[第1実施例]
図1はこの発明の情報処理システム(ファクシミリシステム)10の構成の一例を示す図である。図1を参照して、この発明の第1実施例である情報処理システム10はサーバ12を含み、このサーバ12は、インターネットおよびLANなどのデータ通信用のネットワーク16を介して、複数の画像形成装置(ファクシミリ装置に相当)14と通信可能に接続される。また、複数の画像形成装置14は、PSTN(Public Switched Telephone Networks;公衆交換電話網)およびIP網などのファクシミリ用の通信回線網(FAX通信回線網)18を介して、互いに通信可能に接続される。
図2はFAX通信回線網18の一例を説明するための図解図である。図2に示すように、FAX通信回線網18は、複数の基地局18aを含み、或る画像形成装置14が他の画像形成装置14とファクシミリ通信を行う際の通信経路は、複数の基地局18aを経由する。
図1に戻って、サーバ12は、汎用のサーバであり、CPU12a、RAM12bおよび通信モジュールなどのコンポーネントを備える。また、サーバ12は、HDD、SSD、フラッシュメモリ、EEPROMなどの不揮発性メモリで構成される記憶部を備える。
画像形成装置14は、複写機能、プリンタ機能、スキャナ機能、ファクシミリ(FAX)機能、インターネットFAX(I-FAX)機能および電子メール機能などを備えるMFP(Multifunction Peripheral)である。なお、この発明の画像形成装置14は、上述した複数の機能のうち、少なくともファクシミリ機能またはI-FAX機能を備えていれば良く、複合機だけでなく、ファクシミリ装置(FAX装置)にも適用可能である。
図3は図1に示す画像形成装置14の電気的な構成を示すブロック図である。図3を参照して、画像形成装置14はCPU142を含む。CPU142には、バス140を介して、RAM144、補助記憶部146、画像読取部148、画像処理部150、画像形成部152、表示装置154、操作部156、符号化復号部158、FAX通信部160、時計部162および通信回路164が接続される。
CPU142は、画像形成装置14の全体的な制御を司る。RAM144は、画像形成装置14の主記憶装置であり、CPU142のワーク領域およびバッファ領域として用いられる。
補助記憶部146は、たとえばHDDであり、画像形成装置14の補助記憶装置である。補助記憶部146は、CPU142が画像形成装置14の各部位の動作を制御するための制御プログラム、画像読取部148が読み取った読取画像データまたはファクシミリ通信により受信したFAX受信画像データ等の各種データなどを記憶する。ただし、補助記憶部146としては、HDDに代えて、またはHDDとともに、SSD、フラッシュメモリ、EEPROMなどの他の不揮発性メモリが用いられてもよい。
画像読取部148は、光源、複数のミラー、結像レンズおよびラインセンサ等を備える。この画像読取部148は、原稿表面を光源によって露光し、原稿表面から反射した反射光を複数のミラーによって結像レンズに導く。そして、結像レンズによって反射光をラインセンサの受光素子に結像させる。ラインセンサでは、受光素子に結像した反射光の輝度や色度が検出され、原稿表面の画像に基づく読取画像データが生成される。
画像処理部150は、画像読取部148で読み取った読取画像データからファクシミリ送信用の画像(FAX送信画像)のデータ(FAX送信画像データ)を生成する。また、画像処理部150は、ファクシミリ通信により受信した符号化されたデータを符号化復号部158で復号した画像データ(FAX受信画像データ)から画像形成部152で印刷するための印刷データを生成する。
画像形成部152は、汎用のレーザプリンタであり、感光体、帯電器、露光装置、現像装置、転写装置、定着装置などを備え、画像処理部150で処理された印刷データに対応する画像を記録紙(用紙)などに印刷する。たとえば、上記の印刷データは、ファクシミリ通信により受信した受信画像データに応じた印刷データである。ただし、画像形成部152(印刷装置)は、レーザプリンタに限定されず、インクジェットプリンタで構成されてもよい。
表示装置154は、液晶ディスプレイなどの汎用のモニタである。表示装置154としては、たとえばLCDやEL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどを用いることができる。表示装置154は、CPU142の指示の下、図示しない表示制御回路によって制御され、文字及び画像等を表示する。表示装置154には、たとえば画像形成装置14を操作するための操作画面、画像形成装置14のステータス(動作状態)および各種のメッセージなどが表示される。
操作部156は、ハードウェアキーおよびタッチパネルなどを含む。ハードウェアキーには、スタートキー、テンキーおよび各種のファンクションキーなどが含まれる。タッチパネルは、表示装置154上に設けられたり、表示装置154と一体的に設けられたりする。また、タッチパネルは、静電容量方式、電磁誘導方式、抵抗膜方式、赤外線方式など、任意の方式のものを用いることができる。タッチパネルが設けられる場合には、表示装置154には、画像形成装置14を操作するためのソフトウェアキーが表示される。ただし、タッチパネルは設けられなくてもよい。
なお、ソフトウェアキーとは、たとえばタッチパネル付きのディスプレイの表示面上にソフトウェア的に再現されたキーのことを言う。これに対して、ハードウェアキーとは、物理的な装置として設けられたキー(ボタン)のことを言う。
図示は省略するが、操作部156は、I/Fを介してCPU142に接続される。I/Fは、操作部156に含まれる各種の操作ボタンの操作入力に応じた操作データをCPU142に出力する。図示は省略するが、タッチパネルが設けられる場合には、I/Fは、タッチパネル制御回路を含む。タッチパネル制御回路は、そのタッチパネルに必要な電圧などを付与するとともに、タッチパネルのタッチ有効範囲内でのタッチ操作(タッチ入力)を検出して、そのタッチ入力の位置を示すタッチ座標データをCPU142に出力する。
画像形成装置14のユーザは、操作部156の各種キーを操作することによって、ファクシミリ通信の送信先の入力、原稿の読み取り時の解像度の設定および通信結果の確認等の種々の操作を行うことができる。
符号化復号部158は、画像処理部150で生成されたFAX送信画像データに対して予め定められた形式の符号化を行う。符号化されたデータは、補助記憶部146に一時的に記憶され、CPU142の指示の下、ファクシミリ通信により他の画像形成装置(ファクシミリ装置)に送信される。また、符号化復号部158は、ファクシミリ通信により他のファクシミリ装置から送信されたデータを復号して元の形式に戻す処理を行う。上述したように、復号された画像データは、画像処理部150によって処理され、印刷データが生成される。
FAX通信部160は、ファクシミリモデム160aおよび網制御部(NCU)160bを含む。ファクシミリモデム160aは、ファクシミリ通信の規格に基づいて、符号化されたFAX送信画像データをFAX通信回線網18での伝達に適した形式のアナログ信号に変調すると共に、他のファクシミリ装置からのアナログ信号を復調してFAX受信画像データを取得する。網制御部160bは、電話回線および回線交換機等を介して、FAX通信回線網18に接続される。網制御部160bは、ファクシミリモデム160aをFAX通信回線網18に接続するために設けられ、FAX通信回線網18の閉結及び開放の回線制御を行う。また網制御部160bは、予め定められたファクシミリ通信のプロトコルに従って、画像データ及び制御信号等の送受信を行うと共に、ファクシミリ通信の自動発呼処理及び自動着呼処理を行う。
時計部162は、内蔵電池により動作するクロックジェネレータ等を備えたリアルタイムクロック(RTC)である。RTCは、時間(西暦、月日および時刻(時分秒)を含む)をカウントする時計回路である。時計部162は、CPU142の指示の下、カウントした時間(現在時刻)のデータをCPU142に出力する。また、時計部162は、CPU142の指示に応じて、現在時刻のデータとは別に、計時した時間(経過時間)のデータをCPU142に出力する。CPU142は、時計部162における計時の開始および停止、並びに計時した時間のリセット等を制御する。
通信回路164は、ネットワーク16(インターネットまたはLAN)に接続するための通信回路である。この通信回路164は、有線通信回路または無線通信回路であり、CPU142からの指示に従って、ネットワーク16を介して、サーバ12および他の画像形成装置(ファクシミリ装置)等の外部コンピュータと通信する。また、通信回路164は、ネットワーク経由による電子メールデータの送受信およびI-FAXの送受信等を行うための通信回路でもある。
なお、図3に示す画像形成装置14の電気的な構成は単なる一例であり、これに限定される必要はない。
このように構成した情報処理システムでは、ファクシミリ通信が実行される度に、発呼側の画像形成装置(発呼側装置)と相手側(被呼側)の画像形成装置(被呼側装置)との通信経路の状態(以下、「通信状態」という。)に応じて最適な通信条件を設定するための通信条件設定処理が実行される。図4~図7は、通信条件設定処理を含むファクシミリ通信処理の例を示すシーケンス図である。
まず、G3ファクシミリ通信におけるファクシミリ通信処理の例を説明する、図4は発呼側装置と被呼側装置との間におけるファクシミリ通信処理の一例を示すシーケンス図である。
図4に示すように、ファクシミリ通信が実行(開始)されると、発呼側装置はCNG(Calling)信号を被呼側装置に送出し、CNG信号によって呼び出された被呼側装置は、被呼局識別信号CED(Called Station Identification signal)を発呼側装置に送出する。続いて、被呼側装置は、自装置の製造メーカ情報等を含む非標準機能信号NSF(Non-Standard Facilities signal)と、自装置の電話番号等を含む被呼装置識別信号CSI(Called Subscriber Identification signal)と、伝送速度や最大受信幅などの自装置の性能情報等を含むデジタル識別信号DIS(Digital Identification Signal)とを発呼側装置に送出することによって、自装置の機能(能力範囲)を発呼側装置へ知らせる。
次に、発呼側装置は、これらの信号に応答して、自装置の電話番号等を含む送信装置識別信号TSI(Transmitting Subscriber Identification signal)と、自装置の製造メーカ情報等を含む非標準手順信号NSS(Non-Standard facilities Set-up)と、伝送速度や最大受信幅などの自装置の性能情報等を含むデジタル命令信号DCS(Digital Command Signal)とを被呼側装置に送出することによって、自装置の機能を被呼側装置へ知らせる。
なお、被呼側装置から発呼側装置に、非標準機能信号NSF、被呼装置識別信号CSIおよびデジタル識別信号DIS等が送出され、発呼側装置がこれに応答して発呼側装置に、送信装置識別信号TSI、非標準手順信号NSSおよびデジタル命令信号DCS等が送出されるやり取りのことを能力交換処理ということがある。なお、能力交換処理では、NSF・CSI・TSI・NSS信号が送出されない(省略される)場合もある。
さらに、発呼側装置は、トレーニングチェック信号TCF(Training Check signal)を被呼側装置に送出する。トレーニングチェック信号TCFとは、上記能力交換処理で決定した最大の伝送速度および最大受信幅等を含む通信条件で通信可能かどうかを確認するため、発呼側装置が被呼側装置に送るトレーニング信号のことである。
続いて、被呼側装置は、発呼側装置から送信されたトレーニングチェック信号TCFを受信すると、トレーニングチェック信号TCFに係る通信条件で通信可能である場合に、受信準備確認信号CFR(Confirmation to Receive signal)を発呼側装置に送出する。
続いて、発呼側装置は、被呼側装置から受信準備確認信号CFRを受信後、被呼側装置に対して、画像データ(PIX)を1ページ分ずつ送信する。
また、発呼側装置は、規定単位量の画像データの送信のたびに、部分ページ信号PPS(Partial page signal)を被呼側装置に送出する。被呼側装置は、受信した画像データPIXに欠損があれば、部分ページ要求PPR(Partial page request)を発呼側装置に送出する。部分ページ要求PPRが被呼側装置から送出された場合、画像データPIXの欠損のあった箇所の情報が発呼側装置に伝えられ、発呼側装置は、画像データPIXの欠損のあった部分を被呼側装置に再び送信する。
なお、部分ページ信号PPSとしては、PPS-EOM(Partial page signal-End of message)、PPS-EOP(Partial page signal-End of procedure)、PPS-MPS(Partial page signal-Multipage signal)、PPS-NULL(Partial page signal-null)などがある。
画像データPIXの送信にあたり、発呼側装置が送信しようとしている画像データPIXの残量が規定単位量を超えている場合は、PPS-EOM、PPS-MPS、PPS-NULLなどが用いられる。一方、画像データPIXの残量が規定単位量以内の場合、最後の画像であるということを示すPPS-EOPが用いられる。
被呼側装置は、受信した画像データPIXの欠損が埋められ、規定単位量の画像データが揃った場合には、メッセージ確認信号MCF(Message Confirmation signal)を発呼側装置に送出して、次の規定単位量の画像データが上記手順で発呼側装置から送信されて被呼側装置に受信される。
全ページ分のデータの送信終了後、手順終了信号PPS-EOPが発呼側装置から送出されて被呼側装置に受信されることによって、全ページ分の画像のデータを受信したことを被呼側装置が確認すれば、メッセージ確認信号MCFが被呼側装置から発呼側装置に返信される。
最後に、切断命令信号DCN(Disconnect signal)が発呼側装置から送信されて被呼側装置で受信されると、ファクシミリ通信が終了する。
以上がファクシミリ通信の標準的な手順であるが、発呼側装置から過去に通信したことが無い被呼側装置(未知のファクシミリ装置)との通信を実行する際には、発呼側装置と被呼側装置との間の通信状態が未知であるため、上記手順において、最適な通信速度を設定するために、トレーニングチェック信号TCFの送出および能力交換処理が繰り返し(複数回)実行されることがある(いわゆるフォールバック)。
図5に示すように、発呼側装置から過去に通信したことが無い被呼側装置との通信を実行する際には、発呼側装置は、自装置の性能情報と、最初(1回目)の能力交換処理で取得した被呼側装置の性能情報とに応じて、所定の通信開始条件に応じた最初(1回目)のトレーニングチェック信号TCFを被呼側装置に送出する。ただし、通信開始条件は、通信速度については、自装置および被呼側装置の能力範囲における最高通信速度に設定されている。被呼側装置は、トレーニングチェック信号TCFを受信する際に、発呼側装置と被呼側装置との間の通信状態に応じて、当該トレーニングチェック信号TCFに係る通信条件が適切か(通信条件で通信可能か)どうかを判断する。具体的には、被呼側装置は、通信経路の通信状態に対して、トレーニングチェック信号TCFに係る通信速度が適切かどうかを判断する。
被呼側装置は、通信速度が大きすぎる等の理由によって、トレーニングチェック信号TCFに係る通信速度が不適切である(通信不可能である)場合には、受信準備確認信号CFRではなく、トレーニングチェック信号TCFの受信状態に応じたデジタル識別信号DIS等を発呼側装置に送出する。発呼側装置は、これに応答し、デジタル命令信号DCS等を被呼側装置に送出する。この再度の能力交換処理の後、発呼側装置は、通信速度が低速化された2回目のトレーニングチェック信号TCFを被呼側装置に送出する。このような処理が繰り返し実施され、適切な通信速度(通信条件)が設定される。
従来の情報処理システムでは、上述したような通信速度を設定するための処理を実行するにあたり、トレーニングチェック信号TCFの送出および能力交換処理が繰り返し行われ、通信時間および通信費用を浪費していた。
また、通信速度を設定するための処理で設定された通信速度(通信条件)が不適切である場合もあり、この場合、被呼側装置における画像データPIXの受信時に画像データの欠損が発生し易くなり、部分ページ要求PPRの送出およびこれに伴う画像データPIXの再送が生じることがある。画像データPIXの再送が生じると、通信時間および通信費用をさらに浪費することになる。
このような問題を解決するために、相手(ダイヤル番号)毎に過去の履歴によって導かれ、適当と考えられる通信速度を記憶しておき、過去に通信したことがあるファクシミリ装置との通信を実行する際に、そのファクシミリ装置に対して適当と考えられる通信速度から、通信条件設定処理を開始する従来技術がある。
しかしながら、従来技術のファクシミリ装置では、過去に通信したことが無いファクシミリ装置との通信を実行する際には、従来と同じように通信条件設定処理を実行する必要があり、通信時間および通信費用を浪費するという問題が依然としてある。
そこで、この第1実施例の情報処理システム10では、或る画像形成装置14(自装置)が過去に通信したことが無い画像形成装置14(未知の相手装置)との通信を実行する際に、自装置に蓄積された情報およびサーバ12に蓄積された情報に基づいて自装置から未知の相手装置に至る通信経路(自装置と未知の相手装置との間)の通信状態を推定し、推定した通信状態に基づいて通信開始条件(1回目のトレーニングチェック信号TCFに係る通信条件)を設定するようにした。
以下、図6および図7等を参照して情報処理システム10の動作例を説明する。本実施例の情報処理システム10では、各画像形成装置14のそれぞれには、自装置とFAX通信回線網18との間の通信経路の通信状態に係る通信情報(第1通信情報に相当)が記憶されている。また、各画像形成装置14とFAX通信回線網18との間の通信経路の通信状態に係る通信情報が予めサーバ12に登録されている。ただし、通信状態に係る通信情報には、典型的には各画像形成装置14とFAX通信回線網18との間の通信速度が含まれる。
まず、図6を参照して、或る画像形成装置14において自装置とFAX通信回線網18との間の通信経路の通信状態に係る通信情報が既知である場合の動作例を説明する。図6には、画像形成装置14aが発呼側装置であり、画像形成装置14bが被呼側装置である場合を示している。ただし、画像形成装置14aと画像形成装置14bとは過去に通信したことが無いものとする。
この場合、まず、発呼側装置である画像形成装置14aは、自身に記憶されている、自装置とFAX通信回線網18との間の通信速度(1)を取得する。図6に示す例では、画像形成装置14aとFAX通信回線網18との間の通信速度は33.6kbpsである。
また、画像形成装置14aは、FAX通信回線網18内の通信情報を取得する。本実施例では、FAX通信回線網18内の通信情報とは、FAX通信回線網18内の通信速度(2)をいう。つまり、FAX通信回線網18内の通信速度とは、基地局18aと基地局18aとの間(基地局18a同士)の通信速度のことである。なお、近年では、FAX通信回線網18はデジタル化が図られており、どの局間であっても通信状態が略均一かつ安定している。このため、FAX通信回線網18内に限れば、どのような通信経路であっても略均一な通信速度となる。図6に示す例では、FAX通信回線網18内の通信速度は33.6kbpsである。なお、FAX通信回線網18内の通信情報については、サーバ12に記憶しておき、発呼側装置となる画像形成装置14がサーバ12から取得するようにしてもよいし、各画像形成装置14のそれぞれに記憶されていてもよい。
さらに、画像形成装置14aは、サーバ12の記憶部にネットワーク16を介してアクセスして、被呼側装置である画像形成装置14bとFAX通信回線網18との間の通信速度(第2通信情報に相当)(3)を取得する。図6に示す例では、画像形成装置14bとFAX通信回線網18との間の通信速度は14.4kbpsである。
そして、発呼側の画像形成装置14aは、自装置とFAX通信回線網18との間の通信速度(1)、FAX通信回線網18内の通信速度(2)および被呼側の画像形成装置14bとFAX通信回線網18との間の通信速度(3)を取得すると、(1)~(3)の通信速度に応じて、自装置から画像形成装置14bとの間の通信状態(最適な通信速度)を推定する。図6に示す例では、画像形成装置14aとFAX通信回線網18との間の通信速度(1)およびFAX通信回線網18内の通信速度(2)は、33.6kbpsであるが、画像形成装置14bとFAX通信回線網18との間の通信速度(3)は、14.4kbpsである。このため、画像形成装置14bとFAX通信回線網18との間がボトルネックとなることが予測される。したがって、画像形成装置14aは、最も通信速度が低い区間の通信速度に合わせて、通信開始条件(通信開始速度)を設定する。図6に示す例では、通信開始速度(1回目のトレーニングチェック信号TCFに係る通信速度)は14.4kbpsに設定される。
次に、図7を参照して、或る画像形成装置14において自装置とFAX通信回線網18との間の通信経路の通信状態に係る通信情報が未知である場合の動作例を説明する。なお、自装置とFAX通信回線網18との間の通信経路の通信状態に係る通信情報が未知である場合とは、たとえば、初めてFAX通信回線網18に接続される場合などである。
図7に示す例では、画像形成装置14aとFAX通信回線網18との間の通信速度(1)は未知であり、FAX通信回線網18内の通信速度(2)は既知であり、画像形成装置14bとFAX通信回線網18との間の通信速度(3)および画像形成装置14cとFAX通信回線網18との間の通信速度(4)は既知であるとする。なお、自装置とFAX通信回線網18との間の通信速度が未知である画像形成装置14(図7実施例では画像形成装置14a)のことを未知の画像形成装置といい、自装置とFAX通信回線網18との間の通信速度が既知である画像形成装置14(図7実施例では画像形成装置14bおよび画像形成装置14c)のことを既知の画像形成装置ということがある。
この場合、未知の画像形成装置である画像形成装置14aは、サーバ12の記憶部にアクセスして、FAX通信回線網18内の通信速度(2)および各既知の画像形成装置とFAX通信回線網18との間の通信速度(本実施例では(2)と(3))を取得する。
次に、画像形成装置14aは、既知の画像形成装置の中から、テスト通信処理を行う相手装置を指定する。ここでは、既知の画像形成装置の中でも、通信状態が良好な(通信速度が高い)画像形成装置が相手装置として指定されることが望ましい。図7実施例では、画像形成装置14bよりも画像形成装置14cの方がFAX通信回線網18との間の通信速度が高いので、画像形成装置14cが相手装置に指定される。
続いて、画像形成装置14aは、自身が発呼側装置となり、指定した相手装置(画像形成装置14c)が被呼側装置となるファクシミリ通信処理(テスト通信処理)を行う。なお、テスト通信処理は、FAX送信画像としてはテスト用の画像が用いられるが、基本的には、図4および図5に示すような通常のファクシミリ通信処理と同じ処理である。
テスト通信処理が実行されると、通信速度を設定するための処理が実行されたり、画像データPIXの再送が生じたりして、自装置と相手装置との間の通信状態がわかる。たとえば、図7実施例では、FAX通信回線網18内の通信速度(2)および、相手装置とFAX通信回線網18との間の通信速度(4)は33.6kbpsである。このため、自装置と相手装置との間の通信経路の全体として最適な通信速度が33.6kbpsであった場合には、自装置とFAX通信回線網18との間の通信速度(1)は33.6kbpsであると推定され、自装置から相手装置に至る通信経路の全体として最適な通信速度が14.4kbpsであった場合には、自装置とFAX通信回線網18との間の通信速度(1)は14.4kbpsであると推定される。そして、画像形成装置14aは、推定された自装置とFAX通信回線網18との間の通信速度(1)を自身の記憶部(補助記憶部146)に記憶するとともに、自装置とFAX通信回線網18との間の通信速度(1)のデータをサーバ12に送信する。
画像形成装置14から送信された自装置とFAX通信回線網18との間の通信速度のデータがサーバ12に受信されると、送信元の画像形成装置14の識別情報に紐づけられた通信速度のデータがサーバ12の記憶部に記憶される。
したがって、未知の画像形成装置においてテスト通信処理が実行されると、未知の画像形成装置とFAX通信回線網18との間の通信速度が、未知の画像形成装置自身に記憶されるとともに、サーバ12の記憶部に記憶される。これ以降は、未知の画像形成装置は、既知の画像形成装置として扱われる。
各画像形成装置14についての通信速度のデータは、たとえば、図8に示すような通信情報テーブルによって管理される。通信情報テーブルは、予め作成されており、サーバ12の記憶部に記憶されている。
図8に示す通信情報テーブルでは、情報処理システム10に含まれる複数の画像形成装置14の各々に割り当てられた固有の識別情報(装置ID)に対応して、各画像形成装置14の宛先情報(ダイヤル番号)、各画像形成装置14とFAX通信回線網18との間の通信状態に係る通信情報の内容が記述される。ただし、図6に示す装置情報テーブルでは、通信情報の一例として、各画像形成装置14とFAX通信回線網18との間の通信速度の内容が記述される。
なお、図8に示す通信情報テーブルの各欄には、識別情報、宛先情報および通信速度に対応する文字列、記号または図形等が記述されているが、これらの内容は、サーバ12および画像形成装置14における内部処理で作成および使用されるだけである。このため、通信情報テーブルの各欄に記述される内容は、人間が解読できない記号等で記述されてもよい。
そして、本実施例の情報処理システム10では、通常のファクシミリ通信処理またはテスト通信処理が実行される際に、発呼側装置となる画像形成装置14がサーバ12の記憶部にアクセスして通信情報テーブルを参照し、被呼側装置または相手装置となる画像形成装置14の通信情報を取得する。
情報処理システム10の上記のような動作は、画像形成装置14のCPU142がRAM144に記憶された画像形成装置14用の情報処理プログラムを実行することによって実現される。具体的な処理については、後でフロー図を用いて説明する。
図9は図3に示す画像形成装置14のRAM144のメモリマップ300の一例を示す図解図である。図9に示すように、RAM144は、プログラム記憶領域302およびデータ記憶領域304を含む。RAM144のプログラム記憶領域302には、画像形成装置14用の制御プログラムが記憶される。制御プログラムは、通信プログラム302a、操作検出プログラム302b、送受信プログラム302c、第1通信情報取得プログラム302d、第2通信情報取得プログラム302e、推定プログラム302f、通信開始条件設定プログラム302g、画像読取プログラム302hおよび画像形成プログラム302iを含む。
通信プログラム302aは、ネットワーク16を介して、サーバ12等の他の装置とファクシミリ通信以外のデータ通信を行うためのプログラムである。また、通信プログラム302aは、FAX通信回線網18を介して、他の画像形成装置とファクシミリ通信するためのプログラムである。
操作検出プログラム302bは、操作部156に含まれる操作ボタンおよびタッチパネルによるユーザの操作入力を検出するためのプログラムである。CPU142は、操作検出プログラム302bに従って、ユーザが操作ボタンを操作したことによる操作データないし操作信号を検出したり、タッチパネルを操作したことにより入力されるタッチ座標データを検出したりする。
送受信プログラム302cは、他の端末にFAX送信画像データを送信したり、他の端末から送信されたFAX受信画像データを受信したりするためのプログラムである。ただし、データを送受信する場合には、通信プログラム302aに従って通信処理が実行される。また、送受信プログラム302cは、符号化復号部158を制御して、FAX送信画像データを符号化したり、符号化されたFAX受信画像データを復号したりするためのプログラムでもある。
第1通信情報取得プログラム302dは、自装置とFAX通信回線網18との間の通信状態に係る第1通信情報が未知である場合に、第1通信情報を取得するためのプログラムである。具体的には、第1通信情報取得プログラム302dは、既知の画像形成装置の中からテスト通信処理を行う相手装置を指定し、テスト通信処理を実行して、第1通信情報を取得するためのプログラムである。
第2通信情報取得プログラム302eは、通常のファクシミリ通信を行う際に、サーバ12にアクセスして、FAX通信回線網18内の通信状態、被呼側装置とFAX通信回線網18との間の通信状態に係る第2通信情報を取得するためのプログラムである。なお、第2通信情報には、FAX通信回線網18内の通信状態に係る通信情報が含まれることがある。
推定プログラム302fは、自装置とFAX通信回線網18との間の通信経路の通信状態に係る第1通信情報と、被呼側装置とFAX通信回線網18との間の通信経路の通信状態に係る第2通信情報と、FAX通信回線網18内の通信状態に係る通信情報とに応じて、自装置から被呼側装置に至る通信経路における通信状態を推定するためのプログラムである。
通信開始条件設定プログラム302gは、推定プログラム302fに従って推定された、自装置から被呼側装置に至る通信経路における通信状態に応じて、ファクシミリ通信における通信開始条件を設定するためのプログラムである。
画像読取プログラム302hは、画像読取部148を制御して、原稿の画像を読み取り、読み取った画像に対応する画像信号(送信画像)を出力するためのプログラムである。
画像形成プログラム302iは、画像形成部152を制御して、印刷データに応じて多色または単色の印刷画像を用紙に印刷するためのプログラムである。
なお、図示は省略するが、プログラム記憶領域302には、画像形成装置14の各種の機能を選択および実行するためのプログラムなども記憶される。
RAM124のデータ記憶領域304には、操作検出データ304a、第1通信情報データ304b、第2通信情報データ304c、推定通信状態データ304dおよび通信開始条件データ304eなどが記憶される。
操作検出データ304aは、操作検出プログラム302bに従って検出された操作データまたは/およびタッチ座標データを含む操作入力データである。
第1通信情報データ304bは、第1通信情報取得プログラム302dに従って取得した自装置とFAX通信回線網18との間の通信経路の通信状態に係る第1通信情報のデータである。第2通信情報データ304cは、第2通信情報取得プログラム302eに従って取得した被呼側装置とFAX通信回線網18との間の通信経路の通信状態に係る第2通信情報のデータである。
推定通信状態データ304dは、推定プログラム302fに従って推定した、自装置から被呼側装置に至る通信経路における通信状態のデータである。たとえば、自装置から被呼側装置に至る通信経路における最適と考えられる通信速度のデータである。
通信開始条件データ304eは、通信開始条件設定プログラム302gに従って設定された通信開始条件のデータである。
なお、図示は省略するが、データ記憶領域304には、その他の制御プログラムの実行に必要なレジスタが設けられたり、読取画像データ、FAX送信画像データ、FAX受信画像データ、印刷データおよび制御プログラムの実行に必要な他のデータが記憶されたりする。
図10は画像形成装置14の第1通信情報取得処理の一例を示すフロー図である。この第1通信情報取得処理は、画像形成装置14がFAX通信回線網18に接続されたときに開始される。図10に示すように、CPU142は、第1通信情報取得処理を開始すると、ステップS1で、自装置とFAX通信回線網18との間の通信経路の通信状態に係る通信情報(第1通信情報)が既知かどうかを判断する。ここでは、第1通信情報が補助記憶部146に記憶されているかどうかを判断する。ステップS1で“YES”であれば、つまり、第1通信情報が既知であると判断した場合は、第1通信情報取得処理を終了する。
一方、ステップS1で“NO”であれば、つまり、第1通信情報が既知でない(第1通信情報が未知である)と判断した場合は、ステップS3で、サーバ12の記憶部にアクセスして、サーバ12に記憶されている他の画像形成装置14の通信情報を取得し、ステップS5で、他の画像形成装置14の中から、テスト通信処理を行う相手装置を指定し、ステップS7で、自身が発呼側装置となり、相手装置が被呼側装置となるテスト通信処理を行う。なお、上述したように、テスト通信処理は、通常のファクシミリ通信処理と同じ処理である。
テスト通信処理が終了すると、ステップS9で、テスト通信処理によって得られた、自装置から相手装置に至る通信経路の通信状態を取得して、ステップS11で、当該通信経路の通信状態と、FAX通信回線網18内の通信情報と、相手装置とFAX通信回線網18との間の通信情報とに応じて、自装置とFAX通信回線網18との間の通信情報である第1通信情報を算出し、ステップS13で、第1通信情報を補助記憶部146に記憶し、ステップS15で、ネットワーク16を介して第1通信情報をサーバ12に送信して、第1通信情報取得処理を終了する。
次に、画像形成装置14のCPU142で実行される通信開始条件設定処理について説明する。図11は図3に示す画像形成装置14のCPU142の通信開始条件設定処理の一例を示すフロー図である。この通信開始条件設定処理は、ファクシミリ通信を実行する所定のユーザ操作を受け付けたときに開始され、ファクシミリ通信処理が開始される前に実行される。図11に示すように、CPU142は、ファクシミリ通信処理を開始すると、ステップS31で、自装置とFAX通信回線網18との間の通信経路の通信状態に係る第1通信情報を取得して(補助記憶部146から読み出して)、ステップS33で、サーバ12の記憶部にアクセスして、被呼側装置とFAX通信回線網18との間の通信情報(第2通信情報)を取得して、ステップS35で、自装置から被呼側装置に至る通信経路における通信状態を推定して、ステップS37で、ステップS35で推定した通信情報に応じて通信開始条件を設定し、通信開始条件設定処理を終了する。なお、詳しい説明は省略するが、通信開始条件設定処理が終了すると、通信開始条件設定処理で設定された通信開始条件を用いてファクシミリ通信処理が実行される。
この第1実施例では、自装置に蓄積された自装置の通信情報およびサーバ12に蓄積された被呼側装置の通信情報に基づいて自装置から未知の相手装置に至る通信経路の通信状態を推定し、推定した通信経路の通信状態に基づいて通信開始条件(通信開始速度)を設定するようにしたので、過去に通信したことが無い未知の装置とファクシミリ通信を行う場合であっても、適切な通信開始条件を設定することができ、能力交換処理の繰り返しおよび画像データの再送が発生する頻度を低減することができる。したがって、通信時間および通信コストを低減させることができる。
なお、上述の実施例では、通信開始条件のうち、通信速度に着目した場合について説明したが、本発明は、通信開始条件に含まれるシンボルレートの設定にも適用することができる。以下、図12および図13を参照して、本発明の変形例を説明する。図12はスーパーG3のファクシミリ通信処理の一例の一部を示すシーケンス図である。図13はスーパーG3のファクシミリ通信処理の一例の他の一部であって、図12に後続するシーケンス図である。
図12に示すように、スーパーG3のファクシミリ通信処理では、発呼側装置から2つのラインプロービング信号L1、L2が被呼側装置に送出される。ラインプロービング信号L1、L2は、所定の周波数帯(150Hz~3750Hz)において所定間隔(150Hz)で配置されたトーンを含む周期信号である。被呼側装置は、受信したラインプロービング信号L1、L2を取得することによって、発呼側装置から被呼側装置までの通信経路の周波数特性を検出する。また、被呼側装置は、通信経路の周波数特性に応じてシンボルレートを設定し、設定したシンボルレートの情報を含む信号INFOhを発呼側装置に送出する。
また、図13に示すように、発呼側装置からトレーニング信号TRNが被呼側装置に送出される。被呼側装置は、受信したトレーニング信号TRNの信号状態(または信号状態から推定される通信品質を示すEQM(Eye Quality Monitor)値)に基づいて、通信可能な最大の通信速度を設定し、そのデータを含む信号MPhを発呼側装置に送出する。また、発呼側装置からも自装置の機能に応じた最大の通信速度のデータを含む信号MPhが送出され、互いの最大の通信速度に応じて、通信速度が決定される。
これらの処理を応用して、自装置とFAX通信回線網18との間の周波数特性が未知である画像形成装置14は、FAX通信回線網18との間の周波数特性が既知である画像形成装置14とテスト通信処理を行うことによって、自装置から既知の画像形成装置14に至る通信経路の周波数特性を取得して、通信経路の周波数特性から、FAX通信回線網18内の周波数特性および既知の画像形成装置14とFAX通信回線網18との間の周波数特性を除くことによって、自装置とFAX通信回線網18との間の周波数特性を算出することができる。なお、FAX通信回線網18内の周波数特性は、略均一かつ安定していると考えられるので、無視してもよい。そして、周波数特性が未知であった画像形成装置14は、算出した自装置の周波数特性のデータをサーバ12に送信し、サーバ12は、受信した周波数特性のデータを記憶する。
このようにすれば、ファクシミリ通信を行う際に、被呼側装置は、サーバ12から発呼側装置の周波数特性のデータを予め(ラインプロービング信号L1、L2を取得する前に)取得して、自装置の周波数特性と発呼側装置の周波数特性とに応じて通信経路の周波数特性を推定し、適切なシンボルレートを設定することができる。
また、通信速度についても、未知の画像形成装置14は、既知の画像形成装置14とテスト通信処理を行うことによって、自装置の通信速度を取得し、自装置の通信速度をサーバ12に記憶させておけばよい。このようにすれば、上述した実施例と同様に、適切な通信開始条件を設定することができる。
[第2実施例]
第2実施例の情報処理システム10では、各画像形成装置14とFAX通信回線網18との間の通信状態が変動すること以外は第1実施例と同じであるため、第1実施例と異なる内容について説明し、重複した説明については省略することにする。
各画像形成装置14とFAX通信回線網18との間の通信状態は、所定の変動条件により変動することがある。たとえば、FAX通信回線網18がIP網である場合には、IP網の混雑状況によって、通信状態が変動することがある。たとえば、IP網の混雑状況は、時間帯または曜日によって周期的に変動すると考えられる。したがって、FAX通信回線網18がIP網である場合には、時間帯または曜日によって周期的に通信状態が変動する可能性がある。この場合、時間帯および/または曜日が変動条件となる。
また、画像形成装置14とFAX通信回線網18との間にアナログ回線が含まれる場合であって、当該アナログ回線の近くに別の機器(周辺機器)が配置されている場合には、周辺機器から発生するノイズの影響によって、通信状態が変動することがある。すなわち、周辺機器が稼働中かどうかによって通信状態が変動する可能性がある。この場合、周辺機器の稼働状況が変動条件となる。
以上のように、画像形成装置14とFAX通信回線網18との間の通信状態が変動する可能性がある場合には、その画像形成装置14の通信情報には、条件毎に対応する通信情報が含まれる。また、通信状態が変動する可能性がある画像形成装置14においては、自身の補助記憶部146に、自装置の条件毎の通信情報が記憶されている。なお、通信状態が変動する可能性がある画像形成装置14では、通信状態が変動すると考えられる条件毎にテスト通信処理が行われ、条件毎の通信情報が予め算出されている。
各画像形成装置14の条件毎の通信情報のデータは、たとえば、図14に示すような通信情報テーブルによって管理される。図14に示す通信情報テーブルでは、各画像形成装置14の識別情報に対応して、各画像形成装置14の宛先情報、変動条件の内容および変動条件毎の通信情報(たとえば通信速度)の内容が記述される。なお、変動条件がない画像形成装置14については、変動条件の記述が省略され、単一の通信情報が記述される。
発呼側の画像形成装置14は、自装置とFAX通信回線網18との間で通信状態が変動する可能性がある場合には、ファクシミリ通信を行う時点(現在)の条件(時刻、曜日、周辺機器の稼働状況など)に対応する通信情報を補助記憶部146から読み出す。また、発呼側の画像形成装置14は、サーバ12の記憶部にアクセスして、通信情報テーブルを参照し、被呼側の画像形成装置14に変動条件がある場合には、現在の条件に対応する通信情報を取得する。そして、発呼側の画像形成装置14は、自装置から被呼側装置に至る通信経路における通信状態を推定する。なお、ファクシミリ通信の通信経路における通信状態を推定した後の動作は第1実施例と同じであるため、説明を省略する。
また、第2実施例では、上述したような動作を実現するために、画像形成装置14のRAM114に記憶された画像形成装置14用の情報処理プログラムには、自装置および被呼側の画像形成装置14の少なくとも一方に変動条件があるかどうかを判定する判定プログラム、現在の状況を取得する現在条件取得プログラム等が含まれる。また、第1通信情報データ304bは、条件毎の通信情報のデータを含むことがある。
以下、フロー図を用いて、第2実施例における通信開始条件設定処理について説明するが、第1実施例で説明した通信開始条件設定処理と同じ処理については同じ参照符号を付し、重複した内容については、説明を省略するまたは簡単に説明することにする。
図15は第2実施例における通信開始条件設定処理の一例を示すフロー図である。図15に示すように、画像形成装置14のCPU142は、ステップS51で、自装置に変動条件があるかどうかを判断する。ステップS51で“YES”であれば、つまり、自装置に変動条件があると判断した場合は、ステップS53で、現在の条件に対応する自装置の通信情報を第1通信情報として取得して、ステップS55に進む。一方、ステップS51で“NO”であれば、つまり、自装置に変動条件がないと判断した場合は、ステップS31で、自装置に係る第1通信情報を取得して、ステップS55に進む。
続いて、ステップS55では、被呼側装置に変動条件があるかどうかを判断する。ステップS55で“YES”であれば、つまり、被呼側装置に変動条件があると判断した場合は、ステップS57で、現在の条件に対応する被呼側装置の通信情報を第1通信情報として取得して、ステップS35に進む。一方、ステップS55で“NO”であれば、つまり、被呼側装置に変動条件がないと判断した場合は、ステップS33で、被呼側装置に係る第2通信情報を取得して、ステップS35に進む。
なお、ステップS35以降の処理の内容については、第1実施例と同じであるので詳細な説明を省略する。
この第2実施例によれば、各画像形成装置14とFAX通信回線網18との間の通信経路の通信状態が変動する場合であっても、適切な通信開始条件を設定することができ、通信時間および通信コストを低減させることができる。
なお、上述の実施例では、FAX通信回線網18を介してファクシミリ通信が行われるようにしたが、インターネットなどのネットワーク16を介してファクシミリ通信が行われるようにしてもよい。この場合、FAX通信回線網18は省略することができる。
また、上述の実施例で挙げた画面および具体的な構成等は一例であり、実際の製品に応じて適宜変更することが可能である。また、上述の実施例で示したフロー図の各ステップは、同じ結果が得られるのであれば、処理される順番は適宜変更することが可能である。