JP7436352B2 - カルボキシル基含有エステルイミド樹脂及びエステルイミド樹脂組成物 - Google Patents

カルボキシル基含有エステルイミド樹脂及びエステルイミド樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、カルボキシ基含有エステルイミド樹脂及びエステルイミド樹脂組成物に関する。
電子部材に用いられる接着剤や表面保護層には、優れた耐熱性、電気特性、柔軟性、接着性を有することが適宜求められる。近年では、優れた耐熱性を持つ樹脂としてポリイミド樹脂が使用されている。
しかしポリイミド樹脂は耐熱性に優れる一方で、樹脂構造が剛直であるため柔軟性に欠けており、耐屈曲性や低反り性、接着性に劣るなどの問題がある。また、樹脂を溶解させるためにN-メチルピロリドン(NMP)やガンマブチロラクトン(GBL)などの高沸点溶剤を使用する必要があり、乾燥若しくは硬化には200℃以上の高温の加熱工程を要するという問題があった。
上記問題に対して、様々な柔軟性、溶解性に優れた樹脂骨格が提案されている。例えば特許文献1ではカーボネート構造を有するポリイミド樹脂、及びエポキシ樹脂を含有する熱硬化性樹脂組成物が提案されている。また、特許文献2ではダイマー酸由来の脂肪族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物から合成されるポリイミド樹脂が提案されている。
特許第6098776号公報 特許第6031563号公報
特許文献1に挙げたポリカーボネートポリイミド樹脂は柔軟性、非アミド系溶剤溶解性に優れている。しかし、硬化剤との架橋点となる酸無水物基は分子の末端のみにあるため、硬化物は十分な架橋密度を得られず耐熱性に懸念がある。
特許文献2に挙げたダイマー骨格を有するポリイミド樹脂も同様に柔軟性に優れるが、硬化にはポリイミド樹脂中のケトン基とアミノ化合物(ジヒドラジドなど)の脱水縮合反応を要しており、硬化によって生じた水は、接着力の低下や加熱時の浮き若しくは剥がれの発生を招く懸念がある。なお、硬化剤として、アミノ化合物の代わりにエポキシ樹脂を用いたとしても、ケトン基とエポキシ基とでは硬化は起こらない。
また、架橋点としてカルボキシル基を導入する方法もあるが、そのためには高価な芳香族ジアミンを使用する必要があり経済性に欠ける。さらに、硬化物の物性を向上させるために酸価を高くすると、芳香族ジアミン由来の剛直なイミド基が多くなるため柔軟性が損なわれる。
さらに、特許文献1、2のいずれともポリイミド樹脂を完全に溶解させるためには高沸点の溶剤を要する傾向があり、結果として、乾燥、硬化に200℃以上の高温の加熱工程を要することが多く、低沸点溶剤への溶解性は未だ改善の余地があった。
従って、本発明は、電子部材に用いられる接着剤や表面保護層、絶縁保護膜等に使用可能な、柔軟性、低沸点溶剤溶解性、耐熱性、密着性に優れたカルボキシル基含有エステルイミド樹脂、及び、当該樹脂と少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ樹脂とを含むエステルイミド樹脂組成物を提供することを目的とする。
上記の課題は、下記の本発明によって達成される。すなわち、本発明は下記のとおりである。
[1] 下記式(X)で表される構造を含み、且つ、イミド基濃度が0.5mmol/g以上であるカルボキシル基含有エステルイミド樹脂。

(上記式(X)中、nは0~20の数であり、且つ、Rはテトラカルボン酸二無水物から酸無水物基を除いた有機基を表し、Rはダイマー酸由来の脂肪族ジアミンからアミノ基を除いた有機基を表し、Rはポリオールから水酸基を除いた有機基を表す。)
[2] 前記ダイマー酸由来の脂肪族ジアミンからアミノ基を除いた有機基が下記(A)及び式(B)の少なくともいずれかで表される[1]に記載のカルボキシル基含有エステルイミド樹脂。

(上記式(A)及び(B)中、Y~Yはそれぞれ独立して炭素数3~23のアルキレン基若しくは炭素数3~23のアルケニレン基であり、Rx及びRyはそれぞれ独立して炭素数3~23のアルキル基若しくは炭素数3~23のアルケニル基であり、s及びtはそれぞれ独立して4以下の数であり、Rxが複数ある場合、それぞれのRxは同一でも異なっていてもよく、Ryが複数ある場合、それぞれのRyは同一でも異なっていてもよい。)
[3] 酸価が5~100mgKOH/gである[1]又は[2]に記載のカルボキシル基含有エステルイミド樹脂。
[4] 重量平均分子量が10,000~200,000である[1]~[3]のいずれかに記載のカルボキシル基含有エステルイミド樹脂。
[5] 弾性率が400N/mm以下であり且つ10%分解温度が340℃以上である[1]~[4]のいずれかに記載のカルボキシル基含有エステルイミド樹脂。
[6] 前記テトラカルボン酸二無水物が3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物及び/又は4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物である[1]~[5]のいずれかに記載のカルボキシル基含有エステルイミド樹脂。
[7] 大気圧下での沸点が170℃以下である有機溶剤中に溶解して成る[1]~[6]に記載のいずれかに記載のカルボキシル基含有エステルイミド樹脂。
[8] 前記有機溶剤が、シクロヘキサノン、トルエン、及びメチルエチルケトンから選ばれる少なくとも1つである[7]に記載のカルボキシル基含有エステルイミド樹脂。
[9] [1]~[8]のいずれかに記載のカルボキシル基含有エステルイミド樹脂と、1分子中に少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ樹脂とを含むエステルイミド樹脂組成物。
本発明によれば、電子部材に用いられる接着剤や表面保護層、絶縁保護膜等に使用可能な、柔軟性、低沸点溶剤溶解性、耐熱性、密着性に優れたカルボキシル基含有エステルイミド樹脂、及び、当該樹脂と少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ樹脂とを含むエステルイミド樹脂組成物を提供することができる。
以下に、本発明の一実施形態(本実施形態)に係るカルボキシル基含有エステルイミド樹脂及びエステルイミド樹脂組成物について詳細に説明する。
[カルボキシル基含有エステルイミド樹脂]
本実施形態に係るカルボキシル基含有エステルイミド樹脂は、下記式(X)で表される構造を含む。


上記式(X)中、nは0~20の数(好ましくは、0~15の数)であり、且つ、Rはテトラカルボン酸二無水物から酸無水物基を除いた有機基を表し、Rはダイマー酸由来の脂肪族ジアミンからアミノ基を除いた有機基を表し、Rはポリオールから水酸基を除いた有機基を表す。
本実施形態のカルボキシル基含有エステルイミド樹脂は、テトラカルボン酸二無水物とダイマー酸由来の脂肪族ジアミン(以下、「ダイマージアミン」ということがある)との反応生成物であるダイマー骨格含有のポリイミド樹脂構造を含有するため、優れた低沸点溶剤溶解性、及び柔軟性が発揮される。また、ダイマー骨格を含むため、シクロヘキサノン、トルエン、メチルエチルケトンといった従来技術では使用が困難だった低沸点の有機溶剤に容易に溶解する。さらに、エステルイミド樹脂中のイミド基の濃度を任意に調整できることから、従来技術と比較して同程度以上の耐熱性を得ることができる。
また、当該カルボキシル基含有エステルイミド樹脂は、ポリオールと酸無水物基の反応生成物であるカルボキシル基を側鎖に有するハーフエステル骨格を含有することも特徴の1つであり、カルボキシル基を側鎖に有することによって、硬化剤と組み合わせて得られる硬化物の架橋密度が向上し、耐熱性の向上が期待できる。しかも、エステルイミド樹脂中のカルボキシル基は、ハーフエステル構造として導入されるので、従来のポリイミド樹脂と比較して、柔軟性に優れた硬化物が得られやすい。
さらに、エステル骨格は樹脂の柔軟性、密着性、溶解性の向上に寄与する。
本実施形態で使用するダイマージアミンは、ダイマー酸を経由して製造される。ダイマー酸は、オレイン酸やリノール酸等の不飽和脂肪酸を二量化して得られるジカルボン酸である。
このダイマー酸のカルボキシ基をアミノ基に変換して得られるジアミンが、ダイマージアミンであるが、本実施形態では、その分子中に不飽和結合を有するものでも、有さなくてもよい。すなわち、本実施形態では、ダイマー酸のカルボキシ基をアミノ基に変換した後、水添化して不飽和結合をなくしたものも使用できる。
また、使用する不飽和脂肪酸の炭素数は特に限定されないが、好ましい不飽和脂肪酸は、炭素数18のオレイン酸又はリノール酸であり、これらは植物由来の脂肪酸として得ることができるので、この点でも、地球環境保護の観点からより好ましい。
式(X)において、ダイマー酸由来の脂肪族ジアミンからアミノ基を除いた有機基は、一般にダイマージアミンを製造した際の主成分として予想される構造に基づくと、下記(A)及び式(B)の少なくともいずれかで表されることが好ましい。

上記式(A)及び(B)中、Y~Yはそれぞれ独立して炭素数3~23(好ましくは、炭素数3~10)のアルキレン基若しくは炭素数3~23(好ましくは、炭素数3~10)のアルケニレン基であり、Rx及びRyはそれぞれ独立して炭素数3~23(好ましくは、炭素数3~10)のアルキル基若しくは炭素数3~23(好ましくは、炭素数3~10)のアルケニル基であり、s及びtはそれぞれ独立して4以下の数(好ましくは、1~3)であり、Rxが複数ある場合、それぞれのRxは同一でも異なっていてもよく、Ryが複数ある場合、それぞれのRyは同一でも異なっていてもよい。
当該式(A)としては、例えば、下記式(1)~(8)で表すことができるが、これらに限定されるものではない。







上記式(1)~(8)中、R~Rはそれぞれ独立して炭素数2~20(好ましくは、炭素数3~10)のアルキレン基である。
なお、上記式(B)としては、例えば、下記式(9)~(12)の少なくともいずれかで表されるものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。



上記式(9)~(12)中、R~Rはそれぞれ独立して炭素数2~20のアルキレン基を表す。
本実施形態に係るカルボキシル基含有エステルイミド樹脂のイミド基濃度は、0.5mmol/g以上であり、0.6~2.5mmol/gであることが好ましく、1.0~2.0mmol/gであることがより好ましい。0.5mmol/g未満だと、十分な耐熱性が得られない。また、2.5mmol/g以下であると、十分な柔軟性と密着性が得られやすくなり、所望のカルボキシル基含有エステルイミド樹脂の合成もしやすくなる。
本発明において、イミド基濃度とは、カルボキシル基含有エステルイミド樹脂1g当たりのイミド基の数(mmol)をいう。なお、イミド基濃度はダイマージアミンの物質量、及びテトラカルボン酸二無水物、ポリオールを含めた仕込み固形分量によって調整できる。ここで、理論値(仕込み比)は下記の式により計算できる。
(ダイマージアミンの物質量[mol])×2×1000/((仕込み固形分[g])-(縮合水[g]))
カルボキシル基含有エステルイミド樹脂におけるカルボキシル基の量は、酸価で5~100mgKOH/g程度とすればよく、さらに8~60mgKOH/gであることが好ましい。
酸価が5mgKOH/g以上であると、カルボキシル基含有エステルイミド樹脂とエポキシ樹脂との架橋密度が高くなり、硬化物の耐熱性が優れたものとなりやすい。一方で、100mgKOH/g以下であると、架橋密度が高くなりすぎないので歪の発生が抑えられ、柔軟性に優れたものとなりやすい。
酸価の調整は、テトラカルボン酸二無水物とダイマージアミンの物質量、及びポリオールを含めた仕込み固形分量によって調整できる。理論値(仕込み比)は下記の式により計算できる。
((テトラカルボン酸二無水物の物質量[mol])-(ダイマージアミンの物質量[mol]))×2×56.1×1000/((仕込み固形分[g])-(縮合水[g]))
なお、カルボキシル基含有エステルイミド樹脂の酸価(実測値)は、カルボキシル基含有エステルイミド樹脂をメチルエチルケトン(MEK)などで溶液化して、JIS K1557-5:2007の方法に従って測定することができる。
カルボキシル基含有エステルイミド樹脂の重量平均分子量は、10,000~200,000であることが好ましく、さらに10,000~100,000であることがより好ましい。なお本明細書における、重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定した値を意味する。例えば、以下の装置、条件にて測定することができる。
(1)機器装置:商品名「HLC-8020」(東ソー社製)
(2)カラム:商品名「TSKgel G2000HXL」、「G3000HXL」、「G4000GXL」(東ソー社製)
(3)溶媒:THF
(4)流速:1.0ml/min
(5)試料濃度:2g/L
(6)注入量:100μL
(7)温度:40℃
(8)検出器:型番「RI-8020」(東ソー社製)
(9)標準物質:TSK標準ポリスチレン(東ソー社製)
カルボキシル基含有エステルイミド樹脂の弾性率は400N/mm以下であることが好ましく、300N/mm以下であることがより好ましい。400N/mm以下であると、十分な柔軟性を得ることができるため、例えば、後述のエポキシ樹脂などと組み合わせた場合、低反り性、および金属接着性に優れた樹脂組成物を得ることができる。
なお、カルボキシル基含有エステルイミド樹脂の弾性率は、カルボキシル基含有エステルイミド樹脂のフィルムから作製した試験片を用いて、JIS K―7127に準拠し、オートグラフ(島津製作所製、AGS-J)を使用して室温(25℃)で引張試験を実施して測定することができる。
カルボキシル基含有エステルイミド樹脂の10%分解温度は、340℃以上であることが好ましく、360℃以上であることがより好ましい。340℃以上であると、耐ハンダリフロー性、長期耐熱性に優れた樹脂組成物を得ることができる。
なお、カルボキシル基含有エステルイミド樹脂の10%分解温度は、TG-DTA((株)リガク製、TG8120)を用いて、空気100ml/分の雰囲気下、常温から5℃/分で昇温を行い、10質量%の重量が減少した温度を測定する。
式(X)で表されるカルボキシル基含有エステルイミド樹脂におけるRの構造はダイマージアミンに由来している。
当該ダイマージアミンは、ダイマー酸を経由して製造されるものを指し、式(A)及び式(B)等の構造を有したダイマージアミンの混合物として使用することもできる。
一般的なダイマージアミンの製造工程では、不飽和脂肪酸が三量化したトリカルボン酸であるトリマー酸が副生し、これがアミノ基に変換されたトリマートリアミンが副生成物として存在することがある。このため、市販のダイマージアミンは、通常、ダイマージアミンとトリマートリアミンを含む混合物であり、本発明では、そのような混合物を使用することも可能である。
ダイマージアミンの数平均分子量は、400~600程度とすればよく、好ましくは500~580である。
なお、本発明では、本発明がもたらす効果(低沸点溶剤への溶解性、柔軟性など)を阻害しない範囲内で、ダイマージアミン以外のジアミン(すなわち、ダイマー骨格を持たないジアミン)を添加してもよい。
本発明の必須成分である式(X)で表されるカルボキシル基含有エステルイミド樹脂中のRの構造はテトラカルボン酸二無水物由来の構造である。
テトラカルボン酸二無水物としては、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物(BPADA)、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)、3,4’-オキシジフタル酸無水物(a-ODPA)、4,4’-オキシジフタル酸無水物(s-ODPA)、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(HFDA)、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)(TMEG)p-フェニレンビス(トリメリテート無水物)(TAHQ)、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、メチルシクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、エタンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビシクロへキシルテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
中でも、耐熱性の観点から、芳香族系テトラカルボン酸二無水物が好ましく、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物(BPADA)、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)、4,4’-オキシジフタル酸無水物(s-ODPA)からなる群より選ばれる少なくとも1つであることが好ましく、テトラカルボン酸二無水物が3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)及び/又は4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物(BPADA)であることがより好ましい。
なお、これらテトラカルボン酸二無水物は複数組み合わせることもできる。
式(X)で表されるカルボキシル基含有エステルイミド樹脂中のR構造はポリオールに由来した構造である。
ポリオールとしては、2官能のジオールであることが好ましい。ポリオールは短鎖ジオールであってもポリマージオールであっても良い。
(1)短鎖ジオール
短鎖ジオールとしては、数平均分子量が500未満の化合物であり、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,6-ヘキサメチレングリコールおよびネオペンチルグリコール、3-メチルペンタンジオール、3-メチルプロパンジオールなどの脂肪族グリコール類およびそのアルキレンオキサイド低モル付加物(数平均分子量500未満)、1,4-ビスヒドロキシメチルシクロヘキサンおよび2-メチル-1,1-シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式系グリコール類およびそのアルキレンオキサイド低モル付加物(数平均分子量500未満)、キシリレングリコールなどの芳香族グリコール類およびそのアルキレンオキサイド低モル付加物(数平均分子量500未満)、ビスフェノールA、チオビスフェノールおよびスルホンビスフェノールなどのビスフェノール類およびそのアルキレンオキサイド低モル付加物(数平均分子量500未満)などの化合物が挙げられる。
中でも、酸無水物基との反応性の観点から、水酸基は一級であることが好ましく、具体的には、1,4-ブチレングリコール、3-メチルペンタンジオール、1,6-ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、3-メチルプロパンジオール、1,4-ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、ビスフェノールAが好ましい。
(2)ポリマージオール
ポリマージオールとは、数平均分子量が500~4000の化合物であり、500~2000であることが好ましい。また、具体的には、ポリカーボネートジオール、ポリエステルジオール、ダイマージオール、ポリブタジエンジオールからなる群より選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。上記のポリマージオールとしては、例えば、以下のものが挙げられる。
(ポリカーボネートジオール)
ポリカーボネートジオールとしては、ポリテトラメチレンカーボネートジオール、ポリペンタメチレンカーボネートジオール、ポリネオペンチルカーボネートジオール、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンカーボネート)ジオール、及びこれらのランダム/ブロック共重合体などが挙げられる。
中でも、柔軟性、接着(密着)性を向上させる観点から、ヘキサメチレン骨格を含むものが好ましい。
(ポリエステルジオール)
ポリエステルジオールとしては、脂肪族系ジカルボン酸類(例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸およびアゼライン酸など)、及び芳香族系ジカルボン酸(例えば、イソフタル酸およびテレフタル酸など)の少なくともいずれかと、低分子量グリコール類(例えば、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、3-メチルペンタンジオール、1,6-ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコールおよび1,4-ビスヒドロキシメチルシクロヘキサンなど)と、を縮重合したものが挙げられる。
具体的にはポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンアジペートジオール、ポリネオペンチルアジペートジオール、ポリエチレン/ブチレンアジペートジオール、ポリネオペンチル/ヘキシルアジペートジオール、ポリ-3-メチルペンタンアジペートジオールおよびポリブチレンイソフタレートジオール、ポリ-3-メチルペンタンテレフタレートジオール、ポリ-3-メチルペンタンイソフタレートジオールなどが挙げられる。
(ダイマージオール)
ダイマージオールとしては、ダイマージオール、トリマートリオール又はそれらの混合物が使用できる。ダイマージオールはダイマー酸のカルボキシ基を水酸基に還元して得られるポリオールであり、その分子中に不飽和結合を有しても有しなくてもよい。トリマートリオールも、ダイマージオールと同様にトリマー酸を還元して得られるポリオールであり、その分子中に不飽和結合を有しても有しなくてもよい。市販のダイマージオールは、通常、ダイマージオールとトリマートリオールを含む混合物である。
ダイマージオールの水酸基価は、2mgKOH/g以上であることが好ましく、30mgKOH/g以上であることがより好ましい。
(ポリブタジエンジオール)
ポリブタジエンジオールとしては、1,2-ビニル構造を有するもの、1,2-ビニル構造と1,4-トランス構造とを有するもの、及び1,4-トランス構造を有するものが挙げられる。また、水添ポリブタジエンポリオールであってもよく、さらに、これらの変性体であってもよい。ポリブタジエンポリオールの重量平均分子量は500~2000であることが好ましい。
これらのジオール((1)短鎖ジオール、(2)ポリマージオール)は、単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができるが、接着(密着)性、耐久性(耐熱性、耐水性)等の観点から、短鎖ジオール、ポリカーボネートジオール、ダイマージオールを含むことがより好ましい。
次に本発明の必須成分である一般式(X)で表されるカルボキシル基含有エステルイミド樹脂の製造方法について説明する。式(X)で表されるカルボキシル基含有エステルイミド樹脂は以下の製造工程により得られる。
上記したダイマージアミンと過剰量のテトラカルボン酸無水物、有機溶剤を加えて、窒素気流下、撹拌しながら100~200℃で1~5時間程度反応させる。
次いで、残存する酸無水物基/水酸基=1.0となるように、上記したジオールを加えて、80~120℃で1~5時間程度反応させた後、有機溶剤で希釈し、冷却することで得られる。
ダイマージアミンとテトラカルボン酸無水物とは、テトラカルボン酸無水物から酸無水物基を除いた有機基Rに対し、ダイマージアミン(ダイマー酸由来の脂肪族ジアミン)からアミノ基を除いた有機基Rのモル比(R/R)が1.04~5.00程度であればよく、1.04~2.10であることが好ましい。
モル比(R/R)が1.04以上であると、カルボキシル基濃度(酸価)が低くなりすぎず、優れた物性(耐熱性など)が発現しやすい。モル比(R/R)が5.00以下であると、イミド基濃度が低くなりすぎず、良好な耐熱性を維持することができる。より好ましくは、1.04~2.00である。
ポリアミック酸が完全にイミド化していることの確認は、フーリエ変換赤外分光高度計(FT-IR)を用いて、得られたエステルイミド樹脂のATR法による1750cm-1付近のイミド基由来の吸収の確認、および酸価の測定によって確認することができる。
製造時に使用する有機溶剤は、沸点が170℃以下である有機溶剤、なかでも非窒素系の溶剤であることが好ましい。溶剤の沸点が170℃未満であると、本発明のエステルイミド樹脂組成物を用いた塗料組成物の乾燥・硬化を低温かつ短時間で行うことができるようになる。また、人体への有害性が高い窒素系有機溶剤は使用しないことが好ましい。
したがって、本実施形態に係るカルボキシル基含有エステルイミド樹脂は、大気圧下での沸点が170℃以下である有機溶剤中に溶解して成る形態(カルボキシル基含有エステルイミド樹脂溶液)でもよい。この場合の固形分濃度は、30~60質量%程度であることが好ましい。固形分濃度は、所定量の樹脂溶液をオーブン乾燥機内で150℃、2時間加熱させることで求めることができる。
当該有機溶剤としては、トルエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、メトキシプロピオン酸メチル、メトキシプロピオン酸エチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソアミル、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、炭酸ジメチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、等が挙げられる。これらは単独でも二種以上を組み合わせて用いても良い。
なかでもトルエン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンが溶解性、エステルイミド樹脂を用いた塗料組成物の乾燥の効率性(低温、短時間)等から好ましく、特に、シクロヘキサノン、トルエン、及びメチルエチルケトンから選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
カルボキシル基含有エステルイミド樹脂の製造は、特に触媒を使用せず行うことができるが、反応を促進させるために、下記に挙げるような触媒の存在下で行うことも可能である。
例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、トリエチレンジアミン(DABCO)、ピリジン等の塩基性触媒等が使用できる。これらの好ましい使用量は、使用するポリオール化合物のmol数に対して、0.01~2当量である。
[エステルイミド樹脂組成物]
本実施形態に係るエステルイミド樹脂組成物は、既述の本発明のカルボキシル基含有エステルイミド樹脂と、1分子中に少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ樹脂とを含む。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、o-クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、可撓性エポキシ樹脂、エポキシ化ポリブタジエン、アミン型エポキシ樹脂、複素環含有エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、ビキシレノール型エポキシ樹脂、グリシジル基を有する化合物などが挙げられる。これらは一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、特に限定されず、硬化物の機械的強度、密2着性の観点から、100~10,000g/eqであることが好ましく、100~400g/eqがより好ましい。
エポキシ樹脂の重量平均分子量は、既述の本発明のカルボキシル基含有エステルイミド樹脂との相溶性の観点から、100~70000であることが好ましく、300~25000であることがより好ましい。
また、熱硬化に関わるエポキシ基とカルボキシル基の比率を調整することにより、特性を所望の範囲に設定することができる。
具体的には、エポキシ基とカルボキシル基の比率は、エポキシ基/カルボキシル基(モル比)=10/1~1/1が好ましく、より好ましくは、3/1~1/1である。前記範囲を超えると、架橋性が悪くなる傾向にあり、耐熱性が低下する。
エポキシ樹脂の含有量は、本発明のカルボキシル基含有エステルイミド樹脂(固形分)100質量部に対して、2~100質量部の範囲が好ましく、3~60質量部の範囲がさらに好ましい。エポキシ樹脂の含有量が2質量部以上であると、架橋性は良好となり、また、100質量部以下であると架橋性が低下しにくくなるため、耐熱性や接着性等を良好にすることができる。
本実施形態に係るエステルイミド樹脂組成物は、既述の本発明のカルボキシル基含有エステルイミド樹脂と、既述のエポキシ樹脂とを所定の割合で混合することで調製することができる。調製する際には、既述の有機溶剤の存在下で混合してもよく、有機溶剤中に溶解して成るカルボキシル基含有エステルイミド樹脂にエポキシ樹脂を混合して調製してもよい。また、適宜公知の添加剤を混合してもよい。
本実施形態に係るエステルイミド樹脂組成物は低沸点溶剤を使用することで、例えば、塗料組成物として利用することができる。塗料組成物とした場合、低温で乾燥及び硬化が可能で、且つ、耐熱性、柔軟性、接着性に優れる電子部材用途の接着剤、あるいは絶縁保護膜等に使用可能な塗料樹脂組成物として供することができる。
上記の塗料組成物としては、既述のカルボキシル基含有エステルイミド樹脂、エポキシ樹脂を必須成分として、これが有機溶剤中に溶解している。当該塗料組成物は、ソルダーレジスト、電磁波シールドフィルム、塗料といった用途や、接着剤としてフレキシブルプリント基板用接着剤、導電性接着剤、構造材料用接着剤等に使用することができる。
塗料組成物に使用される有機溶剤は、上記の必須成分が溶解する有機溶剤であればいずれも使用することが可能であるが、塗料として使用される加工条件を勘案すると、その沸点が有機溶剤としては170℃以下である非窒素系の溶剤であることが好ましい。溶剤の沸点が170℃以下であると、塗料組成物の乾燥・硬化を低温で行うことができるようになる。また、人体への有害性が高い窒素系有機溶剤は使用しないことが好ましい。
当該有機溶剤としては、トルエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、メトキシプロピオン酸メチル、メトキシプロピオン酸エチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソアミル、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、炭酸ジメチル等が挙げられる。これらは単独でも二種以上を組み合わせて用いても良い。
特にトルエン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンが溶解性、エステルイミド樹脂を用いた塗料組成物の乾燥の効率性(低温、短時間)等から好ましい。
本発明の塗料組成物は必要に応じて、硬化促進剤、イソシアネート系架橋剤、熱可塑性ポリマー、粘着付与樹脂、顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、充填剤等を適量配合してもよい。
本発明の塗料組成物は塗布後、好ましくは60~170℃、より好ましくは120~150℃の範囲で硬化して使用することが好ましい。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、以下にある「部」は質量部、「%」は質量%を示す。
使用した材料は下記のとおりである。
(1)ジアミン
・ダイマージアミン(数平均分子量561、CRODA社製、商品名:プリアミン1074(P1074))
・イソホロンジアミン(IPDA)
・3,5-ジアミノ安息香酸(3,5-DABA)
(2)テトラカルボン酸二無水物
・3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)
・4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物(BPADA)
(3)ポリオール
・ポリカーボネートジオールA:ポリヘキサメチレンカーボネートジオール(数平均分子量2010、宇部興産(株)製、商品名:エタナコールUH200)
・ポリカーボネートジオールB:ポリヘキサメチレンカーボネートジオール(数平均分子量983、宇部興産(株)製、商品名:エタナコールUH100)
・ポリカーボネートジオールC:ポリヘキサメチレンカーボネートジオール(数平均分子量511、宇部興産(株)製、商品名:エタナコールUH50)
・ポリエステルポリオール:ポリ-3-メチルペンタンイソフタレートジオール(数平均分子量994、(株)クラレ製、商品名:クラレポリオールP-1030)
・ダイマージオール:(数平均分子量511、CRODA社製、商品名:プリポール2033)
・1,4ブタンジオール(1,4BD)
(4)エポキシ樹脂
・エポキシ樹脂A:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量184~194g/eq、重量平均分子量370、三菱ケミカル(株)社製、商品名:jER828)
[製造例1]
<カルボキシル基含有エステルイミド樹脂A>
撹拌機を備えたセパラブルフラスコに、50.0質量部のプリアミン1074、131.4質量部のシクロヘキサノンを仕込み、100℃で加熱撹拌した後、81.1質量部のBPADAを加え、窒素気流化、160℃で4時間反応させることで、末端に酸無水物基を有するポリイミド溶液を得た。60℃以下に冷却した後、134.9質量部のエタナコールUH200を加え、100~120℃で5時間撹拌後、131.4質量部のトルエン、131.4質量部のメチルエチルケトンを加えて希釈し、室温まで冷却することにより、固形分濃度40%、酸価30mgKOH/gとなるように設計したカルボキシル基含有エステルイミド樹脂溶液Aを得た。
FT-IRを用いてイミド基由来の吸収を確認し、実測した固形分の酸価が設計値(理論値)と同じ30mgKOH/gであることから、完全にイミド化していることを確認した。重量平均分子量は4万、仕込み比から算出したイミド基濃度は0.7mmol/gであった。
[製造例2]
<カルボキシル基含有エステルイミド樹脂B>
撹拌機を備えたセパラブルフラスコに、100.0質量部のプリアミン1074、179.4質量部のシクロヘキサノンを仕込み、100℃で加熱撹拌した後、86.2質量部のBTDAを加え、窒素気流化、160℃で4時間反応させることで、末端に酸無水物基を有するポリイミド溶液を得た。60℃以下に冷却した後、179.2質量部のエタナコールUH200を加え、100~120℃で5時間撹拌後、179.4質量部のトルエン、179.4質量部のメチルエチルケトンを加えて希釈し、室温まで冷却することにより、固形分濃度40%、酸価30mgKOH/gとなるように設計したカルボキシル基含有エステルイミド樹脂溶液Bを得た。
FT-IRを用いてイミド基由来の吸収を確認し、実測した固形分の酸価が設計値(理論値)と同じ30mgKOH/gであることから、完全にイミド化していることを確認した。重量平均分子量は4万、仕込み比から算出したイミド基濃度は1.0mmol/gであった。
[製造例3]
<カルボキシル基含有エステルイミド樹脂C>
撹拌機を備えたセパラブルフラスコに、100.0質量部のプリアミン1074、116.0質量部のシクロヘキサノンを仕込み、100℃で加熱撹拌した後、77.5質量部のBTDAを加え、窒素気流化、160℃で4時間反応させることで、末端に酸無水物基を有するポリイミド溶液を得た。60℃以下に冷却した後、61.4質量部のエタナコールUH100を加え、100~120℃で5時間撹拌後、116.0質量部のトルエン、116.0質量部のメチルエチルケトンを加えて希釈し、室温まで冷却することにより、固形分濃度40%、酸価30mgKOH/gとなるように設計したカルボキシル基含有エステルイミド樹脂溶液Cを得た。
FT-IRを用いてイミド基由来の吸収を確認し、実測した固形分の酸価が設計値(理論値)と同じ30mgKOH/gであることから、完全にイミド化していることを確認した。重量平均分子量は4万、仕込み比から算出したイミド基濃度は1.5mmol/gであった。
[製造例4]
<カルボキシル基含有エステルイミド樹脂D>
撹拌機を備えたセパラブルフラスコに、100.0質量部のプリアミン1074、124.4質量部のシクロヘキサノンを仕込み、100℃で加熱撹拌した後、124.2質量部のBPADAを加え、窒素気流化、160℃で4時間反応させることで、末端に酸無水物基を有するポリイミド溶液を得た。60℃以下に冷却した後、30.9質量部のエタナコールUH50を加え、100~120℃で5時間撹拌後、124.4質量部のトルエン、124.4質量部のメチルエチルケトンを加えて希釈し、室温まで冷却することにより、固形分濃度40%、酸価30mgKOH/gとなるように設計したカルボキシル基含有エステルイミド樹脂溶液Dを得た。
FT-IRを用いてイミド基由来の吸収を確認し、実測した固形分の酸価が設計値(理論値)と同じ30mgKOH/gであることから、完全にイミド化していることを確認した。重量平均分子量は4万、仕込み比から算出したイミド基濃度は1.4mmol/gであった。
[製造例5]
<カルボキシル基含有エステルイミド樹脂E>
撹拌機を備えたセパラブルフラスコに、100.0質量部のプリアミン1074、98.5質量部のシクロヘキサノンを仕込み、100℃で加熱撹拌した後、74.7質量部のBTDAを加え、窒素気流化、160℃で4時間反応させることで、末端に酸無水物基を有するポリイミド溶液を得た。60℃以下に冷却した後、26.5質量部のエタナコールUH100、2.4質量部の1,4ブタンジオールを加え、100~120℃で5時間撹拌後、98.5質量部のトルエン、98.5質量部のメチルエチルケトンを加えて希釈し、室温まで冷却することにより、固形分濃度40%、酸価30mgKOH/gとなるように設計したカルボキシル基含有エステルイミド樹脂溶液Eを得た。
FT-IRを用いてイミド基由来の吸収を確認し、実測した固形分の酸価が設計値(理論値)と同じ30mgKOH/gであることから、完全にイミド化していることを確認した。重量平均分子量は4万、仕込み比から算出したイミド基濃度は1.8mmol/gであった。
[製造例6]
<カルボキシル基含有エステルイミド樹脂F>
撹拌機を備えたセパラブルフラスコに、100.0質量部のプリアミン1074、84.7質量部のシクロヘキサノンを仕込み、100℃で加熱撹拌した後、71.8質量部のBTDAを加え、窒素気流化、160℃で4時間反応させることで、末端に酸無水物基を有するポリイミド溶液を得た。60℃以下に冷却した後、4.0質量部の1,4ブタンジオールを加え、100~120℃で5時間撹拌後、84.7質量部のトルエン、84.7質量部のメチルエチルケトンを加えて希釈し、室温まで冷却することにより、固形分濃度40%、酸価30mgKOH/gとなるように設計したカルボキシル基含有エステルイミド樹脂溶液Fを得た。
FT-IRを用いてイミド基由来の吸収を確認し、実測した固形分の酸価が設計値(理論値)と同じ30mgKOH/gであることから、完全にイミド化していることを確認した。重量平均分子量は4万、仕込み比から算出したイミド基濃度は2.1mmol/gであった。
[製造例7]
<カルボキシル基含有エステルイミド樹脂G>
撹拌機を備えたセパラブルフラスコに、100.0質量部のプリアミン1074、109.0質量部のシクロヘキサノンを仕込み、100℃で加熱撹拌した後、99.2質量部のBPADAを加え、窒素気流化、160℃で4時間反応させることで、末端に酸無水物基を有するポリイミド溶液を得た。60℃以下に冷却した後、25.2質量部のエタナコールUH200を加え、100~120℃で5時間撹拌後、109.0質量部のトルエン、109.0質量部のメチルエチルケトンを加えて希釈し、室温まで冷却することにより、固形分濃度40%、酸価6mgKOH/gとなるように設計したカルボキシル基含有エステルイミド樹脂溶液Gを得た。
FT-IRを用いてイミド基由来の吸収を確認し、実測した固形分の酸価が設計値(理論値)と同じ6mgKOH/gであることから、完全にイミド化していることを確認した。重量平均分子量は3万、仕込み比から算出したイミド基濃度は1.6mmol/gであった。
[製造例8]
<カルボキシル基含有エステルイミド樹脂H>
撹拌機を備えたセパラブルフラスコに、100.0質量部のプリアミン1074、157.2質量部のシクロヘキサノンを仕込み、100℃で加熱撹拌した後、120.6質量部のBTDAを加え、窒素気流化、160℃で4時間反応させることで、末端に酸無水物基を有するポリイミド溶液を得た。60℃以下に冷却した後、100.2質量部のエタナコールUH50を加え、100~120℃で5時間撹拌後、157.2質量部のトルエン、157.2質量部のメチルエチルケトンを加えて希釈し、室温まで冷却することにより、固形分濃度40%、酸価70mgKOH/gとなるように設計したカルボキシル基含有エステルイミド樹脂溶液Hを得た。
FT-IRを用いてイミド基由来の吸収を確認し、実測した固形分の酸価が設計値(理論値)と同じ70mgKOH/gであることから、完全にイミド化していることを確認した。重量平均分子量は4万、仕込み比から算出したイミド基濃度は1.1mmol/gであった。
[製造例9]
<カルボキシル基含有エステルイミド樹脂I>
撹拌機を備えたセパラブルフラスコに、50.0質量部のプリアミン1074、176.2質量部のシクロヘキサノンを仕込み、100℃で加熱撹拌した後、99.6質量部のBPADAを加え、窒素気流化、160℃で4時間反応させることで、末端に酸無水物基を有するポリイミド溶液を得た。60℃以下に冷却した後、206.1質量部のエタナコールUH200を加え、100~120℃で5時間撹拌後、176.2質量部のトルエン、176.2質量部のメチルエチルケトンを加えて希釈し、室温まで冷却することにより、固形分濃度40%、酸価30mgKOH/gとなるように設計したカルボキシル基含有エステルイミド樹脂溶液Iを得た。
FT-IRを用いてイミド基由来の吸収を確認し、実測した固形分の酸価が設計値と同じ30mgKOH/gであることから、完全にイミド化していることを確認した。重量平均分子量は4万、仕込み比から算出したイミド基濃度は0.5mmol/gであった。
[製造例10]
<カルボキシル基含有エステルイミド樹脂J>
撹拌機を備えたセパラブルフラスコに、100.0質量部のプリアミン1074、116.6質量部のシクロヘキサノンを仕込み、100℃で加熱撹拌した後、77.5質量部のBTDAを加え、窒素気流化、160℃で4時間反応させることで、末端に酸無水物基を有するポリイミド溶液を得た。60℃以下に冷却した後、62.0質量部のクラレポリオールP-1030を加え、100~120℃で5時間撹拌後、116.6質量部のトルエン、116.6質量部のメチルエチルケトンを加えて希釈し、室温まで冷却することにより、固形分濃度40%、酸価30mgKOH/gとなるように設計したカルボキシル基含有エステルイミド樹脂溶液Jを得た。
FT-IRを用いてイミド基由来の吸収を確認し、実測した固形分の酸価が設計値(理論値)と同じ30mgKOH/gであることから、完全にイミド化していることを確認した。重量平均分子量は3万、仕込み比から算出したイミド基濃度は1.5mmol/gであった。
[製造例11]
<カルボキシル基含有エステルイミド樹脂K>
撹拌機を備えたセパラブルフラスコに、100.0質量部のプリアミン1074、124.4質量部のシクロヘキサノンを仕込み、100℃で加熱撹拌した後、124.2質量部のBPADAを加え、窒素気流化、160℃で4時間反応させることで、末端に酸無水物基を有するポリイミド溶液を得た。60℃以下に冷却した後、31.0質量部のプリポール2033を加え、100~120℃で5時間撹拌後、124.4質量部のトルエン、124.4質量部のメチルエチルケトンを加えて希釈し、室温まで冷却することにより、固形分濃度40%、酸価30mgKOH/gとなるように設計したカルボキシル基含有エステルイミド樹脂溶液Kを得た。
FT-IRを用いてイミド基由来の吸収を確認し、実測した固形分の酸価が設計値(理論値)と同じ30mgKOH/gであることから、完全にイミド化していることを確認した。重量平均分子量は3万、仕込み比から算出したイミド基濃度は1.4mmol/gであった。
[製造比較例1]
<カルボキシル基含有エステルイミド樹脂L>
撹拌機を備えたセパラブルフラスコに、30.0質量部のイソホロンジアミン、122.6質量部のシクロヘキサノンを仕込み、100℃で加熱撹拌した後、79.6質量部のBTDAを加え、窒素気流化、160℃で4時間反応させることで、末端に酸無水物基を有するポリイミド溶液を得た。60℃以下に冷却した後、142.5質量部のエタナコールUH200を加え、100~120℃で撹拌したが、反応中に不溶化した。
[製造比較例2]
<カルボキシル基含有エステルイミド樹脂M>
撹拌機を備えたセパラブルフラスコに、30.0質量部のイソホロンジアミン、169.3質量部のシクロヘキサノンを仕込み、100℃で加熱撹拌した後、137.7質量部のBPADAを加え、窒素気流化、160℃で4時間反応させることで、末端に酸無水物基を有するポリイミド溶液を得た。60℃以下に冷却した後、178.1質量部のエタナコールUH200を加え、100~120℃で撹拌したが、反応中に不溶化した。
[製造比較例3]
<カルボキシル基含有エステルイミド樹脂N>
撹拌機を備えたセパラブルフラスコに、30.0質量部のプリアミン1074、176.8質量部のシクロヘキサノンを仕込み、100℃で加熱撹拌した後、89.0質量部のBPADAを加え、窒素気流化、160℃で4時間反応させることで、末端に酸無水物基を有するポリイミド溶液を得た。60℃以下に冷却した後、236.6質量部のエタナコールUH200を加え、100~120℃で5時間撹拌後、176.8質量部のトルエン、176.8質量部のメチルエチルケトンを加えて希釈し、室温まで冷却することにより、固形分濃度40%、酸価40mgKOH/gとなるように設計したカルボキシル基含有エステルイミド樹脂溶液Nを得た。
FT-IRを用いてイミド基由来の吸収を確認し、実測した固形分の酸価が設計値と同じ40mgKOH/gであることから、完全にイミド化していることを確認した。重量平均分子量は3万、仕込み比から算出したイミド基濃度は0.3mmol/gであった。
[製造比較例4]
<カルボキシル基含有イミド樹脂O>
撹拌機を備えたセパラブルフラスコに、100.0質量部のプリアミン1074、24.0質量部の3,5-ジアミノ安息香酸、292.0質量部のシクロヘキサノンを仕込み、100℃で加熱撹拌した後、180.1質量部のBPADAを加え、窒素気流化、160℃で7時間反応させた後、140.6質量部のメチルエチルケトンを加えて希釈し、室温まで冷却することにより、固形分濃度40%、酸価30mgKOH/gとなるように設計したカルボキシル基含有イミド樹脂溶液Oを得た。
FT-IRを用いてイミド基由来の吸収を確認し、実測した固形分の酸価が設計値と同じ30mgKOH/gであることから、完全にイミド化していることを確認した。重量平均分子量は4万、仕込み比から算出したイミド基濃度は2.4mmol/gであった。
製造例1~11および製造比較例1~3で得られたカルボキシル基含有エステルイミド樹脂の樹脂溶液、製造比較例4で得られたカルボキシル基含有イミド樹脂の樹脂溶液について、下記の溶解性試験(溶液安定性試験)、引張試験、耐熱性試験及び密着性試験を行った。結果を下記表1に示す。
(溶解性試験)
樹脂A~Oの樹脂溶液の合成時、および合成後の溶解性を評価した。
〇:5℃で保管後、1か月経過時点で濁り及び析出物無し
△:5℃で保管後、1か月以内に濁り又は析出物の発生
×:合成時に不溶化
(引張試験)
樹脂A~K,N,Oの樹脂溶液を離型紙の一面側全面上に塗布し、その後、120℃で10分間乾燥させた。なお、塗工は、乾燥後のカルボキシル基含有エステルイミド樹脂の厚みが30μmとなる様に行った。その後、被膜を長さ60mm、幅15mmにカットして試験片を作製した。得られた試験片を用いて、JIS K―7127に準拠し、オートグラフ(島津製作所製、AGS-J)を使用して室温(25℃)で引張試験を実施し、弾性率を測定した。
〇:弾性率が400N/mm以下のもの
△:弾性率が400N/mmを超え800N/mm以下のもの
×:弾性率が800N/mmを超えるもの
(耐熱性試験)
樹脂A~K,N,Oの樹脂溶液を離型紙の一面側全面上に塗布し、その後、120℃で10分間乾燥させた。なお、塗工は、乾燥後のカルボキシル基含有エステルイミド樹脂の厚みが30μmとなる様に行った。その後、離型紙を剥離して、カルボキシル基含有エステルイミド樹脂の膜からなる試験片を得た。
次に、TG-DTA((株)リガク製、TG8120)を用い、空気100ml/分の雰囲気下、常温から5℃/分で昇温を行ってTG-DTA曲線を得た。そして、10質量%の重量が減少した温度(10%分解温度)に注目し、耐熱性を判断した。
〇:10%分解温度が360℃以上である。
△:10%分解温度が340℃以上360℃未満である。
×:10%分解温度が340℃未満である。
(密着性試験)
樹脂A~K,N,Oの樹脂溶液を銅張積層板の銅面側に塗布し、その後、120℃で10分間乾燥させることで、試験片を作製した。なお、塗工は、乾燥後のカルボキシル基含有エステルイミド樹脂の厚みが20μmとなる様に行った。密着性試験は、JIS K 5600-5-6に準拠し、カット間隔1mmで100マスのクロスカットを形成し、セロハンテープ剥離後の外観を観察して評価した。
〇:剥離無し
△:剥離したマスが、50マス以上100マス未満
×:剥離したマスが、50マス未満
[樹脂組成物]
樹脂A~K,N,Oの樹脂溶液について、下記表2に示す配合でエポキシ樹脂Aを配合して、実施例1~11、比較例3,4の樹脂組成物を作製した。
得られた樹脂組成物について、下記の反り性試験、耐ハンダリフロー性試験、200℃長期耐熱性試験、金属接着性試験を行った。結果を下記表2に示す。
(反り性試験)
50μm厚ポリイミドフィルムに、得られた樹脂組成物を20μm厚(乾燥厚み)になるように塗布し、120℃で10分間加熱して乾燥させた後、150℃で3時間加熱して硬化させた。得られた塗膜を5cm×5cmに切り出し、25℃に調温した後、水平なガラス板に載せて四隅の反り高さの平均値を測定した。
〇:高さ5mm未満
△:高さ5mm以上15mm未満
×:高さ15mm以上
(耐ハンダリフロー性試験)
離型紙の一面側全面上に、得られた樹脂組成物を塗布し、120℃で10分間加熱して乾燥させた後、離型紙を剥離して、厚さ20μmのフィルムを作製した。
フィルムを銅張積層板の銅面(寸法5cm×7cm)に貼り付け、さらにフィルム上に別の銅張積層板の銅面を重ね合わせ、150℃で1分間、1MPa圧で熱プレスした。その後、3cm×3cmの大きさに切り出し、150℃で3時間加熱することで硬化させて試験片を作製した。この試験片を288℃のハンダ浴に30秒間浮かべた後の外観異常(浮き、剥がれ)を確認した。
〇:30秒間経過時点で異常無し
△:20秒間経過時点で異常は無かったが、30秒間経過時点で異常発生
×:20秒間経過前に異常発生
(長期耐熱性試験)
上記耐ハンダリフロー試験と同様に作製した各試験片を、それぞれ、200℃のオーブンに24時間入れた後の外観異常(浮き、剥がれ)を確認した。
〇:24時間経過時点で異常無し
△:10時間経過時点で異常は無かったが、24時間経過時点で異常発生
×:10時間経過前に異常発生
(金属接着性試験)
離型紙の一面側全面上に、作製した樹脂組成物を塗布し、120℃で10分間加熱して乾燥させた後、離型紙を剥離して、厚さ20μmのフィルムを作製した。
フィルムを銅張積層板の銅面(寸法5cm×7cm)に貼り付け、さらにフィルム上に別の銅張積層板の銅面を重ね合わせ、150℃で1分間、1MPa圧で熱プレスした。その後、150℃で3時間加熱することで硬化させた後、幅10mm長さ70mmの大きさに切り出して試験片を作製した。
金属接着性試験は、オートグラフ(島津製作所製、AGS-J)を用いて、引張速度100mm/min、180度剥離することで接着強度を評価した。
〇:接着強度が7N/cm以上
△:接着強度が3N/cm以上、7N/cm未満
×:接着強度が3N/cm未満
なお、表1中のR/Rは、テトラカルボン酸無水物から酸無水物基を除いた有機基Rに対し、ダイマージアミンからアミノ基を除いた有機基Rのモル比である。
表1に示したように、本発明のカルボキシル基含有エステルイミド樹脂は、低沸点溶剤への溶解性、柔軟性、耐熱性、および、密着性に優れていた。
一方で、製造比較例1、2に示したダイマー骨格を含まないエステルイミド樹脂は分子量の増加に伴って反応中に不溶化した。これは、ダイマー骨格の嵩高さが失われたことで、イミド基が本来有する剛直で凝集しやすい性質が発現したことによると考えられる。特に、トルエンやメチルエチルケトンのような低沸点溶剤への非ダイマー系のイミド樹脂の溶解性は非常に低いと推察される。
また、製造比較例3のエステルイミド樹脂は耐熱性において劣っていた。これは、イミド基濃度が低いことに起因するものと考えられる。
製造比較例4のカルボキシル基含有イミド樹脂は耐熱性と溶解性に優れるものの、柔軟性に乏しかった。これは、カルボキシル基を付与するために使用した芳香族ジアミン由来の剛直なイミド基によるものである。本実施例ではエステルイミド樹脂へのカルボキシル基の付与に酸無水物と水酸基の反応から生成するハーフエステル構造を利用しており、これが柔軟性の向上に大きく寄与していると考えられる。
さらに、表2に示したように、本発明のエステルイミド樹脂とエポキシ樹脂との組成物は柔軟性、耐熱性、金属接着性に優れていたが、比較例3の低イミド基濃度のエステルイミド樹脂組成物は長期耐熱性に劣り、比較例4のイミド樹脂組成物は柔軟性と接着性に劣っていた。
以上のように、本発明の樹脂組成物は柔軟性、耐熱性、および、接着性を兼ね備えていると言える。
本発明のカルボキシル基含有エステルイミド樹脂によれば、低沸点溶剤溶解性、耐熱性、柔軟性、金属への接着性に優れた樹脂組成物を提供することができる。このため、低温での乾燥若しくは硬化が可能な耐熱塗料として、フレキシブルプリント基板用途の接着剤、または絶縁保護膜等の用途に有用である。

Claims (9)

  1. 下記式(X)で表される構造を含み、且つ、イミド基濃度が0.5mmol/g以上であるカルボキシル基含有エステルイミド樹脂。

    (上記式(X)中、nは0~20の数であり、且つ、Rはテトラカルボン酸二無水物から酸無水物基を除いた有機基を表し、Rはダイマー酸由来の脂肪族ジアミンからアミノ基を除いた有機基を表し、Rはポリオールから水酸基を除いた有機基を表す。)
  2. 前記ダイマー酸由来の脂肪族ジアミンからアミノ基を除いた有機基が下記(A)及び式(B)の少なくともいずれかで表される請求項1に記載のカルボキシル基含有エステルイミド樹脂。

    (上記式(A)及び(B)中、Y~Yはそれぞれ独立して炭素数3~23のアルキレン基若しくは炭素数3~23のアルケニレン基であり、Rx及びRyはそれぞれ独立して炭素数3~23のアルキル基若しくは炭素数3~23のアルケニル基であり、s及びtはそれぞれ独立して4以下の数であり、Rxが複数ある場合、それぞれのRxは同一でも異なっていてもよく、Ryが複数ある場合、それぞれのRyは同一でも異なっていてもよい。)
  3. 酸価が5~100mgKOH/gである請求項1又は2に記載のカルボキシル基含有エステルイミド樹脂。
  4. 重量平均分子量が10,000~200,000である請求項1~3のいずれか1項に記載のカルボキシル基含有エステルイミド樹脂。
  5. 弾性率が400N/mm以下であり且つ10%分解温度が340℃以上である請求項1~4のいずれか1項に記載のカルボキシル基含有エステルイミド樹脂。
  6. 前記テトラカルボン酸二無水物が3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物及び/又は4,4’-(4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ)ジフタル酸無水物である請求項1~5のいずれか1項に記載のカルボキシル基含有エステルイミド樹脂。
  7. 大気圧下での沸点が170℃以下である有機溶剤中に溶解して成る請求項1~6に記載のいずれか1項に記載のカルボキシル基含有エステルイミド樹脂。
  8. 前記有機溶剤が、シクロヘキサノン、トルエン、及びメチルエチルケトンから選ばれる少なくとも1つである請求項7に記載のカルボキシル基含有エステルイミド樹脂。
  9. 請求項1~8のいずれか1項に記載のカルボキシル基含有エステルイミド樹脂と、1分子中に少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ樹脂とを含むエステルイミド樹脂組成物。
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