JP7470472B1 - 貼り箱用接着剤、貼り箱、及び、貼り箱の製造方法 - Google Patents

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剛大 今西
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Abstract

【課題】化粧紙の浮きや剥がれについて高温高湿の環境下での耐久性が従来よりも向上し、且つ、貼り箱の製造が可能な貼り箱用接着剤を実現する。【解決手段】貼り箱用接着剤は、主剤および硬化剤を含み、主剤は、ニカワ及びゼラチンの少なくとも一方を含むニカワ・ゼラチン溶液であり、硬化剤は、室温25℃にて水に溶解する水溶性エポキシ化合物であり、水溶性エポキシ化合物の添加量が、ニカワ・ゼラチン溶液におけるニカワ・ゼラチンの固形分に対して、0.15重量%以上8重量%以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、貼り箱の製造過程において化粧紙の貼り付けに用いる、貼り箱用接着剤に関する。
貼り箱とは、厚紙など生地で作った生地箱(芯材)に化粧紙(各種の色彩、模様又は図柄等が施された表装紙など)を接着剤で貼り付けて製造される化粧箱である。貼り箱は、食品、時計、ジュエリーなどの比較的高額な商品の梱包箱として広く利用されている。
貼り箱の製造には、貼り箱用接着剤として、ニカワ・ゼラチン系接着剤がよく使用されている。ニカワ・ゼラチン系接着剤は、蛋白質系接着剤の1つである。ニカワ・ゼラチン系接着剤は、液状の接着剤であり、加温して用いられる。貼り箱の製造過程では、化粧紙の裏面に塗布されたニカワ・ゼラチン系接着剤が、30~40℃まで冷却されるとゾル-ゲル変化によりゲル化するため、短時間でタック力が得られる。なお、本明細書において「ニカワ・ゼラチン」の語は、ニカワとゼラチンの両方を含む場合だけでなく、ニカワとゼラチンのうちニカワのみを含む場合、ニカワとゼラチンのうちゼラチンのみを含む場合も包含する語として使用する。
特許文献1には、主剤がニカワ・ゼラチン溶液であり、硬化剤がニカワ・ゼラチンを架橋させる化合物を含む溶液である製本用硬化型接着剤が記載されている。このニカワ・ゼラチン系接着剤は、硬化剤を用いて主剤を架橋反応させることによって、3次元架橋構造を形成する。この反応によって、接着力の立ち上がりが早くなると共に、形成される接着剤被膜は強靭なものとなり、熱や水分などによる主剤の軟化、融解、溶出、劣化が起こりにくく、耐熱性、耐湿性および耐久性のいずれも優れたものとなる。特許文献1には、ニカワ・ゼラチンを架橋させる化合物として、アルデヒド化合物、タンニン、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、3価のクロムおよび/または3価のアルミニウムを有するミョウバン、ジルコニウム塩などが挙げられている。特許文献1に記載の実施例では、硬化剤として、ジアルデヒドでんぷん、タンニン、ビスフェノールAタイプエポキシなどが用いられている。
特許文献2には、魚来ゼラチン水溶液を含む接着成分と、水溶性架橋用分子水溶液を含む硬化成分とを混合して組織に塗布する組織接着剤が記載されている。特許文献2には、水溶性架橋用分子として、Polyethyleneglycol di-succinimidyl succinate、スクシンイミド化ポリ-L-グルタミン酸、アルデヒド基導入デンプン、アルデヒド基導入デキストランが記載されている。
特許第2912661号公報 WO2014/112208号公報
ところで、貼り箱が高温高湿の環境下に晒されると、ゾル-ゲル変化によりゾル状に戻るため、接着強度が低下する。近年、夏場の気温上昇により、貼り箱が晒される環境が厳しくなっている。そのため、従来のニカワ・ゼラチン系接着剤では、高温高湿の環境下に貼り箱が晒されると、生地箱から化粧紙が浮いたり、化粧箱の端が剥がれたりする虞がある(比較例6参照)。
ここで、貼り箱用接着剤は、化粧紙の浮きや剥がれについての耐久性が求められることに加え、製造上の条件として、塗工の作業性、及び、化粧紙の貼り付けタイミングでの接着強度の少なくとも2つの条件を満たす必要がある。この点について以下に説明を行う。
貼り箱の製造では、貼り箱用接着剤の粘度がある程度(例えば、10000mPa・s程度の粘度)は必要であるものの、貼り箱用接着剤の粘度が必要以上に高い場合は、化粧紙に対し接着剤を塗工する工程を行うことが困難となる。貼り箱用接着剤の粘度は、塗工の作業が可能な粘度にすることが求められる。例えば、貼り箱の製造において自動塗工機を用いる場合、塗工機のローラーに接着剤が付与され、ローラーより接着剤が化粧紙に塗布されるが、粘度が高い場合は、塗工機のローラーで化粧紙に接着剤を塗工することが困難となる。
なお、接着剤の粘度を低下させる方法として、水を添加する方法と、接着剤の溶液を加温する方法がある。前者の場合、ニカワ・ゼラチン系接着剤における固形分量の低下も伴うため、接着不良に繋がる。後者の場合、ニカワ・ゼラチンは、タンパク質であるため、基本的に熱に弱く分子量の低下を伴うため、こちらも接着不良に繋がる。
また、生地箱への化粧紙の貼り合わせには、ある程度の長さのオープンタイムが必要となる。オープンタイムとは、接着剤を塗付してから貼り合わせるまで開放しておく時間である。従来のニカワ・ゼラチン系接着剤(貼り箱用接着剤)の場合、オープンタイムは10秒以上である。オープンタイムが短い接着剤では、化粧紙の貼り付けタイミングで初期接着に必要なレベルの接着力が得られず、化粧紙を貼り合わせた後、直ちに化粧紙が剥がれたり、なんとか化粧紙を貼り合わせることができたとしても、室温環境下でも容易に化粧紙の浮きや剥がれが発生したりする虞がある。
ニカワ・ゼラチン系接着剤に架橋剤を用いると、高温高湿の環境下での耐久性は向上する。しかし、粘度が上昇するし、オープンタイムが短くなる虞がある。本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、化粧紙の浮きや剥がれについて高温高湿の環境下での耐久性が従来よりも向上し、且つ、貼り箱の製造が可能な貼り箱用接着剤を実現することを目的とする。
本願発明者は、主剤としてニカワ・ゼラチンを用いる貼り箱用接着剤について鋭意研究を行った結果、架橋剤として水溶性エポキシ化合物を所定の含有量で用いる場合に、化粧紙の浮きや剥がれについて高温高湿の環境下での耐久性と、上述した製造上の2つの条件(塗工の作業性、及び、化粧紙の貼り付けタイミングでの接着強度)とを両立することを見出した。なお、架橋剤として、イソシアネート化合物、水溶性以外のエポキシ化合物、エポキシ以外の水溶性樹脂化合物(水溶性オキサゾリン化合物、水溶性カルボジイミド化合物)を用いる場合は、上述の両立を達成するものとはならなかった。これらの知見に基づく第1の発明は、主剤および硬化剤を含み、主剤は、ニカワ及びゼラチンの少なくとも一方を主成分として含むニカワ・ゼラチン溶液であり、硬化剤は、室温25℃にて水に溶解する水溶性エポキシ化合物であり、水溶性エポキシ化合物の添加量が、ニカワ・ゼラチン溶液におけるニカワ・ゼラチンの固形分に対して、0.15重量%以上8重量%以下である、貼り箱用接着剤である。
第2の発明は、第1の発明において、室温25℃にて水90質量部に水溶性エポキシ化合物10質量部を添加した時の水に対する水溶性エポキシ化合物の溶解率を水溶率として、水溶性エポキシ化合物の水溶率が20%以上である。
第3の発明は、第2の発明において、水溶性エポキシ化合物の水溶率が60%以上である。
第4の発明は、第1の発明において、水溶性エポキシ化合物が、分子内に2個以上のエポキシ基を有する。
第5の発明は、第1乃至第4の発明の貼り箱用接着剤が固化した接着層によって、化粧紙と生地箱とが接着されている、貼り箱である。
第6の発明は、貼り箱の製造方法であって、主剤と硬化剤との混合により得られた貼り箱用接着剤を、化粧紙の裏面に塗布する塗布工程と、塗布工程後に、生地箱に対し化粧紙を貼り付ける貼り付け工程とを行うものであり、主剤は、ニカワ及びゼラチンの少なくとも一方を主成分として含むニカワ・ゼラチン溶液であり、硬化剤は、室温25℃にて水に溶解する水溶性エポキシ化合物であり、水溶性エポキシ化合物の添加量が、ニカワ・ゼラチン溶液におけるニカワ・ゼラチンの固形分に対して、0.15重量%以上8重量%以下である、貼り箱の製造方法である。
本発明によれば、主剤としてニカワ・ゼラチン系接着剤を用い、架橋剤として水溶性エポキシ化合物を所定の含有量で用いることで、上述したように、化粧紙の浮きや剥がれについて高温高湿の環境下での耐久性と、上述した製造上の2つの条件とを両立する貼り箱用接着剤が得られる。本発明によれば、化粧紙の浮きや剥がれについて高温高湿の環境下で耐久性が従来よりも向上し、且つ、貼り箱の製造が可能な貼り箱用接着剤を実現することができる。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の一例であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
[接着剤について]
本実施形態は、貼り箱の作成過程において化粧紙(表装紙)の貼り付けに用いる、貼り箱用接着剤(以下、「本接着剤」という。)である。本接着剤は、主剤及び硬化剤を含む、ニカワ・ゼラチン系接着剤である。本接着剤は、液体状の接着剤である。なお、「ニカワ・ゼラチン系接着剤」とは、主剤の主成分としてニカワとゼラチンの一方又は両方を含む接着剤である。
主剤は、ニカワ及びゼラチンの少なくとも一方を主成分として含む溶液(以下、「ニカワ・ゼラチン溶液」という場合がある。)である。ニカワ・ゼラチン溶液の固形分であるニカワ及びゼラチンの原料は、特に限定されないが、通常の貼り箱用接着剤と同じもの(例えば、牛皮、牛骨、豚皮、豚骨、魚皮など)を用いることができる。主剤の溶媒は、特に限定されないが、水を用いることができる。主剤の溶媒に、その他の水溶性の溶媒が含まれていてもよい。
主剤を得るために、ニカワ溶液を単独で用いてもよいし、ゼラチン溶液を単独で用いてもよいし、これらを混合したものを用いてもよい。また主剤を得るために、他の成分が配合された市販のニカワ・ゼラチン系接着剤を用いてもよい。
硬化剤は、室温25℃にて水に溶解する水溶性エポキシ化合物である。水溶性エポキシ化合物は、エポキシ基を有しながらそれ自身が水に溶ける化合物である。水溶性エポキシ化合物は、架橋剤としての役割を果たし、ニカワ・ゼラチンを架橋させる。硬化剤に水溶性エポキシ化合物を用いることで、架橋反応を経て、ニカワ・ゼラチンの接着力、耐熱性、耐湿性および耐久性(以下、「接着力及び耐久性等」という。)が増す。そのため、高温高湿下において、貼り箱における化粧紙の浮き、剥がれの発生が抑制される。
本接着剤では、水溶性エポキシ化合物の含有量(添加量)が、主剤(ニカワ・ゼラチン)の固形分に対して、0.15重量%以上8重量%以下である。なお、この含有量は、0.3重量%以上7重量%以下であることが好ましい。含有量が0.15重量%未満の場合、十分な架橋反応が起きず、接着力及び耐久性等の向上度合いが小さい。また含有量が8重量%を超えると、粘度が上昇して、接着剤を塗工することが困難となる。また、オープンタイムが短くなり、初期接着に必要なレベルの接着力を得ることができない。
ここで、硬化剤として、非水溶性エポキシ化合物又は水分散エポキシ化合物を用いる場合、硬化剤がニカワ・ゼラチンを架橋させることで、ニカワ・ゼラチンの接着力及び耐久性等が増す。しかし、ニカワ・ゼラチンが水に不溶となって、接着剤の塗工を行うことができなくなるほど、その粘度が著しく上昇する。また、塗工機のローラーに強固な皮膜が形成され、塗工機の洗浄に長時間を要する。また、オープンタイムが短くなってしまい、初期接着に必要なレベルの接着力が得られなくもなる。
それに対し、硬化剤として水溶性エポキシ化合物を所定の含有量で用いる本接着剤では、硬化剤により架橋されたニカワ・ゼラチンは、非水溶性エポキシ化合物又は水分散エポキシ化合物とは異なり水に溶解するため、接着剤の粘度の上昇が抑制される。そのため、本接着剤は、接着剤の塗工が可能となる。また、本接着剤は、塗工機のローラーに強固な皮膜が形成されることも抑制され、塗工終了後に、長時間を要することなくローラーの洗浄が可能である。また、オープンタイムが短くなることも抑制され、初期接着に必要なレベルの接着力が得られる。
水溶性エポキシ化合物は、分子内に2個以上のエポキシ基を有するもの(2官能エポキシ化合物又は多官能エポキシ化合物)を用いることが好ましい。分子内に1個のエポキシ基を有する水溶性エポキシ化合物としては、フェノール(EO)グリシジルエーテル、ラウリルアルコール(EO)15グリシジルエーテルなどを用いることができる。分子内に2個以上のエポキシ基を有する水溶性エポキシ化合物としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテルなどを用いることができる。なお、架橋剤として、複数種類の水溶性エポキシ化合物を組み合わせて使用してもよい。その場合に、複数種類の水溶性エポキシ化合物は、分子内に1個のエポキシ基を有する水溶性エポキシ化合物(単官能エポキシ化合物)のみで構成してもよいし、分子内に2個以上のエポキシ基を有する水溶性エポキシ化合物(複数官能エポキシ化合物)のみで構成してもよいし、単官能エポキシ化合物と複数官能エポキシ化合物の両方を含むように構成してもよい。
分子内に2個以上のエポキシ基を有する水溶性エポキシ化合物を用いる場合、分子内に1個のエポキシ基を有する水溶性エポキシ化合物を用いる場合に比べて、主剤のニカワ・ゼラチンの架橋が促進され、本接着剤の接着力及び耐久性等がより増す。そのため、化粧紙の浮き、剥がれの発生がさらに抑制される。
水溶性エポキシ化合物の水溶率は、20%以上が好ましく、40%以上がさらに好ましく、60%以上がさらに好ましい。後述する実施例では、水溶率が高くなるほど、化粧紙の浮きや剥がれについての耐久性、塗工の作業性、及び、塗工終了後の洗浄性が良好な貼り箱用接着剤が得られることが確認されている。なお、「水溶率」は、室温25℃にて水90質量部に水溶性エポキシ化合物10質量部を添加した時の水に対する水溶性エポキシ化合物の溶解率(質量%)である。
[貼り箱及び貼り箱の製造方法について]
貼り箱は、生地箱に対し化粧紙が貼り付けられたものである。例えば、生地箱は、上側が開口された略直方体状の容器部と、下側が開口された略直方体状の蓋部とを有する。
貼り箱の製造方法は、容器部も蓋部も基本的に同じである。貼り箱の製造方法は、主剤と硬化剤との混合により得られた貼り箱用接着剤(本接着剤)を、化粧紙の裏面に塗布する塗布工程と、塗布工程後に、生地箱に対し化粧紙を貼り合つける貼着工程とを行うことで、容器部又は蓋部を製造するものである。主剤は、ニカワ・ゼラチン溶液であり、硬化剤は、水溶性エポキシ化合物である。水溶性エポキシ化合物の添加量は、ニカワ・ゼラチン溶液におけるニカワ・ゼラチンの固形分に対して、0.15重量%以上8重量%以下である。貼着工程後に、本接着剤が乾燥することで、本接着剤が固化する。本接着剤は乾燥固化型に分類されるものである。
なお、化粧紙は、底面及び4つの側面を有する形状に紙を断裁することで得られる。生地箱は、底面及び4つの側面を有する形状に厚紙等の紙を断裁して生地を製造する断裁工程と、断裁工程後の生地において側面を立てテープ等で側面を固定する組み立て工程とを行うことで得られる。
また、塗布工程は、自動塗工機を用いて行うことができる。本接着剤の製造タイミングについて、自動塗工機などのタンクにて、ニカワ・ゼラチン溶液と水溶性エポキシ化合物とを混合して本接着剤を製造してもよいし、予めニカワ・ゼラチン溶液と水溶性エポキシ化合物を混合することによって製造した本接着剤を、上述のタンクに供給してもよい。
本発明の実施例について説明を行う。なお、本発明は、その主旨を超えない限り、実施例に限定されるものではない。
実施例1-17は、表1に示す成分及び重量%の配合で、主剤及び硬化剤を混ぜ合わせた接着剤である。各実施例では、ニカワ・ゼラチンの含有率が60重量%のニカワ・ゼラチン溶液を主剤としている。各実施例では、硬化剤として、水溶性エポキシ化合物を用い、且つ、ニカワ・ゼラチンの固形分に対する水溶性エポキシ化合物の含有量(添加量)を0.15重量%以上8重量%以下の範囲とした。
比較例1-5、7-8は、表2に示す成分及び重量%の配合で、主剤及び硬化剤を混ぜ合わせた接着剤である。比較例6は、表2に示す成分及び重量%で、主剤のみを用いた接着剤である。比較例1-3では、硬化剤として、非水溶性エポキシ化合物を用いた。比較例4では、硬化剤として、水分散エポキシ化合物を用いた。比較例5では、硬化剤として、水溶率が99%の水溶性エポキシ化合物を用いたが、ニカワ・ゼラチンの固形分に対する水溶性エポキシ化合物の添加量を8重量%以上とした。比較例6では、硬化剤を用いなかった。比較例7-8では、硬化剤として、エポキシ化合物以外の水溶性樹脂化合物を用いた。
実施例及び比較例において、ニカワ・ゼラチン溶液には、市販の工業用粉ゼラチンを温水で濃度60%に溶解したものを用いた。水溶性エポキシ化合物については、実施例1、10のソルビトールポリグリシジルエーテルにナガセケムテックス(株)製のデナコール(登録商標)EX-614、実施例2、11のグリセロールポリグリシジルエーテルに同社製のデナコールEX-313、実施例3のグリセロールポリグリシジルエーテルに同社製のデナコールE314、実施例4のジグリセロールポリグリシジルエーテルに同社製のデナコールEX-421、実施例5、12のポリグリセロールポリグリシジルエーテルに同社製のデナコールEX-512、実施例6のエチレングリコールジグリシジルエーテルに同社製のデナコールEX-810、実施例7のポリエチレングリコールジグリシジルエーテルに同社製のデナコールEX-850、実施例8のポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルに同社製のデナコールEX-941、実施例9、13、14のポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルに同社製のデナコールEX-920、実施例15のフェノール(EO)グリシジルエーテルに同社製のデナコールEX-145、実施例16のソルビトールポリグリシジルエーテルに同社製のEX-612、実施例17のトリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルに同社製のEX-321、比較例5のグリセロールポリグリシジルエーテルに同社製のEX-313を用いた。非水溶性エポキシ化合物については、比較例1のソルビトールポリグリシジルエーテルに同社製のEX-622、比較例2のトリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルに同社製のEX-321L、比較例3のペンタエリスリトールポリグリシジルエーテルに同社製のEX-411を用いた。水分散エポキシ化合物については、比較例4のクレゾールノボラック型エポキシ水分散体に同社製のEM-160を用いた。比較例7の水溶性オキサゾリン化合物には、(株)日本触媒製のエポクロスWS-500を用いた。比較例8の水溶性カルボジイミド化合物には、日清紡ケミカル(株)製のカルボジライトV-02を用いた。
<試験1;作業性の試験>
塗工の作業性を評価するために、塗工機により接着剤を表装紙に塗工できるかどうかを確認した。表1及び表2では、塗工できたものを「〇」、接着剤の粘度が高めであったがなんとか塗工できたものを「△」、著しい増粘やゲル化物の発生により塗工できなかったものを「×」と評価した。
<試験2:塗工機洗浄性の試験>
塗工機洗浄性を評価するために、塗工機の接着剤充填タンク及びローラーを容易に水で洗浄できるかを確認した。表1及び表2では、容易に洗浄できたものを「〇」、容易ではないが洗浄できたものを「△」、水に不溶であるために洗浄に著しく長い時間を要したものを「×」と評価した。
<試験3:初期接着性の試験>
初期接着性を評価するために、接着剤を塗布した表装紙を生地箱に貼り合わせ後、直ちに表装紙が剥がれないかを確認した。表1及び表2では、表装紙をスムーズに貼り付けることができたものを「〇」、表装紙の貼り付けに苦労したものの初期接着に必要なレベルの接着力が得られたものを「△」、表装紙が直ちに剥がれたものを「×」と評価した。また評価不能であったものは「-」とした。
<試験4:耐浮き・剥がれの試験(その1)>
表装紙の耐浮き・剥がれを評価するために、50℃、80%RHの環境下に1日間に亘って貼り箱を放置後、貼り紙から表装紙の端が剥がれないかを確認した。表1及び表2では、表装紙の端が剥がれなかったものを「〇」、表装紙の端の一部が剥がれたものを「△」、表装紙の端が全体的に剥がれたものを「×」と評価した。また評価不能であったものは「-」とした。
<試験5:耐浮き・剥がれの試験(その2)>
試験4と同じく高温高湿の環境下ながら、試験4よりも温度が低い条件にて耐浮き・剥がれの試験を実施した。具体的に、40℃、80%RHの環境下に1日間に亘って貼り箱を放置後、貼り紙から表装紙の端が剥がれないかを確認し、試験4と同じ基準にて、「〇」、「△」又は「×」の評価を行った。この評価結果も、表1及び表2に示す。
実施例1-14について、主剤としてニカワ・ゼラチン溶液を用い、硬化剤として分子内に2個以上のエポキシ基を有する水溶性エポキシ化合物を用い、且つ、水溶性エポキシ化合物の添加量が、ニカワ・ゼラチン溶液におけるニカワ・ゼラチンの固形分に対して0.15重量%以上8重量%以下であり、さらに水溶性エポキシ化合物の水溶率を60%以上とした場合は、試験1-5の何れにおいても「〇」の評価となった。実施例15について、硬化剤として分子内に1個のエポキシ基を有する水溶性エポキシ化合物を用いた場合は、試験1-3は「〇」の評価、試験4は「△」、試験5は「〇」の評価となった。実施例16-17について、水溶性エポキシ化合物の水溶率を20%以上60%未満とした場合は、試験1-5の何れにおいても「△」の評価となった。これにより、実施例1-17の何れも、化粧紙の浮きや剥がれについて従来の貼り箱用接着剤よりも高温高湿の環境下で耐久性が向上し、且つ、貼り箱の製造を行うことができることが確認された。この確認は、ナガセケムテックス(株)製において水溶率が最も低い水溶性エポキシ化合物についてなされており、架橋剤として水溶性エポキシ化合物を所定の含有量で用いることで、水溶率を問わず、化粧紙の浮きや剥がれについて高温高湿の環境下で耐久性が従来よりも向上し、且つ、貼り箱の製造が可能な貼り箱用接着剤を実現できることが確認された。
また、分子内に2個以上のエポキシ基を有する水溶性エポキシ化合物は、分子内に1個のエポキシ基を有する水溶性エポキシ化合物に比べて、高温高湿下での耐浮き・剥がれの向上度合いが優れていた。水溶率が60%以上の水溶性エポキシ化合物は、水溶率が20%以上60%未満の水溶性エポキシ化合物に比べて、高温高湿下での耐浮き・剥がれの性能、及び、製造上の性能が優れていた。
一方、比較例1-4について、硬化剤が非水溶性エポキシ化合物又は水分散エポキシ化合物の場合は、著しい増粘やゲル化物の発生により塗工を行うことができなかった。比較例5について、水溶性エポキシ化合物の添加量が、ニカワ・ゼラチン溶液におけるニカワ・ゼラチンの固形分に対して8重量%を超える場合は、接着剤を塗布した表装紙を生地箱に貼り合わせ後、直ちに表装紙が剥がれた。比較例6について、硬化剤を用いない場合は、室温が40℃の試験5の高温高湿下でも表装紙の端が全体的に剥がれた。比較例7-8について、エポキシ化合物以外の水溶性樹脂化合物の場合は、著しい増粘やゲル化物の発生により塗工を行うことができなかった。
本発明は、主剤としてニカワ・ゼラチン溶液を用いる貼り箱用接着剤等に適用可能である。

Claims (5)

  1. 主剤および硬化剤を含み、
    前記主剤は、ニカワ及びゼラチンの少なくとも一方を主成分として含むニカワ・ゼラチン溶液であり、
    前記硬化剤は、室温25℃にて水に溶解する水溶性エポキシ化合物であり、
    前記水溶性エポキシ化合物の添加量が、前記ニカワ・ゼラチン溶液におけるニカワ・ゼラチンの固形分に対して、0.15重量%以上8重量%以下であり、
    室温25℃にて水90質量部に水溶性エポキシ化合物10質量部を添加した時の水に対する水溶性エポキシ化合物の溶解率を水溶率として、前記水溶性エポキシ化合物の水溶率が20%以上である、貼り箱用接着剤。
  2. 前記水溶性エポキシ化合物の水溶率が60%以上である、請求項1に記載の貼り箱用接着剤。
  3. 前記水溶性エポキシ化合物が、分子内に2個以上のエポキシ基を有する、請求項1に記載の貼り箱用接着剤。
  4. 請求項1乃至3の何れか1つに記載の貼り箱用接着剤が固化した接着層によって、化粧紙と生地箱とが接着されている、貼り箱。
  5. 貼り箱の製造方法であって、
    主剤と硬化剤との混合により得られた貼り箱用接着剤を、化粧紙の裏面に塗布する塗布工程と、
    前記塗布工程後に、生地箱に対し前記化粧紙を貼り付ける貼り付け工程とを行うものであり、
    前記主剤は、ニカワ及びゼラチンの少なくとも一方を主成分として含むニカワ・ゼラチン溶液であり、
    前記硬化剤は、室温25℃にて水に溶解する水溶性エポキシ化合物であり、
    前記水溶性エポキシ化合物の添加量が、前記ニカワ・ゼラチン溶液におけるニカワ・ゼラチンの固形分に対して、0.15重量%以上8重量%以下であり、
    室温25℃にて水90質量部に水溶性エポキシ化合物10質量部を添加した時の水に対する水溶性エポキシ化合物の溶解率を水溶率として、前記水溶性エポキシ化合物の水溶率が20%以上である、貼り箱の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP3003869U (ja) 1994-03-29 1994-11-01 株式会社ハマノパッケージ 貼箱および貼紙
JP3239781B2 (ja) 1996-12-03 2001-12-17 アスモ株式会社 チルト窓用開閉装置
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