JP7471746B2 - チャックテーブル、及びチャックテーブルの製造方法 - Google Patents

チャックテーブル、及びチャックテーブルの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7471746B2
JP7471746B2 JP2020004382A JP2020004382A JP7471746B2 JP 7471746 B2 JP7471746 B2 JP 7471746B2 JP 2020004382 A JP2020004382 A JP 2020004382A JP 2020004382 A JP2020004382 A JP 2020004382A JP 7471746 B2 JP7471746 B2 JP 7471746B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
chuck table
suction
wafer
substrate
ring
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020004382A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021111750A (ja
Inventor
一馬 関家
智章 遠藤
幸容 増田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Disco Corp
Original Assignee
Disco Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Disco Corp filed Critical Disco Corp
Priority to JP2020004382A priority Critical patent/JP7471746B2/ja
Publication of JP2021111750A publication Critical patent/JP2021111750A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7471746B2 publication Critical patent/JP7471746B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Dicing (AREA)
  • Container, Conveyance, Adherence, Positioning, Of Wafer (AREA)
  • Constituent Portions Of Griding Lathes, Driving, Sensing And Control (AREA)

Description

本発明は、ウェーハを加工する加工装置において加工される該ウェーハを保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルの製造方法と、に関する。
携帯電話やパソコン等の電子機器に使用されるデバイスチップの製造工程では、まず、半導体等の材料からなるウェーハの表面に複数の互いに交差する分割予定ライン(ストリート)を設定する。そして、該分割予定ラインで区画される各領域にIC(Integrated Circuit)、LSI(Large-scale Integration)等のデバイスを形成する。その後、ウェーハを裏面側から研削して薄化し、該ウェーハを該分割予定ラインに沿って分割すると、個々のデバイスチップが形成される。該ウェーハは、様々な加工装置で加工される。
例えば、ウェーハを保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルで保持されたウェーハを分割予定ラインに沿って円環状の切削ブレードで切削する切削ユニットと、を備える切削装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
または、ウェーハの分割には、分割予定ラインに沿ってレーザビームを照射してウェーハをレーザ加工するレーザ加工装置が使用される(例えば、特許文献2参照)。レーザ加工装置は、ウェーハを保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルで保持されたウェーハに分割予定ラインに沿ってレーザビームを照射して該ウェーハに分割溝、または、分割の起点となる改質層を形成するレーザ加工ユニットと、を備える。
切削装置やレーザ加工装置が備えるチャックテーブルは、保持されるウェーハの大きさに対応した大きさの上面を有するポーラスセラミックスから構成される吸引部と、該吸引部を囲繞し収容する凹部を有する枠体と、から構成される。チャックテーブルは、外部に設けられた吸引源に一端が接続され、枠体を経て他端が吸引部に通じる吸引路を内部に備える。
吸引部はチャックテーブルの上面に露出しており、ウェーハは吸引部の上に載せられる。そして、吸引源により生じた負圧を吸引路及び吸引部を通じて該ウェーハに作用させると、ウェーハはチャックテーブルに吸引保持される。
特開2010-36275号公報 特開2012-2604号公報
チャックテーブル上で被加工物の加工が繰り返されると、ポーラスセラミックスの細孔にコンタミネーションが侵入して部分的に目詰まりを生じることがある。この場合、吸引部の上面の保持面の各所で吸引力が不均一となって被加工物が適切に保持されなくなり、加工精度が低下するとの問題を生じた。
この問題への対処方法としてコンタミネーションを除去することが考えられるが、洗浄等の方法で除去を実施するのは困難である。そのため、チャックテーブルに目詰まりが生じた場合、チャックテーブルの交換が必要となる。チャックテーブルを交換する間は加工装置を停止せねばならず、また、チャックテーブル自体のコストもかかるため、加工効率の低下の要因ともなっていた。
また、保持面の一部においてポーラスセラミックスに欠けが生じることがある。この場合、被加工物が分割されて形成されるチップが該欠けに落ち込んで、隣接するチップ間に段差が生じ、チップの外周に損傷が生じることがあった。
ここで、ポーラスセラミックスを備えないチャックテーブルとして、上面に同心円状に形成された複数のリング溝と、該リング溝を横切るように放射状に形成された複数の放射溝と、を備えるチャックテーブルが知られている。しかしながら、被加工物に十分な強度で負圧を作用させるために、リング溝及び放射溝の幅は、ポーラスセラミックスの細孔の大きさよりも大きく形成される。そのため、被加工物が分割されて形成されたチップが該リング溝及び該放射溝に脱落して破損が生じる恐れがある。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、目詰まりの解消が可能であり、欠けが生じず、かつ、チップの脱落が生じうる溝を上面に有しないチャックテーブルと、該チャックテーブルの製造方法と、を提供することである。
本発明の一態様によれば、ウェーハを保持するチャックテーブルであって、円板状のテーブル基板を備え、該テーブル基板は、リング状平滑部と、該リング状平滑部に囲繞され全面に凹凸が形成された凹凸部と、該リング状平滑部と該凹凸部との境界に沿って形成された複数の吸引孔と、を上面に有し、一端が該吸引孔に連通した吸引路を内部に有し、該凹凸部の上端部の高さは、該リング状平滑部の高さと同一であり、該テーブル基板の該上面は、溝を有さず、該テーブル基板の該上面に載る該ウェーハと、該テーブル基板と、の間の空間が該吸引孔及び該吸引路を通じて吸引されることで該ウェーハを吸引保持できることを特徴とするチャックテーブルが提供される。
好ましくは、該テーブル基板の該上面において、該凹凸部は、該リング状平滑部よりも粗い。
また、好ましくは、該凹凸部の表面粗さ(Rz)は、50μm以上100μm以下であり、該リング状平滑部の表面粗さ(Rz)は、25μm以下である。
また、好ましくは、該テーブル基板は、アルミニウムで構成される。
また、本発明の他の一態様によれば、ウェーハを保持するチャックテーブルの製造方法であって、上面が平坦な円板状のテーブル基板を準備する準備ステップと、該上面の外周部上に保護部材を配設するとともに該上面の該外周部に囲繞された中央部を露出させる保護部材配設ステップと、該テーブル基板の該上面の露出された該中央部に薬液によるエッチングを実施し、該上面の該中央部に凹凸部を形成するとともに該保護部材で保護された該外周部をリング状平滑部とすることで、該上面に該凹凸部及び該リング状平滑部を有する該テーブル基板を備えるチャックテーブルを形成するエッチングステップと、該テーブル基板の該上面に配設された該保護部材を除去する保護部材除去ステップと、該保護部材除去ステップの後、該テーブル基板の該上面の該リング状平滑部と該凹凸部との境界に複数の吸引孔を形成するとともに、一端が該吸引孔に連通した吸引路を該テーブル基板の内部に形成する吸引路形成ステップと、を含むことを特徴とするチャックテーブルの製造方法が提供される。
本発明の一態様に係るチャックテーブル及びチャックテーブルの製造方法では、該チャックテーブルが備える円板状のテーブル基板の上面に、リング状平滑部と、該リング状平滑部に囲繞され全面に凹凸が形成された凹凸部と、が設けられる。該テーブル基板の上面にウェーハを載せ、該ウェーハと、該テーブル基板と、の間の空間を吸引すると、該ウェーハを該チャックテーブルで吸引保持できる。
該チャックテーブルは、ポーラスセラミックスから構成される吸引部を有する従来のチャックテーブルとは異なり、コンタミネーションによる目詰まりが生じても洗浄等の方法によりコンタミネーションの除去が可能である。そのため、チャックテーブルの交換頻度を低減できる。
また、上面の凹凸部ではポーラスセラミックスの上面に生じるような大きな欠けが生じないため、ウェーハから形成されたチップ間に段差が生じてチップの外周に欠けを生じることもない。さらに、本実施形態に係るチャックテーブルの上面には、チップの脱落が生じるような溝もない。
したがって、本発明の一態様によると、目詰まりの解消が可能であり、欠けが生じず、かつ、チップの脱落が生じうる溝を上面に有しないチャックテーブルと、該チャックテーブルの製造方法と、が提供される。
フレームユニットを模式的に示す斜視図である。 加工装置を模式的に示す斜視図である。 テーブルベースの上に配設されたチャックテーブルを模式的に示す斜視図である。 テーブルベースと、チャックテーブルと、を模式的に示す斜視図である。 図5(A)は、準備ステップを模式的に示す斜視図であり、図5(B)は、ケミカルブラストが実施された後のテーブル基板を模式的に示す斜視図である。 図6(A)は、吸引孔が形成されたテーブル基板を模式的に示す斜視図であり、図6(B)は、吸引孔が形成されたテーブル基板を模式的に示す斜視図である。 図7(A)は、チャックテーブル及びウェーハを模式的に示す断面図であり、図7(B)は、チャックテーブル及びウェーハを模式的に示す断面図である。 チャックテーブルの上部を拡大して模式的に示す断面図である。 図9(A)は、チャックテーブルの製造方法の各ステップのフローを示すフローチャートであり、図9(B)は、チャックテーブルの製造方法の変形例の各ステップのフローを示すフローチャートである。
添付図面を参照して、本発明の一態様に係る実施形態について説明する。まず、本実施形態に係るチャックテーブルが使用される加工装置と、該チャックテーブルで保持されて加工されるウェーハについて説明する。図1は、ウェーハ1を含むフレームユニット11を模式的に示す斜視図である。フレームユニット11は、開口7aを備える環状のフレーム7と、開口7aを塞ぐように該フレーム7に配設されたシート9と、開口7aの内側でシート9に配設されたウェーハ1と、を備える。
ウェーハ1は、例えば、Si(シリコン)、SiC(シリコンカーバイド)、GaN(窒化ガリウム)、GaAs(ヒ化ガリウム)、若しくは、その他の半導体等の材料、または、サファイア、ガラス、石英等の材料からなる略円板状の基板等である。
ウェーハ1の表面1aは、互いに交差する複数の分割予定ライン3で区画される。ウェーハ1の表面1aの分割予定ライン3で区画された各領域には、ICやLSI、LED(Light Emitting Diode)等のデバイス5が形成される。加工装置を使用して分割予定ライン3に沿ってウェーハ1を分割すると、個々のデバイスチップが形成される。
ウェーハ1は、加工装置に搬入される前にシート9及びフレーム7と一体化される。そして、ウェーハ1と、シート9と、フレーム7と、を含むフレームユニット11が形成される。ウェーハ1は、フレームユニット11の状態で加工装置に搬入され、加工される。ウェーハ1が分割されて形成された個々のデバイスチップは、シート9に支持される。その後、シート9を拡張することでデバイスチップ間の間隔を広げると、デバイスチップのピックアップが容易となる。
環状のフレーム7は、例えば、金属等の材料で形成され、ウェーハ1の径よりも大きい径の開口7aを備える。フレームユニット11を形成する際は、ウェーハ1は、フレーム7の開口7a内に位置付けられ、開口7aに収容される。
シート9は、フレーム7の開口7aよりも大きい径を有する。シート9は、例えば、基材層と、該基材層の上に形成された粘着層と、を備えるダイシングテープと呼ばれるテープである。シート9がダイシングテープである場合、シート9は、粘着層で発現する粘着力によりフレーム7及びウェーハ1の裏面1bに貼着されることで配設される。または、シート9は、例えば、ポリオレフィン系シートやポリエステル系シート等の粘着層を備えない樹脂系シートでもよい。
ポリオレフィン系シートは、アルケンをモノマーとして合成されるポリマーのシートであり、例えば、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシート、または、ポリスチレンシートである。ポリエステル系シートは、ジカルボン酸(2つのカルボキシル基を有する化合物)と、ジオール(2つのヒドロキシル基を有する化合物)と、をモノマーとして合成されるポリマーのシートである。例えば、ポリエチレンテレフタレートシート、または、ポリエチレンナフタレートシートである。
シート9が粘着性を備えない樹脂系シートである場合、ウェーハ1及びフレーム7にシート9を貼着できない。しかしながら、熱可塑性を有する樹脂系シートは、所定の圧力を印加しながらウェーハ1の裏面1b及びフレーム7と接合させた状態で融点近傍の温度まで加熱すると、部分的に溶融してウェーハ1の裏面1b及びフレーム7に熱圧着できる。すなわち、シート9が樹脂系シートである場合、シート9は熱圧着によりウェーハ1及びフレーム7に配設される。
ただし、本実施形態に係るチャックテーブルで保持されて加工されるウェーハ1は、フレーム7及びシート9と一体化される必要はない。すなわち、ウェーハ1はシート9を介して該チャックテーブルで吸引保持される必要はなく、ウェーハ1と、該チャックテーブルと、が直接接触した状態でウェーハ1が吸引保持されてもよい。以下、ウェーハ1がフレーム7及びシート9と一体化されている場合を例に説明するが、ウェーハ1の状態はこれに限定されない。
次に、フレームユニット11に含まれるウェーハ1を加工する加工装置について説明する。ウェーハ1を分割予定ライン3に沿って分割する際には、例えば、環状の切削ブレードを備える切削装置が使用される。または、例えば、ウェーハ1にレーザビームを照射してウェーハ1をレーザ加工するレーザ加工装置が使用される。以下、本実施形態に係る加工装置が切削装置である場合を例に加工装置について説明するが、本実施形態に係る加工装置は切削装置に限定されない。
図2は、本実施形態に係るチャックテーブルが使用される加工装置の一例である切削装置2を模式的に示す斜視図である。図2に示す通り、切削装置2の基台4の角部には、カセット13が載置されるカセットテーブル6が設けられている。カセットテーブル6は、昇降機構(不図示)により上下方向(Z軸方向)に昇降可能である。図2では、カセットテーブル6に載置されたカセット13の輪郭を二点鎖線で示している。
基台4の上面のカセットテーブル6に隣接する位置には、Y軸方向(左右方向、割り出し送り方向)に平行な状態を維持しながら互いに接近、離隔される一対のガイドレール8を含む仮置きテーブル10が設けられている。また、基台4の上面の仮置きテーブル10に隣接する位置には、カセットテーブル6に載置されたカセット13に収容されたフレームユニット11をカセット13から搬出する搬出ユニット12が設けられている。搬出ユニット12は、フレーム7を把持できる把持部を前面に有する。
カセット13に収容されたフレームユニット11を搬出する際には、搬出ユニット12をカセット13に向けて移動させ、該把持部でフレーム7を把持し、その後、搬出ユニット12をカセット13から離れる方向に移動させる。すると、カセット13からフレームユニット11が仮置きテーブル10に引き出される。このとき、一対のガイドレール8をX軸方向に互い近接する方向に連動させて移動させ、該一対のガイドレール8でフレーム7を挟み込むと、フレームユニット11を所定の位置に位置付けられる。
基台4の上面のカセットテーブル6に隣接する位置には、X軸方向(前後方向、加工送り方向)に長い開口4aが形成されている。開口4a内には、図示しないボールねじ式のX軸移動機構(加工送りユニット)と、X軸移動機構の上部を覆う蛇腹状の防塵防滴カバー26と、が配設されている。
X軸移動機構は、X軸移動テーブル16の下部に接続されており、このX軸移動テーブル16をX軸方向に移動させる機能を有する。例えば、X軸移動テーブル16は、カセットテーブル6に近接する搬出入領域と、後述の切削ユニット32の下方の加工領域と、の間を移動する。
X軸移動テーブル16上には、テーブルベース18と、該テーブルベース18に載る本実施形態に係るチャックテーブル20と、が設けられている。チャックテーブル20は、ウェーハ1を含むフレームユニット11を保持する機能を有し、上面が保持面22となる。チャックテーブル20の径方向外側には、フレーム7を把持するクランプ24が設けられている。チャックテーブル20は、上述したX軸移動機構によってX軸方向に移動する。
図4には、テーブルベース18を模式的に示す斜視図が含まれている。テーブルベース18は上面中央に凹部18aを有し、凹部18aの底面には吸引孔18bと、テーブル吸引孔18cと、が形成されている。吸引孔18b及びテーブル吸引孔18cは、それぞれ、図示しない吸引源に通じている。
凹部18aには、チャックテーブル20の底面に形成された凸部42a(図7(A)等参照)が収容される。すなわち、テーブルベース18の凹部18a及びチャックテーブル20の凸部42aは、互いに対応する形状に形成されており、該凹部18aに該凸部42aが収容されたとき該凹部18aの底面と、該凸部42aの底面42bと、が接触する。
このとき、吸引孔18bがチャックテーブル20の吸引路54(図7(A)等参照)に連通するとともに、テーブル吸引孔18cが凸部42aの底面42bに対面する。そして、テーブル吸引孔18cを通じてチャックテーブル20に負圧を作用させると、チャックテーブル20がテーブルベース18上に固定される。本実施形態に係るチャックテーブル20について、詳細は後述する。
仮置きテーブル10からチャックテーブル20へのフレームユニット11の搬送は、基台4の上面の仮置きテーブル10及び開口4aに隣接する位置に設けられた第1の搬送ユニット14により実施される。第1の搬送ユニット14は、基台4の上面から上方に突き出た昇降可能であるとともに回転可能な軸部と、軸部の上端から水平方向に伸長した腕部と、腕部の先端下方に設けられた保持部と、を有する。
第1の搬送ユニット14で仮置きテーブル10からチャックテーブル20へフレームユニット11を搬送する際には、X軸移動テーブル16を移動させてチャックテーブル20を搬出入領域に位置付ける。そして、仮置きテーブル10に仮置きされているフレームユニット11のフレーム7を該保持部で保持し、フレームユニット11を持ち上げて、該軸部を回転させてフレームユニット11をチャックテーブル20の上方に移動させる。
その後、フレームユニット11を下降させてチャックテーブル20の保持面22に載せる。そして、クランプ24でフレーム7を固定するとともに、チャックテーブル20でフレームユニット11のシート9を介してウェーハ1を吸引保持する。
切削装置2は、X軸移動テーブル16の搬出入領域から加工領域への移動経路の上方に、開口4aを横切るように配設された支持構造28を備える。そして、支持構造28には下方に向いた撮像ユニット30が設けられている。撮像ユニット30は、切削ユニット32の下方の加工領域へ移動するチャックテーブル20に吸引保持されたウェーハ1の表面1aを撮像し、表面1aに設けられた分割予定ライン3の位置及び向きを検出する。
該加工領域には、チャックテーブル20に保持されたフレームユニット11のウェーハ1を切削(加工)する切削ユニット(加工ユニット)32が設けられている。切削ユニット32は、円環状の砥石部を外周に備える切削ブレード34と、先端部に切削ブレード34が装着され該切削ブレード34の回転軸となるY軸方向に沿ったスピンドル36と、を備える。
スピンドル36の基端側には、モータ等の回転駆動源(不図示)が連結されている。チャックテーブル20で保持されたフレームユニット11に含まれるウェーハ1に回転する切削ブレード34を切り込ませると、ウェーハ1を切削(加工)できる。すべての分割予定ライン3に沿ってウェーハ1を切削すると、ウェーハ1が分割されて個々のデバイスチップが形成される。その後、チャックテーブル20は、X軸移動機構により搬出入領域に移動される。
基台4の上面の仮置きテーブル10及び開口4aに隣接する位置には開口4bが形成されており、開口4bには加工後のフレームユニット11を洗浄する洗浄ユニット38が収容されている。洗浄ユニット38は、フレームユニット11を保持するスピンナテーブルを備えている。スピンナテーブルの下部には、スピンナテーブルを所定の速さで回転させる回転駆動源(不図示)が連結されている。
切削装置2は、搬出入領域に位置付けられたチャックテーブル20から洗浄ユニット38にフレームユニット11を搬送する第2の搬送ユニット40を備える。第2の搬送ユニット40は、Y軸方向に沿って移動可能な腕部と、腕部の先端下方に設けられた保持部と、を有する。
第2の搬送ユニット40でチャックテーブル20から洗浄ユニット38へフレームユニット11を搬送する際には、まず、フレームユニット11を該保持部で保持する。そして、腕部をY軸方向に沿って移動させ、フレームユニット11を洗浄ユニット38のスピンナテーブルの上に載せる。その後、スピンナテーブルでフレームユニット11を保持してウェーハ1を洗浄する。
洗浄ユニット38でウェーハ1を洗浄する際には、スピンナテーブルを回転させながらウェーハ1の表面1aに向けて洗浄用の流体(代表的には、水とエアーとを混合した混合流体)を噴射する。そして、洗浄ユニット38で洗浄されたフレームユニット11は、カセットテーブル6に載るカセット13に収容される。
カセット13にフレームユニット11を収容する際には、第1の搬送ユニット14を使用して洗浄ユニット38から仮置きテーブル10にフレームユニット11を搬送する。そして、搬出ユニット12をカセット13に向けて移動させてフレームユニット11をカセット13に押し入れる。
このように、切削装置2では、カセット13からフレームユニット11が搬出され、フレームユニット11がチャックテーブル20で吸引保持され、フレームユニット11に含まれるウェーハ1が切削ユニット32で加工される。その後、フレームユニット11が洗浄ユニット38で洗浄されてカセット13に再び収容される。切削装置2では、カセット13から次々にフレームユニット11が搬出され、チャックテーブル20上において切削ユニット32で次々にウェーハ1が切削される。
従来のチャックテーブルは、ウェーハ1の径と同程度の径を有するポーラスセラミックスで構成された吸引部と、該吸引部を収容する凹状の枠体と、有し、該吸引部が上面に露出して保持面を形成していた。チャックテーブルの上にシート9を介してウェーハ1を載せ、吸引部を通してウェーハ1に負圧を作用させると、ウェーハ1が該チャックテーブルで吸引保持された。このようなチャックテーブルは、レーザ加工装置等の加工装置でも使用された。
ここで、チャックテーブル上でウェーハの加工が繰り返されると、ポーラスセラミックスの細孔にコンタミネーションが侵入して部分的に目詰まりを生じることがある。この場合、吸引部の上面の保持面の各所で吸引力が不均一となってウェーハ1が適切に保持されなくなり、加工精度が低下するとの問題を生じた。
ここで、コンタミネーションを除去することでチャックテーブルの機能を回復することが考えられる。しかしながら、ポーラスセラミックスの細孔にはまり込んだコンタミネーションを洗浄等の方法で除去するのは困難である。そのため、該チャックテーブルに目詰まりが生じた場合、チャックテーブルの交換が必要となる。チャックテーブルを交換する間は切削装置(加工装置)2を停止せねばならず、また、チャックテーブル自体のコストもかかるため、加工効率の低下の要因ともなっていた。
さらに、保持面の一部においてポーラスセラミックスに欠けが生じることがあった。この場合、形成されたチップが該欠けに落ち込んで、隣接するチップ間に段差が生じ、チップの外周に欠けが生じることがあった。
また、ポーラスセラミックスを備えないチャックテーブルとして、上面に同心円状に形成された複数のリング溝と、該リング溝を横切るように放射状に形成された複数の放射溝と、を備えるチャックテーブルが知られている。しかしながら、被加工物に十分な強度で負圧を作用させるために、リング溝及び放射溝の幅は、ポーラスセラミックスの細孔の大きさと比べて大きく形成される。そのため、ウェーハ1が分割されて形成されたチップが該リング溝及び該放射溝に脱落して破損が生じる恐れがある。
そこで、ポーラスセラミックスを備えるチャックテーブルや、上面にリング溝及び放射溝が形成されたチャックテーブルにおけるこのような問題を解消または防止できる本実施形態に係るチャックテーブル20が提供される。ただし、本実施形態に係るチャックテーブル20により解決される課題はこれに限定されず、該課題に代えて他の課題が解決されてもよい。以下、本実施形態に係るチャックテーブル20について詳述する。
図3は、テーブルベース18の上に装着されたチャックテーブル20を模式的に示す斜視図である。また、図4には、チャックテーブル20を模式的に示す斜視図が含まれている。さらに、図7(A)は、チャックテーブル20を模式的に示す断面図である。また、図8は、チャックテーブル20のテーブル基板42の上部を拡大して模式的に示す断面図である。
チャックテーブル20は、円板状のテーブル基板42を備える。テーブル基板42は、吸引保持の対象となるウェーハ1の径以上の径とされる。すなわち、切削装置2では、切削されるウェーハ1の径に対応する適切な径のテーブル基板42を備えるチャックテーブル20が選択され使用される。
チャックテーブル20のテーブル基板42は、リング状平滑部46と、リング状平滑部46に囲繞され全面に凹凸が形成された凹凸部48と、を上面44に有する。図8に示す通り、凹凸部48には無数の凹凸形状が形成されており、凹凸部48の上端部48aの高さはリング状平滑部46の高さと同一である。
テーブル基板42の上面44において、凹凸部48は、リング状平滑部46よりも粗い。例えば、凹凸部48の表面粗さ(Rz)は、50μm以上100μm以下であり、リング状平滑部46の表面粗さ(Rz)は、25μm以下である。ここで、表面粗さ(Rz)とは、例えば、最大高さと呼ばれる数値である。粗さ計により得られた粗さ曲線の一部を基準長さで抜き出したとき、該基準長さにおける該粗さ曲線の最も高い山の高さと最も深い谷の深さとの和で算出される数値である。
テーブル基板42の上面44には、リング状平滑部46と凹凸部48との境界50に沿って複数の吸引孔52が形成されている。また、テーブル基板42は、一端が吸引孔52に連通した吸引路54を内部に有する。チャックテーブル20がテーブルベース18の上に装着されたとき、吸引路54は、テーブルベース18の吸引孔18bと連通する。すなわち、吸引孔52は、吸引路54及び吸引孔18bを通じて吸引源に接続される。
テーブルベース18の上に装着されたチャックテーブル20でウェーハ1を吸引保持する場合、図7(A)に示す通り、シート9を介してウェーハ1をチャックテーブル20の保持面22上に載せる。このとき、例えば、ウェーハ1は、凹凸部48と重なり、かつ、リング状平滑部46に重ならない。
チャックテーブル20にシート9を介してウェーハ1を載せたとき、ウェーハ1と、テーブル基板42と、の間に空間48b(図8参照)が形成される。そして、空間48bは、シート9により密閉される。空間48bの形状は、主に凹凸部48の形状により決定される。空間48bは、テーブル基板42の上面44に沿って凹凸部48の凹部が互いに連結されて形成されている。そして、ウェーハ1は、凹凸部48を構成する無数の凸部で支持される。
さらに、図8に示す通り、空間48bは吸引孔52で吸引路54に連通している。したがって、テーブルベース18の吸引孔18bに接続された吸引源を作動させると、空間48bが吸引孔18bと、吸引路54と、吸引孔52と、を通じて吸引される。そして、ウェーハ1がチャックテーブル20で吸引保持される。すなわち、空間48bも吸引経路として機能する。なお、空間48bは比較的平坦なリング状平滑部46に囲まれており、負圧が外部に漏れにくく、十分な強さで該負圧をウェーハ1に作用できる。
ここで、本実施形態に係るチャックテーブル20では、凹凸部48自体は吸引経路とはならず、吸引孔52が吸引経路となる。そのため、本実施形態に係るチャックテーブル20では、吸引路として機能するポーラスセラミックスを備えるチャックテーブルと異なり、凹凸部48に侵入したコンタミネーションが吸引力によって凹部にはまり込むことがない。
そのため、チャックテーブル20の保持面22を洗浄することでコンタミネーションの除去が可能である。すなわち、チャックテーブル20にコンタミネーションに起因する吸引力の低下や局在化が生じた場合においても、テーブルベース18上または外部において保持面22を洗浄することでチャックテーブル20の再生が可能である。したがって、チャックテーブル20の交換頻度を低減でき、切削装置2における加工の停止期間を短縮化でき、その結果、ウェーハ1の加工効率を向上できる。
また、凹凸部48では、ポーラスセラミックスの上面に生じるような欠けが生じにくいため、ウェーハ1から形成されたチップ間に段差が生じてチップの外周に欠けを生じることもない。さらに、本実施形態に係るチャックテーブル20の上面には、チップの脱落が生じるような溝もない。したがって、本実施形態に係るチャックテーブル20でウェーハ1を吸引保持すると、ウェーハ1を高品質に加工できる。
ここで、本実施形態に係るチャックテーブル20は、フレーム7及びシート9と一体化されていないウェーハ1を吸引保持することもできる。この場合、吸引孔52を介して提供される負圧の漏洩を防止してウェーハ1に適切に作用させるために、ウェーハ1と、テーブル基板42と、の間の空間48bをウェーハ1で密閉する必要がある。
すなわち、図7(B)に示す通り、ウェーハ1の外周領域1cがリング状平滑部46に載るように、かつ、ウェーハ1の該外周領域1cに囲まれた中央領域1dが凹凸部48の上端部48aに載るように位置を調整する。この場合、空間48bはリング状平滑部46に囲まれており、ウェーハ1とリング状平滑部46との間に大きな隙間が生じない。そのため、負圧が外部に漏れにくく、十分な強さで該負圧をウェーハ1に作用できる。
なお、フレーム7及びシート9と一体化され、フレームユニット11を構成するウェーハ1についても、外周領域1cがリング状平滑部46に載るように、かつ、中央領域1dが凹凸部48の上端部48aに載るように位置を調整してもよい。
次に、本実施形態に係るチャックテーブル20の製造方法について説明する。該製造方法では、上面44が平坦な円板状のテーブル基板42を準備し、テーブル基板42の上面44の中央部に凹凸部48を形成する。すると、テーブル基板42の上面44の凹凸部48の周辺がリング状平滑部46となる。図9(A)は、該製造方法の各ステップのフローを示すフローチャートである。以下、各ステップについて詳述する。
該チャックテーブル20の製造方法では、まず、上面44が平坦な円板状のテーブル基板42を準備する準備ステップS10を実施する。図5(A)は、準備ステップS10を模式的に示す斜視図である。ここで、準備ステップS10では、製造するチャックテーブル20による吸引保持の対象となるウェーハ1の径よりも大きな径の上面44を備えるテーブル基板42を準備する。
また、テーブル基板42は、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金で構成される。ただし、テーブル基板42の材料はこれに限定されず、後述のケミカルブラストが実施可能な材料から適宜選択される。テーブル基板42の底面側には、切削装置2のテーブルベース18の上面の凹部18aに収容される凸部42aを予め形成しておく。
その後、本実施形態に係るチャックテーブル20の製造方法では、テーブル基板42の上面44の凹凸部48を形成しない領域に保護部材を形成する保護部材配設ステップS20と、ケミカルブラストステップS30と、保護部材除去ステップS40と、を実施する。図5(B)は、凹凸部48が形成されたテーブル基板42を模式的に示す斜視図である。テーブル基板42の上面44の凹凸部48の周囲は、リング状平滑部46となる。
保護部材配設ステップS20では、テーブル基板42の上面44の外周部上に保護部材(不図示)を配設するとともに該上面44の該外周部に囲繞された中央部を露出させる。ここで、保護部材が配設される該上面44の外周部はリング状平滑部46となる領域と一致しており、保護部材が配設されない中央部は凹凸部48となる領域と一致する。
保護部材には、次に説明するケミカルブラストステップS30において実施されるケミカルブラストに耐性を有する部材が使用される。すなわち、該保護部材は、ケミカルブラストの条件に応じて適宜選択される。ケミカルブラストステップS30では、後述の通り、テーブル基板42の該中央部に対して様々な薬液処理等が実施されるため、該保護部材は該薬液処理に耐性を有する材料が使用される。
保護部材には、例えば、シリコーン系の樹脂材料で形成された粘着層を備えるテープが使用される。該テープは、例えば、ポリイミド系の樹脂材料で形成された基材層を備える。例えば、テーブル基板42の径よりも大きい幅を有するテープを準備し、該テープに凹凸部48の形状に対応する形状の穴を形成するように該テープを切断する。そして、該穴が形成されたテープをテーブル基板42の上面44に貼着し、上面44の該外周部を該テープで保護しつつ、該中央部を露出させる。
または、保護部材には、例えば、フォトレジスト材料が使用される。すなわち、フォトレジスト材料をテーブル基板42の上面44に形成し、該中央部上または該外周部上で該フォトレジスト材料に光を照射して変質させる。その後、中央部上のフォトレジスト材料を除去することで該中央部を露出させるとともに該外周部上に保護部材を残す。
ただし、保護部材の配設方法はこれに限定されない。例えば、保護部材は、印刷法によりテーブル基板42の上面44の外周部に配設されてもよい。また、保護部材配設ステップS20では、上面44の該中央部以外のテーブル基板42の外表面にも保護部材が配設されてもよい。
ケミカルブラストステップS30では、テーブル基板42の上面44の露出された該中央部にケミカルブラストを実施して、該上面44の該中央部に凹凸部48を形成するとともに該保護部材で保護された該外周部をリング状平滑部46とする。すると、上面44に凹凸部48及びリング状平滑部46を有するテーブル基板42を備えるチャックテーブル20が形成される。
ケミカルブラストステップS30について詳述する。ここで、ケミカルブラストとは、各種の薬液を被加工物の表面に作用させて化学反応を生じさせ、該表面を粗化する処理のことをいう。ケミカルブラストでは、粒子を被加工物の表面に打ち付けて表面を物理的に粗化する一般的なブラスト処理とは異なり、薬液によるエッチングを主とした処理が実施される。ケミカルブラストを実施すると、一般的なブラスト処理で得られる表面粗さよりも表面粗さの大きい表面が得られる。
なお、ケミカルブラストは、例えば、特開2006-291259号公報に開示される方法により実施されるとよい。ただし、ケミカルブラストの条件はこれに限定されない。
ケミカルブラストステップS30では、第1段階として、鉄族金属の金属塩と、アルミニウム等に対して腐食能を有する酸と、の混合水溶液中にテーブル基板42を浸漬し、置換反応により該上面44に金属を析出させる。その後、第2段階として、アルカリ金属塩を含む溶液中にテーブル基板42を浸漬して上面44の中央部を粗化する。なお、ケミカルブラストステップS30では、その後、第3段階として、導電性アルマイト被膜を該上面44に形成してもよい。
該第1段階では、まず、前処理として55~65℃の温度で5~20g/Lの濃度でリン酸ナトリウムを含む水溶液に10~20分間浸漬して、該テーブル基板42を脱脂処理する。好ましくは、60℃の温度で15g/Lの濃度のリン酸ナトリウム水溶液中にテーブル基板42を10分間浸漬する。
次に、テーブル基板42を40~60℃の温度で10~50g/Lの濃度の苛性ソーダに1~5分間浸漬してエッチングし、その後、テーブル基板42を室温で10~50g/Lの濃度の硝酸に30秒間~3分間浸漬してデスマット処理を行う。好ましくは、テーブル基板42を50℃の温度で15g/Lの濃度の苛性ソーダに3分間浸漬してエッチングし、その後、テーブル基板42を室温で20g/Lの硝酸に1分間浸漬してデスマット処理を行う。
さらに、硫酸、塩酸、または、フッ酸等のアルミニウムに対して腐食能のある酸に鉄、または、ニッケル等の鉄族金属塩を添加した水溶液を作成し、該水溶液にテーブル基板42を浸漬させてテーブル基板42の上面44に金属粒子を析出させる。必要であればテーブル基板42を負極として2~5Vで電解を行うことで金属粒子の析出密度を上げてもよい。
より詳細には、1~30g/Lの濃度で塩化ニッケルまたは塩化第二鉄を含み、100g/L以下の濃度で硫酸等の酸を含む混合水溶液中に30~50℃の温度でテーブル基板42を10~120分間浸漬し、上面44の該中央部に金属粒子を付着させる。
好ましくは、15g/Lで塩化ニッケルを含み、50g/Lの濃度で硫酸を含む混合水溶液中に40℃の温度でテーブル基板42を120分間浸漬させる。または、好ましくは、15g/Lで塩化第二鉄を含み、30g/Lの濃度で酸性フッ化アンモニウムを含む混合水溶液中に40℃の温度でテーブル基板42を20分間浸漬させる。
ケミカルブラストステップS30では、第2段階としてアルカリ金属塩を含む溶液中にテーブル基板42を浸漬して上面44の中央部を粗化する。該第2段階では、テーブル基板42を40~60℃の温度で10~50g/Lの濃度の苛性ソーダに5~20分間浸漬してエッチングし、その後、テーブル基板42を室温で10~50g/Lの濃度の硝酸に30秒間~3分間浸漬してデスマット処理を行う。
好ましくは、テーブル基板42を50℃の温度で15g/Lの濃度の苛性ソーダに5分間浸漬してエッチングし、その後、テーブル基板42を室温で20g/Lの硝酸に1分間浸漬してデスマット処理を行う。
さらに、ケミカルブラストステップS30では、最終の表面処理となる第3段階として、導電性アルマイト被膜をテーブル基板42の上面44に形成してもよい。より詳細には、アルマイト被膜を形成した上で、該アルマイト被膜を薄化して電気伝導性を向上させ、アルマイト被膜の電気伝導性を向上させる。チャックテーブル20に保持されるフレームユニット11の帯電を防止するために、テーブル基板42の上面44の抵抗値は低いことが好ましい。
該第3段階では、テーブル基板42を0~30℃の温度で100~300g/Lの濃度の硫酸溶液に浸漬させ、5~50Vで電解を行い、上面44にアルマイト被膜を形成する。好ましくは、20℃の温度で200g/Lの濃度の硫酸溶液にて、電解電圧10Vで30分間電解を実施してアルマイト被膜を形成する。
アルマイト被膜は、細孔を含む多孔質層と呼ばれる部分と、密なバリヤー層と呼ばれる部分と、を含む。このバリヤー層が高抵抗であるため、このバリヤー層の厚さを調節することでアルマイト被膜の導電性を向上させる。具体的には、アルマイト被膜の形成後に電解電圧を下降させることでバリヤー層を電気化学的に溶解させて、該バリヤー層の厚さを調整する。
さらに、アルマイト被膜の導電性を向上させるために、二次電解と呼ばれる手法によりアルマイト被膜の多孔質層に金属を含ませてもよい。具体的には、ニッケル、コバルト、銀、銅、スズ、亜鉛、またはクロム等を含む金属塩を1~100g/Lの濃度で含む硫酸溶液にテーブル基板42を浸漬させ、3~30Vの電解電圧で二次電解を実施する。好ましくは、5g/Lの濃度で硝酸銀を含む50g/Lの濃度の硫酸溶液を30℃の温度にして、該硫酸溶液にテーブル基板42を浸漬させ二次電解を実施する。
なお、ケミカルブラストステップS30では、各種の薬液に浸漬させたテーブル基板42を該薬液から引き上げた後、反応を停止させるために水で洗浄して上面44から薬液を除去する。
以上に説明する通り、ケミカルブラストステップS30を実施すると、テーブル基板42の上面44の該中央部に凹凸部48が形成される。その一方で、テーブル基板42の上面44の該保護部材で保護された該外周部はリング状平滑部46となる。したがって、上面44に凹凸部48及びリング状平滑部46を有するテーブル基板42を備えるチャックテーブル20が形成される。
本実施形態に係るチャックテーブル20の製造方法では、ケミカルブラストステップS30を実施した後、保護部材除去ステップS40を実施する。保護部材配設ステップS20においてテーブル基板42の上面44に配設された保護部材(不図示)を除去する。保護部材の除去は、例えば、プラズマアッシング、または、オゾンアッシングにより実施される。または、保護部材を好適に剥離させる薬液を該保護部材に作用させることにより実施される。
なお、ポリイミド系の材料で形成された基材層と、該基材層の上に形成されたシリコーン系の材料で形成された粘着層と、を備えるテープ状の保護部材が使用された場合、該保護部材を作業者が手で剥離させてもよい。
保護部材除去ステップS40を実施すると、図5(B)に示すように、上面44にリング状平滑部46と、該リング状平滑部46に囲繞され全面に凹凸が形成された凹凸部48と、を有するテーブル基板42が得られる。ここで、テーブル基板42の上面44のリング状平滑部46は、凹凸部48よりも粗い。凹凸部48の表面粗さ(Rz)は、50μm以上100μm以下となり、リング状平滑部46の表面粗さ(Rz)は、25μm以下となる。
本実施形態に係るチャックテーブル20の製造方法では、保護部材除去ステップS40の後、吸引路形成ステップS50を実施する。吸引路形成ステップS50では、テーブル基板42の上面44のリング状平滑部46と凹凸部48との境界50に複数の吸引孔52を形成するとともに、一端が吸引孔52に連通した吸引路54をテーブル基板42の内部に形成する。
図6(A)は、吸引孔52が形成されたテーブル基板42を模式的に示す斜視図であり、図7(A)は、吸引孔52及び吸引路54が形成されたテーブル基板42を模式的に示す断面図である。吸引孔52及び吸引路54の形成には、例えば、ドリル等の回転工具が使用される。
まず、吸引路54のテーブル基板42の凸部42aの底面42bに通じる幹部分を形成するために、吸引路54の該幹部分の径に対応する径のドリルを準備する。そして、該ドリルを底面42bの中央に接触させテーブル基板42を該ドリルで掘り進め、テーブル基板42の内部の所定の高さ位置までドリルの先端を進行させる。その後、ドリルをテーブル基板42から引き抜くと、吸引路54の該幹部分が形成される。ここで、該所定の高さ位置とは、次に説明する吸引路54の枝部分が形成される高さ位置である。
該枝部分は、該吸引路54の該幹部分から各吸引孔52の下方の領域に通じる部分をいう。該枝部分を形成する際には、まず、該枝部分の径に対応する径のドリルを準備する。そして、テーブル基板42の側面に該ドリルを接触させテーブル基板42を該ドリルで掘り進め、該ドリルの先端を該幹部分に到達させる。その後、ドリルを引き抜くと吸引路54の枝部分が形成される。
該枝部分は、形成される吸引孔52の数だけそれぞれの吸引孔52の位置に対応するように形成される。例えば、図6(A)に示す通り、テーブル基板42の上面44に該境界50に沿って互いに等間隔に並ぶ8箇所の吸引孔52を形成する場合、テーブル基板42の外周面の互いに等間隔に並ぶ8つの位置をそれぞれ該ドリルで掘削する。
該ドリルにより該吸引路54の該枝部分を形成した後、該枝部分のテーブル基板42の外周面に露出する開口を埋め戻し部材56により埋める。該埋め戻し部材56は、テーブル基板42と同様にアルミニウム等で形成されてもよく、溶接等の方法により該開口に配設される。
次に、テーブル基板42の上面44の境界50において該枝部分の上方の位置からドリルでテーブル基板42を掘削し、該ドリルの先端を該枝部分に到達させ、吸引路54の縦穴部分を形成する。これにより、幹部分と、枝部分と、縦穴部分と、を含む吸引路54が完成する。なお、吸引路形成ステップS50では、吸引路54の幹部分と、枝部分と、縦穴部分と、の形成順は以上に説明した順番に限定されず、適宜入れ替えられる。
なお、吸引路形成ステップS50は、保護部材配設ステップS20、ケミカルブラストステップS30、及び、保護部材除去ステップS40よりも前に実施されてもよい。この場合におけるチャックテーブル20の製造方法の各ステップのフローを模式的に示すフローチャートを図9(B)に示す。すなわち、先にテーブル基板42に吸引路54等を形成した後に、テーブル基板42の上面44の中央部に凹凸部48を形成してもよい。
以上に説明する通り、本実施形態に係るチャックテーブル20の製造方法によると、リング状平滑部46と、凹凸部48と、複数の吸引孔52と、を上面44に有し、一端が該吸引孔52に連通した吸引路54を内部に有する円板状のテーブル基板42を備えるチャックテーブル20が製造される。
ポーラスセラミックスで形成された吸引部と、該吸引部を収容できる凹部を有する枠体と、からなる従来のチャックテーブルでは、例えば、枠体及び吸引部を一体化するための接着剤が使用された。そのため、該チャックテーブルの使用を繰り返すと接着剤の機能が低下して、吸引部が枠体から浮き上がるとの問題を生じる場合があった。
これに対して、本実施形態に係るチャックテーブル20の製造方法では、従来の2つの部品から構成されるチャックテーブルとは異なり、主にテーブル基板42から構成されるチャックテーブル20を製造できる。そのため、チャックテーブル20の使用中に2つの部品に分離することはなく、また、接着剤も不要である。
なお、本発明は上記実施形態の記載に限定されず、種々変更して実施可能である。例えば、上記実施形態では、図6(A)等に示される通りテーブル基板42の上面44に形成された吸引孔52が該上面44のリング状平滑部46及び凹凸部48のいずれにも接続される場合を例に説明した。しかしながら、本発明の一態様に係るチャックテーブル20はこれに限定されない。
すなわち、本発明の一態様に係るチャックテーブル20では、吸引孔52は、少なくとも凹凸部48に接続されていればよく、リング状平滑部46に接続されていなくてもよい。凹凸部48と吸引孔52とが接続されていなければ、ウェーハ1をチャックテーブル20で吸引保持する際に、凹凸部48とウェーハ1とで挟まれた空間48bを吸引できない。その一方で、リング状平滑部46と吸引孔52とが接続されていなくても、空間48bからの負圧の漏洩が生じることはない。
図6(B)は、リング状平滑部46と吸引孔52とが接続されていないテーブル基板42を模式的に示す斜視図である。この場合、図6(B)に示す通り、吸引孔52は、凹凸部48に囲まれる。また、図6(B)に示す通り、凹凸部48と、リング状平滑部46と、の境界50は、円形でなくてもよい。
換言すると、本発明の一態様に係るチャックテーブル20において、リング状平滑部46と凹凸部48との境界50に沿って形成される複数の吸引孔52の配置は、図6(A)等に示す境界50と重なる場合に限られない。すなわち、境界50に沿って形成される複数の吸引孔52の配置は、図6(B)に示す通り、境界50から離間して該境界50の内側に並ぶ場合が含まれる。
その他、上記実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
1 ウェーハ
1a 表面
1b 裏面
1c 外周領域
1d 中央領域
3 分割予定ライン
5 デバイス
7 フレーム
7a 開口
9 シート
11 フレームユニット
13 カセット
2 切削装置(加工装置)
4 基台
4a,4b 開口
6 カセットテーブル
8 ガイドレール
10 仮置きテーブル
12 搬出ユニット
14,40 搬送ユニット
16 X軸移動テーブル
18 テーブルベース
18a 凹部
18b 吸引孔
18c テーブル吸引孔
20 チャックテーブル
22 保持面
24 クランプ
26 防塵防滴カバー
28 支持構造
30 撮像ユニット
32 切削ユニット(加工ユニット)
34 切削ブレード
36 スピンドル
38 洗浄ユニット
42 テーブル基板
42a 凸部
42b 底面
44 上面
46 リング状平滑部
48 凹凸部
48a 上端部
48b 空間
50 境界
52 吸引孔
54 吸引路
56 埋め戻し部材

Claims (5)

  1. ウェーハを保持するチャックテーブルであって、
    円板状のテーブル基板を備え、
    該テーブル基板は、リング状平滑部と、該リング状平滑部に囲繞され全面に凹凸が形成された凹凸部と、該リング状平滑部と該凹凸部との境界に沿って形成された複数の吸引孔と、を上面に有し、一端が該吸引孔に連通した吸引路を内部に有し、
    該凹凸部の上端部の高さは、該リング状平滑部の高さと同一であり、
    該テーブル基板の該上面は、溝を有さず、
    該テーブル基板の該上面に載る該ウェーハと、該テーブル基板と、の間の空間が該吸引孔及び該吸引路を通じて吸引されることで該ウェーハを吸引保持できることを特徴とするチャックテーブル。
  2. 該テーブル基板の該上面において、該凹凸部は、該リング状平滑部よりも粗いことを特徴とする請求項1に記載のチャックテーブル。
  3. 該凹凸部の表面粗さ(Rz)は、50μm以上100μm以下であり、
    該リング状平滑部の表面粗さ(Rz)は、25μm以下であることを特徴とする請求項1記載のチャックテーブル。
  4. 該テーブル基板は、アルミニウムで構成されることを特徴とする請求項1記載のチャックテーブル。
  5. ウェーハを保持するチャックテーブルの製造方法であって、
    上面が平坦な円板状のテーブル基板を準備する準備ステップと、
    該上面の外周部上に保護部材を配設するとともに該上面の該外周部に囲繞された中央部を露出させる保護部材配設ステップと、
    該テーブル基板の該上面の露出された該中央部に薬液によるエッチングを実施し、該上面の該中央部に凹凸部を形成するとともに該保護部材で保護された該外周部をリング状平滑部とすることで、該上面に該凹凸部及び該リング状平滑部を有し溝を有さない該テーブル基板を備えるチャックテーブルを形成するエッチングステップと、
    該エッチングステップの後、該テーブル基板の該上面に配設された該保護部材を除去する保護部材除去ステップと、
    該テーブル基板の該上面の該リング状平滑部と該凹凸部との境界に複数の吸引孔を形成するとともに、一端が該吸引孔に連通した吸引路を該テーブル基板の内部に形成する吸引路形成ステップと、
    を含むことを特徴とするチャックテーブルの製造方法。
JP2020004382A 2020-01-15 2020-01-15 チャックテーブル、及びチャックテーブルの製造方法 Active JP7471746B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020004382A JP7471746B2 (ja) 2020-01-15 2020-01-15 チャックテーブル、及びチャックテーブルの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020004382A JP7471746B2 (ja) 2020-01-15 2020-01-15 チャックテーブル、及びチャックテーブルの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021111750A JP2021111750A (ja) 2021-08-02
JP7471746B2 true JP7471746B2 (ja) 2024-04-22

Family

ID=77060227

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020004382A Active JP7471746B2 (ja) 2020-01-15 2020-01-15 チャックテーブル、及びチャックテーブルの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7471746B2 (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006291259A (ja) 2005-04-07 2006-10-26 Kumabo Metal:Kk 帯電を抑制するアルミニウムまたはアルミニウム合金表面形成方法及び帯電を抑制するアルミニウムまたはアルミニウム合金部材
JP2009004545A (ja) 2007-06-21 2009-01-08 Dainippon Screen Mfg Co Ltd 基板載置装置および基板処理装置
JP2010062269A (ja) 2008-09-02 2010-03-18 Three M Innovative Properties Co ウェーハ積層体の製造方法、ウェーハ積層体製造装置、ウェーハ積層体、支持層剥離方法、及びウェーハの製造方法
JP2011119326A (ja) 2009-12-01 2011-06-16 Tokyo Electron Ltd 基板載置台、その製造方法及び基板処理装置

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006291259A (ja) 2005-04-07 2006-10-26 Kumabo Metal:Kk 帯電を抑制するアルミニウムまたはアルミニウム合金表面形成方法及び帯電を抑制するアルミニウムまたはアルミニウム合金部材
JP2009004545A (ja) 2007-06-21 2009-01-08 Dainippon Screen Mfg Co Ltd 基板載置装置および基板処理装置
JP2010062269A (ja) 2008-09-02 2010-03-18 Three M Innovative Properties Co ウェーハ積層体の製造方法、ウェーハ積層体製造装置、ウェーハ積層体、支持層剥離方法、及びウェーハの製造方法
JP2011119326A (ja) 2009-12-01 2011-06-16 Tokyo Electron Ltd 基板載置台、その製造方法及び基板処理装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021111750A (ja) 2021-08-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN106847747B (zh) 晶片的分割方法
JP6509744B2 (ja) フィルムフレームウェハアプリケーションのためのエッチングチャンバシールドリングを用いたレーザ・プラズマエッチングウェハダイシング
TWI392002B (zh) Laser processing device
JPWO2003071591A1 (ja) 半導体ウェーハの分割方法
KR20040086724A (ko) 반도체 웨이퍼의 분할 방법
US7560362B2 (en) Cutting method for substrate
JP4882970B2 (ja) 半導体チップの製造方法
TW201946140A (zh) 基板處理系統及基板處理方法
JP2019125723A (ja) 素子チップの製造方法
KR100815005B1 (ko) 절삭 블레이드
TWI796383B (zh) 小徑晶圓的製造方法
JP5068705B2 (ja) 加工装置のチャックテーブル
JP2008130818A (ja) レーザー加工装置
JP4882971B2 (ja) プラズマダイシング装置
KR20200019566A (ko) 반도체 기판의 가공 방법
JP7471746B2 (ja) チャックテーブル、及びチャックテーブルの製造方法
JP2018006520A (ja) ウェーハの加工方法
JP4408399B2 (ja) 切削ブレードの製造方法
JP2016162809A (ja) ウエーハの加工方法
JP7171138B2 (ja) デバイスチップの製造方法
JP2020194918A (ja) 素子チップの製造方法
JP2005066675A (ja) レーザー加工方法
JP7366504B2 (ja) 被加工物の分割方法
JP7463035B2 (ja) 積層ウェーハの加工方法
JP7309280B2 (ja) 被加工体、被加工体製造方法、及び被加工体の加工方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20221125

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230919

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230921

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20231115

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240112

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20240409

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20240409

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7471746

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150