JP7482069B2 - 蓄電素子 - Google Patents

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Description

本発明は、蓄電素子に関する。
特許文献1には、ケースと、前記ケースに収容され、第1電極と、当該第1電極とは極性の異なる第2電極とがセパレータにより絶縁された層状の構造を有する電極組立体と、を備えた蓄電装置であって、前記セパレータは、第1セパレータと、セラミックス層を有する第2セパレータと、を含み、前記第1電極又は前記第2電極を挟んで、前記第2セパレータ、及び前記第1セパレータ、がこの順に配置されていることを特徴とする蓄電装置、が記載されている。
特開2014-220079号公報
本発明の目的は、電極体の巻回中心部分の空間が比較的小さく、且つ、湿式膜を有するセパレータの透気度の上昇が抑制されている蓄電素子を提供することである。
本発明の一側面に係る蓄電素子は、負極活物質を含む負極と、正極と、前記正極及び前記負極の間に配置されたセパレータとを有する巻回型の電極体と、
前記電極体を収容したケースと、
前記ケースの内部において前記電極体と前記ケース内面との間に配置されたスペーサと、を備え、
前記セパレータが湿式膜を有し、
前記負極活物質が炭素質材料又はチタン酸リチウムであり、
前記スペーサが前記セパレータよりも硬い。
本発明の一側面に係る蓄電素子は、電極体の巻回中心部分の空間が比較的小さく、且つ、湿式膜を有するセパレータの透気度の上昇が抑制されている。
図1は、本実施形態に係る蓄電素子の斜視図である。 図2は、図1のII-II線位置の模式断面図である。 図3は、図1のIII-III線位置の模式断面図である。 図4は、本実施形態に係る蓄電素子の巻回型電極体の斜視図である。 図5は、本実施形態に係る蓄電素子を複数備えた蓄電装置の概略図である。
始めに、本明細書によって開示される蓄電素子の概要について説明する。
本発明の一側面に係る蓄電素子1は、負極活物質を含む負極と、正極と、前記正極及び前記負極の間に配置されたセパレータ60とを有する巻回型の電極体2と、
前記電極体2を収容したケース3と、
前記ケース3の内部において前記電極体2と前記ケース内面との間に配置されたスペーサ70と、を備え、
前記セパレータ60が湿式膜を有し、
前記負極活物質が炭素質材料又はチタン酸リチウムであり、
前記スペーサ70が前記セパレータ60よりも硬い。
上記蓄電素子1は、巻回型の電極体2を備える。巻回型の電極体2においては、巻回中心部分に空間zが形成されている。一般的に、このような電極体2の最も内側部分は、巻回中心部分の空間z側へはみ出るように変形し得ることから、変形した内側部分における正極と負極との間の距離が広がってしまう場合がある。このため、ケース3に収容された状態の巻回型の電極体2において、巻回中心部分の空間zができるだけ小さいことが望まれる。
そこで、本実施形態のごとく、ケース3と電極体2との間に、比較的硬いスペーサ70(間隙充填部材)を配置することによって、スペーサ70を配置した分、巻回中心部分の空間zを小さくすることができる。従って、本実施形態の蓄電素子1では、電極体2の巻回中心部分の空間zが比較的小さい。
ところが、ケース3内に収容された電極体2は、充放電に伴って膨張し得るため、膨張したときの反力によって、ケース3の内面によって外側から電極体2が押圧される。そのため、セパレータ60の細孔がつぶれて、セパレータ60の透気度が上昇する状況となり得る。特に、セパレータ60が湿式膜を有するため、湿式膜内において屈曲した形状の細孔が多いことから、細孔のつぶれによる透気度の上昇が問題となりやすい。
これに対して、本実施形態のごとく、負極活物質が、膨張率の小さい炭素質材料又はチタン酸リチウムであることによって、電極体2の膨張を抑制できる。電極体2の膨張を抑制できる分、膨張力の反力によってケース内面が電極体2を押圧することを抑制できる。これにより、湿式膜の細孔のつぶれを抑制して、セパレータの透気度の上昇を抑制できる。
このように、本実施形態の蓄電素子1においては、電極体2の巻回中心部分の空間zが比較的小さく、且つ、湿式膜を有するセパレータの透気度の上昇が抑制されている。
ここで、負極活物質が、炭素質材料としての非黒鉛質炭素であってもよい。
これにより、負極活物質の膨張をより十分に抑制できることから、上記の理由と同様の理由により、湿式膜を有するセパレータの透気度の上昇をより抑制できる。
また、ケース3が定寸となるように保持されていてもよい。この場合、セパレータの透気度の上昇が起こりやすい状況となり得る。
例えば、ケース3の内容積の大半を占める電極体がケース3に収容されたときに、ケースが定寸となるように保持されていると、電極体2に対してケース3の内面によって比較的大きな圧力(反力)が加わり得る。この圧力(反力)によって湿式膜の細孔がつぶれやすい状況となり、セパレータ60の透気度が上昇しやすい状況となり得る。
このように、ケース3が定寸となるように保持されていることで、セパレータ60の透気度が上昇しやすくなり得る蓄電素子1は、上述した構成(負極活物質が炭素質材料又はチタン酸リチウム)を有することによって、セパレータ60の透気度の上昇が抑制される効果を特に期待できる。
また、スペーサ70及びセパレータ60をそれぞれ、表面積3680mmの圧子により荷重7kNで圧縮したときに、セパレータ60の変位量が、スペーサ70の変位量よりも0.1mm/mm以上大きくてもよい。
スペーサ70として、上記のごとき変位量がセパレータ60の変位量よりも所定値以下のスペーサ70を用いることによって、圧縮力によるスペーサ70の変形がより起こりにくくなる。その分、電極体2は、膨張するときの反力をより大きくスペーサ70から受け得る。この力によって湿式膜の細孔がつぶれやすい状況となり、セパレータ60の透気度が上昇しやすい状況となり得る。
このようにセパレータ60の透気度が上昇しやすくなり得る蓄電素子1が、上述した構成(負極活物質が炭素質材料又はチタン酸リチウム)を有することによって、セパレータ60の透気度の上昇が抑制される効果を特に期待できる。
上記蓄電素子1は、電極体2を覆い且つ電極体2とケース3との間を絶縁する絶縁シート80を備えてもよく、また、ケース3が金属製であり、スペーサ70は、電極体2と絶縁シート80との間に配置されていてもよい。
ケース3が金属製であることにより、ケース3の強度が高くなるため、電極体2が膨張した場合であってもケース3の変形が抑えられる。よって、ケース内面によって電極体2がより押圧されやすくなり、セパレータ60の透気度がより一層上昇しやすくなり得る。このように構成された上記蓄電素子であっても、上述したように負極活物質が炭素質材料又はチタン酸リチウムであり、また、スペーサがセパレータよりも硬いといった構成を有することで、透気度が上昇しやすいセパレータ60の透気度上昇を効果的に抑制できる。
本発明の一実施形態に係る非水電解質蓄電素子1の構成、非水電解質蓄電装置の構成、及び非水電解質蓄電素子1の製造方法、並びにその他の実施形態について詳述する。なお、各実施形態に用いられる各構成部材(各構成要素)の名称は、背景技術に用いられる各構成部材(各構成要素)の名称と異なる場合がある。
<非水電解質蓄電素子の構成>
本発明の実施形態に係る非水電解質蓄電素子1(以下、単に「蓄電素子」ともいう。)は、正極40、負極50及びセパレータ60を有する電極体2と、非水電解質と、上記電極体2及び非水電解質を収容するケース3と、を備える。電極体2は、正極40及び負極50がセパレータ60を介した積層された状態で巻回された巻回型(以下、詳細に説明)である。非水電解質は、正極40、負極50及びセパレータ60に含まれた状態で存在する。以下、非水電解質蓄電素子の一例として、非水電解質二次電池(特にリチウムイオン二次電池、以下、単に「二次電池」ともいう。)について説明するが、本発明の適用対象を限定する意図ではない。
本実施形態の蓄電素子1は、図1から図4に示すように、巻回された状態の巻回型の電極体2と、電極体2を収容するケース3と、を備える。また、蓄電素子1は、少なくとも一部を露出させた状態でケース3に取り付けられる又はケース3の少なくとも一部によって構成される2つの外部端子(正極端子4及び負極端子5)を備える。電極体2は、ケース3内において、集電部材などを介して各外部端子4,5と接続されている。
電極体2は、図4に示すように、長尺シート状の正極40と、長尺シート状の負極50と、シート状の2つのセパレータ60,60とが重ねられ、さらに巻回されて形成されている。2つのセパレータ60,60は、正極40及び負極50を電気的に絶縁するようにそれぞれ配置されている。本実施形態では、電極体2は、扁平な巻回体である。電極体2の巻回軸方向が、ケース本体31の開口方向に垂直な方向と同じ方向となるように、電極体2がケース3内に配置されている。図2に示すように、電極体2の巻回中心部分には、わずかに空間zが形成されている。
(正極)
正極40は、正極基材41と、当該正極基材41に直接又は中間層(図示せず)を介して配される正極活物質層42とを有する。本実施形態では、正極基材41の両面に正極活物質層42がそれぞれ重ねられている。正極活物質層42は、負極活物質層52との間で充放電反応を起こす。
正極基材41は、導電性を有する。「導電性」を有するか否かは、JIS-H-0505(1975年)に準拠して測定される体積抵抗率が10Ω・cmを閾値として判定する。正極基材41の材質としては、アルミニウム、チタン、タンタル、ステンレス鋼等の金属又はこれらの合金が用いられる。これらの中でも、耐電位性、導電性の高さ、及びコストの観点からアルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。正極基材41としては、箔、蒸着膜等が挙げられ、コストの観点から箔が好ましい。したがって、正極基材41としてはアルミニウム箔又はアルミニウム合金箔が好ましい。アルミニウム又はアルミニウム合金としては、JIS-H-4000(2014年)に規定されるA1085、A3003等が例示できる。
正極基材41の平均厚さは、3μm以上50μm以下が好ましく、5μm以上40μm以下がより好ましく、8μm以上30μm以下がさらに好ましく、10μm以上25μm以下が特に好ましい。正極基材41の平均厚さを上記の範囲とすることで、正極基材41の強度を高めつつ、二次電池の体積当たりのエネルギー密度を高めることができる。
中間層は、正極基材41と正極活物質層42との間に配される層である。中間層は、炭素粒子等の導電性を有する粒子を含むことで正極基材41と正極活物質層42との接触抵抗を低減する。中間層の構成は特に限定されず、例えば、樹脂バインダ及び導電性を有する粒子を含む。
正極活物質層42は、正極活物質を含む。正極活物質層42は、必要に応じて、導電剤、バインダ(結着剤)、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。
正極活物質としては、公知の正極活物質の中から適宜選択できる。リチウムイオン二次電池用の正極活物質としては、通常、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる材料が用いられる。正極活物質としては、例えば、α-NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物、スピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物、ポリアニオン化合物、カルコゲン化合物、硫黄等が挙げられる。α-NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物として、例えば、Li[LiNi(1-x)]O(0≦x<0.5)、Li[LiNiγCo(1-x-γ)]O(0≦x<0.5、0<γ<1)、Li[LiCo(1-x)]O(0≦x<0.5)、Li[LiNiγMn(1-x-γ)]O(0≦x<0.5、0<γ<1)、Li[LiNiγMnβCo(1-x-γ-β)]O(0≦x<0.5、0<γ、0<β、0.5<γ+β<1)、Li[LiNiγCoβAl(1-x-γ-β)]O(0≦x<0.5、0<γ、0<β、0.5<γ+β<1)等が挙げられる。スピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物として、LiMn、LiNiγMn(2-γ)等が挙げられる。ポリアニオン化合物として、LiFePO、LiMnPO、LiNiPO、LiCoPO,Li(PO、LiMnSiO、LiCoPOF等が挙げられる。カルコゲン化合物として、二硫化チタン、二硫化モリブデン、二酸化モリブデン等が挙げられる。これらの材料中の原子又はポリアニオンは、他の元素からなる原子又はアニオン種で一部が置換されていてもよい。これらの材料は表面が他の材料で被覆されていてもよい。正極活物質層42においては、これら材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
正極活物質は、通常、粒子(粉体)である。正極活物質の平均粒径は、例えば、0.1μm以上20μm以下とすることが好ましい。正極活物質の平均粒径を上記下限以上とすることで、正極活物質の製造又は取り扱いが容易になる。正極活物質の平均粒径を上記上限以下とすることで、正極活物質層42の電子伝導性が向上する。なお、正極活物質と他の材料との複合体を用いる場合、該複合体の平均粒径を正極活物質の平均粒径とする。「平均粒径 」とは、JIS-Z-8825(2013年)に準拠し、粒子を溶媒で希釈した希釈液に対しレーザ回折・散乱法により測定した粒径分布に基づき、JIS-Z-8819-2(2001年)に準拠し計算される体積基準積算分布が50%となる値を意味する。
粉体を所定の粒径で得るためには粉砕機や分級機等が用いられる。粉砕方法として、例えば、乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ジェットミル、カウンタージェトミル、旋回気流型ジェットミル又は篩等を用いる方法が挙げられる。粉砕時には水、あるいはヘキサン等の有機溶剤を共存させた湿式粉砕を用いることもできる。分級方法としては、篩や風力分級機等が、乾式、湿式ともに必要に応じて用いられる。
正極活物質層42における正極活物質の含有量は、50質量%以上99質量%以下が好ましく、70質量%以上98質量%以下がより好ましく、80質量%以上95質量%以下がさらに好ましい。正極活物質の含有量を上記の範囲とすることで、正極活物質層42の高エネルギー密度化と製造性を両立できる。
(任意成分)
導電剤は、導電性を有する材料であれば特に限定されない。このような導電剤としては、例えば、炭素質材料、金属、導電性セラミックス等が挙げられる。炭素質材料としては、黒鉛化炭素、非黒鉛化炭素、グラフェン系炭素等が挙げられる。非黒鉛化炭素としては、カーボンナノファイバー、ピッチ系炭素繊維、カーボンブラック等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等が挙げられる。グラフェン系炭素としては、グラフェン、カーボンナノチューブ(CNT)、フラーレン等が挙げられる。導電剤の形状としては、粉状、繊維状等が挙げられる。導電剤としては、これらの材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、これらの材料を複合化して用いてもよい。例えば、カーボンブラックとCNTとを複合化した材料を用いてもよい。これらの中でも、電子伝導性及び塗工性の観点よりカーボンブラックが好ましく、中でもアセチレンブラックが好ましい。
導電剤を使用する場合、正極活物質層42における導電剤の含有量は、1質量%以上10質量%以下が好ましく、3質量%以上9質量%以下がより好ましい。導電剤の含有量を上記の範囲とすることで、二次電池のエネルギー密度を高めることができる。
バインダとしては、例えば、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル、ポリイミド等の熱可塑性樹脂;エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のエラストマー;多糖類高分子等が挙げられる。なかでも、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等)等の溶剤系バインダが好ましい。
バインダを使用する場合、正極活物質層42におけるバインダの含有量は、1質量%以上10質量%以下が好ましく、3質量%以上9質量%以下がより好ましい。バインダの含有量を上記の範囲とすることで、活物質を安定して保持することができる。
増粘剤を使用する場合、増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース等の多糖類高分子が挙げられる。増粘剤がリチウム等と反応する官能基を有する場合、予めメチル化等によりこの官能基を失活させてもよい。
フィラーは、特に限定されない。フィラーを使用する場合、フィラーとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、二酸化ケイ素、アルミナ、二酸化チタン、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、アルミノケイ酸塩等の無機酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、炭酸カルシウム等の炭酸塩、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫酸バリウム等の難溶性のイオン結晶、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物、タルク、モンモリロナイト、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト、マイカ等の鉱物資源由来物質又はこれらの人造物等が挙げられる。
正極活物質層42は、B、N、P、F、Cl、Br、I等の典型非金属元素、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Ge、Sn、Sr、Ba等の典型金属元素、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Zr、Nb、W等の遷移金属元素を正極活物質、導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー以外の成分として含有してもよい。
(負極)
負極50は、負極基材51と、当該負極基材51に直接又は中間層を介して配される負極活物質層52とを有する。中間層の構成は特に限定されず、例えば上記正極40で例示した構成から選択することができる。
本実施形態では、負極基材51の両面に負極活物質層52がそれぞれ重ねられている。
負極活物質層52の端縁は、セパレータ60を介して対向する正極活物質層42の端縁よりも外側に配置されている。
負極基材51は、導電性を有する。負極基材51の材質としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼、アルミニウム 等の金属又はこれらの合金が用いられる。これらの中でも銅又は銅合金が好ましい。負極基材51としては、箔、蒸着膜等が挙げられ、コストの観点から箔が好ましい。したがって、負極基材51としては銅箔又は銅合金箔が好ましい。銅箔の例としては、圧延銅箔、電解銅箔等が挙げられる。
負極基材51の平均厚さは、2μm以上35μm以下が好ましく、3μm以上30μm以下がより好ましく、4μm以上25μm以下がさらに好ましく、5μm以上20μm以下が特に好ましい。負極基材51の平均厚さを上記の範囲とすることで、負極基材51の強度を高めつつ、二次電池の体積当たりのエネルギー密度を高めることができる。
負極活物質層52は、負極活物質を含む。負極活物質層52は、必要に応じて導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー等の任意成分は、上記正極40で例示した材料から選択できる。
負極活物質層52は、B、N、P、F、Cl、Br、I等の典型非金属元素、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Ge、Sn、Sr、Ba、等の典型金属元素、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Zr、Ta、Hf、Nb、W等の遷移金属元素を負極活物質、導電剤、バインダ、増粘剤、フィラー以外の成分として含有してもよい。
負極活物質としては、公知の負極活物質の中から適宜選択できる。リチウムイオン二次電池用の負極活物質としては、通常、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる材料が用いられる。本実施形態においては、負極活物質が炭素質材料又はチタン酸リチウムである。負極活物質としては、LiTi12、LiTiO、LiTiO等のチタン酸リチウム;黒鉛(グラファイト)、非黒鉛質炭素(易黒鉛化性炭素又は難黒鉛化性炭素)等の炭素質材料等が挙げられる。負極活物質層52においては、これら材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本実施形態において、負極活物質が炭素質材料又はチタン酸リチウムの少なくとも一方であるため、充電に伴う負極の膨張を抑えることができる。従って、充放電時の電極体2の膨張を抑えることができる。よって、膨張の反力によってケース3の内面が電極体2を圧縮する押圧力を弱めることができる。従って、湿式膜を有するセパレータの透気度の上昇を抑制できる。
「黒鉛」とは、充放電前又は放電状態において、X線回折法により決定される(002)面の平均格子面間隔(d002)が0.33nm以上0.34nm未満の炭素質材料をいう。黒鉛としては、天然黒鉛、人造黒鉛が挙げられる。安定した物性の材料を入手できるという観点で、人造黒鉛が好ましい。
「非黒鉛質炭素」とは、充放電前又は放電状態においてX線回折法により決定される(002)面の平均格子面間隔(d002)が0.34nm以上0.42nm以下の炭素質材料をいう。非黒鉛質炭素としては、難黒鉛化性炭素や、易黒鉛化性炭素が挙げられる。非黒鉛質炭素としては、例えば、樹脂由来の材料、石油ピッチまたは石油ピッチ由来の材料、石油コークスまたは石油コークス由来の材料、植物由来の材料、アルコール由来の材料等が挙げられる。
ここで、「放電状態」とは、負極活物質として炭素質材料を含む負極50を作用極として、金属Liを対極として用いた単極電池において、開回路電圧が0.7V以上である状態をいう。開回路状態での金属Li対極の電位は、Liの酸化還元電位とほぼ等しいため、上記単極電池における開回路電圧は、Liの酸化還元電位に対する炭素質材料を含む負極50の電位とほぼ同等である。つまり、上記単極電池における開回路電圧が0.7V以上であることは、負極活物質である炭素質材料から、充放電に伴い吸蔵放出可能なリチウムイオンが十分に放出されていることを意味する。
「難黒鉛化性炭素」とは、上記d002が0.36nm以上0.42nm以下の炭素質材料をいう。
「易黒鉛化性炭素」とは、上記d002が0.34nm以上0.36nm未満の炭素質材料をいう。
負極活物質は、非黒鉛質炭素であることが好ましい。負極活物質が、充電に伴う膨張率がより小さい非黒鉛質炭素であることによって、充放電に伴う電極体2の膨張をより抑制できる。従って、膨張の反力によってケース3の内面が電極体2を圧縮する押圧力をより弱めることができる。従って、湿式膜を有するセパレータの透気度の上昇をより抑制できる。
負極活物質は、通常、粒子(粉体)である。負極活物質の平均粒径は、例えば、1nm以上100μm以下とすることができる。負極活物質の平均粒径は、1μm以上100μm以下であってもよい。負極活物質の平均粒径を上記下限以上とすることで、負極活物質の製造又は取り扱いが容易になる。負極活物質の平均粒径を上記上限以下とすることで、負極活物質層の電子伝導性が向上する。粉体を所定の粒径で得るためには粉砕機や分級機等が用いられる。粉砕方法及び粉級方法は、例えば、上記正極40で例示した方法から選択できる。
負極活物質層52における負極活物質の含有量は、60質量%以上99質量%以下が好ましく、90質量%以上98質量%以下がより好ましい。負極活物質の含有量を上記の範囲とすることで、負極活物質層52の高エネルギー密度化と製造性を両立できる。
(セパレータ)
セパレータ60は、公知のセパレータの中から適宜選択できる。セパレータ60として、例えば、基材層のみからなるセパレータ60、基材層の一方の面又は双方の面に耐熱粒子とバインダとを含む耐熱層が形成されたセパレータ等を使用することができる。セパレータ60の基材層の材質としては、強度の観点から多孔質樹脂膜が好ましい。セパレータ60の基材層の材料としては、シャットダウン機能の観点から例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが好ましく、耐酸化分解性の観点から例えばポリイミドやアラミド等が好ましい。セパレータ60の基材層として、これらの樹脂を複合した材料を用いてもよい。
セパレータ60は、基材層(セパレータ基材)を有する。セパレータ60の基材層は、湿式膜である。
セパレータの湿式膜は、公知の製法によって製造できる。基材層としての湿式膜のみで形成されたセパレータの製法例を以下に示す。
例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリマーと、必要であれば添加剤と、流動パラフィン等の被抽出物とを混合して加熱溶融させる。溶融物を例えばTダイから吐出し、温度制御された冷却ロール上にキャストする。これにより、ポリマーと流動パラフィンとが相分離したシートを形成する。その後、シートを二軸テンター延伸機にセットし、所定の延伸率となるように、シートを二軸延伸することによってフィルムを形成する。二軸延伸の実施は同時であってもよく同時でなくてもよい。フィルム中の被抽出物を溶解させる溶媒(例えば、塩化メチレン、メチルエチルケトン等)中にフィルムを入れて、被抽出物を抽出除去する。さらに、溶媒を乾燥処理によって除去する。続いて、フィルムをTDテンター熱固定機に導き、所定の温度で熱固定処理を行うことによって、湿式膜を作製できる。
上記のようにして製造された湿式膜の細孔は、被抽出物が抽出除去されて形成されている。そのため、湿式膜の細孔は、膜の厚さ方向や面方向を問わず、三次元的に拡がるように形成されている。よって、湿式膜の細孔は、厚さ方向に圧縮力を受けたときに、例えば乾式膜の細孔よりもつぶれやすい傾向にある。従って、湿式膜を有するセパレータは、圧縮力を受けたあとに透気度が上がってしまいやすい。
なお、セパレータ60の透気度は、例えばJIS P-8117に準拠して測定される。例えば、ガーレー式透気度計を用いて、所定面積の円内において、空気100ccが通過する時間(秒)を透気度(秒/100cc)として測定する。
耐熱層に含まれる耐熱粒子は、1気圧の空気雰囲気下で室温から500℃に加熱したときの質量減少が5%以下であるものが好ましく、1気圧の空気雰囲気下で室温から800℃に加熱したときの質量減少が5%以下であるものがさらに好ましい。加熱したときの質量減少が所定以下である材料として無機化合物が挙げられる。無機化合物として、例えば、酸化鉄、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸バリウム、酸化ジルコニウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、アルミノケイ酸塩等の酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物;窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物;炭酸カルシウム等の炭酸塩;硫酸バリウム等の硫酸塩;フッ化カルシウム、フッ化バリウム等の難溶性のイオン結晶;シリコン、ダイヤモンド等の共有結合性結晶;タルク、モンモリロナイト、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト、マイカ等の鉱物資源由来物質又はこれらの人造物等が挙げられる。無機化合物として、これらの物質の単体又は複合体を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらの無機化合物の中でも、蓄電素子1の安全性の観点から、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、又はアルミノケイ酸塩が好ましい。
セパレータ60の空孔率は、強度の観点から80体積%以下が好ましく、放電性能の観点から20体積%以上が好ましい。ここで、「空孔率」とは、体積基準の値であり、水銀ポロシメータでの測定値を意味する。
(スペーサ)
図2及び図3に示すように、スペーサ70は、ケース3(ケース本体31)の内面と、電極体2との間に配置され、ケース3の内部に収容されている(図1においてスペーサの図示なし)。スペーサ70の形状は、例えばシート状である。ケース3内に2つのスペーサ70,70が収容されていてもよい。
2つのスペーサ70,70は、例えば、扁平形状の電極体2の両方の平坦な外表面にそれぞれ接するように、ケース3内に配置されている。
スペーサ70は、接着剤又は熱溶着などによってケース内面と固着されていてもよく、電極体2及びケース内面によって単に挟み込まれ両側からの圧力によって保持されていてもよい。
例えば、シート状のスペーサ70の一方の面全体がケース内面と固着(面接着等)されていてもよく、シート状のスペーサ70の一方の面の一部が、例えば点接着によってケース内面と固着されていてもよい。
本実施形態の蓄電素子1は、電極体2とケース3とを絶縁すべく、ケース本体31の内表面を覆うように配置された絶縁シート80をケース3内部に備えてもよい。絶縁シート80は、例えば樹脂製シートである。絶縁シート80は、ケース本体31の内面と、電極体2との間に配置される。絶縁シート80は、電極体2を覆うように配置されてもよい。絶縁シート80の材質は、電気絶縁性(非導電性)の材質であれば特に限定されず、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、又は、ポリアミド樹脂といった樹脂などを用いることができる。製造簡便性の観点から、絶縁シート80の材質は、ポリオレフィン樹脂であることが好ましく、ポリエチレン(PE)及びポリプロピレン(PP)のうち少なくとも一方であることがより好ましい。
絶縁シート80は、シート状の部材を折り曲げたり、シート状の複数の部材を融着又は溶着したりすることで、袋状に形成されてケース本体31内に配置されてもよい。
なお、スペーサ70は、上記と同様の面接着又は点接着によって上記絶縁シート80と固着されていてもよい。このように固着されたスペーサ70と絶縁シート80とは、同じ材質であることが好ましい。同じ材質であることにより、スペーサ70と絶縁シート80とを面接着又は点接着によって固着することがより容易となる。
スペーサ70の大きさは、ケース3に収容される大きさであれば、特に限定されない。図3に示すように、ケース3に収容された扁平形状の電極体2及びスペーサ70を、電極体2の厚さ方向に見たときに、1つのシート状のスペーサ70の大きさは、電極体2の大きさ以下であってもよい。この場合、シート状のスペーサ70の片面のすべてが、扁平形状の電極体2の平坦な外表面と接するように、スペーサ70がケース3内に配置される。
同様に、図3に示すように電極体2及びスペーサ70を見たときに、電極体2の面積に占めるスペーサ70の面積の割合は、0.6以上であってもよく、好ましくは0.8以上である。
スペーサ70の大きさが上記のごとき範囲にあることによって、電極体2の巻回中心部分の空間zをより小さくできる。
なお、図3に示すように電極体2及びスペーサ70を見たときに、電極体2の面積に占めるスペーサ70の面積の割合は、1.0以下であってもよい。
扁平形状の電極体2では、セパレータ60を挟んで正極活物質層42及び負極活物質層52が向き合っている。電極体2の巻回軸方向において、負極活物質層52の両端縁は、正極活物質層42の両端縁よりも外側に配置されている。換言すると、巻回軸方向における負極活物質層52の両端部は、正極活物質層42と対向していない部分を有する。
よって、扁平形状の電極体2は、厚さ方向に見たときに、正極活物質層42及び負極活物質層52が互いに対向している対向領域を有する。巻回軸方向においてスペーサ70の長さが対向領域の長さ以上であり、且つ、巻回軸方向において対向領域をすべて覆うようにスペーサ70が配置されることが好ましい。換言すると、巻回軸方向におけるスペーサ70の両端縁は、電極体を厚さ方向に見たときに、対向領域の両端縁とそれぞれ重なるか又は対向領域の両端縁よりもそれぞれ外側にはみ出ていることが好ましい。
このような構成によって、正極活物質層42及び負極活物質層52の間の距離が拡がることをスペーサ70によってより十分に抑制できる。そのため、蓄電素子における不均一な充放電反応を抑制できる。
扁平形状且つ巻回型の電極体2は、シート状の正極40及び負極50が平らな状態で積み重なっている平坦部21と、積み重なったシート状の正極40及び負極50が折り返されている折返し部22とを有する。折返し部22では、正極40及び負極50が巻回軸を取り巻くように曲がっている。電極体2を巻回軸方向に見たときに、平坦部21の両端にそれぞれ折返し部22が配置されている。平坦部21において積み重なっている正極40及び負極50が、巻回周方向に沿うように曲がり始める部分に境界部分yが存在する(図2及び図3を参照)。境界部分yは、巻回軸方向に直線状に延びるように4カ所存在する。
扁平形状且つ巻回型の電極体2を巻回軸方向に見たときに、平坦部21と折返し部22との境界部分yよりも内側にスペーサ70の両端縁がそれぞれ配置されることが好ましい。換言すると、平坦部21と折返し部22との境界部分yがスペーサ70によって直接の圧縮力を受けないように、スペーサ70が配置されることが好ましい。
平坦部21と折返し部22との境界部分yは、電極体2の厚さ方向に圧縮力を受けても圧縮変形しにくい部分である。換言すると、平坦部21と折返し部22との境界部分yよりも、平坦部21の方が圧縮変形されやすい。そのため、スペーサ70の端縁が、平坦部21と折返し部22との境界部分yよりも内側に配置されていることによって、スペーサ70が電極体2を外側から圧縮する力がより加わりやすくなる。
スペーサ70の形状は、上述の通り、例えばシート状であり、屈曲した部分又は湾曲した部分を有しない平坦な平板状であることが好ましい。スペーサ70が平板状であることで、電極体2又はケース3の内部空間の公差(基準寸法に対する差)に応じて、スペーサ70の枚数又は厚さ等を簡便に変更できる。そのため、望ましい基準設計へ適切に調節できることから、巻回中心部分の空間zを小さくすることが容易に実現できる。
スペーサ70の材質は、特に限定されない。スペーサ70は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、又は、ポリアミド樹脂等の樹脂製であってもよい。電解液に対して良好な安定性を有する点、また、取り扱いやすいという点で、スペーサ70の材質は、ポリエチレン(PE)又はポリプロピレン(PP)といったポリオレフィン樹脂が好ましい。
スペーサ70は、上記のセパレータ60(湿式膜の基材層)よりも硬い。スペーサ70及びセパレータ60をそれぞれ所定の荷重で圧縮したときの変位量で硬さを数値化できる(後に詳述)。
上記の変位量が小さいほどより硬く、変位量が大きいほどより柔らかいこととなる。従って、スペーサ70における上記変位量は、セパレータ60における上記変位量よりも小さい。
上記のごとくスペーサ70がセパレータ60よりも硬いため、セパレータ60よりもスペーサ70の方がより変形しにくい。そのため、電極体2が膨張するときの反力によって、電極体2がスペーサ70を介してケース内面によって押圧されるときに、電極体2が外方へ膨張することをスペーサ70によってより抑制できる。よって、膨張がより内方へ向かいやすくなり、電極体2の巻回中心部分の空間zを小さくできる。
例えば下記の方法によってスペーサ70及びセパレータ60の各硬さを数値化して、硬さの差を数値化してもよい。
具体的には、スペーサ70及びセパレータ60をそれぞれ荷重7kNで圧縮したときに、セパレータ60の変位量が、スペーサ70の変位量よりも0.1mm/mm以上であってもよい。なお、斯かる変位量の差は、0.3mm/mm以下であってもよい。
上記のごとく変位量の差が0.1mm/mm以上であることにより、よりスペーサ70がセパレータ60よりも硬くなるため、上述の理由により、電極体2の外方への膨張をより抑制することができる。
なお、上記の変位量は、厚さ1mmあたりで表すため、変位量を測定するときのスペーサ70又はセパレータ60の厚さは、異なっていてもよく、ほぼ同じ厚さであればよい。例えば、複数枚のスペーサ70又はセパレータ60を重ね合わせて、1mm以上2mm以下程度の総厚さで7kNの荷重を加えてもよい。荷重を加えるときの圧子の面積は、3000mm以上であってもよく、4000mm以下であってもよい。圧子の表面積は、3680mmであることが好ましい。
なお、スペーサ70は、上記のごとく電極体2を挟み込むようにケース3内に2つ配置されてもよく、扁平形状の電極体2の一方の平面部分(平坦部の片方の面)のみに接するように、ケース3内に配置されてもよい。
ケース3は、上述したように電極体2を内部空間に収容しつつ、定寸となるように保持されてもよい。
「定寸となるように保持された蓄電素子」は、例えば、複数の蓄電素子1が一方向に並ぶように配置されて構成された蓄電装置100において設定される。
蓄電装置100において蓄電素子1が定寸となるように保持されているか否かは、同様に設計された蓄電装置100との比較によって判定できる。同様に設計された蓄電装置100とは、一方向に並んだ複数の蓄電素子1が(比較される蓄電装置と)同数であり、且つ、複数の蓄電素子1を定位置に固定するための固定具が(比較される蓄電装置と)同様の形状に構成される蓄電装置100を意味する。
このように同様に設計された蓄電装置100に対して、比較された蓄電装置100の全長の差が3%未満である場合に、比較された蓄電装置100におけるそれぞれの蓄電素子1は、定寸となるように保持されている。ここで、同様に設計された蓄電装置100と、比較される蓄電装置100とは、蓄電装置100の電圧が同じになるように適宜放電した上で比較を行う。
なお、蓄電装置100が1つの蓄電素子1と固定具とで構成される場合も、同様に設計された蓄電装置100と比較することによって、蓄電素子1が定寸となるように保持されているか否かを判定できる。
定寸となるように保持された蓄電素子1は、例えば上記のごとき蓄電装置を構成する各蓄電素子1である。
蓄電装置100を構成する蓄電素子1が定寸保持されている場合、各蓄電素子に加わる圧力を個別に調整することが困難である。そのため、蓄電素子1によっては、比較的大きい圧力が加わり得る。従って、電極体2に含まれるセパレータ60の湿式膜の細孔がよりつぶれやすい状況となり、セパレータ60の透気度が上昇しやすい状況となり得る。
本実施形態においては、扁平形状の電極体2が、厚さ方向においてケース3の内面と隙間のないように、ケース3内に配置される。ケース3としては、好ましくは膨らみにくいケース3が採用される。換言すると、定寸となるように蓄電素子1を保持すべく、電極体2を収容する前に対する収容した後のケース3の体積増加率が所定%未満(例えば10%未満)であるケース3が好ましい。扁平形状の電極体2を収容する前のケース長さと、収容した後のケース長さ(電極体2の厚さ方向におけるケース長さ)との差が、20%未満であってもよい。かかるケース3として、例えば、0.3mm以上の厚さを有する金属板によって構成される角形状(直方体形状)のケース3が挙げられる。当該ケース3は、1.5mm以下の厚さの金属板によって構成されてもよい。当該金属として、例えば、アルミニウム(アルミニウム合金を含む)、ステンレス鋼が挙げられる。
ケース3が膨らみにくいことによって、ケース3に収容された電極体2は外側から押さえ込まれることとなる。電極体2が外側から押さえ込まれる分、電極体2の巻回中心部分の空間zが狭くなる。
本実施形態の蓄電素子1において、扁平形状の電極体2及びスペーサ70がケース3に収容された状態において、電極体2の中央部における厚さ方向において、電極体2及びスペーサ70等が占める好ましい割合は、下記の通りである。
詳しくは、電極体2の巻回軸方向に垂直な平面で蓄電素子1(電極体2をケース3に収容した状態)を切断した断面(図2に示す断面)では、電極体2の厚さ(A)と、スペーサ70の総厚さ(B)と、ケース本体31内において互いに対向する内面間の距離(C)とが、以下の関係を満たすことが好ましい。
0.95C≦A+B≦1.00C
B/A=0.01以上0.08以下
A/C=0.90以上0.99以下
B/C=0.01以上0.08以下
(非水電解質)
非水電解質としては、公知の非水電解質の中から適宜選択できる。非水電解質には、非水電解液を用いてもよい。非水電解液は、非水溶媒と、この非水溶媒に溶解されている電解質塩とを含む。
非水溶媒としては、公知の非水溶媒の中から適宜選択できる。非水溶媒としては、環状カーボネート、鎖状カーボネート、カルボン酸エステル、リン酸エステル、スルホン酸エステル、エーテル、アミド、ニトリル等が挙げられる。非水溶媒として、これらの化合物に含まれる水素原子の一部がハロゲンに置換されたものを用いてもよい。
環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、クロロエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)、スチレンカーボネート、1-フェニルビニレンカーボネート、1,2-ジフェニルビニレンカーボネート等が挙げられる。これらの中でもEC又はPCが好ましい。
鎖状カーボネートとしては、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジフェニルカーボネート、トリフルオロエチルメチルカーボネート、ビス(トリフルオロエチル)カーボネート等が挙げられる。これらの中でもDMC又はEMCが好ましい。
非水溶媒として、環状カーボネート又は鎖状カーボネートを用いることが好ましく、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを併用することがより好ましい。環状カーボネートを用いることで、電解質塩の解離を促進して非水電解液のイオン伝導度を向上させることができる。鎖状カーボネートを用いることで、非水電解液の粘度を低く抑えることができる。環状カーボネートと鎖状カーボネートとを併用する場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの体積比率(環状カーボネート:鎖状カーボネート)としては、例えば、5:95から50:50の範囲とすることが好ましい。
電解質塩としては、公知の電解質塩から適宜選択できる。電解質塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、オニウム塩等が挙げられる。これらの中でもリチウム塩が好ましい。
リチウム塩としては、LiPF、LiPO、LiBF、LiClO、LiN(SOF)等の無機リチウム塩、LiSOCF、LiN(SOCF、LiN(SO、LiN(SOCF)(SO)、LiC(SOCF、LiC(SO等のハロゲン化炭化水素基を有するリチウム塩等が挙げられる。これらの中でも、無機リチウム塩が好ましく、LiPFがより好ましい。
非水電解液における電解質塩の含有量は、20℃1気圧下において、0.1mol/dm以上2.5mol/dm以下であると好ましく、0.3mol/dm以上2.0mol/dm以下であるとより好ましく、0.5mol/dm以上1.7mol/dm以下であるとさらに好ましく、0.7mol/dm以上1.5mol/dm以下であると特に好ましい。電解質塩の含有量を上記の範囲とすることで、非水電解液のイオン伝導度を高めることができる。
非水電解液は、非水溶媒と電解質塩以外に、添加剤を含んでもよい。添加剤としては、例えば、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)等のハロゲン化炭酸エステル;リチウムビス(オキサレート)ボレート(LiBOB)、リチウムジフルオロオキサレートボレート(LiFOB)、リチウムビス(オキサレート)ジフルオロホスフェート(LiFOP)等のシュウ酸エステル;リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)等のイミド塩;ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t-ブチルベンゼン、t-アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の芳香族化合物;2-フルオロビフェニル、o-シクロヘキシルフルオロベンゼン、p-シクロヘキシルフルオロベンゼン等の前記芳香族化合物の部分ハロゲン化物;2,4-ジフルオロアニソール、2,5-ジフルオロアニソール、2,6-ジフルオロアニソール、3,5-ジフルオロアニソール等のハロゲン化アニソール化合物;ビニレンカーボネート、メチルビニレンカーボネート、エチルビニレンカーボネート、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物;亜硫酸エチレン、亜硫酸プロピレン、亜硫酸ジメチル、プロパンスルトン、プロペンスルトン、ブタンスルトン、メタンスルホン酸メチル、ブスルファン、トルエンスルホン酸メチル、硫酸ジメチル、硫酸エチレン、スルホラン、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド、ジフェニルスルフィド、4,4’-ビス(2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチオラン)、4-メチルスルホニルオキシメチル-2,2-ジオキソ-1,3,2-ジオキサチオラン、チオアニソール、ジフェニルジスルフィド、ジピリジニウムジスルフィド、パーフルオロオクタン、ホウ酸トリストリメチルシリル、リン酸トリストリメチルシリル、チタン酸テトラキストリメチルシリル、モノフルオロリン酸リチウム、ジフルオロリン酸リチウム等が挙げられる。これら添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
非水電解液に含まれる添加剤の含有量は、非水電解液全体の質量に対して0.01質量%以上10質量%以下であると好ましく、0.1質量%以上7質量%以下であるとより好ましく、0.2質量%以上5質量%以下であるとさらに好ましく、0.3質量%以上3質量%以下であると特に好ましい。添加剤の含有量を上記の範囲とすることで、高温保存後の容量維持性能又はサイクル性能を向上させたり、安全性をより向上させたりすることができる。
本実施形態の蓄電素子1の形状については特に限定されるものではなく、例えば、円筒型電池、ラミネートフィルム型電池、角型電池、扁平型電池、コイン型電池、ボタン型電池等が挙げられる。
図1に角型電池の一例としての蓄電素子1(非水電解質蓄電素子)を示す。セパレータ60を挟んで巻回された正極40及び負極50を有する電極体2が角型のケース3(容器)に収納される。正極40は正極リード45を介して正極端子4と電気的に接続されている。負極50は負極リード55を介して負極端子5と電気的に接続されている。
<非水電解質蓄電装置の構成>
本実施形態の蓄電素子1は、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)等の自動車用電源、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器用電源、又は電力貯蔵用電源等に、複数の蓄電素子1を集合して構成した蓄電ユニット10(バッテリーモジュール)として搭載することができる。この場合、蓄電装置100に含まれる少なくとも一つの蓄電素子1に対して、本発明の技術が適用されていればよい。
図5に、電気的に接続された二以上の蓄電素子1が集合した蓄電ユニット10をさらに集合した蓄電装置100の一例を示す。蓄電装置100は、二以上の蓄電素子1を電気的に接続するバスバ(図示せず)、二以上の蓄電ユニット10を電気的に接続するバスバ(図示せず)等を備えていてもよい。蓄電ユニット10又は蓄電装置100は、一以上の蓄電素子1の状態を監視する状態監視装置(図示せず)を備えていてもよい。
なお、蓄電装置100は、複数の蓄電素子1を定位置に固定するための固定具を備えてもよい。蓄電装置100における蓄電素子1は、この固定具によって固定されることによって定寸で保持されていてもよい。
例えば、蓄電装置100は、一方向に並ぶ複数の蓄電素子1,1を、並び方向の両端側から挟み込むように配置された一対のエンドプレートと、一対のエンドプレートを連結するフレームとを備えてもよい。これによって、蓄電素子1を上記のごとく定寸で保持することができる。
<非水電解質蓄電素子の製造方法>
本実施形態の蓄電素子1の製造方法は、公知の方法から適宜選択できる。当該製造方法は、例えば、電極体2を準備することと、非水電解質を準備することと、電極体2及び非水電解質をケース3に収容することと、を備える。電極体2を準備することは、正極40及び負極50を準備することと、正極40及び負極50を、セパレータ60を介して積層又は巻回することにより電極体2を形成することとを備える。
非水電解質をケース3に収容することは、公知の方法から適宜選択できる。例えば、非水電解質に非水電解液を用いる場合、ケース3に形成された注入口から非水電解液を注入した後、注入口を封止すればよい。
<その他の実施形態>
尚、本発明の蓄電素子は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもよい。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成又は周知技術に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。また、ある実施形態の構成に対して周知技術を付加することができる。
上記実施形態では、蓄電素子1が充放電可能な非水電解質二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)として用いられる場合について説明したが、蓄電素子の種類、形状、寸法、容量等は任意である。本発明は、種々の二次電池、電気二重層キャパシタ又はリチウムイオンキャパシタ等のキャパシタにも適用できる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明する。本発明は以下の実施例に限定されない。
以下に示すようにして、各実施例及び各比較例の非水電解質二次電池(リチウムイオン二次電池)を製造した。
<電池の製造>
12μm厚さのアルミニウム箔の両面側に片面厚さ81μmの正極活物質層(正極活物質はリチウム遷移金属複合酸化物(LiNi1/3Co1/3Mn1/3))を形成し、正極を作製した。
8μm厚さの銅箔の両面側に片面厚さ78μmの負極活物質層(負極活物質は表1に示す難黒鉛化性炭素、黒鉛、又はケイ素)を形成し、負極を作製した。
厚さ20μmのポリエチレン製の湿式膜を基材層とするセパレータを介して、正極及び負極を重ね合わせ、さらに巻回することによって、寸法が横幅116mm、厚さ10.6mm、高さ57mmになるように、巻回型電極体を作製した。
さらに、厚さ0.15mm、横幅96.0×高さ56.3mmの大きさのスペーサを2つ、ケース本体(横幅120mm、厚さ12.5mm(内部空間の厚さ方向間隔が11.5mm)、高さ65mm)に入れた。扁平形状の電極体がケース本体内に挿入されたときに、電極体が2つのスペーサで両側から挟み込まれるように、ケース本体内に2つのスペーサを配置した。その後、電極体の各平坦面部分にそれぞれのスペーサが接触した状態となるように、ケース本体に電極体を挿入し、ケースを封止した。
なお、非水電解液は、非水溶媒に、塩濃度が1.2mol/LとなるようにLiPFを溶解させて、非水電解液を調製した。そして、下記の測定に応じて、適宜、ケースに注入した。ここで、非水溶媒として、実施例1及び比較例2においては、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)を、PC:DMC:EMC=30:35:35(体積%)となるように混合したものを用いた。実施例2及び比較例1においては、エチレンカーボネート(EC)、DMC、EMCを、EC:DMC:EMC=30:35:35(体積%)となるように混合したものを用いた。
<電池製造に用いたスペーサの硬さ及びセパレータの硬さの測定>
厚さ0.15mmのスペーサを10枚重ねた状態で、万能試験機 オートグラフ(島津製作所社製のAG-X)を用いて、表面積3680mmの圧子により荷重7kNを加えて1分間保持したときの変位量を測定した。厚さ1mmあたりの変位量を算出した。
その結果、実施例1、2及び比較例1で使用したスペーサ(ポリプロピレン製の中実体)の変位量(1mmあたり)は、0.10mm/mmであった。
比較例2で使用したスペーサ(ポリウレタン製の多孔質体)の変位量(1mmあたり)は、0.77mm/mmであった。
一方、厚さ20μm(0.020mm)のセパレータを50枚重ねた状態で、万能試験機 オートグラフ(島津製作所社製のAG-X)を用いて、表面積3680mmの圧子により荷重7kNを加えて1分間保持したときの変位量を測定した。この測定値を厚さ1mmあたりの変位量とした。
その結果、各実施例及び各比較例で使用したセパレータの変位量(1mmあたり)は、0.21mm/mmであった。
(実施例1及び2)
表1に示す負極活物質を用いて、上記のようにしてリチウムイオン二次電池を製造した。なお、スペーサ及びセパレータは、実施例1及び2において同じものである。
(比較例1及び2)
表1に示す負極活物質、スペーサ、及びセパレータを用いて、上記のようにしてリチウムイオン二次電池を製造した。
比較例1において、スペーサ及びセパレータとして実施例1と同じものを用い、また、負極活物質として実施例1とは異なるものを用いた。
比較例2において、スペーサとして実施例1と異なる多孔質体(寸法は同じ)を用いた。
実施例1及び2、並びに、比較例1及び2のリチウムイオン二次電池について後述する評価を行った結果を表1に示す。
<電極体の巻回中心部分の空間幅の測定>
電極体を挿入したケースが、電極体を挿入する前のサイズとなるように、ケースを定寸保持した。その状態で電極体の巻回中心部分のX線CT画像を、X線CTスキャン装置(島津製作所社製のマイクロフォーカスX線CTシステム inspeXio SMX-225CT FRD HR Plus)を用いて取得した。なお、X線CT画像は、巻回された電極体において折返し部同士を結ぶ方向に対して垂直な面で切断したときの断面を取得した。換言すると、図2において上下方向を向く仮想平面に沿うように、電極体を切断したときの断面を取得した。
取得したX線CT画像において、負極活物質層の端縁から内側に向けて34.5mmから35.5mmまでの幅1mmの領域を画像処理した。具体的には、その領域における電極及びセパレータの部分と、電極体の巻回中心部分の空間とを区別するために、画像を二値化した。
二値化によって黒く表されることとなった空間部分のピクセル数(pix)をカウントして、巻回中心部分の空間幅を算出した。
なお、1pix=77μm(1mm=13pix)という換算値を用いて、空間幅(空間の大きさ)を算出した。例えば、カウントされたピクセル数が200pixの場合、空間幅は、(200/13)×0.077=1.185mmとなる。
<電極体の膨張に伴って加わる反力の測定>
X線CT画像を取得した後の電池を、ロードセル(共和電業社製のLCX-A-ID)付きの治具を用いて、治具にケースの長側面全体が接触した状態で保持した。このとき、電極体が収容された状態のケースの寸法が、電極体が収容される前のケース寸法と同じになるように保持した。そして、負極活物質の利用率が0.5となるまで定電流充電することによって充電状態とした。なお、負極活物質の容量としては、利用率が1.0となるときの値として、難黒鉛化性炭素の場合に372mAh/g、黒鉛の場合に372mAh/g、Siの場合に4200mA/gの値を用いた。
ロードセルによって測定された値を充電状態において電極体に加わる反力とした。
<セパレータの透気度上昇率の測定>
上記のごとく製造した電池とは別に、実施例1と同様に設計した電池の電極体(湿式膜のセパレータを備える)と、実施例1におけるセパレータを厚さ20μmの乾式膜(ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレンの3層構造)に変更した電極体と、をそれぞれ準備した。
万能試験機 オートグラフ(島津製作所社製のAG-X)を用いて、ケース未挿入の状態の各電極体に所定の荷重(様々な荷重)を1分間加え、荷重を加えた後の電極体を解体し、セパレータの透気度を測定した。
荷重を加える前のセパレータ(電極体の作製に使用していない未使用のもの)の透気度を100%として、荷重を加えた各セパレータの透気度を相対値で算出した。その結果を表2及び表3に示す。
算出した各透気度比率と荷重との関係を表すプロットから、最小二乗法によって近似曲線(二次関数、切片を100とする)を作成した。
充電状態において電極体に対して加わる反力が、セパレータに加わる圧力そのものであると仮定した。上記の近似曲線を用いて、上記の反力の値のときにあたる、セパレータの透気度比率を求め、当該透気度比率から100%分を差し引くことで、各電池の透気度上昇率(表1参照)を算出した。
表1から把握されるように、本実施形態の蓄電素子は、電極体の巻回中心部分の空間が比較的小さく、且つ、湿式膜を有するセパレータの透気度の上昇が抑制されていた。
なお、表2及び表3から把握されるように、湿式膜を基材層として有するセパレータを備えた蓄電素子(電池)は、乾式膜のセパレータを備える蓄電素子よりも、セパレータの透気度が上昇しやすいという特有の課題を有するといえる。
1:蓄電素子(非水電解質二次電池)、
2:電極体、 21:平坦部、 22:折返し部、
y:境界部分、 z:電極体の巻回中心部分の空間、
3:ケース、 31:ケース本体、 32:蓋体、
4:正極端子、 5:負極端子、
40:正極、
41:正極基材、 42:正極活物質層、
50:負極、
51:負極基材、 52:負極活物質層、
60:セパレータ、 70:スペーサ、 80:絶縁シート、
10:蓄電ユニット、 100:蓄電装置。

Claims (5)

  1. 負極活物質を含む負極と、正極と、前記正極及び前記負極の間に配置されたセパレータとを有する巻回型の扁平形状の電極体と、
    前記電極体を収容したケースと、
    前記ケースの内部において前記電極体の平坦な外表面と前記ケース内面との間に配置されたスペーサと、
    を備え、
    前記セパレータが湿式膜を有し、
    前記負極活物質が炭素質材料又はチタン酸リチウムであり、
    前記スペーサが前記セパレータよりも硬い、蓄電素子。
  2. 前記負極活物質が、前記炭素質材料としての非黒鉛質炭素である、請求項1に記載の蓄電素子。
  3. 前記ケースが定寸となるように保持されている、請求項1又は2に記載の蓄電素子。
  4. 前記スペーサ及び前記セパレータをそれぞれ、表面積3680mmの圧子により荷重7kNで圧縮したときに、前記セパレータの変位量が、前記スペーサの変位量よりも0.1mm/mm以上大きい、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の蓄電素子。
  5. 前記電極体を覆い、前記電極体と前記ケースとの間を絶縁する絶縁シートを備え、
    前記ケースが金属製であり、
    前記スペーサは、前記電極体の平坦な外表面と前記絶縁シートとの間に配置されている、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の蓄電素子。
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