JP7469920B2 - 全固体電池用正極および全固体電池 - Google Patents

全固体電池用正極および全固体電池 Download PDF

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Description

本発明は、厚い正極合剤の成形体を有し、かつ負荷特性に優れた全固体電池を構成可能な正極、および前記正極を有する全固体電池に関するものである。
近年、携帯電話、ノート型パーソナルコンピュータなどのポータブル電子機器の発達や、電気自動車の実用化などに伴い、小型・軽量で、かつ高容量・高エネルギー密度の二次電池が必要とされるようになってきている。
現在、この要求に応え得るリチウム二次電池、特にリチウムイオン二次電池では、正極活物質にコバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)などのリチウム含有複合酸化物が用いられ、負極活物質に黒鉛などが用いられ、非水電解質として有機溶媒とリチウム塩とを含む有機電解液が用いられている。
そして、リチウムイオン二次電池の適用機器の更なる発達に伴って、リチウムイオン二次電池の更なる長寿命化・高容量化・高エネルギー密度化が求められていると共に、長寿命化・高容量化・高エネルギー密度化したリチウムイオン二次電池の信頼性も高く求められている。
しかし、リチウムイオン二次電池に用いられている有機電解液は、可燃性物質である有機溶媒を含んでいるため、電池に短絡などの異常事態が発生した際に、有機電解液が異常発熱する可能性がある。また、近年のリチウムイオン二次電池の高エネルギー密度化および有機電解液中の有機溶媒量の増加傾向に伴い、より一層リチウムイオン二次電池の信頼性が求められている。
以上のような状況において、有機溶媒を用いない全固体型のリチウム二次電池(全固体電池)が注目されている。全固体電池は、従来の有機溶媒系電解質に代えて、有機溶媒を用いない固体電解質の成形体を用いるものであり、固体電解質の異常発熱の虞がなく、高い安全性を備えている。
ところで、二次電池においては、電解質のみならず、電極に使用する各種材料についての改良も行われている。例えば、特許文献1には、特定の酸化処理カーボンから誘導された糊状の導電性カーボンを、活物質粒子に接触させたり、炭素繊維などの他の導電性カーボンに被覆させたりして、蓄電デバイス(二次電池)のエネルギー密度やサイクル寿命の向上を図ることが提案されている。
特開2016-96125号公報
ところで、全固体電池の電極の固体電解質としては、硫化物系のものや水素化物系のもの、酸化物系のものが知られているが、特に電極(正極および負極)に含有させる固体電解質には、比較的柔らかく、活物質との接点が取りやすい硫化物系のものが好ましい。
ところが、硫化物系固体電解質は、導電助剤として一般に使用される粒状カーボンと接触すると、酸化して絶縁体になりやすい。このような場合、例えば全固体電池の正極に使用される正極合剤の成形体が薄いと、比較的導電が取りやすいために電池特性への影響は問題にはならないが、正極合剤の成形体が、例えば250μm以上と厚い場合には、電池の負荷特性が顕著に低下する。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、厚い正極合剤の成形体を有し、かつ負荷特性に優れた全固体電池を構成可能な正極、および前記正極を有する全固体電池を提供することにある。
本発明の全固体電池用正極は、正極活物質と、硫化物系固体電解質と、導電助剤とを含有する正極合剤の成形体を有し、前記導電助剤として、繊維状カーボンと粒状カーボンとを含有し、前記正極合剤の成形体の厚みが250μm以上であることを特徴とするものである。
また、本発明の全固体電池は、正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に介在する固体電解質層とを有し、前記正極および前記負極のうちの少なくとも一方が、本発明の全固体電池用電極であることを特徴とするものである。
本発明によれば、厚い正極合剤の成形体を有し、かつ負荷特性に優れた全固体電池を構成可能な正極、および前記正極を有する全固体電池を提供することができる。
本発明の全固体電池の一例を模式的に表す断面図である。
<全固体電池用正極>
本発明の全固体電池用正極は、正極活物質と、硫化物系固体電解質と、導電助剤とを含有する正極合剤の成形体を有し、導電助剤として、繊維状カーボンと粒状カーボンとを含有し、前記正極合剤の成形体の厚みが250μm以上である。
本発明の全固体電池用正極においては、繊維状カーボンと粒状カーボンとを導電助剤とすることで、粒状カーボンの使用比率を減らして、導電助剤全体の比表面積を小さくできるため、導電助剤による硫化物系固体電解質の酸化を抑制することができる。
また、本発明の全固体電池用正極では、厚みが250μm以上といった厚い正極合剤の成形体を有しており、正極内の正極活物質量を多くして、高容量化を図ることができる。しかしながら、このような厚い正極合剤の成形体を有する正極を用いた電池においては、前記の通り、負荷特性が低下する。本発明では、導電助剤として繊維状カーボンと粒状カーボンとを併用することで、正極合剤の成形体内で良好な導電ネットワークを形成できるようにしており、これにより、電池の高容量化を図りつつ、優れた負荷特性の確保も可能としている。
なお、前記の通り、薄い正極合剤の成形体の場合には負荷特性の低下が顕在化し難いが、本発明によれば、250μm以上と厚い正極合剤の成形体を有しながら、単に負荷特性の低下を抑制するに留まらず、薄い正極合剤の成形体を用いた場合よりも負荷特性を向上させることができる。
全固体電池用正極としては、正極活物質、硫化物系固体電解質、および導電助剤を含む正極合剤を成形してなる成形体(ペレットなど)や、前記正極合剤の成形体(正極合剤層)を集電体上に形成してなる構造のものなどが挙げられる。
全固体電池用正極の導電助剤として使用する繊維状カーボンは、繊維長と繊維径(繊維の直径)との比が、20以上のものである。繊維状カーボンの繊維長は、3~600μmであることが好ましく、また、繊維径は、1~300nmであることが好ましい。
本明細書でいう繊維状カーボンの繊維長および繊維径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、カーボンを30000倍で観察した画像において、輪郭が確認できる繊維を50個選択し、選択した繊維について二点間法で粒径を測定し、全繊維の平均値(数平均)を算出することで求められる値である。
繊維状カーボンの具体例としては、気相成長炭素繊維、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブなどが挙げられる。繊維状カーボンには、前記例示のもののうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
全固体電池用正極の導電助剤として使用する粒状カーボンは、一次粒子の状態で、最長径の長さと最短径の長さとの比が、1~1.3のものである。粒状カーボンの平均粒子径は、10nm~1000nmであることが好ましい。
本明細書でいう粒状カーボンの一次粒子の粒子径は、以下のようにして求められる値である。走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、カーボンを30000倍で観察した画像において、輪郭が確認できる粒子を50個選択し、選択した粒子について二点間法で最長径および最短径を測定する。そして、粒状カーボンの最長径は、測定した全最長径の平均値(数平均)であり、最短径は、測定した全最短径の平均値(数平均)である。また、粒状カーボンの平均粒子径は、前記のようにして求めた最長径(全最長径の平均値)である。
粒状カーボンの具体例としては、黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛)、グラフェン(単層グラフェン、多層グラフェン)などの高結晶性の炭素材料;カーボンブラックなどの低結晶性の炭素材料;などが挙げられる。
また、粒状カーボンとしては、親水性部分を10質量%以上の割合で含むものを使用することが好ましい。親水性部分を10質量%以上の割合で含む粒状カーボンを使用することで、正極合剤の成形体の空隙率を低くて密度を大きくすることがより容易となる。また、後述するように、粒状カーボンは繊維状カーボンと複合体を形成していることがより好ましいが、親水性部分を10質量%以上の割合で含む粒状カーボンを使用することで、繊維状カーボンとの複合体形成もより容易となる。
本明細書でいう粒状カーボンにおける「親水性部分」は、以下の通りである。pH=11のアンモニア水溶液:20mLに粒状カーボン:0.1gを添加して1分間の超音波照射を行い、得られた液を5時間放置して固相部分を沈殿させる。このときに沈殿せずに液相部分(上澄み液)に分散している部分が、「親水性部分」に該当する。
また、本明細書でいう「親水性部分」の粒状カーボン全量中の割合は、以下の方法によって求められる値である。前記固相部分の沈殿後の前記液から上澄み液を除去し、残りの部分を乾燥させて、乾燥後の固体の重量を測定する。得られた重量を最初に添加した粒状カーボンの重量:0.1gから差し引いた値が、上澄み液中に分散している「親水性部分」の重量となる。そして、「親水性部分」の重量を最初に添加した粒状カーボンの重量:0.1gで除して百分率で表した値が、「親水性部分」の粒状カーボン全量中の割合に該当する。
なお、親水性部分の割合が10質量%以上の粒状カーボンの場合、正極合剤の成形性をより高める観点から、一次粒子の平均粒子径が、10nm以上であることが好ましく、20nm以上であることがより好ましく、一方、親水性部分の割合を高めやすいことから、親水性部分の割合が10質量%以上の粒状カーボンの場合の一次粒子の平均粒子径は、400nm以下であることが好ましく、300nm以下であることがより好ましい。
リチウムイオン二次電池などの電池の電極において、導電助剤として一般に使用されている黒鉛やカーボンブラック、カーボンナノチューブなどの導電性カーボンは、親水性部分の割合が5質量%以下である。このような導電性カーボンの粒子に酸化処理を施すことにより、ヒドロキシ基やカルボキシ基、エーテル結合などが導入され、また、カーボンの共役二重結合が酸化されて単結合となり、部分的に炭素間結合が切断されることで、親水性部分が生成するため、親水性部分の割合が前記の値を満たす粒状カーボンを得ることができる。
親水性部分の割合が前記の値を満たす粒状カーボンの粒子のより具体的な製造方法としては、例えば、空隙を有するカーボン原料(多孔質炭素粉末、ケッチェンブラック、空隙を有するファーネスブラックなど)を使用し、これを酸(硝酸、硝酸硫酸混合物、次亜塩素酸水溶液など)で処理した後、遷移金属化合物(遷移金属のハロゲン化物、遷移金属の無機塩、遷移金属の有機塩など)と混合し、この混合物をメカノケミカル反応させ、反応後の生成物を非酸化雰囲気下(窒素雰囲気下、アルゴン雰囲気下など)で加熱し、加熱後の生成物から遷移金属化合物や遷移金属化合物の反応生成物を酸で溶解させるなどして除去し、洗浄および乾燥する方法が挙げられる。
また、前記の空隙を有するカーボン原料を前記の遷移金属化合物と混合し、これを酸化雰囲気下(空気下などの酸素含有雰囲気下)で加熱し、加熱後の生成物から遷移金属化合物や遷移金属化合物の反応生成物を酸で溶解させるなどして除去し、洗浄および乾燥する方法によっても、親水性部分の割合が前記の値を満たす粒状カーボンを得ることができる。
なお、親水性部分の割合が前記の値を満たす粒状カーボンの製造方法および条件の詳細は、国際公開第2015/133586号に開示されており、その記載に従って製造すればよい。
なお、繊維状カーボンは凝集しやすく、正極合剤の調製時に正極活物質などと混合しても解砕されずに凝集したままで存在することが多い。このような電極合剤を用いると、凝集した繊維状カーボンが嵩高いために、空隙が少なく密度が大きい正極合剤の成形体を形成し難くなる。よって、繊維状カーボンは粒状カーボンと複合化した複合体として使用することが好ましい。繊維状カーボンは粒状カーボンと複合体を形成していると、繊維状カーボンの表面に付着している粒状カーボンによって繊維状カーボンの凝集が抑制される。これにより、例えば空隙率が16%以下と低く、密度が大きい正極合剤の成形体の形成が容易となる。
繊維状カーボンと粒状カーボンとの複合体は、後述するように、繊維状カーボンと粒状カーボンとを乾式混合することによって得ることができる。
正極合剤の成形体で「繊維状カーボンと粒状カーボンとの複合体」を使用しているか否かは、例えば、粒状カーボンが前述した低結晶性のものである場合、以下の方法で判断できる。電池から正極合剤の成形体を取り出し、顕微ラマン分光法で正極の断面をマッピング測定(測定範囲:80×80μm、2μmステップ)する。繊維状カーボンおよび粒状カーボンは、いずれも1340cm-1および1590cm-1の位置にピークが観測されるが、繊維状カーボンは1340cm-1のピーク強度が粒状カーボンと比べ1/10~1/5程度である。よって、繊維状カーボンと粒状カーボンとが別個に存在している場合には、1340cm-1のピーク強度を観測することで、どちらのカーボンであるかを判別することができる。そして、繊維状カーボンと粒状カーボンとが複合体を形成している場合には、1340cm-1のピーク強度が粒状カーボンと比べ1/3~3/4程度となるため、観察しているカーボンが繊維状カーボンと粒状カーボンの複合体であることを判別できる。
全固体電池用正極における正極合剤の成形体において、繊維状カーボンと粒状カーボンとの割合は、繊維状カーボンの凝集をより良好に抑制する観点から、繊維状カーボン100質量部に対して、粒状カーボンが、10質量部以上であることが好ましく、30質量部以上であることがより好ましい。また、導電助剤全体の比表面積を制限して、正極合剤の成形体での硫化物系固体電解質の酸化をより良好に抑制する観点からは、繊維状カーボンと粒状カーボンとの割合は、繊維状カーボン100質量部に対して、粒状カーボンが、100質量部以下であることが好ましく、70質量部以下であることがより好ましい。
正極合剤の成形体から繊維状カーボンと粒状カーボンの割合は以下の方法で判別することができる。電池から電極積層体を取り出して、精密ナイフで正極合剤の成形体のみを分離する。分離した正極合剤の成形体をイオン交換水中に入れた後、ここにイオン交換水と同量のトルエンを加えて超音波処理を施す。この処理を施した液は、粒状カーボンを含む水相と、繊維状カーボンを含むトルエン相とに分離する。この液から水相とトルエン相とを分液する。これによって得られた水相について、50,000Gの遠心加速度で遠心分離を行い、上澄みをイオン交換水で置換する操作を3回繰り返した後に、残った試料を乾燥させて固形分を回収し、その質量Y(mg)を測定する。次に、質量Yを測定した固形分について、空気雰囲気下で熱重量(TG)分析を行い、120℃から700℃にかけての質量の変化量を求め、これを正極合剤中の粒状カーボンの質量Z(mg)とする。
これによって得られたトルエン層について50,000Gの遠心加速度で遠心分離を行い、上澄みをトルエンで置換する操作を3回繰り返した後に、残った試料を乾燥させて固形分を回収し、その質量(mg)を測定する。次に、質量Wを測定した固形分について、空気雰囲気下で熱重量(TG)分析を行い、120℃から800℃にかけての質量の変化量を求め、これを正極合剤中の繊維状カーボンの質量X(mg)とする。
さらに、YからZを引いて正極合剤中の正極活物質の質量P(mg)を算出することができる。
全固体電池用正極の正極合剤の成形体において、導電助剤の総量は、1~10質量%であることが好ましい。
正極活物質としては、従来から知られているリチウムイオン二次電池に用いられているものと同様の、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な活物質の粉末を使用することができる。具体的には、正極活物質として、LiM Mn2-x(ただし、Mは、Li、B、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Al、Sn、Sb、In、Nb、Mo、W、Y、RuおよびRhよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0.01≦x≦0.5)で表されるスピネル型リチウムマンガン複合酸化物、LiMn(1-b-a)Ni 2-d(ただし、Mは、Co、Mg、Al、B、Ti、V、Cr、Fe、Cu、Zn、Zr、Mo、Sn、Ca、SrおよびWよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0.8≦a≦1.2、0<b<0.5、0≦c≦0.5、d+f<1、-0.1≦d≦0.2、0≦f≦0.1)で表される層状化合物、LiCo1-g (ただし、Mは、Al、Mg、Ti、Zr、Fe、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Nb、Mo、Sn、SbおよびBaよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0≦g≦0.5)で表されるリチウム遷移金属酸化物の一種であるリチウムコバルト複合酸化物、LiNi1-h (ただし、Mは、Al、Mg、Ti、Zr、Fe、Co、Cu、Zn、Ga、Ge、Nb、Mo、Sn、SbおよびBaよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0≦h≦0.5)で表されるリチウム遷移金属酸化物の一種であるリチウムニッケル複合酸化物、LiM 1-mPO(ただし、Mは、Fe、MnおよびCoよりなる群から選択される少なくとも1種の元素で、Nは、Al、Mg、Ti、Zr、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Nb、Mo、Sn、SbおよびBaよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0≦m≦0.5)で表されるオリビン型複合酸化物、LiTi12で表されるリチウムチタン複合酸化物などが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を使用することができる。これらの中でも、電池容量確保のためリチウム遷移金属酸化物を用いることが好ましい。また、正極活物質がリチウム遷移金属酸化物の場合、正極合剤の成形体が60質量%以上の比率で含有していると導電性の確保が困難になる傾向にあるため、繊維状カーボンと粒状カーボンとを含有する効果をより顕著に得ることができる。
正極活物質表面には、正極活物質および固体電解質との反応を抑制する反応抑制層を設けることが好ましい。反応抑制層の構成材料としては、LiNbOやLiTi12で表されるリチウム遷移金属酸化物などが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を使用することができる
全固体電池用正極の正極合剤の成形体における正極活物質の含有量は、電池の高容量化の観点から、60質量%以上であることが好ましい。なお、正極合剤の成形体における正極活物質の量がこの範囲の時に、正極合剤の成形体内での導電性が確保し難くなるため、繊維状カーボンと粒状カーボンとを導電助剤とすることによる負荷特性改善の効果がより顕著になる。より好ましくは65質量%以上である。また、正極合剤の成形体における正極活物質の含有量は、通常、90質量%以下である。
全固体電池用電極における硫化物系固体電解質としては、例えば、LiS-P、LiS-SiS、LiS-P-GeS、LiS-B系ガラスなどの粒子が挙げられる他、近年、リチウムイオン伝導性が高いものとして注目されているLGPS系のもの(Li10GeP12など)や、アルジロダイト系のもの〔LiPSClなどの、Li7-x+yPS6-xClx+y(ただし、0.05≦y≦0.9、-3.0x+1.8≦y≦-3.0x+5.7)で表されるもの、Li7-aPS6-aClBr(ただし、a=b+c、0<a≦1.8、0.1≦b/c≦10.0)で表されるものなど〕も使用することができる。これらの中でも、リチウムイオン伝導性が高いことから、リチウムおよびリンを含む硫化物系固体電解質が好ましく、特にリチウムイオン伝導性が高く、化学的に安定性の高いアルジロダイト系材料がより好ましい。
硫化物系固体電解質の平均粒子径は、粒界抵抗軽減の観点から、0.1μm以上であることが好ましく、0.2μm以上であることがより好ましく、一方、活物質と固体電解質との間での十分な接触界面形成の観点から、10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましい。本明細書でいう固体電解質の平均粒子径は、粒度分布測定装置(日機装株式会社製マイクロトラック粒度分布測定装置「HRA9320」など)を用いて、粒度分布の小さい粒子から積分体積を求める場合の体積基準の積算分率における50%径の値(d50)を意味している。
全固体電池用正極には、硫化物系固体電解質と共に、その他の固体電解質(水素化物系固体電解質、酸化物系固体電解質など)も使用することができる。ただし、全固体電池用極正極における硫化物系固体電解質以外の固体電解質の、固体電解質粒子全量中の割合は、30質量%以下であることが好ましい。なお、全固体電池用正極における固体電解質は、全て硫化物系固体電解質であってもよいため、硫化物系固体電解質以外の固体電解質の固体電解質全量中の割合の下限値は、0質量%である。
水素化物系固体電解質としては、例えば、LiBH、LIBHと下記のアルカリ金属化合物との固溶体(例えば、LiBHとアルカリ金属化合物とのモル比が1:1~20:1のもの)などの粒子が挙げられる。前記固溶体におけるアルカリ金属化合物としては、ハロゲン化リチウム(LiI、LiBr、LiF、LiClなど)、ハロゲン化ルビジウム(RbI、RbBr、RbiF、RbClなど)、ハロゲン化セシウム(CsI、CsBr、CsF、CsClなど)、リチウムアミド、ルビジウムアミドおよびセシウムアミドよりなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
酸化物系固体電解質としては、例えば、LiLaZr12、LiTi(PO、LiGe(PO、LiLaTiOなどの粒子が挙げられる。
硫化物系固体電解質以外の固体電解質の平均粒子径は、硫化物系固体電解質の平均粒子径と同等程度であることが好ましい。
正極合剤の成形体における固体電解質の含有量は、4~30質量%であることが好ましい。
全固体電池用正極の正極合剤の成形体は、バインダを含有していてもよいが、硫化物系固体電解質の作用によって良好に成形できるため、含有していなくてもよい。バインダには、リチウムイオン二次電池の電極で通常使用されている各種のバインダ(ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂など)を使用することができる。正極合剤の成形体にバインダを含有させる場合の含有量は、0.5質量%以下であることが好ましい。
全固体電池用正極においては、正極合剤の成形体の空隙率が、16%以下であることが好ましく、14%以下であることがより好ましい。前記の通り、繊維状カーボンと粒状カーボンとが複合体を形成していると、繊維状カーボンの表面に付着している粒状カーボンによって繊維状カーボンの凝集が抑制される。これにより、例えば空隙率が16%以下と低く、密度が大きい正極合剤の成形体の形成が可能となり、正極活物質と固体電解質との接点をより多くして、良好なイオン伝導性を確保することができるようになる。
なお、全固体電池用正極における正極合剤の成形体の空隙率の下限値については、特に制限はないが、空隙率が0%の正極合剤の成形体の形成は容易ではなく、通常は、9%程度である。
本明細書でいう正極合剤の成形体の空隙率は、正極合剤に含まれる各材料の割合と真密度から算出した正極合剤の真密度と正極合剤の成形体の実測密度から計算される。
全固体電池用正極は、正極活物質と硫化物系固体電解質と繊維状カーボンと粒状カーボンなどとを混合して正極合剤を調製する工程と、前記正極合剤を成形して正極合剤の成形体を形成する工程とを有する製造方法によって製造することができる。
なお、導電助剤として繊維状カーボンと粒状カーボンとの複合体を使用する場合には、繊維状カーボンと粒状カーボンとを混合して、これらの複合体を形成する工程と、前記複合体と正極活物質と硫化物系固体電解質などとを混合して正極合剤を調製する工程と、前記正極合剤を成形して正極合剤の成形体を形成する工程とを有する製造方法によって全固体電池用正極を製造することができる。
繊維状カーボンと粒状カーボンとの複合体の形成は、遊星ボールミルや増高産業製「スーパーマスコロイダー(商品名)」などの装置を使用し、これらを乾式混合することによって実施することができる。前記複合体形成時の混合時間は、例えば、10~60分とすればよい。
前記複合体と正極活物質と硫化物系固体電解質などとを混合して正極合剤を調製したり、正極活物質と硫化物系固体電解質と繊維状カーボンと粒状カーボンなどとを混合して正極合剤を調製したりするに際しては、例えば、前記複合体の形成と同じ装置を使用して、これらを乾式混合すればよい。
正極合剤の成形体の形成は、前記のようにして調製した正極合剤を使用し、これをプレス処理などしてペレット状やシート状などに成形すればよい。集電体を持たない全固体電池用正極の場合は、正極合剤の成形体をそのまま電極として使用することができる。他方、集電体を有する全固体電池用正極の場合は、得られた正極合剤の成形体を集電体と圧着するなどして製造することができる。
全固体電池用正極が集電体を有する場合、その集電体としては、アルミニウムやステンレス鋼などの金属の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタル、発泡メタル;カーボンシート;などが挙げられる。また、全固体電池用電極が負極であって集電体を使用する場合、その集電体としては、銅製やニッケル製の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタル、発泡メタル;カーボンシート;などが挙げられる。
全固体電池用正極における正極合剤の成形体の厚みは、250μm以上であり、300μm以上であることが好ましく、400μm以上であることがより好ましい。正極合剤の成形体の厚みが大きければ大きいほどその分正極活物質量を増加させることができるので容量確保が可能になる。また、正極合剤の成形体の厚みが250μmよりも小さいと導電性確保が問題にならない一方で、250μm以上の厚みになると導電性低下による電池の負荷特性低下が顕著になるが、本発明によれば、薄い正極合剤の成形体を有する場合よりも、電池の負荷特性を向上させることができる。なお、正極合剤の成形体の厚みは適宜使用する機器に合わせて変更することができるが、5000μm以下であることが好ましい。
<全固体電池>
本発明の全固体電池は、正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に介在する固体電解質層とを有する二次電池であり、正極が本発明の全固体電池用正極である。
本発明の全固体電池の一例を模式的に表す断面図を図1に示す。図1に示す電池1は、外装缶40と、封口缶50と、これらの間に介在する樹脂製のガスケット60で形成された外装体内に、正極10、負極20、および正極10と負極20との間に介在する固体電解質層30が封入されている。
封口缶50は、外装缶40の開口部にガスケット60を介して嵌合しており、外装缶40の開口端部が内方に締め付けられ、これによりガスケット60が封口缶50に当接することで、外装缶40の開口部が封口されて素子内部が密閉構造となっている。
外装缶および封口缶にはステンレス鋼製のものなどが使用できる。また、ガスケットの素材には、ポリプロピレン、ナイロンなどを使用できるほか、電池の用途との関係で耐熱性が要求される場合には、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)などのフッ素樹脂、ポリフェニレンエーテル(PEE)、ポリスルフォン(PSF)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの融点が240℃を超える耐熱樹脂を使用することもできる。また、電池が耐熱性を要求される用途に適用される場合、その封口には、ガラスハーメチックシールを利用することもできる。
全固体電池の負極には、例えば、負極活物質、導電助剤および固体電解質などを含む負極合剤の成形体を有するものが挙げられ、前記成形体のみからなる負極や、前記成形体と集電体とが一体化してなる構造の負極などが使用できる。
負極活物質としては、例えば、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、炭素繊維などのリチウムを吸蔵・放出可能な炭素系材料の1種または2種以上の混合物が用いられる。また、Si、Sn、Ge、Bi、Sb、Inなどの元素を含む単体、化合物およびその合金;リチウム含有窒化物またはリチウム含有酸化物などのリチウム金属に近い低電圧で充放電できる化合物;リチウム金属;リチウム/アルミニウム合金;も、負極活物質として用いることができる。
負極合剤における負極活物質の含有量は、50~95質量%であることが好ましい。
負極の導電助剤には、黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛)、グラフェン、カーボンブラック、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブなどの炭素材料などを使用することができる。負極合剤における導電助剤の含有量は1~10質量%であることが好ましい。
負極の固体電解質には、正極合剤に含有させ得る固体電解質として先に例示したものと同じもののうちの1種または2種以上を使用することができる。前記例示の固体電解質の中でも、リチウムイオン伝導性が高く、また、負極合剤の成形性を高める機能を有していることから、硫化物系固体電解質を用いることがより好ましい。
負極合剤における固体電解質の含有量は、4~49質量%であることが好ましい。
負極合剤には、樹脂製のバインダは含有させなくてもよく、含有させてもよい。樹脂製のバインダとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのフッ素樹脂などが挙げられる。ただし、樹脂製のバインダは負極合剤中においても抵抗成分として作用するため、その量はできるだけ少ないことが望ましい。よって、負極合剤においては、樹脂製のバインダを含有させないか、含有させる場合にはその含有量を0.5質量%以下とすることが好ましい。負極合剤における樹脂製のバインダの含有量は0.3質量%以下であることがより好ましく、0質量%である(すなわち、樹脂製のバインダを含有させない)ことがさらに好ましい。
負極に集電体を用いる場合、その集電体としては、銅製やニッケル製の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタル、発泡メタル;カーボンシート;などを用いることができる。
負極合剤の成形体は、例えば、負極活物質、導電助剤および固体電解質、さらには必要に応じて添加されるバインダなどを混合して調製した負極合剤を、加圧成形などによって圧縮することで形成することができる。
集電体を有する負極の場合には、前記のような方法で形成した負極合剤の成形体を集電体と圧着するなどして貼り合わせることで製造することができる。
負極合剤の成形体の厚み(集電体を有する負極の場合は、集電体の片面あたりの正極合剤の成形体の厚み。以下、同じ。)は、電池の高容量化の観点から、200μm以上であることが好ましい。なお、電池の負荷特性は、一般に正極や負極を薄くすることで向上しやすいが、本発明によれば、負極合剤の成形体が200μm以上と厚い場合においても、その負荷特性を高めることが可能である。よって、本発明においては、負極合剤の成形体の厚みが例えば200μm以上の場合に、その効果がより顕著となる。また、負極合剤の成形体の厚みは、通常、3000μm以下である。
全固体電池用における固体電解質層には、全固体電池用電極の固体電解質として先に例示した各種固体電解質(硫化物系固体電解質、水素化物系固体電解質、酸化物系固体電解質)と同じもののうちの1種または2種以上を使用することができる。ただし、電池特性をより優れたものとするためには、硫化物系固体電解質を含有させることが好ましい。
固体電解質層は、固体電解質を加圧成形などによって圧縮する方法;固体電解質を溶媒に分散させて調製した固体電解質層形成用組成物を基材や正極、負極の上に塗布して乾燥し、必要に応じてプレス処理などの加圧成形を行う方法;などによって形成することができる。
固体電解質層形成用組成物に使用する溶媒には、固体電解質を劣化させ難いものを選択することが好ましい。特に、硫化物系固体電解質や水素化物系固体電解質は、微少量の水分によって化学反応を起こすため、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、デカリン、トルエン、キシレンなどの炭化水素溶媒に代表される非極性非プロトン性溶媒を使用することが好ましい。特に、含有水分量を0.001質量%(10ppm)以下とした超脱水溶媒を使用することがより好ましい。また、三井・デュポンフロロケミカル社製の「バートレル(登録商標)」、日本ゼオン社製の「ゼオローラ(登録商標)」、住友3M社製の「ノベック(登録商標)」などのフッ素系溶媒、並びに、ジクロロメタン、ジエチルエーテルなどの非水系有機溶媒を使用することもできる。
固体電解質層の厚みは、50~400μmであることが好ましい。
全固体電池において、正極と負極とは、固体電解質層を介して積層した積層電極体や、さらにこの積層電極体を巻回した巻回電極体の形態で用いることができる。
全固体電池の形態は、図1に示すような、外装缶と封口缶とガスケットとで構成された外装体を有するもの、すなわち、一般にコイン形電池やボタン形電池と称される形態のものに限定されず、例えば、樹脂フィルムや金属-樹脂ラミネートフィルムで構成された外装体を有するものや、金属製で有底筒形(円筒形や角筒形)の外装缶と、その開口部を封止する封止構造とを有する外装体を有するものであってもよい。
本発明の全固体電池は、従来から知られている二次電池と同様の用途に適用し得るが、有機電解液に代えて固体電解質を有していることから耐熱性に優れており、高温に曝されるような用途に好ましく使用することができる。本発明の全固体電池用正極は、本発明の全固体電池を構成できる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではない。
(実施例1)
<固体電解質層の形成>
平均粒子径が4μmのアルジロダイト型構造を有する硫化物系固体電解質(LiPSCl):16mgを粉末成形金型に投入し、プレス機を用いて加圧成形を行い、厚みが0.2mmの固体電解質層を形成した。
<正極の作製>
一次粒子の平均粒子径が200nmで、2nm以下の細孔を有するカーボンブラック:9質量部と、Co(CHCOO)・4HO:99.6質量部と、LiOH・HO:32質量部とを蒸留水中で混合し、1時間攪拌した後、混合液をろ過してカーボンブラックを含む混合物を得た。
次に、前記混合物にLiOH・HO:30質量部を加え、エバポレーターを用い、空気中250℃で30分間加熱して、カーボンブラックにリチウムコバルト化合物が担持された複合体を得た。この複合体を、濃度98%の濃硫酸、濃度70%の濃硝酸および濃度30%の塩酸の体積比が1:1:1の混合水溶液に投入し、超音波を照射させて複合体中のリチウムコバルト化合物を溶解させ、残った固体をろ過し、水洗し、乾燥させた。
前記混合水溶液によるリチウムコバルト化合物の溶解と、ろ過、水洗及び乾燥の工程を繰り返すことにより、リチウムコバルト化合物を完全に取り除き、10質量%以上の割合で親水性部分を含む粒状カーボンを得た。得られた粒状カーボンは、一次粒子の状態で最長径の長さと最短径の長さとの比が1.1で、粒状カーボンの一次粒子の平均粒子径が200nmであった。
カーボンナノチューブ〔昭和電工社製「VGCF(商品名)」,繊維状カーボン,繊維長と繊維径との比が30以上〕と、前記粒状カーボンとを、遊星ボールミルを用いて、質量比で2:1の割合で60分間乾式混合して、繊維状カーボンと粒状カーボンとの複合体を得た。
LiCoO(正極活物質)と、平均粒子径が4μmのアルジロダイト型構造を有する硫化物系固体電解質(LiPSCl)と、前記繊維状カーボンと粒状カーボンとの複合体(導電助剤)とを、質量比で70:26.8:3.2の割合で混合して、正極合剤を調製した。
次に、前記正極合剤:62mgを前記粉末成形金型内の前記固体電解質層の上に投入し、プレス機を用いて加圧成形を行い、前記固体電解質層の上に厚みが0.46mmの正極合剤の成形体よりなる正極を形成した。得られた正極の空隙率は、14%であった。
<負極の作製>
平均粒子径2μmのLiTi12と前記硫化物固体電解質と前記粒状カーボンとを質量比で55:40:5の割合で混合し、よく混練して負極合剤を調製した。次に、前記粉末成形金型内の前記固体電解質層の正極とは反対側の上に、前記負極合剤:88mgを投入し、プレス機を用いて加圧成形を行い、前記固体電解質層の上に厚みが0.89mmの負極合剤成形体よりなる負極を形成することにより、正極、固体電解質層および負極が積層された、直径が7.5mmで厚みが1.55mmの電極積層体を作製した。
<電池の組み立て>
東洋炭素株式会社製の可撓性黒鉛シート「PERMA-FOIL(製品名)」(厚み:0.1mm、見かけ密度:1.1g/cm)を前記電極積層体と同じ大きさに打ち抜いたものを2枚用意し、そのうちの1枚を、ポリプロピレン製の環状ガスケットをはめ込んだステンレス鋼製の封口缶の内底面上に配置した。次に、前記黒鉛シートの上に、負極を前記黒鉛シート側にして前記電極積層体を重ね、その上に前記黒鉛シートのもう1枚を配置し、さらにステンレス鋼製の外装缶をかぶせた後、外装缶の開口端部を内方にかしめて封止を行うことにより、封口缶の内底面と前記積層体との間、および、外装缶の内底面と前記積層体との間に、それぞれ前記黒鉛シートが配置された、直径約9mmの扁平形全固体電池を作製した。
(実施例2)
LiCoOと、平均粒子径が4μmのアルジロダイト型構造を有する硫化物系固体電解質(LiPSCl)と、前記繊維状カーボンと、前記粒状カーボンとを、質量比で70:26.8:2.1:1.1の割合で混合して、正極合剤を調製した。この正極を用いた以外は実施例1と同様にして正極を形成した。得られた正極の空隙率は、15%であった。
この正極を用いた以外は、実施例1と同様にして扁平形全固体電池を作製した。
(実施例3)
LiCoOと、平均粒子径が4μmのアルジロダイト型構造を有する硫化物系固体電解質(LiPSCl)と、前記繊維状カーボンと、前記粒状カーボンとを、質量比で60:36.8:2.1:1.1の割合で混合して、正極合剤を調製した。この正極を用いた以外は実施例1と同様にして正極を形成した。得られた正極の空隙率は、15%であった。
この正極を用いた以外は、実施例1と同様にして扁平形全固体電池を作成した。
(実施例4)
LiCoOと、平均粒子径が4μmのアルジロダイト型構造を有する硫化物系固体電解質(LiPSCl)と、前記繊維状カーボンと、前記粒状カーボンとを、質量比で70:26.8:2.1:1.1の割合で混合して、正極合剤を調製した。
次に、この正極合剤:40mgを前記粉末成形金型内の前記固体電解質層の上に投入し、プレス機を用いて加圧成形を行い、前記固体電解質層の上に厚みが0.30mmの正極合剤の成形体よりなる正極を形成した。得られた正極の空隙率は、15%であった。
この正極を用いた以外は、実施例1と同様にして扁平形全固体電池を作成した。
(実施例5)
LiCoO(正極活物質)と、平均粒子径が4μmのアルジロダイト型構造を有する硫化物系固体電解質(LiPSCl)と、前記繊維状カーボンと、前記粒状カーボンとを、質量比で70:26.8:2.1:1.1の割合で混合して、正極合剤を調製した。
次に、この正極合剤:33mgを前記粉末成形金型内の前記固体電解質層の上に投入し、プレス機を用いて加圧成形を行い、前記固体電解質層の上に厚みが0.25mmの正極合剤の成形体よりなる正極を形成した。得られた正極の空隙率は、15%であった。
この正極を用いた以外は、実施例1と同様にして扁平形全固体電池を作成した。
(比較例1)
繊維状カーボンと粒状カーボンとの複合体に代えて、前記複合体の形成に使用したものと同じカーボンナノチューブを導電助剤として使用した以外は、実施例1と同様にして、厚みが0.46mmの正極合剤の成形体からなる正極を作製した。得られた正極の空隙率は、19%であった。そして、この正極を用いた以外は、実施例1と同様にして扁平形全固体電池を作製した。
(比較例2)
繊維状カーボンと粒状カーボンとの複合体に代えて、前記複合体の形成に使用したものと同じ粒状カーボンを導電助剤として使用した以外は、実施例1と同様にして、厚みが0.46mmの正極合剤の成形体からなる正極を作製した。得られた正極の空隙率は、15%であった。そして、この正極を用いた以外は、実施例1と同様にして扁平形全固体電池を作製した。
(比較例3)
LiCoO(正極活物質)と、平均粒子径が4μmのアルジロダイト型構造を有する硫化物系固体電解質(LiPSCl)と、前記粒状カーボンとを、質量比で70:26.8:3.2の割合で混合して、正極合剤を調製した。
次に、この正極合剤:26mgを前記粉末成形金型内の前記固体電解質層の上に投入し、プレス機を用いて加圧成形を行い、前記固体電解質層の上に厚みが0.20mmの正極合剤の成形体よりなる正極を形成した。得られた正極の空隙率は、15%であった。
この正極を用いた以外は、実施例1と同様にして扁平形全固体電池を作成した。
実施例および比較例の各扁平形全固体電池について、下記の各評価を行った。
<初期容量測定>
実施例および比較例の各扁平形全固体電池について、0.03Cの電流値で電圧が2.8Vになるまで定電流充電し、続いて電流値が0.003Cになるまで定電圧充電を行い、その後に0.03Cの電流値で電圧が1Vになるまで放電させて、そのときの0.03C放電容量(初期容量)を測定した。
<負荷特性評価>
実施例および比較例の各扁平形全固体電池について、初期容量測定時と同じ条件で定電流充電および定電圧充電を行い、その後に0.3Cの電流値で電圧が1Vになるまで放電させて、このときの放電容量(0.3C放電容量)を測定した。
そして、各電池について、0.3C放電容量を0.03C放電容量で除した値を百分率で表して容量維持率を求め、負荷特性を評価した。
前記の各評価結果を表1に示す。
Figure 0007469920000001
表1に示す通り、硫化物系固体電解質を使用し、厚い正極合剤の成形体を有する場合、導電助剤に繊維状カーボンのみまたは粒状カーボンのみを用いた比較例1、2の全固体電池では、負荷特性評価時の容量維持率が小さく、負荷特性が劣っていた。一方、薄い正極合剤の成形体を有する正極を使用した比較例3の電池では、比較例2の電池と同様に導電助剤に粒状カーボンのみを用いているにも関わらず、負荷特性評価時の容量維持率が比較的高かった。
これに対し、正極合剤の成形体の導電助剤として繊維状カーボンと粒状カーボンとを併用した実施例1~4の全固体電池は、硫化物系固体電解質を使用し、かつ正極合剤の成形体が厚いにも関わらず、負荷特性評価時の容量維持率が、薄い正極合剤の成形体を有する比較例3の電池よりも高く、優れた負荷特性を有していた。
1 全固体電池
10 正極
20 負極
30 固体電解質層
40 外装缶
50 封口缶
60 ガスケット

Claims (5)

  1. 正極活物質と、硫化物系固体電解質と、導電助剤とを含有する正極合剤の成形体を有し、
    前記導電助剤として、繊維状カーボンと粒状カーボンとの複合体を含有し、
    前記正極合剤の成形体の厚みが250μm以上であることを特徴とする全固体電池用正極。
  2. 前記正極合剤の成形体におけるバインダの含有量が、0.5質量%以下である請求項1記載の全固体電池用正極。
  3. 前記固体電解質として、リチウムおよびリンを含む硫化物系固体電解質を含有している請求項1または2に記載の全固体電池用正極。
  4. 前記正極活物質として、リチウム遷移金属酸化物を含有している請求項1~のいずれかに記載の全固体電池用正極。
  5. 正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に介在する固体電解質層とを有する全固体電池であって、
    前記正極が、請求項1~のいずれかに記載の全固体電池用正極であることを特徴とする全固体電池。
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