JP7448381B2 - パッケージ及びパッケージの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、パッケージ及びパッケージの製造方法に関する。
例えば、赤外線センサ等の半導体装置に使用されているパッケージは、一般に、第1基板と、センサ素子と、第2基板とが備えられる。センサ素子は第1基板の上面に設けられており、各種検知を行う。また、第2基板は、センサ素子を覆った状態で第1基板の上面に接合される。また、第1基板と第2基板とに覆われた、センサ素子の上方に確保される封止空間は、減圧空間(キャビティ)とされている。
赤外線センサに使用されているパッケージは、通常、センサ特性の向上及び安定化等を目的として、素子と外系との間を熱的に隔離するため、減圧雰囲気で真空封止されている。即ち、赤外線センサにおいては、断熱性を高めるため、赤外線検出素子全体が真空環境下に置かれた、真空パッケージの構造とされている。
また、上記のような減圧雰囲気で封止するパッケージにおいては、減圧空間内において有機物によるガスが発生するのを低減するため、従来から、パッケージ内に、主として水素や酸素等のガスを吸着することで真空度を高めるためのゲッター膜(ガス吸着材)を設けることが知られている。
上記のようなゲッター膜は、従来、主としてパッケージの底壁部に取り付けられていることから、ゲッター膜の取り付け領域が大きくなり、減圧空間内及びパッケージ全体の省スペース化を図ることが難しいという問題があった。このような問題を解決するため、例えば、基板に対して垂直にゲッター膜(ゲッター装置)を取り付けることで、パッケージ内の省スペース化を図ることが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
特許文献1に記載の技術によれば、上記構成により、パッケージ内を真空等の特定ガス雰囲気下に保持しながら、省スペース化による低コスト化を図ることができるとされている。
特開2015-021888号公報
上記のような減圧空間内において、水素や酸素等のガスを効率よくゲッター膜に吸着させるためには、一般に、ゲッター膜を約300℃程度の高温に加熱する、所謂「活性化プロセス」を実施する必要がある。しかしながら、特許文献1に記載されたセンサ装置等、従来の構成においては、真空封止したパッケージとされていることから、外部からゲッター膜を加熱して活性化することが困難であった。また、従来のパッケージにおいては、減圧空間内にゲッター膜を活性化するための特別な装置又は構造を設けることは困難であったことから、充分な真空度得ることが難しかった。このように、減圧空間の真空度が十分でないと、センサ素子の特性も十分に得られないという問題があった。
また、特許文献1に記載の技術では、まず、ゲッター膜を基部に組み付け、この状態で、ゲッター膜が基板に対して垂直となる方向で実装するという複雑な工程が必要となる。このため、製造工程の複雑化や、実装工程の増加等が生じ、製造コストが増大するおそれがあるという問題があった。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、簡便な構成でガス吸着材を活性化することで高い真空度が得られ、センサとしての素子特性及び信頼性に優れるとともに、簡便な工程によって生産性良く低コストで製造することが可能なパッケージ及びパッケージの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明のパッケージは、第1基板と、前記第1基板の上面側に設けられる素子と、前記第1基板の上面側に前記素子を覆った状態で接合され、前記第1基板側に配置される下面側に、前記第1基板の上面側に第1接合体を介して接合される第1凸部と、平面視で前記第1凸部に囲まれるように形成された、前記素子上に封止空間を確保するための凹状のキャビティ領域と、該キャビティ領域に設けられ、前記第1基板の上面側に第2接合体を介して接合される第2凸部と、を有する第2基板と、前記第1基板内に埋設され、前記素子に電気的に接続される、少なくとも一以上の埋め込み配線と、前記第1基板上において、対向して配置される前記第2基板よりも平面視で外側に設けられ、前記埋め込み配線と第1コンタクトを介して電気的に接続される電極と、前記第2基板における、前記キャビティ領域によって確保される前記封止空間に露出した面のうち、前記第1基板に設けられた前記素子と対向する位置を除いた少なくとも一部に配置されるガス吸着層と、を備え、前記第2接合体は、前記ガス吸着層に接続されるとともに、前記第1基板に設けられた第2コンタクトを介して前記埋め込み配線と電気的に接続されており、前記ガス吸着層が、前記第2接合体、前記第2コンタクト、前記埋め込み配線、及び前記第1コンタクトを介して、前記電極と電気的に接続されていることを特徴とする。
本発明によれば、上記のように、第1基板と第2基板とを接合する第2接合体を備え、この第2接合体が、ガス吸着層に接続されるとともに、第1基板に設けられた第1コンタクトを介して埋め込み配線と電気的に接続され、ガス吸着層が、第2接合体、第2コンタクト、埋め込み配線、及び第1コンタクトを介して、電極と電気的に接続されていることで、ガス吸着層に対して電極から電流を印加して加熱・活性化することが可能になる。これにより、ガス吸着層のガス吸着能力が高められ、減圧空間とされたキャビティ内のガスを効果的に吸着できるので、キャビティ内の真空度がより高められる。
従って、センサとしての素子特性及び信頼性に優れたパッケージを、簡便な構成且つ低コストで実現できる。
また、本発明のパッケージは、上記構成において、前記第1接合体が、前記第2基板における前記第1凸部の先端を覆うように設けられる第2金属接合膜と、前記第1基板と前記第2基板とを重ね合わせたときに、前記第1基板における、前記第1凸部に対応する位置に設けられる第1金属接合膜とを含み、前記第2接合体が、前記第2基板における前記第2凸部の先端を覆うように設けられる第2通電用接合膜と、前記第1基板と前記第2基板とを重ね合わせたときに、前記第1基板における、前記第2凸部に対応する位置に設けられる第1通電用接合膜とを含み、前記第1接合体は、前記第2金属接合膜と前記第1金属接合膜とが拡散接合されてなり、前記第2接合体は、前記第2通電用接合膜と前記第1通電用接合膜とが拡散接合されてなる構成を採用することがより好ましい。
本発明によれば、第1接合体が、第2金属接合膜と第1金属接合膜とが拡散接合されてなることで、これら各接合膜間の接合状態が良好となり、高い封止気密性が得られる。また、第1基板及び第2基板における加工精度に起因する凹凸等が吸収されるので、内部における電気的特性もより良好になる。これにより、歩留まりが向上するとともに、優れた素子特性が得られる。
また、第2接合体が、第2通電用接合膜と第1通電用接合膜とが拡散接合されてなる構成を採用することで、これら各接合膜間の接合状態が良好となり、ガス吸着層に対して電流を確実に印加して加熱・活性化できる。これにより、キャビティ内のガスをより効果的に吸着でき、真空度がさらに高められるので、優れた素子特性が得られる。
また、本発明のパッケージは、上記構成において、前記ガス吸着層が、少なくとも、チタン、ジルコニウム又はニッケルを含むゲッター剤からなる構成であってもよい。
本発明によれば、ガス吸着層を、上記のゲッター剤から構成することで、通電加熱によるガス吸着層の活性化効果がより顕著に得られる。これにより、ガス吸着層によるキャビティ内のガス吸着効果がより顕著に得られ、真空度がさらに高められる。
また、本発明のパッケージは、上記構成において、前記第1基板及び前記第2基板がシリコン基板からなる構成を採用することが好ましい。
本発明によれば、第1基板及び第2基板が、加工性に優れるシリコン基板からなることで、接合による内部応力が低減されるとともに、エッチング処理による加工精度が向上するので、素子特性にさらに優れたものとなる。
また、本発明のパッケージは、上記構成において、前記素子が赤外線検出素子であり、且つ、前記第2基板が赤外線を透過可能とされた、所謂赤外線センサとしての構成を採用することが可能である。
本発明によれば、上記のパッケージ構造を有し、素子として赤外線検出素子を備えた構成を採用することで、キャビティ内における高い真空度を有し、低コストであるとともに素子特性及び信頼性に優れたパッケージ構造を有する赤外線センサが実現できる。
本発明のパッケージの製造方法は、少なくとも、基板材料の表面をエッチングすることにより、少なくとも、素子を収容する凹状のデバイス領域を形成して第1基板を得る工程(1)と、前記第1基板における前記デバイス領域を除く位置に、少なくとも一以上の埋め込み配線を形成する工程(2)と、基板材料の表面をエッチングすることにより、前記第1基板の上面側に第1接合体を介して接合される第1凸部と、平面視で前記第1凸部に囲まれるように形成され、前記素子上に封止空間を確保するための凹状のキャビティ領域と、該キャビティ領域に設けられ、前記第1基板の上面側に第2接合体を介して接合される第2凸部と、を形成して第2基板を得る工程(3)と、前記第2基板に形成された前記第1凸部の先端を覆うように第2金属接合膜を形成するとともに、前記第2凸部の先端を覆うように第2通電用接合膜を形成する工程(4)と、前記第1基板と前記第2基板とを重ね合わせたときに、前記第1凸部に対応する位置で、前記第1基板上に第1金属接合膜を形成するとともに、前記第2凸部に対応する位置で、前記第1基板上に第1通電用接合膜を形成する工程(5)と、前記第1基板の上面側に、前記埋め込み配線の一端側に電気的に接続される第1コンタクトを形成するとともに、前記埋め込み配線の他端側に電気的に接続される第2コンタクトを形成し、さらに、前記第1コンタクトに接続する電極を形成する工程(6)と、前記第2基板における、前記キャビティ領域によって確保される前記封止空間に露出する面のうち、前記第1基板に設けられた前記素子と対向する位置を除いた少なくとも一部を覆うようにゲッター剤を塗布し、前記第2通電用接合膜と少なくとも一部が接するようにガス吸着層を形成する工程(7)と、前記第1基板に形成された前記デバイス領域に前記素子を配置する工程(8)と、前記第1基板と前記第2基板との間に前記素子が配置されるように前記第1基板と前記第2基板とを重ね合わせて互いに加圧し、前記第1金属接合膜と前記第2金属接合膜とを拡散接合させて前記第1接合体を形成するとともに、前記第1通電用接合膜と前記第2通電用接合膜とを拡散接合させて前記第2接合体を形成し、且つ、前記第2接合体が前記第1基板に設けられた前記第2コンタクトに接するように前記第1基板と前記第2基板とを接合する工程(9)と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、上記のような工程(1)~(9)を備え、工程(7)において、第2通電用接合膜と接するようにガス吸着層を形成するとともに、工程(9)において、第1金属接合膜と第2金属接合膜とを拡散接合させて第1接合体を形成し、第1通電用接合膜と第2通電用接合膜とを拡散接合させて第2接合体を形成し、且つ、第2接合体が第1基板に設けられた第2コンタクトに接するように第1基板と第2基板とを接合する方法なので、簡便な工程で、ガス吸着層が、第2接合体、第2コンタクト、埋め込み配線、及び第1コンタクトを介して電極と電気的に接続した構成のパッケージを製造することができる。これにより、ガス吸着層に対して電極から電流を印加して加熱・活性化することで、ガス吸着層のガス吸着能力を高めることができ、キャビティ内のガスを効果的に吸着し、キャビティ内の真空度をより高めることが可能になる。
また、第2金属接合膜と第1金属接合膜とを拡散接合させて第1接合体を形成することで、これら各接合膜間の接合状態が良好となり、また、第1基板及び第2基板における加工精度に起因する凹凸等を吸収させながら各基板を接合できるので、高い封止気密性が得られるとともに、内部における電気的特性も良好になり、歩留まりも高められる。
さらに、第2通電用接合膜と第1通電用接合膜とを拡散接合させて第2接合体を形成することで、これら各接合膜間の接合状態が良好となり、ガス吸着層に対して電流を確実に印加して加熱・活性化できるので、キャビティ内のガスをより効果的に吸着でき、真空度がさらに高められる。
従って、センサとしての素子特性及び信頼性に優れたパッケージを、簡便な工程で生産性良く低コストで製造することが可能となる。
また、本発明のパッケージの製造方法は、上記構成において、さらに、前記工程(9)の後に、前記電極に通電して前記ガス吸着層に電流を印加することにより、該ガス吸着層を加熱して活性化する工程(10)を備えることがより好ましい。
本発明によれば、必要に応じて、工程(10)においてガス吸着層に対して電流を印加し、ガス吸着層を加熱して活性化することでガス吸着能力が高められるので、キャビティ内のガスを効果的に吸着してキャビティ内の真空度をより高めることが可能になる。
また、本発明のパッケージの製造方法は、上記構成において、前記工程(3)が、前記第1凸部及び第2凸部を同時に形成することにより、前記第2基板を得る方法とすることがより好ましい。
本発明によれば、第1凸部及び第2凸部という、基板材料の表面をエッチング処理等で加工することが必要な部位を形成する工程を同時に行うことで第2基板を得ることにより、工程を簡略化でき、センサとしての素子特性及び信頼性に優れたパッケージを、簡便な工程で生産性良く低コストで製造することが可能となる。
また、本発明のパッケージの製造方法は、上記構成において、前記工程(4)は、前記第2金属接合膜及び前記第2通電用接合膜を同時に形成し、前記工程(5)は、前記第1金属接合膜及び前記第1通電用接合膜を同時に形成することがより好ましい。
本発明によれば、工程(4)において、金属膜からなる第2金属接合膜及び第2通電用接合膜を同時に形成し、また、工程(5)において、金属膜からなる第1金属接合膜及び第1通電用接合膜を同時に形成する方法を採用し、それぞれ、各金属膜を同時に形成することで、工程を簡略化できる。これにより、センサとしての素子特性及び信頼性に優れたパッケージを、簡便な工程で生産性良く低コストで製造することが可能となる。
また、本発明のパッケージの製造方法は、上記構成において、前記工程(5)及び前記工程(6)を同時に行うことにより、前記第1基板に、前記第1金属接合膜、前記第1通電用接合膜、前記第1コンタクト、前記第2コンタクト及び電極を同時に形成することがより好ましい。
本発明によれば、前記第1基板に、前記第1金属接合膜、前記第1通電用接合膜、前記第1コンタクト、前記第2コンタクト及び電極を同時に形成する方法を採用し、導電箇所を1回のプロセスで形成することにより、工程を簡略化できる。これにより、センサとしての素子特性及び信頼性に優れたパッケージを、さらに簡便な工程で生産性良く低コストで製造することが可能となる。
また、本発明のパッケージの製造方法は、上記構成において、前記工程(1)及び前記工程(3)が、前記基板材料としてシリコン基板を用いる工程であることがより好ましい。
本発明によれば、第1基板及び第2基板に、加工性に優れるシリコン基板を用いることで、後工程となる工程(6)で第1基板と第2基板とを接合する際の内部応力が低減されるとともに、エッチング処理による加工精度が向上するので、素子特性にさらに優れたパッケージを製造することが可能になる。
また、本発明のパッケージの製造方法は、上記構成において、前記工程(5)が、前記素子として、赤外線検出素子を、前記第1基板に形成された前記デバイス領域に配置する方法としてもよい。
本発明によれば、上記の各工程によって得られるパッケージ構造に対し、素子として赤外線検出素子をデバイス領域に配置する方法なので、キャビティ内における高い真空度を有し、低コストであるとともに素子特性及び信頼性に優れたパッケージを有する赤外線センサを製造することが可能になる。
本発明のパッケージによれば、上記構成を備えることにより、ガス吸着層が、第2接合体、第2コンタクト、埋め込み配線、及び第1コンタクトを介して、電極と電気的に接続されるので、ガス吸着層に対して電極から電流を印加して加熱・活性化することが可能になる。これにより、ガス吸着層のガス吸着能力が高められ、減圧空間とされたキャビティ内のガスを効果的に吸着できるので、キャビティ内の真空度がより高められる。従って、センサとしての素子特性及び信頼性に優れたパッケージを、簡便な構成且つ低コストで実現できる。
また、本発明のパッケージの製造方法によれば、上記方法を採用することにより、ガス吸着層を、第2接合体、第2コンタクト、埋め込み配線、及び第1コンタクトを介して、電極と電気的に接続されるように設けることができるので、ガス吸着層に対して電極から電流を印加して加熱・活性化することが可能になる。これにより、ガス吸着層のガス吸着能力を高めることができ、キャビティ内のガスを効果的に吸着させてキャビティ内の真空度をより高めることが可能になる。
また、第2金属接合膜と第1金属接合膜とを拡散接合させて第1接合体を形成することで、これら各接合膜間の接合状態が良好となり、また、第1基板及び第2基板における加工精度に起因する凹凸等を吸収させながら各基板を接合できるので、高い封止気密性が得られるとともに、内部における電気的特性も良好になり、歩留まりも高められる。
さらに、第2通電用接合膜と第1通電用接合膜とを拡散接合させて第2接合体を形成することで、これら各接合膜間の接合状態が良好となり、ガス吸着層に対して電流を確実に印加して加熱・活性化できるので、キャビティ内のガスをより効果的に吸着でき、真空度がさらに高められる。
従って、センサとしての素子特性及び信頼性に優れたパッケージを、簡便な工程で生産性良く低コストで製造することが可能となる。
本発明の実施形態であるパッケージを模式的に説明する平面図である。 本発明の実施形態であるパッケージを模式的に説明する図であり、図1中に示すI-I断面図である。 本発明の実施形態であるパッケージの製造方法を模式的に説明する図であり、図3(a)は、工程(3)において基板をウェットエッチングすることで第2基板を得るステップを示す工程図、図3(b)は、工程(7)において、第2基板の第1凸部に第2金属接合膜を形成するとともに、第2凸部に第2通電用接合膜を形成するステップを示す工程図である。 本発明の実施形態であるパッケージの製造方法を模式的に説明する図であり、図4(a)は、工程(8)において第1基板の表面に第1金属接合膜及び第1通電用接合膜を形成するステップ、及び、工程(5)においてデバイス領域に素子を配置するステップを示す工程図であり、図4(b)は、工程(6)において第1基板と第2基板とを接合することでパッケージを得るステップを示す工程図、図4(c)は、ウエハをダイシングすることで電極を露出させるとともに、チップ化するステップを示す工程図である。
以下、本発明のパッケージ及びパッケージの製造方法の実施形態を挙げ、その構成について図1~図4を適宜参照しながら詳述する。
図1は、本実施形態のパッケージを模式的に説明する平面図であり、図2は、図1中に示すパッケージ1のI-I断面図である。また、図3及び図4は、本実施形態のパッケージ1の製造方法を模式的に説明する図であり、これらのうち、図3(a)は、基板をウェットエッチングして第2基板を得るステップ、図3(b)は、第2基板の第1凸部に第2金属接合膜を形成するとともに、第2凸部に第2通電用接合膜を形成するステップをそれぞれ示す工程図である。また、図4(a)は、第1基板の表面に第1金属接合膜及び第1通電用接合膜を形成するステップ、及び、デバイス領域に素子を配置するステップを示す工程図であり、図4(b)は、第1基板と第2基板とを接合してパッケージを得るステップ、図4(c)は、ウエハをダイシングすることで電極を露出させてチップ化するステップをそれぞれ示す工程図である。
なお、以下の説明で用いる各図面は、本発明のパッケージの特徴をわかりやすくするため、便宜上、特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等は実際とは異なる場合がある。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
[パッケージの構成]
以下に、本実施形態のパッケージの構成について、図1及び図2を参照しながら説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態のパッケージ1は、第1基板2(ベース基板)と、素子4と、第2基板3(リッド基板)とを備える。本実施形態のパッケージ1は、内部に素子4が設けられることで、種々のセンサ装置や半導体装置等を構成するものである。
より詳細には、本実施形態のパッケージ1は、第1基板2、第1基板2の上面2a側に設けられる素子4、並びに、素子4を覆った状態で第1基板2の上面2a側に接合され、第1基板2側に配置される下面3a側に、第1基板2に第1接合体50を介して接合される第1凸部31と、平面視で第1凸部31に囲まれるように形成され、素子4上にキャビティ(封止空間・減圧空間)Cを確保するための凹状のキャビティ領域32と、このキャビティ領域32内に配置され、第1基板2に第2接合体60を介して接合される第2凸部33と、を有する第2基板3を備えて概略構成される。
また、パッケージ1は、第1基板2内に埋設され、素子4に電気的に接続される埋め込み配線71,72と、第1基板2上において、対向して配置される第2基板3よりも平面視で外側に設けられ、埋め込み配線71,72と第1コンタクト91a,92aを介して電気的に接続される電極81,82とが備えられている。
また、パッケージ1は、第2基板3における、キャビティ領域32によって確保される封止空間に露出した面のうち、第1基板2に設けられた素子4と対向する部分を除いた位置にガス吸着層10を備えている。このガス吸着層10は、第2接合体60と接続されており、第2接合体60は、第1基板2に設けられた第2コンタクト91b,92bを介して埋め込み配線71,72と電気的に接続されている。
そして、本実施形態のパッケージ1は、ガス吸着層10が、第2接合体60、第2コンタクト91b,92b、埋め込み配線71,72、及び第1コンタクト91a,92aを介して、電極81,82と電気的に接続されている。
なお、図1においては詳細な図示を省略しているが、第2コンタクト91b,92bと素子4との間は、配線によって電気的に接続されており、これにより、電極81,82は、素子4から出力された検出信号を外部に向けて送出できるように構成されている。
以下、本実施形態のパッケージ1の構成についてより詳細に説明する。
第1基板2は、パッケージ1のベース基板であり、例えば、シリコン基板からなる。また、第1基板2は、図1に示す例では、平面視で矩形状に形成されている。また、第1基板2の上面2aには、後述する素子4を配置するためのデバイス領域22が凹状に形成されており、図示例においては、平面視で概略中央にデバイス領域22が設けられている。
第1基板2は、シリコン基板をウェットエッチングすることにより、デバイス領域22を形成することで得ることができる。デバイス領域22は、例えば、平面視矩形状に形成される領域である。
また、第1基板2の平面視形状は、図示例のような概略矩形状のものには限定されず、パッケージ1としての平面視形状に合わせて各種形状を採用することができる。
また、本実施形態においては、第1基板2の上面2a及び下面2bは、デバイス領域22の部分を除いて概略平坦に構成されている。
素子4は、上述のように、第1基板2の上面2a側に形成された凹状のデバイス領域22に収容されるように設けられている。また、素子4は、上述したように、その検出信号を、電極81,82から外部に向けて送出する。素子4は、第1基板2のデバイス領域22に設置された状態において、その上面側が、減圧空間とされたキャビティCに露出するように設けられる。
素子4は、例えば、ベース基板である第1基板2の構成材料から構成された部分を有してもよく、外部から供給された材料から構成された部分を有してもよく、また、第1基板2の構成材料と外部から供給された材料とを混合して構成された部分を有してもよい。本実施形態における素子4としては、例えば、センサ素子の他、電子素子、集積回路等が挙げられる。また、センサ素子としては、例えば、赤外線センサ、加速度センサ、角速度センサ等が挙げられる。
また、図1及び図2等においては図示を省略しているが、本実施形態のパッケージ1においては、第1基板2におけるデバイス領域22の周囲や、後述する埋め込み配線71,72又は電極81,82の周囲等に絶縁層が設けられていてもよい。具体的には、図視略の絶縁層は、第1基板2の上面2a側のうち、素子4よりも外側の領域に、平面視で素子4を囲むように設けることができる。この絶縁層は、絶縁性を有する材料からなり、例えば、二酸化ケイ素(SiO)等のシリコン酸化膜や、シリコン窒化膜(SiN)等から形成される。
第2基板3は、パッケージ1のリッド基板(蓋)であり、第1基板2と同様、例えば、シリコン基板からなる。また、図示例の第2基板3は、第1基板2と同様、平面視で矩形状に形成されている。また、第2基板3は、縁部近傍に第1凸部31を有し、概略で蓋状に形成されている。また、第2基板3における第1凸部31よりも平面視で内側の領域は、詳細を後述するように、第1基板2の上面2aと、第2基板3の下面3a側に設けられた第1凸部31とを組み合わせて接合した際に、キャビティ領域32による封止空間(キャビティC)を形成する。さらに、第2基板3には、上記のキャビティ領域32によって確保されるキャビティCに露出した面のうち、第1基板2に設けられた素子4と対向する位置を除いた少なくとも一部に第2凸部33が設けられており、図示例では第2凸部33が、第1凸部31と同じ高さで2箇所に設けられている。
なお、図示例のキャビティ領域32は、平面視矩形状とされている。
また、図示例の第1凸部31及び第2凸部33は、詳細を後述するウェットエッチングによる加工条件に伴い、側部が傾斜して形成されている。
第2基板3は、第1基板2に対して概略平行となるように重ね合わせられている。
また、第2基板3の平面視形状も、第1基板2の場合と同様、図示例のような概略矩形状には限定されず、パッケージ1としての平面視形状に合わせて、第1基板2と対応する形状とすることができる。
また、第2基板3は、上記の素子4が赤外線検出素子である場合には、赤外線を透過可能に構成される。
本実施形態のパッケージ1に備えられる第2基板3は、上記のように、下面3a側に、平面視矩形状で枠状とされた第1凸部31と、キャビティ領域32内の2箇所に設けられた第2凸部33を有している。第2凸部33の数や位置については特に限定されず、後述するガス吸着層10への通電効率を考慮しながら、適宜決定することができる。また、第2凸部33の平面視寸法についても特に限定されず、素子4による検出作用を阻害しない程度の大きさで適宜決定することができる。
第2基板3におけるキャビティ領域32の深さ、即ち、第1凸部31(及び第2凸部33)の高さとしては、キャビティCとして一定容量を有する空間を確保できる高さであれば、特に限定されず、例えば、30~100μmの高さとすることができる。
また、第2凸部33における頂部の平面視寸法としては、特に限定されないが、後述する第2接合体60とガス吸着層10との積層面積を確保することも考慮し、例えば、50~300μm角の矩形状とすることができる。
本実施形態のパッケージ1においては、第1基板2及び第2基板3がシリコン基板からなることが好ましい。このように、第1基板2及び第2基板3が、加工性に優れるシリコン基板からなることで、接合による内部応力が低減されるとともに、エッチング処理による加工精度が向上するので、素子特性にさらに優れたものとなる。
ガス吸着層10は、上述したように、第2基板3における、キャビティ領域32によって確保される封止空間に露出した面のうち、第1基板2に設けられた素子4と対向する部分を除いた位置に設けられる。図2に示す例においては、ガス吸着層10の一部が、詳細を後述する、第2接合体60を構成する第2通電用接合膜62上の一部に積層されるように設けられている。このような構成により、ガス吸着層10は、第2接合体60、第2コンタクト91b,92b、埋め込み配線71,72、及び第1コンタクト91a,92aを介して、電極81,82と電気的に接続され、外部から電流を印加することにより、加熱・活性化させることが可能に構成されている。
ガス吸着層10の材質は、例えば、水素や酸素等のガスを吸着できるゲッター剤からなるものであれば、とくに限定されず、例えば、少なくとも、チタン、ジルコニウム又はニッケル等を含むゲッター剤からなるものを採用することができる。ガス吸着層10を、上記のゲッター剤から構成することで、通電加熱によるガス吸着層の活性化効果がより顕著となり、ガス吸着層によるキャビティ内のガス吸着効果が向上し、真空度がさらに高められる。
なお、ガス吸着層10の寸法及び形状は、ガス吸着層10と第2通電用接合膜62との重なり寸法(積層部分の平面視寸法)を確保する観点から、例えば、ガス吸着層10と第2通電用接合膜62とが30~100μm程度の幅で重なり合うように調整することが好ましい。
第1接合体50は、上記のように、第1基板2の上面2aと第2基板3の第1凸部31との間に配置され、第1基板2と第2基板3とを接合するものである。図2中に示すように、第1接合体50は、第2基板3に形成された第1凸部31の先端を覆うように設けられた第2金属接合膜52と、第1基板2の上面2aにおける、第2基板3に形成された第1凸部31に対応する位置で設けられた第1金属接合膜51とからなり、これらの間が金属拡散接合されて構成される。また、第1接合体50は、図1中に示すように、第2基板3に設けられる第1凸部31と同様、平面視で概略枠状に構成される。パッケージ1に備えられる第1接合体50は、第1基板2と第2基板3とを接合することで、これら第1基板2、第2基板3及び第1接合体50に囲まれたキャビティCを形成する。
より具体的には、第1接合体50は、第1基板2の上面2aに配置される第1下地層51a、及び、第1下地層51a上に積層して設けられる第1接合層51bからなる第1金属接合膜51と、第2基板3の第1凸部31の先端に配置される第2下地層52a、及び、第2下地層52a上に積層して設けられる第2接合層52bからなる第2金属接合膜52と、から構成される。図2中に示す第1金属接合膜51及び第2金属接合膜52は、平面視矩形状で、概略枠状に形成されている。
そして、第1接合体50は、第1接合層51bと第2接合層52bとが金属拡散接合されることで、第1基板2と第2基板3との間を接合する。
第1下地層51a及び第2下地層52aは、それぞれ、第1基板2の上面2a、又は、第2基板3の第1凸部31の先端に接合される。上記のような各下地層を備えることにより、第1接合層51bが第1基板2に対して強固に接合され、第2接合層52bが第2基板3の第1凸部31に対して強固に接合される。
第1下地層51a及び第2下地層52aは、第1基板2の上面2a上、又は、第2基板3の第1凸部31の先端において、導電性を有する金属材料によって薄膜状に形成されている。
第1下地層51a及び第2下地層52aの材料としては、特に限定されないが、例えば、タンタル(Ta)又は窒化チタン(TiN)からなる薄膜とされていることが好ましい。
また、第1基板2側に設けられる第1下地層51aは、例えば、図視略のグラウンドに接続されている。このグラウンドは、例えば、第1基板2の下面2b側に設けることができるが、第1基板2の上面2a側に設けられていてもよい。
第1接合層51b及び第2接合層52bは、上記のように、それぞれ、第1下地層51a上、又は、第2下地層52a上に積層されている。
第1接合層51b及び第2接合層52bの材料としては、特に限定されないが、例えば、第1下地層51a及び第2下地層52aの材料としてタンタルを用いた場合には、第1接合層51b及び第2接合層52bの材料として金(Au)を用いる。また、第1下地層51a及び第2下地層52aの材料として窒化チタンを用いた場合には、第1接合層51b及び第2接合層52bの材料としてアルミニウム(Al)を用いる。
そして、本実施形態においては、第1接合層51bと第2接合層52bとが、同じ材料同士で接合されるように構成される。即ち、第1接合層51b及び第2接合層52bは、両方が同じ材料、即ち、金(Au)又はアルミニウム(Al)の何れか一方の材料を含むように構成される。
第1接合体50を上記材料から構成した場合、各層の厚さは特に限定されない。一方、電気的特性や接合時の強度等を勘案し、第1下地層51a及び第2下地層52aをタンタルから構成し、第1接合層51b及び第2接合層52bを金から構成した場合には、例えば、{第1接合層51b(又は第2接合層52b):0.5nm~2μm/第1下地層51a(又は第2下地層52a):0.05~0.2μm}の範囲とすることが好ましい。
同様に、第1下地層51a及び第2下地層52aを窒化チタンから構成し、第1接合層51b及び第2接合層52bをアルミニウムから構成した場合には、例えば、{第1接合層51b(又は第2接合層52b):1~3μm/第1下地層51a(又は第2下地層52a):0.05~0.5μm}の範囲とすることが好ましい。
また、第1接合体50によるキャビティCに対する封止幅、即ち、第1凸部31に対応して平面視矩形状に形成された第1接合体50の最大幅としても特に限定されない。一方、この部分の接合性を高め、キャビティCの封止気密性をより高めることを考慮した場合、第1接合体50の最大幅は、第1下地層51a及び第2下地層52aをタンタルから構成し、第1接合層51b及び第2接合層52bを金から構成した場合には、例えば、0.15~0.30mmとすることが好ましい。また、第1下地層51a及び第2下地層52aを窒化チタンから構成し、第1接合層51b及び第2接合層52bをアルミニウムから構成した場合には、例えば、0.03~0.1mmの幅とすることができる。
本実施形態においては、第1接合体50を上記のような層構造から構成することにより、第1基板2と第2基板3とを重ね合わせて加圧した際に、第1下地層51a及び第1接合層51bと、第2下地層52a及び第2接合層52bとの間に金属拡散接合が発現される。これにより、第1接合体50を強固な接合構造とし、且つ、第1基板2と第2基板3とを、キャビティCにおける封止性を高めながら強固に接合することが可能になる。
また、本実施形態においては、第1接合体50を上記材料から構成して金属拡散接合させることには限定されない。例えば、第1接合体50の各層を金(Au)又はスズ(Sn)から構成し、Au-Sn共晶接合させた構成を採用してもよい。この場合、例えば、第1下地層51a及び第2下地層52a、並びに、第1接合層51b及び第2接合層52bを、それぞれAu-Sn共晶合金から形成し、共晶温度まで加熱及び溶融させることで、第1下地層51a及び第1接合層51bと、第2下地層52a及び第2接合層52bとの間を共晶接合させる。これにより、第1基板2と第2基板3とを強固且つ安定して接合することができ、キャビティCの高い封止気密性が得られる。
第2接合体60は、上記のように、第1基板2の上面2aと第2基板3の第2凸部33との間に配置され、第1基板2と第2基板3とを接合するとともに、ガス吸着層10と後述の電極81,82との間電気的に接続する経路の一部となるものである。即ち、図2中に示すように、第2接合体60は、第2基板3に形成された第2凸部33の先端を覆うように設けられた第2通電用接合膜62と、第1基板2の上面2aにおける、第2基板3に形成された第2凸部33に対応する位置で設けられた第1通電用接合膜61とからなり、これらの間が金属拡散接合されて構成される。また、第2接合体60は、第1基板2、第2基板3及び第1接合体50に囲まれたキャビティC内に配置される。
より具体的には、第2接合体60は、第1基板2の上面2aに配置される第1通電下地層61a、及び、第1通電下地層61a上に積層して設けられる第1通電接合層61bからなる第1通電接合膜61と、第2基板3の第2凸部33の先端に配置される第2通電下地層62a、及び、第2通電下地層62a上に積層して設けられる第2通電接合層62bからなる第2通電用接合膜62と、から構成される。第2接合体60は、第1通電接合層61bと第2通電接合層62bとが金属拡散接合されることで、第1基板2と第2基板3との間を接合する。
第1通電下地層61a及び第2通電下地層62aは、それぞれ、第1基板2の上面2a、又は、第2基板3の第2凸部33の先端に接合される。上記のような各下地層を備えることにより、第1接合体50の場合と同様、第1通電接合層61bが第1基板2に対して強固に接合され、第2通電接合層62bが第2基板3の第2凸部33に対して強固に接合される。
第1通電下地層61a及び第2通電下地層62aは、第1基板2の上面2a上、又は、第2基板3の第2凸部33の先端において、導電性を有する金属材料によって薄膜状に形成されている。
第1通電下地層61a及び第2通電下地層62aの材料としても、特に限定されず、第1接合体50における各下地層と同じ材料を用いることができ、例えば、Ta又はTiNからなる薄膜で構成することができる。
また、第1基板2側に設けられる第2通電下地層62aは、第2コンタクト91b,92bに接続されている。
第1通電接合層61b及び第2通電接合層62bは、それぞれ、第1通電下地層61a上、又は、第2通電下地層62a上に積層されている。
第1通電接合層61b及び第2通電接合層62bの材料としても、特に限定されず、第1接合体50における各接合層と同じ材料を用いることができる。即ち、例えば、第1通電下地層61a及び第2通電下地層62aの材料としてタンタルを用いた場合には、第1通電接合層61b及び第2通電接合層62bの材料として金(Au)を用いる。また、例えば、第1通電下地層61a及び第2通電下地層62aの材料として窒化チタンを用いた場合には、第1通電接合層61b及び第2通電接合層62bの材料としてアルミニウム(Al)を用いる。
また、第2接合体60においても、第1接合体50における各下地層及び各接合層の場合と同様、第1通電接合層61bと第2通電接合層62bとが、同じ材料同士で接合されるように構成される。即ち、第1通電接合層61b及び第2通電接合層62bは、両方が同じ材料、即ち、金(Au)又はアルミニウム(Al)の何れか一方の材料を含むように構成される。
第2接合体60を構成する第1通電用接合膜61及び第2通電用接合膜62の各層の厚さとしても特に限定されず、第1接合体50の場合と同様、電気的特性や接合時の強度等を勘案し、適宜設定することができる。即ち、例えば、第1通電下地層61a及び第2通電下地層62aをタンタルから構成し、第1通電接合層61b及び第2通電接合層62bを金から構成した場合には、{第1通電接合層61b(又は第2通電接合層62b):0.5nm~2μm/第1通電下地層61a(又は第2通電下地層62a):0.05~0.2μm}の範囲とすることができる。
同様に、第1通電下地層61a及び第2通電下地層62aを窒化チタンから構成し、第1通電接合層61b及び第2通電接合層62bをアルミニウムから構成した場合には、例えば、{第1通電接合層61b(又は第2通電接合層62b):1~3μm/第1通電下地層61a(又は第2通電下地層62a):0.05~0.5μm}の範囲とすることができる。
また、第2接合体60の寸法としては、特に限定されず、第2基板3に設けられた第2凸部33の先端を完全に覆いつつ、ガス吸着層10と第2通電用接合膜62とが30~100μm程度の幅で重なり合うことができる寸法とすればよい。上述したように、図2中に示す例では、ガス吸着層10の一部が、第2接合体60を構成する第2通電用接合膜62上の一部に積層されている。
本実施形態においては、第2接合体60を、第1接合体50と同様の層構造とすることにより、第1基板2と第2基板3とを重ね合わせて加圧した際に、第1通電下地層61a及び第1通電接合層61bと、第2通電下地層62a及び第2通電接合層62bとの間に金属拡散接合が発現される。これにより、第2接合体60を強固な接合構造とし、第2接合体60を介してガス吸着層10に対して確実に通電し、加熱・活性化することが可能になる。
また、第2接合体60においても、第1接合体50の場合と同様、例えば、第1通電下地層61a及び第2通電下地層62a、並びに、第1通電接合層61b及び第2通電接合層62bを、それぞれAu-Sn共晶合金から形成することができる。即ち、Au-Sn共晶合金を共晶温度まで加熱及び溶融させて、第1通電下地層61a及び第1通電接合層61bと、第2通電下地層62a及び第2通電接合層62bとの間を共晶接合させることで、第1基板2と第2基板3とを強固且つ安定して接合でき、ひいては、第2接合体60と第2コンタクト91b,92bとの間の確実な電気的接続が可能になる。
本実施形態のパッケージ1においては、第2接合体60が、ガス吸着層10に接続されるとともに、第1基板に設けられた第2コンタクト91b,92bを介して後述の埋め込み配線71,72と電気的に接続される。これにより、ガス吸着層10は、第2接合体60、第2コンタクト91b,92b、埋め込み配線71,72、及び第1コンタクト91a,92aを介して電極81,82と電気的に接続されているので、パッケージ1の外部から電極81,82に電流を供給することで、ガス吸着層10を簡便な方法で加熱・活性化することができる。従って、キャビティC内のガスをより効果的に吸着でき、真空度がさらに高められる。また、第2接合体60が、第2通電用接合膜62と第1通電用接合膜61とが金属拡散接合されてなることで、これら各接合膜間の接合状態が良好となり、ガス吸着層10に対して電流をより確実に印加でき、効果的な加熱・活性化が可能になる。
第1基板2の上面2aには、上述した電極81,82、埋め込み配線71,72、第1コンタクト91a,92a及び第2コンタクト91b,92bが設けられている。
埋め込み配線71,72は、上述したように、素子4と電極81,82とを電気的に接続するとともに、電極81,82に印加した電流をガス吸着層10に通電して加熱・活性化を行うためのものである。埋め込み配線71,72は、電極81,82及び素子4における図視略の出力端子の数に応じて、パッケージ1において複数で設けられており、図2中においては、埋め込み配線71,72の一部のみを示している。また、電極81,82は、素子4に対して、例えば、図視略の配線によって電気的に接続されている。また、図示例の埋め込み配線71,72は、第1基板2の厚さ方向において、中央部よりも上方に埋設されており、電極81,82、及び、第2接合体60の下方にわたるように配置されている。
埋め込み配線71,72の材料としては、優れた導電性を有する配線材料又は電極材料であれば、特に限定されず、従来からこの分野で用いられている金属材料等を何ら制限無く用いることができる。このような材料としては、例えば、ポリシリコン配線やアルミニウム(Al)配線等、埋め込み配線に一般的に用いられる導電性材料が挙げられる。
電極81,82は、埋め込み配線71,72と第1コンタクト91a,92aを介して素子4と電気的に接続され、素子4による検出信号等を外部に出力するものである。電極81,82は、第1基板2の上面2a上において、それぞれ対向する縁部に沿って設けられており、図示例においては、電極81と電極82とが、それぞれ対向して4カ所に設けられている。また、電極81,82は、平面視で、第1基板2と対向して設けられる第2基板3よりも外側に設けられている。電極81,82は、例えば、赤外線検出素子等の素子4による検出信号等を必要とする種々の外部機器に対して電気的に接続可能に設けられる。
電極81,82の材料としても、従来からこの分野で用いられている金属材料等を何ら制限無く用いることができ、例えば、アルミシリコン合金(AlSi)及び窒化チタン(TiN)をスパッタリング法によって順次積層したもの等を用いることができる。
また、詳細を後述するように、電極81,82を、第1金属接合膜51及び第1通電用接合膜61と同じ工程で同時に形成する場合には、これら各電極の材料として、上述した第1金属接合膜51及び第1通電用接合膜61と同じ材料を用いればよい。
第1コンタクト91a,92aは、埋め込み配線71,72と電極81,82とを電気的に接続するものであり、第2コンタクト91b,92bは、埋め込み配線71,72と第2接合体60とを電気的に接続するものである。図2に示す例においては、第1コンタクト91a,92aが埋め込み配線71,72の一端側に接続され、第2コンタクト91b,92bが、埋め込み配線71,72の他端側に接続されている。
上記により、素子4は、第2コンタクト91b,92b、埋め込み配線71,72、及び、第1コンタクト91a,92aを介して電極81,82と電気的に接続されている。また、第2接合体60も、第2コンタクト91b,92b、埋め込み配線71,72、及び、第1コンタクト91a,92aを介して電極81,82と電気的に接続されていることで、外部の電源からガス吸着層10に通電することが可能に構成されている。
第1コンタクト91a,92a及び第2コンタクト91b,92bを構成する材料としても、特に限定されず、従来からこの分野で用いられている金属材料を何ら制限無く用いることができる。
また、電極81,82の場合と同様、第1コンタクト91a,92a及び第2コンタクト91b,92bを、第1金属接合膜51及び第1通電用接合膜61と同じ工程で同時に形成する場合には、これら各コンタクトの材料として、上述した第1金属接合膜51及び第1通電用接合膜61と同じ材料を用いればよい。
本実施形態のパッケージ1によれば、上述したように、第1基板2と第2基板3とを接合する第2接合体60を備え、この第2接合体60が、ガス吸着層10に接続されるとともに、第1基板2に設けられた第2コンタクト91b,92bを介して埋め込み配線71,72と電気的に接続され、ガス吸着層10が、第2接合体60、第2コンタクト91b,92b、埋め込み配線71,72、及び第1コンタクト91a,92aを介して電極81,82と電気的に接続されていることで、ガス吸着層10に対して電極81,82から電流を印加して加熱・活性化することが可能になる。これにより、ガス吸着層10のガス吸着能力が高められ、減圧空間とされたキャビティC内のガスを効果的に吸着できるので、キャビティC内の真空度がより高められる。従って、センサとしての素子特性及び信頼性に優れたパッケージ1を、簡便な構成且つ低コストで実現できる。
上記のように、本実施形態のパッケージ1によれば、ガス吸着層10が真空封止されたキャビティCの外部に配置される電極81,82から通電することで、ガス吸着層10の加熱・活性化処理を効率的に実施できるので、キャビティC内を高度に真空化することが可能になる。
また、外部からの通電により、ガス吸着層10のみを加熱して活性化できる構成なので、素子4を始めとするパッケージ1全体に対して大きな熱ストレスが加わることない。これにより、センサとしての特性や品質低下を招くことが無いだけでなく、金属核酸接合によって第1基板2と第2基板3とを接合する際の温度を過剰に付与する必要が無いので、第1接合体及び第2接合体60による接合品質が低下するのを抑制できる。
また、本実施形態のパッケージ1によれば、上記の第1接合体50が、第1金属接合膜51と第2金属接合膜52とが金属拡散接合することで得られるものなので、キャビティCにおける高い封止気密性が得られる。また、第1基板2及び第2基板3における加工精度に起因する凹凸等が吸収されるので、上記の封止気密性の向上に加え、内部における電気的特性もより良好になり、優れた素子特性が得られる。
また、本実施形態のパッケージ1によれば、第1基板2及び第2基板3が、詳細を後述するウェットエッチングによって加工した際の加工性が優れるシリコン基板からなることで、素子特性にさらに優れたものとなる。
さらに、詳細を後述するが、第2基板3の下面3a側に形成される第1凸部31、キャビティ領域32及び第2凸部は、ウェットエッチングにより、同一工程で同時に形成することが可能なものなので、生産性に優れ、且つ、低コストなものとなる。
また、本実施形態のパッケージ1によれば、素子4として赤外線検出素子を採用し、且つ、第2基板3が赤外線を透過可能に構成されることにより、キャビティC内における高い真空度を有し、低コストであるとともに素子特性及び信頼性に優れた赤外線センサが実現できる。
次に、本実施形態のパッケージ1を用いた各種検出に係る処理の一例として、素子4に赤外線検出素子を用い、赤外線センサとしてパッケージを構成した場合について説明する。
まず、赤外線が第2基板3の上面3b側から入射して第2基板3を透過すると、赤外線検出素子からなる素子4は、その赤外線を検出して検出信号を出力する。素子4から出力された検出信号は、第2コンタクト91b,92b、埋め込み配線71,72、及び、第1コンタクト91a,92aを通り、複数の電極81,82から外部に向けて出力される。複数の電極81,82から出力された検出信号は、図視略の外部機器等に送信されて所定の動作が行われる。
なお、本実施形態においては、ガス吸着層10を、素子4と重ならない位置にのみ形成した例を示しているが、例えば、素子4が赤外線検出素子からなる場合、素子4における受光に支障が生じない程度であれば、素子4とガス吸着層10とが若干重なった構成とすることも可能である。
一方、素子4に赤外線検出素子を用いる場合、赤外線センサとしての特性を最大限まで高める観点からは、図1及び図2等に示す例のように、素子4とガス吸着層10とが全く重ならない構成とすることがより好ましい。
[パッケージの製造方法]
次に、本実施形態のパッケージ1を製造する方法について、図3及び図4を参照しながら詳述する(パッケージ1の構成については図1,図2も適宜参照)。
本実施形態のパッケージ1の製造方法は、例えば、図1及び図2に示すような本実施形態のパッケージ1を製造する方法であり、少なくとも以下の工程(1)~(6)を備える方法である。
工程(1):基板材料の表面をエッチングすることにより、素子4を収容する凹状のデバイス領域22を形成して第1基板2を得る。
工程(2):第1基板2におけるデバイス領域22を除く位置に、少なくとも一以上の埋め込み配線71,72を形成する。
工程(3):基板材料の表面をエッチングすることにより、第1基板2の上面2a側に第1接合体50を介して接合される第1凸部31と、平面視で第1凸部31に囲まれるように形成され、素子4上にキャビティ(封止空間・減圧空間)Cを確保するための凹状のキャビティ領域32と、該キャビティ領域32に設けられ、第1基板2の上面2a側に第2接合体60を介して接合される第2凸部33と、を形成して第2基板を得る。
工程(4):第2基板3に形成された第1凸部31の先端を覆うように第2金属接合膜52を形成するとともに、第2凸部33の先端を覆うように第2通電用接合膜62を形成する。
工程(5):第1基板2と第2基板3とを重ね合わせたときに、第1凸部31に対応する位置で、第1基板2上に第1金属接合膜51を形成するとともに、第2凸部33に対応する位置で、第1基板2上に第1通電用接合膜61を形成する。
工程(6):第1基板2の上面2a側に、埋め込み配線71,72の一端側に電気的に接続される第1コンタクト91a,92aを形成するとともに、埋め込み配線71,72の他端側に電気的に接続される第2コンタクト91b,92bを形成し、さらに、第1コンタクト91a,92aに接続する電極81,82を形成する。
工程(7):第2基板3における、キャビティ領域32によって確保される封止空間(キャビティC)に露出する面のうち、第1基板2に設けられた素子4と対向する位置を除いた少なくとも一部を覆うようにゲッター剤を塗布し、第2通電用接合膜62と少なくとも一部が接するようにガス吸着層10を形成する。
工程(8):第1基板2に形成されたデバイス領域22に素子4を配置する。
工程(9):第1基板2と第2基板3との間に素子4が配置されるように第1基板2と第2基板3とを重ね合わせて互いに加圧し、第1金属接合膜51と第2金属接合膜52とを拡散接合させて第1接合体50を形成するとともに、第1通電用接合膜61と第2通電用接合膜62とを拡散接合させて第2接合体60を形成し、且つ、第2接合体60が第1基板2に設けられた第2コンタクト91b,92bに接するように第1基板2と第2基板3とを接合する。
なお、本実施形態においては、上記の工程(3)が、第1凸部31及び第2凸部33を同時に形成することにより、第2基板3を得る工程とされた例を説明する。
また、本実施形態では、上記の工程(4)が、第2金属接合膜52及び第2通電用接合膜62を同時に形成し、工程(5)が、第1金属接合膜51及び第1通電用接合膜61を同時に形成する例を説明する。
また、本実施形態では、上記の工程(5)及び工程(6)を同時に行うことにより、第1基板2に、第1金属接合膜51、第1通電用接合膜61、第1コンタクト91a,92a、第2コンタクト91b,92b及び電極81,82を同時に形成する例を説明する。
本実施形態では、上記の工程(9)の後に、外部から電極81,82に通電してガス吸着層10に電流を印加することにより、このガス吸着層10を加熱して活性化する工程(10)を備えた例を説明する。
まず、工程(1)において、基板材料、例えばシリコン基板の表面をウェットエッチングし、素子4を収容する凹状のデバイス領域22を形成して第1基板2を作製する(図4(a)を参照)。
具体的には、工程(1)では、まず、基板材料となるシリコン基板の表面に、フォトリソグラフィ法により、凹状のデバイス領域22をウェットエッチングで形成するための、図視略のレジストパターンを形成する。
次いで、シリコン基板の表面をウェットエッチングすることにより、凹状のデバイス領域22を形成する。
その後、第1基板2からレジストパターンを剥離する。
工程(1)においては、フォトリソグラフィ法によってレジストパターンを形成するにあたり、例えばスピンコート法等を用いて、従来公知の条件でレジストパターンを形成することができる。
また、工程(1)におけるウェットエッチング条件としても、特に限定されず、例えば、従来からシリコン基板のエッチングに用いられているKOH等のエッチング液を用いることができる。また、エッチング液の温度やエッチング時間等の各条件についても、従来公知の条件を何ら制限無く採用できる。
次に、工程(2)において、第1基板2におけるデバイス領域22を除く位置に埋め込み配線71,72を形成する(図4(a)を参照)。
具体的には、まず、第1基板2の上面2aに、図視略の絶縁膜(酸化膜)を形成する。
次いで、上記の図視略の絶縁膜を形成した領域に、例えば、{TiN/AlSi/TiN}の積層構造、あるいは、ポリシリコンからなる埋め込み配線膜を、例えば、スパッタリング法や蒸着法(CVD法)等の方法で成膜する。
次いで、フォトリソグラフィ法により、埋め込み配線71,72を形成するための、図視略のレジストパターンを形成する。
次いで、上記の埋め込み配線膜をウェットエッチング又はドライエッチングすることにより、パターニングされた埋め込み配線71,72を形成する。
次いで、第1基板2からレジストパターンを剥離する。
次いで、埋め込み配線71,72上に、図視略の絶縁膜(酸化膜や窒化膜)を、例えば、蒸着法によって形成することにより、埋め込み配線71,72を覆い込む。
その後、必要に応じて、埋め込み配線71,72上に形成した図視略の絶縁膜を、例えば、CMP法(化学機械研磨:Chemical Mechanical Polishing)等の方法で平坦化する。
次いで、本実施形態の工程(2)においては、後述する工程(6)において第1コンタクト91a,92a及び第2コンタクト91b,92bを設けるためのホールを形成する。
この際、まず、第1基板2の上面2aにおける、上記のホールの形成予定位置(第1コンタクト91a、92a及び第2コンタクト91b,92bに対応する位置)を除いた全面に、フォトリソグラフィ法によってレジストパターンを形成する。
次いで、第1基板2の上面2aをウェットエッチング又はドライエッチングすることにより、埋め込み配線71,72の両端に対応する位置に、第1コンタクト91a,92a及び第2コンタクト91b,92bを設けるためのホールを形成する。
次いで、第1基板2からレジストパターンを剥離する。
また、本実施形態の製造方法においては、上記の工程(1)及び工程(2)を実施するのと平行して、工程(3)において、基板材料、例えばシリコン基板の下面3aをエッチングすることにより、第1凸部31と、第1凸部31に囲まれるように形成される凹状のキャビティ領域32と、このキャビティ領域32内に設けられる第2凸部33とを形成して第2基板を作製する。また、本実施形態においては、上記のように、工程(3)において、第1凸部31と、キャビティ領域32と、第2凸部33とを同時に形成する。
即ち、工程(3)においては、まず、基板材料となるシリコン基板を準備する。
そして、シリコン基板の表面に、フォトリソグラフィ法により、第1凸部31、キャビティ領域32、及び第2凸部33をウェットエッチングで形成するための図視略のレジストパターンを形成する。
次いで、シリコン基板の表面をウェットエッチングすることにより、図3(a)に示すように、第1凸部31を形成するとともに、第1凸部31に囲まれたキャビティ領域32を形成し、同時に、第2凸部33を形成する。本実施形態の製造方法で得られるパッケージ1は、上記のキャビティ領域32に対応する領域がキャビティCとなる。
その後、第2基板3から図視略のレジストパターンを剥離する。
工程(3)においても、工程(1)と同様、フォトリソグラフィ法によってレジストパターンを形成するにあたり、例えばスピンコート法等を用いて、従来公知の条件でレジストパターンを形成することができる。また、工程(3)におけるウェットエッチング条件としても、工程(1)と同様、例えば、従来からシリコン基板のエッチングに用いられているKOH等のエッチング液を用いることができ、エッチング液の温度やエッチング時間等の各条件についても、従来公知の条件を何ら制限無く採用できる。
次に、工程(4)においては、第2基板3に形成された第1凸部31の先端を覆うように第2金属接合膜52を形成し、また、第2凸部33の先端を覆うように第2通電用接合膜62を形成する。本実施形態では、工程(4)において、第2金属接合膜52及び第2通電用接合膜62を同時に形成する。
具体的には、まず、工程(3)で得られた第2基板3の下面3a側に、スプレーコート法等のフォトリソグラフィ法により、第2金属接合膜52及び第2通電用接合膜62を形成するための、図視略のレジストパターンを形成する。この際、第2基板3の下面3aにおける、第1凸部31及び第2凸部33の部分を除いた全面にレジストパターンを形成する。
次いで、例えば、スパッタリング法、蒸着法又はめっき法等の方法により、図3(b)に示すように、第1凸部31の先端に、第2下地層52aと第2接合層52bとが積層されてなる第2金属接合膜52を形成する。また、これと同時に、第2凸部33の先端に、第2通電下地層62aと第2通電接合層62bとが積層されてなる第2通電用接合膜62を形成する。
この際、材料及び積層順を適宜選択することにより、上述したような{Au/Ta}構造、又は、{Al/TiN}構造の薄膜からなる第2金属接合膜52及び第2通電用接合膜62を形成することができる。
その後、第2基板3の下面3aから図視略のレジストパターンを剥離する。
また、本実施形態では、上記の工程(4)を実施するとともに、工程(5)において、第1基板2と第2基板3とを重ね合わせたときに、第1凸部31に対応する位置で、第1基板2上に第1金属接合膜51を形成し、また、第2凸部33に対応する位置で、第1基板2上に第1通電用接合膜61を形成する(図4(a)を参照)。本実施形態では、工程(5)において、第1金属接合膜51及び第1通電用接合膜61を同時に形成する。
さらに、本実施形態で説明する例では、工程(5)と、上記の工程(6)を同時に行うことにより、第1基板2に、第1金属接合膜51、第1通電用接合膜61、第1コンタクト91a,92a、第2コンタクト91b,92b及び電極81,82を同時に形成する。
具体的には、まず、デバイス領域22が形成された第1基板2の上面2aに、上記同様、スプレーコート法等のフォトリソグラフィ法により、第1金属接合膜51及び第1通電用接合膜61を形成するための、図視略のレジストパターンを形成する。この際、第1基板2の上面2aにおける、第2基板3の第1凸部31及び第2凸部33に対応する位置、第1コンタクト91a,92a及び第2コンタクト91b,92bを形成するためのホールの位置、並びに、電極81,82の形成予定位置を除いた全面にレジストパターンを形成する。
次いで、例えば、スパッタリング法、蒸着法又はめっき法等の方法により、第1基板2の上面2a上に、第1下地層51aと第1接合層51bとが積層されてなる第1金属接合膜51、及び、第1通電下地層61aと第1通電接合層61bとが積層されてなる第1通電用接合膜61を形成する。
なお、工程(5)においても、材料及び積層順を適宜選択することにより、上述したような{Au/Ta}構造、又は、{Al/TiN}構造の薄膜からなる第1金属接合膜51及び第1通電用接合膜61を形成することができる。
また、この際、第2基板3側に形成される第2金属接合膜52及び第2通電用接合膜62が{Au/Ta}構造である場合には、第1金属接合膜51及び第1通電用接合膜61も同様の材料から形成する。この場合には、第1金属接合膜51のAu層(第1接合層51b)と第2金属接合膜52のAu層(第2接合層52b)とが接合するように、各層の積層順を調整するとともに、第1通電用接合膜61のAu層(第1通電接合層61b)と第2通電用接合膜62のAu層(第2通電接合層62b)とが接合するように、各層の積層順を調整する。
同様に、第2金属接合膜52及び第2通電用接合膜62が{Al/TiN}構造からなる場合には、第1金属接合膜51及び第1通電用接合膜61も同様の材料から形成する。この場合には、第1金属接合膜51のAl層(第1接合層51b)と第2金属接合膜52のAl層(第2接合層52b)とが接合するように、各層の積層順を調整するとともに、第1通電用接合膜61のAl層(第1通電接合層61b)と第2通電用接合膜62のAl層(第2通電接合層62b)とが接合するように、各層の積層順を調整する。
その後、第1基板2の上面2aから図視略のレジストパターンを剥離する。
工程(6)においては、図4(a)中に示すように、第1基板2の上面2a側に、スパッタリング法、蒸着法又はめっき法等の方法によって導電性材料を積層することにより、第1コンタクト91a,92a及び第2コンタクト91b,92bを、それぞれ埋め込み配線71,72の両端側に接続するように形成し、さらに、第1コンタクト91a,92aに対してそれぞれ接続するように、電極81,82を形成する。
この際、工程(6)を単独で行う場合には、第1コンタクト91a,92a及び第2コンタクト91b,92bを、例えば、タングステン(W)を用いて、スパッタリング法や蒸着法等の方法により、上記の工程(2)で形成したホール内に埋め込むように形成する。また、電極81,82については、これら電極81,82の形成予定位置に、TiN及びAlSiを、スパッタリング法等の方法で順次積層することで形成することができる。
一方、本実施形態で説明するように、工程(5)及び工程(6)を同時に行い、第1コンタクト91a,92a及び第2コンタクト91b,92b、並びに、電極81,82を、第1金属接合膜51及び第1通電用接合膜61と同じ工程で同時に形成する場合には、上述した第1金属接合膜51及び第1通電用接合膜61と同じ材料を用い、例えば、スパッタリング法、蒸着法又はめっき法等によって形成することができる。この場合、第1コンタクト91a,92a及び第2コンタクト91b,92b、並びに、電極81,82は、第1金属接合膜51及び第1通電用接合膜61と同様の積層構造、即ち、{Au/Ta}構造、又は、{Al/TiN}構造を有するものとなる。
次に、工程(7)においては、第2基板3における、キャビティ領域32によって確保されるキャビティCに露出する面のうち、第1基板2に設けられた素子4と対向する位置を除いた少なくとも一部を覆うようにゲッター剤を塗布し、第2通電用接合膜62と少なくとも一部が接するようにガス吸着層10を形成する。
具体的には、まず、第2基板3の下面3a側に、スプレーコート法等のフォトリソグラフィ法によって図視略のレジストパターンを形成するか、又は、第2基板3の下面3a側を、パターン化された図視略のメタルマスクで覆う。この際、第2基板3の下面3aにおける、素子4と対向する位置を除く全面を覆うように、上記のレジストパターンを形成するか、又は、メタルマスクを配置する。
そして、例えば、チタン、ジルコニウム又はニッケルを含むゲッター剤を、従来公知のディスペンサーやスクリーン印刷法、あるいは、スパッタリング法や蒸着法等を用い、第2基板3の下面3aに塗布する。この際、図4(a)等に示すように、ガス吸着層10が、第2接合体60の第2通電用接合膜62の少なくとも一部に重なり合うように、ゲッター剤を塗布する。
その後、第2基板3から図視略のレジストパターン又はメタルマスクを剥離する。
次に、工程(8)において、第1基板2の上面2aに形成された凹状のデバイス領域22に、素子4を配置する(図4(a)等を参照)。
次に、工程(9)において、図4(b)に示すように、第1基板2と第2基板3との間に素子4が配置されるように第1基板2と第2基板3とを重ね合わせ互いに加圧し、第1基板2と第2基板3とを接合する。即ち、第1金属接合膜51と第2金属接合膜52とを拡散接合させて第1接合体50を形成するとともに、第1通電用接合膜61と第2通電用接合膜62とを拡散接合させて第2接合体60を形成し、且つ、第2接合体60が第1基板2に設けられた第2コンタクト91b,92bに接するように第1基板2と第2基板3とを接合する。
具体的には、まず、図4(b)に示すように、第1金属接合膜51と第2金属接合膜52とを突き合わせるとともに、第1通電用接合膜61と第2通電用接合膜62とを突き合わせるように、第1基板2と第2基板3とを重ね合わせる。
次いで、第1基板2と第2基板3とを互いに加圧することにより、第1金属接合膜51と第2金属接合膜52との間、及び、第1通電用接合膜61と第2通電用接合膜62との間に金属拡散接合を発現させ、これらの部分を接合する。
上記の拡散接合を行う際の条件、即ち、パッケージ1のキャビティCを封止する条件としては、特に限定されないが、例えば、第1基板2側の第1金属接合膜51及び第1通電用接合膜61、並びに、第2基板3側の第2金属接合膜52及び第2通電用接合膜62が{Au(第1接合層51b、第1通電接合層61b、第2接合層51b、又は第2通電接合層62b)/Ta(第1下地層51a、第1通電下地層61a、第2下地層52a、又は第2通電下地層62a)}の層構造である場合には、例えば、温度条件を300~350℃の範囲とし、加圧力を450~900kPaの範囲とすることが好ましい。
一方、第1金属接合膜51及び第1通電用接合膜61、並びに、第2金属接合膜52及び第2通電用接合膜62が{Al(第1接合層51b、第1通電接合層61b、第2接合層52b、又は第2通電接合層62b)/TiN(第1下地層51a、第1通電下地層61a、第2下地層52a、又は第2通電下地層62a)}の層構造である場合には、例えば、温度条件を350~400℃の範囲とし、加圧力を27~60MPaの範囲とすることが好ましい。
上述したように、第1基板2と第2基板3とを接合する際の、第1接合体50によるキャビティCに対する封止幅(接合幅)、即ち、第1凸部31に対応して平面視矩形状に形成された第1接合体50の最大幅としても特に限定されない。一方、この部分の接合性を高め、キャビティCの封止気密性をより高めること等を考慮すると、上記の封止幅(最大幅)は、第1下地層51a及び第2下地層52aをTaとし、第1接合層51b及び第2接合層52bをAuとした場合には、例えば、0.15~0.30mmとすることが好ましい。また、第1下地層51a及び第2下地層52aをTiN、第1接合層51b及び第2接合層52bをAlとした場合には、例えば、0.03~0.1mmの幅とすることが好ましい。
そして、本実施形態では、上記の工程(9)の後、図4(c)に示すように、ダイシングラインLに沿って、第2基板3において対向する一対の縁部をダイシングすることにより、第1基板2の上面2aに形成した電極81,82を露出させる。
以上の各工程により、本実施形態のパッケージ1を製造することができる。
なお、上記の各工程は、可能な範囲で、その工程順を変更したり、あるいは、同じ工程として行ったりすることも可能である。
そして、本実施形態の製造方法においては、上記の工程(9)の後、又は、工程(9)の実施後にダイシングを行ってチップ化したパッケージ1を得た後、必要に応じて、電極81,82に通電してガス吸着層10に電流を印加することにより、このガス吸着層10を加熱して活性化する工程(10)を備えていてもよい。
上記のような工程(10)を備え、ガス吸着層10に対して電流を印加し、ガス吸着層10を加熱して活性化することでガス吸着能力が高められるので、キャビティC内のガスを効果的に吸着してキャビティC内の真空度をより高めることが可能になる。
工程(10)におけるガス吸着層10の加熱・活性化通電の条件としては、ゲッター剤からなるガス吸着層10を活性化できる条件であれば特に限定されず、また、ガス吸着層10の厚みや平面視での大きさ等によっても異なってくるが、例えば、以下に説明するような条件を採用できる。
まず、ガス吸着層10の加熱温度としては、上記のようなジルコニウム又はニッケルを含んでなるゲッター剤を活性化することが可能な温度であることが必要であり、具体的には300~450℃程度まで加熱することが好ましい。ガス吸着層10の加熱温度を上記範囲の下限以上に設定することにより、ガス吸着層10を効果的に加熱・活性化することができる。なお、過度な高温による加熱は、ガス吸着層10のみならず、その周辺にも悪影響を与えるおそれがあることから、ガス吸着層10の加熱温度は上記上限以下とすることが好ましい。
なお、ガス吸着層10の加熱温度を上記範囲に調整する方法としては、例えば、通電時の電圧及び電流を適宜調節する方法が挙げられる。
また、ガス吸着層10の加熱時間としては、ガス吸着層10の加熱温度を上記範囲とした場合には、例えば、10~60minの範囲とすればよい。ガス吸着層10の加熱時間を上記の下限以上に設定することにより、ガス吸着層10を十分に加熱・活性化することができる。また、過度な長時間の加熱は製造コストの上昇を招くおそれがあることから、ガス吸着層10の加熱時間は上記上限以下とすることが好ましい。
本実施形態の製造方法においては、上記のように、工程(7)において、第2通電用接合膜62と接するようにガス吸着層10を形成するとともに、工程(9)において、第1金属接合膜51と第2金属接合膜52とを拡散接合させて第1接合体50を形成し、第1通電用接合膜61と第2通電用接合膜62とを拡散接合させて第2接合体60を形成し、且つ、第2接合体60が第1基板2に設けられた第2コンタクト91b,92bに接するように第1基板2と第2基板3とを接合する方法を採用している。これにより、簡便な工程で、ガス吸着層10が、第2接合体60、第2コンタクト91b,92b、埋め込み配線71,72、及び第1コンタクト91a,92aを介して、電極81,82と電気的に接続した構成のパッケージ1を製造することができる。そして、ガス吸着層10に対して電極81,82から電流を印加して加熱・活性化することで、ガス吸着層10のガス吸着能力を高めることができ、キャビティC内のガスを効果的に吸着し、キャビティC内の真空度をより高めることができる。
また、第2金属接合膜52と第1金属接合膜51とを拡散接合させて第1接合体50を形成することで、これら各接合膜間の接合状態が良好となり、また、第1基板2及び第2基板3における加工精度に起因する凹凸等を吸収させながら各基板を接合できる。これにより、高い封止気密性が得られるとともに、内部における電気的特性も良好になり、歩留まりも高められる。
さらに、第2通電用接合膜62と第1通電用接合膜61とを拡散接合させて第2接合体60を形成することで、これら各接合膜間の接合状態が良好となり、ガス吸着層10に対して電流を確実に印加して加熱・活性化できるので、キャビティC内のガスをより効果的に吸着でき、真空度がさらに高められる。
従って、センサとしての素子特性及び信頼性に優れたパッケージ1を、簡便な工程で生産性良く低コストで製造することが可能となる。
また、本実施形態では、上記の工程(3)において、第1凸部31及び第2凸部33という、基板材料の表面をエッチング処理等で加工することが必要な部位を形成する工程を同時に行うことで第2基板3を得ることにより、工程を簡略化できるので、簡便な工程で生産性良く低コストでパッケージ1を製造することが可能になる。
また、本実施形態では、工程(7)において、金属膜からなる第2金属接合膜52及び第2通電用接合膜62を同時に形成し、また、工程(8)において、金属膜からなる第1金属接合膜51及び第1通電用接合膜61を同時に形成する方法を採用し、それぞれ、各金属膜を同時に形成することで、工程を簡略化できる。これにより、上記同様、パッケージ1を、簡便な工程で生産性良く低コストで製造することが可能になる。
また、本実施形態においては、第1基板2に、第1金属接合膜51、第1通電用接合膜61、第1コンタクト91a,92a、第2コンタクト91b,92b及び電極81,82を同時に形成する方法を採用し、導電箇所を1回のプロセスで形成することにより、工程を簡略化できる。これにより、パッケージ1を、さらに簡便な工程で生産性良く低コストで製造することが可能になる。
即ち、本実施形態においては、上記のようなパッケージ構造を得るにあたり、まず、リッド基板(蓋基板)となる第2基板3に封止用の第1凸部31及びキャビティ領域32を形成する際、第1基板2と電気的に接続するために用いられる第2凸部33を同時に形成することができる。さらに、第2凸部33の先端にも、第1凸部31の先端に第1接合体50を形成する場合と同一のプロセスで、この第1接合体50と同様の金属膜からなる第2接合体を形成することができる。これにより、金属膜からなる接合層を形成するための工程数を増加させることがないので、製造コストが増大するのを回避できる。また、リッド基板(蓋基板)となる第2基板3側にガス吸着層10を配置できる構造により、パッケー全体を小型化でき、低コスト化が可能になる。
また、本実施形態においては、第1基板2及び第2基板3に、加工性に優れるシリコン基板を用いることで、下流側の工程である工程(9)で第1基板2と第2基板3とを接合する際の内部応力が低減されるとともに、エッチング処理による加工精度が向上するので、素子特性にさらに優れたパッケージ1を製造することが可能になる。
さらに、本実施形態では、上記の各工程によって得られるパッケージ構造に対し、工程(8)において、素子4として赤外線検出素子をデバイス領域に配置する方法なので、キャビティC内における高い真空度を有し、低コストであるとともに素子特性及び信頼性に優れたパッケージ1からなる赤外線センサを製造することが可能になる。
[作用効果]
以上説明したように、本実施形態のパッケージ1によれば、上記構成を備えることにより、ガス吸着層10が、第2接合体60、第2コンタクト91b,92b、埋め込み配線71,72、及び第1コンタクト91a,92aを介して、電極81,82と電気的に接続されるので、ガス吸着層10に対して電極81,82から電流を印加して加熱・活性化することが可能になる。これにより、ガス吸着層10のガス吸着能力が高められ、減圧空間とされたキャビティC内のガスを効果的に吸着できるので、キャビティC内の真空度がより高められる。従って、センサとしての素子特性及び信頼性に優れたパッケージ1を、簡便な構成且つ低コストで実現できる。
また、本発明のパッケージの製造方法によれば、上記方法を採用することにより、ガス吸着層10を、第2接合体、第2コンタクト、埋め込み配線、及び第1コンタクトを介して、電極と電気的に接続されるように設けることができるので、ガス吸着層10に対して電極81,82から電流を印加して加熱・活性化することが可能になる。これにより、ガス吸着層10のガス吸着能力を高めることができ、キャビティC内のガスを効果的に吸着させてキャビティC内の真空度をより高めることが可能になる。
また、第2金属接合膜52と第1金属接合膜51とを拡散接合させて第1接合体50を形成することで、これら各接合膜間の接合状態が良好となり、また、第1基板2及び第2基板3における加工精度に起因する凹凸等を吸収させながら各基板を接合できる。これにより、高い封止気密性が得られるとともに、内部における電気的特性も良好になり、歩留まりも高められる。
さらに、第2通電用接合膜62と第1通電用接合膜61とを拡散接合させて第2接合体60を形成することで、これら各接合膜間の接合状態が良好となり、ガス吸着層10に対して電流を確実に印加して加熱・活性化できるので、キャビティC内のガスをより効果的に吸着でき、真空度がさらに高められる。
従って、センサとしての素子特性及び信頼性に優れたパッケージ1を、簡便な工程で生産性良く低コストで製造することが可能となる。
本発明のパッケージは、上述したように、簡便な構成でガス吸着材を活性化することで高い真空度が得られ、センサとしての素子特性及び信頼性に優れるとともに、簡便な工程によって生産性良く低コストで製造することが可能なものである。従って、本発明のパッケージは、信頼性の高い各種検出精度が要求される電子機器等における用途、例えば、携帯端末、スマートフォン、センサネットワーク・デバイス、モノのインターネット(IoT)技術等において非常に好適である。
1…パッケージ
2…第1基板
2a…上面
2b…下面
22…デバイス領域
3…第2基板
3a…下面
3b…上面
31…第1凸部
32…キャビティ領域
33…第2凸部
4…素子
50…第1接合体
51…第1金属接合膜
51a…第1下地層
51b…第1接合層
52…第2金属接合膜
52a…第2下地層
52b…第2接合層
60…第2接合体
61…第1通電用接合膜
61a…第1通電下地層
62b…第1通電接合層
62…第2通電用接合膜
62a…第2通電下地層
62b…第2通電接合層
71,72…埋め込み配線
81,82…電極
91a,92a…第1コンタクト
91b,92b…第2コンタクト
10…ガス吸着層
C…キャビティ(封止空間・減圧空間)
L…ダイシングライン

Claims (11)

  1. 第1基板と、
    前記第1基板の上面側に設けられる素子と、
    前記第1基板の上面側に前記素子を覆った状態で接合され、前記第1基板側に配置される下面側に、前記第1基板の上面側に第1接合体を介して接合される第1凸部と、平面視で前記第1凸部に囲まれるように形成された、前記素子上に封止空間を確保するための凹状のキャビティ領域と、該キャビティ領域に設けられ、前記第1基板の上面側に第2接合体を介して接合される第2凸部と、を有する第2基板と、
    前記第1基板内に埋設され、前記素子に電気的に接続される、少なくとも一以上の埋め込み配線と、
    前記第1基板上において、対向して配置される前記第2基板よりも平面視で外側に設けられ、前記埋め込み配線と第1コンタクトを介して電気的に接続される電極と、
    前記第2基板における、前記キャビティ領域によって確保される前記封止空間に露出した面のうち、前記第1基板に設けられた前記素子と対向する位置を除いた少なくとも一部に配置されるガス吸着層と、を備え、
    前記第2接合体は、前記ガス吸着層に接続されるとともに、前記第1基板に設けられた第2コンタクトを介して前記埋め込み配線と電気的に接続されており、
    前記ガス吸着層が、前記第2接合体、前記第2コンタクト、前記埋め込み配線、及び前記第1コンタクトを介して、前記電極と電気的に接続され
    前記第1接合体は、前記第2基板における前記第1凸部の先端を覆うように設けられる第2金属接合膜と、前記第1基板と前記第2基板とを重ね合わせたときに、前記第1基板における、前記第1凸部に対応する位置に設けられる第1金属接合膜とを含み、
    前記第2接合体は、前記第2基板における前記第2凸部の先端を覆うように設けられる第2通電用接合膜と、前記第1基板と前記第2基板とを重ね合わせたときに、前記第1基板における、前記第2凸部に対応する位置に設けられる第1通電用接合膜とを含み、
    前記第1接合体は、前記第2金属接合膜と前記第1金属接合膜とが拡散接合されてなり、
    前記第2接合体は、前記第2通電用接合膜と前記第1通電用接合膜とが拡散接合されてなり、
    前記第1凸部および前記第2凸部は互いに同一の厚みを有する、
    ことを特徴とするパッケージ。
  2. 前記ガス吸着層が、少なくとも、チタン、ジルコニウム又はニッケルを含むゲッター剤からなることを特徴とする請求項1に記載のパッケージ。
  3. 前記第1基板及び前記第2基板がシリコン基板からなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパッケージ。
  4. 前記素子が赤外線検出素子であり、且つ、前記第2基板が赤外線を透過可能とされていることを特徴とする請求項1~請求項の何れか一項に記載のパッケージ。
  5. 少なくとも、
    基板材料の表面をエッチングすることにより、少なくとも、素子を収容する凹状のデバイス領域を形成して第1基板を得る工程(1)と、
    前記第1基板における前記デバイス領域を除く位置に、少なくとも一以上の埋め込み配線を形成する工程(2)と、
    基板材料の表面をエッチングすることにより、前記第1基板の上面側に第1接合体を介して接合される第1凸部と、平面視で前記第1凸部に囲まれるように形成され、前記素子上に封止空間を確保するための凹状のキャビティ領域と、該キャビティ領域に設けられ、前記第1基板の上面側に第2接合体を介して接合される、前記第1凸部と同一の厚みを有する第2凸部と、を形成して第2基板を得る工程(3)と、
    前記第2基板に形成された前記第1凸部の先端を覆うように第2金属接合膜を形成するとともに、前記第2凸部の先端を覆うように第2通電用接合膜を形成する工程(4)と、
    前記第1基板と前記第2基板とを重ね合わせたときに、前記第1凸部に対応する位置で、前記第1基板上に第1金属接合膜を形成するとともに、前記第2凸部に対応する位置で、前記第1基板上に第1通電用接合膜を形成する工程(5)と、
    前記第1基板の上面側に、前記埋め込み配線の一端側に電気的に接続される第1コンタクトを形成するとともに、前記埋め込み配線の他端側に電気的に接続される第2コンタクトを形成し、さらに、前記第1コンタクトに接続する電極を形成する工程(6)と、
    前記第2基板における、前記キャビティ領域によって確保される前記封止空間に露出する面のうち、前記第1基板に設けられた前記素子と対向する位置を除いた少なくとも一部を覆うようにゲッター剤を塗布し、前記第2通電用接合膜と少なくとも一部が接するようにガス吸着層を形成する工程(7)と、
    前記第1基板に形成された前記デバイス領域に前記素子を配置する工程(8)と、
    前記第1基板と前記第2基板との間に前記素子が配置されるように前記第1基板と前記第2基板とを重ね合わせて互いに加圧し、前記第1金属接合膜と前記第2金属接合膜とを拡散接合させて前記第1接合体を形成するとともに、前記第1通電用接合膜と前記第2通電用接合膜とを拡散接合させて前記第2接合体を形成し、且つ、前記第2接合体が前記第1基板に設けられた前記第2コンタクトに接するように前記第1基板と前記第2基板とを接合する工程(9)と、
    を備えることを特徴とするパッケージの製造方法。
  6. さらに、前記工程(9)の後に、前記電極に通電して前記ガス吸着層に電流を印加することにより、該ガス吸着層を加熱して活性化する工程(10)を備えることを特徴とする請求項5に記載のパッケージの製造方法。
  7. 前記工程(3)は、前記第1凸部及び前記第2凸部を同時に形成することにより、前記第2基板を得ることを特徴とする請求項又は請求項に記載のパッケージの製造方法。
  8. 前記工程(4)は、前記第2金属接合膜及び前記第2通電用接合膜を同時に形成し、
    前記工程(5)は、前記第1金属接合膜及び前記第1通電用接合膜を同時に形成することを特徴とする請求項~請求項の何れか一項に記載のパッケージの製造方法。
  9. 前記工程(5)及び前記工程(6)を同時に行うことにより、前記第1基板に、前記第1金属接合膜、前記第1通電用接合膜、前記第1コンタクト、前記第2コンタクト及び前記電極を同時に形成することを特徴とする請求項に記載のパッケージの製造方法。
  10. 前記工程(1)及び前記工程(3)は、前記基板材料としてシリコン基板を用いることを特徴とする請求項~請求項の何れか一項に記載のパッケージの製造方法。
  11. 前記工程(5)は、前記素子として、赤外線検出素子を、前記第1基板に形成された前記デバイス領域に配置することを特徴とする請求項~請求項の何れか一項に記載のパッケージの製造方法。
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