JP7436288B2 - 保護部材形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ウェーハに保護部材を形成する保護部材形成装置に関する。
例えば、特許文献1には、シリコンインゴット等からスライスしたアズスライスウェーハを研削砥石で研削してアズスライスウェーハの反り、及び切り出された面のうねりを除去するために、研削を実施する前にアズスライスウェーハの一方の面に液状樹脂を押し広げ硬化させ保護部材を形成する保護部材形成装置が開示されている。
特開2017-168565号公報
特許文献1に開示されているような保護部材形成装置は、ガラスステージに保持させたシートフィルムに液状樹脂を所定量供給し、その液状樹脂を保持手段に保持されたウェーハで上側から押圧してウェーハの下面に押し広げた後、紫外線を照射する等して硬化させ保護部材を形成している。その液状樹脂を押し広げる際に、保持手段とガラスステージとに荷重がかかる。その荷重によってウェーハを吸引保持する保持手段が傾くと、ウェーハに均一な厚みの保護部材が形成できないという問題が有る。
したがって、保護部材形成装置においては、保持手段を傾けてしまうことなく、均一な厚みの保護部材をウェーハに形成するという解決すべき課題がある。
上記課題を解決するための本発明は、シートを載置する載置面を有するステージと、該ステージに載置した該シートの上に所定量の液状樹脂を供給する液状樹脂供給手段と、該載置面に対面しウェーハを保持する保持面を有する保持部と、該ステージと該保持部とを相対的に該載置面に垂直な方向に移動させ該液状樹脂を押し広げる押し広げ手段と、該載置面と該保持面とに挟まれ該ウェーハの下面に押し広げられた該液状樹脂に外的刺激を与えて硬化させる硬化手段と、制御手段と、を備える保護部材形成装置であって、該押し広げ手段は、該ステージを下から支持する下ベースと、該保持部を支持する支持ベースと、該支持ベースを該下ベースとによって挟むように該下ベースに対向して配置する上ベースと、該下ベースと該上ベースとの間で該支持ベースの該ステージに対する垂直方向の移動をガイドするためのガイドレールと、該保持部の重心を中心として水平方向に形成した三角形の各頂点にそれぞれ配置し該支持ベースを上方向に付勢するカウンタバランスと、該保持部の重心上で該垂直方向に延在する軸で回転可能なボールネジと、該ボールネジを回転させるモータと、を備え、該保持部の重心を中心として水平方向に形成した該三角形の各頂点に配置され該ステージの該載置面と該保持部の該保持面との距離を測定する3つのスケールを備え、該制御手段は、3つの該スケールの測定値が一致するように、各々の該カウンタバランスによる該支持ベースを上方向に付勢する力を制御する保護部材形成装置である。
前記カウンタバランスは、シリンダと、該シリンダ内で前記垂直方向に移動可能なピストンと、該ピストンに連結したロッドと、該シリンダにエアを導入させ該ピストンを上方向に移動させるためのエア導入口と、該エア導入口とエア源とを連通させるエア配管と、該エア配管に配設する電動レギュレータと、を備え、前記制御手段は、該電動レギュレータに供給する電力を制御し該シリンダ内、及び該エア配管内の圧力を調整すると好ましい。
本発明に係る保護部材形成装置は、押し広げ手段は、ステージを下から支持する下ベースと、保持部を支持する支持ベースと、支持ベースを下ベースとによって挟むように下ベースに対向して配置する上ベースと、下ベースと上ベースとの間で支持ベースのステージに対する垂直方向の移動をガイドするためのガイドレールと、保持部の重心を中心として水平方向に形成した三角形の各頂点にそれぞれ配置し支持ベースを上方向に付勢するカウンタバランスと、保持部の重心上で垂直方向に延在する軸で回転可能なボールネジと、ボールネジを回転させるモータと、を備え、保持部の重心を中心として水平方向に形成した三角形の各頂点に配置されステージの載置面と保持部の保持面との距離を測定する3つのスケールを備え、制御手段は、3つのスケールの測定値が一致するように、各々のカウンタバランスによる支持ベースを上方向に付勢する力を制御することで、保護部材形成時にウェーハの押し付けにより保持部が荷重(ステージ側からの反力)を受けても保持部の傾きが変わることが無いように保持部の傾き補正がなされるため、ウェーハに対する均一な厚みの保護部材の形成が可能になる。
カウンタバランスは、シリンダと、シリンダ内で垂直方向に移動可能なピストンと、ピストンに連結したロッドと、シリンダにエアを導入させピストンを上方向に移動させるためのエア導入口と、エア導入口とエア源とを連通させるエア配管と、エア配管に配設する電動レギュレータと、を備え、制御手段は、電動レギュレータに供給する電力を制御しシリンダ内、及びエア配管内の圧力を調整することで、カウンタバランスによる支持ベースを上方向に付勢する力を容易に制御することが可能となる。
保護部材形成装置の一例を示す斜視図である。 保護部材形成装置の一例を示す正面図である。 支持ベース、ボールネジ、カウンタバランス、及びガイドレールの配置位置を説明するための平面図である。 保護部材形成装置を用いてウェーハに保護部材を形成する場合を説明する正面図である。
図1は、シート82を載置する載置面3000を有するステージ30と、ステージ30に載置したシート82の上に所定量の液状樹脂を供給する液状樹脂供給手段18と、載置面3000にZ軸方向(鉛直方向)において対面しウェーハ80を保持する保持面601を有する保持部60と、ステージ30と保持部60とを相対的に載置面3000に垂直な方向(Z軸方向)に移動させ液状樹脂を押し広げる押し広げ手段4と、載置面3000と保持面601とに挟まれウェーハ80の下面800に押し広げられた液状樹脂に外的刺激(本実施形態においては紫外線照射)を与えて硬化させる硬化手段402(図2参照)と、制御手段9と、を備える保護部材形成装置1を示す斜視図である。
図1に示すウェーハ80は、例えば、円柱状のシリコンインゴットをワイヤーソー等で薄く切断して形成された円形のアズスライスウェーハであるが、これに限定されるものではない。ウェーハ80は分割予定ラインに区画された領域にデバイスが形成された半導体ウェーハであってもよい。
図1に示すシート82は、例えば、ポリオレフィン系の樹脂等で構成されるシートであり、ウェーハ80よりも大径の円形となっているが、これに限定されるものではない。
図1、2に示すステージ30は、外形が平面視円形状であり、例えば、石英ガラス等の円形のガラス板300と、ガラス板300を支持する円形凹部を有する円筒状の枠体301とを備える。ガラス板300の平坦な上面である載置面3000には、シート82が載置され、シート82上に液状樹脂が溜められる。
例えば、所定の合金等で形成される枠体301の円環状の上面は、ガラス板300の載置面3000と同一の高さに設定されている。枠体301の直径は、例えば、保持するウェーハ80よりも大径に設定されている。
ステージ30は、押し広げ手段4を構成する下ベース40によって下側から支持されている。下ベース40は、例えば、平面視略正三角状に形成されており、下ベース40の上面にガラス板300を支持した枠体301が固定されている。
図2に示すように、例えば、下ベース40によって支持されたステージ30のガラス板300と下ベース40との間には円柱状の空間が設けられており、該空間内に硬化手段402が配設されている。そして、硬化手段402は例えば紫外線照射ランプであり、硬化手段402から上方に向かって照射されガラス板300やシート82を透過した紫外線によって、ステージ30の載置面3000に載置されたシート82上に溜められ上からウェーハ80によって押圧されウェーハ80の下面800全面に広げられた液状樹脂188が硬化される。
図1に示す液状樹脂供給手段18は、樹脂供給ノズル180と、樹脂供給ノズル180に所定量の液状樹脂188を送出する図示しないディスペンサと、可撓性を備える樹脂チューブ等を介して図示しないディスペンサに連通する樹脂供給源189とを備えている。
例えば側面視逆L字状の樹脂供給ノズル180は、ステージ30の載置面3000に向く供給口1800を有している。樹脂供給ノズル180は、軸方向がZ軸方向である回転軸回りに旋回可能となっており、ステージ30の上方から退避位置まで供給口1800を移動することができる。
樹脂供給源189が供給する液状樹脂188は、本実施形態においては紫外線が照射されることで硬化する紫外線硬化樹脂であるが、熱が加えられることで硬化する熱硬化樹脂であってもよい。この場合には、図2に示す硬化手段402は、ヒーターであってもよい。
図1、2に示す保持部60は、本実施形態においては、例えば、平面視円形のホイール600と、ポーラス部材等からなりホイール600によって支持されウェーハ80を吸引保持する図示しないポーラス板とを備えている。円形板状の図示しないポーラス板は、例えば、ホイール600の下面側に嵌め込まれており、真空発生装置等の吸引源に連通している。そして、吸引源が吸引することで生み出された吸引力が、保持部60の下面であり水平面(X軸Y軸平面)に平行な平坦な保持面601に伝達されることで、保持面601でウェーハ80を吸引保持することができる。
ウェーハ80に保護部材を形成しておらず保持部60が傾いていない状態においては、水平面に平行な保持面601とステージ30の載置面3000とは平行となっている。
保持部60のホイール600の上面には、図2に示すように、例えば、保持したウェーハ80をステージ30上にシート82を介して溜められた液状樹脂188に+Z方向側から押し付けた際に、ステージ30からウェーハ80に加わる荷重を測定する荷重センサ61が複数配設されている。荷重センサ61は、例えば、ホイール600の上面にホイール600の周方向に120度間隔を空けて、3つ配設されている。そして、本実施形態において、3つの荷重センサ61は、それぞれ、ホイール600と後述する保持部連結具66とにより上下から挟まれ、ステージ30からウェーハ80に加わる+Z方向の向きの荷重が作用する作用点部となるように配設されている。荷重センサ61は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電素子を用いたキスラー社製の薄型力センサ等で構成されている。
図1、2に示す押し広げ手段4は、ステージ30を下から支持する下ベース40と、保持部60を支持する支持ベース42と、支持ベース42を下ベース40とによって挟むように下ベース40に対向して配置する上ベース44と、下ベース40と上ベース44との間で支持ベース42のステージ30に対する垂直方向(Z軸方向)の移動をガイドするためのガイドレール49と、保持部60の重心を中心として水平面方向(X軸Y軸平面方向)に形成した仮想的な三角形(本実施形態においては、正三角形)の各頂点に配置し支持ベース42を上方向に付勢するカウンタバランス46と、保持部60の重心上でZ軸方向に延在する軸で回転可能なボールネジ47(図2のみ図示)と、ボールネジ47を回転させるモータ48と、を備えている。
保持部60を支持する支持ベース42は、例えば、図1、図3に示すように外形が平面視略正三角形状に形成されており、また、図2に示すように保持部60を円板状の保持部連結具66及び図示しない固定ボルト等を介して、その下面の中央領域において支持している。
例えば、図1に示すように、上下方向に移動可能な支持ベース42には、各頂点側の領域にカウンタバランス46がそれぞれ連結されている。カウンタバランス46は、押し広げ手段4に保持部60及び支持ベース42の自重による大きな負荷が掛かるため、その負荷を軽減相殺するための機構である。
カウンタバランス46について具体的に説明する。カウンタバランス46は、例えば、図1、2に示すようにエアシリンダで構成され、円筒状のシリンダ460と、シリンダ460内部に配設され該内部を垂直方向(Z軸方向)に移動可能な図2に示すピストン462と、シリンダ460に挿入され上端がピストン462に連結されたロッド464とを備える。
図2に示すように各ロッド464の下端側には、持ち上げブロック467が形成されており、図1に示す支持ベース42から下方に突き出た持ち上げブロック467の上面に支持ベース42の下面が当接し、持ち上げブロック467によって該下面が持ち上げられるように支持される。
また、シリンダ460の上端側は、上ベース44に連結されている。シリンダ460の側壁の下部側又は底板には、エア導入口461が貫通形成されており、各エア導入口461は、コンプレッサー等からなるエア源15が各エア配管466を介して連通している。そして、シリンダ460内にエア導入口461を通してエア源15が供給するエアの圧力を調整することで、カウンタバランス46による支持ベース42及び保持部60を持ち上げる力を調整することが可能となる。
図2に示すシリンダ460にエアを導入することによってピストン462を上方向に移動させるエア導入口461をエア源15と連通させる各エア配管466には、それぞれ電動レギュレータ469が配設されている。各電動レギュレータ469は、制御手段9から供給される電力に比例して、各シリンダ460に供給するエアの圧力を無段階に調整することができる。なお、図1においては、電動レギュレータ469を簡略化して示している。
支持ベース42の上方には、上ベース44が支持ベース42を下ベース40とで上下方向から挟むように配置されている。上ベース44の外形は、例えば、支持ベース42と平面視相似形の略正三角形状に形成されており、各カウンタバランス46を3つの頂点側の各領域で支持している。
図1、2に示すように、上ベース44の中心にはボールネジ挿通孔440がZ軸方向に貫通形成されており、該ボールネジ挿通孔440には軸中心が保持部60の重心を通る、即ち、保持部60の水平面内における中心を通る軸心を備えZ軸方向に延在するボールネジ47が挿通されている。ボールネジ47の上端側はカップリング480及び図示しない軸受け等を介してモータ48が連結しており、ボールネジ47が回転可能となっている。
例えば、図2に示すように、支持ベース42の上面から内部にかけてはボールネジ47が入り込むことが可能な進入口が形成されており、また、支持ベース42の上面には内部が空洞でありその上端側に備えるボールナット420がボールネジ47に螺合するボールネジ連結具421が配設されている。そして、ボールネジ連結具421の下端側は支持ベース42の上面に連結されている。
下ベース40と上ベース44との間で支持ベース42のステージ30に対する垂直方向(Z軸方向)の移動をガイドするための図1、2に示すガイドレール49は、本実施形態においては、保持部60の重心を中心として水平方向に形成した仮想的な正三角形の各頂点となる位置に1本ずつ、計3本配設されているが、計2本であってもよい。
ガイドレール49の上端は、ガイドレール固定ナット490によって上ベース44に固定されている。各ガイドレール49は支持ベース42の各頂点側に設けられた挿通孔を通り、その下端がガイドレール固定ナット405によって下ベース40に固定されている。
図1、2に示すように、保護部材形成装置1は、保持部60の重心を中心として水平方向に形成した仮想的な例えば正三角形の各頂点に配置されステージ30の上面、即ち載置面3000と保持部60の保持面601とのZ軸方向における距離を測定する3つスケール、即ち、第1のスケール171(図1のみ図示)、第2のスケール172、及び第3のスケール173(図2のみ図示)を備えている。
第1のスケール171~第3のスケール173の構造は同様となっており、本実施形態においては、第1のスケール171~第3のスケール173は、投光部と受光部とが例えば支持ベース42の下面に並べて配設された反射型光電センサである。そして、第1のスケール171の投光部が、例えば載置面3000と面一の枠体301の上面に対して測定光175を照射する。そして、枠体301の上面で反射した反射光を受光部が受けた際の光路差から、例えば三角測量の原理等によって枠体301の上面と支持ベース42の下面との距離が測定され、測定値が制御手段9に電気信号として送られる。制御手段9は、予め支持ベース42の下面と保持部60の保持面601との装置構成における高さの差を把握しているため、制御手段9は、保持部60が下降することに伴って変化するステージ30の載置面3000と保持部60の保持面601との距離を認識できる。
なお、保持部60の保持面601と支持ベース42の下面とが面一になっていてもよい。また、第1のスケール171~第3のスケール173は、投光部と受光部とがステージ30の枠体301の上面に並べて配設されており支持ベース42の下面に測定光を照射する構成となっていてもよいし、投光部と受光部とがZ軸方向において上下で対向する光測長センサであってもよいし、静電容量変位センサ、超音波変位センサ等であってもよい。また、ガイドレール49に並行にZ軸方向に延在するメモリを備えた尺と、尺の目盛を読む読取り部を支持ベース42に配置するという構成で支持ベース42の高さを測定してもよい。
制御手段9は、各種の制御プログラムに従って演算処理するCPU及びメモリ等の記憶媒体等を備えており、有線又は無線の通信経路を介して、第1のスケール171~第3のスケール173からそれぞれの測定情報を受け取る。また、制御手段9は、配線を介して各電動レギュレータ469に接続されており、各カウンタバランス46のシリンダ460内、及びエア配管466内の所望の圧力値を算出し、算出したエアの圧力値についての情報を電力量に換算して、それぞれの電動レギュレータ469に対して所定の電力を供給することで、各カウンタバランス46による支持ベース42を上方向に付勢する力(持ち上げる力)を制御する。
以下に、上述した保護部材形成装置1を用いて図1に示すウェーハ80に保護部材を形成する場合の、保護部材形成装置1の動作について説明する。
まず、保持部60が、保持面601の中心とウェーハ80の中心とが略合致するように、ウェーハ80の上面を吸引保持する。
保持部60によるウェーハ80の吸引保持と並行して、ステージ30の載置面3000にシート82が載置される。さらに、図1に示す液状樹脂供給手段18の樹脂供給ノズル180が旋回移動し、供給口1800が載置面3000上のシート82の中央領域上方に位置付けられる。続いて、図示しないディスペンサが、樹脂供給ノズル180に基準温度に温度管理されている液状樹脂188を送り出して、供給口1800からステージ30に吸引保持されているシート82に向けて液状樹脂188を滴下する。そして、所定量の液状樹脂188がシート82上に堆積したら、液状樹脂供給手段18によるシート82への液状樹脂188の供給が停止され、樹脂供給ノズル180が旋回移動して載置面3000上から退避する。
次に、図1、2に示すモータ48がボールネジ47を所定の回転速度で回動させると、ボールネジ47の回転運動がボールネジ47に螺合するボールナット420を備えるボールネジ連結具421のZ軸方向における直線運動に変換される。これに伴いボールネジ連結具421に接続された支持ベース42及びウェーハ80を保持する保持部60が、3本のガイドレール49にガイドされてZ軸方向に下降していく。
支持ベース42及び保持部60の下降が開始されるのと並行して、カウンタバランス46によって、支持ベース42を+Z方向に付勢する力(持ち上げる力)が加えられる。すなわち、図1,2に示すエア源15からエアが送出され、送出されたエアがエア配管466を通り電動レギュレータ469に到達する。エアが到達した電動レギュレータ469に対して、制御手段9から電力が供給され、電動レギュレータ469は、供給された電力量に基づいてエア源15から送られてきたエアの供給圧を調整し、例えば、支持ベース42及び保持部60の自重を相殺することができる程度の力を生み出すことを可能とするエア圧を、シリンダ460内にエア導入口461を通して供給する。ピストン462はシリンダ460内に供給されるエアの圧力を下面に受けることによってピストン462の下面の面積をエアの圧力で+Z方向に上昇しようとするため、支持ベース42に対して、支持ベース42を+Z方向に持ち上げようとする所定の力が加えられる。
この状態で、支持ベース42及び保持部60が降下していき、そして、保持部60に吸引保持されたウェーハ80の下面800が、例えばシート82の中央で水滴上に溜められていた液状樹脂188に接触する。さらに保持部60が下降すると、ウェーハ80の下面800によって下方に押圧された液状樹脂188は、ウェーハ80の径方向に押し広げられる。その結果、ウェーハ80の下面800に図4に示す液状樹脂188の膜が形成される。
例えば、ウェーハ80の下面800が液状樹脂188に接触し始める少し前の段階からと、図2に示す第1のスケール171~第3のスケール173が先に説明した通りの測定方法によって、保持部60の重心を中心として水平方向に形成した仮想的な正三角形の各頂点となる各測定点において、ステージ30の上面である載置面3000と保持部60の保持面601との距離を測定し始め、測定情報を制御手段9に逐次送信する。この段階においては、保持部60にはステージ30からの荷重が掛かっていないため、第1のスケール171、第2のスケール172、及び第3のスケール173による測定距離は同値となる。
つまり、保護部材形成装置1は、予め上記のような保護部材の形成を開始する前の装置のセットアップにおいて、載置面3000に保持面601を接触させた際に、第1のスケール171、第2のスケール172、及び第3のスケール173の値を同値とする。その後、保持面601を載置面3000から離間させている。
ウェーハ80の下面800が液状樹脂188を押し始めると、ステージ30からの荷重が保持部60に掛かってくる。ここで、液状樹脂188のウェーハ80の下面800における径方向への広がり速度や量の偏り等を要因として、該荷重が保持部60に対して均一に掛からず、該荷重によって保持部60を傾かせないようにする必要がある。
例えば、図4に示すように、保持部60に保持されたウェーハ80の下面800に液状樹脂188が押し広げられている際に、制御手段9に送られてくる第3のスケール173の測定値が、第1のスケール171(図1参照)及び第2のスケール172の測定値よりも小さな値になった場合を考える。この場合には、保持部60及び支持ベース42が、図4に示す第3のスケール173側部分(図1においては、紙面奥側部分)が低くなるように傾きかけているため、制御手段9は、例えば、図4に示す+X方向側の電動レギュレータ469、即ち、第3のスケール173側のカウンタバランス46に対応する電動レギュレータ469に供給する電力を徐々に増加させる制御を行い、第3のスケール173側のカウンタバランス46を構成するシリンダ460内のピストン462よりも下方側の空間の圧力値、及び対応するエア配管466内の圧力値を増加させる調整を行う。
つまり、シリンダ460内のピストン462よりも上方側の空間は大気開放させておくとよい。
これによって、第3のスケール173側のカウンタバランス46の支持ベース42を上方向に付勢する力が増加して、保持部60が傾むかずに、保持面601が水平方向に平行な面を維持し、第1のスケール171、第2のスケール172、及び第3のスケール173による測定距離が再び同じ値となる。例えば、第1のスケール171、第2のスケール172、及び第3のスケール173による測定距離が再び同じ値なると、制御手段9による第3のスケール173側のカウンタバランス46に対応する電動レギュレータ469に供給する電力を徐々に増加させる制御が停止される。
上記のような制御手段9による第1のスケール171、第2のスケール172、及び第3のスケール173の測定値が一致するように、保持部60の重心を中心として水平方向に形成した正三角形の各頂点にそれぞれ配置した各カウンタバランス46による支持ベース42を上方向に付勢する力の制御が実施され、保持部60が所定の高さ位置まで降下し液状樹脂188を押し広げた際に保持面601を載置面3000に平行にすることで、ウェーハ80の下面800全面に液状樹脂188の膜が形成される。該液状樹脂188の膜は、上記制御手段9による制御の下で、保持部60が荷重(ステージ30側からの反力)を受けても保持部60の傾きが変わることが無いように保持部60の傾き補正がなされ保持面601が水平方向に平行な面となった状態で形成されているため、均一な厚みとなっている。
なお、例えば、ウェーハ80の下面800にうねりや反りがある場合であっても、形成された膜によって該うねりや反りが吸収され、保護部材が形成されたウェーハ80は平坦な露出面(上面)を備えるため、後にウェーハ80が研削装置のチャックテーブルに搬送された場合等においても、ウェーハ80の被研削面である上面を研削砥石の下面に対して平行な状態にすることが可能となる。
次いで、図4に示すように、硬化手段402が、液状樹脂188の均一な厚みの膜に向けて外的刺激となる紫外線を照射する。その結果、液状樹脂188の膜は、硬化するとともに均一な厚みの保護部材としてウェーハ80の下面800に形成される。
なお、本発明に係る保護部材形成装置は本実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
80:ウェーハ 800:ウェーハの下面 82:シート
1:保護部材形成装置
18:液状樹脂供給手段 180:樹脂供給ノズル 189:樹脂供給源 188:液状樹脂
30:ステージ 300:ガラス板 3000:載置面 301:枠体
60:保持部 600:ホイール 601:保持面
61:荷重センサ 66:保持部連結具
4:押し広げ手段
40:下ベース 402:硬化手段
42:支持ベース 420:ボールナット 421:ボールネジ連結具
44:上ベース 440:ボールネジ挿通孔
46:カウンタバランス 460:シリンダ 462:ピストン 464:ロッド 467:持ち上げブロック 461:エア導入口 466:エア配管 469:電動レギュレータ 15:エア源
47:ボールネジ 48:モータ 480:カップリング
49:ガイドレール
171~173:第1のスケール~第3のスケール
9:制御手段 15:エア源

Claims (2)

  1. シートを載置する載置面を有するステージと、該ステージに載置した該シートの上に所定量の液状樹脂を供給する液状樹脂供給手段と、該載置面に対面しウェーハを保持する保持面を有する保持部と、該ステージと該保持部とを相対的に該載置面に垂直な方向に移動させ該液状樹脂を押し広げる押し広げ手段と、該載置面と該保持面とに挟まれ該ウェーハの下面に押し広げられた該液状樹脂に外的刺激を与えて硬化させる硬化手段と、制御手段と、を備える保護部材形成装置であって、
    該押し広げ手段は、
    該ステージを下から支持する下ベースと、該保持部を支持する支持ベースと、該支持ベースを該下ベースとによって挟むように該下ベースに対向して配置する上ベースと、該下ベースと該上ベースとの間で該支持ベースの該ステージに対する垂直方向の移動をガイドするためのガイドレールと、該保持部の重心を中心として水平方向に形成した三角形の各頂点にそれぞれ配置し該支持ベースを上方向に付勢するカウンタバランスと、該保持部の重心上で該垂直方向に延在する軸で回転可能なボールネジと、該ボールネジを回転させるモータと、を備え、
    該保持部の重心を中心として水平方向に形成した該三角形の各頂点に配置され該ステージの該載置面と該保持部の該保持面との距離を測定する3つのスケールを備え、
    該制御手段は、3つの該スケールの測定値が一致するように、各々の該カウンタバランスによる該支持ベースを上方向に付勢する力を制御する保護部材形成装置。
  2. 前記カウンタバランスは、
    シリンダと、該シリンダ内で前記垂直方向に移動可能なピストンと、該ピストンに連結したロッドと、該シリンダにエアを導入させ該ピストンを上方向に移動させるためのエア導入口と、該エア導入口とエア源とを連通させるエア配管と、該エア配管に配設する電動レギュレータと、を備え、
    前記制御手段は、該電動レギュレータに供給する電力を制御し該シリンダ内、及び該エア配管内の圧力を調整する請求項1記載の保護部材形成装置。
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