JP7452584B2 - 温水製造システム - Google Patents

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Description

本発明は、温水製造システムに関する。
食料品・飲料の製造工場や自動車・金属製品・機械器具の製造工場などでは、生産プロセスで多量の温水および温熱を消費している。近年、多くの工場では、温室効果ガスであるCOの排出量削減を目的として、化石燃料から脱却する「脱炭素」への取り組みが進められている。そこで、特許文献1に示されるように、温水製造システムの水加熱装置として、電気式ヒートポンプを採用することが増えている。
特開2012-229828号公報
工場における水加熱装置の設置は、生産プロセスや生産エリアによって異なる要求温度に対応するため、負荷設備ごとに設置を行うのが一般的である。しかしながら、負荷設備ごとに水加熱装置を設置した場合、温水需要や温熱需要が小さい負荷設備では、電気式ヒートポンプの年間稼働時間が短くなり、システムの導入費用の償却期間が長期化するというデメリットがある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、電気式ヒートポンプの休止時間を減らして年間稼働時間を延ばすことのできる温水製造システムを提供することを目的とする。
(1)事業所内に存在する複数の負荷設備で利用する用水を温水化する温水製造システムであって、前記負荷設備の各々と対応関係にある複数の温水タンクと、電気式ヒートポンプにより用水を加熱する第1加熱装置と、前記第1加熱装置で加熱された用水の供給先を、前記温水タンクのいずれかに切り替える供給先切替手段と、前記供給先の優先順位を設定する優先順位設定手段と、前記負荷設備ごとの要求温度を満たすように、前記供給先ごとに用水の目標温度を設定する目標温度設定手段と、前記温水タンクの各々の蓄熱状態量を検知する蓄熱状態量検知手段と、前記優先順位および前記蓄熱状態量に基づいて、前記供給先切替手段および前記第1加熱装置を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記目標温度に基づいて、前記第1加熱装置の熱出力を制御し、前記優先順位は、前記目標温度が低いほど上位になるように設定される温水製造システム。
(2)蒸気ボイラまたは温水ボイラにより用水を加熱する第2加熱装置を更に備え、前記第2加熱装置は、少なくとも前記優先順位が最上位以外の前記温水タンクに対応付けられて設けられており、前記制御手段は、前記第1加熱装置で加熱された用水の供給先となっていない前記温水タンクの前記蓄熱状態量が所定量を下回る場合、前記第2加熱装置を使用して前記蓄熱状態量を回復させる(1)に記載の温水製造システム。
(3)前記目標温度設定手段は、前記事業所内での電力需要調整の実施の有無に応じて、前記要求温度を満たす範囲で前記目標温度を設定する(1)または(2)に記載の温水製造システム。
(4)前記目標温度設定手段は、前記電気式ヒートポンプのデフロスト運転の実施スケジュールに応じて、前記要求温度を満たす範囲で前記目標温度を設定する(1)または(2)に記載の温水製造システム。
(5)給水設備から用水を前記第1加熱装置に供給、または前記負荷設備で利用後の用水を前記第1加熱装置に供給する給水ラインと、前記第1加熱装置で加熱された用水を前記温水タンクの各々に供給する複数の給湯ラインと、を備え、前記供給先切替手段は、前記給湯ラインのいずれかを選択することにより、用水の供給先を切り替えるように構成される(1)から(4)のいずれかの温水製造システム。
(6)前記温水タンクの各々と前記第1加熱装置の間に形成された複数の循環ラインを備え、前記供給先切替手段は、前記循環ラインのいずれかを選択することにより、用水の供給先を切り替えるように構成される(1)から(4)のいずれかの温水製造システム。
(7)前記蓄熱状態量は、前記温水タンクの水位、温度、および残湯量のいずれか一以上である(1)から(6)のいずれかの温水製造システム。
本発明によれば、電気式ヒートポンプの休止時間を減らして年間稼働時間を延ばすことのできる温水製造システムを提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る温水製造システムの構成を模式的に示す図である。 本発明の第2実施形態に係る温水製造システムの構成を模式的に示す図である。 本発明の第3実施形態に係る温水製造システムの構成を模式的に示す図である。 本発明の第4実施形態に係る温水製造システムの構成を模式的に示す図である。 本発明の第5実施形態に係る温水製造システムの構成を模式的に示す図である。 本発明の第6実施形態に係る温水製造システムの構成を模式的に示す図である。 本発明の第7実施形態に係る温水製造システムの構成を模式的に示す図である。 本発明の第8実施形態に係る温水製造システムの構成を模式的に示す図である。
(第1実施形態)
以下、本発明の温水製造システム1の第1実施形態について、図1を参照しながら説明する。なお、本明細書における「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
<温水製造システムの概要>
図1は、第1実施形態に係る温水製造システム1の構成を模式的に示す図である。温水製造システム1は、事業所内に存在する複数の負荷設備で利用する用水を温水化するものである。温水製造システム1で温水化された用水は、負荷設備において洗浄水等に直接使用される。
ここで、事業所は、物の生産またはサービスの提供が事業として行われている個々の場所をいい、工場、商業施設、医療機関、福祉施設、宿泊施設および研究施設などである。用水は、物の生産またはサービスの提供に伴って使用する水をいう。負荷設備は、事業所が工場である場合、例えば食料品・飲料の製造工場、自動車・金属製品・機械器具の製造工場などの生産設備(物の生産に直接関わっている設備)をいう。工場の生産設備以外の負荷設備としては、蒸気ボイラ装置(生産設備の稼働に関わっている熱源設備)が例示され、温水化された用水の一部をボイラ給水に利用する。
図1では、事業所内に存在する3基の負荷設備11,12,13を示している。各負荷設備11,12,13は、例えば工場内の生産プロセスに応じて事業所内に点在しており、負荷設備11が設置された生産エリアを負荷エリアA、負荷設備12が設置された生産エリアを負荷エリアB、負荷設備13が設置された生産エリアを負荷エリアCと便宜的に呼称する。そして、各負荷設備11,12,13においては、生産プロセスの稼働によって温水需要(給湯負荷)が発生する。
第1実施形態の温水製造システム1は、各負荷設備11,12,13での温水需要に追従した温水供給を行うため、負荷エリアA~Cのそれぞれに温水タンク21,22,23を備え、一過式の用水加熱により製造された温水を各温水タンク21,22,23に貯留する。なお、温水タンクは、所要温度に調整された温水を蓄積することから、蓄熱タンクと言い換えることもできる。
温水製造システム1は、各温水タンク21,22,23に蓄える温水を製造するため、電気式ヒートポンプ411により用水(補給水W0)を加熱する第1加熱装置41、燃焼式ボイラである蒸気ボイラ611により用水(補給水W0)を加熱する第2加熱装置61、および制御部100を備えている。
負荷エリアAに設置された負荷設備11と温水タンク21とは、配水ラインL1で接続されており、この配水ラインL1には、配水ポンプSP1が設けられている。負荷設備11での温水出力に応じて配水ポンプSP1を駆動すると、温水タンク21から温水W1が供給される。
負荷エリアBに設置された負荷設備12と温水タンク22とは、配水ラインL2で接続されており、この配水ラインL2には、配水ポンプSP2が設けられている。負荷設備12での温水出力に応じて配水ポンプSP2を駆動すると、温水タンク22から温水W2が供給される。
負荷エリアCに設置された負荷設備13と温水タンク23とは、配水ラインL3で接続されており、この配水ラインL3には、配水ポンプSP3が設けられている。負荷設備13での温水出力に応じて配水ポンプSP3を駆動すると、温水タンク23から温水W3が供給される。
各温水タンク21,22,23と各負荷設備11,12,13とを接続する各配水ラインL1,L2,L3は、往路配管のみの単管給湯路として構成されてもよく、または、図1に点線で示すように復路配管を備え、往路配管と復路配管とからなる循環給湯路として構成されてもよい。単管給湯路では、負荷設備で温水需要が発生すると配水ポンプが駆動され、温水需要がなくなると配水ポンプが停止される(断続運転)。一方、循環給湯路では、負荷設備で温水需要の有無に関わらず配水ポンプが駆動されており(連続運転)、負荷設備で消費されない余剰温水が温水タンクに返送される。
<ライン構成、温水タンク、供給先切替手段および蓄熱状態量検知手段>
3基の温水タンク21,22,23は、いずれも開放式のタンクである。温水タンク21,22,23には、それぞれ、水位センサ211,221,231が設けられている。水位センサは、蓄熱状態量として温水タンクに蓄積された温水の水位(蓄積量に相当)を検知するセンサであり、蓄熱状態量検知手段として機能する。
水位センサ211,221,231で温水タンク21,22,23内の減水が検知されると、減水した温水タンク21,22,23内に給水ラインL01および給湯ラインL02を通じて補給水W0が供給される。温水タンク21,22,23内の減水は、負荷設備11,12,13での温水出力によって生じる。給水ラインL01および給湯ラインL02については後に説明する。
温水タンク21,22,23には、それぞれ不図示の温度センサが設けられている。温度センサにより、温水タンク21,22,23に蓄積された温水の温度が、それぞれの蓄熱温度として検知される。
給水ラインL01は、水の供給源である給水設備から、第1加熱装置41に常温の補給水W0(温水化前の用水)を供給するラインである。給湯ラインL02は、第1加熱装置41で加熱された補給水W0(温水化後の用水)を各温水タンク21,22,23に供給するラインである。
給水ラインL01は、給水設備から2つの分岐点P1,P2を経て第1加熱装置41および温水タンク22,23に接続されている。具体的には、給水設備から延設された給水ラインL01は分岐点P1で分岐し、分岐した給水ラインL01の一方は第1加熱装置41の入水口(後述するサブ熱交換器412の低温側入口)に接続され、他方は分岐点P2で更に分岐する。そして、分岐点P2で分岐した給水ラインL01の一方は温水タンク22に接続され、他方は温水タンク23に接続されている。
分岐点P1の下流側において、第1加熱装置41に接続された給水ラインL01には給水ポンプWP1が設けられている。分岐点P2の下流側において、温水タンク22に接続された給水ラインL01には給水ポンプWP2が設けられ、温水タンク23に接続された給水ラインL01には給水ポンプWP3が設けられている。給水ポンプWP1,WP2,WP3の駆動周波数を制御することで、第1加熱装置41や温水タンク22,23に供給される補給水W0の流量を制御することができる。
給湯ラインL02は、第1加熱装置41から2つの分岐点P11,P12を経て温水タンク21,22,23に接続されている。具体的には、第1加熱装置41の出湯口(後述するサブ熱交換器412の低温側出口)から延設された給湯ラインL02は分岐点P3で分岐し、分岐した給湯ラインL02の一方は温水タンク21に接続され、他方は分岐点P4で更に分岐する。そして、分岐点P12で分岐した給湯ラインL02の一方は温水タンク22に接続され、他方は温水タンク23に接続されている。
温水タンク21,22,23に接続された分岐後の給湯ラインL02には、それぞれ、バルブWV1,WV2,WV3が設けられている。これらのバルブWV1,WV2,WV3は、第1加熱装置41で加熱された用水の供給先を、前記温水タンクのいずれかに切り替える供給先切替手段として機能する。
また、温水タンク22,23に接続された分岐後の給水ラインL1には、それぞれ、バルブWV4,WV5が設けられている。各バルブWV1~WV5は、制御部100により開閉制御可能な電気駆動弁であり、給水弁として機能する。
上述のラインの構成により、温水タンク21には、第1加熱装置41を経由した補給水W0が供給される。一方、温水タンク22および温水タンク23には、第1加熱装置41を経由した補給水W0、ないし第1加熱装置41を経由しない補給水W0が供給される。
第1加熱装置41を経由する補給水W0の供給について整理すると次のようになる。温水タンク21に対しては、給水設備から送られる補給水W0は、給水ラインL01の分岐点P1、並びに、給湯ラインL02の分岐点P3およびバルブWV1を介して供給される。温水タンク22に対しては、給水設備から送られる補給水W0は、給水ラインL01の分岐点P1、並びに、給湯ラインL02の分岐点P3、分岐点P4およびバルブWV2を介して供給される。同様に、温水タンク23に対しては、給水設備から送られる補給水W0は、給水ラインL01の分岐点P1、並びに、給湯ラインL02の分岐点P3、分岐点P4およびバルブWV3を介して供給される。
第1加熱装置41を経由しない補給水W0の供給について整理すると次のようになる。温水タンク22に対しては、給水設備から送られる補給水W0は、給水ラインL01の分岐点P1、分岐点P2およびバルブWV4を介して供給される。同様に、温水タンク23に対しては、給水設備から送られる補給水W0は、給水ラインL01の分岐点P1、分岐点P2およびバルブWV5を介して供給される。
各温水タンク21,22,23における水位の増減に対して給水制御を行うための水位設定は、「給水停止L1>給水開始L2>流量切替L3」とする。そして、検知された水位に応じて、次のように流量を制御する。給水停止中、温水タンクの検知水位がL2未満になると、給水ポンプWPを第1流量(回転数:低)で駆動する。第1流量で給水実行中、温水タンクの検知水位がL3未満になると、給水ポンプWPを第2流量(回転数:高)で駆動する。第2流量で給水実行中、温水タンクの検知水位がL2以上になると、給水ポンプWPを第1流量(回転数:低)で駆動する。第1流量で給水実行中、温水タンクの検知水位がL1以上になると、給水ポンプWPを停止する。なお、温水タンク21,22,23に対する給水は、それぞれ対応する給水ポンプWP1,WP2,WP3を用いて行われる。
<第1加熱装置>
第1加熱装置41は、電気式ヒートポンプ411(略号:HP)を備えている。電気式ヒートポンプ411は、空気熱源型および水熱源型(地下水、廃温水など)のうちのいずれでもよい。また、冷温水同時取り出しが可能なヒートポンプチラーでもよい。電気式ヒートポンプ411は1台でもよいが、複数台を並列設置した1群で第1加熱装置41を構成することもできる。
第1加熱装置41は更に、サブ熱交換器412、サブ循環ラインLS、およびサブ循環ポンプLSPを備えている。サブ循環ラインLSは、サブ熱交換器412の高温側流路と、電気式ヒートポンプ411の凝縮器とを接続するラインである。サブ循環ラインLSを循環する熱媒体は、凝縮器での受熱により加熱されながらサブ熱交換器412での放熱により冷却される。この熱媒体は、給湯用途では、凝縮器のパンク時に冷媒を用水に混入させないとの観点から、水であることが好ましい。
サブ循環ポンプLSPは、サブ循環ラインLSに設けられている。サブ循環ポンプLSPは、サブ循環ラインLSを流通する熱媒体を循環させる補機である。
サブ熱交換器412の低温側流路は、入口側に給水ラインL01が接続され、出口側に給湯ラインL02が接続される。サブ熱交換器412は、給水ラインL01から流入する補給水W0とサブ循環ラインLSを流通する熱媒体との間の熱交換を行い、補給水W0を加熱する補機として機能する。給水設備から送られる補給水W0は、サブ熱交換器412で加熱されることにより温水W1,W2,W3となる。
なお、第1加熱装置41の構成は、給水ラインL01および給湯ラインL02が電気式ヒートポンプ411の凝縮器に直接接続される構成であってもよい。この構成の場合、サブ熱交換器412およびサブ循環ラインLSを省略することができる。
サブ熱交換器412の低温側出口の近傍には不図示の温度センサが備えられている。この温度センサにより、サブ熱交換器412を通過した後に給湯ラインL02を流通する補給水W0の温度が、サブ熱交換器412の出口温度として検知される。
第1加熱装置41の運転中には、制御部100(または装置内のローカル制御器)により出力制御が行われる。具体的には、サブ熱交換器412の出口温度が目標温度(後述する目標温度設定手段120の設定温度)に収束するように、電気式ヒートポンプ411の冷媒圧縮機の回転数をフィードバック制御する。この出力制御中、サブ循環ポンプLSPは、所定回転数(例えば、定格回転数)にて駆動される。
<第2加熱装置>
第2加熱装置61は、燃焼式ボイラとしての蒸気ボイラ611(略号:BS)、給蒸ラインL4および蒸気加熱器222,232を備えている。蒸気加熱器222は温水タンク22に設けられ、蒸気加熱器232は温水タンク23に設けられている。
蒸気ボイラ611は、給蒸ラインL4によって蒸気加熱器222,232と接続されている。給蒸ラインL4は、蒸気ボイラ611から蒸気ヘッダを介して延設されている。そして、蒸気加熱器222,232に備えられた蒸気ヒータ等の加熱要素に給蒸ラインL4の末端が接続されている。これにより、蒸気ボイラ611で生成された蒸気S1は、給蒸ラインL4を通じて蒸気加熱器222,232に供給される。
蒸気加熱器222に接続された給蒸ラインL4には、バルブBV1が設けられている。同様に、蒸気加熱器232に接続された給蒸ラインL4には、バルブBV2が設けられている。各バルブBV1,BV2は、制御部100により開度制御可能な電気駆動弁であり、給蒸弁として機能する。蒸気加熱器222,232は、給蒸ラインL4を通じて供給されてきた蒸気S1で補給水W0を加熱するため加熱要素を備えている。給水設備から給水ラインL01を通じて送られてきた補給水W0は、蒸気加熱器222,232で加熱されることにより温水W2,W3となる。
加熱要素の種類としては、例えば、温水タンクの内部に設置される蒸気ヒータ(間接加熱)、温水タンクの外部に設置される蒸気熱交換器(水循環による間接加熱)、温水タンクの内部に設置される蒸気吹き込み管(直接加熱)などが例示される。第1実施形態および他の実施形態では、蒸気ヒータが加熱要素として採用されている。
第2加熱装置61の運転中には、後述する制御部100(または装置内のローカル制御器)により出力制御が行われる。具体的には、温水タンク22および温水タンク23の蓄熱温度が目標温度(後述する目標温度設定手段120の設定温度)に収束するように、各バルブBV1,BV2の開度がフィードバック制御される。なお、上述したように、各温水タンク22,23の蓄熱温度は不図示の温度センサにより検知される。
なお、蒸気加熱器222,232は、温水タンク22,23に設けるのではなく、給水設備からの給水ラインに設けるようにすることもできる。この場合には、給水ラインにサブ熱交換器を配置し、このサブ熱交換器に給蒸ラインを接続する。この構成での第2加熱装置61の熱出力制御は、サブ熱交換器の出口温度が目標温度に収束するように、給蒸弁の開度をフィードバック制御する。
なお、第2加熱装置61を構成する燃焼式ボイラは、温水ボイラ(略号:BH)のいずれであってもよい。温水ボイラは、真空式温水ヒータおよび無圧式温水ヒータなどを含む。温水ボイラを用いる場合のシステム構成は、第2実施形態にて説明する。また、燃焼式ボイラは1台でもよいが、複数台を並列設置した1群で第2加熱装置61を構成してもよい。
<制御部の概要>
制御部100は、優先順位設定手段110、目標温度設定手段120および制御手段130を備えている。優先順位設定手段110は、第1加熱装置41で加熱された用水(補給水W0)の供給先である温水タンク21,22,23について、その優先順位を設定する。目標温度設定手段120は、第1加熱装置41で加熱された用水(補給水W0)の供給先である温水タンク21,22,23ごとに、用水の目標温度を設定する。ここで、用水の目標温度は、サブ熱交換器412の出口温度に対する目標温度、あるいは各温水タンク21,22,23の蓄熱温度に対する目標温度として設定される。制御手段130は、優先順位設定手段110に設定された優先順位、および蓄熱状態量検知手段(水位センサ211,221,231)により検知された蓄熱状態量に基づいて、供給先切替手段(バルブWV1,WV2,WV3)および第1加熱装置41を制御する。
なお、制御部100は、サーバであってもよい。また、制御部100は、複数の機能ブロックにより構成されてもよいが、各機能ブロックは必ずしも物理的に分かれている必要は無く、1つのCPUが、複数の機能ブロックの機能を実現してもよい。また、制御部100は、制御対象部の配置等を考慮して、2つ以上に場所に分かれて配置されていてもよい。また、1つの機能ブロックが2つ以上の場所に分かれて、分散制御されていてもよい。制御部100は記憶部を備えていてもよく、記憶部は、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、または着脱可能なメモリカード等の記録媒体で構成される。記録媒体としては、一時的でない有形の媒体(non-transitory tangible media)が挙げられる。なお、制御部100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の演算プロセッサを含んで構成される。制御部100の各種機能は、例えば記憶部に格納されたプログラム(アプリケーション)を実行することで実現される。プログラム(アプリケーション)は、ネットワークを介して提供されてもよいし、CD-ROM(Compact Disc Read only memory)またはDVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体(computer readable storage medium)に記録されて提供されてもよい。なお、制御部100の各機能は、ハードウェアとソフトウェアとの協働で実現されてもよいし、ハードウェア(電子回路)のみで実現されてもよい。
<目標温度設定手段の詳細>
温水の供給先である温水タンクごとの温水の目標温度は、事前に制御部100のユーザーインターフェース等を介して目標温度設定手段120に設定される。優先順位は、例えば、以下の1から3に記載する項目が考慮される。
[1.負荷設備での要求温度]
供給先である温水タンクごとの用水の目標温度、すなわち第1加熱装置および第2加熱装置による加熱温度の目標値は、負荷設備での要求温度に応じて負荷エリアごとに設定される。用水の目標温度は、サブ熱交換器412の出口温度に対する目標温度、あるいは各温水タンク21,22,23の蓄熱温度に対する目標温度として設定される。
[2.電力需要調整]
電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合には、通常よりも目標温度を高く設定してもよい。例えば、すべての温水タンクに対して目標温度を80℃以上90℃以下のように高めておき、蓄熱量を増量してもよい。
[3.デフロスト運転]
空気熱源ヒートポンプにてデフロスト運転が実行され、給湯運転の中断が起こる場合、通常よりも目標温度を高く設定してもよい。例えば、すべての温水タンクに対して目標温度を80℃以上90℃以下に高めておき、蓄熱量を増量してもよい。
具体的な制御としては、次のような例が考えらえる。まず、前回のデフロスト運転終了後、外気温度、または外気温度と蒸発器入口の冷媒温度との差から、次回のデフロスト運転開始までの給湯運転時間を予測し、デフロスト運転開始時刻を設定する。そして、デフロスト運転開始時刻までの残り給湯運転時間が設定時間になると、目標温度を通常よりも高い温度に設定する。
なお、上記の項目2,3において、温水タンクに高温水を蓄積する場合、負荷設備で高温水を利用する際には、高温水と常温水を混合したり、高温水と常温水を熱交換したりすることで、所要温度の温水を作る。温水タンクの蓄熱量は通常時よりも減りにくくなっているので、特にデフロスト運転による給湯運転の中断に耐えることが可能になる。
第1実施形態における目標温度は、上記の項目1に基づき、負荷設備での要求温度に応じて負荷エリアごとに異なる値に設定される。例えば、負荷エリアAでは40℃、負荷エリアBでは60℃、負荷エリアCでは70℃のように設定されている。
<優先順位設定手段の詳細>
温水の供給先である温水タンクに対する優先順位は、事前に制御部100のユーザーインターフェース等を介して優先順位設定手段110に設定される。優先順位は、例えば、以下の1から6に記載する項目が考慮される。
[1.プロセスの重要度]
負荷設備における生産プロセスの重要度に応じて、温水タンクの優先順位を設定する。例えば、飲料工場において、パストライザ等の殺菌設備に対応する温水タンクの優先順位を容器の洗浄装置に対応する温水タンクの優先順位よりも上位にする。
[2.時間当たりの温水(温熱)消費量]
負荷設備での時間当たりの温水(温熱)消費量に応じて、温水タンクの優先順位を設定する。例えば、生産ラインの稼働率を考慮して、午前中は優先順位を「負荷エリアAに設置の温水タンク>負荷エリアBに設置の温水タンク>負荷エリアCに設置の温水タンク」とし、午後は優先順位を「負荷エリアBに設置の温水タンク>負荷エリアAに設置の温水タンク>負荷エリアCに設置の温水タンク」のように入れ替える。
[3.廃温水の排出量]
水熱源ヒートポンプを使用して廃温水から熱回収する場合において、各負荷エリアで発生する廃温水の排出量に応じて、温水タンクの優先順位を設定する。例えば、廃温水の排出量が「負荷エリアA>負荷エリアB>負荷エリアC」であれば、熱回収効果が最も高くなるように、優先順位を「負荷エリアAに設置の温水タンクA>負荷エリアBに設置の温水タンクB>負荷エリアCに設置の温水タンクC」とする。廃温水の排出量が時間帯によって変動する場合には、時間帯によって優先順位を切り替えてもよい。なお、各負荷エリアの廃温水は、回収タンクなどの一箇所に収集して熱源水としてヒートポンプの蒸発器に供給する。
[4.廃温水の温度]
水熱源ヒートポンプを使用して廃温水から熱回収する場合において、各負荷エリアで発生する廃温水の温度に応じて、温水タンクの優先順位を設定する。例えば、廃温水の温度が「負荷エリアA>負荷エリアB>負荷エリアC」であれば、熱回収効果が最も高くなるように、優先順位を「負荷エリアAに設置の温水タンクA>負荷エリアBに設置の温水タンクB>負荷エリアCに設置の温水タンクC」とする。廃温水の温度が時間帯によって変動する場合は、時間帯によって優先順位を切り替えてもよい。なお、各負荷エリアの廃温水は、回収タンクなどの一箇所に収集して熱源水としてヒートポンプの蒸発器に供給する。
[5.外気温度の影響]
空気熱源ヒートポンプを使用して外気から熱吸収する場合において、外気温度に応じて、温水タンクの優先順位を設定する。例えば、外気温度と目標温度の差を考慮し、十分なCOP(Coefficient of Performance:エネルギー消費効率)が得られるように優先順位を設定する。優先順位は日中を通じて固定してもよいが、時間帯に応じて変更してもよい。例えば、外気温度の高い時間帯は、目標温度が高い温水タンクの優先順位を高くし、外気温度の低い時間帯は、目標温度が低い温水タンクの優先順位を高くする。
[6.給湯配管の長さ]
第1加熱装置41から各温水タンクまでの給湯配管の長さに応じて、温水タンクの優先順位を設定する。例えば、給湯配管の長さが「負荷エリアAに設置の温水タンクまでの長さ>負荷エリアBに設置の温水タンクまでの長さ>負荷エリアCに設置の温水タンクまでの長さ」であれば、給湯時の放熱ロスが最も少なくなるように、優先順位を「負荷エリアCに設置の温水タンク>負荷エリアBに設置の温水タンク>負荷エリアCに設置の温水タンク」とする。
第1実施形態における優先順位は、上記の項目5を考慮し、目標温度が低いほど、すなわち外気等の熱源流体の温度が低い場合でもヒートポンプをより高いCOPで運転できる条件であるほど上位になるように設定される。例えば、上述の目標温度の設定例では「負荷エリアA>負荷エリアB>負荷エリアC」となる。なお、選択される供給先は一箇所のみで、同時供給は行わない。
<第1加熱装置による給湯運転制御>
制御手段130は、先に説明した優先順位の設定に従って第1加熱装置41による給湯運転制御を行う。第1加熱装置41による給湯運転時は、給水ポンプWP1を駆動する。
[優先1:温水タンク21への給湯]
温水タンク21の検知水位がL2未満になると、温水タンク22および温水タンク23の検知水位に関わらず温水タンク21に対して給湯運転を開始する。温水タンク22および温水タンク23のいずれかに対して給湯運転を実行中のときは、強制的に供給先を温水タンク21に切り替える。つまり、バルブWV1を開放し、バルブWV2,WV3を閉鎖することにより、用水(温水W1)の供給先として温水タンク21を選択する。給湯運転を開始した後、温水タンク21の検知水位がL1以上になると、バルブWV1を閉鎖すると共に給水ポンプWP1を停止して給湯運転を終了する。
[優先2:温水タンク22への給湯]
温水タンク21の検知水位がL2以上の状態にて、温水タンク22の検知水位がL2未満になると、温水タンク23の検知水位に関わらず温水タンク22に対して給湯運転を開始する。温水タンク23に対して給湯運転を実行中のときは、強制的に供給先を温水タンク22に切り替える。つまり、バルブWV2を開放し、バルブWV1,WV3を閉鎖することにより、用水(温水W2)の供給先として温水タンク22を選択する。給湯運転を開始した後、温水タンク22の検知水位がL1以上になると、バルブWV2を閉鎖すると共に給水ポンプWP1を停止して給湯運転を終了する。
[優先3:温水タンク23への給湯]
温水タンク21および温水タンク22の検知水位がともにL2以上の状態にて、温水タンク23の検知水位がL2未満になると、温水タンク23に対して給湯運転を開始する。つまり、バルブWV3を開放し、バルブWV1,WV2を閉鎖することにより、用水(温水W3)の供給先として温水タンク23を選択する。給湯運転を開始した後、温水タンク23の検知水位がL1以上になると、バルブWV3を閉鎖すると共に給水ポンプWP1を停止して給湯運転を終了する。
<第2加熱装置による給湯運転制御>
制御手段130は、温水タンク22および温水タンク23について、水位センサにより水位L2未満であることを検知したにも関わらず第1加熱装置41による給湯ができない場合、具体的には(i)優先順位の高い他の温水タンクに対して第1加熱装置41による給湯運転を実行中である場合、または(ii)第1加熱装置41による給湯運転を開始したが優先順位の高い他の温水タンクに供給先を切り替えた場合、第2加熱装置61による給湯を行う。
第2加熱装置61による温水タンク22への給湯時は、給水ポンプWP2を駆動すると共にバルブWV4,BV1を開放し、用水W0を供給する。この用水W0は、蒸気加熱器222により加熱されて温水W2となる。給湯運転を開始した後、温水タンク22の検知水位がL1以上になると、バルブWV4,BV1を閉鎖すると共に給水ポンプWP2を停止して給湯運転を終了する。
第2加熱装置61による温水タンク23への給湯時は、給水ポンプWP3を駆動すると共にバルブWV5,BV2を開放し、用水W0を供給する。この用水W0は、蒸気加熱器232により加熱されて温水W3となる。給湯運転を開始した後、温水タンク23の検知水位がL1以上になると、バルブWV5,BV2を閉鎖すると共に給水ポンプWP3を停止して給湯運転を終了する。
<給湯運転制御のまとめ>
以上説明した制御手段130による給湯運転制御によれば、優先順位が最上位の温水タンク21に対しては、必ず第1加熱装置41による給湯が行われる。優先順位が下位の温水タンク22および温水タンク23に対しては、第1加熱装置41または第2加熱装置61による給湯が行われる。
(第2実施形態)
以下、本発明の温水製造システム1の第2実施形態について、図2を参照しながら説明する。図2は、本発明の第2実施形態に係る温水製造システム1の構成を模式的に示す図である。以下の説明では、先に説明した実施形態と相違する点を中心に説明し、先に説明した実施形態と相違しない点についは、その説明を省略する。
第2実施形態の温水製造システム1と、第1実施形態の温水製造システム1とは、第2加熱装置61の構成が異なる。第1実施形態では、第2加熱装置61として蒸気ボイラ611を用い、給蒸ラインL4を介して、蒸気S1が温水タンク22および温水タンク23に供給されていた。これに対して、第2実施形態では、第2加熱装置として負荷エリアBに対応する第2加熱装置51および負荷エリアCに対応する第2加熱装置52の2基を用いる。また、第2加熱装置51および第2加熱装置52は、第1実施形態の給蒸ラインL4のような温水タンク22,23に熱エネルギーを直接供給するラインに備えられるのではなく、給水ラインL01に備えられている。
第2実施形態の温水製造システム1には、給水ラインL01の分岐点P2の下流側において、給水ポンプWP2とバルブWV4との間に第2加熱装置51が設けられている。また、給水ラインL01の分岐点P2の下流側において、給水ポンプWP3とバルブWV5との間に第2加熱装置52が設けられている。すなわち、給水ラインL01において、温水タンク22のみに通じるラインに第2加熱装置51が備えられ、温水タンク23のみに通じるラインに第2加熱装置52が備えられている。
第2加熱装置51および第2加熱装置52は、第1実施形態における蒸気ボイラ(略号:BS)ではなく、温水ボイラ(略号:BH)で構成されている。具体的には、第2加熱装置51は温水ボイラ511を備え、第2加熱装置52は温水ボイラ521を備えている。温水ボイラ511,521は、それぞれ1台でもよいが、複数台を並列設置した1群で第2加熱装置51,52を構成することもできる。
第2加熱装置51および第2加熱装置52の構成は、加熱機構がヒートポンプであるか温水ボイラであるかを除けば、第1加熱装置41と同様である。すなわち、第2加熱装置51および第2加熱装置52は、サブ熱交換器512,522、サブ循環ラインLSおよびサブ循環ポンプLSPを備えている。それぞれのサブ循環ラインLSは、サブ熱交換器512(522)の高温側流路と、温水ボイラ511(521)の本体とを接続するラインである。サブ循環ラインLSを循環する熱媒体は、ボイラ本体での受熱により加熱されながらサブ熱交換器512(522)での放熱により冷却される。この熱媒体は、水であることが好ましい。
サブ熱交換器512(522)は、給水ラインL01に配置されている。具体的には、サブ熱交換器512の低温側流路には、入口側に給水ポンプWP2からの給水ラインL01が接続され、出口側に温水タンク22への給水ラインL01が接続されている。また、サブ熱交換器522の低温側流路には、入口側に給水ポンプWP3からの給水ラインL01が接続され、出口側に温水タンク23への給水ラインL01が接続されている。サブ熱交換器512(522)は、給水ラインL01から流入する補給水W0と、サブ循環ラインLSを流通する熱媒体との間の熱交換を行い、補給水W0を加熱する補機として機能する。給水設備から送られる補給水W0は、サブ熱交換器512(522)で加熱されることにより温水W2,W3となる。
また、第2加熱装置51(52)の運転中には、制御部100(または装置内のローカル制御器)により出力制御が行われる。具体的には、サブ熱交換器512(522)の出口温度が目標温度(目標温度設定手段120の設定温度)に収束するように、温水ボイラ511(521)のバーナの燃焼量を調整する。
第2実施形態では、第2加熱装置51(第2加熱装置52)による給湯運転制御において、温水タンク22(温水タンク23)への熱エネルギーの供給は、給水ラインL01設けられたバルブWV4および給水ポンプWP2(バルブWV5および給水ポンプWP3)を制御することで行うことができる。
第2実施形態では、第1実施形態と同様に、水位センサ211,221,231が蓄熱量検知手段として機能するほか、バルブWV1,WP2,WP3が供給先切替手段として機能する。そして、制御手段130は、第1実施形態と同様に、第1加熱装置41および第2加熱装置51,52の給湯運転制御を実行する。
(第3実施形態)
以下、本発明の温水製造システム1の第3実施形態について、図3を参照しながら説明する。図3は、本発明の第3実施形態に係る温水製造システムの構成を模式的に示す図である。以下の説明では、先に説明した実施形態と相違する点を中心に説明し、先に説明した実施形態と相違しない点についは、その説明を省略する。
<温水製造システムの概要>
第3実施形態の温水製造システム1は、各負荷設備11,12,13での温水需要に追従した温水供給を行うため、負荷エリアA~Cのそれぞれに温水タンク31,32,33を備え、循環式の用水加熱により製造された温水を各温水タンク31,32,33に貯留する。各負荷設備11,12,13においては、生産プロセスの稼働によって温水需要(給湯負荷)が発生する。
第3実施形態の温水製造システム1の温水タンク31,32,33と、第1実施形態の温水製造システム1の温水タンク21,22,23とは、構成が異なる。第1実施形態では、温水タンク21,22,23は開放タンクであったのに対して、第3実施形態では、温水タンク31,32,33は密閉タンクである。また、温水タンク31,32,33が密閉タンクになったことに伴い、第1加熱装置41と温水タンク31,32,33と接続するラインの構成が第1実施形態のラインと異なる。第3実施形態では、このラインが循環ラインL5となっている。温水タンク31および温水タンク32に付設される蒸気加熱器は、それぞれ符号322,332として示されている。
<ライン構成、温水タンク、供給先切替手段および蓄熱状態量検知手段>
先述のように、3基の温水タンク31,32,33は、いずれも密閉タンクである。そのため、蓄熱状態量として、第1実施形態では温水タンクの水位を検知していたのに対して、第3実施形態では、温水タンクの残湯量を検知する。
温水タンク31,32,33のそれぞれには、図示しない温度センサが備えられている。温水タンク31,32,33の残湯量の検知は、複数の温度センサを用いて温度成層を検知し、目標温度以上の温水の保有量を判定することにより行う。つまり、温度成層を検知する温度センサ群は、蓄熱状態量検知手段として機能する。
第3実施形態では、第1加熱装置41は、給水ラインL01とは独立したラインである循環ラインL5と接続されている。循環ラインL5は、第1加熱装置41が、温水タンク31,32,33のいずれかに対して循環加熱が可能なように構成されたラインである。
第1加熱装置41のサブ熱交換器412の低温側流路は、入口側に循環ラインL5の往路が接続され、出口側に循環ラインL5の復路が接続される。サブ熱交換器412で熱交換された用水は、図中の矢印の方向に流れる。往路から流入する用水W0は、サブ熱交換器412で加熱されることにより温水W1,W2,W3となり、復路へ流出する。
温水タンク31に貯留されている用水W0は、往路上に設けられた循環ポンプCP1、逆止弁CKVおよび合流点M1を介してサブ熱交換器412に供給される。サブ熱交換器412で生成した温水W1は、復路上に設けられた分岐点P5およびバルブCV1を介して温水タンク31に還流される。つまり、循環ポンプCP1を駆動し、かつバルブCV1を開放することにより、第1加熱装置41と温水タンク31との循環路が形成される。
温水タンク32に貯留されている用水W0は、往路上に設けられた循環ポンプCP2、逆止弁CKVおよび合流点M1,M2を介してサブ熱交換器412に供給される。サブ熱交換器412で生成した温水W2は、復路上に設けられた分岐点P5、分岐点P64およびバルブCV2を介して温水タンク32に還流される。つまり、循環ポンプCP2を駆動し、かつバルブCV2を開放することにより、第1加熱装置41と温水タンク32との循環路が形成される。
温水タンク33に貯留されている用水W0は、往路上に設けられた循環ポンプCP3、逆止弁CKVおよび合流点M1,M2を介してサブ熱交換器412に供給される。サブ熱交換器412で生成した温水W3は、復路上に設けられた分岐点P5、分岐点P6およびバルブCV3を介して温水タンク33に還流される。つまり、循環ポンプCP3を駆動し、かつバルブCV3を開放することにより、第1加熱装置41と温水タンク33との循環路が形成される。
以上のように、循環ラインL5は、第1加熱装置41と、温水タンク31,32,33との循環路の組み合わせにより構成されている。これにより、第1加熱装置41からの熱エネルギーを、循環ラインL5を介して温水タンク31,32,33のいずれかにに供給することが可能になる。つまり、バルブCV1,CV2,CV3および循環ポンプCP1,CP2,CP3は、第1加熱装置41で加熱された用水の供給先を、前記温水タンクのいずれかに切り替える供給先切替手段として機能する。
各温水タンク31,32,33への補給水W0の供給は、給水ラインL0を通じて行われる。例えば、負荷設備11で温水W1が取り出されると、給水ラインL0に設けられた給水ポンプWP1の二次側圧力が下がる。この二次側圧力とは、温水タンク31の内部圧力に相当する圧力である。二次側圧力が下限圧力まで低下すると、給水ポンプWP1を駆動する。なお、二次側圧力の低下は、圧力スイッチや圧力センサで検知することができる。給水ポンプWP1を駆動することで、温水タンク31に補給水W0が供給される。
負荷設備11での温水W1の取り出しが止まると、給水ポンプWP1の二次側圧力が上がる。二次側圧力が上限圧力まで上昇すると、給水ポンプWP1を停止する。なお、二次側圧力の上昇は、その低下と同様に、圧力スイッチや圧力センサで検知することができる。給水ポンプWP1を駆動することで、温水タンク31への補給水W0の供給が停止される。
同様に、温水タンク32(温水タンク33)への補給水W0の供給は、負荷設備12(負荷設備13)での温水W2(温水W3)の取り出しに応じて給水ポンプWP2(給水ポンプWP3)を駆動することにより行われる。二次側圧力の上昇により給水ポンプWP2(給水ポンプWP3)を停止すると、温水タンク32(温水タンク33)への補給水W0の供給が停止される。
<制御部の概要>
優先順位設定手段110は、第1加熱装置41で加熱された用水の供給先である温水タンク31,32,33について、その優先順位を設定する。目標温度設定手段120は、第1加熱装置41で加熱された用水の供給先である温水タンク31,32,33ごとに、用水の目標温度を設定する。ここで、用水の目標温度は、サブ熱交換器412の出口温度に対する目標温度、あるいは各温水タンク31,32,33の蓄熱温度に対する目標温度として設定される。制御手段130は、優先順位設定手段110に設定された優先順位、および蓄熱状態量検知手段(温度成層検知用の温度センサ群)により検知された蓄熱状態量に基づいて、供給先切替手段(バルブCV1,CV2,CV3および循環ポンプCP1,CP2,CP3)および第1加熱装置41を制御する。
<第1加熱装置による給湯運転制御>
制御手段130は、先に説明した優先順位の設定に従って第1加熱装置41による給湯運転制御を行う。第1加熱装置41による給湯運転時は、循環ポンプCP1,CP2,CP3のいずれかを駆動する。
[優先1:温水タンク31への給湯]
温水タンク31の検知残湯量が規定量未満になると、温水タンク32および温水タンク33の検知残湯量に関わらず、温水タンク31に対して給湯運転を開始する。温水タンク32および温水タンク33のいずれかに対して給湯運転を実行中のときは、強制的に供給先を温水タンク31に切り替える。つまり、バルブCV1を開放したうえで循環ポンプCP1を駆動し、バルブCV2,CV3を閉鎖することにより、用水(温水W1)の供給先として温水タンク31を選択する。給湯運転を開始した後、温水タンク31の検知残湯量が最大量になると、バルブCV1を閉鎖すると共に循環ポンプCP1を停止して給湯運転を終了する。
[優先2:温水タンク32への給湯]
温水タンク31の検知残湯量が規定量以上の状態にて、温水タンク32の検知残湯量が規定量未満になると、温水タンク33の検知残湯量に関わらず、温水タンク32に対して給湯運転を開始する。温水タンク33に対して給湯運転を実行中のときは、強制的に供給先を温水タンク32に切り替える。つまり、バルブCV2を開放したうえで循環ポンプCP2を駆動し、バルブCV1,CV3を閉鎖することにより、用水(温水W2)の供給先として温水タンク32を選択する。給湯運転を開始した後、温水タンク31の検知残湯量が最大量になると、バルブCV2を閉鎖すると共に循環ポンプCP2を停止して給湯運転を終了する。
[優先3:温水タンク33への給湯]
温水タンク31および温水タンク32の検知残湯量が規定量以上の状態にて、温水タンク31の検知残湯量が規定量未満になると、温水タンク33に対して給湯運転を開始する。つまり、バルブCV3を開放したうえで循環ポンプCP3を駆動し、バルブCV1,CV2を閉鎖することにより、用水(温水W1)の供給先として温水タンク33を選択する。給湯運転を開始した後、温水タンク33の検知残湯量が最大量になると、バルブCV3を閉鎖すると共に循環ポンプCP3を停止して給湯運転を終了する。
<第2加熱装置による給湯運転制御>
制御手段130は、温水タンク32および温水タンク33について、温度センサ群により残湯量が規定量未満であることを検知したにも関わらず第1加熱装置41による給湯ができない場合、具体的には、(i)優先順位の高い他の温水タンク31に対して第1加熱装置41による給湯運転を実行中である場合、または、(ii)第1加熱装置41による給湯運転を開始したが優先順位の高い他の温水タンク31に供給先を切り替えた場合、第2加熱装置61による給湯を行う。
第2加熱装置61による温水タンク22への給湯時は、循環ポンプCP2を駆動すると共にバルブCV2,BV1を開放し、用水を循環する。この用水は、蒸気加熱器322により加熱されて温水W2となる。給湯運転を開始した後、温水タンク32の検知残湯量が最大量になると、バルブCV2,BV1を閉鎖すると共に循環ポンプCP2を停止して給湯運転を終了する。
第2加熱装置61による温水タンク33への給湯時は、循環ポンプCP3を駆動すると共にバルブWV3,BV2を開放し、用水を供給する。この用水は、蒸気加熱器332により加熱されて温水W3となる。給湯運転を開始した後、温水タンク33の検知残湯量が最大量になると、バルブCV3,BV2を閉鎖すると共に循環ポンプCP3を停止して給湯運転を終了する。
<給湯運転制御のまとめ>
以上説明した制御手段130による給湯運転制御によれば、優先順位が最上位の温水タンク31に対しては、必ず第1加熱装置41による給湯が行われる。優先順位が下位の温水タンク32および温水タンク33に対しては、第1加熱装置41または第2加熱装置61による給湯が行われる。
(第4実施形態)
以下、本発明の温水製造システム1の第4実施形態について、図4を参照しながら説明する。図4は、本発明の第4実施形態に係る温水製造システム1の構成を模式的に示す図である。以下の説明では、先に説明した実施形態と相違する点を中心に説明し、先に説明した実施形態と相違しない点についは、その説明を省略する。
第4実施形態の温水製造システム1と、第3実施形態の温水製造システム1とは、第2加熱装置61の構成が異なる。第3実施形態では、第2加熱装置61として蒸気ボイラ611を用い、給蒸ラインL4を介して、蒸気S1が温水タンク32および温水タンク33に供給されていた。これに対して、第4実施形態では、第2加熱装置として負荷エリアBに対応する第2加熱装置51および負荷エリアCに対応する第2加熱装置52の2基を用いる。また、第2加熱装置51および第2加熱装置52は、第3実施形態の給蒸ラインL4のような温水タンクに熱エネルギーを直接供給するラインに備えられるのではなく、温水タンク32および温水タンク33のそれぞれと、独立した循環路を形成するラインに備えられている。
第4実施形態の温水製造システム1には、第2加熱装置51および第2加熱装置52に係る循環ラインとして、循環ラインL6,L7が敷設されている。循環ラインL6は、第2加熱装置51と温水タンク32との循環路を形成し、循環ラインL7は、第2加熱装置52と温水タンク33との循環路を形成する。
第2加熱装置51および第2加熱装置52は、第3実施形態における蒸気ボイラ(略号:BS)ではなく、温水ボイラ(略号:BH)で構成されている。具体的には、第2加熱装置51は温水ボイラ511を備え、第2加熱装置52は温水ボイラ521を備えている。温水ボイラ511,521は、それぞれ1台でもよいが、複数台を並列設置した1群で第2加熱装置51,52を構成することもできる。
第2加熱装置51および第2加熱装置52の構成は、加熱機構がヒートポンプであるか温水ボイラであるかを除けば、第1加熱装置41と同様である。すなわち、第2加熱装置51および第2加熱装置52は、サブ熱交換器512,522、サブ循環ラインLSおよびサブ循環ポンプLSPを備えている。それぞれのサブ循環ラインLSは、サブ熱交換器512(522)の高温側流路と、温水ボイラ511(521)の本体とを接続するラインである。サブ循環ラインLSを循環する熱媒体は、ボイラ本体での受熱により加熱されながらサブ熱交換器512(522)での放熱により冷却される。この熱媒体は、水であることが好ましい。
第2加熱装置51のサブ熱交換器512の低温側流路は、入口側に循環ラインL6の往路が接続され、出口側に循環ラインL6の復路が接続される。サブ熱交換器512で熱交換された用水は、図中の矢印の方向に流れる。往路から流入する用水W0は、サブ熱交換器512で加熱されることにより温水W2となり、復路へ流出する。
温水タンク32に貯留されている用水W0は、往路上に設けられた循環ポンプCP4および逆止弁CKVを介してサブ熱交換器512に供給される。サブ熱交換器512で生成した温水W2は、復路上に設けられたバルブCV4を介して温水タンク32に還流される。つまり、循環ポンプCP4を駆動し、かつバルブCV4を開放することにより、第2加熱装置51と温水タンク32との循環路が形成される。
第2加熱装置52のサブ熱交換器522の低温側流路は、入口側に循環ラインL7の往路が接続され、出口側に循環ラインL7の復路が接続される。サブ熱交換器522で熱交換された用水は、図中の矢印の方向に流れる。往路から流入する用水W0は、サブ熱交換器522で加熱されることにより温水W3となり、復路へ流出する。
温水タンク33に貯留されている用水W0は、往路上に設けられた循環ポンプCP5および逆止弁CKVを介してサブ熱交換器512に供給される。サブ熱交換器512で生成した温水W3は、復路上に設けられたバルブCV5を介して温水タンク33に還流される。つまり、循環ポンプCP5を駆動し、かつバルブCV5を開放することにより、第2加熱装置52と温水タンク33との循環路が形成される。
また、第2加熱装置51(52)の運転中には、制御部100(または装置内のローカル制御器)により出力制御が行われる。具体的には、サブ熱交換器512(522)の出口温度が目標温度(目標温度設定手段120の設定温度)に収束するように、温水ボイラ511(521)のバーナの燃焼量を調整する。
第4実施形態では、第2加熱装置51(第2加熱装置52)による給湯運転制御において、温水タンク32(温水タンク33)への熱エネルギーの供給は、循環ポンプCP4およびバルブCV4(循環ポンプCP5およびバルブCV5)を制御することで行うことができる。
第2実施形態では、第3実施形態と同様に、温度成層検知用の温度センサ群が蓄熱量検知手段として機能するほか、バルブCV1,CV2,CV3および循環ポンプCP1,CP2,CP3が供給先切替手段として機能する。そして、制御手段130は、第3実施形態と同様に、第1加熱装置41および第2加熱装置51,52の給湯運転制御を実行する。
(第5実施形態)
以下、本発明の温水製造システム1の第5実施形態について、図5を参照しながら説明する。図5は、本発明の第5実施形態に係る温水製造システム1の構成を模式的に示す図である。以下の説明では、先に説明した実施形態と相違する点を中心に説明し、先に説明した実施形態と相違しない点についは、その説明を省略する。
<温水製造システムの概要>
図5は、第1実施形態に係る温水製造システム1の構成を模式的に示す図である。温水製造システム1は、事業所内に存在する複数の負荷設備で利用する用水を温水化するものである。温水製造システム1で温水化された用水は、負荷設備において熱媒水として間接使用される。
第5実施形態の温水製造システム1は、各負荷設備11,12,13での温熱需要に追従した温熱供給を行うため、負荷エリアA~Cのそれぞれに温水タンク21,22,23を備え、循環式の用水加熱により製造された温水を各温水タンク21,22,23に貯留する。各負荷設備11,12,13においては、生産プロセスの稼働によって温熱需要(給熱負荷)が発生する。
そのため、第1実施形態~第4実施形態では任意であった負荷設備から温水タンクへの返水ライン(復路配管)が必須となる。負荷設備11,12,13では、温水W1,W2,W3から熱が吸収されるのみであるため、温度低下した用水を各温水タンク21,22,23に戻しつつ、再加熱する必要があるためである。また、温水W1,W2,W3が負荷設備11,12,13において取り出されないため、通常時は補給水W0の供給は必要としない。
上述の相違により、ラインの構成が第1実施形態と異なる箇所がある。すなわち、第1実施形態では、給水ラインL0に第1加熱装置41が備えられていた。それにより、加熱された補給水W0を温水タンク21,22,23に供給することが可能であった。これに対し、第5実施形態では、給水ラインL0に第1加熱装置41は備えられていない。第5実施形態では、第1加熱装置41は、給水ラインL0とは独立した返水ラインL8にそなえられている。なお、第1加熱装置41には、返水ラインL8を流通する用水が導入されるため、返水ラインL8を第1加熱装置41に対する給水ラインということもできる。
<ライン構成、温水タンク、供給先切替手段および蓄熱状態量検知手段>
返水ラインL8は、負荷設備11,12,13で熱利用後の温水W1,W2,W3が配水元である温水タンク21,22,23に還流されるように構成されている。
負荷設備11に係る返水ラインL8は、まず分岐点P9で分岐する。分岐した返水ラインL8の一方はバルブSV7を経由して温水タンク21に接続され、他方はバルブSV2、逆止弁CKV、合流点M3、分岐点P7およびバルブSV1を介して温水タンク21と接続される。バルブSV1,SV2を開放すると共にバルブSV7を閉鎖し、配水ポンプSP1を駆動すると、負荷設備11に対して配水ラインL1および返水ラインL8による第1の循環フローが形成される。また、バルブSV7を開放すると共にバルブSV1,SV2を閉鎖し、配水ポンプSP1を駆動すると、負荷設備11に対して配水ラインL1および返水ラインL8による第2の循環フローが形成される。
負荷設備12に係る返水ラインL8は、まず分岐点P10で分岐する。分岐した返水ラインL8の一方はバルブSV8を経由して温水タンク22に接続され、他方はバルブSV4、逆止弁CKV、合流点M4、合流点M3、分岐点P7、分岐点P8およびバルブSV3を経由して温水タンク22と接続される。バルブSV3,SV4を開放すると共にバルブSV8を閉鎖し、配水ポンプSP2を駆動すると、負荷設備12に対して配水ラインL2および返水ラインL8による第1の循環フローが形成される。また、バルブSV8を開放すると共にバルブSV3,SV4を閉鎖し、配水ポンプSP2を駆動すると、負荷設備12に対して配水ラインL2および返水ラインL8による第2の循環フローが形成される。
負荷設備13に係る返水ラインL8は、まず分岐点P11で分岐する。分岐した返水ラインL8の一方はバルブSV9を経由して温水タンク23に接続され、他方はバルブSV6、逆止弁CKV、合流点M4、合流点M3、分岐点P7、分岐点P8およびバルブSV5を経由して温水タンク22と接続される。バルブSV5,SV6を開放すると共にバルブSV9を閉鎖し、配水ポンプSP3を駆動すると、負荷設備13に対して配水ラインL3および返水ラインL8による第1の循環フローが形成される。また、バルブSV9を開放すると共にバルブSV5,SV6を閉鎖し、配水ポンプSP3を駆動すると、負荷設備13に対して配水ラインL3および返水ラインL8による第2の循環フローが形成される。
第1加熱装置41のサブ熱交換器412は、合流点M3と分岐点P7を繋ぐ返水ラインL8に配置されている。すなわち、サブ熱交換器412の低温側流路は、入口側に合流点M3からの返水ラインL8が接続され、出口側に分岐点P7への返水ラインL8が接続される。この構成により、第1加熱装置41からの熱エネルギーを、返水ラインL8を介して温水タンク21,22,23に供給することが可能になる。つまり、バルブSV1~SV9は、第1加熱装置41で加熱された用水の供給先を、前記温水タンクのいずれかに切り替える供給先切替手段として機能する。
配水ラインL1,L2,L3には、それぞれ図示しない温度センサが設けられており、この温度センサにより、水タンク21,22,23から負荷設備11,12,13に配給される温水W1,W2,W3の往き温水温度を検知する。この往き温水温度は、現時点の温水タンク21,22,23の蓄熱温度に相当し、配水ラインの温度センサは蓄熱量検知手段として機能する。制御手段130は、温度センサにより把握された蓄熱量に基づいて、各温水タンク21,22,23に対する給熱運転の要否を判断する。
第5実施形態は、温水W1,W2,W3を循環しつつ、負荷設備11,12,13で温熱を取り出す構成(温熱出力)である。そのため、通常時は新たな用水、すなわち補給水W0の供給は必要としない。なお、循環する温水W1,W2,W3の定期的な入れ替え等の目的で温水タンク21,22,23のブローダウンを実施した場合や、温水W1,W2,W3の損失が発生した場合には、第1実施形態に準じた給水制御により用水(補給水W0)を温水タンク21,22,23に補充する。
<制御部の概要>
優先順位設定手段110は、第1加熱装置41で加熱された用水の供給先である温水タンク21,22,23について、その優先順位を設定する。目標温度設定手段120は、第1加熱装置41で加熱された用水の供給先である温水タンク21,22,23ごとに、用水の目標温度を設定する。ここで、用水の目標温度は、サブ熱交換器412の出口温度に対する目標温度、あるいは各温水タンク21,22,23の蓄熱温度に対する目標温度として設定される。制御手段130は、優先順位設定手段110に設定された優先順位、および蓄熱状態量検知手段(配水ラインの往き温水温度を検知する温度センサ)により検知された蓄熱状態量に基づいて、供給先切替手段(バルブSV1~SV9)および第1加熱装置41を制御する。
<第1加熱装置による給熱運転制御>
制御手段130は、先に説明した優先順位の設定に従って第1加熱装置41による給湯運転制御を行う。第1加熱装置41による給熱が行われていない状態では、負荷設備11,12,13のいずれに対しても前述した第2の循環フローが形成されている。
[優先1:温水タンク21への給熱]
温水タンク21からの往き温水温度が[目標温度-ΔT未満](40℃-5℃=35℃未満)になると、温水タンク22および温水タンク23からの往き温水温度に関わらず、温水タンク21に対して給熱運転を開始する。温水タンク22および温水タンク23のいずれかに対して給熱運転を実行中のときは、強制的に供給先を温水タンク21に切り替える。つまり、所定のバルブを操作して負荷設備11に対して前述した第1の循環フローに切り替え、第1加熱装置41を経由した用水(温水W1)の供給先として温水タンク21を選択する。給熱運転を開始した後、温水タンク21の検知温度が目標温度に達すると、所定のバルブを操作して負荷設備11に対して第2の循環フローに切り替え、給熱運転を終了する。
[優先2:温水タンク22への給熱]
温水タンク21からの往き温水温度が[目標温度-ΔT以上](40℃-5℃=35℃以上)の状態にて、温水タンク22からの往き温水温度が[目標温度-ΔT未満](60℃-5℃=55℃未満)になると、温水タンク23からの往き温水温度に関わらず温水タンク22に対して給熱運転を開始する。温水タンク23に対して給熱運転を実行中のときは、強制的に供給先を温水タンク22に切り替える。つまり、所定のバルブを操作して負荷設備12に対して前述した第1の循環フローに切り替え、第1加熱装置41を経由した用水(温水W2)の供給先として温水タンク22を選択する。給熱運転を開始した後、温水タンク22の検知温度が目標温度に達すると、所定のバルブを操作して負荷設備11に対して第2の循環フローに切り替え、給熱運転を終了する。
[優先3:温水タンク23への給熱]
温水タンク21および温水タンク22からの往き温水温度が[目標温度-ΔT以上](温水タンク21:40℃-5℃=35℃以上、温水タンク22:60℃-5℃=55℃以上)の状態にて、温水タンク23からの往き温水温度が[目標温度-ΔT未満](70℃-5℃=65℃未満)になると、温水タンク23に対して給熱運転を開始する。つまり、所定のバルブを操作して負荷設備13に対して前述した第1の循環フローに切り替え、第1加熱装置41を経由した用水(温水W3)の供給先として温水タンク23を選択する。給熱運転を開始した後、温水タンク23の検知温度が目標温度に達すると、所定のバルブを操作して負荷設備11に対して第2の循環フローに切り替え、給熱運転を終了する。
給熱運転の開始条件が温水タンクの蓄熱温度が目標温度よりも下がった状態であることから、温水タンクの蓄熱温度の増加速度を高めるため、第1加熱装置41の出口温度は目標温度よりも高く設定(例えば、+5℃)してもよい。なお、出口温度の調整は、冷媒圧縮機の出力調整により行う。
<第2加熱装置による給熱運転制御>
制御手段130は、温水タンク22および温水タンク23について、配水ラインの温度センサにより往き温水温度が[目標温度-ΔT未満]未満であることを検知したにも関わらず第1加熱装置41による給熱ができない場合、具体的には(i)優先順位の高い他の温水タンク21に対して第1加熱装置41による給熱運転を実行中である場合、または(ii)第1加熱装置41による給熱運転を開始したが優先順位の高い他の温水タンク21に供給先を切り替えた場合、第2加熱装置61による給熱を行う。
第2加熱装置61による温水タンク22への給熱時は、負荷設備12に対して第2の循環フローが形成されている状態にて、バルブBV1を開放する。温水タンク22に返送される温水W2は、蒸気加熱器222により再加熱される。給熱運転を開始した後、温水タンク22の検知温度が目標温度に達すると、バルブBV1を閉鎖して給熱運転を終了する。
第2加熱装置61による温水タンク23への給熱時は、負荷設備13に対して第2の循環フローが形成されている状態にて、バルブBV2を開放する。温水タンク23に返送される温水W3は、蒸気加熱器232により再加熱される。給熱運転を開始した後、温水タンク23の検知温度が目標温度に達すると、バルブBV2を閉鎖して給熱運転を終了する。
<給熱運転制御のまとめ>
以上説明した制御手段130による給熱運転制御によれば、優先順位が最上位の温水タンク21に対しては、必ず第1加熱装置41による給熱が行われる。優先順位が下位の温水タンク22および温水タンク23に対しては、第1加熱装置41または第2加熱装置61による給熱が行われる。
(第6実施形態)
以下、本発明の温水製造システム1の第6実施形態について、図6を参照しながら説明する。図6は、本発明の第6実施形態に係る温水製造システム1の構成を模式的に示す図である。以下の説明では、先に説明した実施形態と相違する点を中心に説明し、先に説明した実施形態と相違しない点についは、その説明を省略する。
第6実施形態の温水製造システム1と、第5実施形態の温水製造システム1とは、第2加熱装置61の構成が異なる。第5実施形態では、第2加熱装置61として蒸気ボイラ611を用い、蒸気S1が給蒸ラインL4を介して温水タンク22および温水タンク23に供給されていた。これに対して、第6実施形態では、第2加熱装置として、負荷エリアBに対応する第2加熱装置51および負荷エリアCに対応する第2加熱装置52の2基を用いる。また、第2加熱装置51および第2加熱装置52は、第5実施形態の給蒸ラインL4のような温水タンクに熱エネルギーを直接供給するラインに備えられるのではなく、返水ラインL8の中途部に配置されている。
第2加熱装置51および第2加熱装置52は、第5実施形態における蒸気ボイラ(略号:BS)ではなく、温水ボイラ(略号:BH)で構成されている。具体的には、第2加熱装置51は温水ボイラ511を備え、第2加熱装置52は温水ボイラ521を備えている。温水ボイラ511,521は、それぞれ1台でもよいが、複数台を並列設置した1群で第2加熱装置51,52を構成することもできる。
第2加熱装置51および第2加熱装置52の構成は、加熱機構がヒートポンプであるか温水ボイラであるかを除けば、第1加熱装置41と同様である。すなわち、第2加熱装置51および第2加熱装置52は、サブ熱交換器512,522、サブ循環ラインLSおよびサブ循環ポンプLSPを備えている。それぞれのサブ循環ラインLSは、サブ熱交換器512(522)の高温側流路と、温水ボイラ511(521)の本体とを接続するラインである。サブ循環ラインLSを循環する熱媒体は、ボイラ本体での受熱により加熱されながらサブ熱交換器512(522)での放熱により冷却される。この熱媒体は、水であることが好ましい。
第2加熱装置51のサブ熱交換器512は、分岐点P10と温水タンク22を接続する返水ラインL8に配置されている。すなわち、サブ熱交換器512の低温側流路は、入口側に分岐点P10からの返水ラインL8が接続され、出口側に温水タンク22への返水ラインL8が接続される。サブ熱交換器512は、返水ラインL8を流通する用水と、温水ボイラ511のサブ循環ラインLSを流通する熱媒体との間の熱交換を行い、用水を加熱する補機として機能する。
第2加熱装置52のサブ熱交換器522は、分岐点P11と温水タンク23を接続する返水ラインL8に配置されている。すなわち、サブ熱交換器522の低温側流路は、入口側に分岐点P11からの返水ラインL8が接続され、出口側に温水タンク23への返水ラインL8が接続される。サブ熱交換器522は、返水ラインL8を流通する用水と、温水ボイラ521のサブ循環ラインLSを流通する熱媒体との間の熱交換を行い、用水を加熱する補機として機能する。
第2加熱装置51(52)による温水タンク22(23)への給熱時は、負荷設備12(13)に対して第2の循環フローが形成されている状態にて、サブ循環ポンプLSPを駆動すると共に温水ボイラ511(521)を運転する。第2加熱装置51(52)の運転中には、制御部100(または装置内のローカル制御器)により出力制御が行われる。具体的には、サブ熱交換器512(522)の出口温度が目標温度(目標温度設定手段120の設定温度)に収束するように、温水ボイラ511(521)のバーナの燃焼量を調整する。
第6実施形態では、第5実施形態と同様に、往き温水温度検知用の温度センサが蓄熱量検知手段として機能するほか、バルブSV1~SV9が供給先切替手段として機能する。そして、制御手段130は、第5実施形態と同様に、第1加熱装置41および第2加熱装置51,52の給熱転制御を実行する。
(第7実施形態)
以下、本発明の温水製造システム1の第7実施形態について、図7を参照しながら説明する。図7は、本発明の第7実施形態に係る温水製造システム1の構成を模式的に示す図である。以下の説明では、先に説明した実施形態と相違する点を中心に説明し、先に説明した実施形態と相違しない点についは、その説明を省略する。
<温水製造システムの概要>
第7実施形態の温水製造システム1は、各負荷設備11,12,13での温熱需要に追従した温熱供給を行うため、負荷エリアA~Cのそれぞれに温水タンク31,32,33を備え、循環式の用水加熱により製造された温水を各温水タンク31,32,33に貯留する。各負荷設備11,12,13においては、生産プロセスの稼働によって温熱需要(給熱負荷)が発生する。
第7実施形態の温水製造システム1の温水タンク31,32,33と、第5実施形態の温水製造システム1の温水タンク21,22,23とは、構成が異なる。第5実施形態では、温水タンク21,22,23は開放タンクであったのに対して、第7実施形態では、温水タンク31,32,33は密閉タンクである。また、温水タンク31,32,33が密閉タンクになったことに伴い、第1加熱装置41と温水タンク31,32,33と接続するラインの構成が第5実施形態のラインと異なる。第7実施形態では、このラインが循環ラインL5となっている。温水タンク31および温水タンク32に付設される蒸気加熱器は、それぞれ符号322,332として示されている。
<ライン構成、温水タンク、供給先切替手段および蓄熱状態量検知手段>
第7実施形態における返水ラインは、負荷設備11,12,13から各温水タンク31,32,33に温水W1,W2,W3が戻る独立した3本の返水ラインL9,L10,L11により構成される。
返水ラインL9は、負荷設備11で熱利用後の温水W1が配水元である温水タンク21に還流されるように構成されている。分岐点P1から延びる給水ラインL0は、合流点M5において返水ラインL9に接続されている。
返水ラインL10は、負荷設備12で熱利用後の温水W2が配水元である温水タンク22に還流されるように構成されている。分岐点P2から延びる給水ラインL0の一方は、合流点M6において返水ラインL10に接続されている。
返水ラインL11は、負荷設備13で熱利用後の温水W3が配水元である温水タンク23に還流されるように構成されている。分岐点P2から延びる給水ラインL0の他方は、合流点M7において返水ラインL11に接続されている。
循環ラインL5に対する第1加熱装置30の配置等、その他の構成は、第3実施形態に準じている。
第7実施形態では、第3実施形態と同様に、温度成層検知用の温度センサ群が蓄熱量検知手段として機能するほか、バルブCV1,CV2,CV3および循環ポンプCP1,CP2,CP3が供給先切替手段として機能する。そして、制御手段130は、第3実施形態の給湯運転制御に準じる形で、第1加熱装置41および第2加熱装置51,52の給熱運転制御を実行する。
(第8実施形態)
以下、本発明の温水製造システム1の第8実施形態について、図8を参照しながら説明する。図8は、本発明の第8実施形態に係る温水製造システム1の構成を模式的に示す図である。以下の説明では、先に説明した実施形態と相違する点を中心に説明し、先に説明した実施形態と相違しない点についは、その説明を省略する。
第8実施形態の温水製造システム1と、第7実施形態の温水製造システム1とは、第2加熱装置61の構成が異なる。第7実施形態では、第2加熱装置61として蒸気ボイラ611を用い、蒸気S1が給蒸ラインL4を介して温水タンク32および温水タンク33に供給されていた。これに対して、第8実施形態では、第2加熱装置として、負荷エリアBに対応する第2加熱装置51および負荷エリアCに対応する第2加熱装置52の2基を用いる。また、第2加熱装置51および第2加熱装置52は、第7実施形態の給蒸ラインL4のような温水タンクに熱エネルギーを直接供給するラインに備えられるのではなく、温水タンク32および温水タンク33のそれぞれと、独立した循環路を形成するラインに備えられている。
第8実施形態の温水製造システム1には、第2加熱装置51および第2加熱装置52に係る循環ラインとして、循環ラインL6,7が敷設されている。循環ラインL6は、第2加熱装置51と温水タンク32との循環路を形成し、循環ラインL7は、第2加熱装置52と温水タンク33との循環路を形成する。この循環ラインL6及び循環ラインL7は、図4に基づいて説明した第4実施形態の循環ラインL6及び循環ラインL7と同様である。
循環ラインL6,7に対する第2加熱装置51,52の配置等、その他の構成は、第4実施形態に準じている。
第8実施形態では、第4実施形態と同様に、温度成層検知用の温度センサ群が蓄熱量検知手段として機能するほか、バルブCV1,CV2,CV3および循環ポンプCP1,CP2,CP3が供給先切替手段として機能する。そして、制御手段130は、第4実施形態の給湯運転制御に準じる形で、第1加熱装置41および第2加熱装置51,52の給熱運転制御を実行する。
以上説明した上述の実施形態の温水製造システム1によれば、以下のような効果を奏する。
(1)温水製造システム1は、事業所内に存在する複数の負荷設備11,12,13で利用する用水を温水化する温水製造システム1であって、負荷設備11,12,13の各々と対応関係にある複数の温水タンク21,22,23と、電気式ヒートポンプ411により用水W0を加熱する第1加熱装置41と、第1加熱装置41で加熱された用水W1,W2,W3の供給先を、温水タンク21,22、23のいずれかに切り替える供給先切替手段と、供給先の優先順位を設定する優先順位設定手段110と、供給先ごとに用水の目標温度を設定する目標温度設定手段120と、温水タンク21,22、23の各々の蓄熱状態量を検知する蓄熱状態量検知手段と、優先順位および蓄熱状態量に基づいて、供給先切替手段および第1加熱装置41を制御する制御手段130と、を備え、制御手段130は、目標温度に基づいて、第1加熱装置41の熱出力を制御する。
これにより、電気式ヒートポンプ411の休止時間を減らして年間稼働時間を延ばすことのできる温水製造システム1を提供することができる。
また、本構成によれば、優先順位および蓄熱状態量(水位、温度、残湯量などに代表される蓄熱量を把握するために用いる状態量)に基づいて、温水の供給先としての温水タンク21,22、23が切り替えられると共に、第1加熱装置41による加熱動作が実行される。これにより、いずれかの温水タンク21,22,23で蓄熱量が低下したときには、優先順位の高い温水タンク21,22,23から順に温水の供給が行われ、蓄熱量が回復される。加熱動作の実行中には、用水の目標温度(各負荷設備ごとの要求温度に相当)に応じて、第1加熱装置41の熱出力が調整される。これにより、1台(または1群)のヒートポンプ式加熱装置を使って、温水タンク21,22、23ごとに異なる目標温度を充足するように蓄熱することができる。
また、本構成によれば、複数の負荷設備11,12,13のいずれかで熱エネルギーの需要が発生してさえいれば、第1加熱装置41により温水の製造を継続するので、エネルギー効率の高い電気式ヒートポンプ411の年間稼働時間が長くなる。その結果、システムの導入費用の償却期間が短縮される。
(2)(1)の温水製造システム1において、燃焼式ボイラにより用水を加熱する第2加熱装置61(51,52)を更に備え、制御手段130は、蓄熱状態量および前記供給先切替手段の切替状態に基づいて、第2加熱装置61(51,52)を制御する。
本構成によれば、第1加熱装置41で加熱された用水の供給先となっていない温水タンク22,23で蓄熱量が不足する場合、第2加熱装置61(51,52)を使用して蓄熱量が回復される。つまり、複数の負荷設備全体における熱エネルギーの需要変化に対して、第1加熱装置41はベースロード熱源装置として動作し、第2加熱装置61(51,52)はピークロード熱源装置として動作する。これにより、不足する熱エネルギーを迅速かつ過不足なく供給することができ、しかも熱エネルギーの生成に伴うシステム全体のCO排出量を最小化することができる。
(3)(1)または(2)の温水製造システム1において、目標温度設定手段120は、事業所内での電力需要調整の実施の有無に応じて、目標温度を設定する。
本構成によれば、事業所内で電力消費を促進する電力需要調整を実施する場合に、電力需要調整を実施しない場合よりも目標温度を高く設定し、温水タンクの蓄熱量を増量する。電力料金の価格設定の引き下げ期においては、電気エネルギーを積極的に活用することにより、ランニングコストとCO排出量の削減を同時に図ることができる。
具体的には、電力需要調整を実施しない場合は、電気式ヒートポンプ411の冷媒圧縮機を所定の出力ポイントで駆動し、40℃以上70℃以下程度の温水を製造する。電力需要調整を実施する場合は、電力供給元で発生した余剰電力を消費するため、電気式ヒートポンプ411の冷媒圧縮機をより高い出力ポイントで駆動し、80℃以上90℃以下程度の高温水を製造する。なお、負荷設備11,12,13で高温水を利用する際には、高温水と常温水を混合したり、高温水と常温水を熱交換したりすることで、所要温度の温水が得られる。
(4)(1)または(2)の温水製造システム1において、目標温度設定手段120は、電気式ヒートポンプ411のデフロスト運転の実施スケジュールに応じて、目標温度を設定する。
本構成によれば、電気式ヒートポンプ411のデフロスト運転の開始時刻が近づくと、通常の給湯運転(デフロスト運転の終了から所定期間の給湯運転)よりも目標温度を高く設定し、温水タンク21,22、23の蓄熱量を増量する。これにより、デフロスト運転の実行による給湯運転の中断に備えておくことができる。
具体的には、通常の給湯運転時には、電気式ヒートポンプ411の冷媒圧縮機を所定の出力ポイントで駆動し、40℃以上70℃以下程度の温水を製造する。デフロスト運転の開始時刻が近づくと、電気式ヒートポンプ411の冷媒圧縮機をより高い出力ポイントで駆動し、80℃以上90℃以下程度の高温水を製造する。なお、負荷設備11,12,13で高温水を利用する際には、高温水と常温水を混合したり、高温水と常温水を熱交換したりすることで、所要温度の温水が得られる。
(5)(1)から(4)のいずれかの温水製造システム1において、給水設備から用水を第1加熱装置41に供給、または負荷設備11,12,13で利用後の用水を前記第1加熱装置41に供給する給水ラインL01と、第1加熱装置41で加熱された用水を温水タンク21,22,23の各々に供給する複数の給湯ラインL02と、を備え、供給先切替手段は、給湯ラインL02のいずれかを選択することにより、用水の供給先を切り替えるように構成される。
本構成によれば、一過式の加熱により、複数の温水タンク21,22,23に対して温水が供給される。一過式の加熱では、第1加熱装置41の入口温度と出口温度の差が大きい加熱方式であるため、シャワー洗浄や加熱殺菌など、熱エネルギーの消費規模が比較的大きい負荷設備11,12,13に対する温水の製造に適している。
(6)(1)から(4)のいずれかの温水製造システム1において、温水タンク21,22,23の各々と第1加熱装置41の間に形成された複数の循環ラインL5を備え、供給先切替手段は、循環ラインL5のいずれかを選択することにより、用水の供給先を切り替えるように構成される。
本構成によれば、循環式の加熱により、複数の温水タンク21,22,23に対して温水が供給される。循環式の加熱では、第1加熱装置41の入口温度と出口温度の差が小さい加熱方式であるため、貯蔵・加工・洗浄等に用いる塔槽類の保温など、熱エネルギーの消費規模が比較的小さい負荷設備11,12,13に対する温水の製造に適している。
(7)(1)から(6)のいずれかの温水製造システム1において、蓄熱状態量は、温水タンク21,22、23の水位、温度、および残湯量のいずれか一以上である。
本構成によれば、所要のセンサ類を活用して温水タンク21,22,23の水位、温度、残湯量のいずれかを検知することにより、温水タンク21,22,23の蓄熱量が把握される。蓄熱量の減少は、負荷設備11,12,13における熱エネルギーの需要量の増加によるものなので、温水タンク21,22,23の蓄熱量に応じて第1加熱装置41や第2加熱装置61(51,52)を運転させることで、熱エネルギーを過不足なく供給することができる。
以上、本発明の温水製造システムの好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。上記実施形態の個々の構成を2つ以上組み合わせたものも本発明である。
1 温水製造システム
11,12,13 負荷設備
21,22,23 温水タンク(開放式タンク)
31,32,33 温水タンク(密閉式タンク)
41 第1加熱装置
411 電気式ヒートポンプ
412 サブ熱交換器
51,52 第2加熱装置
511,521 温水ボイラ
512,522 サブ熱交換器
61 第2加熱装置
611 蒸気ボイラ
100 制御部
110 優先順位設定手段
120 目標温度設定手段
130 制御手段
LS サブ循環ライン
LSP サブ循環ポンプ
L0,L01 給水ライン
L02 給湯ライン
L1,L2,L3 配水ライン
L4 給蒸ライン
L5,L6,L7 循環ライン
L8 返水ライン(給水ライン)
L9,L10,L11 返水ライン
S1 蒸気
W0 補給水(用水)
W1,W2,W3 温水(用水)

Claims (7)

  1. 事業所内に存在する複数の負荷設備で利用する用水を温水化する温水製造システムであって、
    前記負荷設備の各々と対応関係にある複数の温水タンクと、
    電気式ヒートポンプにより用水を加熱する第1加熱装置と、
    前記第1加熱装置で加熱された用水の供給先を、前記温水タンクのいずれかに切り替える供給先切替手段と、
    前記供給先の優先順位を設定する優先順位設定手段と、
    前記負荷設備ごとの要求温度を満たすように、前記供給先ごとに用水の目標温度を設定する目標温度設定手段と、
    前記温水タンクの各々の蓄熱状態量を検知する蓄熱状態量検知手段と、
    前記優先順位および前記蓄熱状態量に基づいて、前記供給先切替手段および前記第1加熱装置を制御する制御手段と、を備え、
    前記制御手段は、前記目標温度に基づいて、前記第1加熱装置の熱出力を制御し、
    前記優先順位は、前記目標温度が低いほど上位になるように設定される
    温水製造システム。
  2. 蒸気ボイラまたは温水ボイラにより用水を加熱する第2加熱装置を更に備え、
    前記第2加熱装置は、少なくとも前記優先順位が最上位以外の前記温水タンクに対応付けられて設けられており、
    前記制御手段は、前記第1加熱装置で加熱された用水の供給先となっていない前記温水タンクの前記蓄熱状態量が所定量を下回る場合、前記第2加熱装置を使用して前記蓄熱状態量を回復させる
    請求項1に記載の温水製造システム。
  3. 前記目標温度設定手段は、前記事業所内での電力需要調整の実施の有無に応じて、前記要求温度を満たす範囲で前記目標温度を設定する
    請求項1または請求項2に記載の温水製造システム。
  4. 前記目標温度設定手段は、前記電気式ヒートポンプのデフロスト運転の実施スケジュールに応じて、前記要求温度を満たす範囲で前記目標温度を設定する
    請求項1または請求項2に記載の温水製造システム。
  5. 給水設備から用水を前記第1加熱装置に供給、または前記負荷設備で利用後の用水を前記第1加熱装置に供給する給水ラインと、
    前記第1加熱装置で加熱された用水を前記温水タンクの各々に供給する複数の給湯ラインと、を備え、
    前記供給先切替手段は、前記給湯ラインのいずれかを選択することにより、用水の供給先を切り替えるように構成される
    請求項1または請求項2に記載の温水製造システム。
  6. 前記温水タンクの各々と前記第1加熱装置の間に形成された複数の循環ラインを備え、
    前記供給先切替手段は、前記循環ラインのいずれかを選択することにより、用水の供給先を切り替えるように構成される
    請求項1または請求項2に記載の温水製造システム。
  7. 前記蓄熱状態量は、前記温水タンクの水位、温度、および残湯量のいずれか一以上である
    請求項1または請求項2に記載の温水製造システム。
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