以下、本実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態における画像検査システム1の全体構成を概略的に示す図である。図2は、本実施の形態における画像検査システム1を構成する各装置間での信号の流れ等を説明するための制御系の主要部である。
図1および図2に示す画像検査システム1は、画像形成装置20によって用紙Sに画像を形成(出力)した後、当該用紙S上の画像を読み取り、当該読取画像を基準画像と比較して、用紙Sに印刷された画像の良否(画像不良の発生の有無)を検査するシステムである。
図1に示すように、画像検査システム1は、入力画像データに基づく画像を用紙Sに形成する画像形成装置20、画像形成装置20に用紙Sを給紙する給紙装置10、画像形成装置20から排紙された用紙Sの画像を読み取る画像読取装置30、複数の排紙トレイ(42,43)を有する後処理装置40を備える。
画像検査システム1では、用紙Sの搬送方向の上流側から、給紙装置10、画像形成装置20、画像読取装置30、および後処理装置40が順に物理的に接続される(装置本体同士が連結される)ことにより、用紙Sの搬送経路Pがこれら複数の装置間に連なって構成される。この搬送経路Pは、後処理装置40の仕分け部41によって、下方の排紙トレイ42に連なる経路P1と、上方の排紙トレイ43に連なる経路P2と、に分岐される。
簡明のため、図1では、画像形成装置20内の搬送経路Pを1本の線で示しているが、実際の画像形成装置20では、両面印刷のための両面搬送路が設けられている。また、簡明のため、図1では、後処理装置40内で分岐される経路をP1およびP2の2本としたが、排紙トレイの数などに応じて、より多くの分岐経路を設けることができる。
給紙装置10は、種々のサイズや紙種の用紙Sを収容することができる。給紙装置10は、収容(積載)された用紙Sを1枚ずつ給紙するための給紙ローラー、給紙ローラーを駆動するモーターなどを有する。
画像形成装置20は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式の画像形成部21を有する。この例では、画像形成部21は、図示しない感光体ドラム上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルト(図示せず)に一次転写し、中間転写ベルト上で4色のトナー像を重ね合わせた後、用紙Sに二次転写することにより、トナー像を形成する。また、用紙Sの搬送方向における画像形成部21の下流側には、トナー像が二次転写され、搬送されてきた用紙Sを加熱および加圧して、用紙Sにトナー像を定着させる定着部22が配置されている。これら画像形成部21および定着部22は、公知の構成であるため、詳細な説明を省略する。また画像形成装置20における画像形成の方式は、上記の方式に限られるものではなく、他の種々の方式が適用可能である。
画像形成装置20の装置本体には操作表示部25が備えられる。この操作表示部25は、例えばタッチパネル付きの液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部26及び操作部27として機能する。表示部26は、後述する制御部200から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部27は、テンキー、スタートキー等の各種操作キー(いわゆるハードウエアスイッチ)を備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部200に出力する。また、表示部26は、後述する各種画面において、カーソル(ポインタ)等で選択可能な種々のアイコン(いわゆるソフトウエアスイッチ)を表示し、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部200に出力する。
画像形成装置20は、図2に示すように、この画像形成装置20全体の制御を司る制御部200を備える。制御部200は、CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203等を備え、上述した画像形成部21、定着部22、および操作表示部25の他、画像形成装置20に備えられる各部の動作を制御する。すなわち、制御部200のCPU201は、ROM202から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM203に展開し、展開したプログラムと協働して、画像形成部21、定着部22、操作表示部25および画像形成装置20内の他のブロックの動作を集中制御する。
本実施の形態において、画像形成装置20の操作表示部25は、後述する画像検査装置50の指示に基づき、画像検査に先立って所定の情報をユーザーに選択可能に提示する「提示部」としての機能を担う。
画像形成装置20に備えられる他のブロックとしては、入力画像データに対して階調補正などの種々の補正を行う画像処理部、用紙Sを搬送する複数の搬送ローラーを駆動する用紙搬送部、通信ネットワーク等を通じてサーバー等の外部装置と通信する通信部などが挙げられる。また、画像形成装置20は、原稿画像を用紙Sに複写するコピー機としての構成、すなわち、ADF(Auto Document Feeder)などの自動原稿給紙装置および原稿画像走査装置(スキャナー)等を備える構成としてもよい。上述したこれらのブロックは、公知の構成であるため、図示および説明を省略する。
画像読取装置30は、図1および図2に示すように、画像形成装置20から排紙された用紙Sの画像(トナー像)を光学的に読み取る出力画像読取部31を有する。具体的には、出力画像読取部31は、用紙Sを光学的に走査(スキャニング)し、用紙Sからの反射光を図示しないCCD(Charge Coupled Device)センサーの受光面上に結像させて、用紙Sの両面の画像を読み取り、読取結果に基づいて読取画像データを生成する。出力画像読取部31によって生成された読取画像データは、後述する画像検査装置50に入力される。
後処理装置40は、図1および図2に示すように、画像読取装置30によって画像を読み取られた用紙Sを搬送する搬送ローラー、かかる用紙Sを排出する複数の排紙トレイ42,43、および、用紙Sの排出先(搬送ルート)を切り替える仕分け部41を備える。簡明のため、図2では、2つの排紙トレイ42,43を備えた構成を例示するが、排紙トレイの数は任意であり、より多くの排紙トレイを設けてもよい。仕分け部41は、用紙Sの排出先(搬送ルート)を経路P1と経路P2のいずれかに切り替える切り替えゲート、切り替えゲートを駆動するソレノイド等の駆動源、画像形成装置20および画像検査装置50とデータの送受信を行うためのインターフェースなどを備える。
加えて、後処理装置40は、用紙Sを裁断するカッター、用紙Sのステープルとじを行うステイプラー、用紙Sの折りを行う紙折り機構、など、用途に応じた種々の付加的な機能を備えることができる。これらの付加的な機能は公知の構成であるため、図示および説明を省略する。
図2に示すように、画像検査システム1は、画像読取装置30によって生成された読取画像データに基づいて、当該用紙Sに形成(出力)された出力画像の品質の良否(画像不良の有無)を検査する画像検査装置50を備える。この画像検査装置50は、CPUなどのハードウェアプロセッサやROM、後述するデータ格納部51などを備え、ROMに格納されたプログラムをCPUが読み出して実行することにより、出力画像の品質の良否(画像不良の有無)を検査するジョブ(以下、「検品ジョブ」という)を実行する。
本実施の形態では、画像検査装置50は、画像読取装置30によって生成された読取画像に基づいて、画像検査を行う際の比較対象となる基準画像(正解画像と呼ばれることもある)を生成し登録する機能を備える。
また、画像検査装置50は、登録された基準画像に対し、検査関連領域(画像検査の対象となる検査対象領域、または、画像検査の対象外となる検査除外領域)を設定する機能を有する。
さらに、画像検査装置50は、画像読取装置30によって生成された読取画像と基準画像とを比較して画像不良の有無の検査を行う「画像検査部」としての機能を担う。なお、画像検査装置50のこれら各機能の詳細については後述する。
画像検査装置50は、例えば、画像読取装置30や後処理装置40、さらには画像形成装置20等の筐体内に物理的に組み込まれることができ、または、これら装置とは物理的に独立した装置として構成することもできる。図2に示す例では、画像検査装置50は、後者すなわち物理的に独立した装置であり、画像形成装置20の後述する制御部200等に電気的に接続された構成となっている。
また、画像検査システム1は、図2に示すように、入力画像データおよび印刷条件(印刷物の頁数、印刷の方法(例えば両面印刷/片面印刷の別)や印刷部数などの種々のユーザー設定値)のデータ(以下、リファレンスデータという)を出力するPC60を備える。
図2に示す例では、PC60は、かかるリファレンスデータを画像形成装置20(制御部200)と画像検査装置50の両方に供給するようになっている。他の例として、PC60から送信されたリファレンスデータを2分岐して制御部200と画像検査装置50とに送信する中継装置を設けてもよい。
さらに、図2に示すように、画像検査システム1は、上述したリファレンスデータなどの各種データを格納するためのデータ格納部51,52を備える。
このうち、データ格納部51は、画像検査装置50の一部であり、リファレンスデータを一時的に格納するために用いられる。また、データ格納部51は、画像検査装置50によって解析された画像不良に関する種々のデータが格納される。
さらに、データ格納部51は、画像検査に関する種々の設定内容を、検査プロファイルのデータとして保存および蓄積する。ここで、検査プロファイルには、検査対象となる画像が印刷される印刷ジョブの内容、例えば、印刷に使用される用紙Sのサイズ、印刷枚数および部数、両面印刷か否かの別、などの印刷条件を示す情報が含まれる。なお、検査プロファイルの他の内容については後述する。
一方、データ格納部52は、画像形成装置20の本体(筐体)内に設けられ、図示しないインターフェースを介して、制御部200および画像検査装置50のCPUに接続されている。これらデータ格納部51,52は、HDDや半導体のメモリなど、各種のデータ記憶媒体を使用することができる。
一具体例では、まず、画像形成装置20は、上述した印刷条件を示す情報を含む印刷ジョブの設定情報を、データ格納部52内に格納する。その後、品質検査装置50は、検査プロファイルの作成時に、かかる印刷条件を示す情報を、データ格納部52から読み出して当該検査プロファイルの一部としてデータ格納部51内に格納する。
次に、図3のフローチャートを参照して、画像検査装置50が実行する検品ジョブの処理の概略について説明する。ここでは、複数ページ(例えば用紙4枚)で一部数となる印刷物を複数の部数(例えば100部数)印刷し、印刷された複数部数の印刷物の画像の良否を検査する場合で、この印刷物(用紙4枚分)の基準画像のデータを新規作成するケースを前提とする。
ステップS10において、画像検査装置50(図2に示す画像検査装置50のCPU、以下同じ。)は、上述したリファレンスデータの頁数を参照し、画像形成装置20により印刷され画像読取装置30により読み取られた一部数分(ここでは用紙4枚分)の読取画像データを、基準画像のデータとして登録(新規作成)する。かかる基準画像を登録する処理は、「リファレンスジョブ」と呼ばれる。
より具体的には、ステップS10において、画像検査装置50は、画像読取装置30によって読み取られ、生成された一部数分(用紙4枚分)の画像(読取画像データ)を、基準画像の候補としてRAM等に一時保存する。
このとき、実際の印刷物(4枚分)の画像がユーザーによって視認され、問題がない場合、表示部26に表示された図示しない基準画像登録画面での操作入力を通じて、一時保存されたデータが、正式な基準画像のデータとして、データ格納部51に格納(登録)される。かくして、リファレンスジョブが完了する。
本実施の形態では、かかるリファレンスジョブにおいて、登録された各々の基準画像に対して、上述した検査関連領域(検査対象領域または検査除外領域)の設定を行うことができ、かかる設定手順等の詳細については後述する。
かくして、正式な基準画像のデータが登録された後、画像形成装置20によって、印刷物の第二部目からの印刷ジョブが開始される。
以下は簡明のため、基準画像のデータを新規作成するための印刷を「プルーフ印刷」と称し、検品ジョブの対象となる印刷を「本印刷」と称する。なお、実際の印刷物(4枚分)の画像に問題がある場合、ユーザーにより基準画像として問題がないと判断されるまで、上述したリファレンスジョブの処理が繰り返されることになる。
ステップS20において、画像検査装置50は、画像形成装置20により本印刷が開始され画像読取装置30の出力画像読取部31によって生成された第二部目(この例では5枚目)からの読取画像データを取得する。この例では、画像検査装置50は、生成された読取画像データを画像読取装置30から直接受信する(図2を参照)。
ステップS30において、画像検査装置50は、ステップS20で取得された読取画像データを、ステップS10で登録された、対応するページの基準画像のデータと比較することによって、基準画像と読取画像の同一性を検査する。
続いて、画像検査装置50は、ステップS30の検査結果に基づいて、読取画像データに画像不良があるか否かを判定する(ステップS40)。かかる判定の処理は、基準画像と読取画像の一致度(画像不良の種類)に関する項目および合否の基準値(閾値)等によって異なるものとなる。なお、ステップS40の判定の処理は、公知の手法と同様であるため、詳述を省略する。
ここで、画像検査装置50は、読取画像データに画像不良がないと判定した場合(ステップS40、NO)、かかる印刷物の画像品質が合格であると判断する。この場合、画像検査装置50は、この読取画像データに対応する用紙Sを、予め設定された第1トレイ(例えば図1の排紙トレイ42)に排出するように、後処理装置40に通知する。
そして、画像検査装置50は、当該検品に関する印刷ジョブが完了するまでステップS20~ステップS40の処理を繰り返し、かかる印刷ジョブが完了すると、適宜、検査結果をデータ格納部51に保存して(ステップS60)、検品ジョブ処理を終了する。この場合、画像検査装置50は、例えば「全ての印刷ページで画像品質が合格した」旨を画像形成装置20の制御部200に通知する。
一方、画像検査装置50は、読取画像データに画像不良があると判定した場合(ステップS40、YES)、ステップS50に移行する。
ステップS50において、画像検査装置50は、例えば「50枚目の印刷ページで画像不良が発生した」等のメッセージを画像形成装置20の制御部200に送信する。このとき、画像検査装置50は、当該画像不良の種類、用紙S内における画像不良の位置などを併せて画像形成装置20の制御部200に送信する。また、画像検査装置50は、当該画像不良がある読取画像データに対応する用紙Sを、予め設定された第2トレイ(例えば図1の排紙トレイ43)に排出するように、後処理装置40に通知する。
画像検査装置50から画像不良の有無についての通知を受けた後処理装置40は、対象となる用紙Sを該当する排紙トレイ(42または43)に排出するように、仕分け部41(図1および図2を参照)の切り替えゲートを駆動する。
画像検査装置50は、検品ジョブが完遂されるまで、上述したステップS20~ステップS50の処理を繰り返し行い、検品ジョブが完了(すなわち最後の印刷頁まで完遂)された場合、検査結果をデータ格納部51に保存して(ステップS60)、検品ジョブを終了する。
ところで、最近の画像検査システムでは、ユーザーの利便性を図るべく、上述した検査関連領域(検査除外領域または検査対象領域)をページ毎に設定して、検査対象となる用紙上の画像や領域を特定または除外させる機能が提案ないし実装されている。
以下、図4および図5を参照して、画像検査システムにおいて、検査対象領域または検査除外領域を指定(設定)する機能について説明する。
ここで、図4は、検査関連領域、すなわち画像検査の対象となる検査対象領域(以下、単に「検査領域」という)および画像検査の除外対象となる検査除外領域を設定する処理の流れを示すフローチャートである。
なお、図4中のステップS200~ステップS220の処理は、図3のフローチャートにおける基準画像のデータの登録(ステップS10)の後、かつ、本印刷実行(ステップS20)の前の時期に行うことができる。
基準画像のデータの登録(図3のステップS10参照)が完了した後の図4のステップS200において、画像検査装置50は、例えば図5に示すような検査領域または検査除外領域を指定し設定するための画面(以下、単に「検査領域設定画面」と称する)を表示部26に表示するように、画像形成装置20に指示を送る。
図5は、表示部26に表示された検査領域設定画面の一例を示す図であり、かかる画面の詳細については後述する。
図4の説明に戻ると、画像検査装置50は、検査領域設定画面を通じてユーザーにより選択および入力された検査関連領域(検査領域または検査除外領域)の設定内容を、「領域設定情報」としてデータ格納部51等に一時的に保存する(ステップS210)。
この後、画像検査装置50は、例えば「スタートキーを押すことにより、本印刷および検品ジョブが開始される」旨のメッセージを表示部26で表示するように画像形成装置20に指示を送信する。
かくして、操作部27のスタートキー(図示せず)が押されると、画像形成装置20により本印刷の実行が開始され、本印刷の用紙Sの画像が画像読取装置30によって読み取られ、当該読取画像データが画像検査装置50で取得される(ステップS220)。
そして、読取画像データを受信した画像検査装置50は、ステップS230において、ステップS210で保存された領域設定情報の設定内容に従って、各々のページの検査領域(例えば検査除外領域以外の領域)について、画像検査を実行する。
このとき、例えば用紙Sの端部側が検査除外領域として設定されていた場合、かかる端部側が画像検査の対象から除外されることにより、用紙Sの端部側のヨレ等に起因した画像検査の誤検知の発生を抑制することができる。
また、用紙Sに印刷されるページ番号やヘッダーなどの部分が検査除外領域として設定されていた場合、これらの部分が画像検査の対象から除外されることにより、用紙S上のより重要な画像部分を重点的に検査することができる。
次に、上述したステップS200において表示部26に表示される検査領域設定画面について詳しく説明する。
図5に示すように、検査領域設定画面内の左側には、画像検査対象となる印刷物(この例では用紙4枚分)の基準画像のうちの一つが表示され、図示の例では、最初の1頁目の基準画像(符号RIで示す)が表示されている。かかる基準画像RIの表示は、検査領域設定画面内の左下の「<」および「>」で示すスクロールボタンをユーザーが選択することにより、他の頁(この例では2~4頁目)の基準画像の表示に変更できるようになっている。
一方、検査領域設定画面内の右側には、表示中の基準画像RIに対する「領域種別選択」、「対象面選択」、「領域設定」、「端部除外設定」などの種々の内容(設定項目)が、ユーザーの入力操作によって指定できるように表示されている。
図5に示す基準画像RIの例では、用紙Sの上中央および下中央にページ番号(図示例では「1」)が印刷され、用紙Sの縁部の近傍には、同一形状のオブジェクト(絵模様)の画像が枠状に印刷(配列)されている。簡明のため、この例では検品ジョブで使用される基準画像RIを単純な形態としたが、後述の各図で示すように、登録される基準画像RIは、様々な画像が印刷され得る。
また、図5に示す基準画像RIの例では、上記の枠状の画像の外側の用紙Sの端部が、画像検査の対象から除外される検査除外領域(端部除外領域EDA)として指定されている(斜線のハッチングで示す)。かかる端部除外領域EDAを指定ないし設定するための操作等については後述する。
この実施の形態では、マウスのドラッグ操作やキー入力操作などを通じて、検査関連領域(検査領域または検査除外領域)を、基準画像RI内に容易に設定できるようになっている。
具体的には、図5に示すように、検査領域設定画面における基準画像RIの右側には、領域種別選択部310、対象面選択部320、領域設定部330、端部除外設定部340、設定完了ボタン351および設定取消ボタン352が表示される。
このうち、領域種別選択部310は、後述する領域設定部330で設定した領域(検査関連領域)を「検査除外領域」とするか「検査対象領域」とするかをプルダウンメニュー方式により選択(指定)するためのユーザーインターフェースである。
領域種別選択部310につき、図示の例では「検査除外領域」を指定しており、このため、画像検査の対象から除外する範囲ないし領域を、左側の基準画像RI内に個別的に設定するモードとなっている。これに対して、「領域種別選択」欄の下向き矢印をマウスでプルダウン選択すると、「検査対象領域」を設定する状態となり、画像検査の対象とする検査対象領域を、左側の基準画像RI内に個別的に設定するモードになる。
以下は、説明の複雑化を避けるため、領域種別選択部310で「検査除外領域」の選択を行った場合を前提として説明する。
図示のように、領域種別選択部310の下側には、「対象面選択」を見出しとする対象面選択部320、「領域設定」を見出しとする領域設定部330、および「端部除外設定」を見出しとする端部除外設定部340が順に表示されている。
このうち対象面選択部320は、基準画像RIの「表面」、「裏面」、「指定ページ」のいずれについて領域設定を行うかを選択(指定)するためのユーザーインターフェースである。ここで、「表面」および「裏面」は、両面印刷および用紙Sの両面に対する画像検査を行う場合を考慮したものであり、「表面」は、基準画像RIを構成する各頁のうちの奇数頁(すなわち1,3,5,・・・頁)に対応し、「裏面」は、同偶数頁(2,4,6・・・頁)に対応する。
これに関し、図5に示す例では「表面」が指定された状態、すなわち、印刷物の「表面(奇数ページ)」における画像検査の除外領域を個別的に設定するモードとなっている。
これに対して、「対象面選択」欄中の下向き矢印のアイコンをマウスでプルダウン表示して「裏面」を指定すると、図中左側の用紙Sの画像が裏面(例えば第2頁)の画像に切り替わるとともに、印刷物の「裏面」における画像検査の対象から除外する除外領域を個別的に設定するモードとなる。
さらに、同下向き矢印のアイコンをマウスでプルダウン表示して「指定ページ」を選択すると、画像検査に関する設定を行うページを一または複数指定(選択)するための不図示のページ選択画面が表示され、かかるページ選択画面で対象となるページを選択すると、図中左側の用紙Sの画像が対応頁(例えば第3頁)の画像に切り替わるとともに、印刷物の対応頁(第3頁)における検査除外領域を個別的に設定するモードとなる。
領域設定部330は、主として用紙の端部以外の領域に、画像検査領域またはその除外領域の枠を1つ以上設定(指定)するためのユーザーインターフェースである。ここでは、印刷物の「表面(奇数ページ)」に検査除外領域を指定する場合について説明する。
かかる領域設定部330では、画面左側の基準画像RI内に矩形枠を設定することで、当該矩形枠の範囲を検品ジョブにおける画像検査の除外領域として指定する。具体的には、図5中の「確定」ボタン331がマウス等でクリック(選択)された場合に一つ目の除外領域が確定し、新たに2つ目以降の除外領域を設定することができる。
なお、以下は簡明のため、種々のボタン(アイコンないしソフトウエアスイッチ)に対してユーザーが行うマウスクリック等の指定ないし選択の操作については、単に「選択」という。また、種々の入力欄に対して、数値やファイル名などを入力するキー入力等の操作については、単に「入力」という。
図5に示すように、領域設定部330では、設定する矩形枠のサイズすなわち「横幅」と「縦幅」の数値、および矩形枠の基準画像RI上の「横位置」および「縦位置」の数値を、ユーザーの入力操作によって指定できるようになっている。
また、領域設定部330は、設定する矩形枠のサイズおよび位置を、マウスのドラッグ操作によって設定でき、かかるドラッグ操作に応じて、上記の各数値が自動的に変更されるようになっている。
領域設定部330において、上記のような操作を経て基準画像RI内に複数の検査除外領域が設定された状態において、「削除」ボタン332が選択された場合、最新の領域設定が表示画面(左側の基準画像RI内の表示)から削除される。
さらに、領域設定部330では、矩形枠を設定するためのドラッグ操作が正確に行い辛いケースがあることを考慮して、「全域指定」ボタン333が選択可能に表示される。この例では、「全域指定」ボタン333が選択された場合、基準画像RIの全域が矩形枠として表示される。この状態からドラッグ操作やカーソルによる矩形枠の移動操作を行うことにより、ユーザーが所望するサイズの検査除外領域を所望の位置に設定することが容易になる。
端部除外設定部340は、上述した領域種別選択部310の選択(指定)状態に関わらず、用紙の端部の領域を画像検査の除外領域として設定するためのユーザーインターフェースである。これは、用紙Sの端部(4辺の縁)には画像欠けや転写不良が、紙種によってヨレが発生しやすく、画像検査時に誤検知が発生しやすいことから、かかる端部を予め画像検査の対象外として設定しておいた方が良い場合があることを考慮したものである。
この例では、端部除外設定部340は、搬送方向における用紙Sの先端側(図5中の上側)の「先端設定」、同じく後端側(図5中の下側)の「後端設定」、用紙Sの幅方向(図5中の左右側)における「左脇設定」、「右脇設定」の各入力欄に数値が入力されることで、用紙端部の除外領域が指定される。
図示の例では、先端設定および後端設定が各々「5」mm、左脇設定および右脇設定が各々「4」mmの数値が入力されており、かかる数値に対応する枠状の端部検査除外領域EDA(斜線のハッチングで示す、以下同じ)が、画面内の基準画像RIに表示されている。
かくして、上述した種々の選択および入力がなされた後、画面中の右下の「設定完了」ボタン351が選択された場合、図5の検査領域設定画面で選択および入力された全ての内容が確定され、確定された内容が一時記憶される(図4のステップS210参照)。一方、「設定取消」ボタン352が選択された場合、所定の警告表示がなされた後に、図5中の設定内容が全てキャンセルされ、デフォルトの表示に戻る。
なお、図5中の検査領域設定画面を通じた設定内容の表示および記憶等の処理は、制御部200と画像検査装置50との協働動作により行うことができ、後述する他の表示画面を通じての表示および記憶等の処理も同様である。
かくして、この画像検査システム1では、領域設定部330における検査関連領域(検査領域または検査除外領域)の設定を、数値入力以外にもマウスによる直感的な操作を用いることができ、さらに全域指定ボタン333の選択をも併用して行うことができる。したがって、検査除外領域の設定について、よりユーザービリティの高い操作性を実現することができる。
このように、近年の画像検査システムでは、ユーザービリティを考慮しつつ、検査関連領域(検査領域または検査除外領域)についてのきめ細やかな指定ないし設定を行うことができ、かかる設定内容に応じた画像検査を実行できるようになっている。
一方で、画像検査で使用される基準画像RIは、多くの場合、印刷物を構成する複数ページの一頁毎に作成され、かつ、ページ毎に異なる画像が印刷される。このため、現状の画像検査システムでは、用紙S内(この例では基準画像RI内)で検査関連領域(検査領域または検査除外領域)を指定ないし設定する作業(図4のステップS210でユーザーが行う作業)を、各々のページ毎に行う必要がある。
しかしながら、ユーザーが所望する検査関連領域(検査領域または検査除外領域)を設定する作業をページ毎に或いは1ページ内の画像毎に行っていたのでは、作業時間が肥大化してしまい、利便性が悪いという課題がある。
例えば、一旦は上述した基準画像RIを作成し、この基準画像RIに対して検査関連領域の設定(上記例では端部除外領域EDAの数値入力等)を行ったものの、再び基準画像RIの作成からやり直したくなるケースが発生し得る。
また、画像検査を行うにあたり、以前に設定した検査関連領域の情報を再度利用したいケースが種々の場合に発生し得る。例えば、以前に作成した基準画像RIと今回の基準画像RIとでは、単なる色違いであり画像の形状や配置等は同じであるため、以前に設定した部分と同じ部分に検査関連領域を設定すべく、以前に行った設定を再び使用したい等のケースが生じ得る。
しかしながら、従来の画像検査システムにおいて、検査関連領域の設定は、基準画像RI中の画像の形状や配置等に依存する性質がある等の観点から、画像検査のジョブ(検品ジョブ)の完了に伴って初期化(メモリから削除)されていた。
このため、従来のシステムでは、検品ジョブの設定時において、作成された基準画像毎に検査関連領域を設定する必要があった。したがって、上記のようなケースにおいて、ユーザーは、マウスやキーボードを操作して検査関連領域を再び初めからやり直す必要があり、利便性が悪かった。
上記のような実情に鑑みて、本実施の形態では、検品ジョブすなわち画像検査における検査関連領域(検査対象領域または検査除外領域)の領域設定情報をメモリに保存(蓄積)し、当該設定内容を、後の画像検査の設定時に利用(選択、編集等)できるようにし、選択または編集された設定内容に基づいた画像検査を行うようにした。
本実施の形態の一具体例では、画像検査装置50は、検査関連領域(検査対象領域または検査除外領域)が設定された領域設定情報を、画像検査のジョブ(検品ジョブ)が終了しても削除せず、データ格納部51にファイル化して保存、蓄積する。画像検査装置50は、かかる領域設定情報を、画像検査のジョブ(検品ジョブ)毎に作成し、検品ジョブ毎に、検査プロファイルの一部としてデータ格納部51に保存する。
言い換えると、本実施の形態の画像検査システム1では、領域設定情報を検品ジョブ毎に保存する「設定保存部」を設ける。本実施の形態では、画像検査装置50およびデータ格納部51は、本発明の「設定保存部」に対応する。
また、本実施の形態において、画像検査装置50は、上述した印刷条件を示す情報、領域設定情報の他、当該設定された検査関連領域(検査対象領域または検査除外領域)が付加(重畳表示)された基準画像RIのサムネイル画像を含めた検査プロファイルを作成し、作成した検査プロファイルに所定のファイル名を付けてデータ格納部51に保存する。かかるファイル名の付け方については後述する。
また、本実施の形態の画像検査システム1では、保存された領域設定情報(ファイル名ひいては設定内容)を、画像検査(新たな検品ジョブの実行)に先立って、ユーザーに対して選択可能に提示する「提示部」が備えられる。一具体例では、画像検査装置50および表示部26は、本発明の「提示部」に対応する。
さらに、本実施の形態では、ユーザーによって選択された領域設定情報における検査関連領域(検査対象領域または検査除外領域)を、画像検査装置50が実行しようとする画像検査(検品ジョブ)の検査関連領域として設定する「設定部」を設ける。本実施の形態では、画像検査装置50は、本発明の「設定部」に対応する。
このように、検査関連領域に関する過去の設定内容を再利用する構成を設けることにより、新たな検品ジョブの設定段階において、検査関連領域を設定するユーザーの作業負担(操作入力の工数)を、大幅に減らすことができる。
具体的には、上述のように、画像検査システム1では、一旦、基準画像ジョブを実行して検品ジョブにおける基準画像を作成し、この基準画像に対して検査領域等を設定したものの、再び基準画像の作成からやり直したくなるケースが発生し得る。
また、以前に設定した検査関連領域の情報を再度利用したいケース、例えば以前に作成した基準画像とは色だけが違う基準画像であり、以前に設定した部分と同じ部分に検査関連領域を設定したいため、以前に行った設定を再び使用したい等のケースが発生し得る。
本実施の形態によれば、上述のように、基準画像を作成し直すケース、または以前に行った検査関連領域の設定を再び使用したいケース等において、ユーザーの作業負担(操作入力の工数)を、大幅に減らすことができる。すなわち、ユーザーは、新たな検品ジョブにおいて検査関連領域を設定する際に、検査プロファイル(プロファイルデータ)の呼出操作をするだけでよい。
図6に、本実施の形態における特徴的な処理に関するフロー図を示す。
本実施の形態では、画像検査装置50は、リファレンスジョブ(図3のステップS10参照)において設定された検査関連領域(領域設定情報)を含む画像検査(検品ジョブ)の設定内容を、上述した検査プロファイルとしてデータ格納部51に保存(蓄積)する(ステップS500)。
一具体例では、検査関連領域の領域設定情報は、上述した従来の検査プロファイル(すなわち印刷に使用される用紙Sのサイズ、印刷される枚数および部数、両面印刷か否かの別、などが規定されたデータ)に追加されることにより、検査プロファイルの構成データの一部をなす。
さらに、後述する表示画面において、過去の検査プロファイルの概要をユーザーに提示するために、設定された検査関連領域(検査対象領域または検査除外領域)が付加(重畳表示)された基準画像RIのサムネイル画像が、検査プロファイルの構成データの一部をなす。
かくして、画像検査装置50は、本発明の「設定保存部」の機能を実行する。
なお、本実施の形態では、画像検査装置50は、検査プロファイルのデータファイルを、検品ジョブにおける画像検査の結果を格納するファイルとは別個のファイルとしてデータ格納部51に保存する。
このため、ステップS500における保存のタイミングは特に限定されず、画像検査装置50は、例えば、検品ジョブの実行開始から実行終了後までの間の任意のまたは予め定められたタイミングでステップS500の処理を実行することができる。
次に、新たな検品ジョブが設定される段階で、データ格納部51に保存(蓄積)されている過去の検査プロファイルを読み出して、選択(または編集)可能な形態でユーザーに提示する(ステップS600)。
このステップS600では、本システムを構成するいずれかの装置のプロセッサーおよび表示部に、過去に行われた画像検査の設定内容を規定した検査プロファイルをユーザーに選択および編集可能に提示する「提示部」としての機能を担わせる。本実施の形態では、画像検査装置50および画像形成装置20の操作表示部25は、本発明の「提示部」に対応する。
一具体例では、画像検査装置50は、画像形成装置20の制御部200と通信を行いながら、画像形成装置20の操作表示部25の表示部26に様々な画面を表示させ、かかる表示画面内の種々のアイコン(ソフトウエアボタン)等の選択操作に応じた処理を行う。
そして、画像検査装置50は、ユーザーによって選択(または編集)された設定内容を、当該新たな検品ジョブにおける画像検査の検査関連領域として設定する(ステップS700)。
かくして、画像検査装置50は、本発明の「設定部」の機能を実行する。
本実施の形態において、画像検査装置50は、上述した検査領域設定画面を表示部26に表示するとともに、図5に示すように、かかる検査領域設定画面中に「設定呼出」ボタン353、および「設定保存」ボタン354を、ユーザーが選択できるように各々表示する。
そして、画像検査装置50は、設定保存ボタン354が選択された場合、今回の画像検査用に設定した検査領域等の設定情報を、検査プロファイルの一部をなすデータとして、名称(ファイル名)を付けて、データ格納部51に保存する。
一具体例では、画像検査装置50は、当該検品ジョブで用いられる一組(この例では4ページ分)の基準画像に対して検査領域等が新規に設定された時刻(設定または保存の時刻)を含めた名称(プロファイル名称)を付けて、当該データファイルをデータ格納部51に保存する。
例えば、検査領域等の新規設定が2019年7月26日14時30分50秒に行われた場合、画像検査装置50は、当該データファイルに「ReferenceJob_20190726_143050」の名称を付けてデータ格納部51に保存する。
図7に、「ReferenceJob_20190726_143050」の名称が付けられたデータファイルがデータ格納部51に保存され、かつ、この検品ジョブ(画像検査)が実行された後の表示画面の一例を示す。図7中、カーソルが位置する枠を符号CSで示している。
図7中の「AnalysysJob_20190726_145940」等、AnalysysJobで始まるデータファイルは、上述した検品ジョブにおける画像検査(画像不良の有無の解析)の結果を示すファイルである。
このように、本実施の形態では、検査関連領域の設定情報が含まれるデータファイル(検査プロファイル)は、検品ジョブにおける画像検査の結果を示すデータファイルとは区別されて保存されるので、検査領域等の設定情報の読み出し時または更新時におけるプロセッサー等の負担を軽くすることができる。
また、上記のようなファイル名を付けて保存することにより、データ格納部51に格納されたファイルを一覧表示した際に、どの時期に何のジョブで作成したファイルであるかが、視覚的にも識別しやすくなる。
なお、これらのファイル名は、ユーザーの入力操作によって任意のファイル名に変更(編集)することもできる。
一方、画像検査装置50は、ユーザーにより図7に示す状態から「設定内容呼出」ボタン360が選択された場合、または、図5の検査領域設定画面中の「設定呼出」ボタン353が選択された場合、上述した「提示部」の機能を遂行する。
具体的には、画像検査装置50は、図8に示すような検査プロファイルのファイル名(ReferenceJobで始まるファイル名)の一覧を、表示部26に表示させる。なお、この後の処理の詳細については後述する。
補足すると、上述の「設定内容呼出」ボタン360および「設定呼出」ボタン353は、いずれも後述する図8に示すような検査プロファイルのファイル名のリストを呼び出すためのトリガーとなるボタンである。
但し、図7に示す表示画面において、AnalysysJobのファイル名にカーソルCSを位置させた状態で「設定内容呼出」ボタン360が選択されると、画像検査の結果を示す検査結果画面(図示せず)が表示される。したがって、以下は、図5に示す検査領域設定画面内の設定呼出ボタン353が選択されることを前提として説明する。
画像検査装置50は、設定呼出ボタン353が選択された場合、「提示部」の機能を遂行する。具体的には、画像検査装置50は、データ格納部51に保存(蓄積)されている検査プロファイルのファイル名を読み出し、図8に示すようなファイル名のリストを表示部26に表示する。以下は、説明の便宜のため、図8に示す表示画面を「リスト表示画面」という。
図8は、図5に示す検査領域設定画面の設定呼出ボタン353が選択された場合に表示部26に表示されるリスト表示画面の一例を示している。図7と図8とを比較すると、図8のリスト表示画面では、検査プロファイルのファイル名(ReferenceJobで始まるファイル名)だけが読み出されていることが分かる。
すなわち、図8に示すリスト表示画面は、過去に設定され設定保存ボタン354の選択を通じてデータ格納部51に保存(蓄積)されている、過去に設定された画像検査のプロファイルのファイル名を一覧表示したものである。この例では、2つのファイル名(言い換えると過去の検品ジョブの設定内容に紐付けられた識別子)が表示されている。
図9は、図8に示す2つのファイル名のうちの最上位の「1.ReferenceJob_20190726_143050」のファイル名にカーソルが位置した状態で「設定内容呼出」ボタン365が選択された場合に、画像検査装置50の制御の下、「1.ReferenceJob_20190726_143050」の設定内容を表示部26に表示した場合を示している。
このとき、画像検査装置50は、「1.ReferenceJob_20190726_143050」に規定された設定情報(基準画像のページ数、各ページにおける用紙Sのサイズ、各々のページ(基準画像)に設定された検査関連領域(この例では検査除外領域)の座標位置、など)を図示しないRAM等の作業領域に読み出すとともに、かかる基準画像に関する画像を表示部26の右側に表示させる。
以下、図9に示す表示画面を「呼出設定画面」と称する。
ここで、図9に示す呼出設定画面内の右側の「適用元」欄には、「1.ReferenceJob_20190726_143050」すなわち過去の検品ジョブにおける画像検査の対象として、4頁分の印刷物の基準画像(各々、符号「RI1」で示す)および各頁に設定された検査除外領域(図中、符号「DA1」または「EDA1」で示す)が視認できるように、そのサムネイル画像が上下に並べて表示されている。
ここで、「適用元」欄中の各基準画像RI1の左下側には、当該基準画像のページ数(「1P」~「4P」)が表示され、各基準画像RI1の右下側には、当該基準画像RI1の用紙Sのサイズ(この例ではいずれも「A4」)が表示される。
なお、仮に、基準画像RI1のページ数が5ページ以上である場合には、呼出設定画面内の右下の「<」および「>」で示すスクロールボタンをユーザーが選択することにより、第5ページ以降の基準画像RI1をスクロール表示できるようになっている。
呼出設定画面における上記スクロールボタンの下には、かかる呼出設定画面内での編集中の内容を確定させるための「設定完了」ボタン397、および編集中の内容をキャンセルするための「設定取消」ボタン398が表示されている。
また、基準画像RI1中に符号DA1で示された検査除外領域は、図5の領域設定部330を通じて設定された用紙Sの端部以外に関する検査除外領域であり、以下は「検査除外領域」と呼ぶ。一方、基準画像RI1中に符号EDA1で示された検査除外領域は、図5の端部除外設定部340を通じて設定された用紙Sの端部に関する検査除外領域であり、区別のため、以下は「端部検査除外領域」と呼ぶ。
具体的には、「適用元」における第1頁(1P)目は、基準画像RI1(用紙S)中の数字(上下2つの頁数「1」の部分)が検査除外領域DA1に設定され、第2頁(2P)目は用紙Sの左端の領域(余白領域)が検査除外領域DA1に設定されていることが分かる。
また、「適用元」における第3頁(3P)目は用紙Sの左端および下端の余白領域が各々検査除外領域DA1に設定され、第4頁(4P)目は用紙S中の下方の数字(下側の頁数「4」の部分)が検査除外領域DA1に設定されていることが分かる。
さらに、「適用元」における全ての頁(1~4P)において、共通の端部検査除外領域EDA1が設定されていることが分かる。
図9に示す例では、デフォルト表示として、4つの頁のうちの第1頁(1P)目にカーソルCS(図中、点線で示す)が位置している。このカーソルCSは、ユーザーによるマウス等の操作によって、第2頁(2P)以下に移動させることができる。
さらに、図9に示す呼出設定画面内における左側には、デフォルト表示として、今回新たに行われる検品ジョブ(画像検査)で使用される基準画像の第1頁目(1ページ)が「適用先」として表示されている。ここでは「適用元」の画像と区別するため、「適用先」の基準画像には符号RI2を、検査除外領域には符号DA2を、端部検査除外領域には符号EDA2を付している。
図示の例では、今回の検品ジョブ(画像検査)で使用される用紙Sは、「1.ReferenceJob_20190726_143050」(以下、「過去の検品ジョブ」または「適用元」)という)で使用された用紙Sと同じA4サイズである。
そして、上述したカーソルCSの初期位置との関係で、今回の検品ジョブの1ページの基準画像RI2には、過去の検品ジョブの第1頁(1P)に設定された検査除外領域DA1および端部検査除外領域EDA1に対応する検査除外領域DA2および端部検査除外領域EDA2が、用紙S上の同じ座標位置に表示されている。
さらに、図9に示す状態からカーソルCSを、適用元の他の頁を指定するように移動させる(下げる)と、適用先の基準画像RI2に表示(付加)される検査除外領域DA2の表示も変わるが、端部検査除外領域EDA2の表示は変わらない。
さらにまた、適用元の基準画像RI1および適用先の基準画像RI2の間すなわち図9に示す画面中央における上下方向には「全ページ設定適用」ボタン370、指定ページ設定適用部380、選択ページ設定適用部390が表示されている。
以下、これらのボタン等がユーザーによって選択された場合の動作等について、使用目的等毎に分けて説明する。
(データ格納部51に保存されている検査除外領域の設定をそのまま再使用する場合)
まず、最も単純な例として、過去の検品ジョブ(画像検査)で設定された検査除外領域(DA1、EDA1)の設定内容を、今回の検品ジョブ(画像検査)で編集せずにそのまま(DA2、EDA2として)再使用する場合について説明する。
図9に示す呼出設定画面中の「全ページ設定適用」ボタン370は、画面右側に表示されている過去の検品ジョブでの設定内容(ページ数が多いためスクロール等の操作で表示可能な設定内容も含む。以下同じ)を、今回の検品ジョブにおける全てのページに適用する場合に選択されるボタンである。
この全ページ設定適用ボタン370は、今回の検品ジョブにおける印刷物のプロファイル(用紙サイズ、ページ数、両面印刷するページ、ページ毎に印刷される画像、などの印刷条件)が、過去に行ったいずれかの検品ジョブにおける印刷物の構成と同一であるような場合に選択するとよい。
なお、図9に示す呼出設定画面の中央の最上段には、「全ページ設定適用」ボタン370を選択した場合の効果(すなわち「画面右側に読み出した適用元の全ページ分の検査関連領域を今回の基準画像の全ページに適用する」旨)がメッセージ表示されている。
また、同画面の次段には、指定ページ設定適用部380の適用ボタン382を選択した場合の効果(すなわち「画面右側に読み出した適用元の各ページのうちの指定されたページの検査関連領域を、今回の基準画像の同一指定ページに反映させる」旨)がメッセージ表示されている。
さらに、その下の段には、選択ページ設定適用部390内のいずれかのボタンを選択した場合の効果(すなわち「画面右側に読み出した適用元の各ページのうち選択された1ページの検査関連領域を、今回の基準画像の適用先(後述する(1)~(5)のいずれかの適用先)に反映させる」旨)がメッセージ表示されている。
以下、図9に示す呼出設定画面から、ユーザーにより目的に応じて各ボタンが選択された場合の動作等について説明する。
(全ページ適用の場合)
画像検査装置50は、図9に示す状態から全ページ設定適用ボタン370が選択された場合、図6で上述したステップS700として、以下の処理を行う。
画像検査装置50は、過去の検品ジョブ(以下、「呼出プロファイル」という)における1ページ目の検査領域設定の内容を、今回の検品ジョブの1ページ目の検査領域設定の内容として設定し、以下、同様の設定処理を最終ページ(この例では4頁)まで繰り返し行った後に、処理を終了する。
図10(図10Aおよび図10B)に、呼出プロファイルの1~4頁の基準画像RI1と、今回の検品ジョブにおける1~4頁の基準画像RI2とを対比して示す。ここでは、上段すなわち図10Aが呼出プロファイルの基準画像RI1を、下段すなわち図10Bが今回の検品ジョブにおける基準画像RI2を各々示しており、後述する他の図も同様である。
図10Aおよび図10Bを比較して分かるように、全ページ設定適用ボタン370が選択された場合、プロファイルの基準画像(用紙S)上に設定された検査除外領域DA1および端部検査除外領域EDA1の位置およびサイズは、今回の検品ジョブの対応するページにそのまま適用される(符号DA2およびEDA2の領域を参照)。
かくして、ユーザーは、例えば図5の検査領域設定画面から設定呼出ボタン353を選択して図8のプロファイル名のリストを表示させ、かかるリストから今回の検品ジョブに使用できるプロファイルにカーソルを合わせて設定内容呼出ボタン365を選択することにより、図9の呼出設定画面を表示部26に表示させることができる。
そして、ユーザーは、図9の呼出設定画面中の全ページ設定適用ボタン370を選択する、という極めて少ない操作入力作業により、以前の検品ジョブで設定された画像検査領域(検査関連領域、この例では検査除外領域)に関する設定内容を、今回の検品ジョブでそのまま使用することができる。
したがって、本実施の形態によれば、画像検査の設定時における利便性が大幅に向上する。
なお、画像検査装置50は、図9の呼出設定画面中の全ページ設定適用ボタン370が選択された場合、呼出プロファイルの総ページ数(この例では4頁)と今回の検品ジョブの総ページ数とが一致するか否かを判定し、一致する場合には上述した設定処理を行う(図10Aおよび図10Bを参照)。
一方、画像検査装置50は、呼出プロファイルの総ページ数(4頁)と今回の検品ジョブの総ページ数とが一致しないと判定した場合、ユーザーに注意を喚起すべく、例えば図11に示すような警告メッセージ等を表示部26に表示する。
図11に示す例では、今回の検品ジョブ(すなわち適用先)の基準画像RI2の最終頁が3頁までしか設定されておらず、「検品ジョブの4ページ目以降が存在しないため、呼出プロファイルの4ページ目の検査領域設定が適用されなかった」旨の警告メッセージが表示されている。
図12(図12Aおよび図12B)に、図11の警告メッセージが表示される事例、すなわち呼出プロファイルの1~4頁の基準画像RI1と、今回の検品ジョブで準画像RI2の第4ページが設定されていない状態と、を対比して示す。
図12Aおよび図12Bを比較して分かるように、全ページ設定適用ボタン370が選択された場合に、呼出プロファイルの各ページの基準画像RI1に対して今回の検品ジョブのいずれかのページ、この例では第4ページの基準画像RI2が設定されていないケースでは、呼出プロファイルの第4ページの検査関連領域の設定内容は、今回の検品ジョブの設定には反映されない。
このような注意喚起のメッセージが表示されることにより、ユーザーは、今回の検品ジョブの基準画像RI2が完全には設定されていない等のシステムの状態を、検品ジョブの実行前に確認することができるので、画像検査の設定時における利便性が向上する。
図示しないが、この逆の場合、すなわち全ページ設定適用ボタン370が選択された場合に、呼出プロファイルの基準画像RI1の総ページ数(4頁)に対して今回の検品ジョブで設定された基準画像RI2の総ページ数の方が多い事例(例えば5頁だった場合)も、図11と類似した警告メッセージ、例えば「検品ジョブの5頁目には検査関連領域が設定されていない」等の警告メッセージが表示される。
(呼出プロファイルにおける指定ページの検査除外領域の設定を、今回の検品ジョブの対応するページに適用する場合)
次に、過去の検品ジョブで設定された検査除外領域についての指定ページ(例えば一部のページ)の設定内容を、今回の検品ジョブの対応するページで使用(適用)する場合について説明する。
図9に示す呼出設定画面中の指定ページ設定適用部380は、画面右側に表示されている過去の検品ジョブ(適用元)の設定内容を、今回の検品ジョブにおける一部のページに適用する場合に選択されるユーザーインターフェースである。
指定ページ設定適用部380は、今回の検品ジョブで検査対象となる印刷物の構成(用紙サイズ、ページ数、両面印刷するページ、ページ毎に印刷される画像、など)が、過去に行ったいずれかの検品ジョブにおける印刷物の構成と一部一致するような場合に好適に使用され得る。
この指定ページ設定適用部380には、図9に示すように、ページ範囲を入力して指定する範囲指定欄381と、入力されたページ範囲を確定させるための「ページに適用」ボタン(以下、単に「適用ボタン」という)382が表示される。
画像検査装置50は、ユーザーにより適用ボタン382が選択された場合、図6で上述したステップS700として、以下の処理を行う。なお、この例では、範囲指定欄381に「1,4」すなわち1頁目と4頁目が指定された場合を前提とする。
画像検査装置50は、呼出プロファイルの指定ページ(1頁目および4頁目)の検査領域設定の内容を、各々、今回の検品ジョブの1頁目および4頁目の検査領域の内容として設定した後に、処理を終了する。
図13(図13Aおよび図13B)に、呼出プロファイルの基準画像の1~4頁の基準画像RI1と、今回の検品ジョブにおける1~4頁の基準画像RI2とを対比して示す。
図13Aおよび図13Bを比較して分かるように、指定ページ設定適用部380の適用ボタン382が選択された場合、呼出プロファイル基準画像RI1の第1頁目に設定された検査除外領域DA1および端部検査除外領域EDA1の位置およびサイズは、今回の検品ジョブの第1頁目にそのまま適用される(1ページ目の符号DA2およびEDA2の領域を参照)。
また、呼出プロファイル基準画像RI1の第4頁目に設定された検査除外領域DA1および端部検査除外領域EDA1の位置およびサイズは、今回の検品ジョブの第4頁目にそのまま適用される(4ページ目の符号DA2およびEDA2の領域を参照)。
一方、今回の検品ジョブ(適用先)の第2ページ目および第3ページ目は、呼出プロファイル(適用元)の基準画像RI1の各ページに共通に設定された端部検査除外領域EDA1だけが適用され、(第2、第3ページの符号EDA2の領域を参照)、検査除外領域DA1は適用されない。
かくして、画像検査装置50および表示部26(提示部)は、上述した指定ページ設定適用部380や選択ページ設定適用部390を通じて、呼出プロファイルの設定内容の一部(一つの検査プロファイルに含まれる検査関連領域の一部)を新たな検品ジョブにおける基準画像に適用し、他の一部を適用しないように、設定内容を編集可能に提示する。
また、本実施の形態における「設定部」の一機能としては、ユーザーによって選択された領域設定情報に含まれる少なくとも一頁分の用紙(適用元の基準画像RI2)における検査関連領域を、新たな検品ジョブ(画像検査装置50が実行しようとする画像検査)の検査関連領域として設定する。
かくして、ユーザーは、例えば図5の検査領域設定画面から上述と同様の操作により、図8のファイル名のリストさらには図9の呼出設定画面を表示部26に表示させる。そして、図9の呼出設定画面中の範囲指定欄381への指定頁の入力および適用ボタン382を選択する、という少ない操作入力作業により、以前の検品ジョブの指定頁で設定された画像検査領域(検査関連領域、この例では検査除外領域)の設定内容を、今回の検品ジョブの対応する頁でそのまま使用することができる。
したがって、本実施の形態によれば、画像検査の設定時における利便性が大幅に向上する。
なお、画像検査装置50は、図8の呼出設定画面中の適用ボタン382が選択された場合、範囲指定欄381の指定内容が正しいか否かを判定し、正しい場合には上述した設定処理を行う(図12Aおよび図12Bを参照)。
一方、画像検査装置50は、範囲指定欄381の指定内容が正しくない(すなわちエラーがある)と判定した場合、ユーザーに注意を喚起すべく、上述した図11と同様の表示態様の警告メッセージを表示部26に表示する。
ここで、範囲指定欄381の指定内容にエラーがある場合としては、例えば、上述と同様に今回の検品ジョブの印刷物が3頁までしかないような場合が挙げられ、さらには、呼出プロファイルに該当ページがない場合(例えば範囲指定欄381に「4,5」と入力したような場合)が挙げられる。
(呼出プロファイルにおける一頁分の設定内容を、今回の検品ジョブの所望のページに適用する場合)
次に、過去の検品ジョブで設定された検査除外領域の一頁分の設定内容を、今回の検品ジョブの所望のページで使用(適用)する場合について説明する。
図9に示す画面中の選択ページ設定適用部390は、画面右側にカーソルで選択されている呼出プロファイルの特定ページ(図示の例では第1ページ)の設定を、今回の検品ジョブの対象となる印刷物における、(1)表面(すなわち奇数ページ)、(2)裏面(すなわち偶数ページ)、(3)現在、画面左側に「適用先」として表示されているページ(この例では1ページ)、(4)指定された任意のページ、または(5)全てのページ、のいずれに適用するかを指定するためのユーザーインターフェースである。
このため、選択ページ設定適用部390は、図9に示すように、(1)「表面へ適用」ボタン391、(2)「裏面へ適用」ボタン392、(3)「表示ページへ適用」ボタン393、(4)ページ範囲の入力欄394および「ページに適用」ボタン395、(5)「全ページへ適用」ボタン396、が表示されている。以下、上記(1)から(5)の順に説明する。
(1)呼出プロファイルの第1ページの検査除外領域の設定を今回のジョブの各表面に適用する場合
一具体例として、図9に示す状態すなわち画面右側のカーソルCSが呼出プロファイルの第1ページ(1P)にある状態から「表面へ適用」ボタン391が選択された事例を説明する。この場合、画像検査装置50は、図6で上述したステップS700として、以下の処理を行う。
画像検査装置50は、呼出プロファイルの1ページ目の検査領域設定の内容(検査除外領域DA1および端部除外領域EDA1)を、今回の検品ジョブの第1頁の検査領域設定の内容(検査除外領域DA2および端部除外領域EDA2)として設定し、以下、同様の設定処理を、今回の検品ジョブの奇数ページにおける最終ページ(この例では3頁)まで繰り返し行った後に、処理を終了する。
図14(図14Aおよび図14B)に、呼出プロファイルの1~4頁の基準画像RI1と、今回の検品ジョブにおける1~4頁の基準画像RI2とを対比して示す。
図14Aおよび図14Bを比較して分かるように、「表面へ適用」ボタン391が選択された場合、呼出プロファイルの第1頁目に設定された2つの検査除外領域DA1の位置およびサイズは、今回の検品ジョブの各表面すなわち第1頁目および第3頁(奇数ページ)に適用される。
一方、今回の検品ジョブの第2ページ目および第4ページ目(偶数ページ)は、呼出プロファイル基準画像RI1の各ページに共通に設定された端部検査除外領域EDA1だけが適用され、(第2、第4ページの符号EDA2の領域を参照)、いずれの検査除外領域DA1も適用されない。
かくして、ユーザーは、図5の設定画面から上述と同様の操作により、図8のリストさらには図9の呼出設定画面を表示させる。そして、図9の呼出設定画面中のカーソルCSの初期位置のまま「表面へ適用」ボタン391を選択する、という極めて少ない操作入力作業により、以前の検品ジョブで設定された画像検査領域(検査関連領域、この例では検査除外領域)の設定内容の一頁分を、今回の検品ジョブの各表面(奇数頁)でそのまま使用することができる。
したがって、本実施の形態によれば、画像検査の設定時における利便性が大幅に向上する。
(2)呼出プロファイルの第1ページの検査除外領域の設定を今回のジョブの各裏面に適用する場合
次に、図9に示す状態(カーソルCSが第1ページにある状態)から「裏面へ適用」ボタン392が選択された場合について説明する。この場合、制御部200は、図6で上述したステップS700として、以下の処理を行う。
制御部200は、呼出プロファイルの1ページ目の検査領域設定の内容(検査除外領域DA1および端部除外領域EDA1)を、今回の検品ジョブの第2頁の検査領域設定の内容(検査除外領域DA2および端部除外領域EDA2)として設定し、以下、同様の設定処理を、今回の検品ジョブの偶数ページにおける最終ページ(この例では4頁)まで繰り返し行った後に、処理を終了する。
なお、制御部200は、当該指定内容にエラーがある場合、例えば今回の検品ジョブが第1頁目の基準画像RI1しか設定されていないような場合、ユーザーに注意を喚起すべく、警告メッセージ等を表示部26に表示する。
図15(図15Aおよび図15B)に、呼出プロファイルの基準画像の1~4頁の基準画像RI1と、今回の検品ジョブにおける1~4頁の基準画像RI2とを対比して示す。
図15Aおよび図15Bを比較して分かるように、「裏面へ適用」ボタン392が選択された場合、プロファイルの第1頁目に設定された検査除外領域DA1の位置およびサイズは、今回の検品ジョブの各裏面すなわち第2頁目および第4頁に適用される。
一方、今回の検品ジョブの第1ページ目および第3ページ目(奇数ページ)は、呼出プロファイル基準画像RI1の各ページに共通に設定された端部検査除外領域EDA1だけが適用され、(第1、第3ページの符号EDA2の領域を参照)、いずれの検査除外領域DA1も適用されない。
かくして、ユーザーは、図5の設定画面から上述と同様の操作により、図8のリストさらには図9の呼出設定画面を表示させる。そして、図9の呼出設定画面中のカーソルCSの位置を適宜変更し、「裏面へ適用」ボタン392を選択する、という少ない操作入力作業により、以前の検品ジョブで設定された画像検査領域(検査関連領域、この例では検査除外領域)の設定内容の一頁分を、今回の検品ジョブの各裏面(偶数頁)でそのまま使用することができる。
したがって、本実施の形態によれば、画像検査の設定時における利便性が大幅に向上する。
このように、本実施の形態の「提示部」は、適用元となる呼出プロファイルの1ページの検査関連領域(検査領域または検査除外領域)の設定を、新たな検品ジョブにおいてユーザーに指定された表面(奇数ページ)または裏面(偶数ページ)の1ページ飛ばしで適用するための表示を行う機能を有する。
このような機能を設けることにより、例えば、保存済み(適用元)のプロファイルデータのうち、特定の頁の検査関連領域の形状情報だけを、今回の検品ジョブの表面または裏面のみ適用させたい場合に、当該設定に関するユーザーの入力操作等の手間が軽減される。
(3)「表示ページへ適用」ボタン393が選択される場合
次に、図9に示す状態から、ユーザーの入力操作により「表示ページへ適用」ボタン393が選択された場合について説明する。この場合、画像検査装置50は、図6で上述したステップS700として、以下の処理を行う。
画像検査装置50は、図9に示す呼出設定画面においてカーソルCSが現在位置している呼出プロファイルのページ(図9に示す例では第1ページ)の検査領域設定の内容を、画面左側に適用先として現在表示されている今回の検品ジョブにおけるページ(例えば第2ページ)の検査領域設定の内容として設定し、処理を終了する。
そして、画像検査装置50は、呼出プロファイルの第1頁目に設定された検査除外領域DA1の位置およびサイズを、今回の検品ジョブの第2頁目のみに適用する。一方、画像検査装置50は、今回の検品ジョブにおける他のページについては、上述した端部除外領域EDA1だけを適用する。
図16(図16Aおよび図16B)に、呼出プロファイルの基準画像の1~4頁の基準画像RI1と、今回の検品ジョブにおける1~4頁の基準画像RI2とを対比して示す。
図16Aおよび図16Bを比較して分かるように、「表示ページへ適用」ボタン393が選択された場合、プロファイルの第1頁目に設定された検査除外領域DA1の位置およびサイズは、今回の検品ジョブの第2頁目に適用される。
一方、今回の検品ジョブの第1ページ目および第3、第4ページ目は、呼出プロファイル基準画像RI1の各ページに共通に設定された端部検査除外領域EDA1だけが適用され、(第1、第3および第4ページの符号EDA2の領域を参照)、いずれの検査除外領域DA1も適用されない。
総じて、ユーザーは、図5の設定画面から上述と同様の操作により、図8のリスト表示画面さらには図9の呼出設定画面を表示させる。そして、図9の呼出設定画面中のカーソルCSの初期位置を適宜移動させて「表示ページへ適用」ボタン393を選択する、という少ない操作入力作業により、以前の検品ジョブで設定された画像検査領域(検査除外領域)の設定内容の一頁分を、今回の検品ジョブの一の頁(上記例では2頁目)でそのまま使用することができる。
したがって、本実施の形態によれば、画像検査の設定時における利便性が大幅に向上する。
(4)ページ範囲の入力欄394および適用ボタン395が使用される場合
次に、図9に示す状態からカーソルCSが呼出プロファイルの第2ページに移動され、ユーザーの入力操作により「ページ範囲の入力」欄394に「1,3」が入力されて、「ページに適用」ボタン(以下、単に「適用ボタン」という)395が選択された場合を説明する。この場合、画像検査装置50は、図6で上述したステップS700として、以下の処理を行う。
画像検査装置50は、呼出プロファイルの2ページ目の検査領域設定の内容(検査除外領域DA1および端部除外領域EDA1)を、今回の検品ジョブの第1頁および第3頁の検査領域設定の内容(検査除外領域DA2および端部除外領域EDA2)として設定する。
図17(図17Aおよび図17B)に、呼出プロファイルの1~4頁の基準画像RI1と、今回の検品ジョブにおける1~4頁の基準画像RI2とを対比して示す。
図17Aおよび図17Bを比較して分かるように、上記の例では、呼出プロファイルの第2頁目に設定された検査除外領域DA1の位置およびサイズは、今回の検品ジョブ(適用先)の指定されたページすなわち第1頁目および第3頁に適用される。
一方、今回の検品ジョブの第2ページ目および第4ページ目は、呼出プロファイル基準画像RI1の各ページに共通に設定された端部検査除外領域EDA1だけが適用され、(第2、第4ページの符号EDA2の領域を参照)、いずれの検査除外領域DA1も適用されない。
かくして、ユーザーは、図5の設定画面から上述と同様の操作により、図8のリスト表示画面さらには図9の呼出設定画面を表示させる。そして、図9の呼出設定画面中のカーソルCSを適宜移動させて、「ページ範囲の入力」欄394に指定頁を入力し、適用ボタン395を選択する、という少ない操作入力作業により、以前の検品ジョブで設定された画像検査領域(検査関連領域、この例では検査除外領域)の設定内容の一頁分を、今回の検品ジョブの指定頁でそのまま使用することができる。
したがって、本実施の形態によれば、画像検査の設定時における利便性が大幅に向上する。
(5)「全ページへ適用」ボタン396が選択される場合
他の具体例として、図9に示す状態から、ユーザーの入力操作により画面右側のカーソルCSを呼出プロファイルの第3ページに移動させ、次に「全ページへ適用」ボタン396が選択された場合を説明する。この場合、画像検査装置50は、図6で上述したステップS700として、以下の処理を行う。
画像検査装置50は、呼出プロファイルの3ページ目の検査領域設定の内容(検査除外領域DA1および端部除外領域EDA1)を、今回の検品ジョブの第1頁の検査領域設定の内容(検査除外領域DA2および端部除外領域EDA2)として設定し、以下、同様の設定処理を、今回の検品ジョブの最終ページ(この例では4頁)まで繰り返し行った後に、処理を終了する。
図18(図18Aおよび図18B)に、呼出プロファイルの1~4頁の基準画像RI1と、今回の検品ジョブにおける1~4頁の基準画像RI2とを対比して示す。
図18Aおよび図18Bを比較して分かるように、「全ページへ適用」ボタン396が選択された場合、呼出プロファイルの第3頁目に設定された検査除外領域DA1および端部検査除外領域EDA1(位置およびサイズ)は、今回の検品ジョブの全ての頁(第1~第4頁)に適用される。
かくして、ユーザーは、図5の設定画面から上述と同様の操作により、図8のリスト表示画面」さらには図9の呼出設定画面を表示させる。そして、図9の呼出設定画面中のカーソルCSを適宜移動させて「全ページへ適用」ボタン396を選択する、という少ない操作入力作業により、以前の検品ジョブで設定された画像検査領域(検査関連領域、この例では検査除外領域)の設定内容の一頁分を、今回の検品ジョブの全ての頁でそのまま使用することができる。
したがって、本実施の形態によれば、画像検査の設定時における利便性が大幅に向上する。
かくして、本実施の形態では、図9に示す呼出設定画面内に、上述のような種々のボタンによる選択ページ設定適用部390を表示する。
言い換えると、画像検査装置50および表示部26(提示部)は、適用元となる呼出プロファイルの1ページの検査関連領域(検査領域または検査除外領域)の設定を、新たな検品ジョブにおいてユーザーに指定された任意の一または複数ページに適用するための表示を行う機能を有する。
このような機能を設けることにより、例えば、保存済み(適用元)のプロファイルデータのうち、特定の頁の検査関連領域の形状情報だけを、今回の検品ジョブの特定ページにのみ適用させたい場合に、当該設定に関するユーザーの入力操作等の手間が軽減される。
このように、本実施の形態の構成によれば、今回の検品ジョブの画像検査の範囲(この例では除外範囲)の設定に関する種々の「選択」、具体的には、適用元となるプロファイル(ファイル名)の選択、選択された呼出プロファイル中の適用元となる頁の選択、画像検査対象となる印刷物中の適用先となる頁の選択などを、少ない入力操作にて実現することができる。
(その他の機能)
さらに、本実施の形態では、今回の検品ジョブ(画像検査)の検査関連領域(この例では適用先の検査除外領域DA2)の指定を、種々の操作によって容易に行うことができるようになっている。
(検査関連領域の位置調整機能)
図9の呼出設定画面の表示状態から、画面右側において位置しているカーソルCS(図示の例では第1頁目(1P))をマウスのドラッグ操作で左側に移動させると、画像検査装置50の制御の下、適用元の検査除外領域DA1(この例では上下2つの矩形の領域)が、適用先の基準画像RIが表示された用紙(図示の例では第1頁目)上に、検査除外領域DA2として適宜拡大して表示される。
このとき、ユーザーは、マウスのドロップ操作をタイミング良く行うことで、図19に示すように、検査除外領域DA2を、適宜、本来の位置とは異なる位置に設定(調整ないし変更)することもできる。
具体的には、画像検査装置50は、上記のドロップ操作後の2つの検査除外領域DA2の4隅の座標位置を記憶し、図19中に示す「設定完了」ボタン395が選択された場合、記憶された情報を、今回の検品ジョブの第1頁の検査除外領域DA2として設定する。なお、画像検査装置50は、端部除外領域EDA2については、座標位置を変えずに設定する。
図示しないが、ユーザーは、図9の呼出設定画面の表示状態から、カーソルCSの位置を呼出プロファイルの第4ページ目に移動させ、かつ、画面左側すなわち今回の検品ジョブの基準画像RI2の表示を2ページ目に切り替えて、上述と同様のドラッグ・アンド・ドロップ操作を行うこともできる。
かくして、本実施の形態によれば、呼出プロファイルの任意のページの基準画像RI2に設定された一以上の検査関連領域(この例では2つの検査除外領域DA2)を、今回の検品ジョブの任意のページの基準画像RI1の任意の位置に、一度に設定することができる。
総じて、図19で上述したマウスのドラッグ・アンド・ドロップ操作を用いた検査関連領域の設定方法は、呼出プロファイルの検査関連領域(この例では検査除外領域DA1)の形状を維持しつつ、用紙S上に設定する検査関連領域の位置をずらして設定したいような場合に好適に使用できる。
このように、本実施の形態では、画像検査装置50および表示部26(提示部)は、領域設定情報の検査関連領域(検査除外領域DA1)を表示した用紙の基準画像RI1から、検査関連領域を今回の画像検査で用いられる基準画像RI2上に移動可能に表示する。そして、画像検査装置50(設定部)は、移動された検査関連領域の基準画像RI2上の座標位置を、画像検査装置50(画像検査部)が実行しようとする画像検査の検査関連領域の位置として設定する。
また、本実施の形態では、画像検査装置50および表示部26(提示部)は、領域設定情報の複数の検査除外領域DA1を表示した用紙の基準画像RI1から、ユーザーの操作によって、各々の検査除外領域DA1を、今回の画像検査で用いられる基準画像RI2上に一度に移動可能に表示する。そして、画像検査装置50(設定部)は、移動された検査関連領域の基準画像RI上の(座標)位置を、新たな検品ジョブ(画像検査装置50が実行しようとする画像検査)の検査関連領域の位置として設定する。
すなわち、この画像検査装置50では、適用元の基準画像RI1における1頁分の検査関連領域(この例では複数の検査除外領域DA1)を一つの形状データとみなして表示の処理を行うことから、適用元の1頁に複数の検査除外領域DA1がある場合でも、1度のマウス操作で適用先の基準画像RI2上に移動させることができる。
かかる構成を備えた本実施の形態によれば、適用元(保存済み)の領域設定情報(プロファイルデータ)の内、特定のページの検査除外領域の形状情報だけを適用先の基準画像RI2の特定ページにのみ適用させたいような場合に、ユーザーの設定の手間を大幅に軽減することができる。
(用紙サイズが異なる場合の検査関連領域の自動拡大縮小機能)
本実施の形態では、過去の検品ジョブ(適用元)における印刷物の用紙と、今回の検品ジョブで使用する用紙のサイズが異なる場合にも対応できるようになっている。
例えば、図20に示すように、呼出プロファイル(すなわち過去の検品ジョブで設定された基準画像RI1)の第1頁目(1P)がA4Rの用紙であり、適用先すなわち今回の検品ジョブで使用される用紙がA3であるような場合でも、基準画像(RI)および検査除外領域(DA)を、対応する倍率で拡大して適用することができる。
なお、図20は、上述した図9に対応する呼出設定画面の例であり、説明の便宜のため、種々のボタン(370~390等)の図示を省略している。
一具体例として、上述のように、ページ設定適用部380(図9参照)の範囲指定欄381に「1」すなわち1頁目のみが指定された状態で適用ボタン382が選択された場合を説明する。
この場合、画像検査装置50は、上述のように、呼出プロファイルの指定ページ(1頁目)の検査領域設定の内容を、今回の検品ジョブの1頁目の検査領域設定の内容として設定する。
この際に、画像検査装置50は、呼出プロファイルの指定ページ(1頁目)の用紙サイズ(この例ではA4R)と、今回の検品ジョブの対応ページ(1頁目)用紙サイズ(この例ではA3)と、を取得する。
続いて、画像検査装置50は、取得した各々の用紙サイズを比較して、サイズが異なる用紙(この例では第1ページのA4RとA3)について、主走査方向および副操作方向の各々の拡大率または縮小率を算出する(この例では141%)。
そして、画像検査装置50は、算出した拡大率(141%)を、検査除外領域の主走査方向幅および副操作方向の幅に掛けて、今回の検品ジョブの対応ページ(第1ページ)の検査除外領域DA2として適用し、呼出設定画面の適用先の基準画像RI2に当該拡大されたサイズで表示する(図20参照)。
そして、画像検査装置50は、図20の状態から「設定完了」ボタン395が選択された場合、拡大された検査除外領域DA2に関する座標位置等の情報を、今回の検品ジョブに設定する。
すなわち、画像検査装置50は、適用先(今回の検品ジョブ)での用紙サイズと、適用元の用紙サイズ(呼出プロファイルの領域設定情報に紐付けられた用紙サイズ)とが異なる場合、当該用紙サイズを合致させる倍率(141%)に応じて、適用先の検品ジョブで実行しようとする検査関連領域(検査除外領域DA2)の寸法を変えて(すなわち141%に拡大して)設定する。
このような構成を備える本実施の形態によれば、適用元の基準画像RI2および基準画像RI2上に設定された検査関連領域(検査除外領域DA1)をそのまま使用(再利用)する一方で、今回の検品ジョブで使用する用紙のサイズだけ変更したいような場合において、ユーザーの設定の手間を大幅に軽減することができる。
一方、画像検査装置50は、算出した拡大率(141%)にかかわらず、端部除外領域EDA1については、適用元の設定値(図5の端部除外設定部340の各欄参照)のまま、今回の検品ジョブの対応ページ(第1ページ)の端部除外領域EDA2として適用し、呼出設定画面の適用先の基準画像RI2に対して表示および設定する(図20参照)。
すなわち、画像検査装置50(設定部)は、適用元の領域設定情報に設定された検査関連領域として用紙端部の検査除外領域(端部除外領域EDA1)が含まれる場合、用紙サイズを合致させる倍率にかかわらず、当該端部除外領域EDA1の用紙端部からの設定幅の寸法は変えずに設定する。
これは、端部除外領域(EDA1およびEDA2)における用紙端部からの設定幅の寸法(設定値)は、用紙のサイズの大小によって拡大または縮小を要する性質のものではないことを考慮したものである。
このように、本実施の形態によれば、適用元および適用先の用紙サイズの違い、および検査除外領域の性質等の違いを考慮して、適用先(今回の検品ジョブ)の基準画像に対する領域設定情報を設定することから、検品ジョブの設定時におけるユーザーの利便性が大幅に向上する。
(検査除外領域の重ね掛け適用)
さらに、本実施の形態では、検査除外領域(DA)のいわゆる「重ね掛け適用」ができるようになっている。
一具体例では、図5で上述した検査領域設定画面に、今回の検品ジョブで使用される基準画像RIを表示し、かかる画面の右側の各ボタンの操作により検査関連領域(この例では検査除外領域)を指定(編集)している状態において、図5中の「設定呼出」ボタン353が選択された場合、図8で上述したリスト表示画面(ファイル名の一覧)が表示される。
続いて、図8に示す2つのファイル名のうちのいずれか(例えば「1.ReferenceJob_20190726_143050」のファイル名)にカーソルCSが位置した状態で「設定内容呼出」ボタン365が選択された場合に、画像検査装置50により、上述の重ね掛け適用の処理が実行される。
なお、本実施の形態では、図8に示す2つのファイル名の2つ(あるいは3つ以上のファイル)を選択して上述の重ね掛け適用の処理を実行することもできる。但し、簡明のため、以下は、一つのファイルのみを選択して重ね掛け適用を行った場合について説明する。
一具体例では、「設定内容呼出」ボタン365が選択された場合、画像検査装置50は、図9で上述した呼出設定画面を表示部26に表示させて、重ね掛けの処理を実行する。以下、重ね掛け適用の処理について、図9および図21等を参照して説明する。
図21中の上段(「呼出プロファイル」で示す段)には、呼出設定画面の右側に表示される、「1.ReferenceJob_20190726_143050」に設定されている基準画像RI1の各ページにおける検査除外領域DA1および端部除外領域EDA1を示す。
また、図21中の中段(「上記プロファイル適用前の基準画像」で示す段)には、呼出設定画面の左側(適用先)に表示される、検査領域設定画面(図5)で指定(編集)していた基準画像RIの各ページにおける検査除外領域DAおよび端部除外領域EDAを示す。
さらに、図21中の下段(「プロファイル適用後の基準画像)で示す段)には、図21中の上段および中段に示す、各ページの検査除外領域DA1およびDAを重ね掛け適用した場合に、呼出設定画面の左側に表示される基準画像RI2の表示状態を示す。
一具体例では、図21中の下段に示す重ね掛け適用の表示状態において、図9に示す「設定完了」ボタン397が選択された場合、画像検査装置50は、当該重ね掛け適用の内容を今回の検品ジョブの設定情報として確定させる。
総じて、重ね掛け適用を行う前に、画像検査装置50および表示部26(提示部)は、図21の中段に示すように、今回の検品ジョブで用いられる基準画像RIを、編集中の検査関連領域(この例では検査除外領域DAおよび端部除外領域EDA)が付加された態様で表示する。
また、画像検査装置50(設定部)は、検査関連領域が付加された態様の基準画像RIに対して、ユーザーによって選択された、適用元となる呼出プロファイルの領域設定情報における検査関連領域(検査除外領域DA1および端部除外領域EDA1)を重ね掛けする(図21中の下段参照)。
そして、画像検査装置50(設定部)は、重ね掛けられた検査関連領域(検査除外領域DA、DA1および端部除外領域EDA、EDA1)を、今回の検品ジョブにおける検査関連領域として設定する。
なお、プロセッサーの処理負担の軽減等の観点からは、適用先の1ページに対して設定可能な検査関連領域の数(以下「領域指定数」という)を制限する(上限を設ける)構成とすることが望ましい。
この場合、画像検査装置50(設定部)は、重ね掛けの適用処理の際に、適用先の1ページ当たりの領域指定数の上限を超えるか否かを判定し、上限を超えない場合、上述した重ね掛けの適用処理を実行する。
一方、上記の上限を超える場合、画像検査装置50(設定部)は、重ね掛けの適用処理を実行せず、所定の警告を表示部26に表示させる。ここで、所定の警告は、例えば「設定可能な上限数を超えたため、重ね掛け適用が出来なかった」旨のメッセージなどである。
図22に、重ね掛けの適用処理の際に、1ページ当たりの領域指定数の上限を超えたために、画像検査装置50(設定部)により表示部26に警告メッセージを表示させた場合の一例を示す。この例では、適用先の第1ページと第3ページの領域指定数が予め定められた上限数(例えば10個)を超えたため、重ね掛け適用ができなかった旨の警告メッセージが表示されている。
(複数の呼出プロファイルの同時適用)
上述した重ね掛け適用の処理は、検査関連領域(この例では検査除外領域)の編集中に実行される処理であるため、当該編集中の内容(図21の中段に示す設定内容)を保存できないというデメリットがある。
したがって、検査関連領域(検査除外領域)の編集内容を保存しておきたいユーザーは、例えば図5中の「設定保存」ボタン354を選択して、画像検査装置50の制御により検査プロファイルの設定データをデータ格納部51に保存した後、当該保存した設定データを含む複数(この例では2つ)のファイル名を選択すればよい。
すなわち、本実施の形態では、マウス等の操作により、図8のリスト表示画面で提示される複数のファイル名を一度に選択し、これら複数のファイルに規定された検査関連領域(検査除外領域)の設定内容を、今回の検品ジョブの設定として同時に適用することができる。以下、かかる同時適用の処理について、図23等を参照して説明する。
図23の上段は、呼出設定画面中の右端側に表示される、「1.ReferenceJob_20190726_143050」の基準画像RI1の各ページに設定されている検査除外領域DA1および端部除外領域EDA1を示すもので、図中、「呼出プロファイルA」としている。
また、図23の中段は、呼出設定画面における呼出プロファイルAの隣(例えば左隣)に表示される、他の呼出ファイル(図中、「呼出プロファイルB」で示す)の基準画像RI1-1の各ページに設定されている検査除外領域DA1-1および端部除外領域EDA1-1を示す。
さらに、図23の下段には、今回の検品ジョブ(画像検査のリファレンスジョブ)において設定された基準画像(RI2)に、呼出プロファイルAおよび呼出プロファイルBの各ページに設定されている検査除外領域(DA1,DA1-1および端部除外領域EDA1,EDA1-1を同時に適用した状態を示す。
一具体例では、複数の呼出プロファイル(AおよびB)の同時適用を行う前に、画像検査装置50および表示部26(提示部)は、今回の検品ジョブで用いられる基準画像RIを適用先として表示する。
また、画像検査装置50(設定部)は、かかる基準画像RIに対して、ユーザーによって選択された複数のファイル名(適用元となる呼出プロファイルAおよびB)の領域設定情報における検査関連領域(検査除外領域DA1,DA1-1および端部除外領域EDA1,EDA1-1)を適用する。
そして、画像検査装置50(設定部)は、当該適用された検査関連領域(検査除外領域DA1,DA1-1および端部除外領域EDA1,EDA1-1)を、今回の検品ジョブにおける検査関連領域(検査除外領域DA2および端部除外領域EDA2)として設定する(図23中の下段参照)。
なお、この場合も、適用先の1ページに対して設定可能な検査関連領域の数を制限する(領域指定数の上限を設ける)とよい。
上述したような検査関連領域の重ね掛け適用や、複数の呼出プロファイルの検査関連領域の同時適用は、例えば、画像形成装置20でいわゆる「追い刷り」の印刷を行う場合にも有用である。
例えば、1枚の用紙Sに対し、1回目の印刷ジョブで第1画像を印刷し、2回目の印刷ジョブで第2画像を印刷する「2度刷り」の場合、1回目の印刷ジョブでは画像検査を行わず、2回目の印刷ジョブの際に画像検査を行うことが効率的である。
この場合、予め、第1画像に関する検査関連領域(検査除外領域DA1等)を設定した検査プロファイルを作成(データ格納部51に保存)しておく。
そして、2回目の印刷ジョブの実行の際に、第2画像に関する検査関連領域(図21の中段に示す検査除外領域DA等)の編集を行って、上述した重ね掛け適用の処理を行うことで、2回目の印刷ジョブの際の画像検査(検品ジョブ)の実行時における検査関連領域を一度に設定することができる。
あるいは、予め、第2画像に関する検査関連領域(図23の中段に示す検査除外領域DA1-1等)を設定した検査プロファイルも作成および保存しておき、上述した複数の呼出プロファイルの検査関連領域の同時適用を行った場合も、同様の効果が得られる。
このように、検査関連領域を検品ジョブの印刷物に複合的に適用する構成を設けることにより、検査関連領域の設定時におけるユーザーの利便性を一層向上させることができる。
以上、詳細に説明したように、本実施の形態の画像検査システム1では、画像が形成される用紙Sにおいて、画像検査の対象となる検査対象領域または画像検査の対象外となる検査除外領域が検査関連領域として設定された領域設定情報に基づいて画像検査を行う画像検査部と、領域設定情報における検査関連領域を、後に行われる画像検査の検査関連領域として設定する設定部と、を備える。
また、本実施の形態の画像検査システム1では、領域設定情報をデータ格納部51に保存する設定保存部と、保存された領域設定情報のファイル名ひいては設定内容を、画像検査に先立ってユーザーに選択可能に提示する提示部と、を備える。
かかる構成を備えた本実施の形態の画像検査システム1によれば、検査関連領域の設定時における利便性を向上させることができる。
すなわち、本実施の形態によれば、例えば、以前に基準画像ジョブを作成し、検査領域の設定を行った後、再び基準画像ジョブの作成からやり直したくなったような事例において、再度の検査領域の設定の際にプロファイルデータの呼出をする等の簡易な操作だけ行えば済むことから、ユーザーの手間を大幅に省くことができる。
また、図5で説明した従来の検査領域設定画面においてマウス操作を用いて検査対象領域または検査除外領域を設定する場合、かかる領域の形状や座標位置が、前回設定時と比較して数mm程度ずれて適用される可能性が高く、前回と全くの同一設定で検査領域設定情報を保存することが難しかった。
これに対し、本実施の形態によれば、検査領域(検査除外領域)を設定する際、適宜、マウスのドラッグ・アンド・ドロップの操作を通じて、以前に設定された検査領域(検査除外領域)の情報(基本形状、サイズ、用紙上の位置など)をそのまま再利用(流用)することができるので、前回の検査領域設定データと全く同一の検査領域設定を適用できるという点でも有用である。
簡明のため、上述した説明では、検査領域設定情報に含まれる情報として、主として「検査除外領域(DA)」、「端部検査除外領域(EDA)」、および「用紙サイズ」に関するデータについて言及した。一方で、実際の検査領域設定情報には、他の種々の情報が含まれ得る。
検査領域設定情報に含まれる他の情報としては、用紙上の特定位置に印刷される特定の画像を画像検査から除外するための情報、例えば、画像形成装置で定期的に自動画質補正を行う際に用紙に印刷されるパッチ画像を画像検査から除外するための「自動画質補正パッチ除外領域」が挙げられる。
他にも、検査領域設定情報には、上述した頁数の画像、あるいは値段などの種々の数値が印刷される領域を画像検査対象から除外するために指定する「数字指定領域」、バーコードまたはQRコード(登録商標、以下同じ)が印刷される領域を画像検査から除外する「バーコード指定領域」または「QRコード指定領域」、各ページのサムネイル画像が印刷される場合の「サムネイル指定領域」等の、種々の情報を含めることができる。
上述した検査領域設定情報は、検品ジョブを実行する際の基準画像に対して適用される構成を前提とした。他の例として、検査領域設定情報は、基準画像以外のものに対して適用してもよい。具体的には、図5で説明した画面よりも前段階に表示される「検品ジョブの入力画面」、あるいは後段階の「検品ジョブの出力画像に対するスキャン画像」に対して検査領域設定情報を適用してもよい。
上述した例では、検査領域設定情報の画像検査の除外範囲(領域)を指定するオブジェクトとして矩形枠を用いる場合を例示したが、かかる範囲指定のオブジェクトの形状は、矩形に限定されるものではなく、他にも円形、楕円形、四角以外の多角形など、任意の形状を用いることができる。
上述した実施の形態では、簡明のため、検査関連領域として検査除外領域が設定された領域設定情報(検査プロファイル)に基づく画像検査(検品ジョブ)を実行する例について説明したが、これに制限されない。すなわち、検査関連領域として検査領域が設定された領域設定情報(検査プロファイル)に基づく画像検査(検品ジョブ)を実行する場合でも同様の効果が得られる。
但し、図23で説明したように、複数の検査プロファイルを同時に適用するような場合、以下のようなコンフリクトが発生しやすくなる。
すなわち、検査関連領域として、検査除外領域が設定された領域設定情報と、検査領域が設定された領域設定情報と、を同時に適用しようとすると、ページ内に設定された検査除外領域と検査領域とが重複した部分において、いわゆるコンフリクト(競合)が発生する。
かかるコンフリクトが発生した場合、画像検査装置50は、表示部26に警告メッセージを表示させて、ユーザーの選択ないし編集を促すようにするとよい。あるいは、例えば「検査領域と端部除外領域とが重複する部分では、端部除外領域を優先する(画像検査の対象としない)」などのルールを予め設定しておけばよい。
その他、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。