JP7520609B2 - カチオン硬化剤及びその製造方法、並びにカチオン硬化性組成物 - Google Patents

カチオン硬化剤及びその製造方法、並びにカチオン硬化性組成物 Download PDF

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Description

本発明は、カチオン硬化剤及びカチオン硬化剤の製造方法、並びにカチオン硬化性組成物に関する。
従来より、エポキシ樹脂のカチオン硬化方法として、アルミニウムキレート化合物とシラノール化合物とを併用した触媒を利用する方法が知られている。この方法では、アルミニウムキレート化合物とシラノール化合物とが反応し、カチオン硬化開始種を生成することでカチオン硬化性を発現する。
上記硬化系を利用した潜在性硬化剤についての技術の一例としては、多孔質粒子にアルミニウムキレート化合物を保持させる方法があり、例えば、多官能イソシアネート化合物を用いて作製した多孔性粒子中にアルミニウム化合物を保持することでシラノール化合物と物理的に分離する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、上記提案の技術に類似した例として、多官能イソシアネート化合物に2官能イソシアネート化合物を併用することによって硬化性を上げる方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、多孔性粒子を作製する際にラジカル重合性化合物を併用する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
また、多孔質無機粒子を多孔性粒子として用いる方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
また、これら方法から更に潜在性を上げる手段として、例えば、多孔性粒子表面を特定のシラン処理剤で処理する方法が提案されている(例えば、特許文献5参照)。
特開2009-203477号公報 特開2012-188596号公報 特開2009-221465号公報 特開2013-100382号公報 特開2016-056274号公報
上記提案の技術は、いずれもアルミニウムキレート化合物を潜在化する方法であり、カチオン硬化性については、使用する多孔性粒子の状態で制御することが前提となっている。そのため、これら多孔性粒子の工夫による硬化性と潜在性の制御とは、その原理からトレードオフの関係にならざるを得ないという問題がある。
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、潜在性を損なわずに硬化性を向上させることができるカチオン硬化剤及びその製造方法、並びに前記カチオン硬化剤を用いたカチオン硬化性組成物を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 多孔質粒子と、
前記多孔質粒子に保持された下記一般式(1)で表される化合物と、を有することを特徴とするカチオン硬化剤である。
Figure 0007520609000001
ただし、前記一般式(1)中、Rは炭素数1~18の分岐していてもよいアルキル基、又はフェニル基であり、これらは更に置換基により置換されていてもよい。
は水素原子、炭素数1~4の分岐していてもよいアルキル基、ハロゲノアルキル基、アルコキシ基、又はフェノキシ基であり、前記アルキル基、ハロゲノアルキル基、アルコキシ基、及びフェノキシ基は更に置換基により置換されていてもよい。なお、RとRは、それぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。
<2> 多孔質粒子と、
前記多孔質粒子に保持された下記一般式(1)で表される化合物と下記一般式(2)で表される化合物との混合物と、を有することを特徴とするカチオン硬化剤である。
Figure 0007520609000002
ただし、前記一般式(1)中、Rは炭素数1~18の分岐していてもよいアルキル基、又はフェニル基であり、これらは更に置換基により置換されていてもよい。
は水素原子、炭素数1~4の分岐していてもよいアルキル基、ハロゲノアルキル基、アルコキシ基、又はフェノキシ基であり、前記アルキル基、ハロゲノアルキル基、アルコキシ基、及びフェノキシ基は更に置換基により置換されていてもよい。なお、RとRは、それぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。
Figure 0007520609000003
ただし、前記一般式(2)中、Zは水素原子、又は電子吸引性基を表す。aは0~5の整数である。
<3> 前記多孔質粒子は、有機多孔質粒子及び無機多孔質粒子のいずれかである前記<1>から<2>のいずれかに記載のカチオン硬化剤である。
<4> 前記有機多孔質粒子が、ポリウレア樹脂で構成される前記<3>に記載のカチオン硬化剤である。
<5> 前記有機多孔質粒子が、更にビニル樹脂を構成成分として有する前記<4>に記載のカチオン硬化剤である。
<6> 前記多孔質粒子の表面が、シラン処理剤の反応生成物を有する前記<1>から<5>のいずれかに記載のカチオン硬化剤である。
<7> 下記一般式(1)で表される化合物と多孔質粒子を有機溶媒中で共存させ、その後、脱溶媒することにより前記一般式(1)で表される化合物を前記多孔質粒子に保持させることを特徴とするカチオン硬化剤の製造方法である。
Figure 0007520609000004
ただし、前記一般式(1)中、Rは炭素数1~18の分岐していてもよいアルキル基、又はフェニル基であり、これらは更に置換基により置換されていてもよい。
は水素原子、炭素数1~4の分岐していてもよいアルキル基、ハロゲノアルキル基、アルコキシ基、又はフェノキシ基であり、前記アルキル基、ハロゲノアルキル基、アルコキシ基、及びフェノキシ基は更に置換基により置換されていてもよい。なお、RとRは、それぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。
<8> 下記一般式(1)で表される化合物と下記一般式(2)で表される化合物と多孔質粒子とを有機溶媒中で共存させ、その後、脱溶媒することにより前記一般式(1)で表される化合物と前記一般式(2)で表される化合物との混合物を前記多孔質粒子に保持させることを特徴とするカチオン硬化剤の製造方法である。
Figure 0007520609000005
ただし、前記一般式(1)中、Rは炭素数1~18の分岐していてもよいアルキル基、又はフェニル基であり、これらは更に置換基により置換されていてもよい。
は水素原子、炭素数1~4の分岐していてもよいアルキル基、ハロゲノアルキル基、アルコキシ基、又はフェノキシ基であり、前記アルキル基、ハロゲノアルキル基、アルコキシ基、及びフェノキシ基は更に置換基により置換されていてもよい。なお、RとRは、それぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。
Figure 0007520609000006
ただし、前記一般式(2)中、Zは水素原子、又は電子吸引性基を表す。aは0~5の整数である。
<9> カチオン硬化成分と、前記<1>から<6>のいずれかに記載のカチオン硬化剤とを含有することを特徴とするカチオン硬化性組成物である。
<10> 更に有機シラン化合物を含有する前記<9>に記載のカチオン硬化性組成物である。
<11> 前記有機シラン化合物が、下記一般式(2)で表される化合物である前記<10>に記載のカチオン硬化性組成物である。
Figure 0007520609000007
ただし、前記一般式(2)中、Zは水素原子、又は電子吸引性基を表す。aは0~5の整数である。
本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、潜在性を損なわずに硬化性を向上させることができるカチオン硬化剤及びその製造方法、並びに前記カチオン硬化剤を用いたカチオン硬化性組成物を提供することができる。
(カチオン硬化剤)
本発明のカチオン硬化剤は、第1の形態では、多孔質粒子と、前記多孔質粒子に保持された下記一般式(1)で表される化合物と、を有し、更に必要に応じてその他の成分を有する。
本発明のカチオン硬化剤は、第2の形態では、多孔質粒子と、前記多孔質粒子に保持された下記一般式(1)で表される化合物と下記一般式(2)で表される化合物との混合物と、を有し、更に必要に応じてその他の成分を有する。
前記カチオン硬化剤において、前記一般式(1)で表される化合物、又は前記一般式(1)で表される化合物と前記一般式(2)で表される化合物との混合物は、前記多孔質粒子に保持されている。
前記多孔質粒子は、例えば、その細孔内に前記一般式(1)で表される化合物、又は前記一般式(1)で表される化合物と前記一般式(2)で表される化合物との混合物を保持する。
前記カチオン硬化剤は、所謂潜在性の硬化剤である。
前記カチオン硬化剤において、前記多孔質粒子に保持される前記一般式(1)で表される化合物、又は前記一般式(1)で表される化合物と前記一般式(2)で表される化合物との混合物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
Figure 0007520609000008
ただし、前記一般式(1)中、Rは炭素数1~18の分岐していてもよいアルキル基、又はフェニル基であり、これらは更に置換基により置換されていてもよい。
は水素原子、炭素数1~4の分岐していてもよいアルキル基、ハロゲノアルキル基、アルコキシ基、又はフェノキシ基であり、前記アルキル基、ハロゲノアルキル基、アルコキシ基、及びフェノキシ基は更に置換基により置換されていてもよい。なお、RとRは、それぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。
前記一般式(1)中の前記Rにおける炭素数1~18のアルキル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、炭素数2~10のアルキル基が好ましく、炭素数2~8のアルキル基が更に好ましい。
前記Rにおける炭素数1~18のアルキル基は、直鎖状であってもよいし、分岐状であってもよい。
前記Rにおける置換基を有していてもよいフェニル基における置換基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭素数1~18のアルキル基、炭素数1~18のアルコキシ基、ハロゲン原子などが挙げられる。前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
前記一般式(1)中の前記Rにおける炭素数1~4のアルキル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、炭素数1~2のアルキル基が好ましい。
前記Rにおけるハロゲノアルキル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。具体的には、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基などが挙げられる。
前記Rにおけるアルコキシ基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、炭素数1~10のアルコキシ基が好ましく、炭素数1~6のアルコキシ基がより好ましく、炭素数1~4のアルコキシ基が特に好ましい。また、アルコキシ基の炭素は、直鎖状であってもよいし、分岐状であってもよい。
前記Rにおける置換基を有していてもよいフェノキシ基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記Rにおける置換基を有していてもよいフェノキシ基の置換基としては、炭素数1~10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基、ハロゲン原子などが挙げられる。
前記一般式(1)で表される化合物としては、例えば、トリス[2-(メトキシカルボニル)-フェノキシ]アルミニウム、トリス[2-(エトキシカルボニル)-フェノキシ]アルミニウム、トリス[2-(ブトキシカルボニル)-フェノキシ]アルミニウム、トリス[2-(メトキシカルボニル)-4-メチルフェノキシ]アルミニウム、トリス[2-(メトキシカルボニル)-5-メチルフェノキシ]アルミニウムなどが挙げられる。
前記一般式(1)で表される化合物を合成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルミニウムアルコキシドと、反応させる化合物を溶媒中あるいは無溶媒にて室温(25℃)~110℃程度で反応させる方法などが挙げられる。その際、アルミニウムアルコキシドから脱離するアルコールは、反応中に留去してもよい。
Figure 0007520609000009
ただし、前記一般式(2)中、Zは水素原子、又は電子吸引性基を表す。aは0~5の整数である。
前記電子吸引性基としては、例えば、ハロゲン基(例えば、クロロ基、ブロモ基等)、トリフルオロメチル基、ニトロ基、スルホ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)、ホルミル基などが挙げられる。
前記一般式(2)で表される化合物としては、例えば、トリフェニルシラノール、トリス[(4-クロロ)フェニル]シラノール、トリス[(4-トリフルオロメチル)フェニル]シラノール、トリス[(3,5-ジクロロ)フェニル]シラノール、トリス(ペンタフルオロフェニル)シラノールなどが挙げられる。
本発明における、前記一般式(1)で表される化合物と前記一般式(2)で表される化合物との混合比率は、その効果に応じて適宜選択することができるが、前記一般式(1)で表される化合物100質量部に対して、前記一般式(2)で表される化合物が10質量部以上200質量部以下であることが好ましく、20質量部以上100質量部以下がより好ましい。
有機溶媒中で、前記一般式(1)で表される化合物と前記一般式(2)で表される化合物とを上記混合比率で混合した場合、前記一般式(1)で表される化合物と前記一般式(2)で表される化合物が一部反応した下記一般式(3)の化合物が生成する場合がある。
ただし、前記一般式(3)中、R及びRは前記一般式(1)のR及びRと同一であり、Z及びaは前記一般式(2)のZ及びaと同一である。また、nは1~3の整数である。
本発明における前記一般式(1)で表される化合物と前記一般式(2)で表される化合物との混合物には、前記一般式(3)で表される化合物も包含する。
前記一般式(3)で表される化合物は不安定な化合物であり、抽出すると分解してしまうが、前記一般式(1)で表される化合物と前記一般式(2)で表される化合物との混合物の状態で多孔質粒子に担持させると前記一般式(3)で表される化合物を安定化でき、多孔質粒子中で安定に存在させることができる。
前記一般式(1)で表される化合物、又は前記一般式(1)で表される化合物と前記一般式(2)で表される化合物との混合物が、多孔質粒子の内部(孔中)に保持されていることは、多孔質粒子の断面のSEM/EDXで孔内のケイ素(Si)、Alを分析することにより確認することができる。
<多孔質粒子>
前記多孔質粒子としては、多くの細孔を有する粒子であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機樹脂で構成される多孔質有機樹脂粒子、無機化合物で構成される多孔質無機粒子などが挙げられる。
前記多孔質粒子の細孔の平均細孔直径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1nm以上300nm以下が好ましく、5nm以上150nm以下がより好ましい。
<<多孔質有機樹脂粒子>>
前記多孔質有機樹脂粒子としては、有機樹脂で構成される多孔質粒子であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記有機樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ポリウレア樹脂が好ましい。即ち、前記多孔質有機樹脂粒子は、少なくともポリウレア樹脂で構成されることが好ましい。
前記多孔質有機樹脂粒子は、更に、ビニル樹脂を構成成分に含んでいてもよい。
<<<ポリウレア樹脂>>>
前記ポリウレア樹脂とは、その樹脂中にウレア結合を有する樹脂である。
前記多孔質有機樹脂粒子を構成する前記ポリウレア樹脂は、例えば、多官能イソシアネート化合物を乳化液中で重合させることにより得られる。前記ポリウレア樹脂は、樹脂中に、イソシアネート基に由来する結合であって、ウレア結合以外の結合、例えば、ウレタン結合などを有していてもよい。
-多官能イソシアネート化合物-
前記多官能イソシアネート化合物は、一分子中に2個以上のイソシアネート基、好ましくは3個のイソシアネート基を有する化合物である。このような3官能イソシアネート化合物の更に好ましい例としては、トリメチロールプロパン1モルにジイソシアネート化合物3モルを反応させた下記一般式(4)のTMPアダクト体、ジイソシアネート化合物3モルを自己縮合させた下記一般式(5)のイソシアヌレート体、ジイソシアネート化合物3モルのうちの2モルから得られるジイソシアネートウレアに残りの1モルのジイソシアネートが縮合した下記一般式(6)のビュウレット体が挙げられる。
前記一般式(4)~(6)中、置換基Rは、ジイソシアネート化合物のイソシアネート基を除いた部分である。このようなジイソシアネート化合物の具体例としては、トルエン2,4-ジイソシアネート、トルエン2,6-ジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサヒドロ-m-キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンジフェニル-4,4’-ジイソシアネートなどが挙げられる。
<<<ビニル樹脂>>>
前記ビニル樹脂とは、ラジカル重合性ビニル化合物を重合して得られる樹脂である。
前記ビニル樹脂は、前記多孔質有機樹脂粒子の機械的性質を改善する。これにより、カチオン硬化性組成物における硬化時の熱応答性、特に低温領域でシャープな熱応答性を実現することができる。
前記ビニル樹脂は、例えば、多官能イソシアネート化合物を含有する乳化液に、ラジカル重合性ビニル化合物をも含有させておき、前記乳化液中で前記多官能イソシアネート化合物を重合させる際に、同時に前記ラジカル重合性ビニル化合物をラジカル重合させることにより得ることができる。
-ラジカル重合性ビニル化合物-
前記ラジカル重合性ビニル化合物は、分子内にラジカル重合性の炭素-炭素不飽和結合を有する化合物である。
前記ラジカル重合性ビニル化合物は、いわゆる単官能ラジカル重合性化合物、多官能ラジカル重合性化合物を包含する。
前記ラジカル重合性ビニル化合物は、多官能ラジカル重合性化合物を含有することが好ましい。これは、多官能ラジカル重合性化合物を使用することにより、低温領域でシャープな熱応答性を実現することがより容易になるからである。この意味からも、前記ラジカル重合性ビニル化合物は、多官能ラジカル重合性化合物を30質量%以上含有することが好ましく、50質量%以上含有することがより好ましい。
前記単官能ラジカル重合性化合物としては、例えば、単官能ビニル系化合物(例えば、スチレン、メチルスチレン等)、単官能(メタ)アクリレート系化合物(例えば、ブチルアクリレートなど)など挙げられる。
前記多官能ラジカル重合性化合物としては、例えば、多官能ビニル系化合物(例えば、ジビニルベンゼン、アジピン酸ジビニル等)、多官能(メタ)アクリレート系化合物(例えば、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等)などが挙げられる。
これらの中でも、潜在性及び熱応答性の点から、多官能ビニル系化合物、特にジビニルベンゼンを好ましく使用することができる。
なお、多官能ラジカル重合性化合物は、多官能ビニル系化合物と多官能(メタ)アクリレート系化合物とから構成されていてもよい。このように併用することにより、熱応答性を変化させたり、反応性官能基を導入できたりといった効果が得られる。
前記ラジカル重合性ビニル化合物の配合量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記多官能イソシアネート化合物100質量部に対して、1質量部以上80質量部以下が好ましく、10質量部以上60質量部以下がより好ましい。
前記多孔質有機樹脂粒子の平均粒子径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5μm以上20μm以下が好ましく、1μm以上10μm以下がより好ましく、1μm以上5μm以下が特に好ましい。
<<多孔質無機粒子>>
前記多孔質無機粒子としては、無機化合物で構成される多孔質粒子であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記多孔質無機粒子の材質としては、例えば、酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化チタン、ホウ酸カルシウム、ホウケイ酸ナトリウム、酸化ナトリウム、リン酸塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記多孔質無機粒子としては、例えば、多孔質シリカ粒子、多孔質アルミナ粒子、多孔質チタニア粒子、多孔質ジルコニア粒子、ゼオライトなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記多孔質無機粒子の平均粒子径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50nm以上5,000μm以下が好ましく、250nm以上1,000μm以下がより好ましく、500nm以上200μm以下が特に好ましい。
<<多孔質粒子の表面>>
前記多孔質粒子は、潜在性をより高める点で、表面にシランカップリング剤の反応生成物を有することが好ましい。
前記反応生成物は、シランカップリング剤が反応して得られる。
前記反応生成物は、前記多孔質粒子の表面に存在する。
前記一般式(1)で表される化合物、又は前記一般式(1)で表される化合物と前記一般式(2)で表される化合物との混合物を保持する前記多孔質粒子は、その構造上、その内部だけでなく表面にも前記一般式(1)で表される化合物、又は前記一般式(1)で表される化合物と前記一般式(2)で表される化合物との混合物が存在することになると思われる。
そのため、後述するカチオン硬化性組成物において、カチオン硬化成分として高い反応性を有する脂環式エポキシ樹脂を使用する場合には、前記カチオン硬化剤を用いるカチオン硬化性組成物は経時的に大きく増粘する。
そこで、前記多孔質粒子の表面に存在する前記一般式(1)で表される化合物、又は前記一般式(1)で表される化合物と前記一般式(2)で表される化合物との混合物を、以下に説明するように、シランカップリング剤で不活性化することが好ましい。
前記シランカップリング剤は、以下に説明するように二つのタイプに分類される。
第一のタイプは、前記多孔質粒子に保持された活性な前記一般式(1)で表される化合物、又は前記一般式(1)で表される化合物と前記一般式(2)で表される化合物との混合物に、分子内のアルコキシシリル基を反応させて生成したシロキサン構造の重合鎖で表面を被覆して活性を低下させるタイプのシランカップリング剤である。このタイプのシランカップリング剤としては、例えば、アルキル基を有するアルキルアルコキシシランカップリング剤が挙げられる。具体的には、メチルトリメトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
第二のタイプは、前記多孔質粒子に保持された活性な前記一般式(1)で表される化合物、又は前記一般式(1)で表される化合物と前記一般式(2)で表される化合物との混合物に、分子内のエポキシ基を反応させて生成したエポキシ重合鎖で表面を被覆して活性を低下させるタイプのシランカップリング剤である。このタイプのシランカップリング剤としては、エポキシシランカップリング剤が挙げられる。具体的には、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(KBM-303、信越化学工業株式会社製)、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM-403、信越化学工業株式会社製)などが挙げられる。
(カチオン硬化剤の製造方法)
本発明のカチオン硬化剤の製造方法は、第一の形態では、下記一般式(1)で表される化合物と多孔質粒子を有機溶媒中で共存させ、その後、脱溶媒することにより前記一般式(1)で表される化合物を前記多孔質粒子に保持させる。
Figure 0007520609000012
ただし、前記一般式(1)中、Rは炭素数1~18の分岐していてもよいアルキル基、又はフェニル基であり、これらは更に置換基により置換されていてもよい。
は水素原子、炭素数1~4の分岐していてもよいアルキル基、ハロゲノアルキル基、アルコキシ基、又はフェノキシ基であり、前記アルキル基、ハロゲノアルキル基、アルコキシ基、及びフェノキシ基は更に置換基により置換されていてもよい。なお、RとRは、それぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。
本発明のカチオン硬化剤の製造方法は、第二の形態では、下記一般式(1)で表される化合物と下記一般式(2)で表される化合物と多孔質粒子とを有機溶媒中で共存させ、その後、脱溶媒することにより前記一般式(1)で表される化合物と前記一般式(2)で表される化合物との混合物を前記多孔質粒子に保持させる。
Figure 0007520609000013
ただし、前記一般式(1)中、Rは炭素数1~18の分岐していてもよいアルキル基、又はフェニル基であり、これらは更に置換基により置換されていてもよい。
は水素原子、炭素数1~4の分岐していてもよいアルキル基、ハロゲノアルキル基、アルコキシ基、又はフェノキシ基であり、前記アルキル基、ハロゲノアルキル基、アルコキシ基、及びフェノキシ基は更に置換基により置換されていてもよい。
なお、RとRは、それぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。
Figure 0007520609000014
ただし、前記一般式(2)中、Zは水素原子、又は電子吸引性基を表す。aは0~5の整数である。
前記一般式(1)で表される化合物、又は前記一般式(1)で表される化合物と前記一般式(2)で表される化合物との混合物を多孔質粒子に保持させる方法としては、有機溶媒中で、前記一般式(1)で表される化合物、又は前記一般式(1)で表される化合物と前記一般式(2)で表される化合物と多孔質粒子とを共存させ、その後に脱溶媒を行う方法が好ましい。
また、有機溶媒中で、前記一般式(1)で表される化合物と前記一般式(2)で表される化合物と多孔質粒子とを共存させる方法としては、前記一般式(1)で表される化合物と前記一般式(2)で表される化合物をあらかじめ有機溶媒中で混合溶解しておき、その後、多孔質粒子を投入することが好ましい。また、必要に応じて、多孔質粒子を投入した後にホモジナイザーや超音波により分散を行ってもよい。
脱溶媒の方法としては、加熱による方法、減圧による方法、又は両者の併用などが挙げられる。
使用する有機溶媒としては目的に応じ適宜選択されるが、沸点150℃以下が好ましく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、トルエン、キシレン、アセトニトリル、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
また、有機溶媒留去時に有機溶媒留去後の流動性を保つ目的で、有機溶媒の留去条件で揮発が起こらないオレフィン系、エステル系、又はシリコーン系のオイル、あるいはワックスを添加しておくことも好ましい態様である。
なお、前記多孔質粒子の表面にシランカップリング剤の反応生成物を形成する方法としては、例えば、特開2016-056274号公報の記載などを参照して行うことができる。
(カチオン硬化性組成物)
本発明のカチオン硬化性組成物は、カチオン硬化成分と、カチオン硬化剤とを少なくとも含有し、好ましくは有機シラン化合物を含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
<カチオン硬化成分>
前記カチオン硬化成分としては、カチオン硬化する有機材料であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エポキシ樹脂、オキセタン化合物、ビニルエーテル樹脂などが挙げられる。
<<エポキシ樹脂>>
前記エポキシ樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂などが挙げられる。
前記グリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、例えば、液状でも固体状でもよく、エポキシ当量が通常100~4,000程度であって、分子中に2以上のエポキシ基を有するものが好ましい。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エステル型エポキシ樹脂等を挙げることができる。これらの中でも、樹脂特性の点からビスフェノールA型エポキシ樹脂を好ましく使用できる。また、これらのエポキシ樹脂にはモノマーやオリゴマーも含まれる。
前記脂環式エポキシ樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビニルシクロペンタジエンジオキシド、ビニルシクロヘキセンモノ乃至ジオキシド、ジシクロペンタジエンオキシド、エポキシ-[エポキシ-オキサスピロC8-15アルキル]-シクロC5-12アルカン(例えば、3,4-エポキシ-1-[8,9-エポキシ-2,4-ジオキサスピロ[5.5]ウンデカン-3-イル]-シクロヘキサン等)、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボレート、エポキシC5-12シクロアルキルC1-3アルキルエポキシC5-12シクロアルカンカルボキシレート(例えば、4,5-エポキシシクロオクチルメチル-4’,5’-エポキシシクロオクタンカルボキシレート等)、ビス(C1-3アルキルエポキシC5-12シクロアルキルC1-3アルキル)ジカルボキシレート(例えば、ビス(2-メチル-3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート等)などが挙げられる。
なお、脂環式エポキシ樹脂としては、市販品として入手容易である点から、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート〔株式会社ダイセル製、商品名:セロキサイド♯2021P;エポキシ当量:128~140〕が好ましく用いられる。
なお、上記例示中において、「C8-15」、「C5-12」、「C1-3」との記載は、それぞれ、炭素数が8~15、炭素数が5~12、炭素数が1~3、であることを意味し、化合物の構造の幅があることを示している。
前記脂環式エポキシ樹脂の一例の構造式を、以下に示す。
Figure 0007520609000015
<<オキセタン化合物>>
前記カチオン硬化性組成物において、前記エポキシ樹脂に前記オキセタン化合物を併用することで、発熱ピークをシャープにすることができる。
前記オキセタン化合物としては、例えば、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、1,4-ビス{[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、4,4’-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル、1,4-ベンゼンジカルボン酸ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)]メチルエステル、3-エチル-3-(フェノキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、ジ[1-エチル(3-オキセタニル)]メチルエーテル、3-エチル-3-{[3-(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン、オキセタニルシルセスキオキサン、フェノールノボラックオキセタンなどが挙げられる。
前記カチオン硬化性組成物における前記カチオン硬化成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30質量%以上99質量%以下が好ましく、50質量%以上98質量%以下がより好ましく、70質量%以上97質量%以下が特に好ましい。
なお、前記含有量は、前記カチオン硬化性組成物の不揮発分における含有量である。以下においても同様である。
<カチオン硬化剤>
前記カチオン硬化剤は、本発明の前記カチオン硬化剤である。
前記カチオン硬化性組成物における前記カチオン硬化剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記カチオン硬化成分100質量部に対して、1質量部以上70質量部以下が好ましく、1質量部以上50質量部以下がより好ましい。前記含有量が、1質量部未満であると、硬化性が低下することがあり、70質量部を超えると、硬化物の樹脂特性(例えば、可とう性)が低下することがある。
<有機シラン化合物>
前記有機シラン化合物は、特開2002-212537号公報の段落[0007]~[0010]に記載されているように、潜在性硬化剤に保持されているアルミニウムキレートと共働してエポキシ樹脂のカチオン重合を開始させる機能を有する。
前記カチオン硬化性組成物においても、前記カチオン硬化剤と、前記有機シラン化合物とを併用することにより、カチオン硬化成分の硬化を促進するという効果が得られる。
前記有機シラン化合物としては、例えば、アリールシラノール化合物、シランカップリング剤などが挙げられる。
このような有機シラン化合物としては、高立体障害性のシラノール化合物や、分子中に1~3の低級アルコキシ基を有するシランカップリング剤等を挙げることができる。なお、シランカップリング剤の分子中に前記カチオン硬化成分の官能基に対して反応性を有する基、例えば、ビニル基、スチリル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基等を有していてもよいが、アミノ基やメルカプト基を有するカップリング剤は、アミノ基やメルカプト基が、カチオン硬化の際の発生カチオン種を実質的に捕捉しない場合に使用することができる。
<<アリールシラノール化合物>>
前記アリールシラノール化合物は、例えば、下記一般式(7)で表される。
Figure 0007520609000016
ただし、前記一般式(7)中、mは2又は3、好ましくは3であり、但し、mとnとの和は4である。Arは、置換基を有していてもよいアリール基である。
前記一般式(7)で表されるアリールシラノール化合物は、モノオール体又はジオール体である。
前記一般式(7)におけるArは、置換基を有していてもよいアリール基である。
前記アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基(例えば、1-ナフチル基、2-ナフチル基等)、アントラセニル基(例えば、1-アントラセニル基、2-アントラセニル基、9-アントラセニル基、ベンズ[a]-9-アントラセニル基等)、フェナリル基(例えば、3-フェナリル基、9-フェナリル基等)、ピレニル基(例えば、1-ピレニル基等)、アズレニル基、フロオレニル基、ビフェニル基(例えば、2-ビフェニル基、3-ビフェニル基、4-ビフェニル基等)、チエニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピリジル基などが挙げられる。これらの中でも、入手容易性、及び入手コストの観点からフェニル基が好ましい。m個のArは、いずれも同一でもよく異なっていてもよいが、入手容易性の点から同一であることが好ましい。
これらのアリール基は、例えば、1~5個の置換基を有することができる。
前記置換基としては、例えば、電子吸引性基、電子供与性基などが挙げられる。
前記電子吸引性基としては、例えば、ハロゲン基(例えば、クロロ基、ブロモ基等)、トリフルオロメチル基、ニトロ基、スルホ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)、ホルミル基などが挙げられる。
前記電子供与性基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基等)、ヒドロキシ基、アミノ基、モノアルキルアミノ基(例えば、モノメチルアミノ基等)、ジアルキルアミノ基(例えば、ジメチルアミノ基等)などが挙げられる。
置換基を有するフェニル基の具体例としては、例えば、2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、2,3-ジメチルフェニル基、2,5-ジメチルフェニル基、3,4-ジメチルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、2-エチルフェニル基、4-エチルフェニル基などが挙げられる。
なお、置換基として電子吸引性基を使用することにより、シラノール基の水酸基の酸度を上げることができる。置換基として電子供与性基を使用することにより、シラノール基の水酸基の酸度を下げることができる。そのため、置換基により、硬化性のコントロールが可能となる。
ここで、m個のAr毎に、置換基が異なっていてもよいが、m個のArについて入手容易性の点から置換基は同一であることが好ましい。また、一部のArだけに置換基があり、他のArに置換基が無くてもよい。
前記アリールシラノール化合物としては、上記一般式(2)で表される化合物が、よりカチオン重合を促進させる点で、好ましい。
本発明においてカチオン硬化剤内部に保持されるものとして用いられる前記一般式(2)で表される化合物とカチオン硬化性組成物中に用いられる前記一般式(2)で表される化合物は同一であってもよいし異なっていてもよい。
<<シランカップリング剤>>
前記シランカップリング剤としては、分子中に1~3の低級アルコキシ基を有するものであり、分子中に熱硬化性樹脂の官能基に対して反応性を有する基、例えば、ビニル基、スチリル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基等を有していてもよい。なお、アミノ基やメルカプト基を有するカップリング剤は、本発明において使用する潜在性硬化剤がカチオン硬化剤であるため、アミノ基やメルカプト基が発生カチオン種を実質的に捕捉しない場合に使用することができる。
前記シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-スチリルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
前記カチオン硬化性組成物における前記有機シラン化合物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記カチオン硬化剤100質量部に対して、50質量部以上500質量部以下が好ましく、100質量部以上300質量部以下がより好ましい。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(合成例1)
<化合物1の合成>
撹拌機、温度計、及び窒素導入管を具備した200mLの3つ口フラスコにNを導入した状態でアルミニウム-sec-ブトキシド(東京化成工業株式会社製)5.0g(20.3mmol)とヘプタン70gを投入した。そこに、室温で撹拌しながらサリチル酸エチル(東京化成工業株式会社製)10.79g(65.0mmol)を投入した後、100℃まで昇温し2時間反応を行った。反応直後より結晶の析出が生じていた。
反応終了後、減圧濾過を行い、結晶を捕集し、ヘプタンにより洗浄を行った後、室温減圧下で24時間乾燥させることで、下記構造式で表される薄赤色結晶の化合物1を9.75g得た。
(合成例2)
<化合物2の合成>
合成例1において、サリチル酸エチルを、サリチル酸n-プロピル(東京化成工業株式会社製)11.71gとした以外は、合成例1と同様にして、下記構造式で表される薄赤色結晶の化合物2を8.82g得た。
(合成例3)
<化合物3の合成>
合成例1において、サリチル酸エチルを、サリチル酸n-ブチル(東京化成工業株式会社製)12.62gとした以外は、合成例1と同様にして、下記構造式で表される薄赤色結晶の化合物3を10.10g得た。
(合成例4)
<化合物4の合成>
合成例1において、サリチル酸エチルを、5-メチルサリチル酸メチル(東京化成工業株式会社製)10.79gとした以外は、合成例1と同様にして、下記構造式で表される薄赤色結晶の化合物4を8.53g得た。
(多孔質粒子の製造例1)
<多孔質粒子Aの作製>
蒸留水800質量部と、界面活性剤(ニューレックスR-T、日油株式会社製)0.05質量部と、分散剤としてポリビニルアルコール(PVA-205、株式会社クラレ製)4質量部とを、温度計を備えた3リットルの界面重合容器に入れ、均一に混合した。この混合液に、更に、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)の24質量%イソプロパノール溶液(アルミニウムキレートD、川研ファインケミカル株式会社製)11質量部と、メチレンジフェニル-4,4’-ジイソシアネート(3モル)のトリメチロールプロパン(1モル)付加物(D-109、三井武田ケミカル株式会社製)11質量部とを、酢酸エチル30質量部に溶解した油相溶液を投入し、ホモジナイザー(11,000rpm/10分)で乳化混合後、60℃で一晩界面重合させた。
反応終了後、重合反応液を室温まで放冷し、界面重合粒子を濾過により濾別し、室温にて24時間減圧乾燥することにより、平均粒子径10.0μmの球状粒子を得た。
更に、上記粒子をメチルエチルケトンにより洗浄し、減圧濾過を行うことで多孔質粒子Aのウェットケーキを得た。
(多孔質粒子の製造例2)
<多孔質粒子Bの作製>
蒸留水800質量部と、界面活性剤(ニューレックスR-T、日油株式会社製)0.05質量部と、分散剤としてポリビニルアルコール(PVA-205、株式会社クラレ製)4質量部とを、温度計を備えた3リットルの界面重合容器に入れ、均一に混合し水相を調製した。
この水相に、更に、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)の24質量%イソプロパノール溶液(アルミニウムキレートD、川研ファインケミカル株式会社製)100質量部と、多官能イソシアネート化合物としてメチレンジフェニル-4,4’-ジイソシアネート(3モル)のトリメチロールプロパン(1モル)付加物(D-109、三井化学ポリウレタン株式会社製)70質量部と、ラジカル重合性化合物としてジビニルベンゼン(メルク株式会社製)30質量部と、ラジカル重合開始剤(パーロイルL、日油株式会社製)をラジカル重合性化合物の1質量%相当量(0.3質量部)と、を酢酸エチル100質量部に溶解した油相を投入し、ホモジナイザー(10,000rpm/5分、T-50、IKAジャパン株式会社製)で乳化混合後、80℃で6時間、界面重合とラジカル重合を行った。反応終了後、重合反応液を室温まで放冷し、重合粒子を濾過により濾別し、室温にて24時間減圧乾燥を行い、平均粒子径2.9μmの球状の粒子を得た。
更に、上記粒子をメチルエチルケトンにより洗浄し、減圧濾過を行うことで多孔質粒子Bのウェットケーキを得た。
(多孔質粒子の製造例3)
<多孔質粒子Cの作製>
蒸留水800質量部と、界面活性剤(ニューレックスR-T、日油株式会社製)0.0
5質量部と、分散剤としてポリビニルアルコール(PVA-205、株式会社クラレ製)4質量部とを、温度計を備えた3リットルの界面重合容器に入れ、均一に混合し水相を調製した。
この水相に、更に、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)の24質量%イソプロパノール溶液(アルミニウムキレートD、川研ファインケミカル株式会社製)100質量部と、多官能イソシアネート化合物としてメチレンジフェニル-4,4’-ジイソシアネート(3モル)のトリメチロールプロパン(1モル)付加物(D-109、三井化学ポリウレタン株式会社製)70質量部と、ラジカル重合性化合物として1,6-ヘキサンジオールジアクリレート30質量部と、ラジカル重合開始剤(パーロイルL、日油株式会社製)を前記ラジカル重合性化合物の1質量%相当量(0.3質量部)と、を酢酸エチル100質量部に溶解した油相を投入し、ホモジナイザー(10,000rpm/5分:T-50、IKAジャパン株式会社製)で乳化混合後、80℃で6時間、界面重合とラジカル重合を行った。反応終了後、重合反応液を室温まで放冷し、重合粒子を濾過により濾別し、室温にて24時間減圧乾燥を行い、平均粒子径2.7μmの球状の粒子を得た。
更に、上記粒子をメチルエチルケトンにより洗浄し、減圧濾過を行うことで多孔質粒子Cのウェットケーキを得た。
(多孔質粒子の製造例4)
<多孔質粒子Dの作製>
水800質量部、界面活性剤(製品名:ニューレックスR、日油株式会社製)0.05質量部、及びポリビニルアルコール(重合度約500)(和光純薬工業株式会社製)4質量部を均一に混合し水相を調製した。一方で、アルミニウムビスエチルアセトアセテート・モノアセチルアセトネート(製品名:アルミニウムキレートD、川研ファインケミカル株式会社製)11質量部、メタキシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加体(製品名:タケネートD-110N、三井化学株式会社製)8.8質量部、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(製品名:タケネート600、三井化学株式会社製)2.2質量部、及び酢酸エチル30質量部を均一混合し油相を調製した。ホモジナイザーで水相を撹拌(11,000rpm)しながら、油相を水相に5分間かけて滴下し、更にホモジナイザーで10分間撹拌(11,000rpm)した後、60℃にて12時間撹拌し界面重合を行った。その後、室温に冷却し、遠心分離機で粒子を分離後、ろ過した。得られた粒子を24時間減圧乾燥、平均粒子径10.4μmの球状粒子を得た。
更に、上記粒子をメチルエチルケトンにより洗浄し、減圧濾過を行うことで多孔質粒子Dのウェットケーキを得た。
(使用例1)
多孔質シリカ(AGCエスアイテック株式会社製、商品名サンスフェアH-32)を多孔質粒子Eとして用意した。
(使用例2)
上記一般式(2)で表される化合物として、トリフェニルシラノール(関東化学工業株式会社製)を用意した。
(使用例3)
上記一般式(2)で表される化合物として、トリス[(4-トリフルオロメチル)フェニル]シラノール(東京化成工業株式会社製)を用意した。
(実施例1-1)
<化合物2が内部に保持された多孔質粒子A-2の作製>
多孔質粒子の製造例1で得られた多孔質粒子Aのウェットケーキの固形分として7gに相当する量を、N導入管を具備した100mLの3つ口フラスコに移し、化合物2 7.0gとトルエン30gを加え、Nガスを導入しながらオイルバス浴にて50℃にて15分間撹拌後、オイルバス浴の温度を110℃に昇温し、撹拌しながらトルエン及びメチルエチルケトンを留去することにより液を濃縮し、多孔質粒子Aの内部に化合物2を保持させた。濃縮終了後、冷却し室温にて24時間放置後、シクロヘキサン60gを投入し1時間撹拌を行った。その後、減圧濾過後、シクロヘキサン30gで洗浄及び減圧濾過を4回繰り返した。その後、濾過残渣を60℃にて4時間減圧乾燥することで化合物2が内部に保持された多孔質粒子A-2を作製した。
(実施例1-2)
<化合物3が内部に保持された多孔質粒子A-3の作製>
実施例1-1において、化合物2を化合物3に替えた以外は、実施例1-1と同様にして、化合物3が内部に保持された多孔質粒子A-3を作製した。
(実施例2-1~2-4)
<化合物1~4が内部に保持された多孔質粒子B-1~B-4の作製>
実施例1-1において、多孔質粒子Aを多孔質粒子Bに替え、更に化合物2を化合物1~4に替えた以外は、実施例1-1と同様にして、化合物1~4が内部に保持された多孔質粒子B-1~B-4を作製した。
(実施例3-1~3-4)
<化合物1~4が内部に保持された多孔質粒子C-1~C-4の作製>
実施例1-1において、多孔質粒子Aを多孔質粒子Cに替え、更に化合物2を化合物1~4に替えた以外は、実施例1-1と同様にして、化合物1~4が内部に保持された多孔質粒子C-1~C-4を作製した。
(実施例4-1~4-4)
<化合物1~4が内部に保持された多孔質粒子D-1~D-4の作製>
実施例1-1において、多孔質粒子Aを多孔質粒子Dに替え、更に化合物2を化合物1~4に替えた以外は、実施例1-1と同様にして、化合物1~4が内部に保持された多孔質粒子D-1~D-4を作製した。
(実施例5-1)
<化合物3が内部に保持された多孔質粒子E-3の作製>
まず、多孔質粒子E 7.0gを100mLの3つ口フラスコに入れ、100℃にて3時間減圧乾燥させた。冷却後、前記フラスコをオイルバス浴に移し、N導入管と温度計を設置し、Nガスを導入しながら化合物3 7.0gとトルエン30gを加え、50℃にて15分間撹拌後、オイルバス浴の温度を110℃に設定し、撹拌しながらトルエンを留去することにより液を濃縮し、多孔質粒子Eに化合物3を保持させた。濃縮終了後、冷却し室温にて24時間放置後、シクロヘキサン60gを投入し1時間撹拌を行った。その後、減圧濾過後、シクロヘキサン30gで洗浄を行い再度減圧濾過し、濾過残渣を60℃にて4時間減圧乾燥することで化合物3が内部に保持された多孔質粒子E-3を作製した。
(比較合成例1)
<比較化合物1の作製>
川研ファインケミカル株式会社製のアルミニウムキレートD(アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)の24質量%イソプロパノール溶液(固形分76質量%))100gを50℃で24時間減圧乾燥した後、ヘキサンにて洗浄後、更に室温で減圧乾燥を行い。アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)の赤褐色粘調固体71.4gを得た。本化合物を比較化合物1とした。
(比較例1-1)
<比較化合物1を内包した多孔質粒子A-5の作製>
多孔質粒子の製造例1で得られた多孔質粒子Aのウェットケーキの固形分として7gに相当する量を、N導入管を具備した100mLの3つ口フラスコに移し、比較化合物1 7.0gと酢酸エチル30gを加え、Nガスを導入しながらオイルバス浴にて50℃にて15分間撹拌後、オイルバス浴の温度を80℃に昇温し、撹拌しながら酢酸エチルを留去することにより液を濃縮し、多孔質粒子Aの内部に比較化合物1を保持させた。濃縮終了後冷却し室温にて24時間放置後、シクロヘキサン60gを投入し1時間撹拌を行った。その後、減圧濾過後、シクロヘキサン30gで洗浄及び減圧濾過を4回繰り返し、その後、濾過残渣を30℃にて24時間減圧乾燥することで比較化合物1が内部に保持された多孔質粒子A-5を作製した。
(比較例1-2~1-5)
<比較用多孔質粒子B-5~E-5の作製>
比較例1-1において、多孔質粒子Aの替わりにそれぞれ多孔質粒子B~Dに替えた以外は、比較例1-1と同様にして、比較化合物1が内部に保持された比較用多孔質粒子B-5~D-5を作製した。また、比較用多孔質粒子E-5は比較化合物1を用いて実施例5-1と同様にして作製した。
上記実施例における使用多孔質粒子と使用化合物を表1に記載した。また、上記比較例1-1~1-5における使用多孔質粒子と使用化合物を表2に記載した。
Figure 0007520609000021
Figure 0007520609000022
(実施例6-1~6-15及び比較例2-1~2-5)
<カチオン硬化性組成物の調製>
YL980(三菱化学株式会社製、ビスフェノールAタイプエポキシ樹脂)100質量部、トリフェニルシラノール(関東化学株式会社製)5質量部、前記実施例及び比較例で作製した各多孔質粒子2質量部を配合し、カチオン硬化性組成物を調製した。
各実施例で使用した多孔質粒子を以下の表3に記載し、各比較例で使用した多孔質粒子を表4に記載した。
Figure 0007520609000023
Figure 0007520609000024
(比較例2-6~2-10)
<カチオン硬化性組成物の調製>
実施例6-1~6-15及び比較例2-1~2-5において、多孔質粒子の代わりに化合物1~4及び比較化合物1を各2質量部配合したカチオン硬化性組成物を調製した。
各比較例で使用した化合物を表5に記載した。
Figure 0007520609000025
<カチオン硬化性評価>
実施例6-1~6-15及び比較例2-1~2-10で調製したカチオン硬化性組成物の各5mgをDSC6200用の直径5mmのアルミニウム容器に入れ、示差走査熱量測定を行い、その発熱ピーク温度を評価した。
当業界で良く知られているように、カチオン硬化は発熱反応であり、示差走査熱量測定による発熱ピーク温度はカチオン硬化における硬化性を反映しており、より低温である方がよい。
示差走査熱量測定の条件は以下のとおりである。
[測定条件]
・昇温速度:10℃/min(25℃~300℃)
・Nガス:100mL/min
<カチオン硬化性組成物の保存安定性の評価>
実施例6-1~実施例6-15及び比較例2-1~比較例2-10で調製したカチオン硬化性組成物を密閉容器中で25℃にて1日間(24時間)保管し、保管前後の示差走査熱量測定での発熱量を比較することで、保管中の反応率を見積もった。硬化性と併せ、結果を表6及び7に記載した。
なお、反応率は、以下の式により求めた。
反応率(%)=
100×〔(保管前の発熱量)-(保管後の発熱量)〕/(保管前の発熱量)
Figure 0007520609000026
Figure 0007520609000027
表6及び表7の結果から、まず、化合物をそのまま添加した比較例2-6~2-10に対し、実施例は、発熱ピーク温度は高温化するものの、保存安定性は顕著に改善されており、多孔質粒子に内包させることにより潜在化が図れていることが言える。
また、同一多孔質粒子での比較(比較例2-1に対する実施例6-1と6-2、比較例2-2に対する実施例6-3~6-6、比較例2-3に対する実施例6-7~6-10、比較例2-4に対する実施例6-11~6-14、比較例2-5に対する実施例2-5)では、いずれも本発明の化合物が保持された多孔質粒子でピーク温度の低温化が実現している。即ち、本発明の化合物が保持された多孔質粒子(カチオン硬化剤)は、硬化性が向上していることがわかった。
(実施例7-1)
<多孔質粒子A-2-1の作製>
n-プロピルトリメトキシシラン(KBM-3033、信越化学工業株式会社製)1.0gをシクロヘキサン9gに溶解して表面不活性化処理液を調製し、この処理液に実施例1-1で作製した多孔質粒子A-2 1.0gを投入し、その混合物を30℃で20時間撹拌した。その後、シクロヘキサン10gで洗浄しながら減圧濾過を行い、多孔質粒子を濾別し、40℃にて6時間減圧乾燥して、表面処理された多孔質粒子A-2-1を作製した。
(実施例7-2~実施例7-15)
<その他の多孔質粒子の作製>
実施例7-1において、使用した多孔質粒子を表8に記載の通りに代えた以外は、実施例7-1と同様にして、表面処理された表8に記載の多孔質粒子を作製した。
(比較例3-1~比較例3-5)
<比較用多孔質粒子の作製>
実施例7-1において、使用した多孔質粒子を表9に記載の通りに代えた以外は、実施例7-1と同様にして、表面処理された表9に記載の比較用多孔質粒子を作製した。
Figure 0007520609000028
Figure 0007520609000029
(実施例8-1~実施例8-15及び比較例4-1~4-5)
<カチオン硬化性組成物の調製>
YL980(三菱化学株式会社製、ビスフェノールAタイプエポキシ樹脂)60質量部、セロキサイド2021P(ダイセル化学工業株式会社製)15質量部、アロンオキセタンOXT-221(東亞合成株式会社製)25質量部、トリフェニルシラノール(関東化学株式会社製)5質量部、前記各実施例7-1~7-15及び比較例3-1~3-5で作製した多孔質粒子2質量部を配合し、実施例8-1~実施例8-15及び比較例4-1~4-5のカチオン硬化性組成物を調製した。
各実施例で使用した多孔質粒子を以下の表10に記載し、各比較例で使用した多孔質粒子を表11に記載した。
Figure 0007520609000030
Figure 0007520609000031
<カチオン硬化性評価>
実施例8-1~実施例8-15及び比較例4-1~4-5で調製したカチオン硬化性組成物の各5mgをDSC6200用の直径5mmのアルミニウム容器に入れ、示差走査熱量測定を行い、その発熱ピーク温度を前述と同様に評価した。
<カチオン硬化性組成物の保存安定性の評価>
実施例8-1~実施例8-15及び比較例4-1~比較例4-5で調製したカチオン硬化性組成物を密閉容器中で25℃にて1日間(24時間)保管し、保管前後の示差走査熱量測定での発熱量を比較することで、保管中の反応率を見積もった。硬化性と併せ、結果を表12及び13に記載した。
なお、反応率は、以下の式により求めた。
反応率(%)=
100×〔(保管前の発熱量)-(保管後の発熱量)〕/(保管前の発熱量)
Figure 0007520609000032
Figure 0007520609000033
表12及び表13の結果から、同一多孔質粒子での比較(比較例4-1に対する実施例8-1と8-2、比較例4-2に対する実施例8-3~8-6、比較例4-3に対する実施例8-7~8-10、比較例4-4に対する実施例8-11~8-14、比較例4-5に対する実施例8-5)では、いずれも本発明のカチオン硬化剤でピーク温度の低温化が実現している。即ち、本発明のカチオン硬化剤は、硬化性が向上していることがわかった。
更に、25℃で1日間保管での反応率は本発明と比較例でほとんど差はなく、本発明のカチオン硬化剤は保存性を損なわずに硬化性を上げられているといえる。即ち、本発明のカチオン硬化剤は、潜在性を損なわずに硬化性が向上していることがわかった。
(実施例11-1)
<化合物2とトリフェニルシラノールの混合物が内部に保持された多孔質粒子AA-2の作製>
導入管を具備した100mLの3つ口フラスコに化合物2 5.2gとトリフェニルシラノール5.1gとメチルエチルケトン30gを加え、オイルバス浴にて50℃にて15分間撹拌後、多孔質粒子の製造例1で得られた多孔質粒子Aのウェットケーキの固形分として7gに相当する量を投入し、Nガスを導入しながらオイルバス浴の温度を80℃に昇温し、撹拌しながらメチルエチルケトンを留去することにより液を濃縮し、多孔質粒子Aの内部に化合物2とトリフェニルシラノールの混合物を保持させた。濃縮終了後、冷却し室温にて24時間放置後、シクロヘキサン60gを投入し1時間撹拌を行った。その後、減圧濾過後、シクロヘキサン30gで洗浄及び減圧濾過を4回繰り返し、その後、濾過残渣を60℃にて4時間減圧乾燥することで化合物2とトリフェニルシラノールの混合物が内部に保持された多孔質粒子AA-2を作製した。
(実施例11-2)
<化合物3とトリフェニルシラノールの混合物が内部に保持された多孔質粒子AA-3の作製>
実施例11-1において、化合物2を化合物3 5.5gに替え、トリフェニルシラノールの量を5.0gに替えた以外は、実施例11-1と同様にして、化合物3とトリフェニルシラノールの混合物が内部に保持された多孔質粒子AA-3を作製した。
(実施例12-1~12-4)
<化合物1~4とトリフェニルシラノールの混合物が内部に保持された多孔質粒子BB-1~BB-4の作製>
実施例11-1において、多孔質粒子Aを多孔質粒子Bに替え、更に化合物の種類と仕込み量を表14-1に記載のとおりに替えた以外は、実施例11-1と同様にして、化合物1~4とトリフェニルシラノールの混合物が内部に保持された多孔質粒子BB-1~BB-4を作製した。
Figure 0007520609000034
(実施例12-5~12-8)
<化合物1~4とトリス[(4-トリフルオロメチル)フェニル]シラノールの混合物が内部に保持された多孔質粒子BB-6~BB-9の作製>
実施例11-1において、多孔質粒子Aを多孔質粒子Bに替え、更に化合物の種類と仕込み量を表14-1に記載のとおりに替えた以外は、実施例11-1と同様にして、化合物1~4とトリス[(4-トリフルオロメチル)フェニル]シラノールの混合物が内部に保持された多孔質粒子BB-6~BB-9を作製した。
Figure 0007520609000035
(実施例13-1~13-4)
<化合物1~4とトリフェニルシラノールの混合物が内部に保持された多孔質粒子CC-1~CC-4の作製>
実施例11-1において、多孔質粒子Aを多孔質粒子Cに替え、更に化合物の種類と仕込み量を表15に記載のとおりに替えた以外は、実施例11-1と同様にして、化合物1~4とトリフェニルシラノールの混合物が内部に保持された多孔質粒子CC-1~CC-4を作製した。
Figure 0007520609000036
(実施例14-1~14-4)
<化合物1~4とトリフェニルシラノールの混合物が内部に保持された多孔質粒子DD-1~DD-4の作製>
実施例11-1において、多孔質粒子Aを多孔質粒子Dに替え、更に化合物の種類と仕込み量を表16に記載のとおりに替えた以外は、実施例11-1と同様にして、化合物1~4とトリフェニルシラノールの混合物が内部に保持された多孔質粒子DD-1~DD-4を作製した。
Figure 0007520609000037
(実施例15-1)
<化合物3とトリフェニルシラノールの混合物が内部に保持された多孔質粒子EE-3の作製>
まず、多孔質粒子E 7.0gを100mLの3つ口フラスコに入れ、100℃にて3時間減圧乾燥させた。冷却後、前記フラスコをオイルバス浴に移し、N導入管と温度計を設置し、Nガスを導入しながら化合物3 5.5gとトリフェニルシラノール5.0g及び酢酸エチル30gを加え、50℃にて15分間撹拌後、オイルバス浴の温度を80℃に設定し、撹拌しながら酢酸エチルを留去することにより液を濃縮し、多孔質粒子Eに化合物3とトリフェニルシラノールの混合物を保持させた。濃縮終了後、冷却し室温にて24時間放置後、シクロヘキサン60gを投入し1時間撹拌を行った。その後、減圧濾過後、シクロヘキサン30gで洗浄を行い再度減圧濾過し、濾過残渣を60℃にて4時間減圧乾燥することで化合物3とトリフェニルシラノールの混合物が内部に保持された多孔質粒子EE-3を作製した。
(比較製造例)
<比較化合物1の作製>
川研ファインケミカル株式会社製のアルミニウムキレートD(アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)の24質量%イソプロパノール溶液(固形分76質量%))100gを50℃で24時間減圧乾燥した後、ヘキサンにて洗浄後、更に室温で減圧乾燥を行い。アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)の赤褐色粘調固体71.4gを得た。本化合物を比較化合物1とした。
(比較例11-1)
<比較化合物1を内包した多孔質粒子AA-5の作製>
多孔質粒子の製造例1で得られた多孔質粒子Aのウェットケーキの固形分として7gに相当する量を、N導入管を具備した100mLの3つ口フラスコに移し、比較化合物1 7.0gと酢酸エチル30gを加え、Nガスを導入しながらオイルバス浴にて50℃にて15分間撹拌後、オイルバス浴の温度を80℃に昇温し、撹拌しながら酢酸エチルを留去することにより液を濃縮し、多孔質粒子Aの内部に比較化合物1を保持させた。濃縮終了後、冷却し室温にて24時間放置後、シクロヘキサン60gを投入し1時間撹拌を行った。その後、減圧濾過後、シクロヘキサン30gで洗浄及び減圧濾過を4回繰り返し、その後、濾過残渣を30℃にて24時間減圧乾燥することで比較化合物1が内部に保持された多孔質粒子AA-5を作製した。
(比較例11-2~11-4)
<比較用多孔質粒子BB-5~DD-5の作製>
比較例11-1において、多孔質粒子Aの替わりにそれぞれ多孔質粒子B~Dに替えた以外は、比較例11-1と同様にして、比較化合物1が内部に保持された比較用多孔質粒子BB-5~DD-5を作製した。
上記実施例における使用多孔質粒子と使用化合物を表17-1及び表17-2に記載した。また、上記比較例11-1~11-4における使用多孔質粒子と使用化合物を表18に記載した。
Figure 0007520609000038
Figure 0007520609000039
Figure 0007520609000040
(実施例16-1~16-19及び比較例12-1~12-4)
<カチオン硬化性組成物の調製>
YL980(三菱化学株式会社製、ビスフェノールAタイプエポキシ樹脂)100質量部、トリフェニルシラノール(関東化学株式会社製)5質量部、前記実施例及び比較例で作製した各多孔質粒子2質量部を配合し、カチオン硬化性組成物を調製した。
各実施例で使用した多孔質粒子を以下の表19-1及び表19-2に記載し、及び各比較例で使用した多孔質粒子を表20に記載した。
Figure 0007520609000041
Figure 0007520609000042
Figure 0007520609000043
<カチオン硬化性評価>
実施例16-1~16-19及び比較例12-1~12-4で調製したカチオン硬化性組成物の各5mgをDSC6200用の直径5mmのアルミニウム容器に入れ、示差走査熱量測定を行い、その発熱ピーク温度を評価した。
当業界で良く知られているように、カチオン硬化は発熱反応であり、示差走査熱量測定による発熱ピーク温度はカチオン硬化における硬化性を反映しており、より低温である方がよい。
示差走査熱量測定の条件は以下のとおりである。
[測定条件]
・昇温速度:10℃/min(25℃~300℃)
・Nガス:100mL/min
<カチオン硬化性組成物の保存安定性の評価>
実施例16-1~実施例16-19及び比較例12-1~比較例12-4で調製したカチオン硬化性組成物を密閉容器中で25℃にて1日間(24時間)保管し、保管前後の示差走査熱量測定での発熱量を比較することで、保管中の反応率を見積もった。硬化性と併せ、結果を表21-1、表21-2及び表22に記載した。
なお、反応率は、以下の式により求めた。
反応率(%)=
100×〔(保管前の発熱量)-(保管後の発熱量)〕/(保管前の発熱量)
Figure 0007520609000044
Figure 0007520609000045
Figure 0007520609000046
表21-1、表21-2及び表22の結果から、同一多孔質粒子での比較(比較例12-1に対する実施例16-1と16-2、比較例12-2に対する実施例16-3~16-6、比較例12-3に対する実施例16-7~16-10、比較例12-4に対する実施例16-11~16-14)では、いずれも本発明の化合物が保持された多孔質粒子でピーク温度の低温化が実現している。即ち、本発明の多孔質粒子(カチオン硬化剤)は、硬化性が向上していることがわかった。また、一般式(2)の化合物を替えた粒子での比較(実施例16-3~16-6と実施例16-16~16-19の比較)ではトリフェニルシラノールのフェニル基に電子求引性のトリフルオロメチル基が付加したトリス[(4-トリフルオロメチル)フェニル]シラノールを用いたものの方がより低温に発熱ピークを有しており、硬化性を向上させることができると言える。
(実施例17-1)
<多孔質粒子AA-2-1の作製>
n-プロピルトリメトキシシラン(KBM-3033、信越化学工業株式会社製)1.0gをシクロヘキサン9gに溶解して表面不活性化処理液を調製し、この処理液に実施例12-1で作製した多孔質粒子AA-2 1.0gを投入し、その混合物を30℃で20時間撹拌した。その後、シクロヘキサン10gで洗浄しながら減圧濾過を行い、多孔質粒子を濾別し、40℃にて6時間減圧乾燥して、表面処理された多孔質粒子AA-2-1を作製した。
(実施例17-2~実施例17-19)
<その他の多孔質粒子の作製>
実施例14-1において、使用した多孔質粒子を表23-1及び表23-2に記載の通りに代えた以外は、実施例14-1と同様にして、表面処理された実施例17-2~実施例17-19の多孔質粒子を作製した。
(比較例13-1~比較例13-4)
<比較用多孔質粒子の作製>
実施例17-1において、使用した多孔質粒子を表24に記載の通りに代えた以外は、実施例17-1と同様にして、表面処理された比較例13-1~比較例13-4の比較用多孔質粒子を作製した。
Figure 0007520609000047
Figure 0007520609000048
Figure 0007520609000049
(実施例18-1~18-19及び比較例14-1~14-4)
<カチオン硬化性組成物の調製>
YL980(三菱化学株式会社製、ビスフェノールAタイプエポキシ樹脂)60質量部、セロキサイド2021P(ダイセル化学工業株式会社製)15質量部、アロンオキセタンOXT-221(東亞合成株式会社製)25質量部、トリフェニルシラノール(関東化学株式会社製)5質量部、前記各実施例17-1~17-19及び比較例13-1~13-4で作製した多孔質粒子2質量部を配合し、実施例18-1~18-19及び比較例14-1~14-4のカチオン硬化性組成物を調製した。
各実施例で使用した多孔質粒子を以下の表25-1及び表25-2に記載し、各比較例で使用した多孔質粒子を表25-3に記載した。
(実施例19-1~19-4及び比較例15-1)
<カチオン硬化性組成物の調製>
YL980(三菱化学株式会社製、ビスフェノールAタイプエポキシ樹脂)60質量部、セロキサイド2021P(ダイセル化学工業株式会社製)15質量部、アロンオキセタンOXT-221(東亞合成株式会社製)25質量部、トリス[(4-トリフルオロメチル)フェニル]シラノール(東京化成工業株式会社製)5質量部、前記各実施例17-3~17-6及び比較例13-2で作製した多孔質粒子2質量部を配合し、実施例19-1~19-4及び比較例15-1のカチオン硬化性組成物を調製した。
各実施例で使用した多孔質粒子、及び比較例で使用した多孔質粒子を表26に記載した。
Figure 0007520609000050
Figure 0007520609000051
Figure 0007520609000052
Figure 0007520609000053
<カチオン硬化性評価>
実施例18-1~18-19及び19-1~19-4、比較例14-1~14-4及び15-1で調製したカチオン硬化性組成物の各5mgをDSC6200用の直径5mmのアルミニウム容器に入れ、示差走査熱量測定を行い、その発熱ピーク温度を前述と同様に評価した。
<カチオン硬化性組成物の保存安定性の評価>
実施例18-1~18-19及び19-1~19-4、比較例14-1~14-4及び15-1で調製したカチオン硬化性組成物を密閉容器中で25℃にて1日間(24時間)保管し、保管前後の示差走査熱量測定での発熱量を比較することで、保管中の反応率を見積もった。硬化性と併せ、結果を表27-1、表27-2及び表27-3及び表28に記載した。
なお、反応率は、以下の式により求めた。
反応率(%)=
100×〔(保管前の発熱量)-(保管後の発熱量)〕/(保管前の発熱量)
Figure 0007520609000054
Figure 0007520609000055
Figure 0007520609000056
Figure 0007520609000057
表27-1、表27-2、表27-3及び表28の結果から、同一多孔質粒子での比較(比較例14-1に対する実施例18-1と18-2、比較例14-2に対する実施例18-3~18-6、比較例14-3に対する実施例18-7~18-10、比較例14-4に対する実施例18-11~18-14)ではいずれも本発明の化合物が保持された多孔質粒子でピーク温度の低温化が実現している。即ち、本発明のカチオン硬化剤は、硬化性が向上していることがわかった。
また、上記一般式(2)の化合物を替えた粒子での比較(実施例18-3~18-6と実施例18-16~18-19の比較)ではトリフェニルシラノールのフェニル基に電子求引性のトリフルオロメチル基が付加したトリス[(4-トリフルオロメチル)フェニル]シラノールを用いたものの方がより低温に発熱ピークを有しており、硬化性を向上させることができると言える。
更に、カチオン硬化性組成物中に配合される上記一般式(2)の化合物をトリス[(4-トリフルオロメチル)フェニル]シラノールとした実施例19-1~19-4でも比較例15-1との比較により、本発明の化合物が保持された多孔質粒子でのピーク温度の低温化が実現している。また、トリフェニルシラノールを配合した実施例18-3~18-6に対してもピーク温度の低温化が実現しており、トリフェニルシラノールのフェニル基に電子求引性基を付与することにより、より硬化性向上を可能としていることがわかる。
更に、25℃で1日間保管での反応率は本発明と比較例でほとんど差はなく、本発明の多孔質粒子は保存性を損なわずに硬化性を上げられているといえる。即ち、本発明のカチオン硬化剤は、潜在性を損なわずに硬化性が向上していることがわかった。本効果はカチオン硬化配合物中の上記一般式(2)の化合物をトリフェニルシラノールからトリス[(4-トリフルオロメチル)フェニル]シラノールに替えても変化しないこともわかる。
本発明のカチオン硬化剤は、カチオン硬化性組成物の潜在性硬化剤として好適に用いることができる。
本発明のカチオン硬化性組成物は、潜在硬化性のカチオン硬化性組成物として好適に用いることができる。

Claims (11)

  1. 多孔質粒子と、
    前記多孔質粒子に保持された下記一般式(1)で表される化合物と、を有することを特徴とするカチオン硬化剤。
    Figure 0007520609000058
    ただし、前記一般式(1)中、Rは炭素数1~18の分岐していてもよいアルキル基、又はフェニル基であり、これらは更に置換基により置換されていてもよい。
    は水素原子、炭素数1~4の分岐していてもよいアルキル基、ハロゲノアルキル基、アルコキシ基、又はフェノキシ基であり、前記アルキル基、ハロゲノアルキル基、アルコキシ基、及びフェノキシ基は更に置換基により置換されていてもよい。なお、RとRは、それぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。
  2. 多孔質粒子と、
    前記多孔質粒子に保持された下記一般式(1)で表される化合物と下記一般式(2)で表される化合物との混合物と、を有することを特徴とするカチオン硬化剤。
    Figure 0007520609000059
    ただし、前記一般式(1)中、Rは炭素数1~18の分岐していてもよいアルキル基、又はフェニル基であり、これらは更に置換基により置換されていてもよい。
    は水素原子、炭素数1~4の分岐していてもよいアルキル基、ハロゲノアルキル基、アルコキシ基、又はフェノキシ基であり、前記アルキル基、ハロゲノアルキル基、アルコキシ基、及びフェノキシ基は更に置換基により置換されていてもよい。なお、RとRは、それぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。
    Figure 0007520609000060
    ただし、前記一般式(2)中、Zは水素原子、又は電子吸引性基を表す。aは0~5の整数である。
  3. 前記多孔質粒子は、有機多孔質粒子及び無機多孔質粒子のいずれかである請求項1から2のいずれかに記載のカチオン硬化剤。
  4. 前記有機多孔質粒子が、ポリウレア樹脂で構成される請求項3に記載のカチオン硬化剤。
  5. 前記有機多孔質粒子が、更にビニル樹脂を構成成分として有する請求項4に記載のカチオン硬化剤。
  6. 前記多孔質粒子の表面が、シラン処理剤の反応生成物を有する請求項1から5のいずれかに記載のカチオン硬化剤。
  7. 下記一般式(1)で表される化合物と多孔質粒子を有機溶媒中で共存させ、その後、脱溶媒することにより前記一般式(1)で表される化合物を前記多孔質粒子に保持させることを特徴とするカチオン硬化剤の製造方法。
    Figure 0007520609000061
    ただし、前記一般式(1)中、Rは炭素数1~18の分岐していてもよいアルキル基、又はフェニル基であり、これらは更に置換基により置換されていてもよい。
    は水素原子、炭素数1~4の分岐していてもよいアルキル基、ハロゲノアルキル基、アルコキシ基、又はフェノキシ基であり、前記アルキル基、ハロゲノアルキル基、アルコキシ基、及びフェノキシ基は更に置換基により置換されていてもよい。なお、RとRは、それぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。
  8. 下記一般式(1)で表される化合物と下記一般式(2)で表される化合物と多孔質粒子とを有機溶媒中で共存させ、その後、脱溶媒することにより前記一般式(1)で表される化合物と前記一般式(2)で表される化合物を前記多孔質粒子に保持させることを特徴とするカチオン硬化剤の製造方法。
    Figure 0007520609000062
    ただし、前記一般式(1)中、Rは炭素数1~18の分岐していてもよいアルキル基、又はフェニル基であり、これらは更に置換基により置換されていてもよい。
    は水素原子、炭素数1~4の分岐していてもよいアルキル基、ハロゲノアルキル基、アルコキシ基、又はフェノキシ基であり、前記アルキル基、ハロゲノアルキル基、アルコキシ基、及びフェノキシ基は更に置換基により置換されていてもよい。
    なお、RとRは、それぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。
    Figure 0007520609000063
    ただし、前記一般式(2)中、Zは水素原子、又は電子吸引性基を表す。aは0~5の整数である。
  9. カチオン硬化成分と、請求項1から6のいずれかに記載のカチオン硬化剤とを含有することを特徴とするカチオン硬化性組成物。
  10. 更に有機シラン化合物を含有する請求項9に記載のカチオン硬化性組成物。
  11. 前記有機シラン化合物が、下記一般式(2)で表される化合物である請求項10に記載のカチオン硬化性組成物。
    Figure 0007520609000064
    ただし、前記一般式(2)中、Zは水素原子、又は電子吸引性基を表す。aは0~5の整数である。
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