JP7451955B2 - インクジェット記録装置及びインク加熱制御方法 - Google Patents

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Description

この発明は、インクジェット記録装置及びインク加熱制御方法に関する。
インクをノズルから吐出させて媒体上に画像などを記録するインクジェット記録装置がある。吐出されるインクは、記録媒体上で適切に定着する色材を含む液体として吐出される。この液体の粘性などが温度によって変化する場合、粘度が変化すると所望のタイミング及び速度で所望の液滴量のインクが吐出されなくなり、記録画像の画質が低下する。したがって、このインクジェット記録装置1では、インクを適切な温度で加熱維持する必要が生じる。インクの加熱に吐出動作に係る駆動ICの動作熱を利用する技術が知られている(特許文献1)。
一方で、ノズル内では、インクの表面(メニスカス)が空気と接触することで水分が蒸発する。インクが吐出されないまま時間が経過すると、水分の蒸発に伴ってインク表面(液面)付近の色材(顔料など)の割合が上昇して粘度が変化する場合がある。これに対し、ノズル内のインクを吐出されない程度に振動させて撹拌する技術がある。
特開2003-320678号公報
しかしながら、吐出させずないメニスカスの振動により撹拌されるインクはノズル内の一部であり、長期間振動させ続けると、むしろ表面の蒸発が進んで局所的に濃度が上昇して適正にインクの吐出がされなくなるという課題がある。
この発明の目的は、より確実にインクを吐出させることのできるインクジェット記録装置及びインク加熱制御方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、
ノズルを有し、前記ノズル内のインクに圧力変動を付与して吐出させる記録素子と、
前記記録素子を動作させる電気信号を出力する駆動部と、
前記駆動部の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記記録素子のインクは、前記駆動部が発する熱によって加熱され、
前記制御部は、前記記録素子によりインクを吐出させない非吐出期間において、前記ノズル内のインク面を振動させる第1動作と、前記インク面を振動させない第2動作とを組み合わせ組み合わせ、前記非吐出期間の開始からの経過時間が所定の時間となった場合に前記第1動作から前記第2動作へ切り替えて前記駆動部に行わせることで、前記駆動部の発熱量制御を行う
ことを特徴とするインクジェット記録装置である。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のインクジェット記録装置において、
前記駆動部は、互いに異なる駆動波形の前記電気信号により前記第1動作及び前記第2動作を行うことを特徴とする。
また、請求項記載の発明は、請求項1又は2記載のインクジェット記録装置において、
前記経過時間には、前記非吐出期間の前に前記記録素子によりインクを吐出させた吐出期間における当該記録素子によるインク吐出頻度の情報に基づく加算時間が含まれることを特徴とする。
また、請求項記載の発明は、請求項1~のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置において、
前記制御部は、前記非吐出期間の終了時に前記第1動作を行わせることを特徴とする。
また、請求項記載の発明は、請求項1~のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置において、
前記制御部は、前記記録素子により吐出されるインクの種別ごとにそれぞれ前記発熱量制御を行うことを特徴とする。
また、請求項記載の発明は、請求項1~のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置において、
前記記録素子のインクを加熱する熱には、前記ノズルの少なくとも一部の発熱が含まれることを特徴とする。
また、請求項記載の発明は、請求項1~のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置において、
インクの温度に係る計測を行う第1計測部を備え、
前記制御部は、前記第1計測部の計測結果に基づいて前記発熱量制御を行う
ことを特徴とする。
また、請求項記載の発明は、請求項1~のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置において、
当該インクジェット記録装置の周囲の温度を計測する第2計測部を備え、
前記制御部は、前記第2計測部の計測結果に基づいて前記発熱量制御を行う
ことを特徴とする。
また、請求項記載の発明は、請求項1~のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置において、
当該インクジェット記録装置の周囲の湿度を計測する第3計測部を備え、
前記制御部は、前記第3計測部の計測結果に基づいて前記発熱量制御を行う
ことを特徴とする。
また、請求項10記載の発明は、請求項1~のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置において、
前記ノズルの開口面を覆って、覆われた部分を保湿する保湿部を備え、
前記制御部は、前記非吐出期間において、前記保湿部による保湿状態の間には、前記第1動作を行わせることを特徴とする。
また、請求項11記載の発明は、請求項1~10のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置において、
前記第1動作で前記インク面を振動させる駆動波形は、前記インクを吐出させる前記電
気信号に係る駆動波形の一部であることを特徴とする。
また、請求項12記載の発明は、請求項1~11のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置において、
前記第2動作で前記インク面を振動させない駆動波形は、複数の駆動波形の前記電気信号の組み合わせにより生成されることを特徴とする。
また、請求項13記載の発明は、
ノズルを有し、前記ノズル内のインクに圧力変動を付与して吐出させる記録素子と、前記記録素子を動作させる電気信号を出力する駆動部と、を備え、前記記録素子のインクは、前記駆動部が発する熱によって加熱されるインクジェット記録装置のインク加熱制御方法であって、
前記記録素子によりインクを吐出させない非吐出期間において、前記ノズル内のインク面を振動させる第1動作と、前記インク面を振動させない第2動作とを組み合わせ、前記非吐出期間の開始からの経過時間が所定の時間となった場合に前記第1動作から前記第2動作へ切り替えて前記駆動部に行わせることで、前記駆動部の発熱量制御を行う調整ステップを含む
ことを特徴とする。
本発明に従うと、インクジェット記録装置においてより確実にインクを吐出させることができるという効果がある。
インクジェット記録装置の概略構成を示す斜視図である。 ヘッドユニットの底面について説明する図である。 記録ヘッドを正面から搬送方向に沿って見た場合の内部構造を簡単に説明する図である。 インクジェット記録装置の機能構成を示すブロック図である。 駆動基板から出力される駆動波形信号と、各圧電素子へ出力される駆動波形とを説明する図である。 各波形を出力するヘッド駆動部の回路構成の概略を説明する図である。 インクの粘度及び温度の変化について説明する図である。 インクジェット記録装置で実行される圧電素子26の駆動制御処理の制御手順を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態のインクジェット記録装置1の概略構成を示す斜視図である。
インクジェット記録装置1は、搬送部10と、記録動作部20と、制御部40となどを備える。
搬送部10は、画像を記録する対象の媒体(記録媒体M)を画像記録位置に移動させ、また、排出させる。搬送部10は、駆動ローラー11と、搬送ベルト12と、従動ローラー13と、搬送モーター14と、押さえローラー15などを備える。
搬送ベルト12は、ここでは、無端状であり、駆動ローラー11と従動ローラー13との間にかけ渡されて、駆動ローラー11の回転に応じて移動する。駆動ローラー11は、搬送モーター14の回転動作に応じた速度で回転動作する。従動ローラー13は、搬送ベルト12の移動に応じた速度で回転する。搬送ベルト12の外周面上に所定位置で記録媒体Mが載置されて移動しながら画像が記録され、画像記録後に所定位置で排出される。押さえローラー15は、搬送ベルト12に載置された記録媒体Mを搬送ベルト12に押し付けることでしわなどによる記録媒体Mの浮き上がりを除去する。押さえローラー15は、自重で記録媒体Mを搬送ベルト12に押さえ付け、記録媒体M及び搬送ベルト12の移動に応じて回転するものであってよい。
記録動作部20は、搬送ベルト12上の記録媒体Mに対してインクを吐出して画像を記録する。特には限られないが、ここでは、記録動作部20は、シアン色のインクを吐出するヘッドユニット21C、マゼンタ色のインクを吐出するヘッドユニット21M、イエローのインクを吐出するヘッドユニット21Y、及び黒色のインクを吐出するヘッドユニット21Kの4色を有する。以降では、これらの一部又は全部をヘッドユニット21とも記す。
図2は、ヘッドユニット21の記録媒体M(搬送ベルト12の外側面)と対向する底面について説明する図である。
図2(a)の底面図に示すように、ヘッドユニット21は、キャリッジ210と、複数の記録ヘッド211とを有する。記録ヘッド211は、2つずつの組となって、記録媒体Mの搬送方向に垂直な幅方向について画像を記録可能な全幅にわたって配置されてキャリッジ210に固定され、ラインヘッドをなしている。各記録ヘッド211の底面には、ノズル27(図3参照)の開口27a(ノズル開口)並んでおり、記録媒体Mから所定の間隔(搬送方向及び幅方向に垂直な高さ方向についての距離)となる位置で各々インクが吐出される。ここでは説明のため開口27aが明示されているが、実際には開口27aのサイズ及び間隔は、これよりも非常に小さくてよい。
図2(b)に示すように、記録ヘッド211の底面がヘッドユニット21の底面に露出して位置している。開口27aを含むヘッドユニット21の底面(開口面)には、キャップ32(蓋体)が着脱可能であり、インクの吐出を行わない期間では、キャップ32で開口27a(開口面全体であってもよい)を覆うことで、覆われた範囲内(部分)を保湿し、ノズル27内のインクの揮発を抑制する。キャップ32は、水が満たされる貯水部又は多くの水分を含む含水部材といった加湿部32aを有し、キャップ32の内側の湿度を高く維持することが可能であってよい。
図3は、記録ヘッド211を正面から搬送方向に沿って見た場合の内部構造を簡単に説明する図である。
記録ヘッド211では、インク流路215から個別に分岐した図示略の個別流路を介して各ノズル27にインクが供給される。また、記録ヘッド211のインク流路215は、供給口215a及び排出口215bを有する。供給口215aからインクが流入し、ノズル27から吐出されないインクは排出口215bから排出される。個別流路に沿って圧電素子26(図4参照)が位置し、圧電素子26に電圧変化を与えることで変形して個別流路を伸縮させて、インクに圧力変動を付与する。
インクジェット記録装置1で吐出されるインクは、特には限られないが、インクの温度に応じて粘度が変化するものである。通常では、インクの温度が高くなるほど粘度が低く、インク温度が低くなるほど粘度が高くなる。例えば、インクの温度が高すぎると、記録媒体Mに着弾したのちに速やかに温度が低下しないので、定着するまでに記録媒体Mの表面上で広がりすぎたり浸透し過ぎたりしやすくなる。したがって、インク吐出時の温度は適切な温度範囲に維持されるのが好ましい。
ノズル27が複数設けられているノズルプレート216がインク流路215を含む流路部材と接合されていてもよい。流路部材には、当該流路部材の温度を計測するヘッド計測部61(第1計測部)を有する。流路部材の温度は、おおむねインクの温度と同程度の値で同様に変化を示すので、インクの温度に係る計測値として利用可能である。ヘッド計測部61は、例えば、サーミスターなどである。
また、記録ヘッド211は、筐体213、筐体213の内側に収容される駆動基板212、及び駆動基板212の出力信号を選択して各圧電素子26に出力するドライバーIC214を有する。駆動基板212は、上記圧電素子26に駆動信号(電気信号)を出力する。駆動基板212からは、電圧振幅及びタイミングの異なる駆動信号が複数パターン出力され、ドライバーIC214が各ノズル27に対応する圧電素子26へ出力する駆動信号を選択する。ドライバーIC214は、特には限られないが、複数のノズル27に対応する圧電素子26に対して並列に波形パターンを選択、出力可能である。
駆動基板212及びドライバーIC214は、駆動信号に応じた電流が流れることでジュール熱が発生して発熱する。発生した熱は、流路部材を介してインク流路215のインクを加熱し、また、ノズルが設けられたノズルプレート216を介してノズル27内のインクを加熱する。
図4は、インクジェット記録装置1の機能構成を示すブロック図である。
インクジェット記録装置1は、上述の搬送部10、記録動作部20、制御部40に加えて、駆動波形信号生成部29と、保湿部30と、記憶部50と、計測部60と、通信部70と、操作受付部81と、表示部82と、電力供給部90などを備える。
搬送部10は、上述のように搬送モーター14を備え、当該搬送モーター14に適切な駆動信号を出力することで搬送モーター14を回転動作させる。
記録動作部20は、ヘッド駆動部25を備える。ヘッド駆動部25は、選択された圧電素子26に駆動信号を出力して圧電素子26を変形動作させて、ノズル27内のインクに圧力変動を付与して吐出させ、画像を記録する。圧電素子26とノズル27が本実施形態の記録素子を構成する。
駆動波形信号生成部29は、ヘッド駆動部25が出力する駆動波形信号を生成する。駆動波形信号は、特には限られないが、駆動波形を示すデジタル信号データをアナログ変換し、電圧及び電流を増幅した駆動波形信号をヘッド駆動部25に出力する。ここでは、駆動波形信号生成部29は、振幅がVH1、±VH2であってそれぞれタイミングの異なる3種類の駆動波形信号を生成して出力する。
ヘッド駆動部25及び駆動波形信号生成部29は、それぞれ上述の駆動基板212(主に駆動波形信号生成部29)及びドライバーIC214(主にヘッド駆動部25)に含まれ、まとめて本実施形態の駆動部を構成する。
保湿部30は、保湿駆動部31と、上述のキャップ32とを有する。保湿駆動部31は、キャップ32を移動させ、当該キャップ32により開口27aが覆われた状態と開放された状態とを切り替える。インクを吐出する場合には、開口27aは開放されている必要があり、長期間インクの吐出が中止(中断)される場合には、キャップ32により開口27aが覆われる。なお、通常の画像記録動作時には、記録媒体と記録ヘッド211との間隔(高さ方向についての距離)が微小であるので、キャップ32により開口27aを覆うためには、キャリッジ210を画像記録動作を行う位置から移動させる必要があってもよい。
制御部40は、CPU41(Central Processing Unit)と、RAM42(Random Access Memory)を備え、インクジェット記録装置1の各種動作を統括制御するプロセッサーである。CPU41は、各種演算処理を行って制御動作を実行する。RAM42は、CPU41に作業用のメモリー空間を提供し、一時データを記憶する。
記憶部50は、記録対象の画像データを記憶し、また、波形選択の条件設定に係るインク設定51及び計測値参照設定52を記憶する。画像データは、RAMなどの揮発性メモリーに記憶されてもよく、インク設定51及び計測値参照設定52などは、不揮発性メモリーに記憶されてもよい。不揮発性メモリーは、例えば、フラッシュメモリーなどであり、これに加えて又は代えてHDD(Hard Disk Drive)などを有していてもよい。
計測部60は、上述のヘッド計測部61と、環境計測部62とを備える。ヘッド計測部61は、記録ヘッド211、ここではノズルプレート216の温度を計測する。ノズルプレート216の温度は、おおむねインクの温度と対応付けられる。環境計測部62は、インクジェット記録装置1が位置している周囲の環境、すなわち作業室などの温度計測(第2計測部)及び湿度計測(第3計測部)を行う。温度センサー及び湿度センサーは、計測結果が電子的に取得可能な周知の電子式のものから選択されればよい。なお、環境計測部62は、インクジェット記録装置1の一部でなくてもよく、外部の計測センサーの計測結果が通信部70を介して取得されてもよい。
通信部70は、外部機器との間での通信を実行制御する。通信部70は、例えば、TCP/IPなどの通信規格に基づいて外部のコンピューターと接続されて、記録対象の画像データを含むジョブデータを取得し、また、ジョブデータに基づく画像記録動作のステータスを出力する。また、通信部70は、USB(Universal Serial Bus)などにより周辺機器と直接接続されてデータの送受信がなされてもよい。
操作受付部81は、ユーザーなどによる入力操作を受け付けて、受け付けた内容を入力信号として制御部40に出力する。操作受付部81は、例えば、タッチパネルや押しボタンスイッチなどを備える。タッチパネルは、表示部82の表示画面と重なって位置し、表示画面への表示内容と同期して操作内容が特定されてもよい。
表示部82は、ユーザーなどに対してステータスや選択メニューなどを示す表示を行う。表示部82は、例えば、表示画面とインディケーター(ランプ)などを有する。表示画面は、例えば、液晶ディスプレイなどであって、各種文字や図形をドットマトリクス表示することができる。インディケーターは、例えば、電力供給の有無や動作異常の有無などを示す場合に利用されてもよい。
電力供給部90は、インクジェット記録装置1の各部に応じた電圧の電力を供給する。記録動作部20の駆動基板212には、各駆動波形のピーク電圧に応じた電圧が出力される。あるいは、最大ピーク電圧のみが出力されて、駆動基板212で複数の電圧信号が生成されてもよい。
図5は、駆動基板212から出力される駆動波形信号と、各圧電素子26へ出力される駆動波形とを説明する図である。
インクジェット記録装置1では、駆動基板212から図5(a)~(c)にそれぞれ示す3種類の駆動波形信号が出力される。図5(a)には、振幅VH1の第1矩形波が示され、図5(b)、図5(c)には、上記振幅VH1の矩形波の長さ程度遅れたタイミングで正又は負に変化する振幅VH2の第2矩形波及び第3矩形波がそれぞれ示されている。図5(c)に示した負の第3矩形波は、図5(a)に示す第1矩形波と入れ替わりのタイミングで同一の長さ続き、図5(b)に示した正の第2矩形波は、図5(c)に示した第3矩形波より若干早く始まる。なお、ここでは、正の電圧は、個別流路を拡張するように圧電素子26を変形させ、負の電圧は、個別流路を圧縮するように圧電素子26を変形させる。
ドライバーIC214では、これらの駆動波形信号のうち、第1矩形波又は第2矩形波と、第3矩形波とを組み合わせて圧電素子26に出力することができる。図5(d)~(f)は、圧電素子26に出力される3種類の波形パターンの例を示す。
図5(d)では、第1矩形波と第3矩形波とを組み合わせた波形パターンが示されている。第1矩形波と第2矩形波の長さがそれぞれ個別流路内のインクの固有振動周期に応じて定められることで(ノズル形状などに応じて適正な吐出が行われるように適宜最適化されてよい)、インクが吐出される波形(吐出波形)となる。
図5(e)では、第3矩形波のみ(すなわち、上記吐出波形の一部)が出力される波形パターンが示されている。この場合には、ノズル27内のインクが吐出されるほどの液面変動が生じず、液面が振動する波形(第1非吐出波形)となる。
図5(f)では、第2矩形波と第3矩形波(複数の駆動波形)が組み合わされて出力される波形パターンが示されている。第2矩形波と第3矩形波は、同一振幅であって正負が反転しているので、矩形波のタイミングが異なる短期間でのみ振幅VH2の矩形波が現れた、第1非吐出波形とは異なる駆動波形(第2非吐出波形)となる。この短時間の波形は、上記インクの固有振動周期とも大きく異なるので、インクの液面変動(振動)も生じさせない。ここでいう「生じさせない」、すなわち、液面を振動させないというのは、厳密な意味ではなく、ノズル27内のインクが実質的に撹拌されない程度に第1非吐出波形よりも振動が小さければよいが、圧電素子26が応答し切らない程度に短い、すなわち、消費電力が図5(e)よりも小さくなる程度であってよい。
図6は、上記各波形を出力するヘッド駆動部25の回路構成の概略を説明する図である。
上述のように、駆動波形信号生成部29(駆動基板212)において、振幅がVH1、VH2(+)、VH2(-)の3つの駆動波形信号(第1矩形波~第3矩形波)が生成され、ヘッド駆動部25(ドライバーIC214)において、画像データ(制御用のデータを含む)に基づく選択部251の処理に応じたスイッチング素子の動作により、組み合わせ選択された波形パターン(吐出波形、第1非吐出波形又は第2非吐出波形)又は接地電圧が出力される。出力された波形パターンの駆動信号は、圧電素子26に印加されて、当該圧電素子26を変形させる。このときに、圧電素子26の容量に応じた電流が駆動波形信号生成部29から圧電素子26にかけて流れて配線や各電子部品の抵抗に応じたジュール熱により、駆動基板212及びドライバーIC214が発熱する。また、接地面への放電時にノズル27(ノズルプレート216)などにも電流が流れる場合には、これらノズル27(ノズルプレート216)などのうち電流が流れる部分にも発熱が生じ得る。
次に、インクの温度調整動作について説明する。
図7は、インクの粘度及び温度の変化について説明する図である。
上述のように、インクの粘度は、インクの温度に応じて変化し、常温より高い温度で適切な粘度に低下する(図7(a))。したがって、少なくともインク吐出時には適宜な設定温度範囲内に維持されるように加熱される。これに加えて、インクの粘度は、インク中の顔料と水分との比率にも依存するので、インク非吐出状態が続いてインク面(液面)が空気に接触した状態では、表面付近の水分が蒸発して粘度が上昇しやすい。これに対しては、上記キャップ32で覆うことで、蒸発を抑制することができる。また、一部のノズルのみからインクの吐出がないような状況であってキャップ32で覆うことが困難な場合には、インクを吐出させない小振幅の駆動波形でインク面を振動させることで、ノズル内のインクを撹拌させる。
図7(b)には、小振幅の駆動波形によりインクを撹拌した場合(v)と撹拌しなかった場合(u)におけるノズル内のインクの粘度の変化パターンを模式的に示している。インクを撹拌しない場合、インクの粘度は、表面の水分の蒸発により徐々に上昇していき、正常な吐出がなされなく成り得るレベル(点線)を超える。一方、インクを撹拌すると、当初は粘度の上昇が抑えられるが、しばらく時間が経過すると、むしろ粘度が急激に上昇する。これは、インクが撹拌されるのはノズル27内のみであり、当該ノズル27内で入れ替わったインク全体の粘度が高いものになると、撹拌なしで表面のみの粘度が上昇するよりもむしろ全体として粘度が高くなることによる。このような状況では、むしろインクの吐出が正常に行われない可能性がより高くなる。
本実施形態のインクジェット記録装置1では、上述のように、駆動基板212及びICドライバー214の発熱(構造などに応じてノズル27(ノズルプレート216)の発熱も含む)によってインクが加熱される。この場合、駆動基板212及びICドライバー214の動作量(吐出動作や上述の撹拌動作など)が少ない場合には、発熱量も少なくなる。
インクを吐出しない非吐出期間において、撹拌を行う上記第1非吐出波形の出力(第1動作)は、短期間のみ継続され得る。すなわち、図7(c)に示すように、まず、画像記録動作の開始前、の期間It0(時刻t1~t2)で温度上昇のために第1非吐出波形の出力が行われる。インクを吐出させる時刻t2~t3の期間Ip1(吐出期間)で画像記録動作がなされた後、時刻t4まで期間It1で第1非吐出波形の出力(第1動作)に切り替わるが、そのまま長期間(ここでいう長期間は、例えば、数十秒から数分以上など)インクの吐出を行わない場合には、時刻t4以降の期間Ihにおいてインクの撹拌がなされない第2非吐出波形の出力(第2動作)に切り替えられる。
しかしながら、第2非吐出波形では、消費電力が第1非吐出波形よりも小さいので、インクの温度が維持されずに若干低下する。そこで、画像記録動作が再開される場合には、再開前の時刻t5からインクの温度が基準範囲内に戻るまで(非吐出期間の終了時。ここでは非吐出期間の終了タイミングまで必ず第1動作が継続される場合に限定する意図ではなく、想定より早く温度が上昇した場合には、温度が基準範囲よりも低下しない範囲で第2動作が含まれてもよい)、第1非吐出波形の出力に切り替えられて(期間It2)、その後、時刻t6から期間Ip2で画像記録動作を行う。期間It2は、インク温度の低下状況(若しくは画像記録動作の停止からの経過時間や、停止前のインク吐出状況。すなわち、インク吐出ノズル数や各ノズルの時間当たりのインク吐出頻度など)、インクの種別(熱容量など)、及び周囲の温度や湿度などに基づいて決まるので、画像記録動作の開始タイミングが予め定まっている場合には、当該開始タイミングよりも予測される期間Ip2(多少マージンを設定してよい)に応じた時間(インク吐出頻度などの情報に基づく加算時間、加算時間は負の値であってもよい、や、ヘッド計測部61及び環境計測部62の計測結果に基づいて制御される)だけ前の時刻t5が設定されてよい。すなわち、非吐出期間では、当該非吐出期間の開始からの経過時間(この経過時間には、非吐出期間の終了までの残り時間という意味も含む)に基づいて第1非吐出波形を出力する第1動作と、第2非吐出波形を出力する第2動作とが切り替えられる。このように発熱量及び撹拌量を制御することで、記録動作時におけるインクの温度、水分の蒸発及びインクの一部成分の沈降分離による粘度の変化を抑制することができる。
なお、キャップ32により覆われて保湿されている間(保湿状態の間)は、第1動作が行われて撹拌されても水分の蒸発が抑制される一方、保湿用の水分により記録ヘッド211及びインクの温度が低下しやすいので、この期間には、第2動作に切り替えずに第1動作を維持することとしてもよい。
図8は、インクジェット記録装置1で実行される圧電素子26の駆動制御処理の制御部40による制御手順を示すフローチャートである。
この駆動制御処理は、画像記録動作に係る命令(ジョブ)が取得された場合に開始される。駆動制御処理が開始されると制御部40(CPU41)は、記録動作に係る記録設定を行う(ステップS101)。制御部40は、ヘッド駆動部25に制御信号を出力し、非吐出期間にインクの撹拌を伴う第1動作に移行させる(ステップS102)。制御部40は、保湿駆動部31に制御信号を出力してキャップ32を外させて保湿状態を解除する(ステップS103)。
制御部40は、ヘッド計測部61から計測結果を取得して、温度が設定温度範囲内にあるか否かを判別する(ステップS104)。設定温度範囲内にないと判別された場合には(ステップS104で“NO”)、制御部40は、ステップS104の処理を繰り返す。設定温度範囲内にあると判別された場合には(ステップS104で“YES”)、制御部40は、ヘッド駆動部25及び搬送部10に制御信号を出力して画像記録動作を開始させる(ステップS105)。
制御部40は、画像の切れ目(例えば、記録媒体Mの境界など)やトラブル(例えば、記録媒体の搬送トラブルなど)などに応じて画像記録動作を一時停止させる(ステップS106)。制御部40は、ヘッド駆動部25に制御信号を出力し、第1動作に移行させる(ステップS107)。制御部40は、基準時間が経過したか否かを判別する(ステップS108)。基準時間は、インクの種別や環境温度及び/又は湿度に応じて定められてよい。これらの場合には、制御部40は、インク設定51及び/又は計測値参照設定52を参照して、現在の状況に最も適した基準時間を取得又は算出して設定する。基準時間が経過していないと判別された場合には(ステップS108で“NO”)、制御部40は、保湿開始命令が得られたか否かを判別する(ステップS109)。保湿開始命令が得られていないと判別された場合には(ステップS109で“NO”)、制御部40の処理は、ステップS108に戻る。
保湿開始命令が得られたと判別された場合には(ステップS109で“YES”)、制御部40は、保湿駆動部31に制御信号を出力してキャップ32が開口27a(ノズル面)を覆うように移動させ、保湿状態に移行する(ステップS110)。制御部40は、記録動作を再開させるか否かを判別する(ステップS111)。再開させると判別された場合には(ステップS111で“YES”)、制御部40の処理は、ステップS103に戻る。
再開させないと判別された場合には(ステップS111で“NO”)、制御部40は、記録動作を終了させるか(したか)否かを判別する(ステップS112)。終了させないと判別された場合には(ステップS112で“NO”)、制御部40の処理は、ステップS111に戻る。終了させると判別された場合には(ステップS112で“YES”)、制御部40は、駆動制御処理を終了する。このとき、画像記録動作の待機状態が継続される場合には、実行されている第1動作が引き続き継続されてもよい。
ステップS108の判別処理で、基準時間が経過したと判別された場合には(ステップS108で“YES”)、制御部40は、ヘッド駆動部25に制御信号を出力して、第2動作に移行させる(ステップS121)。制御部40は、保湿開始命令が得られたか否かを判別する(ステップS122)。保湿開始命令が得られたと判別された場合には(ステップS122で“YES”)、制御部40は、保湿駆動部31に制御信号を出力してキャップ32が開口27a(ノズル面)を覆うように移動させ、保湿状態に移行する(ステップS123)。制御部40は、ヘッド駆動部25に制御信号を出力して、第1動作に移行させる(ステップS124)。それから、制御部40の処理は、ステップS111に移行する。
ステップS122の判別処理で、保湿開始命令が得られていないと判別された場合には(ステップS122で“NO”)、制御部40は、記録動作を再開させるか否かを判別する(ステップS131)。この場合、記録媒体Mの切れ目などにおける中断であって、記録動作の再開タイミングが予め定まっている場合には、当該再開タイミングよりも所定時間前のタイミングを再開させると判別するタイミングとしてよい。また、この所定時間は、インク種別、環境温度及び湿度、並びにノズルプレート216の温度に基づいて決定されてもよい。あるいは、これらに加えて又は代えて、記録動作が中断されてからの継続時間に基づいて温度低下量を予測し、所定時間を決定してもよい。再開させると判別された場合には(ステップS131で“YES”)、制御部40は、ヘッド駆動部25に制御信号を出力し、非吐出期間にインクの撹拌を伴う第1動作に移行させる(ステップS133)。制御部40は、ヘッド計測部61から計測結果を取得して、温度が設定温度範囲内にあるか否かを判別する(ステップS134)。設定温度範囲内にないと判別された場合には(ステップS134で“NO”)、制御部40は、ステップS134の処理を繰り返す。設定温度範囲内にあると判別された場合には(ステップS134で“YES”)、制御部40の処理は、ステップS105に戻る。
再開させないと判別された場合には(ステップS131で“NO”)、制御部40は、記録動作を終了させるか(したか)否かを判別する(ステップS132)。終了させないと判別された場合には(ステップS132で“NO”)、制御部40の処理は、ステップS122に戻る。終了させると判別された場合には(ステップS132で“YES”)、制御部40は、駆動制御処理を終了する。このとき、画像記録動作の待機状態が継続される場合には、実行されている第2動作が引き続き継続されてもよいし、保湿状態に移行させたのちに第1動作を継続的に行わせることとしてもよい。
これらの各処理のうち非吐出期間のステップS102、S107~S134などの各処理が本実施形態のインク加熱制御方法における調整ステップを構成する。
以上のように、本実施形態のインクジェット記録装置1は、ノズル27と圧電素子26とを有し、ノズル27内のインクに圧力変動を付与して吐出させる記録素子と、記録素子を動作させる電気信号を出力するヘッド駆動部25及び駆動波形信号生成部29とを含む駆動部と、駆動部の動作を制御する制御部40と、を備える。インクジェット記録装置1では、記録素子のインクは駆動部が発する熱によって加熱される構造を有し、制御部40は、記録素子によりインクを吐出させない非吐出期間において、ノズル27内のインク面を振動させる第1動作と、前記インク面を振動させない第2動作とを組み合わせて駆動部の発熱量制御を行う。
このように、駆動部自身の発熱でインク温度を適切な範囲に維持するので、別個に加熱部を用意する必要がなく、コスト、スペースや電力消費を低減することができる。一方で、非吐出時において、第1非吐出波形では、長時間継続されると、ノズル27内の水分蒸発の影響が大きくなって粘性が上昇しやすく、一方で、第2非吐出波形のみでは、ノズル27内で成分が沈降、分離したりし、また、温度も低下しやすいので、これらを適切に組み合わせることで、吐出開始時に適度な温度及び粘性にインクを保つことができる。したがって、インクジェット記録装置1では、より確実にインクを適正に吐出させることができる。これにより、記録画像の濃度むらやインクの欠部分におけるスジの発生などを抑制することができる。
また、駆動部は、互いに異なる駆動波形の電気信号により第1動作及び第2動作を行う。すなわち、単純に非吐出波形の頻度を変更するなどではなく、波形自体を異ならせることで、効率よく温度と粘度を適度な組み合わせに調整することが可能になる。
また、制御部40は、非吐出期間の経過時間に基づいて第1動作と第2動作を切り替えて駆動部に行わせる。すなわち、インクジェット記録装置1では、必要以上に長く第1動作により第1非吐出波形の駆動信号の出力を継続させず、非吐出期間の終了時に温度を基準範囲内に収めつつノズル27内のインク面の粘性を適切な状態とすることができるので、制御処理を複雑化することなく容易にインクの吐出状態を適正に保つことができる。
また、この経過時間には、非吐出期間の前に記録素子によりインクを吐出させた吐出期間における当該記録素子によるインク吐出頻度の情報に基づく加算時間が含まれる。すなわち、前回の吐出時におけるインク吐出状況を考慮して非吐出期間の第1動作と第2動作の切り替えを行うので、ノズル27内のインクの状況に応じて柔軟かつ適切にインク吐出開始時のインクの状態を適正な状態とすることができる。
また、制御部40は、非吐出期間の終了時に第1動作を行わせる。すなわち、吐出前に第1動作を行わせることで、インク吐出時には、第1動作のみ又は第2動作のみでは得られにくい適切なインク温度と表面のインク粘度の組み合わせを得ることができる。
また、制御部40は、記録素子により吐出されるインクの種別ごとにそれぞれ発熱量制御を行う。インクの熱容量や顔料などの沈降のしやすさが異なるので、インクの種別に応じて発熱量の制御、すなわち、第1動作と第2動作の切り替えタイミングを調整することで、より適切に各インク、特にカラー画像記録時の多色インクの各々について、最適な状態でインク吐出を再開させることができる。
また、記録素子のインクを加熱する熱には、ノズル27(ノズルプレート216)の少なくとも一部の発熱が含まれる。ヘッド駆動部25及び駆動波形信号生成部29とを含む駆動部の発熱は、ノズルプレート216に伝わるので、ノズル27内のインクなどが当該ノズルプレート216を介して加熱される。また、駆動部から接地面へ流れる電流(放電電流)の一部がノズルプレート216を流れ得るので、この放電電流に応じたジュール熱も熱源とされてよい。
また、インクジェット記録装置1は、インクの温度に係る計測を行うヘッド計測部61を備え、制御部40は、ヘッド計測部61の計測結果に基づいて発熱量制御を行う。すなわち、画一的な処理ではなくインクの温度に対応する温度を計測してきちんと適切な温度でインク吐出を可能とすることで、インクの吐出状況などに応じて適切な発熱量を得て適正なインクの状態でインク吐出を開始(再開)させることができる。これにより、吐出異常による画質の低下や記録媒体の廃棄などを低減させることができる。
また、インクジェット記録装置1は、その周囲の温度を計測する環境計測部62を備え、制御部40は、環境計測部62の計測結果に基づいて発熱量制御を行う。インクの温度の低下しやすさやノズル27内のインクの蒸発しやすさなどは周囲の温度にも影響されるので、これらに基づいて第1動作及び第2動作の時間を調節することで、より適正な状態でインク吐出を開始(再開)させることができる。
また、環境計測部62は、インクジェット記録装置1の周囲の湿度を計測する。制御部40は、環境計測部62の計測結果に基づいて発熱量制御を行う。インクの蒸発のしやすさは湿度にも大きく影響されるので、これに基づいて第1動作と第2動作の時間を調節することで、必要以上のインクの蒸発を抑制し、より適正な状態でインク吐出を開始(再開)させることができる。
また、インクジェット記録装置1は、ノズル27の開口面を覆って、覆われた部分を保湿する保湿部30を備える。制御部40は、非吐出期間において、保湿部30による保湿状態の間には、第1動作を行わせる。保湿状態では、ノズル27内でのインクの蒸発が十分に抑制されるので、第1動作を継続してもノズル27内の水分の減少に伴う顔料の濃縮などによる粘度の上昇を避けることができるので、この場合には、第1動作が継続されても悪影響が生じず、また、画像記録動作の開始、再開時に速やかに基準範囲内のインク温度とすることができるので、不要な待機時間が生じるのを避けることができる。
また、第1動作でインク面を振動させる駆動波形は、インクを吐出させる電気信号に係る駆動波形の一部である。すなわち、インク吐出に係る駆動波形の出力と同様の処理で処理周波数なども変更せずに行われるので、処理や回路構成の複雑化を避けることができ、容易にインクの加熱(保温)及び撹拌を行うことができる。
また、第2動作でインク面を振動させない駆動波形は、複数の駆動波形の電気信号の組み合わせにより生成される。すなわち、インク吐出に係る駆動波形の出力と同様の処理で処理周波数なども変更する必要がなく、インク面をノズル27の固有振動数程度で振動させない波形を生成し、また、若干の発熱を生じさせることができるので、処理や回路構成の複雑化を避けることができる。
また、本実施形態のインク加熱制御方法は、記録素子によりインクを吐出させない非吐出期間において、ノズル27内のインク面を振動させる第1動作と、インク面を振動させない第2動作とを組み合わせて駆動部の発熱量制御を行う調整ステップを含む。
このような処理を行うことで、温度、粘度を適正に維持し、成分も均一に近い状態でとインク吐出を開始(再開)させることができるので、インクをより正確に吐出させることが可能となる。
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、上記実施の形態では、記録ヘッド211単位での加熱制御を前提として説明したが、ICドライバー214を単位として加熱及び撹拌量の制御が行われてもよいし、さらに、所定数のノズル27単位での制御が可能であってもよい。
また、上記実施の形態では、非吐出期間の経過時間に基づいて第1動作と第2動作とを切り替えたが、部分的に温度及び湿度の計測データのみに基づいて切り替えがなされてもよい。また、非吐出期間前の吐出期間におけるインク吐出状況を考慮しないこととしてもよい。吐出状況に応じた温度は、計測値で取得判断可能であり、成分の沈降、分離度合などは、問題がなくなる程度に改善するまで最初(期間It1)の第1動作が行われてもよい。
また、上記実施の形態では、非吐出期間の最初と最後でのみ第1動作が行われるものとしたが、途中で第1動作の期間が挿入される場合を除外するものではない。
また、上記実施の形態では、インクの温度に対応する温度としてノズルプレート216の温度を計測したが、記録ヘッド211やキャリッジ210の他の箇所の温度が計測されてもよい。あるいは、ヘッド計測部61を有していなくてもよいし、有していても、第1動作と第2動作の切り替え制御に用いられなくてもよい。
また、環境計測部62は、温度又は湿度のいずれかのみを計測してもよいし、環境計測部62が設けられていなくてもよい。この場合、他の温度及び/又は湿度の計測データが通信部70を介して外部から取得されてもよい。
また、上記実施の形態では、保湿部30を備え、一度保湿部30による保湿状態に移行した場合には、画像記録動作の開始(再開)直前までこれが解除されないものとして説明したが、保湿部30を備えなくてもよいし、備えていても、初めから長時間の画像記録動作の停止と分かっている場合や明示的に待機状態に移行する指示がなされた場合以外には利用されなくてもよい。また、画像記録動作の開始前ではなくても保湿状態が解除されてもよい。また、保湿部の構成、形状、機構などは、図2などに示したものに限られず、ノズル27の開口27aを覆って保湿可能なものであれば他のものであってもよい。
また、上記実施の形態では、吐出波形、第1非吐出波形及び第2非吐出波形の出力を可能とする場合について説明したが、その他の波形の出力が可能であってもよい。また、第2非吐出波形が第2駆動波形と第3駆動波形の組み合わせによって生成される必要はなく、別個の波形によって生成されてもよい。また、回路構成上発生する待機電流などによって必要な加熱量が得られるのであれば、意図的に駆動波形を出力せずに待機状態とされてもよい。
また、上記実施の形態では、別個にインクを加熱、保温する構成を有しないものとして説明したが、例えば、ノズルだけではなくインク供給路全体におけるインクの加熱が必要などであって発熱量が足りない場合などには、他の加熱部が併用されてもよい。また、加熱部が併用される場合には、併用されるのは、インクジェット記録装置1の起動時や長期待機後などで、インクの温度が大きく下がっている場合に限定されてもよい。
また、上記実施の形態では、複数の記録ヘッド211を有し、ラインヘッドをなすヘッドユニット21によるインクジェット記録装置を例に挙げて説明したが、記録ヘッド211を記録媒体Mに対して走査させながら画像を記録するスキャン型のインクジェット記録装置であってもよい。また、記録媒体Mの種別は特に限られない。さらに、圧電素子を変形駆動するピエゾ型のインクジェット記録装置でなく、サーマル型のインクジェット記録装置など、記録素子として他の方式が用いられたものであってもよい。
その他上記実施の形態で示した構成、構造、配置、制御内容及び手順などの具体的な細部は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
1 インクジェット記録装置
10 搬送部
11 駆動ローラー
12 搬送ベルト
13 従動ローラー
14 搬送モーター
15 押さえローラー
20 記録動作部
21、21C、21M、21Y、21K ヘッドユニット
25 ヘッド駆動部
26 圧電素子
27 ノズル
27a 開口
29 駆動波形信号生成部
30 保湿部
31 保湿駆動部
32 キャップ
32a 加湿部
40 制御部
41 CPU
42 RAM
50 記憶部
51 インク設定
52 計測値参照設定
60 計測部
61 ヘッド計測部
62 環境計測部
70 通信部
81 操作受付部
82 表示部
90 電力供給部
210 キャリッジ
211 記録ヘッド
212 駆動基板
213 筐体
214 ICドライバー
215 インク流路
215a 供給口
215b 排出口
216 ノズルプレート
251 選択部
M 記録媒体

Claims (13)

  1. ノズルを有し、前記ノズル内のインクに圧力変動を付与して吐出させる記録素子と、
    前記記録素子を動作させる電気信号を出力する駆動部と、
    前記駆動部の動作を制御する制御部と、
    を備え、
    前記記録素子のインクは、前記駆動部が発する熱によって加熱され、
    前記制御部は、前記記録素子によりインクを吐出させない非吐出期間において、前記ノズル内のインク面を振動させる第1動作と、前記インク面を振動させない第2動作とを組み合わせ、前記非吐出期間の開始からの経過時間が所定の時間となった場合に前記第1動作から前記第2動作へ切り替えて前記駆動部に行わせることで、前記駆動部の発熱量制御を行う
    ことを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記駆動部は、互いに異なる駆動波形の前記電気信号により前記第1動作及び前記第2動作を行うことを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記経過時間には、前記非吐出期間の前に前記記録素子によりインクを吐出させた吐出期間における当該記録素子によるインク吐出頻度の情報に基づく加算時間が含まれることを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記制御部は、前記非吐出期間の終了時に前記第1動作を行わせることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記制御部は、前記記録素子により吐出されるインクの種別ごとにそれぞれ前記発熱量制御を行うことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記記録素子のインクを加熱する熱には、前記ノズルの少なくとも一部の発熱が含まれることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  7. インクの温度に係る計測を行う第1計測部を備え、
    前記制御部は、前記第1計測部の計測結果に基づいて前記発熱量制御を行う
    ことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  8. 当該インクジェット記録装置の周囲の温度を計測する第2計測部を備え、
    前記制御部は、前記第2計測部の計測結果に基づいて前記発熱量制御を行う
    ことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  9. 当該インクジェット記録装置の周囲の湿度を計測する第3計測部を備え、
    前記制御部は、前記第3計測部の計測結果に基づいて前記発熱量制御を行う
    ことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  10. 前記ノズルの開口面を覆って、覆われた部分を保湿する保湿部を備え、
    前記制御部は、前記非吐出期間において、前記保湿部による保湿状態の間には、前記第1動作を行わせることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  11. 前記第1動作で前記インク面を振動させる駆動波形は、前記インクを吐出させる前記電気信号に係る駆動波形の一部であることを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  12. 前記第2動作で前記インク面を振動させない駆動波形は、複数の駆動波形の前記電気信号の組み合わせにより生成されることを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
  13. ノズルを有し、前記ノズル内のインクに圧力変動を付与して吐出させる記録素子と、前記記録素子を動作させる電気信号を出力する駆動部と、を備え、前記記録素子のインクは、前記駆動部が発する熱によって加熱されるインクジェット記録装置のインク加熱制御方法であって、
    前記記録素子によりインクを吐出させない非吐出期間において、前記ノズル内のインク面を振動させる第1動作と、前記インク面を振動させない第2動作とを組み合わせ、前記非吐出期間の開始からの経過時間が所定の時間となった場合に前記第1動作から前記第2動作へ切り替えて前記駆動部に行わせることで、前記駆動部の発熱量制御を行う調整ステップを含む
    ことを特徴とするインク加熱制御方法。
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