WO2023171541A1 - 非水電解質二次電池用電極および非水電解質二次電池 - Google Patents

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Abstract

出力特性に優れた非水電解質二次電池と、前記非水電解質二次電池を構成し得る電極とを提供する。本発明の電池は、SDGsの目標3、7、11、および12に関係する。 本発明の非水電解質二次電池用電極は、電極活物質の粒子と固体電解質と導電助剤の粒子とを少なくとも含む電極合剤の成形体を有し、電極合剤の成形体の断面の観察により求められる電極活物質の粒子の体積基準の粒度分布が、最大頻度における径をDとする小粒子と、最大頻度における径をDとする大粒子との2つの分布を有する形態であり、かつ電極活物質の粒子全体の体積を100%としたときの、前記大粒子の体積分率が前記小粒子の体積分率よりも大きく、前記断面により求められる導電助剤の粒子のモード径DとDとがD≦Dであり、近接する導電助剤の粒子同士の平均重心間距離LとDとがL≦Dである。

Description

非水電解質二次電池用電極および非水電解質二次電池
 本発明は、出力特性に優れた非水電解質二次電池、および前記非水電解質二次電池を構成し得る電極に関するものである。
 非水電解質二次電池は、携帯電話、ノート型パーソナルコンピュータなどのポータブル電子機器や、電気自動車などの電源用途に利用されている。非水電解質二次電池の社会への提供により、国際連合が制定する持続可能な開発目標(SDGs)の17の目標のうち、目標3(あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する)、目標7(すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する)、目標11〔包摂的で安全かつ強靭(レジリエント)で持続可能な都市および人間居住を実現する〕、および目標12(持続可能な生産消費形態を確保する)の達成に貢献することができる。
 現在の非水電解質二次電池では、通常、正極活物質にリチウム含有複合酸化物が用いられ、負極活物質に黒鉛などが用いられている。
 また、非水電解質二次電池においては、特性向上のために種々の検討がなされており、例えば、正極活物質において、粒度などを調整することで、出力特性などの向上を図る試みがなされている(特許文献1~3など)。
 さらに、非水電解質二次電池においては、信頼性向上の観点から、可燃性物質である有機溶媒を含有する非水電解質(非水電解液)に代えて、固体電解質を使用することも行われている(特許文献4など)。
特開2013-20736号公報 特開2014-110176号公報 特開2018-138513号公報 特開2021-141007号公報
 前記のように、非水電解質二次電池においては、種々の特性改善が行われているが、近年ではより大きな電流で放電を行っても大きな容量を維持できるように、出力特性を高めることが望まれている。
 本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、出力特性に優れた非水電解質二次電池と、前記非水電解質二次電池を構成し得る電極とを提供することにある。
 本発明の非水電解質二次電池用電極は、電極活物質の粒子と固体電解質と導電助剤の粒子とを少なくとも含む電極合剤の成形体を有し、前記電極合剤の成形体の断面の観察により求められる前記電極活物質の粒子の体積基準の粒度分布が、最大頻度における径をD(μm)とする小粒子と、最大頻度における径をD(μm)とする大粒子との2つの分布を有する形態であり、かつ前記電極活物質の粒子全体の体積を100%としたときの、前記大粒子の体積分率が、前記小粒子の体積分率よりも大きく、前記断面の観察により求められる前記導電助剤の粒子の体積基準の粒度分布におけるモード径をD(μm)としたとき、D≦Dであり、前記断面の観察により求められる前記導電助剤の粒子の重心(幾何中心。本明細書でいう「重心」について、以下同じ。)と、この粒子に最も近い導電助剤の粒子、2番目に近い導電助剤の粒子、および3番目に近い導電助剤の粒子の、それぞれの重心とのユークリッド距離の算術平均値である重心間距離をL(μm)としたとき、前記Lの算術平均値である平均重心間距離L(μm)が、L≦Dの関係を満たすことを特徴とするものである。
 さらに、本発明の非水電解質二次電池は、正極、負極、および前記正極と前記負極との間に介在するセパレータまたは固体電解質層を有し、前記正極および前記負極のうちの少なくとも一方が、本発明の非水電解質二次電池用電極であることを特徴とするものである。
 本発明によれば、出力特性に優れた非水電解質二次電池と、前記非水電解質二次電池を構成し得る電極とを提供することができる。
本発明の非水電解質二次電池の一例を模式的に表す断面図である。 本発明の非水電解質二次電池の他の例を模式的に表す平面図である。 図2のI-I線断面図である。
<非水電解質二次電池用電極>
 本発明の非水電解質二次電池用電極(以下、単に「電極」という場合がある)は、電極活物質の粒子と固体電解質と導電助剤の粒子とを少なくとも含む電極合剤の成形体〔集電体上に形成される電極合剤の層(電極合剤層)や、電極合剤の成形体のみからなるもの(ペレットなど)など〕を有し、前記電極合剤の成形体の断面の観察により求められる前記電極活物質の粒子の体積基準の粒度分布が、最大頻度における径をD(μm)とする小粒子と、最大頻度における径をD(μm)とする大粒子との2つの分布を有する形態である。このように、電極合剤の成形体内で存在する電極活物質の粒子が、その体積基準の粒度分布において、小粒径側と大粒径側とに2つの頻度ピークを有するバイモーダルの形態を有する場合には、電極合剤の成形体の密度が高くなり、電極合剤を構成する材料同士が良好な接触状態や界面を形成できるようになるが、前記粒度分布において、小粒子と大粒子とを含有する場合には、バイモーダルの形態の粒度分布を有する場合と同様の効果を確保することができる。その結果、イオン伝導性と電子伝導性とが良好となることで、電極合剤の成形体の内部の電極活物質の利用率が高まることによる電極のエネルギー密度が大きくなる効果や、入出力特性が改善される効果がある。
 電極が電極活物質の粒子として大粒子と小粒子とを含んでいることは、電極断面の観察により取得した粒度分布について、標準偏差の値を共有する二つの対数正規分布関数でフィッティングした結果の自由度調整済み決定係数(補正R二乗)の値が0.97より大きく、前記径Dと前記径Dの比率が、D≧1.5×Dの関係を満たしていることを判別基準とする。
 電極活物質の粒子において、前記径Dは、0.1μm以上であることが好ましく、0.2μm以上であることがより好ましく、10μm以下であることが好ましく、6μm以下であることがより好ましく、また、前記径Dは、0.5μm以上であることが好ましく、0.8μm以上であることがより好ましく、40μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましい。そして、前記径Dと前記径Dとの差は、0.4~30μmであることが好ましい。
 電極合剤の成形体内の電極活物質のうち、粒径の小さい小粒子の割合が増えると、電極活物質の全体に電子を行き渡らせるために必要な導電助剤の量が多くなるが、この導電助剤の量が増えると電極合剤の成形体内でのイオン伝導が阻害されるため、電極の出力特性、ひいては、電極を使用した非水電解質二次電池の出力特性が低下する。よって、本発明では、電池の出力特性を高める観点から、電極における電極活物質の粒子の体積基準の粒度分布において、電極活物質の粒子全体の体積を100%としたときの、大粒子の体積分率を、小粒子の体積分率よりも大きくする。
 電極活物質において、小粒子の体積分率は、電極の出力特性をより向上させる観点から3体積%以上であることが好ましく、8体積%以上であることがより好ましく、電極合剤の成形体の密度と耐久性とを高める観点から、50体積%以下であることが好ましく、25体積%以下であることがより好ましい。電極活物質の小粒子に帰属される粒子以外の粒子は、全て大粒子に帰属されるため、電極活物質における大粒子の体積分率は、50体積%以上であることが好ましく、75体積%以上であることがより好ましく、97体積%以下であることが好ましく、92体積%以下であることがより好ましい。
 なお、電極合剤の成形体に含有させ得る導電助剤(具体例については後述する)は、電極合剤の成形体内において、一次粒子または凝集体粒子(二次粒子)の形態で存在している。そして、電極合剤の成形体の、電極活物質の体積基準の粒度分布を求めたものと同じ断面を観察して求められる、このような導電助剤の粒子の体積基準の粒度分布におけるモード径をD(μm)としたとき、電極活物質の粒子における前記径Dとの関係が、D≦Dである。電極合剤の成形体は、このように粒径が制限された導電助剤の粒子を含有することで、成形体内での短距離の導電パスが良好に形成されるため、電極の出力特性(ひいては非水電解質二次電池の出力特性)が向上する。
 前記径Dは、0.01μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましく、40μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましい。
 さらに、電極合剤の成形体においては、導電助剤の粒子aの重心と、この粒子aに最も近い導電助剤の粒子の重心とのユークリッド距離L、粒子aの重心と、粒子aに2番目に近い導電助剤の粒子の重心とのユークリッド距離L、および粒子aの重心と、粒子aに3番目に近い導電助剤の粒子の重心とのユークリッド距離Lの算術平均値である重心間距離をL(μm)としたとき、各粒子における前記Lの算術平均値である平均重心間距離L(μm)が、L≦Dの関係を満たす。例えば電極合剤の成形体内における導電助剤の粒子の量が少なすぎると、前記距離Lが長くなり、導電助剤同士の接触による導電ネットワークの形成が不十分となるが、前記距離Lが前記径Dと同じかそれより短い場合には、電極合剤の成形体内において、導電助剤の粒子同士が良好に接触できていることから、導電ネットワークが良好に形成されて、電極の出力特性(ひいては非水電解質二次電池の出力特性)が向上する。
 前記距離Lは、0.01μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましく、40μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましい。
 本明細書でいう電極合剤の成形体内の電極活物質の粒子の体積基準の粒度分布は、集束イオンビーム(FIB)加工により作製した電極合剤の成形体の断面の、任意の複数箇所の走査型電子顕微鏡(SEM)画像(倍率5000倍)に写った粒子のうち電極活物質に帰属された粒子を全てサンプリングすることで得られる。観察視野の数は、観察される電極活物質の粒子が5000個以上となる数とする。SEM画像中の電極活物質の粒子の確認は、エネルギー分散型X線分光(EDS)マッピング分析、電子線マイクロアナライザー(EPMA)分析、および飛行時間型二次イオン質量(TOF―SIMS)マッピング分析のいずれかにより実施できる。前記電極活物質のn番目の粒子の見かけの粒子サイズD’(n)は、前記電極活物質のn番目の粒子の断面の面積と同等の面積を有する円の直径と等しいものとする。球を最表面から任意の深さで切断した場合の断面の円の直径の平均値は、球の直径Dに対して√(2/3)倍となることを考慮し、前記電極活物質のn番目の粒子の粒子サイズD(n)〔=D’(n)/√(2/3)〕を算出する。得られた各粒子サイズの頻度に各粒子の体積V(n)を乗じて、それをV(n)の総和で除することで体積基準の粒度分布(ヒストグラム)を作成することができる。
 電極活物質粒子のサンプリングを実施するにあたり、画像解析ソフトを使用することができる。具体的には、「ImageJ」を使用して画像のコントラストのヒストグラムを解析し、前記EDSマッピング分析などによって電極活物質に帰属された粒子が属しているコントラストの領域を選んで画像を二値化する。二値化した画像について収縮、膨張の処理を前記の順に1回ずつ2回繰り返し行い、Fill Hallsの処理を1回行い、収縮処理を1回行った後、分水嶺で隣り合った粒子を分割する。Analyze Particlesで面積が0.005(μm)以上の粒子を解析することで5000個以上の粒子をサンプリングすることができる(その際、画像の端に掛かった粒子は除外する)。
 このようにして得られる電極活物質の体積基準の粒度分布について、OriginLab Corporation社製の「Origin(商品名)」などのグラフ作成ソフトを用いて標準偏差の値を共有する2つの対数正規分布関数でフィッティングを行い、前記径DおよびDを求める。小粒子の体積分率および大粒子の体積分率は、前記フィッティング操作により得られた2つのピークの面積の和で、小粒径側のピーク面積および大粒径側のピーク面積をそれぞれ除することで求めることができる。
 導電助剤の粒子についても、二値化した画像について分水嶺で隣り合った粒子を分割する操作を行わないこと以外は電極活物質粒子の場合と同じ方法で解析することで、導電助剤の粒子のモード径Dを求めることができる。
 導電助剤の粒子同士の平均重心間距離Lについては、Dを求めるためにImageJを用いた画像解析により得られた各粒子を二値化した画像を、Analyze Particlesした際に得られる各粒子の粒子番号と重心(幾何中心)の直交座標とのデータリストを解析することで求めることができる。Pythonに前記データリストとscikit-learnパッケージをインポートし、k近傍法(k-nearest neighbor algorithm)で各粒子について最も近い3粒子(k=3)の粒子のユークリッド距離を計算し、データリストとしてアウトプットする。その際、隣り合う粒子における重複は許容する。前記データリストより算術平均粒子間距離Lを求める。なお、粒子が単分散であって、最密に近い状態で充填されている場合の第一近接粒子数はk=6に等しくなるが、実際の電極では固体電解質と電極活物質の粒子とを含んでいることを考慮し、近傍の粒子の距離を優先的に解析するためにk=3の条件でLを算出した。k値が1~6であっても本発明の本質に影響するものではない。
 後記の実施例に記載するD、D、DおよびLの値は、いずれも前記の方法によって求めた値である。
 本発明の電極は、固体電解質層を有する固体電解質二次電池(全固体二次電池など)や、非水電解質(非水電解液など)と、正極と負極との間に介在するセパレータとを有する二次電池などの、各種の非水電解質二次電池において、正極および負極のうちの少なくとも一方の電極として使用できる。
 本発明の電極は、電極活物質の粒子、固体電解質および導電助剤の粒子を含有する電極合剤の成形体を有するものであり、電極合剤を成形した成形体(ペレットなど)のみからなるものや、電極合剤の成形体からなる層(電極合剤層)を集電体上に形成した構造のものなどが挙げられる。
 電極を非水電解質二次電池の正極に使用する場合の電極活物質の粒子としては、従来から知られているリチウムイオン二次電池に用いられているものと同様の、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な活物質の粒子が使用できる。具体的には、LiMMn2-r(ただし、Mは、Li、Na、K、B、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、V、Cr、Zr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Sn、Sb、In、Nb、Ta、Mo、W、Y、RuおよびRhよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0≦r≦1)で表されるスピネル型リチウムマンガン複合酸化物、LiMn(1-s-r)Ni(2-u)(ただし、Mは、Co、Mg、Al、B、Ti、V、Cr、Fe、Cu、Zn、Zr、Mo、Sn、Ca、SrおよびWよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0.8≦r≦1.2、0<s<0.5、0≦t≦0.5、u+v<1、-0.1≦u≦0.2、0≦v≦0.1)で表される層状化合物、LiCo1-r(ただし、Mは、Al、Mg、Ti、V、Cr、Zr、Fe、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Nb、Mo、Sn、SbおよびBaよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0≦r≦0.5)で表されるリチウムコバルト複合酸化物、LiNi1-r(ただし、Mは、Al、Mg、Ti、Zr、Fe、Co、Cu、Zn、Ga、Ge、Nb、Mo、Sn、SbおよびBaよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0≦r≦0.5)で表されるリチウムニッケル複合酸化物、Li1+s1-rPO(ただし、Mは、Fe、MnおよびCoよりなる群から選択される少なくとも1種の元素で、Nは、Al、Mg、Ti、Zr、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Nb、Mo、Sn、Sb、VおよびBaよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0≦r≦0.5、0≦s≦1)で表されるオリビン型複合酸化物、Li1-r(ただし、Mは、Fe、MnおよびCoよりなる群から選択される少なくとも1種の元素で、Nは、Al、Mg、Ti、Zr、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Nb、Mo、Sn、Sb、VおよびBaよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0≦r≦0.5)で表されるピロリン酸化合物などの、従来から知られている非水電解質二次電池で使用されている各種の正極活物質の粒子の1種または2種以上が挙げられる。
 なお、正極活物質の粒子と固体電解質とを含有する電極合剤(正極合剤)の成形体を有する電極(正極)においては、正極活物質の粒子と固体電解質とが直接接触すると、固体電解質が酸化して抵抗層を形成し、成形体内のイオン伝導性が低下する虞がある。このような理由で正極合剤の成形体内のイオン伝導性が低下すると、例えば、この正極を用いた非水電解質二次電池の出力特性が損なわれる虞がある。
 そこで、例えば特許文献4に記載されているように、正極活物質の粒子の表面に、固体電解質との反応を抑制する反応抑制層を設けることが考えられる。反応抑制層の作用によって正極活物質の粒子と固体電解質との直接の接触を防止することで、固体電解質の酸化といった副反応による成形体内のイオン伝導性の低下を抑制することができるため、電池の出力特性の低下を抑えることができる。
 ところが、正極活物質の粒子の表面を完全に反応抑制層で覆うことは容易ではなく、反応抑制層が形成されていない部分においては固体電解質の副反応が生じる虞がある。こうしたことから、正極活物質の粒子の表面に反応抑制層を形成することによる電池の出力特性向上効果には、一定の制限があった。
 よって、電極を非水電解質二次電池の正極とする場合の電極活物質(正極活物質)の粒子に係る電極活物質(正極活物質)には、下記組成式(1)で表されるスピネル型正極活物質を使用することが好ましい。
 LiMn2-x-y 4-δ  (1)
 前記組成式(1)中、MはNiおよびCoのうちの少なくとも一方の元素、MはAl、Mg、Ca、Ti、Cr、Fe、Cu、Zn、La、Ce、ErおよびLiよりなる群から選択される少なくとも1つの元素、AはMg、Al、Nb、Ta、Ni、Mn、Coよりなる群から選択される少なくとも1つの元素であり、0≦a≦2-b、0≦b≦0.15、0.4≦x≦1.1、0≦y≦0.55、0≦δ≦0.5である。
 このようなスピネル型正極活物質であれば、固体電解質との副反応が生じ難いため、その副反応に起因する正極合剤の成形体内でのイオン伝導性の低下を抑えることができる。よって、前記スピネル型正極活物質と固体電解質とを含有する正極合剤の成形体を有する正極を用いて形成した非水電解質二次電池は、その出力特性がより良好となる。
 また、前記スピネル型正極活物質は、固体電解質との副反応が生じ難いだけでなく、それ自体が電池の出力特性を高める作用を有している。そのため、例えば、前記スピネル型正極活物質を含有し、かつ固体電解質を含有しない正極合剤の成形体(正極合剤層など)を有する正極と、非水電解液などの固体電解質以外の非水電解質とを備える非水電解質二次電池においても、その出力特性がより良好となる。
 前記組成式(1)における元素Mは、スピネル型正極活物質の容量向上に寄与する成分であり、その量xは、0.4以上であることが好ましく、0.45以上であることがより好ましい。なお、前記組成式(1)で表されるスピネル型正極活物質において、元素Mの量が多すぎると、他の成分(例えばMn)の量が少なくなって、その作用を十分に確保できなくなる虞があることから、前記組成式(1)における元素Mの量xは、1.1以下であり、1.05以下であることが好ましい。
 前記組成式(1)におけるMnは、例えばスピネル型正極活物質の熱的安定性向上に寄与する成分である。また、Mnの平均価数を4価近傍の値に安定化させると、電池の充放電時におけるスピネル型正極活物質の可逆性が向上する。
 前記組成式(1)で表されるスピネル型正極活物質は、元素Mを含有していてもよく、含有していなくてもよい。すなわち、前記組成式(1)における元素Mの量yは、0以上であるが、元素Mの量が多すぎると、他の成分の量が少なくなるため、その量yは、0.55以下であり、0.2以下であることが好ましい。
 また、前記組成式(1)で表されるスピネル型正極活物質においては、酸素欠損が生じていなくてもよく、生じていても構わないが、その量を表すδは、0以上0.5以下である。
 さらに、前記組成式(1)において、Liの量を表すaは、0以上2以下であることが好ましく、立方晶スピネル型の結晶構造を保つ観点から0以上1.3以下であることが好ましい。
 前記組成式(1)において、元素Aは空のLiサイトに添加される元素であって、その量を表すbは、0以上であり、立方晶スピネル型の結晶構造を保つ観点から0.15以下であることが好ましい。
 電極合剤の成形体に含まれるスピネル型正極活物質の組成は、例えば、正極断面についてSEMで観察し、活物質粒子の箇所をEDSを用いて分析することができる(実施例で記載するスピネル型正極活物質の組成は、この方法によって求めたものである)。その他、電極断面についてTOF-SIMS分析により組成を決定したり、電極合剤の成形体の断面から試料片を取り出し、透過型電子顕微鏡(TEM)にEDSや波長分散型X線分光器(WDS)などの各種元素分析法を組み合わせた方法で組成を決定したりすることもできる。
 また、正極活物質がスピネル型であることは、正極の電圧をリチウム電極基準で3Vとなるよう調整し、正極のXRDパターンを取得、JCPDSカード(Nо.80-2162)と照合することで確認できる。
 前記組成式(1)においてa=1のときには、電極の全Mn量に対するMn3+の割合が、6%以下であることが好ましく、4.5%以下であることがより好ましく、0%(全Mnが4価)であってもよい(すなわち、全Mn量を100mol%としたときに、Mn3+の割合が6mol%以下であることが好ましく、4.5mol%以下であることがより好ましく、0mol%であってもよい)。この場合には、スピネル型正極活物質と接触することによる固体電解質の副反応を、さらに抑制することが可能となる。また、スピネル型正極活物質が含有するMnの平均価数が4価またはその近傍になるため、電池の充放電時におけるスピネル型正極活物質の可逆性も向上する。
 スピネル型酸化物に含まれる全Mn量に対するMn3+の割合は、X線吸収端微細構造(XANES)測定におけるMn-K端立ち上がり位置より求める。Mn2+の標準試料としてMnOを、Mn2+/Mn3+=1/2の標準試料としてMnを、Mn3+の標準試料としてMnを選択し、それぞれを窒化ホウ素で希釈してペレットを作製する。作成したペレットをポリイミド製の窓を有する密閉式の測定セルに封入し、透過法によりXANESスペクトルを取得、Mn-K吸収端立ち上がり位置を求め、横軸に標準試料のMnの価数、縦軸に吸収端立ち上がり位置をプロットすることで検量線を作成する。正極の成分として含まれるスピネル型酸化物に含まれる全Mn量に対するMn3+の割合は、放電状態(充電深度が0~5%の状態)の電池を不活性雰囲気中で分解し、正極を削り取り、標準試料の場合と同様に窒化ホウ素で希釈してペレットを作製し、XANES測定を行い、そのMn-K吸収端立ち上がり位置を求め、検量線を用いてMnの平均価数を求めることで全Mn量に対するMn3+の割合を得る。
 また、固体電解質の副反応を抑制する観点から、スピネル型正極活物質は無秩序型であることが望ましい。スピネル型正極活物質のX線回折パターンは通常、空間群Fd-3mに帰属されるが、秩序型の成分を少なくとも一部含む場合は前記X線回折パターンを空間群P432で指数付けできる場合がある。スピネル型正極活物質が無秩序型であるとは、前記組成式(1)においてa=1のときの電極のX線回折パターンのうち電極活物質に帰属されるパターンを空間群P432で指数付けしたときに、(220)に帰属されるピークの強度I(220)と(110)に帰属されるピークの強度I(110)との比I(110)/I(220)が、1未満であることが好ましく、0であってもよい。
 スピネル型正極活物質のI(110)/I(220)は、放電状態(充電深度が0の状態)の電池を不活性雰囲気中で分解し、電極(正極)が集電体を有する場合は、その集電体を除去して電極合剤の成形体(正極合剤の成形体)を露出させ、平坦に加工し、厚みのある試料片に対応した試料板の平坦部に、試料の平面部の高さを合わせた状態で試料を固定し、前記試料板をベリリウム窓付きの気密セルに固定し、粉末X線回折パターンを取得して指数付けすることで、I(110)/I(220)を得る。
 前記スピネル型正極活物質は、Li含有化合物(炭酸リチウム、水酸化リチウムなど)と、元素M含有化合物(酸化物、水酸化物、硫酸塩など)と、Mn含有化合物(酸化物、水酸化物、硫酸塩など)と、必要に応じて使用される元素Aと元素M含有化合物(酸化物、水酸化物、硫酸塩など)といった原料化合物を混合して前駆体を調製する工程と、この前駆体を焼成する工程とを経て製造することができる。前記の焼成によって大きな塊のスピネル型正極活物質が得られるため、その後に解砕工程を設けて、スピネル型正極活物質の塊状物を解砕する。
 なお、原料化合物の混合にあたって、通常は、焼成の際の原料化合物同士の反応性を高め、得られる正極活物質の純度を高める観点から、比較的大きなシェアをかけて原料化合物同士を混合したり、溶媒を用いて原料化合物を溶解させる工程を経たりして、前駆体の密度を大きくしておくことが望ましい。ところが、密度の大きな前駆体を用いて焼成を行うと、得られるスピネル型正極活物質の塊状物が硬くなってしまい、解砕時に大きなシェアをかける必要が生じて、解砕物中に非常に粒径の小さな微粉が多く形成されるようになり、微粉の形成を抑制しようとすると粗大粒子が生じやすくなる。
 そこで、原料化合物を混合する際には、空気を含ませつつ混合して、得られる前駆体のかさ密度を小さくすることが好ましい。このような前駆体を焼成した場合、得られるスピネル型正極活物質の塊状物が脆くなるため、小さなシェアをかけて解砕することが可能となり、微粉や粗大粒子の発生を抑制して、スピネル型正極活物質を前記のような粒度に調整することが容易となる。
 スピネル型正極活物質を製造する際の焼成は、例えば、焼成温度を1100~800℃とし、焼成時間を1~24時間とすることが好ましい。
 なお、スピネル型正極活物質の製造に際しては、前駆体の焼成工程と、その後の解砕工程との間に、スピネル型正極活物質の塊状物を加熱する再酸化工程を設けることができる。焼成工程および解砕工程を経るだけでは、全Mn中のMn3+の割合が前記の値を満たし得ないスピネル型正極活物質であっても、焼成後に再酸化を施してから解砕することで、その全Mn中のMn3+の割合を、前記の値に調整することが可能となる。
 なお、再酸化工程における加熱条件によっては、スピネル型正極活物質の秩序化が進んで、前記のI(110)/I(220)の値が大きくなる虞がある。よって、再酸化工程での加熱は、スピネル型正極活物質を再酸化してMn3+の割合を低減しつつ、スピネル型正極活物質を無秩序型に保ち得る条件で行うことが好ましい。具体的には、温度を655~495℃とし、時間を10~100時間として再酸化を行うことが好ましい。また、再酸化工程は、加熱温度を一定で行ってもよく、前記温度を満たす範囲内で多段階(2段階、3段階など)に加熱温度を変えて行ってもよい。
 電極が正極の場合の電極活物質(正極活物質)の粒子には、固体電解質の副反応をより良好に抑制する観点から、その表面に、固体電解質との反応を抑制するための反応抑制層を設けることができる。
 反応抑制層は、イオン伝導性を有し、電極活物質(正極活物質)の粒子と固体電解質との反応を抑制できる材料で構成されていればよい。反応抑制層を構成し得る材料としては、例えば、Liと、Nb、P、B、Si、Ge、Ti、Zr、TaおよびWよりなる群から選択される少なくとも1種の元素とを含む酸化物、より具体的には、LiNbOなどのNb含有酸化物、LiPO、LiBO、LiSiO、LiGeO、LiTiO、LiZrO、LiWOなどが挙げられる。反応抑制層は、これらの酸化物のうちの1種のみを含有していてもよく、また、2種以上を含有していてもよく、さらに、これらの酸化物のうちの複数種が複合化合物を形成していてもよい。これらの酸化物の中でも、Nb含有酸化物を使用することが好ましく、LiNbOを使用することがより好ましい。
 反応抑制層は、電極活物質:100質量部に対して0.1~2.0質量部で表面に存在することが好ましい。この範囲であれば電極活物質の粒子と固体電解質との反応を良好に抑制することができる。
 電極活物質の粒子の表面に反応抑制層を形成する方法としては、ゾルゲル法、メカノフュージョン法、CVD法、PVD法、ALD法などが挙げられる。
 電極合剤(正極合剤)が前記組成式(1)で表されるスピネル型正極活物質の粒子を電極活物質の粒子として含有する場合、電極活物質の粒子全量中の前記スピネル型正極活物質の粒子の割合は、85質量%以上であることが好ましく、100質量%(すなわち、全てが前記スピネル型正極活物質の粒子)であることがより好ましい。
 電極が正極の場合の電極合剤(正極合剤)における電極活物質(正極活物質)の粒子の含有量は、20~95質量%であることが好ましい。
 本発明の電極が負極の場合、その負極活物質の粒子としては、例えば、黒鉛などの炭素材料;Si、Sn、Ge、Bi、Sb、Inなどの元素を含む単体、化合物(酸化物など)およびその合金;リチウム含有窒化物またはリチウム含有酸化物(LiTi12などのリチウムチタン酸化物など)などのリチウム金属に近い低電圧で充放電できる化合物;などの粒子が挙げられる。また、リチウム金属やリチウム合金(リチウム-アルミニウム合金、リチウム-インジウム合金など)の粒子も負極活物質の粒子として用いることができる。
 電極が負極の場合の電極合剤(負極合剤)における電極活物質(負極活物質)の粒子の含有量は、10~99質量%であることが好ましい。
 電極合剤には、導電助剤の粒子を含有させる。その具体例としては、黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛)、グラフェン、カーボンブラック、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブなどの炭素材料などが挙げられる。電極合剤における導電助剤の粒子の含有量は、1~15質量%であることが好ましい。
 電極合剤には、固体電解質を含有させる。その固体電解質には、Liイオン伝導性を有していれば特に限定されず、例えば、硫化物系固体電解質、水素化物系固体電解質、ハロゲン化物系固体電解質、酸化物系固体電解質などが使用できる。
 硫化物系固体電解質としては、LiS-P、LiS-SiS、LiS-P-GeS、LiS-B系ガラスなどの粒子が挙げられる他、近年、Liイオン伝導性が高いものとして注目されているthio-LISICON型のもの〔Li10GeP12、Li9.54Si1.741.4411.7Cl0.3などの、Li12-12a-b+c+6d-e 3+a-b-c-d 12-e(ただし、MはSi、GeまたはSn、MはPまたはV、MはAl、Ga、YまたはSb、MはZn、Ca、またはBa、MはSまたはSおよびOのいずれかであり、XはF、Cl、BrまたはI、0≦a<3、0≦b+c+d≦3、0≦e≦3〕や、アルジロダイト型のもの〔LiPSClなどの、Li7-f+gPS6-xClx+y(ただし、0.05≦f≦0.9、-3.0f+1.8≦g≦-3.0f+5.7)で表されるもの、Li7-hPS6-hClBr(ただし、h=i+j、0<h≦1.8、0.1≦i/j≦10.0)で表されるものなど〕も使用することができる。
 水素化物系固体電解質としては、例えば、LiBH、LiBHと下記のアルカリ金属化合物との固溶体(例えば、LiBHとアルカリ金属化合物とのモル比が1:1~20:1のもの)などが挙げられる。前記固溶体におけるアルカリ金属化合物としては、ハロゲン化リチウム(LiI、LiBr、LiF、LiClなど)、ハロゲン化ルビジウム(RbI、RbBr、RbF、RbClなど)、ハロゲン化セシウム(CsI、CsBr、CsF、CsClなど)、リチウムアミド、ルビジウムアミドおよびセシウムアミドよりなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
 ハロゲン化物系固体電解質としては、例えば、単斜晶型のLiAlCl、欠陥スピネル型または層状構造のLiInBr、単斜晶型のLi6-3m(ただし、0<m<2かつX=ClまたはBr)などが挙げられ、その他にも例えば国際公開第2020/070958や国際公開第2020/070955に記載の公知のものを使用することができる。
 酸化物系固体電解質としては、例えば、LiO-Al-SiO-P-TiO系ガラスセラミックス、LiO-Al-SiO-P-GeO系ガラスセラミックス、ガーネット型のLiLaZr12、NASICON型のLi1+OAl1+OTi2-O(PO、Li1+pAl1+pGe2-p(PO、ペロブスカイト型のLi3qLa2/3-qTiOなどが挙げられる。
 これらの固体電解質の中でも、Liイオン伝導性が高いことから、硫化物系固体電解質が好ましく、LiおよびPを含む硫化物系固体電解質がより好ましく、特にLiイオン伝導性が高く、化学的に安定性の高いアルジロダイト型の硫化物系固体電解質がさらに好ましい。
 なお、固体電解質の平均粒子径は、粒界抵抗軽減の観点から、0.1μm以上であることが好ましく、0.2μm以上であることがより好ましく、一方、正極活物質と固体電解質との間での十分な接触界面形成の観点から、10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましい。
 本明細書でいう固体電解質の平均粒子径は、粒度分布測定装置(日機装株式会社製マイクロトラック粒度分布測定装置「HRA9320」など)を用いて、粒度の小さい粒子から積分体積を求める場合の体積基準の積算分率における50%径の値(D50)を意味している。
 電極が正極の場合の電極合剤(正極合剤)における固体電解質の含有量は、4~80質量%であることが好ましい。また、電極が負極の場合の電極合剤(負極合剤)における固体電解質の含有量は、4~85質量%であることが好ましい。
 電極合剤にはバインダを含有させることができる。その具体例としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのフッ素樹脂などが挙げられる。なお、例えば電極剤に硫化物系固体電解質を含有させる場合のように、バインダを使用しなくても、電極合剤の成形体を形成する上で良好な成形性が確保できる場合には、電極合剤にはバインダを含有させなくてもよい。
 電極合剤において、バインダを要する場合には、その含有量は、15質量%以下であることが好ましく、また、0.5質量%以上であることが好ましい。他方、電極合剤において、硫化物系固体電解質を含有しているためバインダを要しなくても成形性が得られる場合には、その含有量が、5質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以下であることがより好ましく、0質量%である(すなわち、バインダを含有させない)ことがさらに好ましい。
 電極が正極であって、集電体を有する場合、その集電体には、アルミニウムやニッケル、ステンレス鋼などの金属の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタル、発泡メタル;カーボンシート;などを用いることができる。また、電極が負極であって、集電体を有する場合、その集電体には、銅製やニッケル製の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタル、発泡メタル;カーボンシート;などを用いることができる。
 電極合剤の成形体は、例えば、電極活物質の粒子、固体電解質、および導電助剤の粒子などを混合して調製した電極合剤を、加圧成形などによって圧縮することで形成することができる。
 集電体を有する電極の場合には、前記のような方法で形成した電極合剤の成形体を集電体と圧着するなどして貼り合わせることで製造することができる。
 また、前記の電極合剤と溶媒とを混合して電極合剤含有組成物を調製し、これを集電体や電極と対向させる固体電解質層(電極を使用する非水電解質二次電池が全固体二次電池の場合)といった基材上に塗布し、乾燥した後にプレス処理を行うことで、電極合剤の成形体を形成してもよい。
 電極合剤含有組成物の溶媒には、固体電解質を劣化させ難いものを選択することが好ましい。特に、硫化物系固体電解質や水素化物系固体電解質は、微少量の水分によって化学反応を起こすため、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、デカリン、トルエン、キシレン、メスチレン、テトラリンなどの炭化水素溶媒に代表される非極性非プロトン性溶媒を使用することが好ましい。特に、含有水分量を0.001質量%(10ppm)以下とした超脱水溶媒を使用することがより好ましい。また、三井・デュポンフロロケミカル社製の「バートレル(登録商標)」、日本ゼオン社製の「ゼオローラ(登録商標)」、住友3M社製の「ノベック(登録商標)」などのフッ素系溶媒、並びに、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、アニソールなどの非水系有機溶媒を使用することもできる。
 電極合剤の成形体の厚み(集電体を有する電極の場合は、集電体の片面あたりの電極合剤の成形体の厚み。以下、同じ。)は、通常は100μm以上であるが、非水電解質二次電池の高容量化の観点から、200μm以上であることが好ましい。なお、非水電解質二次電池の出力特性は、一般に正極や負極を薄くすることで向上しやすいが、本発明によれば、電極合剤の成形体が200μm以上と厚い場合においても、その出力特性を高めることが可能である。特に電極が正極の場合、正極内部で生じる固体電解質の分解による正極の抵抗上昇の影響が少ないため、電極合剤の成形体(正極合剤の成形体)の厚みを200μ以上と厚くしても、良好な出力特性の確保が可能となる。よって、本発明においては、電極合剤の成形体の厚みが例えば200μm以上の場合に、その効果がより顕著となる。また、電極合剤の成形体の厚みは、通常、3000μm以下である。
 なお、溶媒を含有する電極合剤含有組成物を用いて集電体上に電極合剤層を形成することで製造される電極の場合には、電極合剤層の厚みは、100~1000μmであることが好ましい。
<非水電解質二次電池>
 本発明の非水電解質二次電池は、正極、負極、および前記正極と前記負極との間に介在するセパレータまたは固体電解質層を備え、前記正極および前記負極のうちの少なくとも一方が本発明の非水電解質二次電池用電極である。電極以外の構成については、従来から知られている非水電解質二次電池で採用されている各種構成を適用することができる。
 本発明の非水電解質二次電池の一例を模式的に表す断面図を図1に示す。図1に示す非水電解質二次電池1は、外装缶40と、封口缶50と、これらの間に介在する樹脂製のガスケット60で形成された外装体内に、正極10、負極20、および正極10と負極20との間に介在するセパレータ(全固体二次電池の場合は固体電解質層)30、並びに非水電解質(全固体二次電池以外の非水電解質二次電池の場合)が封入されている。
 封口缶50は、外装缶40の開口部にガスケット60を介して嵌合しており、外装缶40の開口端部が内方に締め付けられ、これによりガスケット60が封口缶50に当接することで、外装缶40の開口部が封口されて電池内部が密閉構造となっている。
 外装缶および封口缶にはステンレス鋼製のものなどが使用できる。また、ガスケットの素材には、ポリプロピレン、ナイロンなどを使用できるほか、電池の用途との関係で耐熱性が要求される場合には、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)などのフッ素樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリスルフォン(PSF)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの融点が240℃を超える耐熱樹脂を使用することもできる。また、電池が耐熱性を要求される用途に適用される場合、その封口には、ガラスハーメチックシールを利用することもできる。
 また、図2および図3に、本発明の非水電解質二次電池の他の例を模式的に表す図面を示す。図2は非水電解質二次電池の平面図であり、図3は図2のI-I線断面図である。
 図2および図3に示す非水電解質二次電池100は、2枚の金属ラミネートフィルムで構成したラミネートフィルム外装体500内に電極体200を収容しており、ラミネートフィルム外装体500は、その外周部において、上下の金属ラミネートフィルムを熱融着することにより封止されている。
 電極体200は、非水電解質二次電池100が全固体二次電池の場合には、正極と、負極と、これらの間に介在する固体電解質層とが積層されて構成されている。他方、非水電解質二次電池100が、全固体二次電池以外の非水電解質二次電池の場合には、電極体200は、正極と、負極と、これらの間に介在するセパレータとが積層されて構成されており、ラミネートフィルム外装体500内には、この電極体200と共に非水電解質が封入されている。
 なお、図3では、図面が煩雑になることを避けるために、ラミネートフィルム外装体500を構成している各層や、電極体200を形成している各構成要素(正極、負極など)を区別して示していない。
 電極体200の有する正極は、電池100内で正極外部端子300と接続しており、また、図示していないが、電極体200の有する負極も、電池100内で負極外部端子400と接続している。そして、正極外部端子300および負極外部端子400は、外部の機器などと接続可能なように、片端側をラミネートフィルム外装体500の外側に引き出されている。
(正極)
 非水電解質二次電池の正極には、本発明の電極を使用できるが、負極が本発明の電極である場合には、本発明の電極以外の正極を使用することもできる。本発明の電極以外の正極としては、DとDとが前記の関係を満たさない以外は本発明の電極と同様の構成の正極や、LとDとが前記の関係を満たさない以外は本発明の電極と同様の構成の正極などが挙げられる。
(負極)
 非水電解質二次電池の負極には、本発明の電極を使用できるが、正極が本発明の電極である場合には、本発明の電極以外の負極を使用することもできる。本発明の電極以外の負極としては、DとDとが前記の関係を満たさない以外は本発明の電極と同様の構成の負極や、LとDとが前記の関係を満たさない以外は本発明の電極と同様の構成の負極、リチウムのシートまたはリチウム合金のシートを有する負極などが挙げられる。
 なお、本発明の電極以外の負極であって、負極合剤の成形体を有する負極の場合、固体電解質の含有量は、0~85質量%とすることができる。
 リチウムのシートまたはリチウム合金のシートを有する負極の場合、これらのシートのみからなるものや、これらのシートが集電体と貼り合されてなるものが使用される。
 リチウム合金に係る合金元素としては、アルミニウム、鉛、ビスマス、インジウム、ガリウムなどが挙げられるが、アルミニウムやインジウムが好ましい。リチウム合金における合金元素の割合(合金元素を複数種含む場合は、それらの合計割合)は、50原子%以下であることが好ましい(この場合、残部はリチウムおよび不可避不純物である)。
 また、リチウム合金のシートを有する負極の場合、金属リチウム箔などで構成されるリチウム層(リチウムを含む層)の表面にリチウム合金を形成するための合金元素を含む層を圧着するなどして積層した積層体を使用し、この積層体を電池内で固体電解質や非水電解質と接触させることで、前記リチウム層の表面にリチウム合金を形成させて負極とすることもできる。このような負極の場合、リチウム層の片面のみに合金元素を含む層を有する積層体を用いてもよく、リチウム層の両面に合金元素を含む層を有する積層体を用いてもよい。前記積層体は、例えば、金属リチウム箔と合金元素で構成された箔とを圧着することで形成することができる。
 また、電池内でリチウム合金を形成して負極とする場合にも集電体を使用することができ、例えば、負極集電体の片面にリチウム層を有し、かつリチウム層の負極集電体とは反対側の面に合金元素を含む層を有する積層体を用いてもよく、負極集電体の両面にリチウム層を有し、かつ各リチウム層の負極集電体とは反対側の面に合金元素を含む層を有する積層体を用いてもよい。負極集電体とリチウム層(金属リチウム箔)とは、圧着などにより積層すればよい。
 負極とするための前記積層体に係る前記合金元素を含む層には、例えば、これらの合金元素で構成された箔などが使用できる。前記合金元素を含む層の厚みは、1μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましく、20μm以下であることが好ましく、12μm以下であることがより好ましい。
 負極とするための前記積層体に係るリチウム層には、例えば、金属リチウム箔などを用いることができる。リチウム層の厚みは、0.1~1.5mmであることが好ましい。また、リチウムまたはリチウム合金のシートを有する負極に係る前記シートの厚みも、0.1~1.5mmであることが好ましい。
 また、リチウムのシートまたはリチウム合金のシートを有する負極が集電体を有する場合、その集電体には、本発明の電極が負極の場合に使用可能なものとして先に例示した集電体と同じものが使用できる。
(固体電解質層)
 非水電解質二次電池が全固体二次電池である場合、正極と負極との間に介在させる固体電解質層における固体電解質には、電極に使用し得るものして先に例示した各種の硫化物系固体電解質、水素化物系固体電解質、ハロゲン化物系固体電解質および酸化物系固体電解質のうちの1種または2種以上を使用することができる。ただし、電池特性をより優れたものとするためには、硫化物系固体電解質を含有させることが望ましく、アルジロダイト型の硫化物系固体電解質を含有させることがより望ましい。そして、正極、負極および固体電解質層の全てに、硫化物系固体電解質を含有させることがさらに望ましく、アルジロダイト型の硫化物系固体電解質を含有させることがさらに望ましい。
 固体電解質層は、樹脂製の不織布などの多孔質体を支持体として有していてもよい。
 固体電解質層は、固体電解質を加圧成形などによって圧縮する方法;固体電解質を溶媒に分散させて調製した固体電解質層形成用組成物を基材(支持体となる多孔質体を含む)や正極、負極の上に塗布して乾燥し、必要に応じてプレス処理などの加圧成形を行う方法:などで形成することができる。
 固体電解質層形成用組成物に使用する溶媒は、固体電解質を劣化させ難いものを選択することが望ましく、電極合剤含有組成物用の溶媒として先に例示した各種の溶媒と同じものを使用することが好ましい。
 固体電解質層の厚みは、10~500μmであることが好ましい。
(セパレータ)
 非水電解質二次電池が全固体二次電池以外の電池である場合、正極と負極との間に介在させるセパレータとしては、強度が十分で、かつ非水電解質を多く保持できるものがよく、そのような観点から、厚さが10~50μmで開口率が30~70%の、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはエチレン-プロピレン共重合体を含む微多孔フィルムや不織布などが好ましい。
(非水電解質)
 非水電解質二次電池が全固体二次電池以外の電池である場合には非水電解質を使用するが、その非水電解質には、通常、非水系の液状電解質(以下、これを「電解液」という)が用いられる。そして、その電解液としては有機溶媒にリチウム塩などの電解質塩を溶解させたものが用いられる。その有機溶媒としては、特に限定されることはないが、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルプロピルカーボネートなどの鎖状エステル;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどの誘電率の高い環状エステル;鎖状エステルと環状エステルとの混合溶媒;などが挙げられ、特に鎖状エステルを主溶媒とした環状エステルとの混合溶媒が適している。
 電解液の調製にあたって有機溶媒に溶解させる電解質塩としては、例えば、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF、LiCFSO、LiCSO、LiCFCO、Li(SO、LiC2n+1SO(n≧2)、LiN(RfSO)(Rf’SO)、LiC(RfSO、LiN(RfOSO〔ここでRf、Rf’はフルオロアルキル基〕などが単独でまたは2種以上混合して用いられる。電解液中における電解質塩の濃度は、特に制限はないが、0.3mol/l以上であることが好ましく、0.4mol/l以上であることがより好ましく、また、1.7mol/l以下であることが好ましく、1.5mol/l以下であることがより好ましい。
 本発明の非水電解質二次電池において、非水電解質としては、前記電解液以外にも、前記電解液をポリマーなどからなるゲル化剤でゲル化したゲル状の電解質を用いることもできる。
(電極体)
 正極と負極とは、固体電解質層またはセパレータを介して積層した積層電極体や、さらにこの積層電極体を巻回した巻回電極体の形態で、電池に用いることができる。
 なお、固体電解質層を有する電極体を形成するに際しては、正極と負極と固体電解質層とを積層した状態で加圧成形することが、電極体の機械的強度を高める観点から好ましい。
(電池の形態)
 非水電解質二次電池の形態は、図1に示すような、外装缶と封口缶とガスケットとで構成された外装体を有するもの、すなわち、一般にコイン形電池やボタン形電池と称される形態のものや、図2および図3に示すような、樹脂フィルムや金属-樹脂ラミネートフィルムで構成された外装体を有するもの以外にも、金属製で有底筒形(円筒形や角筒形)の外装缶と、その開口部を封止する封止構造とを有する外装体を有するものであってもよい。
 以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。
実施例1
<正極の作製>
 394gの脱水エタノール中で、0.86gのリチウムおよび38.7gのペンタエトキシニオブを混合し、反応抑制層形成用コート液を調製した。次に、転動流動層を用いたコート装置にて、1000gの正極活物質(LiCoO)上に、前記反応抑制層形成用コート液を毎分2gの速度で塗布した。得られた粉末を350℃で熱処理することで、正極活物質:100質量部に対して、2質量部のLiNbOで構成された反応抑制層が表面に形成された正極材料を得た。
 前記正極材料と、気相成長炭素繊維(導電助剤)と、LiPSCl(硫化物系固体電解質)とを混合して正極合剤を調製した。前記正極材料と導電助剤と硫化物系固体電解質の混合比は、質量比で66:4:30であった。この正極合剤:117mgを直径:7.5mmの粉末成形金型に投入し、プレス機を用いて1000kgf/cmの圧力で成形を行い、円柱形状の正極合剤成形体よりなる正極を作製した。
<固体電解質層の形成>
 前記粉末成形金型内の前記正極合剤成形体の上に、正極に使用したものと同じ硫化物系固体電解質:17mgを入れ、プレス機を用いて1000kgf/cmの圧力で成形を行い、正極合剤成形体の上に固体電解質層を形成した。
<負極の形成および積層電極体の作製>
 各種金属酸化物の粉末(全て株式会社高純度化学より入手)を出発原料とした固相反応法を用いて活物質を合成した。平均粒径1μmのNb(純度:>99.9%)と平均粒径1μmのα-Al(純度:>99.99%)と、CuO(純度:>99.99%)とを、それぞれ96.72g、2.34g、1.04g秤量して混合した。前記出発原料の混合物を、エタノール:70gおよび直径5mmのYSZボール:300gとともに内容積500mlのジルコニア製の容器に加え、遊星型ボールミル〔フリッチュ社製「planetary mill pulverisette 5」(商品名)〕で250rpmの条件のもと3時間混合処理し、混合処理後の試料からジルコニアボールを分離することで得たスラリーを乾燥させることで負極活物質の前駆体粉末を得た。前記前駆体の粉末をアルミナるつぼに移し、大気雰囲気のもと昇温速度16℃/分で1000℃まで昇温後、そのまま4時間保持して焼成し、室温まで自然冷却した。得られた粉末を乳鉢で5分間解砕処理し、目開き150μmのふるいを通すことで活物質の粗生成物を得た。前記活物質の粗生成物4gを、エタノール:4gおよび直径5mmのYSZボール:30gとともに内容積12.5mlのジルコニア製の容器に加え、前記遊星型ボールミルで250rpmの条件のもと3時間の解砕処理を行った。得られたスラリーを60℃で一晩減圧乾燥することで、負極活物質であるCu0.2Al0.74Nb11.0527.89の粒子を得た。
 得られた負極活物質の粉末XRDパターンを測定し、前記負極活物質が単斜晶型の結晶構造を有しており、C2/mの空間群に属することを確認した。
 前記負極活物質の粒子と、グラフェン(導電助剤の粒子)と、硫化物系固体電解質(LiPSCl)とを、質量比で69:5.5:25.5の割合で混合し、アルゴン雰囲気中下、自動乳鉢〔フリッチュ社製、「モーターグラインダー P-2」(商品名)〕で1時間混練して負極合剤を調製した。次に、前記負極合剤:57mgを前記粉末成形金型内の前記固体電解質層の上に投入し、プレス機を用いて10000kgf/cmの圧力で成形を行い、前記固体電解質層の上に負極合剤成形体よりなる負極を形成することにより、正極、固体電解質層および負極が積層された積層電極体を作製した。なお、得られた負極(負極合剤成形体)に含まれる負極活物質の粒子は、体積基準の粒度分布における小粒子および大粒子の体積分率が、それぞれ、14体積%、86体積%で、Dが0.36μm、Dが0.80μmであった。また、負極(負極合剤成形体)に含まれる導電助剤の粒子は、Dが0.30μmで、Lが0.68μmであった。
<全固体二次電池の組み立て>
 東洋炭素株式会社製の可撓性黒鉛シート「PERMA-FOIL(製品名)」(厚み:0.1mm、見かけ密度:1.1g/cm)を前記積層電極体と同じ大きさに打ち抜いたものを2枚用意し、そのうちの1枚を、ポリプロピレン製の環状ガスケットをはめ込んだステンレス鋼製の封口缶の内底面上に配置した。次に、前記黒鉛シートの上に、負極を前記黒鉛シート側にして前記積層電極体を重ね、その上に前記黒鉛シートのもう1枚を配置し、さらにステンレス鋼製の外装缶をかぶせた後、外装缶の開口端部を内方にかしめて封止を行うことにより、封口缶の内底面と前記積層電極体との間、および、外装缶の内底面と前記積層電極体との間に、それぞれ前記黒鉛シートが配置された、直径約9mmの扁平形全固体二次電池を作製した。
実施例2
 前記負極活物質の出発原料の混合時間を6時間に変更した以外は、実施例1と同様にして負極を形成して積層電極体を作製した。得られた負極(負極合剤成形体)に含まれる負極活物質の粒子は、体積基準の粒度分布における小粒子および大粒子の体積分率が、それぞれ、10体積%、90体積%で、Dが0.31μm、Dが0.73μmであった。また、負極(負極合剤成形体)に含まれる導電助剤の粒子は、Dが0.20μmで、Lが0.60μmであった。そして、この積層電極体を用いた以外は実施例1と同様にして全固体二次電池を作製した。
比較例1
 前記負極合剤の混合時間を5分間に変更した以外は、実施例1と同様にして負極を形成して積層電極体を作製した。得られた負極(負極合剤成形体)に含まれる負極活物質の粒子は、体積基準の粒度分布における小粒子および大粒子の体積分率が、それぞれ、12体積%、88体積%で、Dが0.30μm、Dが0.69μmであった。また、負極(負極合剤成形体)に含まれる導電助剤の粒子は、Dが4.20μmで、Lが0.82μmであった。そして、この積層電極体を用いた以外は実施例1と同様にして全固体二次電池を作製した。
 実施例1、2および比較例1の全固体二次電池について、以下の各評価を行った。
<放電容量測定>
 実施例1、2と比較例1の全固体二次電池について、0.05Cの電流値で電圧が3.5Vになるまで定電流充電し、続いて電流値が0.005Cになるまで定電圧充電を行い、その後に0.05Cの電流値で電圧が1.0Vになるまで定電流放電させて、そのときの放電容量(初期容量)を測定した。
<直流抵抗(DCR)測定>
 放電容量測定後の各全固体二次電池について、放電容量測定時と同じ条件で定電流充電および定電圧充電を行い、開放端電位を1時間測定し、その後に0.05Cの電流値で定電流放電し、開放端電位と放電開始から1秒経過後の電圧差から固体電解質層と対極とに帰属される電圧降下分を差引いた電圧を求め、その値からDCRを算出した。このDCRの値が小さいほど、電池の出力特性が優れているといえる。
 実施例1、2および比較例1の全固体二次電池に用いた負極に含まれる負極活物質の粒子の物性、並びに導電助剤の粒子に関するDおよびLの値を表1に示し、前記の評価結果を表2に示す。表2に示す各評価結果については比較例1の値を100としたときの相対値で示している。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 表1および表2に示す通り、負極合剤成形体中において、負極活物質の粒子が適正な粒度分布を有し、負極活物質の粒子のDと導電助剤の粒子のDおよびLとが適正な関係を満たす負極を使用した実施例1、2の全固体二次電池は、DCRが小さく出力特性が優れており、また、放電容量も大きかった。
 これに対し、負極合剤成形体中において、負極活物質の粒子のDと導電助剤の粒子のDおよびLとの関係が不適な負極を使用した比較例1の電池は、DCRが大きく出力特性が劣っており、また、放電容量も小さかった。
実施例3
<正極の作製>
 LiCO:10.62gと、共沈法で合成したNiMn複合化合物:50.75gとを振動ミルを用いて空気を含ませつつ混合して、スピネル型正極活物質用の前駆体を得た。この前駆体を11℃/分で室温から1000℃まで昇温し、1000℃で1時間焼成し、1000℃から850℃まで1.7℃/分で降温し、850℃で12時間焼成し、850℃から550℃まで3.0℃/分で降温し、550℃で12時間焼成し、550℃から200℃まで3.0℃/分で降温した後、200℃から室温まで自然冷却し、その後に乳鉢を用いて解砕して、スピネル型正極活物質(LiNi0.5Mn1.5)の粒子を得た。
 前記スピネル型正極活物質の粒子と、気相成長炭素繊維(導電助剤の粒子)と、LiPSCl(硫化物系固体電解質)とを前記自動乳鉢で1時間混合して正極合剤を調製した。前記スピネル型正極活物質の粒子と導電助剤の粒子と硫化物系固体電解質の混合比は、質量比で75:3:22であった。この正極合剤:56mgを直径:7.5mmの粉末成形金型に投入し、プレス機を用いて1000kgf/cmの圧力で成形を行い、円柱形状の正極合剤成形体よりなる正極を作製した。得られた正極(正極合剤成形体)に含まれるスピネル型正極活物質の粒子は、体積基準の粒度分布における小粒子および大粒子の体積分率が、それぞれ、39体積%、61体積%で、Dが5.3μm、Dが8.5μmであり、全Mn中のMn3+の割合が4.0%で、I(110)/I(220)が0であった。また、正極(正極合剤成形体)に含まれる導電助剤の粒子は、Dが2.4μmで、Lが0.5μmであった。
<固体電解質層の形成>
 前記粉末成形金型内の前記正極合剤成形体の上に、正極に使用したものと同じ硫化物系固体電解質:17mgを入れ、プレス機を用いて1000kgf/cmの圧力で成形を行い、正極合剤成形体の上に固体電解質層を形成した。
<負極の形成および積層電極体の作製>
 チタン酸リチウム(LiTi12、負極活物質)と、固体電解質層に使用したものと同じ硫化物固体電解質と、グラフェン(導電助剤)とを、質量比で55:36:9の割合で混合し、よく混練して負極合剤を調製した。次に、前記負極合剤:93mgを前記粉末成形金型内の前記固体電解質層の上に投入し、プレス機を用いて10000kgf/cmの圧力で成形を行い、前記固体電解質層の上に負極合剤成形体よりなる負極を形成することにより、正極、固体電解質層および負極が積層された積層電極体を作製した。
<全固体二次電池の組み立て>
 前記積層電極体を用いた以外は実施例1と同様にして、直径約9mmの扁平形全固体二次電池を作製した。
実施例4
 前記スピネル型正極活物質の焼成条件の一部を850℃から600℃まで1.4℃/分で降温し、600℃で12時間焼成し、600℃から200℃まで2.2℃/分で降温するよう変更した以外は、実施例3と同様にして正極を作製した。得られた正極(正極合剤成形体)に含まれるスピネル型正極活物質の粒子は、体積基準の粒度分布における小粒子および大粒子の体積分率が、それぞれ、39体積%、61体積%で、Dが5.3μm、Dが8.5μmであり、全Mn中のMn3+の割合が3.4%で、I(110)/I(220)が0であった。また、正極(正極合剤成形体)に含まれる導電助剤の粒子は、Dが2.4μmで、Lが0.5μmであった。そして、この正極を用いた以外は実施例3と同様にして全固体二次電池を作製した。
実施例5
 LiCO:10.62gと、共沈法で合成したNiMn複合化合物:50.75gと、MgO:0.23gとを振動ミルを用いて空気を含ませつつ混合して、スピネル型正極活物質用の前駆体を調製し、この前駆体を用いた以外は実施例3と同様にしてスピネル型正極活物質(LiMg0.05Ni0.5Mn1.5)の粒子を作製した。得られた正極に含まれるスピネル型正極活物質は、体積基準の粒度分布における小粒子および大粒子の体積分率が、それぞれ、39体積%、61体積%で、Dが5.3μm、Dが8.5μmであり、全Mn中のMn3+の割合が3.5%で、I(110)/I(220)が0であった。また、正極(正極合剤成形体)に含まれる導電助剤の粒子は、Dが2.4μmで、Lが0.5μmであった。そして、この正極を用いた以外は実施例3と同様にして全固体二次電池を作製した。
実施例6
 焼成条件を、11℃/分で室温から1000℃まで昇温し、1000℃で1時間焼成し、1000℃から850℃まで1.7℃/分で降温し、850℃で12時間焼成し、850℃から室温まで自然冷却する条件に変更した以外は実施例3と同様にしてスピネル型正極活物質の粒子を作製し、これを用いた以外は実施例3と同様にして全固体二次電池を作製した。実施例6の全固体二次電池に用いた正極(正極合剤成形体)に含まれるスピネル型正極活物質の粒子は、体積基準の粒度分布における小粒子および大粒子の体積分率が、それぞれ、39体積%、61体積%で、Dが5.3μm、Dが8.5μmであり、全Mn中のMn3+の割合が8.0%で、I(110)/I(220)が0であった。また、正極(正極合剤成形体)に含まれる導電助剤の粒子は、Dが2.4μmで、Lが0.5μmであった。
実施例7
 焼成条件を、11℃/分で室温から1000℃まで昇温し、1000℃で1時間焼成し、1000℃から850℃まで1.7℃/分で降温し、850℃で12時間焼成し、850℃から700℃まで1.7℃/分で降温し、700℃で12時間焼成し、700℃から600℃まで1.1℃/分で降温し、600℃で12時間焼成し、600℃から200℃まで2.2℃/分で降温した後、200℃から室温まで自然冷却する条件に変更した以外は実施例3と同様にしてスピネル型正極活物質の粒子を作製し、これを用いた以外は実施例3と同様にして全固体二次電池を作製した。実施例7の全固体二次電池に用いた正極(正極合剤成形体)に含まれるスピネル型正極活物質の粒子は、体積基準の粒度分布における小粒子および大粒子の体積分率が、それぞれ、39体積%、61体積%で、Dが5.3μm、Dが8.5μmであり、全Mn中のMn3+の割合が2.9%で、I(110)/I(220)が1.3であった。また、正極(正極合剤成形体)に含まれる導電助剤の粒子は、Dが2.4μmで、Lが0.5μmであった。
比較例2
 LiCO:10.62gと、共沈法で合成したNiMn複合化合物:50.75gと直径5mmのジルコニアボール50ccとエタノール50ccとをジルコニアポットに入れて、遊星ボールミルを用いてできるだけ空気を含ませないように250rpm、3時間の湿式混合に変更し、焼成後の解砕工程を直径5mmのジルコニアボール50ccとエタノール50ccと焼成したスピネル型正極活物質とをジルコニアポットに入れて、遊星ボールミルを用いて250rpm、3時間の湿式解砕を行う手法に変更した以外は実施例3と同様にしてスピネル型正極活物質の粒子を作製し、これを用いた以外は実施例3と同様にして全固体二次電池を作製した。比較例2の全固体二次電池に用いた正極(正極合剤成形体)に含まれるスピネル型正極活物質の粒子は、体積基準の粒度分布における小粒子および大粒子の体積分率が、それぞれ、72体積%、28体積%で、Dが2.4μm、Dが7.9μmであり、全Mn中のMn3+の割合が4.2%で、I(110)/I(220)が0であった。また、正極(正極合剤成形体)に含まれる導電助剤の粒子は、Dが2.4μmで、Lが0.5μmであった。
比較例3
 焼成後の解砕工程を、直径5mmのジルコニアボール50ccとエタノール50ccとスピネル型正極活物質とをジルコニアポットに入れて、遊星ボールミルを用いて250rpm、3時間の湿式解砕を行う手法に変更した以外は実施例3と同様にしてスピネル型正極活物質を作製し、これを用いた以外は実施例1と同様にして全固体二次電池を作製した。比較例3の全固体二次電池に用いた正極に含まれるスピネル型正極活物質は、体積基準の粒度分布における小粒子および大粒子の体積分率が、それぞれ、72体積%、28体積%で、Dが2.4μm、Dが7.9μmであり、全Mn中のMn3+の割合が4.0%で、I(110)/I(220)が0であった。また、正極(正極合剤成形体)に含まれる導電助剤の粒子は、Dが2.4μmで、Lが0.5μmであった。
 実施例3~7および比較例2、3の全固体二次電池について、定電流放電の電圧の下限値を1.5Vに変更した以外は実施例1、2および比較例1の電池と同様の充放電試験を行って放電容量(初期容量)を測定すると共に、DCR測定を行った。
 実施例3~7および比較例2、3の全固体二次電池に用いた正極に含まれる正極活物質の粒子の物性、並びに導電助剤の粒子に関するDおよびLの値を表3に示し、前記の評価結果を表4に示す。表4に示す各評価結果については比較例2の値を100としたときの相対値で示している。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
 表3および表4に示す通り、正極合剤成形体中において、スピネル型正極活物質の粒子のDと導電助剤の粒子のDおよびLとが適正な関係を満たす正極を使用した実施例3~7の全固体二次電池は、DCRが小さく出力特性が優れており、また、放電容量も大きかった。
 これに対し、正極合剤成形体中において、スピネル型正極活物質の粒子の粒度が不適な正極を使用した比較例2、3の電池は、DCRが大きく出力特性が劣っており、また、放電容量も小さかった。
 本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で、前記以外の形態としても実施が可能である。本出願に開示された実施形態は一例であって、本発明は、これらの実施形態には限定されない。本発明の範囲は、前記の明細書の記載よりも、添付されている請求の範囲の記載を優先して解釈され、請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更は、請求の範囲に含まれる。
 本発明の非水電解質二次電池は、優れた出力特性を有しており、こうした特性が要求される用途に好ましく使用できるほか、従来から知られている非水電解質二次電池が使用されているその他の用途にも適用することができる。
  1、100 非水電解質二次電池
 10  正極
 20  負極
 30  固体電解質層またはセパレータ
 40  外装缶
 50  封口缶
 60  ガスケット
200  電極体
300  正極外部端子
400  負極外部端子
500  ラミネートフィルム外装体

Claims (5)

  1.  電極活物質の粒子と固体電解質と導電助剤の粒子とを少なくとも含む電極合剤の成形体を有する非水電解質二次電池用電極であって、
     前記電極合剤の成形体の断面の観察により求められる前記電極活物質の粒子の体積基準の粒度分布が、最大頻度における径をD(μm)とする小粒子と、最大頻度における径をD(μm)とする大粒子との2つの分布を有する形態であり、かつ前記電極活物質の粒子全体の体積を100%としたときの、前記大粒子の体積分率が、前記小粒子の体積分率よりも大きく、
     前記断面の観察により求められる前記導電助剤の粒子の体積基準の粒度分布におけるモード径をD(μm)としたとき、D≦Dであり、
     前記断面の観察により求められる前記導電助剤の粒子の重心と、この粒子に最も近い導電助剤の粒子、2番目に近い導電助剤の粒子、および3番目に近い導電助剤の粒子の、それぞれの重心とのユークリッド距離の算術平均値である重心間距離をL(μm)としたとき、前記Lの算術平均値である平均重心間距離L(μm)が、L≦Dの関係を満たすことを特徴とする非水電解質二次電池用電極。
  2.  前記電極活物質がスピネル型の正極活物質であって、下記組成式(1)
      LiMn2-x-y 4-δ  (1)
    〔前記組成式(1)中、MはNiおよびCoのうちの少なくとも一方の元素、MはAl、Mg、Ca、Ti、Cr、Fe、Cu、Zn、La、Ce、ErおよびLiよりなる群から選択される少なくとも1つの元素、AはMg、Al、Nb、Ta、Ni、MnおよびCoよりなる群から選択される少なくとも1つの元素であり、0≦a≦2-b、0≦b≦0.15、0.4≦x≦1.1、0≦y≦0.55、0≦δ≦0.5である〕で表されるものである請求項1に記載の非水電解質二次電池用電極。
  3.  前記組成式(1)において、a=1のときの電極の全Mn量に対するMn3+の割合が6%以下であり、
     a=1のときの電極のX線回折パターンのうち電極活物質に帰属されるパターンを空間群P432で指数付けしたときに、(220)に帰属されるピークの強度I(220)と(110)に帰属されるピークの強度I(110)との比I(110)/I(220)が、1未満である請求項2に記載の非水電解質二次電池用電極。
  4.  前記固体電解質として、硫化物系固体電解質を含有している請求項1に記載の非水電解質二次電池用電極。
  5.  正極、負極、および前記正極と前記負極との間に介在するセパレータまたは固体電解質層を有する非水電解質二次電池であって、
     前記正極および前記負極のうちの少なくとも一方が、請求項1~4のいずれかに記載の非水電解質二次電池用電極であることを特徴とする非水電解質二次電池。
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