例えばアンチモン化合物は、得られるポリエステル樹脂に対してアンチモン原子として、好ましくは1.0~2.5モル/トン、より好ましくは1.4~2.4モル/トン、特に好ましくは1.6~2.2モル/トンである。
また、周期表第2族金属化合物を使用する場合には、得られるポリエステル樹脂に対して金属原子として、好ましくは0.4~1.7モル/トン、より好ましくは0.6~1.5モル/トン、特に好ましくは0.8~1.2モル/トンである。
エステル化反応、エステル交換反応及び溶融重縮合反応において、前記触媒の他に熱安定化助剤としてリン化合物を添加することができる。リン化合物としては、例えば正リン酸;ポリリン酸;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ-n-ブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート等のリン酸エステル、エチルジエチルホスホノアセテート等の5価のリン化合物;亜リン酸、次亜リン酸、及び、トリメチルホスファイト、ジエチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリスドデシルホスファイト、トリスノニルデシルホスファイト、トリフェニルホスファイト等の3価のリン化合物が挙げられる。これらのリン化合物は単独で用いてもよく、2種以上混合して使用することもできる。中でも、重縮合速度制御性の面から、好ましくはリン酸、リン酸エステル等の5価のリン化合物、さらに好ましく具体的にはトリメチルホスフェート、エチルアシッドホスフェートが用いられる。
エステル化反応においては、溶融重縮合時に先述の触媒及び助剤を使用することができるが、その際に、例えば、トリエチルアミン、トリ-n-ブチルアミン、ベンジルジメチルアミン等の第三級アミン;水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラ-n-ブチルアンモニウム、水酸化トリメチルベンジルアンモニウム等の水酸化第四級アンモニウム;或いは、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム等の塩基性化合物等のその他の助剤を少量添加しておくことにより、エチレングリコールからのジエチレングリコールの副生を抑制することができる。
以下にポリエステル樹脂原料のジオール成分としてエチレングリコールを主成分とし、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分を主成分とするポリエチレンテレフタレートの製造方法を例にして本発明のポリエステル樹脂の製造方法を説明する。
本発明のポリエステル樹脂の製造方法は、原料調製工程、エステル化反応又はエステル交換反応を行うエステル化工程、溶融重縮合工程、及び、更に引き続く固相重縮合工程により実施される。
原料調製工程では、テレフタル酸成分を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分とを、必要に応じて用いられるその他の共重合成分等と共に、スラリー調製槽に投入し、撹拌下に混合した後、必要に応じてろ過することによって原料スラリーとする。ジカルボン酸成分に対するジオール成分のモル比は、好ましくは1.0~2.0、更に好ましくは1.05~1.5、特に好ましくは1.1~1.4となるように混合される。このモル比をかかる範囲内にすることにより、エチレングリコールからのジエチレングリコールの生成量を抑制しつつ十分なエステル化反応速度が得られる。
エステル化工程はテレフタル酸とエチレングリコールとのエステル化反応及び/又はテレフタル酸エステル形成性誘導体とエチレングリコールとのエステル交換反応を行い、オリゴマーを得る工程である。
エステル化反応は、単一のエステル化反応槽、又は、複数のエステル化反応槽を直列に接続した多段反応装置を用いて、エチレングリコールの還流下、且つ、反応で生成する水と余剰のエチレングリコールを系外に除去しながら、エステル化率(原料ジカルボン酸成分の全カルボキシル基のうちジオール成分と反応してエステル化したものの割合)が、通常90%以上、好ましくは93%以上に達するまで行う。又、エステル化反応生成物としてのポリエステル低分子量体(オリゴマー)の数平均分子量は500~5,000であることが好ましい。
本発明において、エステル化反応又はエステル交換反応工程に続き、オリゴマーを溶融重縮合してポリエステル樹脂を得る溶融重縮合工程を行う。溶融重縮合は、連続式、回分式のいずれの方法でもかまわないが、連続式の場合は複数の重縮合反応槽を直列に接続した反応装置、例えば、第1段目が撹拌翼を備えた完全混合型の反応器、第2段及び第3段目が撹拌翼を備えた横型プラグフロー型の反応器からなる多段反応装置を用いて、減圧下に、副生するエチレングリコールを系外に留出させながら行う。
溶融重縮合工程の生成物(これをポリエステル樹脂プレポリマーと呼ぶことがある)は、溶融状態でダイを経由して空中にストランド状で流出させ、直ちに冷却水と接触させて固化させ、次いでカッターで切断する、所謂ストランドカット法でペレット化するか、又は、溶融樹脂をダイを経由して直接冷却水中に流出させ、ダイの前面に設けたカッターで切断してペレット化する所謂アンダーウォーターカッティング法を用いてペレット化する。
上記溶融重縮合後のポリエステル樹脂ペレットは、固有粘度を所望の範囲に調節するために固相重縮合を行うことが好ましい。固相重縮合は連続式又は回分式のいずれの方法でも実施することができる。
本発明のポリエステル樹脂には、下記の各種粒子や、添加剤、ポリエステル樹脂以外の樹脂を添加してポリエステル樹脂組成物とすることができる。
本発明のポリエステル樹脂をフィルム製膜する際、フィルムの低光沢感を演出できるように無機質及び/又は有機質粒子を添加することが好ましい。
上記粒子はマット感を付与可能な粒子であれば特に限定されるものではない。
有機質粒子としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、架橋樹脂等の樹脂粒子が挙げられる。
これらの粒子は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの粒子の添加量は、ポリエステル樹脂に対して3~10質量%が好ましく、4~10質量%がより好ましく、6~8質量%が特に好ましい。
これらの粒子は、溶融重縮合途中又は重縮合後に添加することができる。
本発明のポリエステル樹脂に、必要に応じ、その他慣用の添加剤などを配合することができる。その他の添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、核剤、可塑剤、着色剤等が挙げられる。これらの添加剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。その他の添加剤の添加量は、ポリエステル樹脂に対して通常5質量%以下、好ましくは0.05~2質量%である。
これらの添加剤は、溶融重縮合途中又は重縮合後に添加することができる。
前記の種々の粒子や添加剤の配合方法は、特に制限されないが、ベント口から脱揮できる設備を有する1軸又は2軸の押出機を混練機として使用する方法が好ましい。各成分は、付加的成分を含めて、混練機に一括して供給してもよく、順次供給してもよい。また、付加的成分を含めて、各成分から選ばれた2種以上の成分を予め混合しておくこともできる。
本発明のポリエステル樹脂は、好ましくはフィルム又はシート製膜、より好ましくはフィルム製膜に用いられる。フィルム製膜の方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、ポリエステル樹脂をその融点以上の温度で溶融した後、押出成形によりポリエステル樹脂シートを得、次いで得られたポリエステル樹脂シートを二軸延伸することによりポリエステル樹脂フィルムを得ることができる。
試料2.5gを、硫酸存在下に過酸化水素で常法により灰化、完全分解後、蒸留水にて5mLに定容したものについて、プラズマ発光分光分析装置(JOBIN YVON社製ICP-AES「JY46P型」)を用いて金属原子を定量し、試料中のモル/トンに換算した。
試料15gを、内径20mm、長さ180mmの枝付き試験管に入れ、管内を十分に窒素置換した後、250℃のオイルバス中に浸漬し、管内を真空ポンプで1Torr以下として20分間真空乾燥した。次いで、オイルバス温度を285℃に昇温して試料を溶融させた後、窒素復圧と減圧を繰り返して混在する気泡を取り除いた。この溶融体の中に、面積1cm2のステンレス製電極2枚を5mmの間隔で並行に(相対しない裏面を絶縁体で被覆)挿入し、温度が安定した後に、抵抗計(ヒューレット・パッカード社製「MODELHP4339 B」)で直流電圧100Vを印加し、そのときの抵抗値を計算して体積固有抵抗値(ρV:Ω・cm)とした。
凍結粉砕したポリエステル樹脂試料約0.25gを、フェノール/1,1,2,2-テトラクロロエタン(質量比1/1)の混合溶媒約25mLに、濃度が1.00g/dLとなるように120℃で30分溶解させた後、30℃まで冷却し、30℃において全自動溶液粘度計(センテック社製、「DT553」)にて、試料溶液及び溶媒のみの落下秒数を測定し、以下の式により、固有粘度(IV)を算出した。
IV=((1+4KHηsp)0.5-1)/(2KHC)
ここで、ηsp=η/η0-1であり、ηは試料溶液の落下秒数、η0は溶媒のみの落下秒数、Cは試料溶液濃度(g/dL)、KHはハギンズの定数である。KHは0.33を採用した。
なお、ポリエステル樹脂プレポリマーの固有粘度を測定する場合は、凍結粉砕は行わず、ペレット形状のまま使用し、溶解条件は110℃で30分とした。
上記の方法で測定した固有粘度:IV0dL/gのポリエステル樹脂試料21gを枝管付き試験管に入れ、1Torr以下の減圧下、180℃のオイルバスに浸漬させて2.5時間乾燥させた後、窒素ガスで復圧させ窒素ガスでシールしたままオイルバスから引き上げた。オイルバスの温度を290℃にセットして、窒素ガスでシールした状態で試験管を浸漬し、乾燥させた試料を溶融させた。1時間30分間オイルバスに浸漬した後、試料を取り出し、急冷してアモルファスの状態とした。その試料をニッパーなどで適切な大きさに切りそろえた後、上記の方法により固有粘度(IVxdL/g)を測定した。固有粘度(IV)の低下率は以下式に従って算出し、下記基準によって評価した。
固有粘度(IV)低下率={(IV0-IVx)/IV0}×100
(評価基準)
〇:IV低下率 10%未満
△:IV低下率 10%以上~15%未満
×:IV低下率 15%以上
ポリエステルフィルムの製膜性を、下記基準によって評価した。
(評価基準)
◎:非常に良好な製膜性を示す。
○:製膜性は◎よりも悪いが、製膜は可能である。
×:製膜性が悪い。
ポリエステルフィルム製膜時の破断頻度を、下記基準によって評価した。
(評価基準)
〇:1日当たり1回未満
△:1日当たり1回以上3回未満
×:1日当たり3回以上
<ポリエステル樹脂の製造>
撹拌機、エチレングリコール仕込み配管及びテレフタル酸仕込み配管を具備するスラリー調製槽;スラリーやエステル化反応物を各エステル化反応槽へ移送する各配管;撹拌機、分離塔、原料受入れ口、触媒仕込み配管、反応物移送配管を具備する完全混合型第1段及び第2段エステル化反応槽;エステル化反応物(オリゴマー)を溶融重縮合反応槽へ移送する配管;撹拌機、分離塔、オリゴマー受入れ口、触媒仕込み配管を具備する完全混合型第1段溶融重縮合反応槽;撹拌機、分離塔、ポリマー受入れ口、ポリマー抜き出し口を具備するプラグフロー型第2段及び第3段溶融重縮合反応槽;プレポリマーを抜き出し口よりギヤポンプを介してダイプレートからストランド状に取り出し水冷下ストランドカットするペレット化装置;を備えたポリエステル樹脂連続製造装置を用いた。
第2段エステル化反応槽では、温度260℃、圧力0kPaG下、平均滞留時間1.2時間でエステル化反応を行い、移送配管を通じ完全混合型第1段溶融重縮合反応槽へ連続的に移送した。移送の際、エステル化反応生成物に、酢酸マグネシウム4水和物のエチレングリコール溶液(濃度6.4質量%)を、生成するポリエステル樹脂に対してマグネシウム原子として1.06モル/トン、さらに、三酸化二アンチモンのエチレングリコール溶液(濃度2.0質量%)を、生成するポリエステル樹脂に対してアンチモン原子として1.96モル/トン、それぞれ連続的に添加した。
第2段溶融重縮合反応槽では、温度278℃、絶対圧力0.5kPa下、滞留時間70分にて溶融重縮合反応を行い、反応生成物を移送配管を通じ第3段溶融重縮合反応槽へ連続的に移送した。
第3段溶融重縮合反応槽では、温度280℃、絶対圧力0.3kPa下、平均滞留時間80分にて溶融重縮合反応を行い、ポリエステル樹脂を得た。
得られたポリエステル樹脂プレポリマー5,000kgを、窒素導入口、加熱装置、温度計、圧力計、減圧用排気口を備えたダブルコーン型固相重縮合装置へ投入し、樹脂温度160℃、絶対圧力0.07kPaに調節して2.5時間真空乾燥した後、引き続き樹脂温度を232℃として12時間固相重縮合を行ってポリエステル樹脂を得た。
得られたポリエステル樹脂の物性を表1に示す。また溶融熱安定性を評価したところ、IV低下率は7%であり良好であった。
上記で得られたポリエステル樹脂に、平均粒径が4.5μmのメタクリル酸アルキル-スチレン共重合体粒子を8質量%配合し、ベント付き二軸押出機により、290℃で溶融押出し、表面温度を25℃に設定した冷却ロール上に、静電印加密着法を適用してキャスティングして未延伸シートを得た。次いで、90℃で縦方向に3.2倍延伸した後、テンターに導き、130℃で横方向に4.2倍延伸し、更に、240℃で熱処理を行い、厚さ50μmのポリエステルフィルムを得た。フィルムの製膜性の評価結果を表1に示した。
実施例1で得られたポリエステル樹脂は体積固有抵抗値が低く、また固有粘度が高いことからマット調のポリエステルフィルム製造に好適な樹脂であった。
三酸化二アンチモンとエチルアシッドホスフェートの添加量を表1に記載したとおりに変更した以外は、実施例1と同様にしてポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂の物性を表1に示す。得られたポリエステル樹脂を用いて実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを製造した。フィルムの製膜性の評価結果を表1に示した。
得られたポリエステル樹脂は体積固有抵抗値が低く、また固有粘度が高いことからマット調のポリエステルフィルム製造に好適な樹脂であった。
エチルアシッドホスフェートの添加量を表1に記載した通りに変更した以外は、実施例2と同様にしてポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂の物性を表1に示す。得られたポリエステル樹脂を用いて実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを製造した。フィルムの製膜性の評価結果を表1に示した。
得られたポリエステル樹脂は体積固有抵抗値は高く、フィルム製膜には不適な樹脂となった。
実施例1においてエチルアシッドホスフェートの添加量を表1記載の通りとし、ポリエステル樹脂プレポリマーの固有粘度を0.62dL/gとし、固相重合条件を表1記載の通りとした以外は、実施例1と同様にしてポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂の物性を表1に示す。得られたポリエステル樹脂を用いて実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを製造した。フィルムの製膜性の評価結果を表1に示した。
得られたポリエステル樹脂は固有粘度が低いため、フィルム製膜には不適な樹脂となった。
実施例1において酢酸マグネシウム4水和物及びエチルアシッドホスフェートの添加量を表1記載の通りに変更し、ポリエステル樹脂プレポリマーの固有粘度を表1記載の通りとした以外は、実施例1と同様にしてポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂の物性を表1に示す。得られたポリエステル樹脂を用いて実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを製造した。フィルムの製膜性の評価結果を表1に示した。
得られたポリエステル樹脂は体積固有抵抗値が高く、かつ固有粘度が低いため、フィルム製膜には不適な樹脂となった。
実施例1において酢酸マグネシウム4水和物及びエチルアシッドホスフェートの添加量を表1記載の通りに変更し、ポリエステル樹脂プレポリマーの固有粘度を表1記載の通りとした以外は、実施例1と同様にしてポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂の物性を表1に示す。得られたポリエステル樹脂を用いて実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを製造した。フィルムの製膜性の評価結果を表1に示した。
得られたポリエステル樹脂は固有粘度低下率が大きく、フィルム製膜には不適な樹脂となった。
Claims (2)
- テレフタル酸成分を含むジカルボン酸成分とエチレングリコールを含むジオール成分とからなるポリエステル樹脂であって、下記(1)、(2)、及び(3)を満足するポリエステル樹脂。
(1)固有粘度が0.80dL/g以上。
(2)285℃で溶融時の体積固有抵抗値が10×107Ω・cm以下。
(3)該ポリエステル樹脂(初期固有粘度IV0dL/g)20gを試験管に入れ、5Torr以下の減圧下180℃のオイルバスに浸漬させて2.5時間乾燥し、引き続き窒素ガスシール下290℃で1時間30分溶融させた後に測定される該ポリエステル樹脂の固有粘度IVxdL/gから、下記式で算出される固有粘度低下率が10%未満。
固有粘度低下率={(IV0-IVx)/IV0}×100 - マット調フィルム用ポリエステル樹脂である請求項1に記載のポリエステル樹脂。
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