JP7466854B2 - 磁気歯車装置 - Google Patents

磁気歯車装置 Download PDF

Info

Publication number
JP7466854B2
JP7466854B2 JP2020079372A JP2020079372A JP7466854B2 JP 7466854 B2 JP7466854 B2 JP 7466854B2 JP 2020079372 A JP2020079372 A JP 2020079372A JP 2020079372 A JP2020079372 A JP 2020079372A JP 7466854 B2 JP7466854 B2 JP 7466854B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic
magnetic gear
magnet
gear device
permanent magnets
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020079372A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021173369A (ja
Inventor
健二 中村
雄真 鈴木
悠平 大石
雄一 立谷
欽吾 操谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tohoku University NUC
Prospine Co Ltd
Original Assignee
Tohoku University NUC
Prospine Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tohoku University NUC, Prospine Co Ltd filed Critical Tohoku University NUC
Priority to JP2020079372A priority Critical patent/JP7466854B2/ja
Publication of JP2021173369A publication Critical patent/JP2021173369A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7466854B2 publication Critical patent/JP7466854B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、磁石の磁気を利用してトルクを伝達する磁気歯車装置に関する。
一般的な歯車装置は複数の歯車を用い、その歯数比によって変速を行っており、歯同士の接触による振動・騒音が発生するとともに、摩耗による機械的寿命があり、しかも注油などのメンテナンスが必要となる。これに対して、磁気を利用して非接触でトルクを伝達する磁気歯車装置の開発および実用化が進められている。この磁気歯車装置では非接触でトルク伝達を行うことから上記のような不都合がない。
磁気歯車装置の一般的構成としては、例えば特許文献1に示されるように、周方向に複数の磁石を配列した内輪磁気歯車および外輪磁気歯車と、周方向に複数の軟磁性体からなるポールピースを配列したステータとを備え、内径側から外径側に向かって内輪磁気歯車、ステータおよび外輪磁気歯車の順で同心かつ相対回転可能に構成される。内輪磁気歯車、外輪磁気歯車のうちいずれか1つを入力部とし、いずれか1つを出力部とし、変速して回転伝達を行う。
磁気歯車装置で変速比を変えようとする場合、例えば特許文献2では、磁極数の異なる外輪磁気歯車と内輪磁気歯車とを軸方向に複数組並列させておき、共通のステータを軸方向に移動させることにより複数組のうちいずれか1組を有効にすることが提案されている。この磁気歯車では、有効となる外輪磁気歯車と内輪磁気歯車との極数に基づく変速比が得られる。
非特許文献1では、磁気歯車装置のセンター体(ステータ)を固定する場合と外輪磁気歯車を固定する場合とでは異なる変速比が得られること、およびそれらの変速比の計算式が開示されている。
また、変速する必要のない1対1のトルク伝達を行う場合では、例えば磁気カップリング(特許文献3参照)を用いるとよい。
特開2017-225209号公報 特許5381621号公報 国際公開 WO2009/142258 国際公開 WO2012/114368
安藤「磁気歯車の開発動向」、日本AEM学会誌、Vol24、No.2、2016年、p.15―20
このような磁気歯車装置では磁気的に非接触でトルクを伝達する構造であることからその伝達トルクと伝達効率に限度があり、特に回転数が高い場合の伝達可能トルクと伝達効率の一層の向上が望まれている。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、大きな伝達可能トルクを維持しつつ高い伝達効率で、安定に動作する磁気歯車装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる磁気歯車装置は、複数の永久磁石を有する2つの回転子(磁気歯車)と、その両回転子間に軟磁性材料で構成される複数の磁性片体を周方向に周期的に配した非磁性体からなる中間体を有し、その磁性片によってそれぞれの磁石極数比の磁束を変調して回転を伝達する磁気歯車装置において、前記回転子を軟磁性材料の積層体で構成し、多くの極数を有する外輪回転子の永久磁石は、回転子の内周面にそれぞれ隣り合う磁石の極性が異極となる態様で等間隔に配置し、内輪回転子の永久磁石は、該回転子の内部に、それぞれ隣り合う永久磁石が異極となる態様で埋め込まれていることを特徴とする。
前記内輪磁気歯車の永久磁石を保持するインナーヨークは、前記永久磁石が埋め込まれる磁石孔を有し、該磁石孔は前記磁性片体に対向する外周面に開口部を有してもよい。
前記内輪磁気歯車の永久磁石は複数個であって、該永久磁石は同極性を向かい合って配置させてもよい。
前記内輪磁気歯車のインナーヨークは一体構成した軟磁性材料であってもよい。
前記外輪磁気歯車のアウターヨークは、該アウターヨークに形成した仕切り用のツバによって、周方向に配列する永久磁石を位置決めし、該永久磁石は隣り合う磁石の極性が異極となる態様で、該外輪回転子の内周面に等間隔で配置してもよい。
又、前記アウターヨークのツバの高さは装着される永久磁石の径方向の厚さの半分以下としてもよい。
前記軟磁性材料のアウターヨークは鋳造にて一体成形で分割製作し、該成形物を厚さ方向に複数枚接合して構成したことを特徴とする磁気歯車装置。
前記軟磁性材料のアウターヨークは複数個の圧粉磁心にて分割構成してもよい。
前記磁性体片の磁性片が装着される磁性片ホルダーの形状は、磁極片が埋め込まれる孔を有し、該孔は外側回転子側と対向する外周面側に、磁石片が装着される面に開口部を有してもよい。
本発明にかかる磁気歯車装置では、複数極の永久磁石を有する2つの回転子(磁気歯車)と、その回転子間に軟磁性材料で構成される複数の磁性片からなる磁性片体を周方向に周期的に配した非磁性体からなる中間体を有し、その磁性片によってそれぞれの磁石極数比の磁束を変調して回転を伝達する磁気歯車装置において、前記回転子のヨークを軟磁性材料の積層体で構成し、多くの極数を有する外輪回転子の永久磁石は、回転子の内周面にそれぞれ隣り合う磁極が周方向に異極となる態様で等間隔に配置し、内輪磁気歯車の永久磁石は、該内輪磁気歯車のインナーヨークの内部に、それぞれ隣り合う永久磁石が周方向に異極となる態様で埋め込まれていることにより、磁極部の磁力がセンターリングに指向されやすくなり、外輪回転子、センター体および内輪回転子の間における磁気的作用が強まり、高い伝達トルクを確保でき、且つ、高回転速度となる内輪回転子は渦電流等による伝達ロスを少なくするためIPM構造の磁石配置としている。具体的には製作した磁気歯車装置では内輪磁気歯車の回転速度が、1000rpm以上の高速回転域では、各回転子の磁石配置構造を、内外回転子の両方ともIPM構造とする場合より、内輪磁気歯車をIPM構造で外側回転子を後述するSPM構造とする構成が伝達効率において勝る磁気歯車装置を提供できる。
本発明の第1の実施例にかかる磁気歯車装置を示す分解斜視図である。 図1に示す磁気歯車装置の断面図である。 図1に示す磁気歯車装置の正面図である。 図3-1に示す磁気歯車装置の一部拡大正面図である。 本発明による第2の実施例にかかる磁気歯車装置の正面図である。 本発明による第3の実施例にかかる磁気歯車装置の正面図である。 従来の外輪磁気歯車をIPM構造とした磁気歯車装置の一例の正面図である。 本発明による磁気歯車装置の伝達効率の特性図である。
以下に、本発明にかかる磁気歯車装置の第一の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。以下、方向を識別するために、図1における軸方向を基準として右上方向をX1方向、左下方向をX2方向とし、各図に方向を示す矢印を表記する。また、内側および内径方向とは回転軸中心を向く方向で、外側または外径方向とはその逆方向とする。さらに、ボルトについてはサイズおよびタイプに拘わらず全てボルトBと呼ぶ。
図1、図2、図3-1及び図3-2に基づき、第1の実施形態にかかる磁気歯車装置を説明する。磁気歯車装置10aは、外輪磁気歯車体12と、内輪磁気歯車14と、センター体16と、アウター軸18と、インナー軸20とを有する。
外輪磁気歯車体12はケーシング24と、外輪磁気歯車26と、アウター側面部28とを有する。ケーシング24は筒体であって、磁気歯車装置10aの本体部の外枠を形成する。
外輪磁気歯車26はアウターヨーク26aと、後述するNL=31極対に対応したアウター磁石26bとを有する。外輪磁気歯車26では1極対あたり2つで、全部で62(=31×2)個のアウター磁石26bが用いられている(図3参照)。即ち、アウター磁石26bの個数は2の倍数になる。外輪磁気歯車26は低速ロータとも呼ばれる。外輪磁気歯車26のさらに詳細な構成については後述する。
アウター側面部28は磁気歯車装置10aのX1方向側を覆う蓋体であり、複数のボルトBによりケーシング24のX1方向端面に固定され、外輪磁気歯車体12に対して回転不能で一体的に回転する。アウター側面部28はインナー軸20が挿通可能な中心孔28aと、等角度に配置された6つのボルト孔である軸固定部28bと、6つのボルト孔の図示しない外部ベースとの固定ネジ孔28cとを有する。軸固定部28bはボルトBによりアウター軸18を固定可能である。前記固定ネジ孔28cは軸固定部28bよりも外径側に配置されており、ボルトBにより図示しない外部ベースに固定可能で、外輪磁気歯車体12と供回りできる。(図2参照)。
内輪磁気歯車14はインナーヨーク14aと、後述するNH=3極対に対応したインナー磁石14bとを有する。内輪磁気歯車14では1極対あたり2つで、全部で6(=3×2)個のインナー磁石14bが用いられている(図3-1参照)。即ち、インナー磁石14bの個数は2の倍数になる。内輪磁気歯車14の中心にはインナー軸20が挿通して固定されるインナー軸固定孔15が設けられている。内輪磁気歯車14は高速ロータとも呼ばれる。内輪磁気歯車14のさらに詳細な構成については後述する。
センター体16はセンターリング30と、センター側面部32とを有する。センターリング30はポールピースホルダー30aと、NS=34個のポールピース30bとを有する。ポールピースホルダー30aは非磁性体の筒体である。ポールピースホルダー30aの形状は、ポールピース30bが埋め込まれる孔を有し、外側回転子側と対向する外周面側に磁石片が埋め込まれる面に開口部を有する。ポールピース30bは軟磁性体であって、ポールピースホルダー30aに対して周方向に等角度に配列されている。 又、インナーヨーク14a、インナー磁石14b、アウターヨーク26a、アウター磁石26bおよびポールピース30bは、それぞれ軸方向位置と軸方向長さが略等しくなるように設定されている(図2参照)。
なお、外輪磁気歯車26におけるアウター磁石26bの極対数NL、内輪磁気歯車14におけるインナー磁石14bの極対数NHおよび、センターリング30におけるポールピース30bの個数NSは、
NS=NL±NH
という関係が成立するように選定される。
磁気歯車10aではNS=34、NL=31、NH=3であり、
34=31+3
という関係が成立している。
センター側面部32は磁気歯車装置10aのX2方向側を覆う蓋体であって、センターリング30と一体成形され、センター側面部32の外周部がセンターリング30のX2方向端面と接続されている。又、センター側面部32はインナー軸20が挿通可能な中心孔32aと、等角度に配置された6つのボルト孔である外部取付ネジ孔32cとを有し、該外部取付ネジ孔32cはボルトBにより図示しない取付ベースに固定される。
アウター軸18およびインナー軸20は、駆動機構および従動機構が接続される入出力部である。アウター軸18はフランジ18aと、該フランジ18aから一方に突出した軸部18bと、フランジ18aに設けられた等間隔で6つの孔18cとを有し、ボルトBが孔18cを通って軸固定部28bに螺合されると、アウター軸18はアウター側面部28に固定され、軸部18bはX1方向に突出する。
インナー軸20は長尺な円柱軸形状であって、インナー軸固定孔15に対して機械的(例えば、キー、スプライン、Dカット構造)に接続され、内輪磁気歯車14に対して回転不能で一体的に回転する。インナー軸20のX1方向端部近傍はアウター側面部28の中心孔28aに対してベアリング34aで軸支されている。又、インナー軸20はセンター側面部32の中心孔32aに対してベアリング34bで軸支されている。ベアリング34a,34bの内輪と内輪磁気歯車14との間にはそれぞれスペーサ36a,36bが介挿されている。ベアリング34a,34bは止め輪38a,38bにより抜け止め処理されている。内輪磁気歯車14はベアリング34a、34bにより外輪磁気歯車体12およびセンター体16に対して相対回転可能となっている。インナー軸20は高速軸とも呼ばれる。
アウター側面部28の一部とセンターリング30のX1方向端内周面との間にはベアリング40aが設けられている。センター側面部32のX2方向端外周面とケーシング24のX2方向端内周面との間にはベアリング40bが設けられている。ベアリング40a,40bにより外輪磁気歯車体12とセンター体16とは相対回転可能となっている。
図2に示すように、アウター軸18は外輪磁気歯車体12のアウター側面部28に固定されて軸部18bはX1方向に突出する。インナー軸20は内輪磁気歯車14のインナー軸固定孔15に回転不能な態様で接続され、センター側面部32の中心孔32aを通ってX2方向に突出するように組み立てられ、アウター軸18とインナー軸20とは同軸構造となる。以上説明したように磁気歯車装置10aは、アウター軸18が一体固定された外輪磁気歯車体12が低速側入出力部となり、インナー軸20が一体固定された内輪磁気歯車14が高速側入出力部となる。アウター軸18とインナー軸20との間は、外輪磁気歯車体12、内輪磁気歯車14およびセンターリング30の磁気的作用によって変速されて回転のトルクが伝達される。
このとき、アウター軸18を入力側、インナー軸20を出力側とした場合の変速比Grは以下の式で求められる。
Gr=-NL/NH=-31/3=-10.33
つまり、変速比Grの絶対値は10.33であり、マイナス符号であるから回転方向は逆向きとなる。
外輪磁気歯車26および内輪磁気歯車14の構造について図2および図3-1、図3-2を参照しながらさらに詳細に説明する。
外輪磁気歯車26のアウターヨーク26aは軟磁性体であり、ケーシング24の内周面に固定された筒体である。アウターヨーク26aはその内周面に装着されるアウター磁石26bの位置決め用のツバ26fを有している。 アウター磁石26bは、ツバ26fで仕切られ隣り合う磁石の極性が周方向に異極の態様で、アウターヨーク26aの内周面の底部に隙間なく等間隔で接着剤等により装着される。
なお、理解が容易となるようにアウター磁石26bおよび、前記インナー磁石14bにおいて着磁方向を明示するためN極をN、S極をSとして表示している。
ここで、前記ツバ26fとアウター磁石26bの回転軸の径方向の高さは、ツバ26fの高さをアウター磁石26bの高さ(厚さ)に対して1/2以下としている。ツバの高さを磁石の高さに合わせると強度と安定性の面では好ましいが、隣り合う磁石のN極の磁束とS極の磁束との短絡的導通が生じ、径方向に放射できる磁束が減少してトルクが低下する。対策としてツバは磁石の高さに対して少なくとも半分以下であれば、この効果は十分で強度と安定性も維持できることが確かめられた。
この構成により、アウター磁石26bは間にあるツバ26fを通して隣り合う異極との間での磁束もれが抑制されることから強い磁力をセンターリング30に作用させることができ、高い伝達トルクを得られる。
また、アウター磁石26bをツバ26fの間に挿入する際には軸方向から挿入してもよいし、または径方向に挿入してもよいので組立の自由度が増す。
なお、本実施の形態で外輪磁気歯車体12のアウターヨーク26aは複数個に分割成形した鋳造品で構成し、厚さ方向に複数接合することで厚み方向に貫こうとする渦電流を抑制し、伝達効率を改善することができる。また、アウターヨークは複数の円弧状の圧粉磁心体のパールを合体させる分割構成の場合でも、比較的高い透磁率でヨークの機能を果たしながら導電性が低いので同様の渦電流の抑制効果が得られる。圧粉磁心の成形には単位面積当たり数トンの大きな成形圧力が必要であるが、分割して小部品とすることで生産面のコストで有利となる。
内輪磁気歯車14のインナーヨーク14aは一体構成した軟磁性体の円盤形状である。インナーヨーク14aは、インナー磁石孔14cと、磁極部14dを有する。
インナー磁石孔14cはインナー磁石14bが埋め込まれて収容される孔であり、インナー磁石14bおよびインナー磁石孔14cは矩形とした。
磁極部14dは、内径側のセンターリング30に対して磁束を指向させる疑似的な磁極として作用する部分であり、NH=3極対に対応して6か所設けられている。このうち1つおきの3か所がN極であり、他の3か所がS極となる。
渦電流対策を施された回転子のヨークに磁石を埋め込む方式は、多様な埋め込み方式が可能であり磁気特性を調整できること、鉄損や渦電流損失が少ない、回転機械としての構造的安定性からIPM方式(Inner Permanent Magnet、表面磁石型)としてモータ類では採用されているが、インナー磁石14bがインナーヨーク14aに対してこのように埋め込まれている内輪磁気歯車14もIPM型の構成の一種である。
一方、外輪磁気歯車のように、磁石が回転子の表面に露出した構成もSPM型(Surface Permanent Magnet、表面磁石型)としてモータ類に採用されている。この構成は有効磁束量が大きく、トルクリップルが小さいなどの利点があるが、導体の場合が多い磁石表面の渦電流損失が大きくなることや、磁石が表面に貼り付けられた構造は回転機械として構造的な弱点になりやすい。ところが、内輪磁気歯車に比べて、外輪磁気歯車は回転数が低く渦電流損が少ないこと、磁石の位置が回転するヨークの内側にあり遠心力の問題がないなどSPM構造の欠点が目立たず、利点が生かせる。そこで、外輪磁気歯車をSPM型構造とし、内輪磁気歯車のみをIPM型構造にすることで、内輪磁気歯車の表面に磁石を配置したSPM型と比較して、トータルの渦電流損が少ないため高効率となる。さらに、インナー磁石14bは埋め込み構造であるため、遠心力の作用によって外側に剥がされてしまう懸念がなく、高速回転に適した磁気歯車装置となる。
一方、外輪磁気歯車26では、組立の簡便さと伝達トルクを確保の点から、SPM構造が望ましいが、渦電流ロスを考慮して伝達ロスの少ないIPM構造とすることが提案されている。(特許文献4参照)そこで、外輪磁気歯車と内輪磁気歯車ともIPM構造(IPM/IPM)にした場合と、外輪磁気歯車をSPM構造とし内輪磁気歯車はIPM構造(SPM/IPM)とした場合の磁気歯車の回転速度対伝達効率特性を、有限要素法を用いた磁場解析シミュレーションにて算出した。その結果を図7に示す。この結果より回転速度が特定の回転速度を超えると逆にSPM構造の方が伝達効率の良いことが、磁場解析シミュレーションによって判明した。
図6は、この解析で比較対象とした内外輪回転子ともIPM構造とした磁気歯車装置で、実施例1で示した図3の構成において、図3-1の磁気歯車装置10aの外輪磁気歯車をIPM構造としたものである。
図6に示す比較対象において、外輪磁気歯車64はアウターヨーク64aとアウター磁石64bからなる。アウター磁石64bは長尺形状の短辺方向に着磁されており、その配置は隣り合うアウター磁石64bが同極となる態様で、アウターヨーク64aの磁石孔64cに埋設されるIPM構造である。この磁石は、1対極あたり2個となり磁石数は極数62個(31×2)となる。
図7は磁場解析シミュレーションの結果で横軸に磁気歯車装置の内輪磁気歯車26(高速ロータ)の回転速度、縦軸に伝達効率を示す。図中の実線のグラフが従来の比較の対象としたIPM/IPM構造の磁気歯車装置10d(図6参照)で、点線が本発明のSPM/IPM構造の磁気歯車装置10aの伝達効率を示す。図7に示すように、内輪磁気歯車の回転速度(高速回転側)が約1000rpmより早くなると内輪磁気歯車及び、外輪磁気歯車ともIPM構造とした磁気歯車装置より、内輪磁気歯車のみIPM構造とした磁気歯車装置(10a)の方が、伝達効率が良いことが分かった。特に回転速度が早くなるにつれてその傾向は顕著である。
図7の結果を分析すると、磁気歯車装置の損失は、磁石、ヨーク等の磁気ループを構成する磁性材料等のコアの物性によって生じる鉄損が支配的であり、さらにこの鉄損は主としてヒステリシス損と渦電流損からなる。このヒステリシス損はスタインメッツの実験式で表され、周波数(回転速度)に比例して増えていく。 一方鉄心の中に生じる渦電流損は周波数の2乗に比例して大きくなる。
ここで、図7の結果に至った原因について推定を加える。比較した2つの磁気歯車装置では、内輪磁気歯車は同じ構造のIPM型で、センター体も同じ形状、材質である。従って違いの発生源でとみられ、構造の異なる外輪磁気歯車に特化して考察する。損失発生する因子をアウター磁石とアウターヨークについて損失を考察する。低回転(約300rpm)では、IPM型の損失はアウターヨークの渦電流損が約半分以上を占めている。一方SPM型では、アウターヨークのヒステリシス損が約7割以上であり、渦電流損の比率が低いことが分かった。その結果、周波数(回転速度)が高くなると、渦電流損の比率が高いIPM型の磁気歯車装置では回転速度の2乗に比例して渦電流損が増していくため伝達効率の低下が大きい。一方、ヒステリシス損が支配的なSPM型の損失は、回転速度に比例して損失が増えていきがIPM型に比べて増え方が少なく結果として高回転に有利な結果となったものと判断する。
磁場解析シミュレーション結果では、図7に示すように回転速度が1000rpm以上の高回転になってくると、IPM/IPM型磁気歯車装置に比較して本発明に係るSPM/IPM型磁気歯車が鉄損の増え方が少なく、伝達効率が勝ることが理解できる。
次に、第2の実施形態にかかる磁気歯車装置10bについて図4を参照しながら説明する。磁気歯車装置10bは実施例1の磁気歯車装置10aと同様の構成要素については同符号を付してその詳細な説明を省略する。
内輪磁気歯車44のインナーヨーク44aは軟磁性体であって、円盤形状である。インナーヨーク44aはインナー磁石孔44cと、磁極部44dとブリッジ44eとを有する。インナー磁石孔44cはインナー磁石44bが埋め込まれて収容される孔である。インナー磁石44bはインナー磁石孔44cと略同形状であって、インナー磁石孔44cと隙間なく接している。内輪磁気歯車のさらに詳細な構成については後述する。
インナー磁石44bおよびインナー磁石孔44cは長尺形状で、インナーヨーク44a内にブリッジ44eを介して一定の角度(図では90°)を成す磁石対として等角度間隔の放射状配列となっている。インナー磁石孔44cを形成する3辺の内、長尺方向の二辺は平行線であり、平行線のまま外側に伸びている。インナー磁石44bは短尺方向に着磁されており、磁石対は図に示すように同極同士が向かい合うよう配置され、隣り合う磁石対は着磁方向が逆となる向きに配置され、周方向ではS極同士及び、N極同士が向かい合っている。インナー磁石44bがインナーヨーク44aに対してこのように埋め込まれている内輪磁気歯車44も前述の実施例1の内輪磁気歯車と同様にIPM型の範疇に含まれる。
磁極部44dは周方向の両側を二つのインナー磁石孔44cに挟まれた、内径側が狭くて外径側が広い扇形状である。磁極部44dは両側をインナー磁石44bのS極で挟まれた箇所がS極、両側をN極で挟まれた磁石対の箇所がN極となり、それぞれ磁束を径方向に指向させる疑似的な磁極として作用する。
ブリッジ44eは隣り合う磁極部44d同士をインナーヨーク44aの外周部で接続する
幅の狭い部分である。ブリッジ44eにより各磁極部44dが相互に機械的に接続され、インナーヨーク44aは一体構成となるとともに強度が確保される。一方、ブリッジ44eは十分に薄く形成されていることからN極からS極への磁束の短絡的導通を抑制し、磁極部44dの磁束強度が維持される。
次に、第3の実施形態にかかる磁気歯車装置10cについて図5を参照しながら説明する。磁気歯車装置10cは実施例1の磁気歯車装置10aと同様の構成要素については同符号を付してその詳細な説明を省略する。
図5において、内輪磁気歯車52のインナーヨーク52aは軟磁性体であって、円盤形状である。インナーヨーク52aはインナー磁石孔52cと、磁極部52dとを有する。インナー磁石孔52cはインナー磁石52bが埋め込まれて収容される孔であり、外周面側に開口部52fを有する。インナー磁石52bは長尺形状をしており短辺方向に着磁され、インナー磁石孔52cと略同形状であって、隣り合う磁石が同極性となる態様でインナーヨーク52cの内径側に隙間なく密着して固定される。
このように、磁気歯車装置10cはSPM型構造の外輪磁気歯車26とIPM構造の内輪磁気歯車52とを有し、前記、磁気歯車装置10a、及び磁気歯車装置10bと同様に、IPM型構造による渦電流損が少ないため高伝達効率となる。さらに高速回転側のインナー磁石52bは埋め込み構造であるため遠心力の作用によって外側に剥がされて懸念がなく、高速回転に適する。
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
さらに、本発明の実施例では、外輪磁気歯車と内輪磁気歯車をロータとし、その間のセンター体を固定(ステータ)として説明したが、センター体をロータとして、外輪磁気歯車と内輪磁気歯車のどちらかを固定とした磁気歯車でも本発明の範疇に含まれる。
10a、10b、10c、10d 磁気歯車装置
12、64 外輪磁気歯車体
14、44、52 内輪磁気歯車
14a、44a、52a インナーヨーク
14b、44b、52b インナー磁石
14c、44c、52c 磁石孔
14d、44d、52d 磁極部
15 インナー軸固定孔
16 センター体
18,アウター軸
20,インナー軸
24 ケーシング
26、64 外輪磁気歯車
26a、64a アウターヨーク
26b、64b アウター磁石
28 アウター側面部
28a,32a 中心孔
28b,32b 軸固定部
28c,32c ベース固定部
30 センターリング
30a ポールピースホルダー(非磁性筒体)
30b ポールピース(軟磁性体)
32 センター側面部
32a 中心孔
32c センター孔
34a,34b,40a,40b ベアリング、
36 カラー
37 キー
38a,38b 止め輪

Claims (8)

  1. 複数の永久磁石を有する2つの回転子と、その回転子間に軟磁性材料で構成される複数の磁性片で構成される磁性片体を有し、その磁性片によってそれぞれの磁石極数比の磁束を変調して回転を伝達する磁気歯車機構において、
    前記回転子を軟磁性材料の積層体で構成し、
    多くの極数を有する外側回転子の永久磁石は、径方向に着磁され、前記外側回転子の内周面にそれぞれ隣り合う永久磁石の極性がすべて異極となる態様で等間隔に配置し、
    内輪磁気歯車の永久磁石は、該内輪磁気歯車の内部に、それぞれ隣り合う永久磁石がすべて異極となる態様で埋め込まれていることを特徴とする磁気歯車装置。
  2. 複数の永久磁石を有する2つの回転子と、その回転子間に軟磁性材料で構成される複数の磁性片で構成される磁性片体を有し、その磁性片によってそれぞれの磁石極数比の磁束を変調して回転を伝達する磁気歯車機構において、
    前記回転子を軟磁性材料の積層体で構成し、
    多くの極数を有する外側回転子の永久磁石は、ツバで仕切られて前記外側回転子の内周面にそれぞれ隣り合う永久磁石の極性がすべて異極となる態様で隙間なく等間隔に配置し、
    内輪磁気歯車の永久磁石は、該内輪磁気歯車の内部に、それぞれ隣り合う永久磁石がすべて異極となる態様で埋め込まれていることを特徴とする磁気歯車装置。
  3. 請求項1または2に記載の磁気歯車装置において
    前記内輪磁気歯車の永久磁石を保持するインナーヨークは、前記内輪磁気歯車の永久磁石が埋め込まれる磁石孔を有し、該磁石孔は前記磁性片体に対向する外周面に開口部を有することを特徴とする磁気歯車装置。
  4. 請求項1から請求項に記載のいずれか1項に記載の磁気歯車装置において、
    前記内輪磁気歯車のインナーヨークは一体構成した軟磁性材料であることを特徴とする磁気歯車装置。
  5. 請求項1または2に記載の磁気歯車装置において、
    前記磁性片が装着される磁性片ホルダーの形状は、前記磁性片が埋め込まれる孔を有し、該孔は外側回転子側と対向する外周面側に磁石片が装着される面に開口部を有することを特徴とする磁気歯車装置。
  6. 請求項1または2に記載の磁気歯車装置において、
    前記外側回転子のアウターヨークは、該アウターヨークの内周側に、磁石仕切り用のツバを周方向に等間隔に形成し、該ツバの高さは装着される永久磁石の径方向厚さの半分以下としたことを特徴とする磁気歯車装置。
  7. 請求項に記載の磁気歯車装置において、
    前記内輪磁気歯車の永久磁石は複数個であって、該永久磁石は同極性で向かい合って配置したことを特徴とする磁気歯車装置。
  8. 請求項及び、請求項に記載の磁気歯車装置において、
    前記軟磁性材料のアウターヨークは複数個の圧粉磁心にて分割構成したことを特徴とする磁気歯車装置。
JP2020079372A 2020-04-28 2020-04-28 磁気歯車装置 Active JP7466854B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020079372A JP7466854B2 (ja) 2020-04-28 2020-04-28 磁気歯車装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020079372A JP7466854B2 (ja) 2020-04-28 2020-04-28 磁気歯車装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021173369A JP2021173369A (ja) 2021-11-01
JP7466854B2 true JP7466854B2 (ja) 2024-04-15

Family

ID=78281386

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020079372A Active JP7466854B2 (ja) 2020-04-28 2020-04-28 磁気歯車装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7466854B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113978669A (zh) * 2021-11-07 2022-01-28 天津大学 一种基于磁齿轮复合电机的自主水下航行器推进装置

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019168011A (ja) 2018-03-22 2019-10-03 株式会社プロスパイン 磁気歯車
JP2019167972A (ja) 2018-03-22 2019-10-03 国立大学法人東北大学 磁気歯車

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019168011A (ja) 2018-03-22 2019-10-03 株式会社プロスパイン 磁気歯車
JP2019167972A (ja) 2018-03-22 2019-10-03 国立大学法人東北大学 磁気歯車

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021173369A (ja) 2021-11-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5865174B2 (ja) ブラシレスモータ
JP2006238623A (ja) 直流モータ
CN101222154B (zh) 永磁电机的转动结构
JP2020133790A (ja) 回転電機
JP7466854B2 (ja) 磁気歯車装置
JP2006304539A (ja) アキシャルギャップ型回転電機のロータ構造
MXPA04012144A (es) Motor electrico giratorio que tiene una pluralidad de polos de estator y/o polos de rotor desviados.
JP2005237191A (ja) モータ
JP6693527B2 (ja) 磁気ギア装置
JP2016201967A (ja) 回転電機
JP7075044B2 (ja) 磁気歯車
WO2015068846A1 (ja) 回転電機
JP6455218B2 (ja) ロータ及びモータ
JPH0386051A (ja) 電動機のヨーク
JP6390172B2 (ja) ロータ及びモータ
JP2012244704A (ja) 外転型の電動機
JP2015035878A (ja) モータ
JP7412568B2 (ja) 磁束変調型磁気歯車
JP2015073362A (ja) モータ
JP6251113B2 (ja) モータ
JPH10234148A (ja) 永久磁石形モータ
JP2014183694A (ja) モータ
WO2023199460A1 (ja) 回転装置
JP6046515B2 (ja) ロータ、及びモータ
JP2010187505A5 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200706

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230404

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20230405

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20231026

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20231031

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20231219

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20231219

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20240206

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240220

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20240221

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20240319

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20240325

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7466854

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150