JP7454466B2 - 補強用躯体接合部材および耐震補強構造 - Google Patents
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Description
また、従来、鉄道の施設には、古レールを骨組部材に使用した建造物がある。かかる建造物において、古レールからなる柱や梁などの骨組部材間への斜材の取り付けに、溶接を行わず、代わりにボルト、ナットを用いて斜材や補強部材を骨組部材に結合して耐震補強を行う発明が幾つか提案されている(特許文献1、2参照)。
一方、特許文献1の発明は、レールからなる柱と一般的に鋼材からなる梁との間へ無溶接で斜材を取り付けて耐震補強強度を高めることはできるものの、斜材を取り付ける方向が制限されており、任意の方向に斜材を取り付けることができない。また、斜材の結合部に金属製の囲い板を使用し、囲い板と骨組部材を結合していないため、別部材からの応力を伝達性能が乏しい。さらに、地震発生時に斜材と共に囲い板が塑性変形することがあり、復旧の際に再利用することが困難であるという課題がある。
本発明の他の目的は、別部材からの応力を伝達性能に優れるとともに、骨組部材の復旧の際に再利用することが可能な補強用躯体接合部材およびそれを用いた耐震補強構造を提供することにある。
建造物の構造躯体を構成する骨組部材間に金属製の補強材が取り付けられて補強される耐震補強構造における前記補強材の端部を前記骨組部材に結合するための補強用躯体接合部材であって、
前記骨組部材の側面の凹部に対応した形状を有する本体部と、
前記本体部の一方の端部から延設された第1フランジ部と、
前記本体部の他方の端部から延設された第2フランジ部と、を備え、
前記本体部には前記骨組部材に形成された挿通孔に挿通されたボルトが挿通される第1ボルト挿通孔が形成され、
前記第1フランジ部および第2フランジ部には、前記補強材の端部を結合するボルトを挿通するための第2ボルト挿通孔および第3ボルト挿通孔が形成されているように構成したものである。
前記第1フランジ部および第2フランジ部の肉厚が厚い部分であって、前記第1ボルト挿通孔に対応する部位には、円弧状の凹部が形成されているように構成する。
前記本体部の前記レールの顎部に対応する面の傾斜角は前記顎部の傾斜角よりも小さく設定され、
前記本体部の前記レールの底部上面に対応する面の傾斜角は前記底部上面の傾斜角よりも小さく設定されているようにする。
このような構成によれば、支圧部が骨組部材としてのレールの内側に来るため、補強用躯体接合部材を介して斜材等の他の部材から伝達される力を、レールの中心に近い側に作用させ、レールにかかる曲げ応力を小さくすることができる。
かかる構成によれば、本体部に設けた突起が骨組部材の側面に当接することで抵抗力が増加し、斜材等の他の部材から力が伝達された際に、骨組部材に結合された補強用躯体接合部材が軸方向へ移動するのを防止することができる。
前記第1フランジ部は、前記レールの底面と平行な方向へ延びるように形成され、
前記第2フランジ部は、前記第1フランジ部と平行になるように形成されているように構成する。
建造物の構造躯体を構成する骨組部材間に金属製の補強材が取り付けられて補強される耐震補強構造において、
前記補強材の両端が前述したような構成を有する補強用躯体接合部材によって、レールにより構成された骨組部材にそれぞれ結合されているようにしたものである。
上記のような構成の耐震補強構造によれば、レールを骨組部材として用いて構築された建造物の柱と梁との間に斜材のような補強材を設けることができるため、建造物を効果的に補強することができる。
(第1実施例)
図1は、本発明の実施形態に係る耐震補強構造に用いる補強用躯体接合部材10の一例を示すもので、(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は側面図である。
図1に示す補強用躯体接合部材(以下、躯体接合部材と略す)10は鋳物で形成されており、図1(C)に示すように、レールの側面形状に対応した形状を有するウェブ部11と、ウェブ部11の上端から水平方向側方へ突出する上フランジ部12と、ウェブ部11の下端から上フランジ部12と平行に水平方向側方へ突出する下フランジ部13とを備える。
また、上フランジ部12と下フランジ部13には、当該躯体接合部材10にガセットプレートのフランジを結合するための2本の高力ボルトを挿通するためのボルト挿通孔12aと13aがそれぞれ2箇所ずつ形成されている。上フランジ部12と下フランジ部13の両端角部は隅切りを行うことによって、通行人へ支障を与えにくくするとともに躯体接合部材10の軽量化を図るようにしている。
図3(A)は、2本のレール21A,21Bの底面部同士を接合することで構成された骨組部材としての柱31に、耐震補強用の斜材22の下端部を、ガセットプレート23を介して結合するのに、上記実施例の躯体接合部材10を使用した例を示す。
なお、かかる補強構造は、古レールを構造躯体として使用して構築された既存の建造物に対して後から付加できるものである。
また、図5(A),(B)には、梁32Aと直交する向きの梁32Bと柱31との間にも斜材32Bを取り付けて強度を高めるようにした補強構造も示されている。
図6(A),(B)には、躯体接合部材10の第2の実施例が示されている。
図6(A)の実施例の躯体接合部材10A,10Bは、図に示すように、レールRの側面形状に対応した形状を有するウェブ部11と、ウェブ部11の上端から上方へ突出する上フランジ部12と、ウェブ部11の下端から下方へ突出する下フランジ部13とを備える。図では、下フランジ部13にガセットプレート23がボルト15aとナット15bによって結合されているが、上フランジ部12にガセットプレート23を結合することも可能である。
この実施例の躯体接合部材によれば、レールの両側部に接合した一対の躯体接合部材10A,10Bの下フランジ部13間にガセットプレート23を挟むようにして、ボルト15aとナット15bによって結合することができる。これにより、他の部材から伝達されて来る力をレールの中心に作用させて、不所望なねじりモーメントが作用するのを回避することができる。また、躯体接合部材10Aと10Bの上フランジ部12同士が同一平面をなすため、この面にT型のガセットプレート24を結合することができる。
次に、図7および図8を用いて上記実施形態の変形例について説明する。
図7に示す変形例は、躯体接合部材10のウェブ部11の外側面中央に、突起10aを設けたものである。これにより、躯体接合部材10の抵抗力を高め、骨組部材(レール)に結合した躯体接合部材10に斜材から力が伝達された際に、高力ボルト15aにかかる負荷を減らすことができる。
その場合、躯体接合部材10は軸方向へ移動する余裕を有することになるが、突起10aを設けることにより、外力が作用した際における躯体接合部材10の軸方向への移動を防止することができる。
なお、突起10aの数は1個に限定されず複数個設けても良い。また、骨組部材(レール)に、上記突起10aが係合する凹みあるいは貫通穴を設けるようにしても良い。
具体的には、図8(A)に示すように、摩耗量の比較的少ないレールRの頭部同士を対向させて骨組部材を構成した場合と、図8(B)に示すように、摩耗量の比較的多いレールRの頭部同士を対向させて柱(骨組部材)を構成した場合とでは、柱の中心線O-Oに対するガセットプレート23の位置が異なることとなる。そのため、ガセットプレート23の反対側の端部に結合される梁から伝達して来る力が中心線からずれてしまい、そのずれによって柱にねじりモーメントが作用してしまうおそれがある。
また上記実施形態では、骨組部材としてレールを利用した建造物に耐震補強を行う際に使用する躯体接合部材について説明したが、断面H型の鋼材を骨組部材として用いた建造物に耐震補強を行なう場合にも利用することができる。
11 ウェブ部
11a ボルト挿通孔
12 上フランジ部
13 下フランジ部
14a,15a 高力ボルト
14b,15b ナット
16 フィラープレート
21 レール(骨組部材)
22 斜材
23 ガセットプレート
31 柱
32 梁
Claims (6)
- 建造物の構造躯体を構成する骨組部材間に金属製の補強材が取り付けられて補強される耐震補強構造における前記補強材の端部を前記骨組部材に結合するための補強用躯体接合部材であって、
前記骨組部材の側面の凹部に対応した形状を有する本体部と、
前記本体部の一方の端部から延設された第1フランジ部と、
前記本体部の他方の端部から延設された第2フランジ部と、を備え、
前記本体部には前記骨組部材に形成された挿通孔に挿通されたボルトが挿通される第1ボルト挿通孔が形成され、
前記第1フランジ部および第2フランジ部には、前記補強材の端部を結合するボルトを挿通するための第2ボルト挿通孔および第3ボルト挿通孔が形成されていることを特徴とする補強用躯体接合部材。 - 前記第1フランジ部および第2フランジ部の前記本体部に近い側は前記本体部から遠い側よりも肉厚が厚くなるように形成され、
前記第1フランジ部および第2フランジ部の肉厚が厚い部分であって、前記第1ボルト挿通孔に対応する部位には、円弧状の凹部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の補強用躯体接合部材。 - 前記骨組部材はレールであり、
前記本体部の前記レールの顎部に対応する面の傾斜角は前記顎部の傾斜角よりも小さく設定され、
前記本体部の前記レールの底部上面に対応する面の傾斜角は前記底部上面の傾斜角よりも小さく設定されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の補強用躯体接合部材。 - 前記本体部の前記骨組部材に接する面には突起が形成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の補強用躯体接合部材。
- 前記骨組部材はレールにより構成され、
前記第1フランジ部は、前記レールの底面と平行な方向へ延びるように形成され、
前記第2フランジ部は、前記第1フランジ部と平行になるように形成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の補強用躯体接合部材。 - 建造物の構造躯体を構成する骨組部材間に金属製の補強材が取り付けられて補強される耐震補強構造であって、
前記補強材の両端が請求項1~5のいずれかに記載の補強用躯体接合部材によってレールにより構成された骨組部材にそれぞれ結合されていることを特徴とする耐震補強構造。
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