以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。下記、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
本発明は、棒状材、特に口紅等の棒状化粧料の繰出容器に関する。ここで、本発明の棒状材繰出容器で収容し、繰り出し可能な棒状材(スティック)として、棒状化粧料と、化粧料以外の棒状物を含みうる。
棒状化粧料とは、例えば、口紅、リップクリーム、コンシーラー、スティックアイシャドウ、スティックファンデーション、スティック状の美容液、スティック状の保湿剤、等でありうる。
化粧料以外の棒状物とは、例えば、スティック状の練り香水、スティック状の制汗料、スティック状の日焼け止め、スティック状の薬、スティック状の虫除け、スティック状の固体洗剤、スティック糊、スティック接着剤、消しゴム、口紅を模したおもちゃ等でありうる。
また、棒状体は、所定の形状に形成された固体の他、一定以上の粘度を有した、所定の形状を維持可能な材料、例えば、粘弾性材料等も含みうる。
さらに、棒状体は、予め棒状に成形されたものを昇降ステージの上壁の上面に取りつけてもよいし、あるいは、螺旋筒と、回転規制筒の延伸板の内側面と、昇降ステージの上壁の上面とで形成される補充空間に材料を充填して棒状材を形成する場合も含まれる。
以下において、棒状材として、棒状化粧料6を例とし、棒状材繰出容器の一例である棒状化粧料繰出容器10を例として説明する。
<第1実施形態(全体構成)>
図1は、本発明の第1実施形態に係る棒状化粧料繰出容器10の全体斜視図である。図2Aは、本発明の第1実施形態に係る棒状化粧料繰出容器10の分解斜視図である。
図1及び図2Aを参照して、棒状化粧料繰出容器10の全体構成について説明する。棒状化粧料繰出容器10は、棒状化粧料6を繰り出す。
棒状化粧料繰出容器10は、袴筒1、螺旋筒2、回転規制筒3、昇降ステージ4を備えている。また、袴筒1と、螺旋筒2との間には、オーリング5を挟む。なお、図2ではオーリング5を設ける例を示しているが、棒状化粧料繰出容器1においてオーリング5を設けなくてもよい。
また、棒状化粧料繰出容器10に対して、キャップ20が着脱自在に取りつけられる。
図2Bは、キャップ20の分解斜視図である。キャップ20は、外キャップ210と、内キャップ220とを備えている。
棒状化粧料繰出容器10の袴筒1、螺旋筒2、回転規制筒3、昇降ステージ4及びキャップ20の外キャップ210及び内キャップ220は、例えば、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、POM(ポリアセタール)等の樹脂で構成される。オーリング5は、例えば、NBR(ニトリルゴム)等の弾性素材で構成される。
袴筒1は、棒状化粧料繰出容器10の外筒部(ボディ、外側ケースともいう)であり、例えば、有底の円筒形状又は多角筒形状で構成されている。
螺旋筒2は、袴筒1よりも、径が小さく、組立て状態において、図1に示すように袴筒1に対して、先端側(上側)に突出する(飛び出す)ように連結されている。本実施形態では、螺旋筒2は上下両端が開放された形状である。
螺旋筒2は、袴筒1に対して相対的に回転可能であって、螺旋筒2と袴筒1とを相対的に回転させることで、棒状化粧料6が、袴筒1に対して軸方向(図1の上下方向)に、前進、後退移動する。
昇降ステージ4は、棒状化粧料6を昇降させる移動部材である。
回転規制筒3は、昇降ステージ4の回転を規制してスライド移動可能に支持する支持筒(回転止め筒)であり、摺動筒部でもある。回転規制筒3は、袴筒1に対して固定されており、螺旋筒2に対して回転可能である。
詳しくは、図2Aに示すように、袴筒1は、側面において、口部11と本体筒(把持筒)12とを有し、口部11の上端付近には環状突条111が設けられている。口部11は、本体筒12よりも薄く、外側が本体筒12よりも凹んでいる。
螺旋筒2の内周には、螺旋突起21が設けられている。螺旋筒2の内周の上端付近は、螺旋突起領域21Rよりも内周側が凹んだ上端薄肉部22である。螺旋筒2の外周は、上端側がスリーブ26であり、下端側が内筒部27である。スリーブ26は内筒部27よりも外側に厚い。スリーブ26は、図1に示すように、袴筒1の上端から上に突出して外部に露出しており、使用の際に、使用者の指で操作されてスリーブ26が袴筒1に対して相対的に回転させられることで、棒状化粧料6が繰り出される。
スリーブ26の外周には、上端付近の上端環状溝261が設けられ、下端付近には、オーリング5が嵌めこまれる環状溝262が形成されている。
回転規制筒3は、延伸板31,32と、上端リング33,34と、梁部35と、下面36と、下側係合部材37,381~384(図4参照)とを備えている。回転規制筒3の延伸板31,32の略中央の外側の面には、上下方向(移動方向)に延伸する延伸リブ311,321がそれぞれ設けられている。
また、昇降ステージ4は上壁45及び側壁41~44(図7A参照)を有している。昇降ステージ4の上壁45は上面視で、円形から略平行な線分の部分を欠いた形状、即ち、2つの等しい長さの平行線と、2つの半円形又は半楕円形(あるいは2つの円の一部又は楕円の一部)からなる長円形状(陸上トラックのような形状)である。本実施形態では、昇降ステージ4の上壁45の上面は平面である。
側壁41~44は、対向する2つの円弧状の係合側壁43,44(図3(a)参照)と、2つの係合側壁43,44に挟まれた2つの略平行な平坦のスライド側壁41,42とで構成でされている。スライド側壁41,42は回転規制筒3の延伸板31,32に挟まれて接触して保持される。
昇降ステージ4の係合側壁43,44の外周には、それぞれ螺旋突起21との係合突起(ネジ突起)である上下突起対431,432、(441,442(図3(a)参照))が設けられている。昇降ステージ4の形状の詳細については、図5、図6、図7A、図10A、図10Bとともに詳述する。
そして、棒状化粧料繰出容器10を組み立てた後、昇降ステージ4の上側に固体の化粧料を取りつけて装填する。例えば、硬度が高い棒状化粧料や、棒状化粧料に代えて消しゴムを棒状材として用いる場合は、この取付け方法が選択される。
あるいは、組立て後、螺旋筒2の先端側(図2Aの上側)から、螺旋筒2と、回転規制筒3の延伸板31,32の内側に流動体の化粧料を注入して充填してもよい。注入により充填可能な棒状化粧料とは、例えば、充填時に周囲温度を高く設定することにより、変形可能な流動体である、バーム状であって、ワセリンや蜜蝋などをベースに肌に塗りやすく、液だれしないように、半固形にしたものを指す。
なお、いずれの方法で化粧料が取りつけられても、棒状化粧料6の下面68と、昇降ステージ4の上壁45の上面とは、共に回転できるように、所定の摩擦抵抗が存在する。
本発明の棒状材の一例である棒状化粧料6は、円柱形ではなく、対向する2面を線状に欠いた長円形状が延伸した形状である。詳しくは、図2A、図4で示すように、棒状化粧料6において、側面は平坦状のスライド側面61,62と、円弧状の係合側面63,64で構成されており、上面67及び下面68は、円形から略平行な線分の部分を欠いた長円形状である。そして、係合側面63,64の2面には、それぞれ螺旋溝65,66が形成されている。
このような棒状化粧料6のスライド側面61,62は、回転規制筒3の延伸板31,32に挟まれて保持される。
このように組み立てられ、棒状化粧料6が差し込みにより装填された、又は注入により充填された、棒状化粧料繰出容器10に対して、キャップ20は着脱可能に取りつけられる。
図3は、本発明の第1実施形態に係る棒状化粧料繰出容器1の断面説明図である。詳しくは、図3(a)は、図1のAA'断面図であり、図3(b)は、図1のBB'断面図である。
図3(a)に示すように、棒状化粧料6の螺旋溝65,66と、螺旋筒2の内周の螺旋突起21と係合しており、昇降ステージ4の上下突起対(431,432)、(441,442)が、螺旋筒2の内周の螺旋突起21と係合することで、昇降ステージ4及び棒状化粧料6が螺旋筒2に対して回転して上下に昇降する。
また、昇降ステージ4の上下2つの突起441,442の間隔P2と、棒状化粧料の螺旋溝66の溝間の間隔は、いずれも螺旋筒2の螺旋突起21の溝間の間隔P1と略等しい。
また、図3(b)に示すように、棒状化粧料6のスライド側面61,62及び昇降ステージ4のスライド側壁41,42は、回転規制筒3の延伸板31,32及び上端リング33,34の内側面と接触し、螺旋筒2の内周の螺旋突起21には接触しない。棒状化粧料6のスライド側面61が延伸板31,32に接触する領域においては、図3(a)に示すように、延伸リブ311,321が、螺旋筒2の内周面の螺旋突起21の頂面と係合せずに接触する。
そのため、昇降ステージ4及び棒状化粧料6が螺旋筒2に対して回転して上下に昇降する際、回転規制筒3は昇降ステージ4及び棒状化粧料6と一緒に回転し、昇降ステージ4のスライド側壁41,42及び棒状化粧料6のスライド側面61,62は、回転規制筒3の延伸板31,32に沿ってスライド移動する。
また、外側ケースである袴筒1の口部11の内周面と、螺旋筒2の外周面の間に、オーリング5が設けられている。このオーリング5は、袴筒1と螺旋筒2とが相対的に回転する際の摺動抵抗となる。そのため、使用者は、所定の手ごたえを感じながら、袴筒1と螺旋筒2とを相対的に回転させることができる。あるいは、オーリング5を設けず、袴筒1の内周面と、螺旋筒2の外周面を構成する素材の組み合わせにより、相対的に回転する際の摺動抵抗となるような素材を選択してもよい。
また、本実施形態では、袴筒1は、回転規制筒3と回転不能に連結されている。袴筒1と回転規制筒3の係合については、図6とともに後述する。
この構成により、使用者は、袴筒1と螺旋筒2とを相対的に回転させることで、袴筒1とともに回転規制筒3を螺旋筒2に対して回転させることにより、昇降ステージ4及び棒状化粧料6を昇降させることができる。
図4は、棒状化粧料繰出容器10の平面図である。図2A、図4で示すように、棒状化粧料6の上面は、長円形状である。
そして、図3(b)に示すように、棒状化粧料6の係合側面63,64の長手方向のほとんどは、螺旋筒2の内周と接触しているが、図3(a)に示すように、螺旋筒2の上端付近は、上端薄肉部22であり、内周側が凹んでいる。
また、図2Aに示したように、回転規制筒3の上端付近には、上端リングである、上端厚肉リング33及び上端薄肉リング34が設けられている。
そして、図3(a)、図3(b)に示すように、上端薄肉リング34は、螺旋筒2の上端薄肉部22の内側の部分に嵌め込まれ、上端厚肉リング33は、螺旋筒2の上端薄肉部22よりも上側に位置している。
そして、螺旋筒2は、回転規制筒3の上端厚肉リング33と、袴筒1の底面との間に挟まれて固定されている。そして、螺旋筒2は、回転規制筒3の上端厚肉リング33と、袴筒1の底面との間に挟まれることで、回転規制筒3に対して回転可能に、上下方向が固定されている。
この構成により、回転規制筒3の上端付近では、図4に示すように、棒状化粧料6の側面61~64が、上端リング33,34で全方向から取り囲まれている。
詳しくは、図4に示すように、最上端の上端厚肉リング33の外側縁33Oは円周状であって、内側縁は、円の両端がほぼ平行にカットされた略円弧形状(Iカット形状)の開口部である。そして、上端厚肉リング33は、円周状の外側縁33Oの一部分である弧と弦(切欠き縁部)335,336で囲まれた弓型部331,332と、上面視で同一の太さが続くように、円周状の外側縁33Oとその外側縁33Oに沿って切欠かれない縁部337,338で囲まれた部分リング333,334とを有している。
このように螺旋筒2の上端付近で、棒状化粧料6の側面61~64が、全方向から、棒状化粧料6と一緒に回転する内側の回転規制筒3によって囲まれることで、棒状化粧料6が螺旋筒2から押し出される際の移動が安定化する。
図5は、螺旋筒2と、回転規制筒3及び昇降ステージ4とを分解した下面斜視図である。図6は、棒状化粧料6及び螺旋筒2を取り外し、回転規制筒3及び昇降ステージ4と、袴筒1とを分解した断面斜視図である。
図5に示すように、螺旋筒2の外周の下側の内筒部27には4本の縦リブ271~274(※273は不図示)が設けられており、螺旋筒2の外周の下端には、外周下端厚肉部28が設けられている。
図2A、図5を参照して、回転規制筒3の延伸板31,32の略中央には上下方向(移動方向)に延伸する延伸リブ311,321がそれぞれ設けられている。図3(a)に示すように、延伸リブ311,321は、螺旋筒2の内周面の螺旋突起21と係合せずに接触する。
また、図5、図9を参照して、延伸板31,32の夫々の左右方向(幅方向)の両端部には、外側が徐々に薄くなる傾斜面312,322が形成されている。
また、回転規制筒3の延伸板31,32の上側には、最上端の上端厚肉リング33と、その上端厚肉リング33の下側の上端薄肉リング34が設けられている。
上端薄肉リング34は、上端平坦面341,342と円弧面343,344とを有している。上端薄肉リング34の内側面は、上端厚肉リング33の内側縁(開口部)のと同一面状に延伸しており、内側面は、略長円形状(Iカット形状)である。
上端平坦面341,342は、それぞれ延伸板31,32から連続しているが、上端平坦面341,342の横方向の長さは、延伸板31,32の上端の長さよりも両側に段差SAの分だけ、長い。
上端平坦面341,342は、断面形状が弓型ではないため、上端の弓型部331,332よりも薄く、上端平坦面341,342の外側面は、上端の弓型部331,332の外側面(外側縁33O)よりも凹んでいる。上端平坦面341,342の中央にはそれぞれ上端リブ347,348(図3(b)参照)が設けられている。
円弧面343,344は、それぞれ上端厚肉リング33の部分リング333,334の下側に設けられ、外周面は、上端の部分リング333,334の外側面(外側縁33O)よりも薄く凹んでいる。そして、円弧面343,344の下面の略中央には、上方に凹む凹部345,346が形成されている。
また、図5、図6(a)を参照して、回転規制筒3の延伸板31,32の下側には、梁部35と、下面36と、下側係合部材である係合リング37及び係合リブ381~384とが設けられている。
梁部35は、梁板350と、弓型板351,352(図2A参照)とを備えている。梁部35の下側には、円形の下面36が設けられている。下面36は、同一中心円で径が異なるように、上面が広く、下面が狭くなるように、段差SCが設けられている。
下面36及び梁部35は回転規制筒3の変形防止部材として機能し、2本の延伸板31,32の間にスリット状の空間が設けられていても、回転規制筒3が変形せずに、螺旋筒2内で回転することができる。
また、下面36の下側には、袴筒1の底面と係合するための、係合リング37が形成されている。係合リング37の外周には、略十字方向に延出する、4本の係合リブ381~384が形成されている。係合リング37及び係合リブ381~384は、回転規制筒3が螺旋筒2の内側に嵌めこまれた状態で、螺旋筒2の下端から突出する。
4本の係合リブ381~384のうち、係合リブ381,282は、延伸板31,32の略中央の延伸リブ311,321と円周方向において同じ角度に配置される(図3(a)参照)。また、係合リブ383,384は、回転規制筒3に嵌合する昇降ステージ4の係合側壁43,44の、円弧の中央と同じ角度になるように、配置される(図3(b)参照)。
ここで、図6(b)を参照して、袴筒1の底面には、同心円である二重のリング13,15が設けられている。外側リング13の外周には、放射状の外側係合リブ141~148が連接して設けられている。内側リング15は、4つの間隙(スリット)161~164が形成された、断続的なリング片151~154を有している。
回転規制筒3と袴筒1とを連結する際、回転規制筒3の下面36の段差SCが、内側リング15の内周及び上端に内側から嵌って当接するように、嵌め合わす。そして、回転規制筒3の下端の係合リング37は、内側リング15の内側に位置し、係合リブ381~384が、間隙161~164に挿入されることで、回転規制筒3と袴筒1との回転が規制される。
また、袴筒1の外側リング13の外側の外側係合リブ141~148の上側は、螺旋筒2の下端が載置される。よって、袴筒1と螺旋筒2とは相対的に自由自在となる。
図7Aは、昇降ステージ4の下面斜視図であり、図7Bは、螺旋筒2の後端を説明する図である。図5~図7Bを用いて、昇降ステージ4と螺旋筒2との係合について説明する。
図5(b)、図6(a)、図7Aを参照して、昇降ステージ4の2つの円弧状の係合側壁43,44の外周面に、長さが異なる上下2つの突起対(431,432)、(441,442(不図示))がそれぞれ設けられている。2つの係合側壁43,44に形成された、上下2つの突起(431,432)、(441,442)は、螺旋筒2の螺旋突起21と螺合することで、昇降ステージ4は、棒状化粧料6とともに螺旋筒2の螺旋突起21に沿って昇降可能である。
係合側壁43,44に設けられる、上下2つの突起の上突起(長突起)431,432は、水平方向(延伸板31,32の延伸方向と直交する方向)に対して少し傾斜した線条突起である。本実施形態において、係合側壁43と44はほぼ同じ形状であるため、係合側壁43と44とで上突起(長突起)の数は等しい。
また、各係合側壁43,44には、上、下、左の3方向を囲むように略U字状のスリット434,444によって、各係合側壁43,44から部分的に切り離され、横方向に延伸しているスリット片433,443が形成されている。スリット片433,443は、固定端を支点として、自由端側が撓み変形可能であり、後述の昇降ステージ4の上死点を規定するストッパー片としても機能する。
上下2つの突起の下突起(短突起)432,442は、スリット片433,443の自由端に近い部分の外側面から外側に突出している。また、下突起432,442は、上突起431,441よりも短い突起である。
昇降ステージ4の係合側壁43,44は、棒状化粧料6の係合側面63,64よりも内側に位置している。
2つの突起(431,432)、(441,442)は、螺旋筒2の螺旋突起と係合し、2つの突起(431,432)、(441,442)の頂面は、棒状化粧料6の円弧状の外周面と略等しい(図3(a)、図3(b)参照)。
本発明では、中身である棒状化粧料の円弧状の外周部分である係合側面63,64に、ネジ溝である螺旋溝65,66が形成されているため、螺旋筒2の螺旋が形成されていない下端と、棒状化粧料6が接触すると、棒状化粧料6の係合側面63,64の螺旋溝65,66の溝間のネジ突起が崩れてしまうおそれがある。そのため、後退限を規定する棒状化粧料6の移動範囲を、螺旋が形成されていない面である下端薄肉部23や、螺旋突起21が形成されていない螺旋突起領域21R(図7B参照)の下端領域の内周と接触せず、螺旋筒2の内周における螺旋突起21が形成された領域に留める必要がある。
そのため、昇降ステージ4の下死点として、昇降ステージ4の2つの円弧状の係合側壁43,44の下縁部43L,44Lには、下側に突出する突出片46,47が一体的に形成されている。突出片46,47の側縁SEが、突出片46,47の下縁46L,47Lと係合側壁43,44の下縁部43L,44Lとの段差となっている。
そして、螺旋筒2の内周面には、螺旋突起21の最下端21Lよりも下方に、係止突起24,25が設けられている。
昇降ステージ4の突出片46,47の側縁SEがと、螺旋筒2の係止突起24,25の側縁とが当接することで、昇降ステージ4の回転による下降の下死点となる。
係止突起24,25は、180°ずれて、対向して設けられている(図8(b)参照)。係止突起24,25が180°ずれて対向配置されていることで、下死点に到達した際に、均等に2つの係止突起24,25に対して力を加えることができるため、昇降ステージ4のバランスを崩すことを防止できる。
また、図7CのD面拡大図は、図7Bの係止突起24周辺の矢印Dの部分を後端側から見た拡大図を示す。
図7Cに示すように係止突起24において、昇降ステージ4の下側の突出片46,47の側縁SEと当接する面である側面SGは、直角(90°)から約10°傾いて80°となっており、反り返っている。そのため、係止突起24に対して、昇降ステージ4の突出片46,47の側縁SEが、係止突起24,25の側面SGに当接する際に、側面SGが反り返ることで、乗り越える力を発生させずに回転力を跳ね返し、突出片46,47をその場で留めることができる。
詳しくは、係止突起24,25の側面SGに勾配を設けることで、昇降ステージ9の突出片46,47の側縁SEが、側面SGに接触して、さらに力が加わった際に、突出片46,47が中央側(外周から離れる方向)に変形して倒れることを防ぐことができる。この際、突出片46,47と係止突起24,25の側面SGの間にすき間があると壁面側(外周に近づく側)に変形する恐れがあるので、すき間を埋めるために領域延伸部241を設けている。
また、下端薄肉部23は、螺旋突起21が形成される螺旋突起領域21R,領域延伸部241よりも薄いため、段差SFが存在する。段差SFを設けることで螺旋筒2の金型が抜きやすくなる。
<下死点>
図8は、下死点を説明する図である。なお、図8では、回転規制筒3の位置を固定して示し、螺旋筒2を回転移動させて示している。
昇降ステージ4の突出片46,47の側縁SEと、係止突起24,25とが当接することで、昇降ステージ4の回転による下降の下死点となる。
詳しくは、図8(b)に示すように、螺旋筒2の係止突起24,25は、螺旋突起21の最下端21Lよりも下に設けられているため、最下端に到達するまでには、図8(a)に示すように、係止突起24,25は、昇降ステージ4とは非接触である。
さらに回転が進むと、図8(b)、図8(c)のように、係止突起25の側面SGが、突出片46の側縁SEに近づき、図8(d)のように係止突起25の側面SGが突出片46の側縁SEに接触することで回転が係止される。
図8(d)は、昇降ステージ4の、突出片46の側縁SEと、係止突起25の側面SGとが当接して停止した状態を示している。
なお、係止突起25の側面SGは、図7Cで示したように、手前側に約10°傾斜している。そのため、使用者が、無理に螺旋筒2を袴筒1に対して回転させようとしても、昇降ステージ4の突出片46の側縁SEが、係止突起25の側面SGと当接する際、係止突起25を乗り越えることなく、回転を停止させることができる。
そのため、回転規制筒3も下死点を超えて、螺旋筒2に対して回転することがないため、過剰な回転の力により、回転規制筒3と袴筒1の係合状態及び、螺旋筒2と袴筒1との係合に対して負荷をかけることを回避できる。
図9は、棒状化粧料6を取り外し、螺旋筒2と、回転規制筒3及び昇降ステージ4とを分解した上面斜視図である。図10A,図10Bは、昇降ステージ4と回転規制筒3の説明図である。詳しくは、図10Aは、昇降ステージ4と回転規制筒3の斜視図であり、図10Bは、昇降ステージ4の平面図(上面図)と下面図である。
図9及び図10Bに示すように、昇降ステージ4において上部分の上壁45の外縁部は、平坦状のスライド側壁41,42の上縁41U,42U、及び円弧状の係合側壁43,44の上縁43U,44Uが連続している長円形状である。
図10Bに示すように、上側の係合側壁43,44の上部側端HSは、スライド側壁41,42と連続している。一方、下側の係合側壁43,44の下縁部44L,43Lの下部側端LSは、スライド側壁41,42の下縁部41L,42Lに対して飛び出している。
そして、図10Aに示すように、係合側壁43,44の上部側端HSと、下部側端LSの間に段差SDが形成されている。
よって、昇降ステージ4の下部分では、係合側壁43,44の下部側端LSがスライド側壁41,42に対して飛び出し、組立て状態では、係合側壁43,44の下部側端LSが延伸板31,32を両側から挟み込んでいる(図2A、図5参照)。
そのため、残り少ない棒状化粧料6を使用する場合など、昇降ステージ4を、回転規制筒3の延伸板31,32に沿って上方に移動させた際、昇降ステージ4の上部側端HSと下部側端LSとの段差SDが、回転規制筒3の段差SAと接触することで、昇降ステージ4は、回転規制筒3に対して、上端(前進限)が規定される(図9及び図10B参照)。
一方、棒状化粧料6の使用後など、棒状化粧料6を繰り戻して後退させる際、昇降ステージ4のスライド側壁41,42の下縁部41L,42Lが、延伸板31,32よりも中央側に位置している梁部35の、薄いかまぼこ形状を縦にしたような弓型板351,352の上端の段差SB(図6参照)に接触することで、昇降ステージ4は、回転規制筒3に対して、下端(後退限)が規定される。
また、昇降ステージ4は、図8で説明したように、係止突起24,25により、螺旋筒2に対する下端が規定されている。
また、図3、図4で説明したように、螺旋筒2は、回転規制筒3の上端厚肉リング33と、袴筒1の底面との間に挟まれ、オーリング5によって抵抗を発生させて回転可能に嵌め合されて連結しているため、昇降ステージ4が、螺旋筒2に対して、上昇しすぎると、回転規制筒3ごと螺旋筒2から抜けてしまうおそれがある。そのため、昇降ステージ4の上死点を、螺旋筒2に対しても規定する必要がある。
本発明では、昇降ステージ4の下突起432,442を、スリット片433,443の自由端付近に設けることで、下突起432,442が螺旋突起21に乗り上げる際に、スリット片433,443がバネのように一時的に撓んだ後、元に戻る際にクリック感を与えることができる。これにより、上死点を規定し、昇降ステージ4の上昇のし過ぎを防いでいる。
<上死点>
図11は、上死点を説明する図である。図11では係合側壁43に設けられる上下突起対431,432を用いて説明するが、係合側壁44においても同様に動作するものとする。
昇降ステージ4の係合側壁43に設けられる上突起(長ネジ、本ネジ)431は、水平方向から少し傾斜して、長く延伸している。上突起431は、係合側壁43と一体的に形成されているため、上突起431は、変形せずに係合側壁43に固定されている。
そのため、上死点では、長いネジである突起431は完全に外して空回りさせる。図11(a)は、上突起431が、螺旋突起21の螺旋上端21Uの上側に移行する直前の状態を示す。図11(b)~(d)では、上突起431は、螺旋上端21Uよりも上方に位置している。
このように、昇降ステージ4が上死点に近づくと、上突起431は、螺旋筒2の螺旋突起21の螺旋上端21Uから外れて、上突起431は、上端薄肉リング34の円弧面343を介して螺旋筒2の螺旋突起21がない、螺旋突起領域21Rの段差SHよりも上側の上端薄肉部22と対向する状態になる。
これに対して、短いネジである下突起432は、螺旋筒2の螺旋突起21の範囲内、即ち、螺旋上端21Uよりも下側に居続ける(図11(b)~(d)参照)。
ここで、上述のように、長いネジである上突起431と短いネジである下突起432との間の間隔は、螺旋突起21の溝間の間隔と等しい。即ち、上突起431に対して、螺旋突起21の1周分下に、短いバネ(バネネジ)である下突起432が設けられている。
図11(a)~(d)に示すように、短いバネである下突起432はスリット片433に形成されている。スリット片433は、係合側壁43の他の部分から、3方向を囲むスリット434によって、3方向が切り離されている。そのため、スリット片433の自由端は、内周側に対して、バネのように螺旋筒2の内周面からの距離が変化するよう撓み変形可能である。そして、最も移動量が大きい自由端の付近に、下突起432が設けられている。
そのため、スリット片433は、螺旋筒2の螺旋突起21から逃げるように撓み変形することで、螺旋上端21Uから逃げて、下突起432は、螺旋上端21Uを乗り越えることができる。
詳しくは、図11(b)に示すように、下突起432に対して、横方向から螺旋上端21Uが接触を開始すると、スリット片433の自由端が内側に、即ち、外周側の螺旋突起21から離れるように変形した状態で、螺旋上端21Uが下突起432と接触しながら下突起432を乗り越えて、上側のスリット434に案内する。即ち、螺旋上端21Uが、下突起432の上を通る。この際、下突起432の位置に連動して、昇降ステージ4の位置も少し下降する(図11(b)⇒図11(c)⇒図11(d))。
このように、スリット片433によって、外周側の螺旋突起21から離れるように変形しながら、下突起432が螺旋上端21Uから逃げることで、下突起432は、常に、螺旋突起21が形成された範囲内、即ち、螺旋突起21の螺旋上端21Uよりも下側に居続ける。
なお、螺旋上端21Uが、下突起432と接触する際に、カチッと音がする。そのため、上死点に到達した状態で回転を続けると、カチカチ鳴ることで、使用者は、昇降ステージ4が最上端に到達したことを知ることができる。
また、スリット片433は撓み可能なので、下突起432が、螺旋突起21を乗り越えている最中の状態(図11(b)、図11(c))の状態でも、昇降ステージ4が上昇又は下降を停止することが可能である。
また、上死点において、スリット片433の変形により、短いネジである下突起432は螺旋突起の範囲内、即ち、螺旋突起21の螺旋上端21Uよりも下側に居続けるため、その状態から反転させる場合、スリット片433の撓むことにより、下突起432は、螺旋上端21Uと上から2番目の螺旋突起との間に入り込むため、どのような位置で停止した場合でも、螺合が再開される。そして、下突起432と螺旋突起21の螺合にガイドされて、さらに昇降ステージ4が下降方向に回転すると、長いネジである上突起431も、螺旋上端21Uの上方位置から、螺旋上端21Uと、上から2番目の螺旋突起との間の溝まで引き戻され、上突起431も再び螺合する。
また、図3(a)で示したように、昇降ステージ4の上下2つの突起(431,432)、(441,442)の間隔と、棒状化粧料6の螺旋溝65,66の間隔は、螺旋筒2の螺旋突起21の溝間の間隔と略等しい。そして棒状化粧料6は、昇降ステージ4の上壁45に対して、所定の抵抗を持って載置されている。さらに、棒状化粧料6の外周の螺旋溝65,66と、螺旋筒2の内周面の螺旋突起21との間には、螺旋溝65,66の溝方向に対しては溝に沿うスライドの力、上下方向に対しては、螺旋突起21に刃向う抵抗の力が発生する。
そのため、さらに反転回転すると、昇降ステージ4の上に載置される棒状化粧料6の螺旋溝65,66も、螺旋突起21と再び螺合し始める。よって、螺旋筒2の内周面の螺旋突起21と、棒状化粧料6の外周の螺旋溝65,66との抵抗により、昇降ステージ4とともに棒状化粧料6の繰り戻しが可能となる。
これにより昇降ステージ4を一番上まで上昇させた後も、昇降ステージ4を繰り戻すことができる。このように、上死点において、短いネジである下突起432は螺旋領域内にあるため、繰り戻しの際に下突起432が引っかかることで、戻ることができる。この挙動により、本発明では、棒状化粧料6の下端をくわえる保持筒を設けなくても、昇降ステージ4とともに棒状化粧料6の繰り戻しが実現できる。
さらに、図11に示すように、昇降ステージ4が移動上限である上死点に到達すると、螺旋筒2や回転規制筒3の上端よりも上に、昇降ステージ4の上壁45の上面が到達する。
そして、昇降ステージ4の上壁45が平面であり、図11(a)~(d)に示すように、昇降ステージ4の上壁45が螺旋筒2の上端を超えた位置で、上突起431は、最も上に位置する螺旋突起21の上に乗っているため、残り少ない棒状化粧料6の先端から力が掛かっても、回転しない限り大きく引っ込まずに、昇降ステージ4が螺旋筒2から飛び出した状態を維持できる。そのため、本発明の繰出容器は、棒状化粧料の下端の周面でくわえて保持する周面保持の芯チャックホルダーと異なり、繰出容器の部材を、最後に、割ったり、変形したりしないで、且つ手を汚さずに、棒状化粧料を使い切ることができる。
本実施形態では、回転規制筒の上端リングの上面の開口部において、対向する切欠き縁部(335,336)は弦のように直線状である例を示したが、上面が平面の開口部において、対向する切り欠き縁部は、切欠かれていない円弧よりも緩やかに湾曲していてもよい。また、直線状のあるいは湾曲している切り欠き縁部において、凹部や凸部が形成されていてもよい。
また、上記実施形態では、螺旋筒2の上面及び回転規制筒3の上面が平面であり、繰出容器の上端まで螺旋筒が存在する構成について説明したが、繰出容器の上端まで螺旋筒が存在する構成において、螺旋筒2の上面及び回転規制筒3の上面が傾斜していてもよい。
さらに、本発明の棒状材繰出容器は、繰出容器の上端まで螺旋筒が存在せず、袴筒を設けない形状であってもよい。その形状の実施形態について、下記説明する。
<第2実施形態>
次に、図12A~図15Bを用いて、本発明の第2実施形態について説明する。
図12Aは、本発明の第2実施形態に係る棒状化粧料繰出容器(棒状材繰出容器)10Aの全体斜視図である。図12Bは、第2実施形態に係る棒状化粧料繰出容器10Aの上面図である。図13は、第2実施形態に係る棒状化粧料繰出容器10Aの分解斜視図である。図12A,図12B及び図13を用いて、本実施形態の構成の、第1実施形態の相違点について説明する。
上記実施形態では、まず、袴筒1を有していない点が第1実施形態とは異なる。そのため、本実施形態では、螺旋筒(有底螺旋筒)7が底面72(図14参照)を有しており、下側ケースとして機能する。
また、本実施形態における回転規制筒は、2本の延伸板81,82の上方に、2本の延伸板81,82の外側面の距離よりも外径が大きい筒状のスリーブ85を有している、スリーブ付き回転規制筒8である。
図12Aに示すように、本実施形態では、スリーブ付き回転規制筒8は、スリーブ85が有底螺旋筒7の上端から上側に突出した状態で外部に露出して固定されている。そして、使用者の手によってスリーブ85の外周と、有底螺旋筒7の把持筒77の外周とが掴まれて、スリーブ85と有底螺旋筒7とを相対的に回転させることで、昇降ステージ9と棒状化粧料6Aとが一緒に上下に移動する。
本実施形態では、有底螺旋筒7が下側ケースであり、スリーブ85はスリーブ付き回転規制筒8の一部として構成されるため、棒状化粧料6Aを繰り出す際、使用者の操作によりスリーブ85と下側の有底螺旋筒7とを相対的に回転させる場合、繰出容器の上端であるスリーブ85に対して棒状化粧料6Aが回転しないため、使用者は、従来品と比較して、違和感が少なく、昇降動作を実行することができる。
図12A、図13に示すように、スリーブ85の上面835は、延伸板81,82の延伸方向と直角な方向に対して傾斜している。図13に示すように、昇降ステージ9の上壁95は延伸板81,82の延伸方向と直角な方向に対して傾斜する傾斜面である。
ここで、図13に示すようにスリーブ85の上面の傾斜と、昇降ステージ9の上壁95の傾斜の傾きが等しいと、昇降ステージ9を最後まで繰り出した際に、昇降ステージ9がスリーブ85の上面から部分的に飛び出すことなく、好適である。また、スリーブ85の上面の形状に合わせて、棒状材である棒状化粧料6Aの上面の形状も傾斜している。
図12Bに示すように、スリーブ付き回転規制筒8のスリーブ85は、上面視で外側縁83Oは円周形であり、内側縁は、円の対向する2つ縁部(2面)831I,832Iが、緩やかな曲線状に切欠かれた、即ち、長方形の四辺が外側に膨らみ、角部を有する樽形状の開口部である。
詳しくは、本実施形態の構成では、スリーブ85の上面は、環状の部分リング833,834を有し、さらに、切欠けによって形成される部分は弓状部ではなく、三日月部831,832となっている。三日月部831,832では、全体で上面の外周である外側縁83Oを形成する外側縁(弧)の曲率よりも、三日月部の内周縁(弧)の曲率の方が小さい。即ち、三日月部831,832では、外側縁83Oよりも内側縁である切り欠き湾曲縁831I,832Iの方が、カーブが緩やかである。
また、第1実施形態では、上端リング33の上面視において、開口部における円に対する直線状の切り欠き縁部(弦)335,336(図4参照)は、切欠かれない円弧部の内側縁337,338よりも短い例を示していたが、第2実施形態では、スリーブ85の上面視の開口部において、緩やかにカーブする三日月の内側の弧である切欠き湾曲縁831I,832Iは、切り欠かれない内側の円弧縁(833I,834I)よりも長い。開口部における切り欠き湾曲縁831I,832Iと切欠かれない円弧縁833I,834Iの比率はどちらが長くてもよく、構成に合わせて、適宜、寸法を調整してもよい。
また、図13に示すように、スリーブ付き回転規制筒8の延伸板81,82は外側に湾曲している。詳しくは、延伸板81,82の内側面は、昇降ステージ9のスライド側壁91,92、棒状化粧料6Aのスライド側面61A,62Aとの接触面である。そして、延伸板81,82の内側面は、図12Bで示す上面の開口部である内側縁の一部である緩いカーブの切り欠き湾曲縁831I,832Iから連続する面の一部から連続している。
また、延伸板81,82の外側面は、図13、図14で示すように、スリーブ85の外周面からは凹んでおり、有底螺旋筒7の内周面と接触するのに適したカーブの湾曲形状である。よって、延伸板81,82の断面形状は、スリーブ85の上面の三日月部831,832よりも、外側が薄い、三日月形状である。
また、本実施形態では、オーリング5Aは、有底螺旋筒7の上部薄肉部76(口部)の外周と、スリーブ付き回転規制筒8のスリーブ85の内周との間に嵌めこまれる。これにより、回転規制筒に対する螺旋筒の回転において、適度な抵抗を持たせることができる。なお、オーリング5Aは設けなくてもよい。
図14は、第2実施形態において、棒状化粧料6Aを取り外し、有底螺旋筒7と、スリーブ付き回転規制筒8及び昇降ステージ9とを分解した断面斜視図である。
図14に示すように、スリーブ付き回転規制筒8において、スリーブ85は2段形状であり、小径の筒部である上端筒83と、大径の筒部である連結筒84を有している。
組み立てた状態では、連結筒84の内周に対して、有底螺旋筒7の上部薄肉部76の外周が嵌めこまれ、上部薄肉部76の上端76Uが、スリーブ85の連結筒84と上端筒83との境界の段差SJと当接することになる。そのため、組み立てた状態では、スリーブ85は、有底螺旋筒7の把持筒77の上側から上方に常に突出し、露出している。
上端筒83において、上端は、図12Bに示したような、樽形状の開口部を有する上面であり、上端筒83の下端には、2本の延伸板81,82が連結されている。
本実施形態では、延伸板81,82が、接触する面積が広いため、延伸板81,82に対して、棒状化粧料6A及び昇降ステージ9がずれないように、内側に内側延伸リブ811,821(図15A参照)が設けられている。
そして、図13、図14を参照して、内側延伸リブ811,821と係合するように、棒状化粧料6Aのスライド側面61,62の中央には、上下に伸びる延伸凹溝611,621が形成されており、昇降ステージ9のスライド側壁91,92の中央には、係合凹溝911,921が形成されている。
図14に示すように、延伸板81は、上端筒83における、開口部の切り欠き湾曲縁831Iから同一面状の面よりも短い幅で、形成されている。よって、上端筒83の切り欠き湾曲縁831Iから同一面状の面の下端において、延伸板81が連結されていない部分は、段差SIとなる。
図14に示すように、有底螺旋筒7の底面72には、環状リブ73が形成されている。また、スリーブ付き回転規制筒8の下面87には、中央凹部88が形成されている。
有底螺旋筒7の底面72の環状リブ73に、回転規制筒8の下端の中央凹部88が、はまり込むことで、スリーブ付き回転規制筒8と有底螺旋筒7とは、回転可能に連結されている。
図15A,図15Bは、第2実施形態に係る昇降ステージ9とスリーブ付き回転規制筒8の説明図である。図15Aは昇降ステージ9とスリーブ付き回転規制筒8の斜視図であり、図15Bは昇降ステージ9の側面説明図である。
昇降ステージ9は、上述のように上壁95が傾斜しているため、2つの係合側壁93,94は、高さ、即ち、延伸方向の長さが異なる。ここで、延伸方向の長さが長い方を係合側壁93、短い方を係合側壁94とする。
そして、2つの係合側壁93,94に設けられる、長突起の数は異なる。詳しくは、長い係合側壁93には、2つの長突起935,931が設けられ、短い係合側壁94には、1つの長突起941が設けられている。昇降ステージ9の各係合側壁93,94において、長突起935,931,941は、延伸板81,82の延伸方向と直交する方向から傾斜した線条突起である。また、各係合側壁93,94には、1つの短突起932,942がそれぞれ設けられている。
長い係合側壁93と短い係合側壁94とで長突起の数が異なることで、有底螺旋筒7の内周の螺旋突起71と係合するための螺旋溝の間隔を、2つの係合側壁93,99間で等しくすることができる。また、これらの長突起931,941と、短突起932,942の間の溝の間隔P3、及び長突起935,931の溝の間隔P4、棒状化粧料6Aに形成された螺旋溝65A,66Aの間隔PL(図13参照)と等しくなるように設定されている。
そして、これらの間隔P3,P4,PLはいずれも係合先の螺旋筒2の螺旋突起の間隔PH(図14参照)に等しい。なお、図15Aで示すように、係合側壁93,94では、溝及び突起が途切れているため、棒状化粧料6Aが昇降ステージ9にセットされた状態において、溝や突起が連続するように構成されると好適である。
また、各係合側壁93,94には、外側から見て上、下、右の3方向を囲むように入ったスリット934,944によって、各係合側壁93,94から部分的に切り離され、横方向に延伸しているスリット片933,943が形成されている。短突起932,942は、スリット片933,943の、スリット934,944に囲まれた自由端付近の外側面から外側に突出している。
そのため、本実施形態のための図示はしないが、図10同様に、長突起935,931,941が、有底螺旋筒7の内周の螺旋突起71から外れて、スリーブ85の内周面に接触した状態で、スリット片933,943のバネのように動くことにより、短突起932,942が、螺旋突起71の上端と、係合と、係合解除を繰り返すような回転位置が、昇降ステージ9の有底螺旋筒7に対する上死点となる。
さらに、図14、図15Aに示すように、昇降ステージ9の係合側壁93,94の短突起932,942周辺の下側の下部側端LSは、長突起935,931,941周辺の上部側端HSよりも長い。そのため、下側の側端LDが、スリーブ付き回転規制筒8の延伸板81,82を両側から挟み込んでスライド可能となる。また、図14に示す、スリーブ付き回転規制筒8のスリーブ85の段差SIに対して、図15Bに示す昇降ステージ9の下部側端LSの段差SDが接触することで、昇降ステージ9のスリーブ付き回転規制筒8に対する上死点となる。
また、本実施形態では昇降ステージ9のスライド側壁91,92の下端中央に、下端スリット97,98がそれぞれ形成されている。この下端スリット97,98がスリーブ付き回転規制筒8の下端の梁部86(図14参照)と係合するため、昇降ステージ9は、スリーブ付き回転規制筒8に対して、第1実施形態よりもさらに下方まで降下させることが出来る。さらに、スリーブ付き回転規制筒8の底面には、昇降ステージ9の底面の形状に合わせて、樽形状の角部において飛び出している下部側端LSの下端が嵌まるように、切れ込み871,872,873,874が、形成されている。
そのため、第2実施形態では、昇降ステージ9は、係合側壁93,94の下端がスリーブ付き回転規制筒8の下面87に接触した状態が、スリーブ付き回転規制筒8に対する後退限となるため、棒状化粧料繰出容器が第1実施形態と第2実施形態とで同じ長さの場合、第1実施形態で梁部35での段差SB(図6参照)によって後退限が規定されて隔てていた空間の分、第1実施形態よりも、棒状化粧料の初期収容量を増加させることができる。
なお、第2実施形態を示す図12~図15では、昇降ステージ9にて、螺旋筒に対する下死点を形成する突出片の構成は省略しているが、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、2つの係合側壁の下端において、下死点を形成するための突出片を形成し、有底螺旋筒7の螺旋突起71の下方において、係合突起(図7参照)を設けると、より好適である。
また、本実施形態では、昇降ステージ9の上壁95は傾斜しているため、繰出しの上端付近で棒状化粧料6Aが昇降ステージ9に対してずれないように、傾斜する上壁95の縁部を同じ高さで取り囲むように上方に起立した保持壁96を設ける例を示している。ただし、保持壁96は設けなくてもよい。
本実施形態では、スリーブ付き回転規制筒8のスリーブ85の上面の開口部において、対向する切欠き縁部は湾曲している例を示したが、上面が傾斜している開口部においても、対向する切り欠き縁部は、直線状であってもよい。また、直線状のあるいは湾曲している切り欠き縁部において、凹部や凸部が形成されていてもよい。
さらに、本実施形態では、スリーブ付き回転規制筒の上面が傾斜した構成において、袴筒を省いて、螺旋筒を上端まで延伸させずに回転規制筒に上にスリーブを設ける構成について説明したが、回転規制筒の上面が平面の構成において、袴筒を省いて回転規制筒の上にスリーブを設ける構成であってもよい。
<第3実施形態>
次に、図16~図22を用いて、本発明の第3実施形態について説明する。
図16は、本発明の第3実施形態に係る棒状化粧料繰出容器(棒状材繰出容器)10Bの全体斜視図である。図17は、第3実施形態に係る棒状化粧料繰出容器10Bの分解斜視図である。まず、本実施形態における、第1実施形態、第2実施形態との相違点について説明する。
棒状化粧料繰出容器10Bは、袴筒1B、螺旋筒2B、スリーブ付き回転規制筒8B、及び昇降ステージ9Bを備えている。また、スリーブ付き回転規制筒8Bと、袴筒1Bとの間には、オーリング5Bを挟むことができる。なお、オーリング5Bは設けなくてもよい。
本実施形態における回転規制筒は、第2実施形態と同様に、2本の延伸板81,82の上方に、2本の延伸板81,82の外側面の距離よりも外径が大きい筒状のスリーブ85Bを有している、スリーブ付き回転規制筒8Bである。
しかし、本実施形態では、有底の袴筒1Bと、内筒である螺旋筒2Bとは別々に設けられているため、スリーブ付き回転規制筒8Bは、スリーブ85が袴筒1Bの上端から上側に突出した状態で外部に露出するように設けられている。
また、本実施形態では、通常使用において、回転の力が掛かる場合は、螺旋筒2Bは袴筒1Bに対して回転が規制されている。
そのため、使用者の手によってスリーブ85の外周と、袴筒1Bの本体筒12Bの外周とが掴まれて、スリーブ85Bと袴筒1Bとを相対的に回転させることで、昇降ステージ9Bと棒状化粧料6Bとが一緒に上下に移動する。
また、本実施形態の螺旋筒2Bは、第1実施形態とは異なり、露出するスリーブは有しておらず、内筒部となる。螺旋筒2Bは、外周部において、上側内筒部27Aと、下側内筒部27Bとを有しており、境界は、上下の内筒部27A,27Bよりも径が大きい、線状突起である仕切り突条275が設けられている。
仕切り突条275から下の下側内筒部27Bは、袴筒1Bの内周に嵌め込まれる。仕切り突条275から上の上側内筒部27Aは、袴筒1Bの上端から上方に突出するとともに、スリーブ付き回転規制筒8Bのスリーブ85の中に内周に嵌め込まれる。
螺旋筒2Bの下端には、筒の周方向に沿って1/2円周未満のスリットが複数形成されることで、スリット201,202と螺旋筒2Bの下端で囲まれる部分が、撓むことができる帯状の弾発部29a,29bが形成されている。そして、弾発部29a,29bの内周面には凸部291,292(図18、図20参照)が設けられている。
また、螺旋筒2Bの下端の弾発部29a,29bは、ラチェット機構になっており、閾値以上の力が掛かった時に、外側に撓む。そのため、昇降ステージ9Bが下端の状態から降下させようとした場合や、昇降ステージ9Bが上端の状態からさらに上昇させようとした場合など、上死点又は下死点を超えて回転させる負荷がかかった際のみ、弾発部29a,29bが外側に撓むことで、螺旋筒2Bを袴筒1Bに対して、回転させることができる。弾発部29a,29bの挙動の詳細は、図19~図21とともに詳述する。
また、本実施形態のスリーブ付き回転規制筒8Bは、上端の棒状化粧料6Bが出没する開口部は、膨らんだ二等辺三角形のような形状である。詳しくは、開口部は、楕円に対して、頂点を同じくする湾曲する2辺で切り欠いたような形状である。そのため、スリーブ付き回転規制筒8Bの上端面839は、2つの三日月部836,837と、1つのリング部838で構成されている。また、開口部が形成された上端面839は、第2実施形態同様に傾斜している。
さらに、本実施形態におけるスリーブ付き回転規制筒8Bは、下端に2つの抜け止め片89a,89bが設けられている。詳しくは、延伸板81,82の下端の下面87Bから下に延伸する下端筒80が設けられ、その下端筒80において、外側から見て左、上、右の3方向を囲むように入ったスリット801,802によって、周壁から部分的に切り離された部分が、抜け止め片89a,89bとなる。
よって、抜け止め片89a,89bは、上下方向に延伸している弾性のスリット片(弾性係止片、逆止爪片ともいう)であって、外周側から力を受けると、下端筒80の外周面と同じ、さらには外周面よりも内側に移動することができ、力が掛かっていない場合は、下端筒80の外周面よりも外側に膨らむように位置している(図21参照)。
抜け止め片89a(89b)は、外からの圧力により傾斜が変化する弾性のスリット片となる傾斜面891(893)と、上端の外側に出っ張った、膨大部892(894)を有している。
この抜け止め片89a,89bは、スリーブ付き回転規制筒8Bと袴筒1Bとの係合に使用される。スリーブ付き回転規制筒8B、螺旋筒2B、及び袴筒1Bの係合の詳細について、下記説明する。
図18は、第3実施形態において、棒状化粧料6Bを取り外し、スリーブ付き回転規制筒8B及び昇降ステージ9Bと、螺旋筒2Bと、袴筒1Bとを分解した断面斜視図である。図19は、第3実施形態に係る袴筒1Bの底面17の上面側を示す断面斜視図である。図20は、第3実施形態に係る螺旋筒2Bの下端を示す上下逆にした斜視図である。
本実施形態において、図19に示すように、袴筒1Bの底面17には、中央筒18が起立している。中央筒18の外周面に凹凸181が形成されている。
また、図20に示すように、螺旋筒2Bの下端の、スリット201,202よりも下側の弾発部29a,29bは対向するように設けられ、内側面に凸部291,292が設けられている。
中央筒18の外周の連続的な凹凸181の凹部のいずれかは、図20に示す、螺旋筒2Bの下端の弾発部29a,29bの凸部291,292と係合する。
また、中央筒18の上端に設けられる、内周側の上端の上端フランジ184は、図17、図18に示したスリーブ付き回転規制筒8Bの抜け止め片89a,89bの膨大部892,894が引っ掛かり、スリーブ付き回転規制筒8Bの袴筒1Bに対する上下方向の移動を規制する。
また、袴筒1Bの本体筒(把持筒)12Bの上側は、本体筒12Bよりも外側が薄い、上端薄肉部(口部)11Bとなっており、その部分に対して、キャップ(不図示)が着脱可能に取りつけられる。
昇降ステージ9Bは、スリーブ付き回転規制筒8Bの上端面839の傾斜に沿うように、上面が傾斜している。本実施形態の昇降ステージ9Bは、上壁95Bの形状を除いて、第2実施形態の昇降ステージ9と、ほぼ同様の機能を有する構成である。
そのため、第1、第2実施形態同様に、昇降ステージ9Bは、スリーブ付き回転規制筒8Bに対して、回転が規制されて嵌め込まれており、さらに昇降ステージ9Bは螺旋筒2Bの螺旋突起21と螺合して、螺旋筒2Bに対して昇降可能である。
そして、昇降ステージ9Bをスリーブ付き回転規制筒8Bに嵌め込み、昇降ステージ9Bがセットされたスリーブ付き回転規制筒8Bに対して、螺旋筒2Bを装着する際、スリーブ付き回転規制筒8Bのスリーブ85Bに対して、螺旋筒2Bの上側内筒部27Aの外周が嵌めこむ。この際、上側内筒部27Aの上端27Uが、スリーブ85Bの、2本の延伸板81,82と上端頭部850との境界の段差SJと当接することで、回転規制筒8Bに対する螺旋筒2Bの嵌め込みが終了する。また、回転規制筒8Bに対する螺旋筒2Bの嵌め込みの終了の際、回転規制筒8Bのスリーブ85Bの下端85Lは、螺旋筒2Bの外周面に設けられた仕切り突条275と接触する。
図21は、第3実施形態おいて、スリーブ付き回転規制筒8Bに対して螺旋筒2Bを下から嵌め込んだ状態の図である。
図21に示すように、スリーブ付き回転規制筒8Bの内周に、螺旋筒2Bを完全に嵌め込んで、螺旋筒2Bの上端27U(図18参照)と、スリーブ付き回転規制筒8Bの段差SJとが当接し、且つスリーブ85Bの下端85Lと、螺旋筒2Bの仕切り突条275と当接した状態では、スリーブ付き回転規制筒8Bの下端が、螺旋筒2Bの下端から少し飛び出している。
図21に示すスリーブ付き回転規制筒8B及び螺旋筒2Bを、袴筒1Bに対して取りつける際、スリーブ付き回転規制筒8Bの下端と、螺旋筒2Bの下端との間に、袴筒1Bの中央筒18を挿入する。即ち、袴筒1Bの中央筒18は、螺旋筒2Bの下端の内側であって、スリーブ付き回転規制筒8Bの下端の外側との間に嵌め込まれる。
袴筒1Bに対する組み立ての最中において、スリーブ付き回転規制筒8Bにおける下端の弾性の係止爪である抜け止め片89a,89bが、中央筒18の内周を通過する際に、抜け止め片89a,89bは、中央筒18の上端フランジ184の内側面と接触することで、広がりが抑えられるように変形する。そして、組み立て後は、上端フランジ184と非接触となるため、抜け止め片89a,89bは弾性力により元に戻って広がる。
これにより、組立て後は、袴筒1Bの中央筒18の上端フランジ184の下に、抜け止め片89a,89bが広がった状態で位置しているため、抜け止め片89a,89bの膨大部892,894の上端と、上端フランジ184の下端とが接触することで、スリーブ付き回転規制筒8Bは、袴筒1Bに対して離れる方向への移動が規制される。
また、上述のように、螺旋筒2Bは、段差SJとの当接及びスリーブ85Bの下端85Lとの当接により、スリーブ付き回転規制筒8Bに近づく方向の位置が規制されており、且つ、抜け止め片89a,89bにより、スリーブ付き回転規制筒8Bが袴筒1Bと離れる方向に対して位置が規制されることで、スリーブ付き回転規制筒8B及び螺旋筒2Bは、袴筒1Bに対して、上下方向の位置が規制される。
また、本実施形態においても、昇降ステージ9Bは、螺旋筒2Bと螺合して、螺旋筒2Bに対して昇降する。
図22は、第3実施形態において、弾発部の凸部と袴筒の中央筒の外周の凸凹を示す下面図である。詳しくは、図22(a)は、弾発部29bの凸部292が中央筒18の外周の凹部183に係合している状態を示し、図22(b)は、弾発部29bの凸部292が中央筒18の外周の頂点182に乗り上げている状態を示す図である。
図22に示すように、中央筒18の外側の凹凸181は内サイクロイドのように、凸凹の外側の頂部が尖り、内側の頂部が円弧状に湾曲した形状である。凹凸181は、外側の頂点182と、隣接する頂点182間を湾曲して接続する湾曲した凹部183で構成されている。
そして、図22(a)に示すように、螺旋筒2Bは、通常時は、弾発部29a,29bの凸部291,292が、袴筒1Bの中央筒18の凹凸181の凹部183に嵌め込まれていることで、袴筒1Bに回転不能に固定されている。
この構成により、本実施形態では、通常使用時は、スリーブ付き回転規制筒8Bのスリーブ85Bに対して、袴筒1B及び螺旋筒2Bが一緒に回転することで、昇降ステージ9Bと棒状化粧料(棒状材)6Bとが一緒に上下に移動する。
一方、上死点又は下死点を超えて、強い力がかかって、螺旋筒2Bが袴筒1Bに対して回転する場合は、弾発部29a,29bの凸部291,292が、袴筒1Bの中央筒18の外周面に形成された凹凸181の尖った頂点182とぶつかりながら、図22(a)⇒図22(b)⇒図22(a)のように、頂点182を乗り越えて移動するため、カチカチと音がでる。そのため、使用者は、回転が上端、又は下端に達したことを音で確認し、回転を停止させることができる。
このように、昇降ステージ9Bがスリーブ付き回転規制筒8Bの上端又は下端に位置する状態で、所定の力以上の負荷がかかると、中央筒の外周面の凹凸を、螺旋筒2Bの下端の凸部が乗り越えることで、螺旋筒2Bは袴筒1Bに対して回転可能である。
この構成により、本実施形態では、棒状化粧料繰出容器10Bに対して、使用者から強い回転の力が掛かった場合でも、袴筒1B、スリーブ付き回転規制筒8B又は昇降ステージ9B等の部材が破壊してしまうことを、回避することができる。
また、本実施形態の構成では、組立て後、袴筒1Bの底面17の中心は中央孔17Oとなっているため、中央筒18の筒の内側は、下端側から視認可能である。そのため、中央筒18の筒の内側において下側からピンセット等で抜け止め片89a,89bを挟み込んで下端筒80を上側に押しこむと、抜け止め片89a,89bが縮まった状態で中央筒18の上端フランジ184の内周を通過させることができる。これにより、スリーブ付き回転規制筒8Bと袴筒1Bとの係合を解除し、スリーブ付き回転規制筒8B及び昇降ステージ9B及び螺旋筒2Bを、袴筒1Bから取り外すことができる。さらにスリーブ付き回転規制筒8Bと螺旋筒2Bとは、当接のみで、係合していないため、袴筒1Bから取り外した後、螺旋筒2Bを、回転規制筒8B及び昇降ステージ9Bを取り外すことができる。
そのため、本実施形態の構成では、スリーブ付き回転規制筒8B及び昇降ステージ9Bの部分を、棒状化粧料6Bとともに交換可能なリフィルとして、螺旋筒2Bと袴筒1Bの部分を繰り返し使用可能な容器とすることも可能である。
なお、本実施形態では、ラチェット機構として2つの弾発部29a,29bを設ける例を説明したが、弾発部29a,29bは、周方向において、3つ以上設けてもよい。
さらに、本実施形態では、上下方向の位置の規制として、2つの抜け止め片89a,89bを設ける例を説明したが、スリーブ付き回転規制筒8Bの下端の周方向において、抜け止め片を3つ以上設けてもよい。
なお、本例では内周側の中央筒18において、外周側の凹凸181は、頂点182と左右対称の円弧状の凹部183の組み合わせの例を示したが、凹凸181における頂点182や凹部183は左右非対称の形状であってもよい。あるいは、凹凸181は、外周面においてノコギリ波、三角波、矩形波、サイン波のような形状であってもよいし、他の凹凸形状であってもよい。
同様に、外側の2つの弾発部29a,29bの内周面に設けられる凸部292は楕円の一部のような形状の例を示したが、凸部292の形状は、内側の中央筒18の凹凸181の形状に合わせて、例えば、略半円形、二等辺三角形、二辺の傾斜が異なる三角形、矩形等の様々な形状であってもよい。
また、本例では、螺旋筒2Bの下端筒200の一部である弾発部29a,29bが撓む際、外側方向において略水平方向に撓む例を示したが、撓む方向は他の方向であってもよい。例えば上方向、下方向、外側の斜め方向に撓んでもよい。
さらに、本例では外側の螺旋筒2Bの下端筒200の弾発部29a,29bが撓み、内側の中央筒18は撓まない例を示したが、外側の螺旋筒2Bの下端筒200が撓まず、内側の中央筒18の一部が、内側に撓むことでラチェット機構を構成してもよい。その場合も、中央筒18の一部が、例えば、下方向、上方向、内側の斜め方向に撓んでもよい。
<変形例>
なお、上記実施形態では、回転規制筒3,8において、上下方向に延伸して互い対向している2本の延伸板を設け、その延伸板の内側面に平坦な又は緩やかな円弧状の側面が保持されるように、棒状化粧料6の断面及び昇降ステージ4の上面は、上面視で円の両端が直線状に略平行に切り欠かれた長円形状、又は上面視で円の両端が湾曲して切り欠かれた樽形状である例を説明したが、本発明は、この構成に限られない。
例えば、回転規制筒3又は8において、120°離れた3本の延伸板を設け、その延伸板の内側面に平坦な又は緩やかな円弧状の側面が保持されるように、棒状化粧料の断面及び昇降ステージの上壁が、上面視で円の3方向が均等に直線状に切り欠かれた角丸三角形のような形状に対しても、本発明の上述の棒状化粧料に螺旋溝を直接形成し、繰り戻し可能な棒状化粧料繰出容器を適用してもよい。この構成の場合、螺旋突起であり上死点を規定する昇降ステージの上下突起対、下死点を規定する昇降ステージの突出片及び螺旋筒2の係止突起は、円弧状の側面の数と同数の3つ、120°ずつ離れて設けられる。
同様に、回転規制筒3又は8において、90°離れた4本の延伸板を設け、その延伸板の内側面に平坦な又は緩やかな円弧状の側面が保持されるように、棒状化粧料の断面及び昇降ステージ4の上壁が、上面視で円の4方向が均等に直線状に切り欠かれた角丸四角形のような形状に対しても、本発明の上述の棒状化粧料に螺旋溝を直接形成し、繰り戻し可能な棒状化粧料繰出容器を適用してもよい。この構成の場合も、昇降ステージの上下突起対や突出片、及び螺旋筒の係止突起は、円弧状の側面の数と同数の4つ、90°ずつ離れて設けられる。
回転規制筒の、延伸板を、5本、6本…と増やしていく場合でも同様に、延伸板の本数と同数の、昇降ステージのスライド側壁、棒状化粧料のスライド側面を形成し、延伸板の本数と同数の、昇降ステージの上下突起対及び突出片と、螺旋筒の係止突起とを設けることで、本発明の上述の棒状化粧料に螺旋溝を直接形成し、繰り戻し可能な棒状化粧料繰出容器を適用できる。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の実施形態の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
本出願は、2019年1月11日に日本国特許庁に出願された特願2019-003678号に基づく優先権を主張するものであり、特願2019-003678号の全内容を本出願に援用する。