JP7421985B2 - 全固体二次電池およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、負荷特性および高温特性に優れた全固体二次電池とその製造方法に関するものである。
近年、携帯電話、ノート型パーソナルコンピュータなどのポータブル電子機器の発達や、電気自動車の実用化などに伴い、小型・軽量で、かつ高容量・高エネルギー密度の二次電池が必要とされるようになってきている。
現在、この要求に応え得るリチウム二次電池、特にリチウムイオン二次電池では、正極活物質にコバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)などのリチウム含有複合酸化物が用いられ、負極活物質に黒鉛などが用いられ、非水電解質として有機溶媒とリチウム塩とを含む有機電解液が用いられている。
そして、リチウムイオン二次電池の適用機器の更なる発達に伴って、リチウムイオン二次電池の更なる長寿命化・高容量化・高エネルギー密度化が求められている。更に、長寿命化・高容量化・高エネルギー密度化したリチウムイオン二次電池の信頼性も高く求められている。
しかし、リチウムイオン二次電池に用いられている有機電解液は、可燃性物質である有機溶媒を含んでいるため、電池に短絡などの異常事態が発生した際に、有機電解液が異常発熱する可能性がある。また、近年のリチウムイオン二次電池の高エネルギー密度化および有機電解液中の有機溶媒量の増加傾向に伴い、より一層リチウムイオン二次電池の信頼性が求められている。
以上のような状況において、有機溶媒を用いない全固体型のリチウム二次電池(全固体二次電池)が注目されている。全固体二次電池は、従来の有機溶媒系電解質に代えて、有機溶媒を用いない固体電解質の成形体を用いるものであり、固体電解質の異常発熱の虞がなく、高い安全性を備えている。
前記全固体二次電池においては、種々の改良が試みられている。例えば、特許文献1では、相対的に大きい平均粒径を有する正極活物質粉体と、相対的に小さい平均粒径を有する正極活物質粉体との、混合比が2:8~8:2(重量比)の混合物であって、両者の粒径比が0.08~1である正極活物質と無機固体電解質をメカニカルミリング処理することが提案されている。特許文献1によれば、前記の処理によって正極活物質および無機固体電解質が良好に分散し、正極活物質と無機固体電解質のコンタクト面積が増大してリチウムイオン伝導パスを増加させた正極合材が得られ、前記正極合材を用いることにより、高い出力を有する電池を構成することができる。
また、特許文献2には、第1正極活物質と、第2正極活物質と、硫化物固体電解質とを有する正極合材において、第2正極活物質の平均粒径に対する第1正極活物質の平均粒径の比率を2.0以上4.3以下とする技術が開示されている。特許文献2では、第1正極活物質の粒子間に生じる空隙に平均粒径の小さい第2正極活物質が入り込み易くなるため、20kN/cm以上30kN/cm以下の低い線圧でロールプレスを行っても正極活物質層の充填率を高めることができ、体積当たりのエネルギー密度が高い全固体電池を高い生産性で製造することができる。
特許文献2では、硫化物固体電解質との反応を抑制するために、第1正極活物質および第2正極活物質の表面をLiNbO、LiPO、LiPONなどのLiイオン伝導性酸化物よりなるコート層で被覆することができる。
また、特許文献3では、中空度が20%以上である二次粒子形状の中空正極活物質と、固体電解質材料とを含有する合材層を、800MPa以上の面圧で、あるいは1.5t/cm以上の線圧でプレスし、中空度が0%より大きく10%以下である扁平正極活物質を形成することにより、合材層の内部抵抗を低減して高出力な全固体リチウム電池を構成することが提案されている。
特開2010-67499号公報 特開2019-106286号公報 特開2017-16793号公報
しかしながら、実質的に二次粒子で構成された正極活物質粉末を用いて正極を作製する場合、プレス圧力を高めて正極合剤の充填率を大きくしようとすると、正極活物質粉末と固体電解質との反応が生じやすくなり、特に高温環境下において電池の特性低下が生じやすくなることが判明した。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、負荷特性および高温特性に優れた全固体二次電池とその製造方法とを提供することにある。
本発明の全固体二次電池は、正極、負極、および硫化物系固体電解質を含有する固体電解質層を有し、前記正極は、活物質として作用するコア材と、前記コア材の表面に形成されたリチウムニオブ含有酸化物とで構成された一次粒子よりなる正極活物質粉末と、導電助剤および硫化物系固体電解質とを含有する正極合剤の成形体を有しており、前記負極は、負極活物質粉末と、導電助剤および硫化物系固体電解質とを含有する負極合剤の成形体を有しており、前記正極合剤の成形体と、前記固体電解質層と、前記負極合剤の成形体は、積層され一体化されて積層電極体を構成しており、前記正極活物質粉末の一次粒子は、平均粒子径が1~8μmであり、前記正極合剤は、前記正極活物質粉末を65~85質量%の割合で含有し、前記正極合剤の成形体は、空隙率が10%以下であることを特徴とする。
また、正極、負極、および固体電解質層を有する全固体二次電池を製造する本発明の全固体二次電池の製造方法は、活物質として作用するコア材と、前記コア材の表面に形成されたリチウムニオブ含有酸化物とで構成された一次粒子よりなる正極活物質粉末と、導電助剤および硫化物系固体電解質とを含有する正極合剤を作製する工程と、負極活物質粉末と、導電助剤および硫化物系固体電解質とを含有する負極合剤を作製する工程と、前記正極合剤の層と、硫化物系固体電解質の粉末の層と、前記負極合剤の層が積層された積層体を形成する工程と、前記積層体を加圧成形し、正合剤の成形体、固体電解質層、負極合剤の成形体が一体化された積層電極体を作製する工程とを有し、前記正極合剤において、正極活物質粉末の平均粒子径が1~8μmであり、正極活物質粉末の割合が65~85質量%であり、硫化物系固体電解質の平均粒子径が0.1~5μmであり、前記積層体の加圧成形時の圧力が、面圧で1000MPa以上であり、前記正極合剤の成形体の空隙率を10%以下とすることを特徴とする。
本発明によれば、負荷特性および高温特性に優れた全固体二次電池とその製造方法とを提供することができる。
本発明の全固体二次電池の一例を模式的に表す断面図である。
本発明の全固体二次電池は、正極、負極、および硫化物系固体電解質を含有する固体電解質層を有し、正極は、活物質として作用するコア材と、前記コア材の表面に形成されたリチウムニオブ含有酸化物とで構成された一次粒子よりなる正極活物質粉末と、導電助剤および固体電解質とを含有する正極合剤の成形体を有している。すなわち、イオン伝導性を備え、かつ活物質として作用するコア材と固体電解質との接触により両者が反応することを防ぐ、LiNbOなどのリチウムニオブ含有酸化物を、前記コア材の表面に形成してなる一次粒子で正極活物質粉末が構成されていることにより、前記正極活物質粉末と導電助剤と固体電解質とを含有する正極合剤を高圧でプレスした場合に、正極合剤の成形体を高密度で形成することが可能となる。このため、正極活物質粉末の利用率が高くなり、負荷特性を向上させることができる。
さらに、プレス後に前記酸化物がコア材と固体電解質との間に介在することにより、コア材と固体電解質とを直接接触させることなく両者の間のイオン伝導を確保することができるので、高温環境下においても、特性低下の少ない電池を構成することが可能となる。
一方、正極活物質が二次粒子で構成されている場合、その表面にリチウムニオブ含有酸化物を形成したとしても、前記二次粒子を構成する個々の一次粒子は、表面に現れず前記酸化物が形成されていない部分を有するため、高圧でプレスされた際に二次粒子が潰されると、前記一次粒子の酸化物が形成されていない部分が表面に現れ固体電解質と接触することになるため、高温環境下において特性低下を生じやすくなる。
以下に、本発明の全固体二次電池の詳細について説明する。
(正極)
全固体二次電池の正極は、正極活物質、導電助剤および硫化物系固体電解質などを含む正極合剤の成形体を有するものであり、例えば、前記成形体のみから構成することができ、また、前記成形体と集電体とを一体化して構成することもできる
正極活物質は、従来から知られているリチウムイオン二次電池に用いられている正極活物質、すなわち、Liイオンを吸蔵・放出可能な活物質であれば特に制限はなく、このような正極活物質を、コア材として1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。例えば、LiMMn2-x(ただし、Mは、Li、B、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Al、Sn、Sb、In、Nb、Mo、W、Y、RuおよびRhよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0.01≦x≦0.5)で表されるスピネル型リチウムマンガン含有酸化物、LiNi(1-y-z)Co(2-k)(ただし、Mは、Mn、Mg、Al、B、Ti、V、Cr、Fe、Cu、Zn、Zr、Mo、Sn、Ca、SrおよびWよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0.8≦x≦1.2、0≦y<0.5、0≦z<0.5、k+l<1、-0.1≦k≦0.2、0≦l≦0.1)で表される層状構造のリチウムニッケル含有酸化物、LiCo(1-y)(2-k)(ただし、Mは、Ni、Mn、Mg、Al、B、Ti、V、Cr、Fe、Cu、Zn、Zr、Mo、Sn、Ca、SrおよびWよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0.8≦x≦1.2、0≦y≦0.2、k+l<1、-0.1≦k≦0.2、0≦l≦0.1)で表される層状構造のリチウムコバルト含有酸化物、LiM1-xPO(ただし、Mは、Fe、MnおよびCoよりなる群から選択される少なくとも1種の元素で、Qは、Al、Mg、Ti、Zr、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Nb、Mo、Sn、SbおよびBaよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0≦x≦0.5)で表されるオリビン型リチウム複合化合物などが挙げられる。
電池の高電圧化に対応するためには、正極活物質(コア材)として、層状構造のリチウムコバルト含有酸化物を含有することが好ましい。
前記正極活物質を一次粒子の粉末とすることにより、その表面にリチウムニオブ含有酸化物を形成した粉末も、一次粒子で構成することができる。
なお、表面にリチウムニオブ含有酸化物が形成された、一次粒子で構成された正極活物質粉末の平均粒子径が大きくなりすぎると、高圧でプレスされた際に粒子が割れて、コア材と固体電解質が接触するおそれを生じるため、正極活物質粉末の平均粒子径は、8μm以下とし、6μm以下とすることが好ましい。
一方、正極活物質粉末の平均粒子径が小さくなりすぎると、却って高密度に充填され難くなり、また、コア材の比表面積が大きくなり、コア材と固体電解質の接触を防ぐために、表面に形成するリチウムニオブ含有酸化物の量を増やす必要を生じるため、正極活物質粉末の平均粒子径は、1μm以上とし、3μm以上とすることが好ましい。
前記正極活物質粉末の平均粒子径は、粒度分布測定装置(マイクロトラック・ベル社製粒度分布測定装置:(商品名)マイクロトラック「MT3300EXII」など)を用いて測定することができ、粒度の小さい粒子から積分体積を求める場合の、体積基準の積算分率における50%径の値(d50)として求まる。負極活物質や固体電解質についても同様である。
前記一次粒子からなる正極活物質粉末は、市販品を用いることができる。なお、正極活物質粉末は、一次粒子のみで構成されていることが望ましいが、二次粒子が一部混在しているものであってもよい。ただし、前述した問題を防ぐため、正極活物質粉末中の二次粒子の割合を30質量%以下とするのが好ましく、15質量%以下とするのがより好ましく、10質量%以下とするのが特に好ましい。
また、前記リチウムニオブ含有酸化物としては、LiNbOなどの酸化物が例示され、ゾルゲル法、メカノフュージョン法、CVD法、PVD法などにより、正極活物質の表面に形成することができる。
リチウムニオブ含有酸化物の形成量は、正極活物質の表面の被覆率を大きくし、その作用を生じやすくするため、リチウムニオブ含有酸化物を含む正極活物質全体に対する、前記リチウムニオブ含有酸化物に含まれるニオブの割合が、0.1質量%以上となる量であることが好ましく、0.5質量%以上となる量であることがより好ましい。一方、リチウムニオブ含有酸化物の形成量が多くなりすぎると、正極活物質粉末の単位重量あたりの容量が低下するため、正極活物質全体に対する、前記リチウムニオブ含有酸化物に含まれるニオブの割合が、2.5質量%以下となる量とすることが好ましく、2質量%以下となる量とすることがより好ましい。
正極合剤中での前記正極活物質粉末の含有割合は、正極の容量を大きくするため、65質量%以上とし、70質量%以上とすることが好ましい。一方、正極合剤中での硫化物系固体電解質および導電助剤の含有割合を一定以上として、正極合剤のイオン伝導性および電子伝導性を優れたものとするために、正極合剤中での前記正極活物質粉末の含有割合は、85質量%以下とし、80質量%以下とすることが好ましい。
正極の導電助剤には、黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛)、グラフェン、カーボンブラック、気相成長炭素繊維(VGCF)、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブなどの炭素材料などを使用することができるが、負荷特性を向上させ、また正極合剤の充填性を高めるために、親水性部分を有するカーボン粒子を用いることが好ましい。
前記親水性部分を有するカーボン粒子は、親水性部分を10質量%以上の割合で含むことが好ましく、12質量%以上であることが好ましく、一方、導電性が低下するのを防ぐため、前記カーボン粒子における親水性部分の割合は、30質量%以下であることが好ましい。
本明細書でいう前記カーボン粒子における「親水性部分」は、以下の通りである。pH=11のアンモニア水溶液:20mLにカーボン粒子:0.1gを添加して1分間の超音波照射を行い、得られた液を5時間放置して固相部分を沈殿させる。このときに沈殿せずに液相部分(上澄み液)に分散している部分が、「親水性部分」に該当する。
また、前記カーボン粒子全量中での「親水性部分」の割合は、以下の方法によって求められる値である。前記固相部分の沈殿後の前記液から上澄み液を除去し、残りの部分を乾燥させて、乾燥後の固体の重量を測定する。得られた重量を最初に添加したカーボンの重量:0.1gから差し引いた値が、上澄み液中に分散している「親水性部分」の重量となる。そして、「親水性部分」の重量を最初に添加したカーボンの重量:0.1gで除して百分率で表した値が、「親水性部分」のカーボン全量中での割合に該当する。
前記親水性部分を有するカーボン粒子の平均粒子径は、電極合剤の成形性をより高める観点から、一次粒子の平均粒子径が、10nm以上であることが好ましく、20nm以上であることがより好ましく、一方、「親水性部分」の割合を高めやすいことから、一次粒子の平均粒子径が、70nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましい。
リチウムイオン二次電池などの電池の電極において、導電助剤として一般に使用されている黒鉛やカーボンブラック、カーボンナノチューブなどのカーボン粒子は、親水性部分の割合が5質量%以下である。このようなカーボン粒子に酸化処理を施すことにより、ヒドロキシ基やカルボキシ基、エーテル結合などが導入され、また、カーボンの共役二重結合が酸化されて単結合となり、部分的に炭素間結合が切断されることで、親水性部分が生成するため、親水性部分の割合が前記の値を満たすカーボン粒子を得ることができる。
親水性部分の割合が10質量%以上であるカーボン粒子のより具体的な製造方法としては、例えば、空隙を有するカーボン原料(多孔質炭素粉末、ケッチェンブラック、空隙を有するファーネスブラック、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブなど)を使用し、これを酸(硝酸、硝酸硫酸混合物、次亜塩素酸水溶液など)で処理した後、遷移金属化合物(遷移金属のハロゲン化物、遷移金属の無機塩、遷移金属の有機塩など)と混合し、この混合物をメカノケミカル反応させ、反応後の生成物を非酸化雰囲気下(窒素雰囲気下、アルゴン雰囲気下など)で加熱し、加熱後の生成物から遷移金属化合物や遷移金属化合物の反応生成物を酸で溶解させるなどして除去し、洗浄および乾燥する方法が挙げられる。
また、前記の空隙を有するカーボン原料を前記の遷移金属化合物と混合し、これを酸化雰囲気下(空気下などの酸素含有雰囲気下)で加熱し、加熱後の生成物から遷移金属化合物や遷移金属化合物の反応生成物を酸で溶解させるなどして除去し、洗浄および乾燥する方法によっても、親水性部分の割合が前記の値を満たすカーボン粒子を得ることができる。
なお、親水性部分の割合が10質量%以上である前記カーボン粒子の製造方法および条件の詳細は、特許文献1(国際公開第2015/133586号)に開示されており、その記載に従って製造すればよい。
導電助剤には、親水性部分の割合が10質量%以上であるカーボン粒子と共に、前記処理がなされていない通常のカーボン粒子、例えば、黒鉛やカーボンブラック、カーボンナノチューブ、気相成長炭素繊維(VGCF)などを含有させることができる。特に、導電助剤として、気相成長炭素繊維(VGCF)やカーボンナノチューブなどの繊維状の炭素粒子を共存させることにより、正極合剤の導電性を高め、負荷特性をより向上させることができる。
親水性部分の割合が10質量%以上であるカーボン粒子と、それ以外の導電助剤粒子との混合割合は、質量比で、10:90~90:10とすることが好ましい。また、正極合剤における導電助剤の含有割合は、1~10質量%であることが好ましく、2~5質量%であることがより好ましい。
正極の固体電解質には、イオン伝導性を高めるために、硫化物系固体電解質を使用する。硫化物系固体電解質としては、Li、SおよびPと、必要に応じて構成元素となるハロゲン元素やSiなどから構成された化合物、例えば、LiS-P、LiS-SiS、LiS-P-GeS、LiS-B系ガラス;Li10GeP12(LGPS系);Li7+x1-ySi(-0.6≦x≦0.6、0.1≦y≦0.6)、Li7-x+yPS6-xClx+y(0.05≦y≦0.9、-3x+1.8≦y≦-3x+5.7)、Li7-xPS6-xClBr(x=y+z、1<x≦1.8、0.1≦z/y≦10)などが挙げられる。中でも、より高いイオン伝導性を有するLi7-x+yPS6-xClx+y(0.05≦y≦0.9、-3x+1.8≦y≦-3x+5.7)、Li7-xPS6-xClBr(x=y+z、1<x≦1.8、0.1≦z/y≦10)などのアルジロダイト型結晶構造を有する化合物がより好ましく、安定性の高いLi7-x+yPS6-xClx+y(0.05≦y≦0.9、-3x+1.8≦y≦-3x+5.7)が特に好ましく用いられる。
硫化物系固体電解質の平均粒子径は、前記粒度の正極活物質粉末を有する正極合剤の成形体の充填性を高めるため、0.1μm以上とすることが好ましく、0.5μm以上とすることがより好ましく、また、5μm以下とすることが好ましい。
正極合剤は、硫化物系固体電解質と共に他の固体電解質を含有していてもよく、硫化物系固体電解質と併用し得る他の固体電解質としては、水素化物系固体電解質、酸化物系固体電解質などが挙げられる。
水素化物系固体電解質としては、例えば、LiBH、LIBHと下記のアルカリ金属化合物との固溶体(例えば、LiBHとアルカリ金属化合物とのモル比が1:1~20:1のもの)などが挙げられる。前記固溶体におけるアルカリ金属化合物としては、ハロゲン化リチウム(LiI、LiBr、LiF、LiClなど)、ハロゲン化ルビジウム(RbI、RbBr、RbiF、RbClなど)、ハロゲン化セシウム(CsI、CsBr、CsF、CsClなど)、リチウムアミド、ルビジウムアミド、セシウムアミドなどが挙げられる。
酸化物系固体電解質としては、例えば、LiLaZr12、LiTi(PO、LiGe(PO、LiLaTiOなどが挙げられる。
ただし、正極合剤のイオン伝導性が低下するのを防ぐため、正極合剤に使用する固体電解質全量中で、硫化物系固体電解質以外の固体電解質の割合は、30質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、他の固体電解質を含まないことが特に好ましい。
正極合剤における固体電解質の含有割合は、イオン伝導性を高めるために、15質量%以上とすることが好ましく、20質量%以上とすることがより好ましく、一方、正極活物質粉末の含有量を確保するために、35質量%以下とすることが好ましく、30質量%以下とすることがより好ましい。
正極合剤には、必要に応じて樹脂製のバインダを含有させることができる。樹脂製のバインダとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのフッ素樹脂や、アクリル酸-アクリル酸エステル共重合体などのアクリル樹脂などが挙げられる。ただし、樹脂製のバインダは正極合剤中において抵抗成分として作用するため、樹脂製のバインダを含有させる場合、その量をできるだけ少なくすることが望ましく、含有割合を0.5質量%以下とすることが好ましく、0.3質量%以下であることがより好ましく、0質量%である(すなわち、樹脂製のバインダを含有させない)ことが最も好ましい。
正極に集電体を使用する場合、その集電体としては、アルミニウムやステンレス鋼などの金属の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタル、発泡メタル;カーボンシート;などを用いることができる。
正極合剤の成形体の厚みは、電池の高容量化の観点から、200μm以上であることが好ましく、500μm以上であることがより好ましい。一方、空隙率の低い成形体を形成しやすくし、また、負荷特性を向上させる観点からは、正極合剤の成形体の厚みは、2mm以下とすることが好ましく、1.2mm以下とすることがより好ましい。
なお、集電体を有する正極の場合は、集電体の片面あたりの正極合剤の成形体の厚みを前記の範囲とすればよい。
(負極)
全固体二次電池の負極は、負極活物質、導電助剤および硫化物系固体電解質などを含む負極合剤の成形体を有するものであり、例えば、前記成形体のみから構成することができ、また、前記成形体と集電体とを一体化して構成することもできる。
負極活物質としては、例えば、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、炭素繊維などのリチウムを吸蔵・放出可能な炭素系材料の1種または2種以上の混合物が用いられる。また、Si、Sn、Ge、Bi、Sb、In、Alなど、リチウムとの合金を形成することのできる元素単体、前記元素とリチウムとの合金を形成しない元素との合金、前記元素の酸化物などの化合物;リチウム含有窒化物;スピネル構造を有するリチウムチタン酸化物などの複合酸化物;リチウム金属;も、負極活物質として用いることができる。
負極合剤中での負極活物質の含有割合は、負極の容量を大きくするため、45質量%以上とすることが好ましく、50質量%以上とすることがより好ましい。一方、負極合剤中での硫化物系固体電解質および導電助剤の含有割合を一定以上として、負極合剤のイオン伝導性および電子伝導性を優れたものとするために、負極合剤中での前記負極活物質の含有割合は、65質量%以下とすることが好ましく、60質量%以下とすることがより好ましい。
負極の導電助剤には、黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛)、グラフェン、カーボンブラック、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブなどの炭素材料などを使用することができる。負極合剤における導電助剤の含有量は、負極合剤の成形体内での電子伝導性を良好にする観点から、5質量%以上であることが好ましく、7質量%以上であることがより好ましい。また、負極合剤中の導電助剤の量が多すぎると、負極合剤の成形体中に空隙が多くなりやすく、その充填率を高めることが困難になって、全固体二次電池の体積エネルギー密度が小さくなる虞がある。よって、負極合剤の成形体の空隙率を小さくする観点から、負極合剤における導電助剤の含有量は、15質量%以下であることが好ましく、12質量%以下であることがより好ましい。
負極の固体電解質にも、イオン伝導性を高めるために、硫化物系固体電解質を使用することが望ましい。前記硫化物系固体電解質としては、正極合剤に使用可能な硫化物系固体電解質として例示したものと同じ固体電解質を用いることができるが、より高いイオン伝導性を有するアルジロダイト型結晶構造を有する化合物が好ましく用いられ、柔軟性が高く負極合剤の充填密度を高めることのできるLi7-xPS6-xClBr(x=y+z、1<x≦1.8、0.1≦z/y≦10)がより好ましく用いられる。前記固体電解質を用いることにより、後述する加圧成形時の負極合剤の空隙率を、例えば10~20%とすることができる。
負極合剤は、硫化物系固体電解質と共に他の固体電解質を含有していてもよく、硫化物系固体電解質と併用し得る他の固体電解質としては、水素化物系固体電解質、酸化物系固体電解質などが挙げられる。これらの固体電解質は、正極合剤に対して例示したものと同じ固体電解質を用いることができる
ただし、負極合剤のイオン伝導性が低下するのを防ぐため、負極合剤に使用する固体電解質全量中で、硫化物系固体電解質以外の固体電解質の割合は、30質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、他の固体電解質を含まないことが特に好ましい。
負極合剤における固体電解質の含有割合は、イオン伝導性を高めるために、35質量%以上とすることが好ましく、40質量%以上とすることがより好ましく、一方、負極活物質の含有量を確保するために、55質量%以下とすることが好ましく、50質量%以下とすることがより好ましい。
負極合剤には、必要に応じて樹脂製のバインダを含有させることができる。樹脂製のバインダとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのフッ素樹脂や、アクリル酸-アクリル酸エステル共重合体などのアクリル樹脂などが挙げられる。ただし、樹脂製のバインダは負極合剤中において抵抗成分として作用するため、樹脂製のバインダを含有させる場合、その量をできるだけ少なくすることが望ましく、含有割合を0.5質量%以下とすることが好ましく、0.3質量%以下であることがより好ましく、0質量%である(すなわち、樹脂製のバインダを含有させない)ことが最も好ましい。
負極に集電体を用いる場合、その集電体としては、銅製やニッケル製の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタル、発泡メタル;カーボンシート;などを用いることができる。
負極合剤の成形体の厚みは、電池の高容量化の観点から、200μm以上であることが好ましく、500μm以上であることがより好ましい。一方、空隙率の低い成形体を形成しやすくし、また、負荷特性を向上させる観点からは、負極合剤の成形体の厚みは、3mm以下とすることが好ましく、2mm以下とすることがより好ましい。なお、集電体を有する負極の場合は、集電体の片面あたりの負極合剤の成形体の厚みを前記の範囲とすればよい。
(固体電解質層)
全固体二次電池の固体電解質層における固体電解質には、イオン伝導性を高めるために、硫化物系固体電解質を使用する。前記硫化物系固体電解質としては、正極合剤に使用可能な硫化物系固体電解質として例示したものと同じ固体電解質を用いることができるが、より高いイオン伝導性を有するアルジロダイト型結晶構造を有する化合物が好ましく用いられ、Li7-xPS6-xClBr(x=y+z、1<x≦1.8、0.1≦z/y≦10)がより好ましく用いられる。
硫化物系固体電解質は、加圧成形時の空隙率を低くするため、平均粒子径を0.3~1.5μmとすることが望ましい。
なお、固体電解質層は、一層のみで構成するのであってもよいが、積層構造とすることもできる。正極と接する層を、安定性の高い硫化物系固体電解質、例えば、Li7-x+yPS6-xClx+y(0.05≦y≦0.9、-3x+1.8≦y≦-3x+5.7)で構成し、負極側の層を、高いイオン伝導性を有する硫化物系固体電解質、例えば、Li7-xPS6-xClBr(x=y+z、1<x≦1.8、0.1≦z/y≦10)で構成することもできる。
さらに、固体電解質層は、樹脂製の不織布などの多孔質体を支持体として有していてもよい。
なお、固体電解質層のイオン伝導性が低下するのを防ぐため、固体電解質層における、硫化物系固体電解質以外の固体電解質の含有割合は、固体電解質全体の30質量%以下とすることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、他の固体電解質を含まないことが特に好ましい。
固体電解質層の厚みは、正極と負極の間の絶縁性を確保するため、10μm以上とすることが好ましく、50μm以上とすることがより好ましく、一方、電池の内部抵抗を低減するため、300μm以下とすることが好ましく、200μm以下とすることがより好ましい。
(積層電極体)
前記正極合剤の成形体は、例えば、正極活物質粉末、導電助剤および固体電解質、さらには必要に応じて添加されるバインダなどを混合して調製した正極合剤で構成されており、前記正極合剤を金型内に投入して所定の厚みの層を形成した後、加圧成形などによって圧縮することで形成することができる。また、前記負極合剤の成形体は、例えば、負極活物質、導電助剤および固体電解質、さらには必要に応じて添加されるバインダなどを混合して調製した負極合剤で構成されており、前記負極合剤を金型内に投入して所定の厚みの層を形成した後、加圧成形などによって圧縮することで形成することができる。
前記正極合剤の成形体および負極合剤の成形体は、そのままで、あるいは圧着などの方法で集電体と貼り合わされ、電極(正極および負極)として使用される。
固体電解質層は、例えば、固体電解質の粉末を金型内に投入して所定の厚みの層とした後、加圧成形などによって圧縮する方法により形成することができ、成形体となった状態で電池の組み立てに用いられる。また、固体電解質の粉末は、溶媒に分散され塗料の状態で固体電解質層の形成に用いることもでき、前記塗料を基材や正極合剤、負極合剤の上に、塗布し、乾燥して所定の厚みの層とした後、加圧成形するのであってもよい。
固体電解質の塗料の調製に使用する溶媒は、固体電解質を劣化させ難いものを選択することが好ましい。特に、硫化物系固体電解質や水素化物系固体電解質は、微少量の水分によって化学反応を起こすため、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、デカリン、トルエン、キシレンなどの炭化水素溶媒に代表される非極性非プロトン性溶媒を使用することが好ましい。特に、含有水分量を0.001質量%(10ppm)以下とした超脱水溶媒を使用することがより好ましい。また、三井・デュポンフロロケミカル社製の「バートレル(登録商標)」、日本ゼオン社製の「ゼオローラ(登録商標)」、住友3M社製の「ノベック(登録商標)」などのフッ素系溶媒、並びに、ジクロロメタン、ジエチルエーテルなどの非水系有機溶媒を使用することもできる。
正極合剤の成形体と負極合剤の成形体とは、固体電解質層を介して積層され、一体化されることにより、積層電極体となって電池の組み立てに用いられる。
前記正極合剤の成形体の作製条件は、例えば以下の条件とすることができる。
平均粒子径が1~8μmの一次粒子よりなる正極活物質粉末と、平均粒子径が0.1~5μmの硫化物系固体電解質などを混合し、前記正極活物質粉末を65~85質量%の割合で含有する正極合剤を調製し、これを金型内に投入して所定の厚みの層を形成し、加圧することにより、正極合剤の成形体が作製される。加圧の際の圧力は、面圧として、1000MPa(10ton/cm)以上とすればよく、これにより、成形体の空隙率を10%以下とすることができる。
また、負極合剤の成形体および固体電解質層の作製条件については、特に限定はされず、例えば、正極合剤の成形体の作製と同様の条件で行うことができ、加圧の際の圧力を、面圧として、1000MPa(10ton/cm)以上とし、充填率を高めることもできる。
なお、正極合剤の層の加圧は一度で行ってもよいが、いったん1000MPa未満の圧力で加圧して合剤の充填率をある程度高めておき、その上に固体電解質の粉末の層を重ねて加圧し、固体電解質の粉末の層をいったん成形し、さらに成形された固体電解質の粉末の層の上に負極合剤の層を重ね、三者の積層体を形成した後に、前記積層体を1000MPa以上の圧力で加圧し、正極合剤の成形体、固体電解質層および負極合剤の成形体が積層され一体化された積層電極体とするのであってもよい。これにより、最終的に正極合剤の成形体の充填率が高まり、その空隙率を10%以下にできると共に、固体電解質層および負極合剤の成形体の充填率も高まり、積層電極体全体での平均の空隙率を10%以下とすることもできる。
各層を積層していく順番は限定されず、先に負極合剤の層を形成し、その上に固体電解質の粉末の層を形成し、さらにその上に正極合剤の層を形成して積層体を形成してもよく、また、先に固体電解質の粉末の層を作製し、その一方の側に負極合剤または正極合剤の層を形成し、さらに固体電解質の粉末の層のもう一方の側に、もう一方の電極の合剤の層を形成して積層体を形成してもよい。
あるいは、正極合剤の成形体、固体電解質層、負極合剤の成形体を予め別々に作製しておき、最後にこれらを積層して一体化するのであってもよい。
正極合剤の成形体の空隙率の下限値は限定されず、低い方が好ましいが、製造装置の制約から、生産性を考慮すると、通常、正極合剤の成形体を加圧する際の圧力は、面圧として、2000MPa(20ton/cm)程度までとなるため、実際に得られる正極合剤の成形体の空隙率は、5%程度が下限値となる。
なお、本明細書でいう正極合剤の成形体の空隙率は、正極合剤の成形体の厚み、面積あたりの質量、構成成分の密度から、下記式(1)を用いて各成分iについての総和を求めることにより計算される値である。
P = 100-(Σai/ρi)×(m/t) (1)
ここで、前記式(1)中、ai:質量%で表した成分iの比率、ρi:成分iの密度(g/cm)、m:正極合剤の成形体の単位面積あたりの質量(g/cm)、t:正極合剤の成形体の厚み(cm)である。
また、正極合剤の成形体の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、画像処理により空隙部分の割合を求め、正極合剤の成形体の空隙率を算出するのであってもよい。この場合、前記の方法により求まる空隙率と整合する値となるよう、画像処理の条件決めをしておくことが望ましい。
なお、負極合剤の成形体の空隙率、固体電解質層の空隙率、および積層電極体全体の空隙率(平均)についても、正極合剤の成形体と同様の方法で求めることができる。
正極合剤、負極合剤、および固体電解質層形成用組成物のうち少なくとも1つは、加熱された状態で加圧成形されるのであってもよい。固体電解質材料が加熱により軟化した状態で成形されることにより、活物質と固体電解質材料、あるいは固体電解質材料同士の接触面積が増加し、成形体の充填性を高めることができる。
加熱温度は、固体電解質材料の構成にもよるが、例えば、60~200℃とすることができる。
(電池の形態)
本発明の全固体二次電池は、例えばコイン形電池として構成することができる。図1は、コイン形電池の断面図を模式的に表すものであり、図1に示す電池1は、外装缶40と、封口缶50と、これらの間に介在する樹脂製のガスケット60で形成された外装体内に、正極10、負極20、および正極10と負極20との間に介在する固体電解質層30が封入されている。
封口缶50は、外装缶40の開口部にガスケット60を介して嵌合しており、外装缶40の開口端部が内方に締め付けられ、これによりガスケット60が封口缶50に当接することで、外装缶40の開口部が封口されて素子内部が密閉構造となっている。
外装缶および封口缶にはステンレス鋼製のものなどが使用できる。また、ガスケットの素材には、ポリプロピレン、ナイロンなどを使用できるほか、電池の用途との関係で耐熱性が要求される場合には、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)などのフッ素樹脂、ポリフェニレンエーテル(PEE)、ポリスルフォン(PSF)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの融点が240℃を超える耐熱樹脂を使用することもできる。また、電池が耐熱性を要求される用途に適用される場合、その封口には、ガラスハーメチックシールを利用することもできる。
全固体二次電池の形態は、図1に示すような、外装缶と封口缶とガスケットとで構成された外装体を有する扁平形状のものに限定されず、例えば、樹脂フィルムや金属-樹脂ラミネートフィルムで構成された外装体を有するものや、金属製で有底筒形(円筒形や角筒形)の外装缶と、その開口部を封止する封止構造とを有する外装体を有するものであってもよい。
本発明の全固体二次電池は、従来から知られている二次電池と同様の用途に適用し得るが、電解液に代えて固体電解質を有していることから耐熱性に優れており、高温に曝されるような用途に好ましく使用することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。
実施例1
<親水性部分を有するカーボン粒子の作製>
一次粒子の平均粒子径が40nmで、2nm以下の細孔を有するカーボンブラック:9質量部と、Co(CHCOO)・4HO:99.6質量部と、LiOH・HO:32質量部とを蒸留水中で混合し、1時間攪拌した後、混合液をろ過してカーボンブラックを含む混合物を得た。
次に、前記混合物にLiOH・HO:30質量部を加え、エバポレーターを用い、空気中250℃で30分間加熱して、カーボンブラックにリチウムコバルト化合物が担持された複合体を得た。この複合体を、濃度98%の濃硫酸、濃度70%の濃硝酸及び濃度30%の塩酸の体積比が1:1:1の混合水溶液に投入し、超音波を照射させて複合体中のリチウムコバルト化合物を溶解させ、残った固体をろ過し、水洗し、乾燥させた。
前記混合水溶液によるリチウムコバルト化合物の溶解と、ろ過、水洗及び乾燥の工程を繰り返すことにより、リチウムコバルト化合物を完全に取り除き、10質量%以上の割合で親水性部分を含むカーボン粒子を得た。
得られたカーボン粒子:0.1gをpHが11のアンモニア水溶液20mlに添加し、超音波照射を1分間行なった後、5時間放置して固相部分を沈殿させた。
固相部分の沈殿後、上澄み液を除去して残余部分を乾燥させ、乾燥後の固体の重量を測定し、処理前のカーボン粒子の重量(0.1g)からの減少分を親水性部分の重量とした。処理前のカーボン粒子の重量に対する前記親水性部分の重量の割合を求めたところ、14.5質量%であった。
<積層電極体の作製>
表面にLiNbOの被覆層を形成したLiCoOの一次粒子よりなる正極活物質粉末(平均粒子径:5μm)と、平均粒子径が3μmの硫化物系固体電解質:Li7.0PS5.4Cl1.2と、導電助剤として、前記親水性部分を有するカーボン粒子および気相成長炭素繊維(VGCF)とを、質量比で70:26.8:1.1:2.1で混合し、よく混練して正極合剤を調製した。なお、正極活物質粉末の重量に対する、前記被覆層中のNbの重量の割合は、1.5質量%であった。
また、平均粒子径が2μmのチタン酸リチウム(LiTi12、負極活物質)と、平均粒子径が0.7μmの硫化物系固体電解質:Li5.4PS4.4Cl0.8Br0.8と、グラフェン(導電助剤)とを、質量比で50:41:9の割合で混合し、よく混練して負極合剤を調製した。
次に、前記正極合剤:92mgを粉末成形金型に入れ、プレス機を用いていったん100MPa(1ton/cm)の圧力で加圧成形を行った。成形された正極合剤の上に、平均粒子径が0.7μmの硫化物系固体電解質:Li5.4PS4.4Cl0.8Br0.8の粉末16mgを投入し、プレス機を用いていったん100MPa(1ton/cm)の圧力で加圧成形を行った。さらに、成形された硫化物系固体電解質の上に、前記負極合剤:129mgを投入し、3つの層の積層体を形成した後、プレス機を用いて1200MPa(12ton/cm)の圧力で加圧成形を行い、正極(厚みが0.68mmの正極合剤の成形体)/固体電解質層(厚み:0.19mm)/負極(厚みが1.24mmの負極合剤の成形体)よりなる積層電極体を作製した。
前記積層電極体における、正極合剤の成形体の空隙率は8%であり、負極合剤の成形体の空隙率は10%であり、積層電極体全体の空隙率の平均は8%であった。
<電池の組み立て>
ステンレス鋼製の封口缶および外装缶を外装体として用い、封口缶および外装缶と前記積層電極体との間に、それぞれ厚みが0.1mmの多孔質カーボンシートが配置されるようにして封止を行うことにより、コイン形全固体二次電池を作製した。
比較例1
表面にLiNbOの被覆層を形成した、平均粒子径が20μmのLiCoOの二次粒子よりなる正極活物質粉末(一次粒子径:3μm)を用いた以外は実施例1と同様にして、コイン形全固体二次電池を作製した。
比較例2
3つの層の積層体を形成した後にプレス機を用いて行う加圧成形の圧力を、600MPa(6ton/cm)とした以外は実施例1と同様にして、正極(厚みが0.73mmの正極合剤の成形体)/固体電解質層(厚み:0.20mm)/負極(厚みが1.32mmの負極合剤の成形体)よりなる積層電極体を作製した。
前記積層電極体における、正極合剤の成形体の空隙率は15%であり、負極合剤の成形体の空隙率は16%であり、積層電極体全体の空隙率の平均は15%であった。
実施例および比較例の全固体二次電池について、下記の各評価を行った。
<負荷特性評価>
作製した実施例および比較例の電池について、0.2Cの電流値で電池電圧が3.1Vになるまで行う定電流充電と、3.1Vの電圧で電流値が0.02Cになるまで行う定電圧充電を組み合わせた定電流-定電圧充電を行い、さらに、0.1Cの電流値で電池電圧が1.2Vになるまで定電流放電を行い、0.1Cでの放電容量を測定した。
次に、前記と同様の定電流-定電圧充電を行い、さらに、0.5Cの電流値で電池電圧が1.2Vになるまで定電流放電を行って、0.5Cでの放電容量を測定した。0.5Cでの放電容量を0.1Cでの放電容量で徐した値(%)を求め、それぞれの電池の負荷特性を評価した。
<高温特性評価>
実施例および比較例の電池に対し、100℃の環境下において以下の条件で充放電サイクルを50サイクル繰り返した。
0.2Cの電流値で電圧が3.1Vになるまで定電流充電を行い、続いて3.1Vの電圧で電流値が0.02Cになるまで定電圧充電を行い、次いで、0.2Cの電流値で電圧が1.2Vになるまで定電流放電させる充放電サイクルを50サイクル繰り返し、2サイクル目の放電容量に対する50サイクル目の放電容量の割合(容量維持率)により、高温特性を評価した。
前記の評価結果を表1に示す。
Figure 0007421985000001
正極活物質粉末を、活物質として作用するコア材と、前記コア材の表面に形成されたリチウムニオブ含有酸化物とからなる一次粒子で構成し、正極合剤の成形体の空隙率を10%以下とした実施例1の全固体二次電池は、負荷特性および高温特性に優れた電池となった。
一方、正極活物質粉末を二次粒子で構成した比較例1の全固体二次電池は、正極合剤が高圧で加圧成形された際に粒子が潰され、二次粒子を構成する一次粒子のニオブ含有酸化物が形成されていない面と硫化物系固体電解質とが直接接触する面積が大きくなり、高温での充放電サイクルにおいて実施例1の電池よりも特性劣化が早く進行する結果となった。
また、正極合剤を従来の圧力で加圧成形した比較例2の全固体二次電池は、正極合剤の成形体の空隙率が10%よりも大きくなり、内部抵抗が高くなったため負荷特性が低下した。
1 全固体二次電池
10 正極
20 負極
30 固体電解質層
40 外装缶
50 封口缶
60 ガスケット

Claims (7)

  1. 正極、負極、および硫化物系固体電解質を含有する固体電解質層を有する全固体二次電池であって、
    前記正極は、活物質として作用するコア材と、前記コア材の表面に形成されたリチウムニオブ含有酸化物とで構成された一次粒子よりなる正極活物質粉末と、導電助剤および硫化物系固体電解質とを含有する正極合剤の成形体を有しており、
    前記負極は、負極活物質粉末と、導電助剤および硫化物系固体電解質とを含有する負極合剤の成形体を有しており、
    前記正極合剤の成形体と、前記固体電解質層と、前記負極合剤の成形体は、積層され一体化されて積層電極体を構成しており、
    前記正極活物質粉末の平均粒子径が1~8μmであり、
    前記正極合剤は、前記正極活物質粉末を65~85質量%の割合で含有し、
    前記正極合剤の成形体は、空隙率が10%以下であり、
    前記正極合剤の成形体の厚みが、200μm以上、2mm以下であり、
    前記固体電解質層の厚みが、10μm以上、200μm以下であり、
    前記積層電極体全体の平均空隙率が、10%以下であることを特徴とする全固体二次電池。
  2. 前記負極合剤の成形体の厚みが、200μm以上、3mm以下である請求項1に記載の全固体二次電池。
  3. 前記正極活物質粉末のコア材が、層状構造のリチウムコバルト含有酸化物である請求項1または2に記載の全固体二次電池。
  4. 前記負極合剤が、前記負極活物質粉末を45質量%以上、65質量%以下の割合で含有する請求項1~3のいずれかに記載の全固体二次電池。
  5. 前記正極合剤が、前記導電助剤として、黒鉛、グラフェン、カーボンブラック、気相成長炭素繊維、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブより選択される少なくとも1種の炭素材料を含有する請求項4に記載の全固体二次電池。
  6. 正極、負極、および硫化物系固体電解質を含有する固体電解質層を有する全固体二次電池の製造方法であって、
    活物質として作用するコア材と、前記コア材の表面に形成されたリチウムニオブ含有酸化物とで構成された一次粒子よりなる正極活物質粉末と、導電助剤および硫化物系固体電解質とを含有する正極合剤を作製する工程と、
    負極活物質粉末と、導電助剤および硫化物系固体電解質とを含有する負極合剤を作製する工程と、
    前記正極合剤の層と、硫化物系固体電解質の粉末の層と、前記負極合剤の層が積層された積層体を形成する工程と、
    前記積層体を加圧成形し、正合剤の成形体、固体電解質層、負極合剤の成形体が一体化された積層電極体を作製する工程とを有し、
    前記正極合剤において、正極活物質粉末の平均粒子径が1~8μmであり、正極活物質粉末の割合が65~85質量%であり、硫化物系固体電解質の平均粒子径が0.1~5μmであり、
    前記積層体の加圧成形時の圧力が、面圧で1000MPa以上であり、
    前記正極合剤の成形体の空隙率を10%以下とし、
    前記正極合剤の成形体の厚みを、200μm以上、2mm以下とし、
    前記固体電解質層の厚みを、10μm以上、200μm以下とし、
    前記積層電極体全体の平均空隙率を10%以下とすることを特徴とする全固体二次電池の製造方法。
  7. 前記負極合剤の成形体の厚みを、200μm以上、3mm以下とする請求項6に記載の全固体二次電池の製造方法。
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