JP7468813B1 - ガスバリアコーティング剤、積層体、及び包装材 - Google Patents

ガスバリアコーティング剤、積層体、及び包装材 Download PDF

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Abstract

オルト配向性多価カルボン酸又はメタ配向性多価カルボン酸を必須として含有する酸成分とポリオール成分との反応物であるポリオール(A)と、イソシアネート化合物(B)と、分子量が100以上250以下の範囲内であるか、又は溶解度パラメータが29.5以下である活性水素基を有する化合物(C)を含有するガスバリアコーティング剤、及び、基材と前記基材上に配置されたバリアコート層とを含み、前記ガスバリアコート層が前記記載のガスバリアコーティング剤の硬化塗膜である積層体。

Description

本発明はコーティング剤、当該コーティング剤を用いて得られる積層体、包装材に関する。
外気からの水分・酸素等のガスの侵入を防ぐ目的で、ガスバリア性材料が各方面で使用されている。例えば食品や飲料等の包装に用いられる包装材料は、様々な流通、冷蔵等の保存や加熱殺菌などの処理等から内容物を保護することや、食品長期保存を目的として、酸化を抑えるため外部からの酸素の侵入を防ぐ酸素バリア性や、二酸化炭素バリア性、各種香気成分等に対するバリア性機能が要求されている。また、太陽電池や、液晶、有機または無機エレクトロルミネッセンス(以下「EL」と称す)等の種々のディスプレイ、並びに電子ペーパーなどの電子デバイスは、その内部構造を保護し、外部からの酸素や水蒸気を遮断するための封止材として一般にガラス基板が使用されるが、薄型化や軽量化、あるいはフレキシブルな製品を提供する目的で、プラスチックフィルムを基材とする透明ガスバリア性フィルムの使用が検討されつつある。(例えば、特許文献1、2参照)。
一方、リサイクル対応のためパッケージのモノマテリアル化が求められており、中でもオレフィン系樹脂のみで構成するモノマテリアルパッケージは実現可能性が高く、積極的に検討されている。従来からオレフィン系樹脂であるポリプロピレンやポリエチレンはシーラントフィルムとして使用されているが、これらは単独では酸素バリア性および保香性が十分ではなく、従来はナイロンやポリエステルと貼り合わせて使用されていた。リサイクル性を高めるためにナイロンやポリエステルを不使用とする場合、例えばエチレン-ビニルアルコール共重合体等のガスバリア性樹脂と貼り合わせて使用する方法が提案されている(例えば特許文献3参照)。しかしながら特許文献3に記載の方法は、使用するエチレン-ビニルアルコール共重合体がオレフィン系樹脂に対し密着性が弱く、時として剥がれ等が生じる場合があった。
また、特許文献4では、ポリビルアルコール系のバリアコート剤の課題である高湿度下での酸素バリア性の改善を試みている。しかしながらその評価は湿度80%下であり、湿度が90%以上での評価は開示されていない。湿度が90%以上であってもバリア性を有しないと、特に水を主成分とした内容物の酸化劣化防止や保香性を得られない懸念があるが、特許文献4ではその示唆がなされていなかった。
特開2005-077553号公報 特開2010-253861号公報 特開2020-40255号公報 特開2015-085306号公報
本発明は、パッケージのモノマテリアル化に寄与し、オレフィン系基材への密着性に優れ、且つナイロンやポリエステルが不使用であっても、オレフィン系基材にコーティングした積層体が湿度90%以上の環境下で良好なガスバリア性を示す、ガスバリアコーティング剤、当該コーティング剤を用いて得られる積層体、包装材を提供することを目的とする。
即ち本発明は、オルト配向性多価カルボン酸又はメタ配向性多価カルボン酸を必須として含有する酸成分とポリオール成分との反応物であるポリオール(A)と、イソシアネート化合物(B)と、分子量が100以上250以下の範囲内であるか、又は溶解度パラメータが29.5以下である活性水素基を有する化合物(C)を含有するガスバリアコーティング剤を提供する。
また本発明は、基材と、前記基材上に配置されたバリアコート層とを含み、前記ガスバリアコート層が前記記載のガスバリアコーティング剤の硬化塗膜である積層体を提供する。
また本発明は、基材と、ヒートシールフィルムと、前記基材の前記ヒートシールフィルム側の面に配置されたガスバリアコート層と、前記ガスバリアコート層と前記ヒートシールフィルムとの間に配置された接着層とを含み、前記ガスバリアコート層が前記記載のガスバリアコーティング剤の硬化塗膜である積層体を提供する。
また本発明は、前記積層体を含む包装材を提供する。
本発明によれば、パッケージのモノマテリアル化に寄与し、オレフィン系基材への密着性に優れ、且つナイロンやポリエステルが不使用であっても、オレフィン系基材にコーティングした積層体が湿度90%以上の環境下で良好なガスバリア性を示す、ガスバリアコーティング剤、当該コーティング剤を用いて得られる積層体、包装材を提供できる。
(ポリオール(A))
本発明で使用するポリオール(A)は、オルト配向性多価カルボン酸又はメタ配向性多価カルボン酸を必須として含有する酸成分とポリオール成分との反応物であるポリエステルポリオール(A1)である。
(酸成分 オルト配向性多価カルボン酸又はメタ配向性多価カルボン酸)
ポリエステルポリオール(A1)の合成に用いられるオルト配向性多価カルボン酸としては、オルトフタル酸又はその酸無水物、ナフタレン2,3-ジカルボン酸又はその酸無水物、ナフタレン1,2-ジカルボン酸又はその酸無水物、アントラキノン2,3-ジカルボン酸又はその酸無水物、及び2,3-アントラセンカルボン酸又はその酸無水物等が挙げられる。これらの化合物は、芳香環の任意の炭素原子に置換基を有していても良い。該置換基としては、クロロ基、ブロモ基、メチル基、エチル基、i-プロピル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、メチルチオ基、フェニルチオ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、フタルイミド基、カルボキシル基、カルバモイル基、N-エチルカルバモイル基、フェニル基又はナフチル基等が挙げられる。
また、ポリエステルポリオール(A1)の合成に用いられるメタ配向性多価カルボン酸としては、イソフタル酸、1,3-ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。これらの化合物は、芳香環の任意の炭素原子に置換基を有していても良い。該置換基としては、クロロ基、ブロモ基、メチル基、エチル基、i-プロピル基、ヒドロキシル基、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、メチルチオ基、フェニルチオ基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、フタルイミド基、カルボキシル基、カルバモイル基、N-エチルカルバモイル基、フェニル基又はナフチル基等が挙げられる。
(酸成分 その他の多価カルボン酸)
ポリエステルポリオール(A1)の合成に用いられる酸成分である多価カルボン酸は、前記オルト配向性多価カルボン酸又はメタ配向性多価カルボン酸以外の多価カルボン酸を含んでいてもよい。これらの多価カルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族多価カルボン酸;無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和結合含有多価カルボン酸;1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族多価カルボン酸;テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-アントラセンジカルボン酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、1,4-アントラセンジカルボン酸、2,6-アントラセンジカルボン酸、2,7-アントラセンジカルボン酸、1,8-アントラセンジカルボン酸、9,10-アントラセンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2-ビス(フェノキシ)エタン-p,p’-ジカルボン酸及びこれらジカルボン酸の酸無水物或いはエステル形成性誘導体、p-ヒドロキシ安息香酸、p-(2-ヒドロキシエトキシ)安息香酸及びこれらのジヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体等の芳香族多価カルボン酸等が挙げられ、1種または2種以上を併用することができる。中でも、コハク酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、及びその酸無水物が好ましい。
多価カルボン酸が、オルト配向性多価カルボン酸又はメタ配向性多価カルボン酸以外の多価カルボン酸を含む場合、多価カルボン酸全量に占めるオルト配向性多価カルボン酸又はメタ配向性多価カルボン酸の割合が40~100質量%であることが好ましい。
(ポリオール成分)
ポリエステルポリオール(A1)の合成に用いられるポリオール成分である多価アルコールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール等の2価アルコールや、グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の3価アルコールを含むことが好ましい。中でも、エチレングリコールやグリセロールを含むことがより好ましい。特にグリセロールを含有することが好ましい。グリセロールは、ポリオール(A)のポリオール成分中に10質量~100質量%含有することが好ましい。
多価アルコールは上記以外の多価アルコールを併用してもよく、例えば1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、メチルペンタンジオール、ジメチルブタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等の脂肪族ジオール;グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,2,4-ブタントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスルトール等の三価以上の多価アルコール、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、ナフタレンジオール、ビフェノール、ビスフェノールA、ヒスフェノールF、テトラメチルビフェノールや、これらのエチレンオキサイド伸長物、水添化脂環族等の芳香族多価フェノール等を例示することができる。
ポリエステルポリオール(A1)が3個以上の水酸基を有する場合(便宜上ポリエステルポリオール(a1)とする)、水酸基の一部を酸基で変性してもよい。このようなポリエステルポリオールを以下ではポリエステルポリオール(A1’)ともいう。ポリエステルポリオール(A1’)は、ポリエステルポリオール(a1)に、多価カルボン酸またはその酸無水物を反応させて得られる。多価カルボン酸で変性する水酸基の割合は、ポリエステルポリオール(a1)が備える水酸基の1/3以下とすることが好ましい。変性に用いる多価カルボン酸としては、無水コハク酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物、4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物、無水フタル酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸無水物、トリメリット酸無水物、オレイン酸、ソルビン酸等が挙げられるがこれに限定されない。
ポリエステルポリオール(A1)の水酸基価は、20mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であることが好ましい。水酸基価が20mgKOH/gより小さい場合、分子量が大きすぎるためポリオール組成物(X)の粘度が高くなり、例えば無溶剤型接着剤として適用する場合の塗工温度を高くする必要がある。水酸基価が250mgKOH/gを超える場合、硬化塗膜の架橋密度が高くなりすぎ、接着強度が低下する場合がある。
ポリエステルポリオール(A1)が酸基を有する場合、酸価は200mgKOH/g以下であることが好ましい。酸価が200mgKOH/gを超える場合、ポリオールとポリイソシアネートとの反応が早くなり過ぎ、塗工適性が低下するおそれがある。酸価の下限は特に制限されないが、一例として20mgKOH/g以上である。酸価が20mgKOH/g以上であると分子間の相互作用により良好なガスバリア性や初期凝集力が得られる。ポリエステルポリオール(A)の水酸基価はJIS-K0070に記載の水酸基価測定方法にて、酸価はJIS-K0070に記載の酸価測定法にて測定することができる。
ポリエステルポリオール(A1)の数平均分子量は300~5000であると接着性とガスバリア性とのバランスに優れる程度の架橋密度が得られるため特に好ましい。より好ましくは数平均分子量が350~3000である。数平均分子量は得られた水酸基価と設計上の水酸基の官能基数から計算により求める。
ポリエステルポリオール(A1)のガラス転移温度は基材への密着性とガスバリア性とのバランスから-30℃以上80℃以下であることが好ましく、0℃以上60℃以下であることがより好ましく、25℃以上60℃以下であることがさらに好ましい。
ポリエステルポリオール(A1)は、ジイソシアネート化合物との反応によるウレタン伸長により数平均分子量1000~15000としたポリエステルポリウレタンポリオールであってもよい。ウレタン伸長したポリエステルポリオールには一定以上の分子量成分とウレタン結合とが存在するため、優れたガスバリア性を持ち、初期凝集力に優れる。
前記ポリエステルポリオール(A1)は、1種でも構わないし、複数のポリオール種を組み合わせて使用してもよい。
(イソシアネート化合物(B))
本発明で使用するイソシアネート化合物(B)は、従来公知のものを特に制限なく用いることができ、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート或いはこれらのイソシアネート化合物の3量体、およびこれらのイソシアネート化合物の過剰量と、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、メタキシリレンアルコール、1,3-ビスヒドロキシエチルベンゼン、1,4-ビスヒドロキシエチルベンゼン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、エリスリトール、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メタキシリレンジアミンなどの低分子活性水素化合物およびそのアルキレンオキシド付加物、各種ポリエステル樹脂類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類の高分子活性水素化合物などと反応させて得られるアダクト体が挙げられる。ポリエステルポリオール(A1)~(A3)とジイソシアネート化合物とを、水酸基とイソシアネート基の比率をイソシアネート過剰で反応させて得られるポリエステルポリイソシアネートを用いてもよい。これらは1種または2種以上を併用することができる。
また、イソシアネート化合物としてブロック化イソシアネートを用いてもよい。イソシアネートブロック化剤としては、例えばフェノール、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノールなどのフェノール類、アセトキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなそのオキシム類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、エチレンクロルヒドリン、1,3-ジクロロ-2-プロパノールなどのハロゲン置換アルコール類、t-ブタノール、t-ペンタノール、などの第3級アルコール類、ε-カプロラクタム、δ-バレロラクタム、γ-ブチロラクタム、β-プロピロラクタムなどのラクタム類が挙げられ、その他にも芳香族アミン類、イミド類、アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、マロン酸エチルエステルなどの活性メチレン化合物、メルカプタン類、イミン類、尿素類、ジアリール化合物類重亜硫酸ソーダなども挙げられる。ブロック化イソシアネートは上記イソシアネート化合物とイソシアネートブロック化剤とを公知慣用の適宜の方法より付加反応させて得られる。
前記イソシアネート化合物(B)は、芳香族環又は脂肪族環を有することが好ましい。芳香族環又は脂肪族環を有することで、コーティング膜のガスバリア性の向上、耐ブロッキング性が期待できる。
前記イソシアネート化合物において、芳香族環又は脂肪族環を有するイソシアネート化合物としては、例えば、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート或いはこれらのイソシアネート化合物の3量体、およびこれらのイソシアネート化合物の過剰量と、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、メタキシリレンアルコール、1,3-ビスヒドロキシエチルベンゼン、1,4-ビスヒドロキシエチルベンゼン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、エリスリトール、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メタキシリレンジアミンなどの低分子活性水素化合物およびそのアルキレンオキシド付加物、各種ポリエステル樹脂類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類の高分子活性水素化合物などと反応させて得られるアダクト体が挙げられる。
前記イソシアネート化合物(B)は、単独で使用してもよいし、複数種のイソシアネート化合物を組み合わせて使用してもよい。
また、ポリオール(A)として、ポリエステルポリオール(A1’)のようにカルボン酸基が残存しているポリエステルポリオールを使用する場合には、ポリイソシアネート化合物と併用してエポキシ化合物を含んでいてもよい。エポキシ化合物としてはビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびそのオリゴマー、水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびそのオリゴマー、オルソフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、p-オキシ安息香酸ジグリシジルエステル、テトラハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルおよびポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル類、トリメリット酸トリグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、1,4-ジグリシジルオキシベンゼン、ジグリシジルプロピレン尿素、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、グリセロールアルキレンオキサイド付加物のトリグリシジルエーテルなどを挙げることができる。
エポキシ化合物を用いる場合には、硬化を促進する目的で汎用公知のエポキシ硬化促進剤を本発明の目的が損なわれない範囲で適宜添加してもよい。
(分子量が100以上250以下の範囲内であるか、又は溶解度パラメータが29.5以下である活性水素基を有する化合物(C))
分子量が100以上250以下の範囲内であるか、又は溶解度パラメータが29.5以下である活性水素基を有する化合物(C)(以後単に「化合物(C)」と称する場合がある)において、活性水素基とは、水酸基、アミノ基、イミノ基、カルボン酸、尿素基、又はSH基等が挙げられる。中でも、水酸基、アミノ基、又はSH基が好ましい。これらの基はいずれも水素結合性を有し、水素の供与基あるいは授与基のいずれにもなりうる。推定ではあるが、前記ポリオール(A)と前記イソシアネート化合物(B)が反応して生成したウレタン結合のNH基、C=O基との間で、水素結合ネットワークを形成することで、分子運動を制御し、自由体積率の低減、自由体積孔径の縮小に寄与し、よりバリア性を向上させることが可能となったと考えられる。
また、化合物(C)の分子量が100以上250以下の範囲内であると、コーティング剤に用いる溶剤へ溶解するとともに、塗工、乾燥工程での化合物(C)の揮発を防ぐことで、塗膜内に留まることで、ガスバリア性向上の効果が期待できる。
なお本発明において、分子量は分子を構成する原子の原子量の総和により算出した値とする。
また、化合物(C)の溶解度パラメータが29.5以下であると、、ポリオール(A)と、イソシアネート化合物(B)との相溶性が向上し、塗膜内に化合物(C)が均一にある塗膜を形成することで、ガスバリア性向上の効果が期待できる。
なお本発明において、溶解度パラメータは、ハンセン溶解度パラメータ計算ソフトウェア―(HSPiP)に収載されているδT値もしくはSMILES記法を用いて算出したδT値とする。
本発明において化合物(C)は、分子量が100以上250以下の範囲内であるか、又は溶解度パラメータが29.5以下であることを満たせばよい。
前記活性水素基として水酸基を有する化合物(C)として、オクタノール、デカノール等のアルカノール、例えば1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,2,2-トリメチルペンタンジオール、3,3-ジメチロールヘプタン、オクタンジオール、デカンジオール等の脂肪族ジオール、1,3-または1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,3-または1,4-シクロヘキサンジオール等の脂環式アルコール、サリチルアルコール、バニリルアルコール等の芳香族アルコール、水素化ビスフェノールA、1,4-ジヒドロキシ-2-ブテン、2,6-ジメチル-1-オクテン-3,8-ジオール、ビスフェノールA、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどの2価アルコール、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリイソプロパノールアミンなどの3価アルコール、例えば、テトラメチロールメタン(ペンタエリスリトール)、ジグリセリンなどの4価アルコール、例えば、キシリトールなどの5価アルコール、例えば、ソルビトール、マンニトール、アリトール、イジトール、ダルシトール、アルトリトール、イノシトール、ジペンタエリスリトールなどの6価アルコール、例えば、ペルセイトールなどの7価アルコール等がある。
前記活性水素基としてアミノ基を有する化合物(C)として、例えばオクチルアミン、デカンアミン、1,8-ジアミノオクタン、1,10-ジアミノデカン等の脂肪族アミン、イソホロンジアミン、ノルボルネンジアミン、ビス( アミノメチル) シクロヘキサン、シクロヘキサンジアミン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、メチレンビス( メチルシクロヘキサンアミン)等の脂環式アミン、1-キシリレンジアミン、N - ベンジルエチレンジアミン、フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエーテル、1 , 3 - ビス( 3 - アミノフェノキシ) ベンゼン、トルエンジアミン、ジエチルトルエンジアミン等の芳香族アミン等がある。
前記活性水素基としてSH基を有する化合物(C)として、例えば、へキシルメルカプタン、へプチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ノニルメルカプタン、デシルメルカプタン 、ウンデシルメルカプタン 、ドデシルメルカプタン 、トリデシルメルカプタン、テトラデシルメルカプタン、ペンタデシルメルカプタン、メルカプトフェノールなメルカプトプロピオン酸、メルカプト酪酸、1,4-ブタンジ゛チオール、2-メルカプトベンゾチアゾール、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール、メルカプトメチルブタノール、3-メルカプト-2-メチルペンタノール、3-メルカプトー3-メチルブタノール、4-エトキシ-2-メチル-2-ブタンチオール、ヘキサンチオール、ジメチルチオフェノール、1 , 4 - ビス( 3-メルカプトブチリルオキシ) ブタン、トリメチロールプロパントリス( 3 - メルカプトブチレート) 、ペンタエリスリトールテトラキス( 3 - メルカプトブチレート)等がある。
前記化合物(C)は、単独で使用してもよいし、複数種を組み合わせて使用してもよい。中でも、前記活性水素基として水酸基を有する化合物(C)が好ましく、イソソルビド、イソシアヌル酸トリス(2-ヒドロキシエチル)、トリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、1,4-シクロヘキサンジメタノールが好ましい。
前記化合物(C)の配合量は、本発明のバリアコーティング剤の固形分に対し0.5質量%以上20質量%以下であることが好ましい。この範囲において、塗工時の巻き取りブロッキングを防ぎ、良好な基材密着性、および塗膜のガスバリア性向上が期待される。配合量は中でも1質量%以上15質量%以下であることがなお好ましく、2質量%以上8質量%以下であることが最も好ましい。
(その他の成分)
(板状無機化合物(E))
本発明のバリアコーティング剤は、板状無機化合物(E)を含有させてもよい。本発明に板状無機化合物(E)が用いられる場合には、粘着性の低減によるコーティング後の巻き取り適性の向上とガスバリア性を向上させる効果を有する。
板状無機化合物(E)を併用した場合には形状が板状であることによりバリア性が向上する特徴がある。板状無機化合物(E)の層間の電荷はバリア性に直接大きく影響しないが、本発明のコーティング剤に対する分散性が、イオン性無機化合物、或いは水に対して膨潤性無機化合物では大幅に劣り、添加量を増加させると本発明のコーティング剤の増粘やチキソ性となることより塗工適性が課題となる。これに対して、無電荷(非イオン性)、或いは水に対して非膨潤性の場合は、添加量を増加させても、増粘やチキソ性となり難く塗工適性が確保できる。本発明で使用される板状無機化合物(E)としては、例えば、板状無機化合物(E)としては、例えば、含水ケイ酸塩(フィロケイ酸塩鉱物等)、カオリン、カオリナイト-蛇紋族粘土鉱物(ハロイサイト、カオリナイト、エンデライト、ディッカイト、ナクライト等、アンチゴライト、クリソタイル等)、パイロフィライト-タルク族(パイロフィライト、タルク、ケロライ等)、スメクタイト族粘土鉱物(モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト等)、バーミキュライト族粘土鉱物(バーミキュライト等)、雲母又はマイカ族粘土鉱物(白雲母、金雲母等の雲母、マーガライト、テトラシリリックマイカ、テニオライト等)、緑泥石族(クッケアイト、スドーアイト、クリノクロア、シャモサイト、ニマイト等)、ハイドロタルサイト、板状硫酸バリウム、ベーマイト、ポリリン酸アルミニウム等が挙げられる。これらの鉱物は天然粘土鉱物であっても合成粘土鉱物であってもよい。板状無機化合物(E)は単独又は二種以上組み合わせて使用される。これら板状無機化合物(E)のアスペクト比、コーティング剤内での含有率、粒子径、粒径分布としては、バリア向上機能や、耐ブロッキング適性が付与できていれば特に制限はない。
板状無機化合物(E)の配合量は、本発明のバリアコーティング剤の固形分に対し5質量%以上80質量%以下であることが好ましい。この範囲において、コーティング剤の基材への密着性、塗工外観および塗膜のガスバリア性向上が期待される。配合量は中でも10%以上60%以下であることがなお好ましく、20%以上50%以下であることが最も好ましい。
本発明で使用される板状無機化合物(E)を、本発明のコーティング剤に分散させる方法としては、公知の分散方法が利用できる。例えば、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、ペイントコンディショナー、ボールミル、ロールミル、サンドミル、サンドグラインダー、ダイノーミル、ディスパーマット、ナノミル、SCミル、ナノマイザー等を挙げることができ、更により好ましくは、高い剪断力を発生させることのできる機器として、ヘンシェルミキサー、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、プラネタリーミキサー、二本ロール、三本ロール等が上げられる。これらのうちの1つを単独で用いてもよく、2種類以上装置を組み合わせて用いてもよい。
(酸無水物)
本発明においては、コーティング剤層の耐酸性を向上させる目的で、公知の酸無水物を添加剤として併用することもできる。酸無水物としては、例えば、フタル酸無水物、コハク酸無水物、ヘット酸無水物、ハイミック酸無水物、マレイン酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドラフタル酸無水物、テトラプロムフタル酸無水物、テトラクロルフタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノテトラカルボン酸無水物、2,3,6,7-ナフタリンテトラカルボン酸2無水物、5-(2,5-オキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、スチレン無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。これらの酸無水物の原料として非石油由来成分が含有されていると、非石油由来成分比率を高くできることから好ましい。こうした化合物の例としてコハク酸無水物が挙げられる。
(ガス捕捉成分)
また、必要に応じて、更にガス捕捉機能を有する材料を添加してもよい。酸素捕捉機能を有する材料としては、例えば、ヒンダードフェノール類、ビタミンC、ビタミンE、有機燐化合物、没食子酸、ピロガロール等の酸素と反応する低分子有機化合物や、コバルト、マンガン、ニッケル、鉄、銅等の遷移金属化合物等が挙げられる。水蒸気補足機能を有する材料としては、シリカゲル、ゼオライト、活性炭、炭酸カルシウム等の材料を挙げることができる。これら以外にも遮断したい対象ガスの捕捉成分を添加することができる。
(その他の成分)
その他、ガスバリア補助機能を損なわない範囲で、各種の添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、アルミニウムフレーク、ガラスフレークなどの無機充填剤、無機材料を用いる場合には分散剤、安定剤(酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤等)、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、着色剤、レベリング剤、スリップ向上剤等が例示できる。
(コーティング剤)
本発明のガスバリアコーティング剤は、前記ポリオール(A)と、前記イソシアネート化合物(B)と、前記化合物(C)を含有することを必須とする。一般に、ポリオール化合物とイソシアネート化合物とは非常に反応性が高いため、これらを原料とするコーティング剤において、通常は、前記ポリオール(A)と前記イソシアネート化合物(B)とをコーティングの直前に混合して使用する「2液硬化型」として使用する。本発明のガスバリアコーティング剤も、通常は2液硬化型コーティング剤として使用する。ここでいう2液とは、前記ポリオール(A)を主成分として含有するポリオール組成物(A)と、前記イソシアネート化合物(B)を主成分として含有するイソシアネート組成物(B)との2液を指す。
前記化合物(C)は、活性水素基を有することから、通常はポリオール組成物(A)に配合して使用する。前記板状無機化合物(E)は、特に反応性には寄与しないため、ポリオール組成物(A)とイソシアネート組成物(B)のどちらに配合しても構わない。
本発明のバリアコーティング剤において、前記イソシアネート組成物(B)が含有するイソシアネート化合物の反応成分と、前記ポリオール組成物(A)が含有する前記ポリオールの水酸基とが0.5/1~5/1(当量比)となるように配合することが好ましく、バリア機能及び耐ブロッキング性の観点から、より好ましくは0.8/1~2.5/1である。該範囲を超えてポリイソシアネート成分が過剰な場合、余剰なポリイソシアネート成分が残留することで耐ブロッキング性に劣る傾向にあり、一方ポリエステル(B)が多すぎると硬化塗膜が硬くなり良好な接着強度が得られないおそれがある。
(コーティング剤に用いる溶媒)
本発明のバリアコーティング剤は、適宜溶媒を使用してもよい。使用する溶媒は、速乾燥性や水蒸気バリア機能も補填する観点から、非水系であることが好ましく、有機溶媒が主成分であることがこのましい。具体的には、主成分であるポリエステルに対し溶解性が高く、且つ残留溶媒や即乾燥性であることがこのましい。この観点から沸点が100℃以下である有機溶剤が好ましい。好ましく用いられる有機溶媒としては、エステル系溶媒としては酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、ケトン系溶媒としては、アセトン、2-ブタノン、エーテル系溶媒としてはテトラヒドロフラン、脂肪族系溶媒としては、ヘキサン、シクロヘキサン、芳香族系溶媒としてはトルエン等を例示することができる。アルコール系溶媒や水を混合する場合は、イソシアネート化合物を硬化剤として併用することから最小限にとどめることがこのましい。
(積層体)
本発明の積層体は、基材に本発明のコーティング剤を塗布し、乾燥させて得られる。なお、以下では本発明のコーティング剤の乾燥塗膜を単にガスバリアコート層ともいう。
(塗布方法)
本発明のコーティング剤の塗布方法としては特に限定されず、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、ドクターブレード法、カーテンコート法、スリットコート法、スクリーン印刷法、インクジェット法、ディスペンス法、ダイコート(ダイコーティング)法、ダイレクトグラビア法、リバースグラビア法、フレキソ法、ナイフコート法、ドットコーコート法等を用いることができる。
(膜厚)
ガスバリアコート層の膜厚は、基材の種類や目的とするガスバリア性の程度によって適宜調整され得るが、一例として0.2μm以上2.5μm以下である。膜厚が薄すぎるとガスバリア性の向上がそれほど期待できず、厚すぎると密着性が低下する恐れがある。
(基材)
本発明のコーティング剤を適用可能な基材としては特に限定されず、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリエチレンフィルム(OPE:二軸延伸ポリエチレンフィルム、LLDPE:低密度ポリエチレンフィルム、HDPE:高密度ポリエチレンフィルム)やポリプロピレンフィルム(CPP:無延伸ポリプロピレンフィルム、OPP:二軸延伸ポリプロピレンフィルム)等のポリオレフィンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン-ビニルアルコール共重合体フィルム、セロファン等が挙げられる。
また、これらフィルムにアルミニウム等の金属、シリカやアルミナ等の金属酸化物等の無機蒸着層を積層したフィルムを用いることもできる。具体的なものとしては、アルミニウム蒸着層を有するOPPフィルム、PETフィルム、LLDPEフィルム、CPPフィルム、シリカ蒸着層を有するOPPフィルム、PETフィルム、ナイロンフィルム、アルミナ蒸着層を有するOPPフィルム、PETフィルム、ナイロンフィルム等が挙げられる。本発明のコーティング剤は、ポリオレフィンフィルムを含むこれら基材への密着性に優れ、基材のガスバリア性や、各種香り成分の保香性を向上させることができる。
モノマテリアルパッケージを意識する場合は、基材として、オレフィン系樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂からなるフィルムを使用することができる。オレフィン系樹脂としては具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン等のポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、α-オレフィン重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メチルメタクリレート共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、環状オレフィン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリメチルペンテン等のオレフィン樹脂;オレフィン樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマル酸その他の不飽和カルボン酸で変性した変性オレフィン系樹脂が挙げられる。
また、フィルム基材として、バイオマス由来成分を含有する材料で形成させたフィルムを使用するのも好ましい。バイオマスフィルムは各社から販売されているほか、例えば、一般財団法人日本有機資源協会に記載のバイオマス認定商品一覧に挙げられるようなシートを使用することができる。
具体的によく知られているフィルムは、バイオマス由来のエチレングリコールを原料としたものである。バイオマス由来のエチレングリコールは、バイオマスを原料として製造されたエタノール(バイオマスエタノール)を原料としたものである。例えば、バイオマスエタノールを、従来公知の方法により、エチレンオキサイドを経由してエチレングリコールを生成する方法等により、バイオマス由来のエチレングリコールを得ることができる。また、市販のバイオマスエチレングリコールを使用してもよく、例えば、インディアグライコール社から市販されているバイオマスエチレングリコールを好適に使用することができる。
あるいは、ISO16620またはASTMD6866で規定されたバイオマスプラスチック度で区別されたバイオマス原料を使用したものも流通している。大気中では1012個に1個の割合で放射性炭素14Cが存在し、この割合は大気中の二酸化炭素でも変わらないので、この二酸化炭素を光合成で固定化した植物の中でも、この割合は変わらない。このため、植物由来樹脂の炭素には放射性炭素14Cが含まれる。これに対し、化石燃料由来樹脂の炭素には放射性炭素14Cがほとんど含まれない。そこで、加速器質量分析器で樹脂中の放射性炭素14Cの濃度を測定することにより、樹脂中の植物由来樹脂の含有割合、すなわちバイオマスプラスチック度を求めることができる。ISO16620またはASTM D6866で規定されたバイオマスプラスチック度が80%以上、好ましくは90%以上であるバイオマスプラスチックである植物由来の低密度ポリエチレンとしては、例えば、Braskem社製の商品名「SBC818」「SPB608」「SBF0323HC」「STN7006」「SEB853」「SPB681」等が挙げられ、これらを原料として使用したフィルムを好適に使用することができる。
例えば、従来の石油系原料を使用したポリオレフィン系フィルムの代替として、バイオマス由来のエチレングリコールを原料とするポリエチレン系樹脂を含有するバイオマスポリエチレン系フィルム、バイオマスポリエチレン-ポリプロピレン系フィルム等のバイオマスポリオレフィン系フィルムも知られている。
ポリエチレン系樹脂は、原料の一部に前記バイオマス由来のエチレングリコールを使用する以外は特に限定されず、エチレンの単独重合体、エチレンを主成分とするエチレンとα-オレフィンとの共重合体(エチレン単位を90質量%以上含有するエチレン-α-オレフィン共重合体)などが挙げられ、これらを1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
なお、エチレンとα-オレフィンとの共重合体を構成するα-オレフィンは特に限定されず、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン及び1-オクテンなどの炭素原子数4乃至8のα-オレフィンが挙げられる。低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂及び直鎖状低密度ポリエチレン樹脂などの公知のポリエチレン樹脂を用いることができる。
その中でも、フィルム同士が擦れても、穴開きや破けなどの損傷を一段と生じにくくする観点から、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)(エチレンと1-ヘキセンとの共重合体、又はエチレンと1-オクテンとの共重合体)が好ましく、密度が0.910乃至0.925g/cm3である直鎖状低密度ポリエチレン樹脂がより好ましい。
バイオマスフィルムは、複数のバイオマスフィルムを積層させた積層体であってもよいし、従来の石油系フィルムとバイオマスフィルムとの積層体であってもよい。
前記基材は、何等かの表面処理、例えばコロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、火炎処理等の物理的な処理や、化学薬品を用いた酸化処理等の化学的な処理、その他処理が施されたものであってもよい。
前記基材は、上述した樹脂を押出法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法等の、従来公知の製膜化方法により製造することができる。未延伸フィルムであってもよいし、フィルム(1)の強度、寸法安定性、耐熱性の観点から、テンター方式、チューブラー方式等を利用して1軸ないし2軸方向に延伸したものであってもよい。
前記基材は、必要に応じて添加剤を含んでいてもよい。具体的には、加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離型性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度等を改良、改質する目的で、エラストマー、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料等のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができる。添加剤の添加量は、他の性能やリサイクル性に影響を与えない範囲で調整する。
前記基材の膜厚は特に限定されず、成型性や透明性の観点から、0.1~300μmの範囲で適宜選択すればよい。好ましくは0.3~100μmの範囲である。0.1μmを下回ると強度が不足し、300μmを超えると剛性が高くなり過ぎ、加工が困難になる恐れがある。
リサイクルの観点から、できるだけ層構成は簡素であることが好ましいが、包装材の流通性の観点から、包装材の内容物や製品の説明や名称を表示するための印刷は必要であることが多い。前記基材にも印刷がされていることが多い。このための印刷インキとして、グラビア印刷インキやフレキソ印刷インキ等のリキッドインキが使用されることが多い。
(印刷層)
印刷層は、文字、図形、記号、その他所望の絵柄等が、リキッドインキ等を用いて印刷された層である。積層体が設けられる位置は任意である。本明細書においてリキッドインキはグラビア印刷またはフレキソ印刷に用いられる溶剤型のインキの総称である。樹脂、着色剤、溶剤を必須の成分として含むものであってもよいし、樹脂と溶剤を含み、着色剤を実質的に含まない、いわゆるクリアインキであってもよい。
リキッドインキに用いられる樹脂は特に限定されるものではなく、例えばアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、スチレン‐マレイン酸樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル-アクリル共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、セルロース系樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、ロジン系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ケトン樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、ブチラール、石油樹脂等が挙げられ、1種または2種以上を併用できる。好ましくはポリウレタン樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、セルロース系樹脂から選ばれる少なくとも1種、あるいは2種以上である。
リキッドインキに用いられる着色剤としては、酸化チタン、弁柄、アンチモンレッド、カドミウムレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛などの無機顔料、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料、縮合多環顔料当の有機顔料、炭酸カルシウム、カオリンクレー、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、タルクなどの体質顔料が挙げられる。
リキッドインキに用いられる有機溶剤は、芳香族炭化水素系有機溶剤を含まないことが好ましい。より具体的には、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール系有機溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系有機溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどのエステル系有機溶剤、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタンなどの脂肪族炭化水素系有機溶剤、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンなどの脂環族炭化水素系有機溶剤などが挙げられ、1種または2種以上を組合わせて用いることができる。
(接着剤)
ガスバリアコート層を有する積層体は、さらに他の基材と接着剤を用いて貼り合わせることもできる。あるいはガスバリアコート層を有する積層体上に、他の基材を押出法により積層することもできる。他の基材としては、上述したものと同様のものを用いることができる。接着剤としては、例えば、通常フィルムの接着に用いられる2液硬化型ウレタン系の溶剤型、または無溶剤型接着剤を用いることができる。接着剤は、硬化塗膜の芳香環濃度が0.5mmоl/g以上7.0mmоl/g以下となるものを用いることが好ましく、ガスバリア性に優れた積層体となることから3.5mmоl/g以上7.0mmоl/g以下となるものを用いることがより好ましい。
(積層構造)
本発明の積層体の具体的態様の一例をここに挙げる。勿論本発明の積層体はこの態様の限りではない。
例えば、包装材となる際に最外層となる層を第一の基材とし、シーラント層となる層を第二の基材として称した場合、具体的には例えば、以下のような積層構造が挙げられる。
第一の基材/ガスバリアコート層
第一の基材/ガスバリアコート層/接着層/第二の基材
第一の基材/接着層/ガスバリアコート層/第二の基材
第一の基材/接着層/ガスバリアコート層/蒸着層/第二の基材
第一の基材/ガスバリアコート層/印刷層/接着層/第二の基材
第一の基材/印刷層/ガスバリアコート層/接着層/第二の基材
第一の基材/印刷層/ガスバリアコート層/接着層/第二の基材
印刷層/第一の基材/ガスバリアコート層/接着層/第二の基材
また、第一の基材上に、耐熱性、離型性、帯電防止性等の機能を付与するコーティング層
があってもよい。
(包装材)
本発明の積層体は、食品や医薬品などの保護を目的とする多層包装材料として使用することができる。多層包装材料として使用する場合には、内容物や使用環境、使用形態に応じてその層構成は変化し得る。また、本発明の包装体に易開封処理や再封性手段を適宜設けてあってもよい。
本発明の包装材として例えば、シーラント層を有する積層体を例にすると、積層体のシーラント層の面を対向して重ね合わせた後、その周辺端部をヒートシールして袋状にして得られる。製袋方法としては、本発明の積層体を折り曲げるか、あるいは重ねあわせてその内層の面(シーラント層の面)を対向させ、その周辺端部を、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型、その他のヒートシール型等の形態によりヒートシールする方法が挙げられる。本発明の包装材は内容物や使用環境、使用形態に応じて種々の形態をとり得る。自立性包装材(スタンディングパウチ)等も可能である。ヒートシールの方法としては、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
本発明の積層体の第一の基材、及び第二の基材が、包装材を形成する際にヒートシール部位となるシーラント層として機能しない場合には、更にシーラント層を追加すればよい。シーラント層としては、追加の基材を本発明の接着剤で貼り合わせてもよいし、本発明の接着剤からなる接着層でもよい。
本発明の包装材に、その開口部から内容物を充填した後、開口部をヒートシールして本発明の包装材を使用した製品が製造される。充填される内容物として、例えば食品としては、米菓、豆菓子、ナッツ類、ビスケット・クッキー、ウェハース菓子、マシュマロ、パイ、半生ケーキ、キャンディ、スナック菓子などの菓子類、パン、スナックめん、即席めん、乾めん、パスタ、無菌包装米飯、ぞうすい、おかゆ、包装もち、シリアルフーズなどのステープル類、漬物、煮豆、納豆、味噌、凍豆腐、豆腐、なめ茸、こんにゃく、山菜加工品、ジャム類、ピーナッツクリーム、サラダ類、冷凍野菜、ポテト加工品などの農産加工品、ハム類、ベーコン、ソーセージ類、チキン加工品、コンビーフ類などの畜産加工品、魚肉ハム・ソーセージ、水産練製品、かまぼこ、のり、佃煮、かつおぶし、塩辛、スモークサーモン、辛子明太子などの水産加工品、桃、みかん、パイナップル、りんご、洋ナシ、さくらんぼなどの果肉類、コーン、アスパラガス、マッシュルーム、玉ねぎ、人参、大根、じゃがいもなどの野菜類、ハンバーグ、ミートボール、水産フライ、ギョーザ、コロッケなどを代表とする冷凍惣菜、チルド惣菜などの調理済食品、バター、マーガリン、チーズ、クリーム、インスタントクリーミーパウダー、育児用調整粉乳などの乳製品、液体調味料、レトルトカレー、ペットフードなどの食品類が挙げられる。
また非食品としては、タバコ、使い捨てカイロ、輸液パック等の医薬品、洗濯用液体洗剤、台所用液体洗剤、浴用液体洗剤、浴用液体石鹸、液体シャンプー、液体コンディショナー、化粧水や乳液等の化粧品、真空断熱材、電池等、様々な包装材料としても使用され得る。
以下、本発明を具体的な実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の例において、「部」及び「%」は、特に断りがない限り、「質量部」及び「質量%」をそれぞれ表す。
<ポリエステルポリオールの合成>
(合成例1)ポリエステルポリオール(A)の合成
攪拌機、窒素ガス導入管、スナイダー管、コンデンサーを備えたポリエステル反応容器に、エチレングリコール1.26部、グリセロール(グリセリン)26.76部、無水フタル酸40.99部精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を190℃に保持した。酸価が40mgKOH/gになったところで無水フタル酸7.33部を追添し、酸価が70mgKOH/gになったところでエステル化反応を終了した。水酸基価は165mgKOH/g、数平均分子量900のポリエステルポリオール(A)を得た。
<イソシアネート化合物の合成>
(合成例2)ポリイソシアネート(B―1)の合成
攪拌機、窒素ガス導入管、スナイダー管、コンデンサーを備えたポリエステル反応容器に、エチレングリコール5.53部、無水フタル酸79.48部、チタンテトライソプロポキシド0.007部を仕込み、精留管上部温度が100℃を超えないように徐々に加熱して内温を220℃に保持した。酸価が1mgKOH/gになったところでエステル化反応を終了し、りん酸を0.01部加え、数平均分子量400のポリエステルポリオール中間体を得た。水酸基価は280mgKOH/gであった。攪拌機、窒素ガス導入管、スナイダー管、冷却コンデンサー、滴下漏斗を備えた反応容器にキシリレンジイソシアネート136.00部を入れて70℃に加熱しながら撹拌し、ポリエステルポリオール中間体116.00部を、滴下漏斗を用いて2時間かけて滴下し、更に4時間撹拌し、ポリイソシアネート化合物(B-1)を得た。JIS-K1603に従い測定したNCO%は14.1%であった。
<コーティング剤の調製>
表1に示す配合で実施例、比較例のコーティング剤を調整した。なお表中においてXDI-TMPアダクト体は、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、マイカは、HENG HAO製 HM6025(平均粒径 8μm、アスペクト比 100)である。
<コーティング剤塗工方法>
コーティング剤調整液を、バーコーターを用いて、塗布量2.5g/m2(固形分)
となるように膜厚40μmの2軸延伸ポリエチレンフィルム(密度:0.91g/m、融点:125℃)に塗工し、温度70℃に設定したドライヤーで希釈溶剤を揮発させ乾燥し、次いで、この複合フィルムを40℃/3日間かけて硬化させ、本発明のバリア性フィルムを得た。
<印刷層の塗工方法>
上記で作成したバリアフィルムのコーティング剤塗工面に対し、DIC(株)製グラビアインキ フィナート G3 R794白を、グラビア塗工機にてグラビア版ヘリオ175線/inchの版を用いて塗工し、温度70℃に設定したドライヤーで希釈溶剤を揮発させ乾燥し、印刷層を有するバリアフィルムを得た。その印刷層の塗布量は、2.2g/mであった。
<ラミネート方法>
上記で作成したバリアフィルムのコーティング剤塗工面もしくは、上記で作成した印刷層を有するバリアフィルムの印刷層に対し、DIC(株)製接着剤である 主剤ディックドライ LE-2500ELと硬化剤KVM-90を60部と10部の比で混合した接着剤調整液を、グラビア塗工機にてレーザーグラビア製版35μmの版を用いて塗工し、温度70℃に設定したドライヤーで希釈溶剤を揮発させ乾燥し、次いで、この複合フィルムとシーラントフィルムである未延伸PEフィルム(三井化学東セロ株式会社製のT.U.X HC (厚み:60μm))を温度40℃、圧力0.4MPa、ラミネート速度40m/minにてドライラミネートして、シーラント層を有するバリアフィルムを得た。接着層の塗布量は1.9g/mであった。
<評価方法>
(酸素バリア性)
実施例、比較例の積層体を、10cm×10cmのサイズに調整し、OX-TRAN2/21(モコン社製:酸素透過率測定装置)を用い、JIS-K7126(等圧法)に準じ、23℃0%RH、23℃90%RHの雰囲気下で酸素透過率を測定した(単位はcc/m/day/atm)。なおRHとは、湿度を表す。
酸素透過率判定基準は次の通りとした。
◎:0%、90%共に50以下、
〇:0%、90%いずれか50以下であり一方も100以下、
△:0%、90%共に50-100、
×:0%、90%の共に、若しくはいずれかが100以上
(酸素透過率の湿度依存性)
上記方法で得た酸素透過率の値を用い、(23℃0%RHの酸素透過率値)/(23℃90%RHの酸と透過率値)を算出した。
湿度依存性判定基準は次の通りとした。
◎:1-1.2未満、
〇:1.2以上-1.4未満、
△1.4以上-1.6未満、
×:1.6以上
総合判定基準は、酸素透過率判定を基準に、温度依存性の判定を合算し判定した。
温度依存性 ◎、〇は酸素透過率の判定と同一を総合判定とする。
温度依存性 △は、酸素透過率の判定を1ランク下げた判定を総合判定とする。
温度依存性 ×は、酸素透過率の判定を2ランク下げた判定を総合判定とする。
結果を表1に示す。
Figure 0007468813000001

表中略語は次の通りである。
XDI-TMPアダクト キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体
THEIC イソシアヌル酸トリス(2-ヒドロキシエチル)
TMP トリメチロールプロパン
MEK メチルエチルケトン
この結果、実施例のガスバリアコーティング剤は、酸素透過率に優れることが明らかである。

Claims (12)

  1. オルト配向性多価カルボン酸又はメタ配向性多価カルボン酸を必須として含有する酸成分とポリオール成分との反応物であるポリオール(A)と、
    イソシアネート化合物(B)と、
    分子量が100以上250以下の範囲内であるか、又は溶解度パラメータが29.5以下である水酸基を有する化合物(C)
    を含有することを特徴とするガスバリアコーティング剤。
  2. 前記化合物(C)の配合量が、前記コーティング剤の固形分に対し0.5質量%以上20質量%以下である請求項1に記載のガスバリアコーティング剤。
  3. 前記ポリオール(A)のポリオール成分中にグリセロール10質量~100質量%含む請求項1に記載のガスバリアコーティング剤。
  4. イソシアネート化合物(B)が、芳香族環又は脂肪族環を有する請求項1に記載のガスバリアコーティング剤。
  5. 板状無機化合物(E)をさらに含む請求項1に記載のガスバリアコーティング剤。
  6. 基材と、前記基材上に配置されたバリアコート層とを含み、前記ガスバリアコート層が請求項1~5のいずれかに記載のガスバリアコーティング剤の硬化塗膜である積層体。
  7. 基材と、ヒートシールフィルムと、前記基材の前記ヒートシールフィルム側の面に配置されたガスバリアコート層と、前記ガスバリアコート層と前記ヒートシールフィルムとの間に配置された接着層とを含み、前記ガスバリアコート層が請求項1~5のいずれかに記載のガスバリアコーティング剤の硬化塗膜である積層体。
  8. 前記ガスバリアコート層と前記接着層との間に印刷層を含む、請求項7に記載の積層体。
  9. 前記基材がポリオレフィンフィルムである請求項6に記載の積層体。
  10. 前記基材がポリオレフィンフィルムである請求項7に記載の積層体。
  11. 請求項6に記載の積層体を含む包装材。
  12. 請求項7に記載の積層体を含む包装材。
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