JP7267163B2 - 全固体電池用正極および全固体電池 - Google Patents

全固体電池用正極および全固体電池 Download PDF

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Description

本発明は、高容量で出力特性に優れた全固体電池、および前記全固体電池を構成し得る全固体電池用正極に関するものである。
近年、携帯電話、ノート型パーソナルコンピュータなどのポータブル電子機器の発達や、電気自動車の実用化などに伴い、小型・軽量で、かつ高容量・高エネルギー密度の二次電池が必要とされるようになってきている。
現在、この要求に応え得るリチウム二次電池、特にリチウムイオン二次電池では、正極活物質にコバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)などのリチウム含有複合酸化物が用いられ、負極活物質に黒鉛などが用いられ、非水電解質として有機溶媒とリチウム塩とを含む有機電解液が用いられている。
そして、リチウムイオン二次電池の適用機器の更なる発達に伴って、リチウムイオン二次電池の更なる長寿命化・高容量化・高エネルギー密度化が求められていると共に、長寿命化・高容量化・高エネルギー密度化したリチウムイオン二次電池の安全性および信頼性も高く求められている。
しかし、リチウムイオン二次電池に用いられている有機電解液は、可燃性物質である有機溶媒を含んでいるため、電池に短絡などの異常事態が発生した際に、有機電解液が異常発熱する可能性がある。また、近年のリチウムイオン二次電池の高エネルギー密度化および有機電解液中の有機溶媒量の増加傾向に伴い、より一層リチウムイオン二次電池の安全性および信頼性が求められている。
以上のような状況において、有機溶媒を用いない全固体型のリチウム二次電池(全固体電池)が注目されている。全固体電池は、従来の有機溶媒系電解質に代えて、有機溶媒を用いない固体電解質の成形体を用いるものであり、固体電解質の異常発熱の虞がなく、高い安全性を備えている。
全固体電池などの電池においては、正極や負極に導電助剤を含有させることが一般的であるが、これを改良することで電池の特性を高める検討がなされている。例えば、特許文献1には、全固体電池の充放電サイクル時の容量維持率を高めるために、表面にカルボキシル基を有する炭素材料と、カップ積層型カーボンナノファイバーとを、正極や負極の導電助剤として併用することが提案されている。
また、特許文献2では、導電性を有する酸化処理カーボンで別の導電性カーボンを被覆した導電性カーボン混合物を提案しており、この導電性カーボン混合物によって表面を被覆した電極活物質を有する電極を用いて二次電池などの蓄電デバイスを構成することで、そのサイクル寿命を長期化できるとしている。
特開2018-206537号公報 特開2019-21420号公報
ところで、現在、全固体電池においては、その適用分野が急速に拡大しており、例えば大きな電流値での放電が求められる用途への適用も考えられることから、これに応え得るように出力特性を高めることが求められる。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高容量で出力特性に優れた全固体電池、および前記全固体電池を構成し得る全固体電池用正極を提供することにある。
本発明の全固体電池用正極は、正極活物質、固体電解質および導電助剤を含有する正極合剤の成形体を有しており、前記導電助剤は、下記のカーボンAとカーボンBとを含み、前記正極合剤中におけるカーボンAの含有量が3質量%以下であり、かつカーボンAの量100質量部に対するカーボンBの量が40~60質量部であることを特徴とするものである。
カーボンA:ラマンスペクトルにおけるDバンドの信号強度IとGバンドの信号強度Iとの比I/Iが1以上で、平均粒子径が10~100nm。
カーボンB:ラマンスペクトルにおけるDバンドの信号強度IとGバンドの信号強度Iとの比I/Iが1未満で、長さが500nm以上の部分を有する。
また、本発明の全固体電池は、正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に介在する固体電解質層とを有し、前記負極として本発明の全固体電池用正極を有することを特徴とするものである。
本発明によれば、高容量で出力特性に優れた全固体電池、および前記全固体電池を構成し得る全固体電池用正極を提供するができる。
本発明の全固体電池の一例を模式的に表す断面図である。 本発明の全固体電池の他の例を模式的に表す平面図である。 図2のI-I線断面図である。
<全固体電池用正極>
本発明の全固体電池用正極(以下、単に「正極」という場合がある)は、正極活物質、固体電解質および導電助剤を含有する正極合剤の成形体を有している。そして、前記導電助剤には、カーボンAとカーボンBとを特定の比率で使用する。
カーボンAは、ラマンスペクトルにおけるDバンドの信号強度IとGバンドの信号強度Iとの比I/Iが1以上で、平均粒子径が10~100nmである。
/Iが1以上のカーボンは親水性が高く、このようなカーボンを導電助剤として使用することで、正極合剤の成形体の成形性を高めることが可能となる。これにより、例えば正極合剤の成形体の密度を高めて、全固体電池の体積エネルギー密度などを向上させることができる。
ところが、カーボンAはその高い親水性に起因して、正極活物質との親和性が良好であるため、このようなカーボンを全固体電池用正極の導電助剤に使用すると、正極活物質粒子の表面をカーボン粒子が覆ってしまい、正極活物質粒子同士が互いに接触し難くなったり、正極活物質粒子と固体電解質とが接触し難くなったりする。そのため、例えば正極(正極合剤の成形体)内で、固体電解質や他の正極活物質粒子と接触できずに独立して存在する正極活物質粒子の割合が増大することから、正極合剤の成形体内のイオン伝導性が低下して、正極活物質の利用率が低下する。
よって、親水性が高いカーボンAを正極の導電助剤として使用するには、正極合剤の成形体内でのイオン伝導性を確保する観点から、正極合剤中のカーボンAの量をある程度制限する必要があり、これにより、正極合剤の成形体内での電子伝導性もある程度制限されてしまう。このように、親水性が高いカーボンAを正極の導電助剤とした場合、イオン伝導性と電子伝導性とをバランスよく確保することが難しく、正極での直流抵抗を低減し難く、出力特性が高い電池を形成することが困難である。
そこで、本発明においては、カーボンAと共にカーボンBを使用することとした。カーボンBは、ラマンスペクトルにおけるDバンドの信号強度IとGバンドの信号強度Iとの比I/Iが1未満で、長さが500nm以上の部分を有している。
/Iが1未満のカーボンBは親水性が低いため、カーボンAのように正極活物質粒子の周囲に選択的に集まることはなく、正極合剤の成形体内で比較的高い均一性で分散させやすい。そして、平均粒子径が10~100nmと比較的サイズの小さいカーボンAに比べて、カーボンBは長さが500nm以上の部分を有しており、サイズが比較的大きい。そのため、イオン伝導性を確保するためにカーボンAの量を制限することで、例えば固体電解質が周囲に付着し、他の正極活物質粒子やカーボンAと接触し難くなって電子伝導性を確保することが難しくなった正極活物質粒子であっても、カーボンBによって他の正極活物質粒子との間に導電パスを形成することが可能となる。
よって、カーボンAとカーボンBとを適正な比率で使用することで、正極合剤の成形体において、カーボンAの量を低減させて良好なイオン伝導性を確保しつつ、電子伝導性も高め得ることから、正極での直流抵抗を低減して正極活物質の利用率を高め、高容量であり、かつ出力特性に優れた全固体電池を構成することが可能となる。
本発明の正極は、正極活物質、固体電解質および前記導電助剤を含む正極合剤を成形してなる成形体(ペレットなど)や、前記正極合剤の層を集電体上に形成してなる構造のものなどが挙げられる。
正極の導電助剤であるカーボンAの形状は、例えば粒子状である。このようなカーボンAには、例えば、親水性部分を10質量%以上の割合で含む導電性カーボン粒子を使用することができる。前記導電性カーボン粒子における親水性部分の割合は、12質量%以上であることがより好ましく、また、30質量%以下であることがより好ましい。
本明細書でいう導電性カーボンにおける「親水性部分」は、以下の通りである。pH=11のアンモニア水溶液:20mLに導電性カーボン:0.1gを添加して1分間の超音波照射を行い、得られた液を5時間放置して固相部分を沈殿させる。このときに沈殿せずに液相部分(上澄み液)に分散している部分が、「親水性部分」に該当する。
また、本明細書でいう「親水性部分」の導電性カーボン全量中の割合は、以下の方法によって求められる値である。前記固相部分の沈殿後の前記液から上澄み液を除去し、残りの部分を乾燥させて、乾燥後の固体の重量を測定する。得られた重量を最初に添加した導電性カーボンの重量:0.1gから差し引いた値が、上澄み液中に分散している「親水性部分」の重量となる。そして、「親水性部分」の重量を最初に添加した導電性カーボンの重量:0.1gで除して百分率で表した値が、「親水性部分」の導電性カーボン全量中の割合に該当する。
リチウムイオン二次電池などの電池の電極において、導電助剤として一般に使用されている黒鉛やカーボンブラック、カーボンナノチューブなどの導電性カーボンは、親水性部分の割合が5質量%以下である。このような導電性カーボンの粒子に酸化処理を施すことにより、ヒドロキシ基やカルボキシ基、エーテル結合などが導入され、また、カーボンの共役二重結合が酸化されて単結合となり、部分的に炭素間結合が切断されることで、親水性部分が生成するため、親水性部分の割合が前記の値を満たす導電性カーボン粒子を得ることができる。
親水性部分の割合が前記の値を満たす導電性カーボンの粒子のより具体的な製造方法としては、例えば、空隙を有するカーボン原料(多孔質炭素粉末、ケッチェンブラック、空隙を有するファーネスブラック、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブなど)を使用し、これを酸(硝酸、硝酸硫酸混合物、次亜塩素酸水溶液など)で処理した後、遷移金属化合物(遷移金属のハロゲン化物、遷移金属の無機塩、遷移金属の有機塩など)と混合し、この混合物をメカノケミカル反応させ、反応後の生成物を非酸化雰囲気下(窒素雰囲気下、アルゴン雰囲気下など)で加熱し、加熱後の生成物から遷移金属化合物や遷移金属化合物の反応生成物を酸で溶解させるなどして除去し、洗浄および乾燥する方法が挙げられる。
また、前記の空隙を有するカーボン原料を前記の遷移金属化合物と混合し、これを酸化雰囲気下(空気下などの酸素含有雰囲気下)で加熱し、加熱後の生成物から遷移金属化合物や遷移金属化合物の反応生成物を酸で溶解させるなどして除去し、洗浄および乾燥する方法によっても、親水性部分の割合が前記の値を満たす導電性カーボン粒子を得ることができる。
なお、親水性部分の割合が前記の値を満たす導電性カーボン粒子の製造方法および条件の詳細は、国際公開第2015/133586号に開示されており、その記載に従って製造すればよい。
カーボンAの平均粒子径は、正極合剤の成形性をより高める観点から、一次粒子の平均粒子径が、10nm以上であることが好ましく、20nm以上であることがより好ましく、一方、「親水性部分」の割合を高めやすいことから、一次粒子の平均粒子径が、100nm以下であることが好ましく、35nm以下であることがより好ましい。
本明細書でいうカーボンAの平均粒子径は、正極合剤の成形体の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、30000倍の倍率で観察した画像において、輪郭が確認できるカーボンA粒子を50個選択し、選択した各粒子について長軸側粒径を測定して得られた平均値を意味している。
正極合剤におけるカーボンAの含有量は、カーボンAによって被覆される正極活物質粒子の表面の面積割合を制限して、正極合剤の成形体内でのイオン伝導性を高める観点から、3質量%以下であり、2.5質量%以下であることが好ましい。また、正極合剤の成形体内での電子伝導性をより良好にする観点から、正極合剤におけるカーボンAの含有量は、0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましい。
また、正極の導電助剤であるカーボンBは、I/Iが1未満で、少なくとも一部に長さが500μm以上の部分を有していればよい。カーボンBの形状については特に制限はなく、シート状、鱗片状、針状、繊維状などの形状が挙げられる。
カーボンBの具体例としては、リチウムイオン二次電池などの電池の正極において、導電助剤として使用されている黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛)、グラフェン、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブなどが挙げられる。なお、カーボンBは凝集体を形成していないことが好ましい。
本明細書でいう「カーボンBが、長さが500μm以上の部分を有している」ことは、 正極合剤を乳鉢で粉砕して得た粉末を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、3000倍の倍率で観察した画像において、輪郭が確認できるカーボンB粒子を50個選択し、選択した各粒子について長軸側粒径を測定し、最小値から6番目の値によって把握する。カーボンB粒子における前記の「長軸側粒径」とは、例えばカーボンB粒子が繊維状(棒状を含む)のような形態を有している場合は、その繊維長にあたる部分の長さを意味し、カーボンB粒子が平板状の場合は、この平板のうちの最も長い部分の長さを意味している。
正極合剤においては、カーボンAの量を100質量部としたとき、カーボンBの量が、40質量%以上であり、42質量%以上であることが好ましく、60質量%以下であり、58質量%以下であることが好ましい。正極合剤におけるカーボンAとカーボンBとの比率が前記の値を満たすことで、全固体電池を高容量としつつ、その出力特性を高めることが可能な正極を構成できる。
なお、正極合剤におけるカーボンBの含有量は、正極合剤におけるカーボンAとカーボンBとの比率が前記の値を満たし、かつ正極合剤におけるカーボンAの含有量が前記の値を満たす範囲内で設定すればよい。
正極合剤は、導電助剤としてカーボンAおよびカーボンBのみを含有していてもよく、カーボンAおよびカーボンBとともに他の導電助剤を含有していてもよい。カーボンAおよびカーボンBと共に使用し得る他の導電助剤としては、例えば、I/Iが1未満で、長さが500nm以上の部分を有していないカーボンブラックなどが挙げられる。ただし、正極合剤における全導電助剤量のうちの、カーボンAおよびカーボンB以外の導電助剤の含有量は、1質量%以下であることが好ましい。
正極の正極活物質は、従来から知られているリチウムイオン二次電池に用いられている正極活物質、すなわち、Liイオンを吸蔵・放出可能な活物質であれば特に制限はない。正極活物質の具体例としては、LiMMn2-x(ただし、Mは、Li、B、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Al、Sn、Sb、In、Nb、Mo、W、Y、RuおよびRhよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0.01≦x≦0.5)で表されるスピネル型リチウムマンガン複合酸化物、LiMn(1-y-x)Ni(2-k)(ただし、Mは、Co、Mg、Al、B、Ti、V、Cr、Fe、Cu、Zn、Zr、Mo、Sn、Ca、SrおよびWよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0.8≦x≦1.2、0<y<0.5、0≦z≦0.5、k+l<1、-0.1≦k≦0.2、0≦l≦0.1)で表される層状化合物、LiCo1-x(ただし、Mは、Al、Mg、Ti、Zr、Fe、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Nb、Mo、Sn、SbおよびBaよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0≦x≦0.5)で表されるリチウムコバルト複合酸化物、LiNi1-x(ただし、Mは、Al、Mg、Ti、Zr、Fe、Co、Cu、Zn、Ga、Ge、Nb、Mo、Sn、SbおよびBaよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0≦x≦0.5)で表されるリチウムニッケル複合酸化物、LiM1-xPO(ただし、Mは、Fe、MnおよびCoよりなる群から選択される少なくとも1種の元素で、Nは、Al、Mg、Ti、Zr、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Nb、Mo、Sn、SbおよびBaよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0≦x≦0.5)で表されるオリビン型複合酸化物、LiTi12で表されるリチウムチタン複合酸化物などが挙げられ、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
正極合剤における正極活物質の含有量は、高容量の全固体電池を構成可能とする観点から、70質量%以上であり、75質量%以上であることが好ましい。ただし、正極合剤中の正極活物質の量が多すぎると、固体電解質の量や導電助剤の量が少なくなりすぎて、正極合剤の成形体内でのイオン伝導性と電子伝導性とをバランスよく確保する効果が小さくなる虞があることから、正極合剤における正極活物質の含有量は90質量%以下であることが好ましい。
正極の固体電解質としては、リチウムイオン伝導性を有していれば特に限定されず、例えば、硫化物系固体電解質、水素化物系固体電解質、酸化物系固体電解質などが使用できる。
硫化物系固体電解質としては、例えば、LiS-P、LiS-SiS、LiS-P-GeS、LiS-B系ガラスなどが挙げられる他、近年、リチウムイオン伝導性が高いものとして注目されているLi10GeP12(LGPS系)やLiPSCl(アルジロダイト系)も使用することができる。これらの中でも、特にリチウムイオン伝導性が高く、化学的に安定性の高いアルジロダイト系材料が好ましく用いられる。
水素化物系固体電解質としては、例えば、LiBH、LIBHと下記のアルカリ金属化合物との固溶体(例えば、LiBHとアルカリ金属化合物とのモル比が1:1~20:1のもの)などが挙げられる。前記固溶体におけるアルカリ金属化合物としては、ハロゲン化リチウム(LiI、LiBr、LiF、LiClなど)、ハロゲン化ルビジウム(RbI、RbBr、RbiF、RbClなど)、ハロゲン化セシウム(CsI、CsBr、CsF、CsClなど)、リチウムアミド、ルビジウムアミドおよびセシウムアミドよりなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
酸化物系固体電解質としては、例えば、LiLaZr12、LiTi(PO、LiGe(PO、LiLaTiOなどが挙げられる。
固体電解質は、先に例示したもののうちの1種または2種以上を使用することができる、前記例示の固体電解質の中でも、リチウムイオン伝導性が高く、また、正極合剤の成形性を高める機能を有していることから、硫化物系固体電解質を用いることがより好ましい。
正極合剤には、バインダを含有させてもよく、含有させなくてもよい。正極合剤にバインダを含有させる場合には、そのバインダとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのフッ素樹脂などが使用できる。バインダを使用する場合、正極合剤中のバインダの含有量は、0~1質量%であることが好ましい。更に好ましくは0~0.5質量%である。充放電に係る材料の割合を多くでき、かつリチウムイオン電導性を高く保つ観点から、バインダを含まないことが最も好ましい。
正極に集電体を使用する場合、その集電体としては、アルミニウムやステンレス鋼などの金属の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタル、発泡メタル;カーボンシート;などを用いることができる。
正極においては、正極合剤に含まれる全正極活物質の表面積の合計をS(cm)とし、正極合剤におけるカーボンAの含有量をZ(g)としたとき、Z/S<1の関係を満たしていることが好ましい。この場合には、正極活物質粒子の表面のうちの、カーボンAで被覆されていない部分の割合をある程度大きくできるため、カーボンBによる作用と相俟って、正極合剤の成形体内でのイオン伝導性と電子伝導性とのバランスが、より良好となる。
なお、「Z/S<1」におけるSおよびZは、以下の方法によって求められる値である。
正極を構成している正極合剤の成形体を取り出し、イオン交換水中に入れた後、ここにイオン交換水と同量のトルエンを加えて超音波処理を施す。この処理を施した液は、親水性のカーボンAを含む水相と、疎水性のカーボンBを含むトルエン相とに分離する。この液から水相とトルエン相とを分液する。これによって得られた水相について、50,000Gの遠心加速度で遠心分離を行い、上澄みをイオン交換水で置換する操作を3回繰り返した後に、残った試料を乾燥させて固形分を回収し、その質量Y(mg)を測定する。次に、質量Yを測定した固形分について、空気雰囲気下で熱重量(TG)分析を行い、120℃から700℃にかけての質量の変化量を求め、これを正極合剤中のカーボンAの質量Z(mg)とする。
さらに、YからZを引いて正極合剤中の正極活物質の質量P(mg)を算出する。
また、正極合剤の成形体から得た試験片について、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-AES)装置を用いて、正極活物質の成分組成を求めるとともに、X線回折(XRD)装置を用いて、正極活物質の格子定数を求め、これらから正極活物質の密度dXRD(g/cm)を算出する。
さらに、正極合剤の成形体の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、2000倍の倍率で観察した画像において、輪郭が確認できる正極活物質粒子を50個選択し、選択した各粒子について長軸側粒径を測定し、全粒子の平均値を算出することで正極活物質粒子の平均粒子径DSEM(μm)を求める。
そして、得られた正極活物質の質量P、正極活物質の密度dXRDおよび平均粒子径DSEMから、次の式によって正極合剤に含まれる全正極活物質の表面積の合計S(cm)を算出する。
S = 0.6 × P ÷ (dXRD×DSEM
正極合剤に使用する正極活物質の粒子径および量(正極合剤における正極活物質の含有量)、並びに正極合剤におけるカーボンAの含有量を調節することで、Z/Sの値が前記の関係を満たすように調整することができる。
正極は、正極活物質、固体電解質および導電助剤などを、例えば溶媒を使用せずに混合して正極合剤を調製し、これをペレット状などに成形することで製造できる。また、前記のようにして得られた正極合剤の成形体を集電体と貼り合わせて正極としてもよい。
また、前記の正極合剤と溶媒とを混合して正極合剤含有組成物を調製し、これを集電体や正極と対向させる固体電解質層といった基材上に塗布し、乾燥した後にプレス処理を行うことで、正極合剤の成形体を形成してもよい。
正極合剤含有組成物に使用する溶媒は、固体電解質を劣化させ難いものを選択することが好ましい。特に、硫化物系固体電解質や水素化物系固体電解質は、微少量の水分によって化学反応を起こすため、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、デカリン、トルエン、キシレンなどの炭化水素溶媒に代表される非極性非プロトン性溶媒を使用することが好ましい。特に、含有水分量を0.001質量%(10ppm)以下とした超脱水溶媒を使用することがより好ましい。また、三井・デュポンフロロケミカル社製の「バートレル(登録商標)」、日本ゼオン社製の「ゼオローラ(登録商標)」、住友3M社製の「ノベック(登録商標)」などのフッ素系溶媒、並びに、ジクロロメタン、ジエチルエーテルなどの非水系有機溶媒を使用することもできる。
正極合剤の成形体(正極が集電体を有しない場合、および集電体を有する場合の両者を含む)の厚みは、50~2000μmであることが好ましい。
<全固体電池>
本発明の全固体電池は、正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に介在する固体電解質層とを有し、正極が本発明の全固体電池用正極である。
本発明の全固体電池の一例を模式的に表す断面図を図1に示す。図1に示す全固体電池1は、外装缶40と、封口缶50と、これらの間に介在する樹脂製のガスケット60で形成された外装体内に、正極10、負極20、および正極10と負極20との間に介在する固体電解質層30が封入されている。
封口缶50は、外装缶40の開口部にガスケット60を介して嵌合しており、外装缶40の開口端部が内方に締め付けられ、これによりガスケット60が封口缶50に当接することで、外装缶40の開口部が封口されて素子内部が密閉構造となっている。
外装缶および封口缶にはステンレス鋼製のものなどが使用できる。また、ガスケットの素材には、ポリプロピレン、ナイロンなどを使用できるほか、電池の用途との関係で耐熱性が要求される場合には、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)などのフッ素樹脂、ポリフェニレンエーテル(PEE)、ポリスルフォン(PSF)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの融点が240℃を超える耐熱樹脂を使用することもできる。また、電池が耐熱性を要求される用途に適用される場合、その封口には、ガラスハーメチックシールを利用することもできる。
また、図2および図3に、本発明の全固体電池の他の例を模式的に表す図面を示す。図2は全固体電池の平面図であり、図3は図2のI-I線断面図である。
図2および図3に示す全固体電池100は、2枚の金属ラミネートフィルムで構成したラミネートフィルム外装体500内に、本発明の正極、固体電解質層および負極からなる電極体200を収容しており、ラミネートフィルム外装体500は、その外周部において、上下の金属ラミネートフィルムを熱融着することにより封止されている。なお、図3では、図面が煩雑になることを避けるために、ラミネートフィルム外装体500を構成している各層や、電極体を構成している正極、負極およびセパレータを区別して示していない。
電極体200の有する正極は、電池100内で正極外部端子300と接続しており、また、図示していないが、電極体200の有する負極も、電池100内で負極外部端子400と接続している。そして、正極外部端子300および負極外部端子400は、外部の機器などと接続可能なように、片端側をラミネートフィルム外装体500の外側に引き出されている。
(負極)
全固体電池の負極としては、従来から知られているリチウムイオン二次電池に用いられている負極活物質、すなわち、Liイオンを吸蔵・放出可能な活物質を含有する負極が使用される。
負極活物質としては、例えば、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、炭素繊維などのリチウムを吸蔵・放出可能な炭素系材料の1種または2種以上の混合物が用いられる。また、Si、Sn、Ge、Bi、Sb、Inなどの元素を含む単体、化合物およびその合金;リチウム含有窒化物またはリチウム含有酸化物などのリチウム金属に近い低電圧で充放電できる化合物;リチウム金属;リチウム/アルミニウム合金;;チタン酸リチウム;も、負極活物質として用いることができる。
負極には、負極活物質に、固体電解質や、ブチルゴム、クロロピレンゴム、アクリル樹脂およびフッ素樹脂などのバインダ、さらには必要に応じて導電助剤(カーボンブラックなどの炭素材料など)適宜添加した負極合剤を、加圧成形などにより圧縮してペレット状などの成形体(負極合剤成形体)としたものや、集電体を芯材として成形体(負極合剤層)に仕上げたもの、または前記の各種合金やリチウム金属の箔を単独、もしくは集電体上に活物質層として積層したものなどを用いることができる。
負極に固体電解質を含有させる場合、その固体電解質には、正極合剤に含有させ得る固体電解質として先に例示したものと同じもののうちの1種または2種以上を使用することができる。電池特性をより優れたものとするためには、硫化物系固体電解質を含有させることが望ましい。
負極に集電体を用いる場合、その集電体としては、銅製やニッケル製の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタル、発泡メタル;カーボンシート;などを用いることができる。
負極活物質および固体電解質などを含有する負極合剤層を有する負極は、例えば、負極活物質および固体電解質、さらには、必要に応じて使用するバインダや導電助剤などを溶媒に分散させて調製した負極合剤含有組成物(ペースト、スラリーなど)を、集電体などの基材上に塗布して乾燥し、必要に応じてプレス処理を施す工程を経て製造することができる。この場合の負極合剤含有組成物においては、バインダは溶媒に溶解していてもよい。
負極合剤含有組成物に使用する溶媒も、正極合剤含有組成物に使用する溶媒と同様に、固体電解質を劣化させ難いものを選択することが望ましく、正極合剤含有組成物の溶媒として先に例示した各種溶媒を使用することが好ましく、含有水分量を0.001質量%(10ppm)以下とした超脱水溶媒を使用することが特に好ましい。
負極活物質および固体電解質を含有する負極合剤の成形体や、集電体の表面に負極合剤の成形体からなる層(負極合剤層)を有する負極の場合、負極合剤の組成としては、例えば、負極活物質の含有量が50~80質量%であることが好ましく、固体電解質の含有量が20~50質量%であることが好ましい。また、負極合剤にバインダを含有させる場合には、その含有量は0.1~10質量%であることが好ましい。さらに、負極合剤に導電助剤を含有させる場合には、その含有量は0.1~10質量%であることが好ましい。
負極合剤の成形体(負極が集電体を有しない場合、および集電体を有する場合の両者を含む)の厚みは、50~2000μmであることが好ましい。
(固体電解質層)
全固体電池の固体電解質層における固体電解質には、正極の固体電解質として先に例示したものと同じもののうちの1種または2種以上を使用することができる。ただし、電池特性をより優れたものとするためには、硫化物系固体電解質を含有させることが望ましく、正極、負極および固体電解質層の全てに硫化物系固体電解質を含有させることがより望ましい。
固体電解質層は、固体電解質を溶媒に分散させて調製した固体電解質層形成用組成物を基材や正極、負極の上に塗布して乾燥し、必要に応じてプレス処理などの加圧成形を行うことで形成することができる。
固体電解質層形成用組成物に使用する溶媒も、正極合剤含有組成物に使用する溶媒と同様に、固体電解質を劣化させ難いものを選択することが望ましく、正極合剤含有組成物用の溶媒として先に例示した各種溶媒を使用することが好ましく、含有水分量を0.001質量%(10ppm)以下とした超脱水溶媒を使用することが特に好ましい。
固体電解質層の厚みは、20~200μmであることが好ましい。
(電極体)
正極と負極とは、固体電解質層を介して積層した積層電極体や、さらにこの積層電極体を巻回した巻回電極体の形態で、電池に用いることができる。
なお、電極体を形成するに際しては、正極と負極と固体電解質層とを積層した状態で加圧成形することが、電極体の機械的強度を高める観点から好ましい。また、正極(例えばペレット状の正極合剤の成形体)と固体電解質層と負極(例えばペレット状の負極合剤の成形体)とを、前記の加圧成形によって一体化することもできる。この場合、例えば、正極合剤(または負極合剤)を成形し、形成された正極合剤の成形体上に固体電解質層を成形し、さらに形成された固体電解質層上に負極合剤の成形体(または正極合剤の成形体)を形成することで、正極と固体電解質層と負極とが一体化した電極体としてもよい。
本発明の全固体電池は、従来から知られている二次電池と同様の用途に適用し得るが、有機電解液に代えて固体電解質を有していることから耐熱性に優れており、高温に曝されるような用途に好ましく使用することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではない。
実施例1
<カーボンAの作製>
一次粒子の平均粒子径が40nmで、2nm以下の細孔を有するカーボンブラック:9質量部と、Co(CHCOO)・4HO:99.6質量部と、LiOH・HO:32質量部とを蒸留水中で混合し、1時間攪拌した後、混合液をろ過してカーボンブラックを含む混合物を得た。
次に、前記混合物にLiOH・HO:30質量部を加え、エバポレーターを用い、空気中250℃で30分間加熱して、カーボンブラックにリチウムコバルト化合物が担持された複合体を得た。この複合体を、濃度98%の濃硫酸、濃度70%の濃硝酸及び濃度30%の塩酸の体積比が1:1:1の混合水溶液に投入し、超音波を照射させて複合体中のリチウムコバルト化合物を溶解させ、残った固体をろ過し、水洗し、乾燥させた。
前記混合水溶液によるリチウムコバルト化合物の溶解と、ろ過、水洗及び乾燥の工程を繰り返すことにより、リチウムコバルト化合物を完全に取り除き、カーボンAを得た。得られたカーボンAは、平均粒子径が28nmであり、I/Iが1.5であった。
また、得られたカーボンA:0.1gをpHが11のアンモニア水溶液20mlに添加し、超音波照射を1分間行なった後、5時間放置して固相部分を沈殿させた。固相部分の沈殿後、上澄み液を除去して残余部分を乾燥させ、乾燥後の固体の重量を測定し、処理前のカーボンAの重量(0.1g)からの減少分を親水性部分の重量とした。処理前のカーボンAの重量に対する前記親水性部分の重量の割合を求めたところ、14.5質量%であった。
<正極の作製>
平均粒子径4μmで、表面をLiとNbとを含む酸化物で被覆したLiNi1/3Co1/3Mn1/3(正極活物質)と、硫化物系固体電解質(LiPSCl)と、カーボンAと、グラフェン(カーボンB)とを質量比で75:21.5:2.3:1.2の割合で混合し、よく混練して正極合剤を調製した。次に、前記正極合剤:15mgを直径10mmの粉末成形金型に入れ、プレス機を用いて加圧成形を行い、円柱形状の正極合剤成形体よりなる正極を作製した。なお、カーボンBとして使用したグラフェンは、I/Iが0.2であり、長さが500nmの部分を有していた。
<固体電解質層の形成>
次に、前記粉末成形金型内の前記正極合剤成形体の上に、硫化物系固体電解質(LiPSCl):80mgを投入し、プレス機を用いて加圧成形を行い、前記正極合剤成形体の上に固体電解質層を形成した。
<積層電極体の形成>
負極として、Li金属とIn金属とをそれぞれ円柱形状に成形して貼り合わせたものを使用した。この負極を、前記粉末成形金型内の固体電解質層の、正極とは反対側の面上に投入し、プレス機を用いて加圧成形を行い、積層電極体を作製した。
<全固体電池の組み立て>
前記の積層電極体を使用し、図2に示すものと同様の平面構造の全固体電池を作製した。ラミネートフィルム外装体を構成するアルミニウムラミネートフィルムの、外装体の内側となる面に、正極集電箔(SUS箔)および負極集電箔(SUS箔)を、間にある程度の間隔を設けつつ横に並べて貼り付けた。前記各集電箔には、前記積層電極体の正極側表面または負極側表面と対向する本体部と、前記本体部から電池の外部に向けて突出する正極外部端子300および負極外部端子400となる部分とを備えた形状に切断したものを用いた。
前記ラミネートフィルム外装体の負極集電箔上に前記積層電極体を載せ、正極集電箔が前記積層電極体の正極上に配置されるように前記ラミネートフィルム外装体で前記積層電極体を包み、真空下で前記ラミネートフィルム外装体の残りの3辺を熱融着によって封止して、全固体電池を得た。
実施例2
カーボンBをカーボンナノチューブ〔昭和電工社製「VGCF」(商品名)〕に変更した以外は実施例1と同様にして正極合剤を調製し、この正極合剤を用いた以外は実施例1と同様にして正極を作製し、この正極を用いた以外は実施例1と同様にして全固体電池を作製した。カーボンBとして使用したカーボンナノチューブは、I/Iが0.1であり、長さが500nmの部分を有していた。
比較例1
カーボンBを使用せずに、正極活物質と固体電解質とカーボンAとの比率を、質量比で75:21.5:3.5に変更した以外は、実施例1と同様にして正極合剤を調製し、この正極合剤を用いた以外は実施例1と同様にして正極を作製し、この正極を用いた以外は実施例1と同様にして全固体電池を作製した。
比較例2
正極活物質と固体電解質とカーボンAとカーボンBとの比率を、質量比で75:21.5:2.6:0.9に変更した以外は、実施例1と同様にして正極合剤を調製し、この正極合剤を用いた以外は実施例1と同様にして正極を作製し、この正極を用いた以外は実施例1と同様にして全固体電池を作製した。
比較例3
正極活物質と固体電解質とカーボンAとカーボンBとの比率を、質量比で75:21.5:2.1:1.4に変更した以外は、実施例1と同様にして正極合剤を調製し、この正極合剤を用いた以外は実施例1と同様にして正極を作製し、この正極を用いた以外は実施例1と同様にして全固体電池を作製した。
実施例および比較例の各全固体電池について、加圧(1t/cm)した状態で、下記の各評価を行った。
(体積容量測定)
実施例および比較例の各全固体電池について、0.05Cの電流値で電圧が3.68Vになるまで定電流充電し、続いて電流値が0.01Cになるまで定電圧充電を行い、その後に0.05Cの電流値で電圧が1.88Vになるまで放電させて、そのときの放電容量(初期容量)を測定した。そして、得られた放電容量を正極の体積で除して、各電池の体積容量を求めた。
(抵抗率測定)
初期容量測定後の各全固体電池について、初期容量測定時と同じ条件で定電流充電および定電圧充電を行い、その後に0.05Cの電流値で充電深度(SOC)が、50%になるまで放電させてから1時間休止させた。その後の各電池について、0.05Cの電流値で10secのパルス放電を行った後に電圧を測定し、パルス放電前後の電圧差から固体電解質層と負極とに帰属される電圧降下分を差引いた電圧を求め、その値からDCRを算出した。
そして、得られた各電池のDCRから、各電池の抵抗率を、以下の式を用いて算出した。
ρ = DCR×(s/t)
前記式中、ρ:抵抗率、t:積層電極体の厚み(cm)、S:積層電極体の平面視での面積(cm)である。
この方法で求められる抵抗率が小さいほど、全固体電池の出力特性が優れている(大電流放電時の容量が大きい)といえる。
前記の評価結果を、正極合剤に使用したカーボンAとカーボンBとの組成と合わせて表1に示す。なお、表1では、各電池の体積容量は、比較例1の電池の値を100とした場合の相対値で示し、また、各電池の抵抗率は、比較例1の電池の値を1.0とした場合の相対値で示す。
Figure 0007267163000001
表1に示す通り、導電助剤としてカーボンAとカーボンBとを適正な比率で使用した正極を有する実施例1、2の全固体電池は、カーボンAのみを導電助剤とした正極を有する比較例1の電池に比べて、体積容量が大きく、高容量であり、また、抵抗率が小さく、出力特性が優れていた。
なお、カーボンAの量に対するカーボンBの量が少なすぎる正極を有する比較例2の電池、およびカーボンAの量に対するカーボンBの量が多すぎる正極を有する比較例3の電池は、いずれも抵抗率が大きく、出力特性が劣っていた。
1、100 全固体電池
10 正極
20 負極
30 固体電解質層
40 外装缶
50 封口缶
60 ガスケット
200 電極体
300 正極外部端子
400 負極外部端子
500 ラミネートフィルム外装体

Claims (5)

  1. 全固体電池に使用される正極であって、
    正極活物質、固体電解質および導電助剤を含有する正極合剤の成形体を有しており、
    前記導電助剤は、下記のカーボンAとカーボンBとを含み、
    前記正極合剤におけるカーボンAの含有量が3質量%以下であり、かつカーボンAの量100質量部に対するカーボンBの量が40~60質量部であることを特徴とする全固体電池用正極。
    カーボンA:ラマンスペクトルにおけるDバンドの信号強度IとGバンドの信号強度Iとの比I/Iが1以上で、平均粒子径が10~100nm
    カーボンB:ラマンスペクトルにおけるDバンドの信号強度IとGバンドの信号強度Iとの比I/Iが1未満で、長さが500nm以上の部分を有する
  2. 前記正極合剤における前記正極活物質の含有量が、70質量%以上である請求項1に記載の全固体電池用正極。
  3. 前記正極合剤に含まれる全正極活物質の表面積の合計をS(cm)とし、前記正極合剤における前記カーボンAの含有量をZ(g)としたとき、Z/S<1の関係を満たしている請求項1または2に記載の全固体電池用正極。
  4. 正極合剤中のバインダの含有量が、0~1質量%である請求項1~3のいずれかに記載の全固体電池用正極。
  5. 正極と、負極と、前記正極と前記負極との間に介在する固体電解質層とを有し、前記正極として請求項1~4のいずれかに記載の全固体電池用正極を有することを特徴とする全固体電池。
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